(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795703
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】超音波センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20201119BHJP
【FI】
G01S15/931
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-539800(P2019-539800)
(86)(22)【出願日】2018年1月4日
(65)【公表番号】特表2020-505603(P2020-505603A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2018050182
(87)【国際公開番号】WO2018137904
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年7月22日
(31)【優先権主張番号】102017201214.5
(32)【優先日】2017年1月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シューマン,ミヒャエル
【審査官】
田中 純
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02501361(GB,A)
【文献】
特表2013−538344(JP,A)
【文献】
特開2006−298266(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第10106142(DE,A1)
【文献】
特開平09−113618(JP,A)
【文献】
特開2006−317186(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0182874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 − G01S 7/64
G01S 15/00 − G01S 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波センサ装置(10)であって、
複数の超音波センサ(1,2,3,4,5,6)と、
前記超音波センサ(1,2,3,4,5,6)を制御するためのコントロールユニット(7)と、を有しており、
前記コントロールユニット(7)は、選択的に前記超音波センサ(1,2,3,4,5,6)の第1のグループまたは前記超音波センサ(1,2,3,4,5,6)の第2のグループを同時に作動させるように設定されていて、それによって作動された前記超音波センサ(1,2,3,4,5,6)が超音波信号を発信するようになっており、
前記第1のグループの各超音波センサ(1,2,3,4,5,6)が、前記第2のグループの少なくとも1つの超音波センサ(1,2,3,4,5,6)に隣接して配置されていて、前記第2のグループの各超音波センサ(1,2,3,4,5,6)が前記第1のグループの少なくとも1つの超音波センサ(1,2,3,4,5,6)に隣接して配置されており、
前記コントロールユニット(7)は、隣り合って位置する作動中の超音波センサを様々に周波数変調された励振パターン(100,200,300)で制御するように設定されており、
各内側の超音波センサ(2,3,4,5)が、別の2つの内側の超音波センサ(2,3,4,5)に隣接して配置されているか、または別の1つの内側の超音波センサ(2,3,4,5)および1つの外側の超音波センサ(1,6)に隣接して配置されており、
前記コントロールユニット(7)は、隣接して配置されていないすべての、それぞれ2つの内側の超音波センサ(2,3,4,5)および1つの外側の超音波センサ(1,6)を同時に作動させるように、設定されており、
前記コントロールユニット(7)は、前記外側の超音波センサ(1,6)を第1の周波数変調された励振パターン(100)で制御し、それぞれ1つの内側の超音波センサ(2,3,4,5)を第2の周波数変調された励振パターン(200)および第3の周波数変調された励振パターン(300)で制御するように、設定されており、
前記第1の周波数変調された励振パターン(100)、前記第2の周波数変調された励振パターン(200)および前記第3の周波数変調された励振パターン(300)が、互いに異なっている、ことを特徴とする、
超音波センサ装置(10)。
【請求項2】
前記周波数変調された励振パターン(100,200,300)が、予め規定された帯域幅内で連続的な周波数変化を有することを特徴とする、請求項1記載の超音波センサ装置(10)。
【請求項3】
前記第1のグループおよび前記第2のグループがそれぞれ、前記超音波センサ(1,2,3,4,5,6)の半分を有していることを特徴とする、請求項1または2記載の超音波センサ装置(10)。
【請求項4】
前記第1の周波数変調された励振パターン(100)が、3kHzと12kHzとの間の第1の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第2の周波数変調された励振パターン(200)が、3kHzと12kHzとの間の第2の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第3の周波数変調された励振パターン(300)が、3kHzと12kHzとの間の第3の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第1の帯域幅に亘って延在する前記第1の周波数変調された励振パターン(100)の第1の周波数特性と、前記第2の帯域幅に亘って延在する前記第2の周波数変調された励振パターン(200)の第2の周波数特性と、前記第3の帯域幅に亘って延在する前記第3の周波数変調された励振パターン(300)の第3の周波数特性とが、すべて互いに異なっている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波センサ装置(10)。
【請求項5】
前記第1の周波数変調された励振パターン(100)が、3kHzと12kHzとの間の第1の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第2の周波数変調された励振パターン(200)が、3kHzと12kHzとの間の第2の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第3の周波数変調された励振パターン(300)が、3kHzと12kHzとの間の第3の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、
前記第3の帯域幅に亘って延在する前記第3の周波数変調された励振パターン(300)の第1の周波数特性が、前記第1の帯域幅に亘って延在する前記第1の周波数変調された励振パターン(100)の第1の周波数特性と部分的に重畳されており、かつ/または前記第2の帯域幅に亘って延在する前記第2の周波数変調された励振パターン(200)の第2の周波数特性と部分的に重畳されている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波センサ装置(10)。
【請求項6】
前記第1の周波数特性が前記第2の周波数特性および/もしくは前記第3の周波数特性に対して逆向き、並びに/または前記第3の周波数特性が前記第2の周波数特性に対して逆向きであることを特徴とする、請求項4に記載の超音波センサ装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ装置に関する。この超音波センサ装置は好適な形式で車両に使用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、超音波に基づく間隔測定システムを有する車両は公知である。超音波に基づく測定システムは、超音波センサの前に位置する対象物に対する間隔を測定するために使用される。このために、使用された超音波センサはパルスエコー法に基づいている。この運転において、センサは超音波パルスを発信して、対象物によって生ぜしめられた超音波パルスの反射を測定し、ひいてはエコーを測定する。センサと対象物との間の間隔は、測定されたエコー到達時間および音速を介して演算される。超音波センサは送信器および受信器として機能する。
【0003】
公知の車両においては、車両の前および後ろの周囲を測定できるようにするために、標準的な形式で4つまたは6つの超音波センサがバンパ内に使用される。この場合、前および後ろとは、車両の通常の走行方向に関連している。バンパに設けられた複数のセンサが時間的に同時に発信を行い、それによって情報を並行に処理すれば、できるだけ迅速に周囲を検出できるようにするために役に立つ。このために、特に、超音波パルスの発信のために使用されるコードとも呼ばれる特別な励振パターンが公知である。エコーの処理は、信号調整されたフィルタ、いわゆる整合フィルタによって行われる。
【0004】
理想的なコードは、コードが互いに直交することを特徴としている。このことはつまり、コードが最大の非類似性を有しているので、整合フィルタが、割当てられたコード以外のすべてのコードを振幅0に減衰する、という意味である。実際には、整合フィルタによるこのような完全な抑制は実現不能である。特に、コードのために小さい帯域幅しか提供されない場合、不都合である。共振で作業するように設計された変換器においては、帯域幅は特に著しく制限されていて、抑制は相応に不足している。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0005】
本発明による超音波センサ装置は、外部コードの抑制の最大化を可能にし、ひいては個別の超音波コードの最適な分離可能性が得られる。このような形式で、複数の測定を並行に実施することができ、これによって超音波センサ装置の周囲を短時間で検出することができる。何故ならば、複数の超音波信号の並行処理が可能だからである。従って、超音波センサ装置は、これが車両に使用された場合、特に有利である。何故ならば、車両では周囲の対象物を迅速に検知することが多大な利点をもたらすからである。
【0006】
本発明による超音波センサ装置は、複数の超音波センサを有している。超音波センサ装置の数は、超音波パルスを発信するかまたは超音波パルスのエコーを受信するように設定されている。従って各超音波センサは同時に送信器および受信器である。超音波センサ装置はさらに、超音波センサを制御するためのコントロールユニットを有している。このために、コントロールユニットは、選択的に超音波センサを送信器としてまたは受信器として使用するように設定されている。送信器としての制御が行われると、それぞれの超音波センサは励振パターンで励振され、これによってこの超音波センサは超音波パルスを発信する。これに対して、超音波センサが受信器として使用される場合、制御は行われず、超音波センサは、超音波パルスの入力時にコントロールユニットによって検出可能な相応の信号を生成する。またコントロールユニットは、選択的に超音波センサの第1のグループまたは超音波センサの第2のグループを同時に作動させるように設定されている。作動とは、超音波センサが超音波信号を発信する、ということである。従って、作動とは、特に超音波センサが励振パターンで励振され、それによって超音波信号の発信が開始される、ということである。作動が行われない場合、それぞれの超音波センサはもっぱら受信器としてだけ用いられる。従って、作動中の超音波センサとは、この本発明の枠内で、実際に超音波信号、特に超音波パルスを発信する超音波センサということである。超音波パルスとは、時間的に限定された超音波信号のことである。つまりコントロールユニットは、互いに並んで配置された、作動中の超音波センサを周波数変調された様々な励振パターンで制御するように設定されている。互いに並んで配置された作動中の超音波センサとは、実際に超音波信号を発信する超音波センサだけが観察される、ということである。コントロールユニットによって作動されていない超音波センサは、この場合、考慮されない。従って、特に好適には、2つの作動中の超音波センサの間に1つの非作動中の超音波センサが位置するように設計されている。このことはつまり、超音波センサは、第1のグループの超音波センサが隣接して配置されておらず、かつ第2のグループの超音波センサが隣接して配置されていないように、第1のグループおよび第2のグループに分けられている、ということである。むしろ、第1のグループから成る各超音波センサは、第2のグループから成る超音波センサに隣接して配置されている。同様に、第2のグループから成るか各超音波センサは、第1のグループから成る超音波センサに隣接して配置されている。特に好適な実施例では、超音波センサは、様々な線形の周波数変調されたチャープによって制御されており、このことは、励振する周波数は予め規定された時間間隔内で線形に変化する、という意味である。隣接し合う作動中の超音波センサで異なる、周波数変調された励振パターンを用いたことによって、並びに作動中の超音波センサと非作動中の超音波センサとの前記のような好適な分離によって、周囲の対象物から超音波センサ装置に反射されるエコーが分離され得ないことは避けられる。むしろ、各エコーは複数の超音波センサの1つの超音波センサに明確に割り当てられ得る。周波数変調された励振パターンによって、相応のフィルタ、特に整合フィルタによる高い分離可能性が得られる。
【0007】
従属請求項は、本発明の好適な実施態様を内容としている。
【0008】
好適には、周波数変調された励振パターンが、予め規定された帯域幅内で連続的な周波数変化を有するように設計されている。予め規定された帯域幅は、その大きさがすべての励振パターンのために好適には同じであってよいが、特に異なっていてもよい。さらに、好適な形式で、周波数変調された励振パターンは、この励振パターンが延在する周波数帯域内で完全にまたは少なくとも部分的に異なるように設計されている。好適な形式で、連続的な周波数変化は線形の周波数変化を意味し、この場合、周波数は線形に上昇されるかまたは線形に低下されてよい。線形の周波数変化は、コントロールユニットによる超音波センサの簡単な制御を可能にする。選択的に、別の制御可能性、特に正方形の周波数変化またはその他の非線形の周波数変化等も考えられる。周波数変調された励振パターンのこのような形式の区別は、相応のフィルタ内での外部信号の確実かつ間違いのない抑制を可能にする。このような抑制は、様々な励振パターンの周波数範囲が前述のように、その全帯域幅に亘ってせいぜい部分的に重畳していれば、最大化される。さらに、特に好適には、パルス継続時間が長いかまたは整合フィルタの係数が大きくなるように設計されている。これは好適な形式でミリ秒より長いパルス長さのために得られる。
【0009】
また、特に好適には、隣接し合う作動中のセンサが逆向きの周波数変化を有するように設計されている。これによって特に、隣接し合う作動中の超音波センサの周波数特性は、一方の超音波センサにおいて連続する特に線形の周波数上昇が得られ、他方の超音波センサにおいて連続する特に線形の周波数低下が行われるように、構成されている。周波数変化の帯域幅は、好適な形式で少なくとも3kHzを有している。
【0010】
特に好適には、超音波センサの第1のグループおよび第2のグループは、それぞれ超音波センサの半分を有するように、設計されている。従って、超音波センサの半分は、超音波センサの他の半分とは無関係にそれぞれ同時に制御可能である。第1のグループおよび第2のグループの超音波センサは、超音波信号の前記最大の分離可能性を可能にするために、好適には交互に配置されている。
【0011】
好適な実施例によれば、超音波センサは、2つの内側の超音波センサと2つの外側の超音波センサとを有している。各内側の超音波センサは、別の内側の超音波センサ並びに1つの外側の超音波センサに隣接して配置されている。このことはつまり、2つの外側の超音波センサが内側の超音波センサを取り囲んでいるので、各内側の超音波センサが2つの隣接する超音波センサを有していて、これに対して各外側の超音波センサが1つだけの隣接する超音波センサを有している、ということである。このことはつまり、特に各外側の超音波センサが1つの内側の超音波センサに隣接して配置されていて、これに対して各内側の超音波センサが1つの内側の超音波センサおよび1つの外側の超音波センサに隣接して配置されている、ということである。コントロールユニットは、好適には、隣接して配置されていない、それぞれ1つの内側の超音波センサおよびそれぞれ1つの外側の超音波センサを同時に作動させるように設定されている。このことはつまり、1つの外側の超音波センサと前記外側の超音波センサに隣接して配置されていない内側の超音波センサとが超音波センサの第1のグループを形成し、これに対して残りの超音波センサ、つまり残りの外側の超音波センサと残りの内側の超音波センサとが超音波センサの第2のグループを形成している、という意味である。これによって、やはり、超音波センサの第1のグループと超音波センサの第2のグループとの交互の配置が得られる。また、コントロールユニットは好適には、外側の超音波センサを第1の周波数変調された励振パターンで制御し、内側の超音波センサを第2の周波数変調された励振パターンで制御するように設定されている。この場合、第1の周波数変調された励振パターンは、第2の周波数変調された励振パターンとは異なっている。このような形式で、超音波信号の前記最大の分離可能性が得られる。これによって、超音波パルスを発信するために、第1の時点で好適な形式で外側の超音波センサとこれに隣接していない内側の超音波センサとが制御される。従って、作動中の超音波センサ、つまり作動中の内側の超音波センサと、作動中の外側の超音波センサとは、非作動中の超音波センサによって分離されている。さらに、作動中の超音波センサは、様々な励振パターン、第1の励振パターンおよび第2の励振パターンによって制御される。特に好適には、励振パターンは、前述のように予め規定された帯域幅内の連続的な周波数変化を有している。特に好適には、第1の周波数変調された励振パターンおよび第2の周波数変調された励振パターンの周波数変化は異なっているように設計されており、この場合、特に第1の周波数変調された励振パターンが、周波数の連続的な上昇を有する周波数パターンを有しており、これに対して、第2の周波数変調された励振パターンが、連続的に低下する周波数を有するパターンを有している。
【0012】
選択的な実施例によれば、超音波センサが、2つの隣接し合う第1の外側の超音波センサと、2つの内側の超音波センサと、2つの隣接し合う第2の外側の超音波センサとを有するように設計されている。各内側の超音波センサが、別の内側の超音波センサに隣接していて、第1の外側の超音波センサに隣接してまたは第2の外側の超音波センサに隣接して配置されるように設計されている。第1の外側の超音波センサは互いに隣接して配置されていて、同様に第2の外側の超音波センサは互いに隣接して配置されている。このことはつまり、第1の外側の超音波センサはもっぱら別の外側の超音波センサに隣接して配置されている、という意味である。これによって、別の第1の外側の超音波センサは、1つの内側の超音波センサおよび前記第1の外側の超音波センサに隣接して配置されている。これと同じことは第2の外側の超音波センサのためにもあてはまる。ここでも、第2の外側の超音波センサは、1つの内側の超音波センサにもまた別の第2の外側の超音波センサにも隣接して配置されている。別の第2の外側の超音波センサは、前記第2の外側の超音波センサの隣にその他の隣接物を有していない。コントロールユニットは、隣接して配置されていないすべての、それぞれ1つの内側の超音波センサ、1つの第1の外側の超音波センサおよび1つの第2の外側の超音波センサを同時に作動させるように設定されている。これによって、第1の外側の超音波センサと1つの内側の超音波センサと1つの第2の外側の超音波センサとが第1のグループを形成し、これに対して、残りの超音波センサが第2のグループを形成する。やはり好適には、第1のグループおよび第2のグループのすべての超音波センサが互いに交互に配置されているように設計されている。最後に、コントロールユニットは好適には、第1の外側の超音波センサおよび第2の外側の超音波センサを第1の周波数変調された励振パターンで制御し、内側の超音波センサを第2の周波数変調された励振パターンで制御するように設定されている。やはり、第1の周波数変調された励振パターンは、第2の周波数変調された励振パターンとは互いに異なっているように設計されている。特に、第1の周波数変調された励振パターンおよび第2の周波数変調された励振パターンは、前記相異を有している。好適には、2つの作動中の超音波センサの間に1つの非作動中の超音波センサが常に存在することによって、作動中の超音波センサ間の最大間隔が得られるように設計されている。さらに、超音波信号は最適に分離され得るように設計されている。何故ならば、隣接し合う作動中の超音波センサが様々な周波数変調された励振パターンを有していて、この場合、第1の外側の超音波センサおよび第2の外側の超音波センサの励振パターンだけが同じだからである。しかしながらこのことは、第1の外側の超音波センサと第2の超音波センサとの間の大きい間隔に基づいて、超音波センサ装置によって受信された超音波信号の分離可能性に殆ど影響することはない。
【0013】
前記2つの選択肢において、好適な形式で、第1の周波数変調された励振パターンが、第1の帯域幅を有する周波数の変化を有するように設計されている。第1の帯域幅は、3kHzと12kHzとの間、好適には5kHzである。この周波数の変化は、特に線形に行われる。第2の周波数変調された励振パターンは、第2の帯域幅を有する周波数の変化を有している。第2の帯域幅は、好適な形式で3kHzと12kHzとの間、特に好適には5kHzである。やはり、好適な形式で、周波数の線形の変化が行われるように設計されている。最後に、好適な形式で、第1の帯域幅に亘って延在する第1の周波数特性が、第2の帯域幅に亘って延在する第2の周波数変調された励振パターンの第2の周波数特性とは異なっているように設計されている。従って、第1の周波数特性および第2の周波数特性は、超音波センサが、周波数が別の励振パターンによって励振された別の超音波パルスとは異なる超音波信号、特に超音波パルスを決して発信しないように配慮する。このようにして、フィルタ内での最適な分離可能性が可能になる。このようなフィルタは、特に前記のような整合フィルタである。超音波センサは大抵の場合、最大12kHz、特に最大10kHzの小さい帯域幅を有している。前記第1の周波数変調された励振パターンおよび第2の周波数変調された励振パターンによって、最適な形式ですべての提供可能な帯域幅から前記好適な5kHzを有する励振パターンの可能な帯域幅が利用し尽くされる。それと同時に、第1の周波数変調された励振パターンと第2の周波数変調された励振パターンの周波数特性とが重複しないことを可能にする。このような形式で、周波数特性の最大分離可能性が保証される。何故ならば、外部信号は適切なフィルタ、特に整合フィルタで最適に抑制可能だからである。従って、発信された超音波パルスの混同の危険性が存在することなしに、複数の超音波センサを並行して運転することができる。従って、超音波センサ装置の周囲は、確実かつ間違いなしに検出可能であり、この場合、このような検出は制限された時間間隔内で行われる。
【0014】
第1の周波数特性は好適な形式で、第2の周波数特性に対して逆向きである。このことは、第1の周波数特性が好適な形式で周波数の上昇を有していて第2の周波数特性が周波数の低下を有しているか、またはその逆である、ということである。従って、超音波パルスはさらに最適に分離可能である。何故ならば、周波数自体だけが異なっているのではなく、周波数の変化も異なっているからである。
【0015】
別の好適な実施例によれば、超音波センサが、2つの外側の超音波センサと4つの隣接する内側の超音波センサとを有している。この場合、外側の超音波センサは、この外側の超音波センサが、互いに隣接して位置しているすべての内側の超音波センサを取り囲むように配置されている。このことはつまり、各外側の超音波センサが好適な形式で、最大で1つの内側の超音波センサに隣接して配置されている、ということである。従って、内側の超音波センサは、2つの別の内側の超音波センサに隣接して配置されているか、または選択的に1つの外側の超音波センサおよび1つの別の内側の超音波センサに隣接して配置されている。コントロールユニットは、隣接して配置されていないすべての、それぞれ2つの内側の超音波センサおよび1つの外側の超音波センサを同時に作動させるように、設定されている。このことはつまり、2つの作動中の超音波センサの間に1つの非作動中の超音波センサが存在する、ということである。さらに、コントロールユニットは、外側の超音波センサを第1の周波数変調された励振パターンで制御し、それぞれ1つの内側の超音波センサを第2の周波数変調された励振パターンおよび第3の周波数変調された励振パターンで制御するように、設定されている。
【0016】
従って、2つの作動中の内側の超音波センサは、異なる周波数変調された励振パターン、つまり第2の周波数変調された励振パターンおよび第3の周波数変調された励振パターンを有している。さらに追加的に、作動中の外側の超音波センサは別の励振パターン、つまり第1の周波数変調された励振パターンを有している。第1の周波数変調された励振パターン、第2の周波数変調された励振パターンおよび第3の周波数変調された励振パターンは、互いに異なって構成されている。従って、作動中の超音波センサによって発信されるすべての信号は、互いに異なっていて、ひいては簡単かつ安価に分離することができる。このような形式で、超音波センサ装置の周囲の迅速な検出が可能であり、この場合、完全に異なる信号を使用することによって、個別の超音波センサから発信された超音波パルスの混同は避けられ、ひいては周囲を確実かつ間違えずに検出することができる。
【0017】
第1の周波数変調された励振パターンは、好適な形式で第1の帯域幅を有する周波数の変化を有している。第1の帯域幅は、好適な形式で3kHzと12kHzとの間、特に3kHzである。周波数の変化は特に線形に行われる。第2の周波数変調された励振パターンは、第2の帯域幅を有する周波数の変化を有している。第2の帯域幅は、3kHzと12kHzとの間、特に3kHzである。この変化も好適な形式で線形に行われる。第3の周波数変調された励振パターンは、第3の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、この場合、第3の帯域幅は3kHzと12kHzとの間、好適には3kHzである。この周波数の変化も好適な形式で線形に行われる。さらに、第1の帯域幅に亘って延在する第1の周波数変調された励振パターンの第1の周波数特性と、第2の帯域幅に亘って延在する第2の周波数変調された励振パターンの第2の周波数特性と、第3の帯域幅に亘って延在する第3の周波数変調された励振パターンの第3の周波数特性とが、すべて互いに異なっている。このような形式で、第1の周波数特性、第2の周波数特性および第3の周波数特性が重畳しないようになっている。むしろ、超音波センサ装置によって発信される各超音波パルスは、周波数変化の全帯域幅に亘って、超音波装置から発信されたそれぞれ別の超音波パルスとは異なる周波数を有している。従って、発信された超音波パルスの分離は簡単かつ安価に可能である。超音波センサは特に、12kHz、特に10kHzの最大帯域幅を有している。第1の帯域幅、第2の帯域幅および第3の帯域幅を使用することによって、これらの最大帯域幅は、様々な超音波パルスの発信のために最適に利用し尽くされる。このことはつまり、各励振パターンは最大帯域幅を有しているが、それと同時に励振パターンの周波数の重畳は完全に避けられる、ということである。
【0018】
選択的な実施例では、前記第1の周波数変調された励振パターンが第1の帯域幅を有する周波数の変化を有している。第1の帯域幅は、3kHzと12kHzとの間、好適には5kHzである。やはり、この周波数の変化は好適には線形に行われる。第2の周波数変調された励振パターンは、第2の帯域幅を有する周波数の変化を有している。第2の帯域幅は、3kHzと12kHzとの間、好適には5kHzである。ここでも、周波数の変化は好適な形式で線形に行われる。第3の周波数変調された励振パターンは第3の帯域幅を有する周波数の変化を有しており、この場合、第3の帯域幅は、3kHzと12kHzとの間、特に9kHzである。ここでも、周波数の変化は好適な形式で線形に行われる。さらに、第3の帯域幅に亘って延在する第3の周波数変調された励振パターンの第3の周波数特性が、第1の帯域幅に亘って延在する第1の周波数変調された励振パターンの第1の周波数特性と部分的に重畳されており、かつ/または第2の帯域幅に亘って延在する第2の周波数変調された励振パターンの第2の周波数特性と部分的に重畳されているように設計されている。それと同時に、好適な形式で、第1の周波数特性が第2の周波数特性と異なっているように設計されているので、第1の周波数特性は第2の周波数特性と重畳しない。従って、第3の周波数特性に関する重畳だけが設けられている。やはり、超音波センサの最大帯域幅は、12kHz、特に10kHzを有している。従って、前記好適な第1の帯域幅、第2の帯域幅および第3の帯域幅によって、第2の周波数特性と第3の周波数特性とが重畳することなしに、最大帯域幅が第2の帯域幅および第3の帯域幅により最適に利用し尽くされている。それと同時に、第1の帯域幅を有する第1の周波数変調された励振パターンは、超音波センサの最大帯域幅に対して相対的に非常に高い帯域幅を有している。大きい第1の帯域幅に基づいて、第1の励振パターンは、外側の超音波センサにおけるドップラーロバスト性に関して利点を有しており、この場合、このようなロバスト性は、周囲の対象物を検出する際の高い速度のために利用することができる。従って、改善されたドップラーロバスト性およびそれに起因するより高い検出速度に基づく第1の周波数特性と第2の周波数特性および/または第3の周波数特性との重畳により、個別のコードの分離可能性の僅かな劣化は甘受される。
【0019】
特に好適には、第1の周波数特性が、第2の周波数特性および/または第3の周波数特性に対して逆向きである。選択的にまたは追加的に、第2の周波数特性が、特に第3の周波数特性に対して逆向きである。このような形式で、超音波センサによって発信された個別の超音波パルスの分離可能性の改善が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の時点で超音波パルスを発信中である本発明の第1実施例による超音波センサ装置の概略図である。
【
図2】第2の時点で超音波パルスを発信中である本発明の第1実施例による超音波センサ装置の概略図である。
【
図3】第1の時点で超音波パルスを発信中である本発明の第2実施例による超音波センサ装置の概略図である。
【
図4】第2の時点で超音波パルスを発信中である本発明の第2実施例による超音波センサ装置の概略図である。
【
図5】本発明の第3実施例による超音波センサ装置の概略図である。
【
図6】本発明の1実施例による超音波センサ装置の超音波センサを制御するための励振パターンの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例を、添付の図面を用いて以下に詳しく説明する。
【0022】
図1は、第1の時点で超音波パルスを発信する際の本発明の第1実施例による超音波センサ装置10を概略的に示す。
図2は、第2の時点で超音波パルスを発信する際の同じ超音波センサ装置10を示す。第1の時点および第2の時点は時間的に連続している。
【0023】
超音波センサ装置1は6つの超音波センサ1,2,3,4,5,6を有しており、これらの超音波センサは、2つの隣接し合う第1の内側の超音波センサ1,2、2つの隣接し合う第2の外側の超音波センサ5,6並びに2つの内側の超音波センサ3,4に分けられている。この場合、各内側の超音波センサ3,4は、別の内側の超音波センサ3,4に隣接していて、かつ第1の外側の超音波センサ1,2の隣に配置されているかまたは第2の外側の超音波センサ5,6の隣に配置されているように設計されている。
図1および
図2に示された実施例では、超音波センサ1,2,3,4,5,6は並んで配置されているように設計されている。これは特に、超音波センサ装置10が自動車のバンパ内で使用される場合である。このような配置では、すべての超音波センサ1,2,3,4,5,6は、端縁部の超音波センサ1,6を除いてそれぞれ2つの隣接物を有している。端縁部の超音波センサ1,6は1つの隣接物を有しているだけである。
【0024】
すべての超音波センサ1,2,3,4,5,6はコントロールユニット7に接続されている。コントロールユニット7は、選択的に超音波センサ1,2,3,4,5,6を作動させるために用いられる。1つの超音波センサ1,2,3,4,5,6が作動されると、この超音波センサが超音波パルスを発信するようになる。超音波センサが作動されないと、超音波センサ1,2,3,4,5,6は超音波パルスを受信するために使用され得るようになる。この場合、超音波センサ1,2,3,4,5,6は、コントロールユニット7によって検出可能な超音波パルスを受信する際の信号を生成する。従って、各超音波センサ1,2,3,4,5,6は、コントロールユニット7による制御に応じて、超音波パルスのための送信器であるかまたは受信器である。
【0025】
各超音波センサ1,2,3,4,5,6は、特に12kHまたは10kHの最大帯域幅を有している。超音波センサ1,2,3,4,5,6の信号を互いに識別できるようにするために、これらの信号は様々な励振パターン100,200,300で生成される。これらの様々な励振パターンは、各超音波センサ1,2,3,4,5,6が、一定の周波数ではなく、むしろ連続的に変化する周波数を有する電圧で励振される、ということである。これによって、発信された超音波パルスはやはり一定の周波数を有するのではなく、周波数特性を有することになる。周波数特性は、励振パターン100,200,300によって決定される。適切に構成された“Matched Filter「整合フィルタ」”を介して、励振パターン100,200,300の相応の周波数特性を有する受信された信号をフィルターアウトすることができる。従って、外側の超音波センサ1,2,5,6が設けられており、このことは、第1の外側の超音波センサ1,2および第2の外側の超音波センサ5,6が同じ周波数変調された励振パターン、つまり第1の周波数変調された励振パターン100で制御される、ということである。内側の超音波センサ3,4は、周波数変調された第2の励振パターン200で制御される。このために、コントロールユニット7は、それぞれ1つの第1の外側の超音波センサ1,2、第2の外側の超音波センサ5,6および内側の超音波センサ3,4を同時に作動させるように設計されている。同時に作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6は互いに隣接して配置されているのではなく、作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6の間に非作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6が位置している。これは
図1および
図2に示されている。図面では、それぞれ作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6が塗りつぶされた円で示されていて、これに対して非作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6が塗りつぶされていない円で示されている。従って、作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6は常に、互いに最大の物理的機械的な間隔を有している。追加的に、隣接し合う作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6は、様々な超音波信号を発信する。これにより、取り違えのおそれなしに、それぞれの送信器に対する受信された超音波信号の割当てが可能となる。
【0026】
コントロールユニット7は交互に、
図1に示されているように超音波センサ1,3,5の第1のグループを作動させるか、または
図2に示されているように超音波センサ2,4,6の第2のグループを作動させるように設定されている。それぞれの非作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6は、もっぱら超音波パルスの受信器としてだけ用いられる。
【0027】
発信された個別の超音波パルスは、互いに最適に分離させることができる。
図1に示された発信後に、第1の外側の超音波センサ1,2のうちの一方で、第2の励振パターン200を有する超音波パルスが受信されると、これは相応の整合フィルタによって検知可能である。整合フィルタは、第1の励振パターン100の第1の周波数特性を有さないすべての信号を振幅0になるまで低下させるように設定されている。従って、第1の外側の超音波センサ1,2では、実際に第1の外側の超音波センサ1,2によって発信された信号だけが検出される。これと同じことは、第2の外側の超音波センサ5,6並びに内側の超音波センサ3,4にも同様にあてはまる。
【0028】
第1の励振パターン100および第2の励振パターン200に従って超音波パルスの最適な識別可能性を得るために、第1の励振パターン100は5kHの第1の帯域幅を有する周波数の変化を有するように設計されている。同様に、第2の励振パターンは、5kHzの第2の帯域幅を有する周波数の変化を有する。この第1の帯域幅および第2の帯域幅内で相応の周波数が、連続的に好適には線形に変化せしめられる。特に好適には、この変化は、第1の励振パターン100と第2の励振パターン200とで互いに逆向きである。つまり、第1の励振パターン100では周波数が上昇し、これに対して第2の励振パターン200では周波数が低下する、という意味である。しかも、第1の励振パターン100から得られる第1の周波数特性は、第2の励振パターン200から得られる第2の周波数特性とは完全に異なるように設計されている。つまり、第1の励振パターン100によって生成されるすべての超音波パルスは、第2の励振パターン200によって生成された超音波パルスの周波数と一致する周波数を、その全帯域幅内で有していない、ということである。このような形式で、第1の周波数特性と第2の周波数特性とが部分的にまたは完全に重畳することは避けられている。これは、異なる励振パターン100,200によって生成された様々なパルスの分離可能性を改善する。
【0029】
図3および
図4は、本発明の第2実施例による超音波センサ装置10を示す。
図3は、やはり、第1の時点での超音波センサ装置10による超音波パルスの発信を示し、これに対して
図4は、第2の時点での超音波センサ装置10による超音波パルスの発信を示す。この場合、第2実施例は、第1実施例による端縁部の超音波センサ1,6が存在しないこと以外は、第1実施例と同じである。従って、超音波センサ2,3,4,5は、内側の超音波センサ3,4と第1の外側の超音波センサ2と第2の超音波センサ5だけを有している。超音波センサ2,3,4,5の制御は、前記と同様に行われる。従って、やはり、発信された超音波パルスの最大分離可能性を可能にすることが得られる。
【0030】
超音波センサ1,2,3,4,5,6の最大帯域幅は、前記2つの実施例では最大10kHz、特に最大12kHzである。第1の励振パターン100の第1の帯域幅および第2の励振パターン200の第2の帯域幅の選択によって、最大帯域幅は完全にまたはほぼ完全に利用し尽くされ、これに対して同時に第1の周波数特性と第2の周波数特性との重畳は阻止されるようになっている。しかも、第1の励振パターン100および第2の励振パターン200によって生成される個別の超音波パルスは、最大可能な帯域幅を有しており、これは、ドップラーロバスト性に関して利点を提供する。従って、超音波パルスを確実かつ間違いなしに検知して処理することができ、それによって、超音波センサ装置10の周囲を、確実かつ間違いなしにそれと同時に迅速に検出することも可能にする。
【0031】
図5は、最後に超音波センサ装置10の第3実施例を示す。第3の実施例では、やはり6つの超音波センサ1,2,3,4,5,6が設けられている。これらの超音波センサ1,2,3,4,5,6は、隣接して配置された4つの内側の超音波センサ2,3,4,5並びに2つの外側の超音波センサ1,6を有している。4つの内側の超音波センサ2,3,4,5は、2つの別の内側の超音波センサ2,3,4,5に隣接して配置されているか、または別の1つの内側の超音波センサ2,3,4,5および1つの外側の超音波センサ1,6に隣接して配置されている。外側の超音波センサ1,6は、隣接して配置された1つの超音波センサ1,2,3,4,5,6だけを有しており、この場合、これは内側の超音波センサ2,3,4,5のうちの1つである。
【0032】
すべての超音波センサ1,2,3,4,5,6は、やはりコントロールユニット7に接続されている。コントロールユニット7は、超音波センサ1,3,5の第1のグループまたは超音波センサ2,4,6の第2のグループを同時に制御するために用いられる。従って、コントロールユニット7によって、超音波センサ1,3,5の第1のグループおよび超音波センサ2,4,6の第2のグループが交互に作動可能である。それぞれ作動されていない超音波センサ1,2,3,4,5,6は、もっぱら受信器として用いられる。
【0033】
コントロールユニット7は、内側の超音波センサ2,3,4,5を、第1の励振パターン100または第2の励振パターン200で制御するように設定されている。さらに、コントロールユニット7は、外側の超音波センサ1,6を第3の励振パターン300で制御するように設定されている。この場合、それぞれ2つの隣接する内側の超音波センサ2,3,4,5が同時に作動されるので、一方の作動中の内側の超音波センサ2,3,4,5が第1の励振パターン100で励振され、他方の作動中の内側の超音波センサが第2の励振パターン200で励振されるように設計されている。このことはつまり、超音波センサ1,3,5の第1のグループの作動中に、すべて異なる励振パターン100,200,300によって生成された超音波パルスが発信される、ということである。これと同じことは、超音波センサ2,4,6の第2のグループの作動のためにもあてはまる。
【0034】
第1の励振パターン100の形態のために、第2の励振パターン200および第3の励振パターン300は2つの選択肢が可能である。第1の選択肢では、すべての励振パターン100,200,300が、連続的な特に線形の、3kHzの帯域幅を有する周波数変化を有している。同時に、励振パターン100,200,300によって生成される周波数特性が重畳しないように設計されている。従って、各超音波パルスが、超音波センサ装置10によって発信されたそれぞれ別の超音波パルスとは完全に異なる周波数を有するように保証されている。このような形式で、すべての超音波パルスは確実かつ間違いなしに分離され得る。さらに、それぞれ12kHz特に10kHzの、超音波センサの最大帯域幅が最適に利用し尽くされる。従って、超音波パルスは最大ドップラーロバスト性を有している。
【0035】
第2の選択肢では、超音波パルスの周波数の僅かな重畳が甘受される。従って、5kHzの周波数の変化の前記帯域幅は、十分なドップラーロバスト性のためには不十分である。従って、第2の選択肢では、第1の励振パターン100が、5kHzの第1の帯域幅を有する周波数の変化を生ぜしめるように設計されている。これと同じことは、同様に3kHzの第2の帯域幅を有する周波数の変化が行われる第2の励振パターン200のためにもあてはまる。第3の励振パターン300では、周波数の変化は9kHzの第3の帯域幅内で行われる。同時に、第1の励振パターン100および第2の励振パターン200の周波数特性が重畳しないように設計されている。これに対して、第3の励振パターン300の周波数特性は、第1の励振パターン100の周波数特性および/または第2の励振パターン200の周波数特性と部分的に重畳する。しかしながら、第3の励振パターン300は、9kHzの高い帯域幅を有する周波数特性を有している。従って、第3の励振パターン300の第3の周波数特性の帯域幅は、特に超音波センサ1,2,3,4,5,6の最大帯域幅の大部分に相当する。これにより、超音波センサ装置10の周囲の対象物のより高い検出速度のためにも使用され得る、著しく改善されたドップラーロバスト性が得られる。内側の超音波センサ2,3,4,5は、どの時点でも周波数が重畳しない超音波パルスだけを発信する。
【0036】
前記2つの選択肢では、好適には、第2の励振パターン200における周波数の変化は、第1の励振パターン100および第3の励振パターン300における変化とは互いに逆向きである。これによって、隣接し合う作動中の超音波センサ1,2,3,4,5,6は、互いに逆向きの周波数特性を有する超音波パルスを発信する。これは、発信された超音波パルスの分離可能性を改善する。
【0037】
図6には、様々な励振パターン100,200,300のための周波数の好適な変化が示されている。
図6にはもっぱら、前記第2の選択肢だけが示されている。この場合、励振パターン100,200,300の周波数の特性は、周波数軸8および時間軸9を有する座標系で示されている。
【0038】
第1の励振パターン100の周波数特性は、上昇、特に周波数を線形に値Δfだけ上昇させ、第2の励振パターン200の周波数特性は、値Δfだけ周波数の低下をもたらす。従って、第1の励振パターン100および第2の励振パターン200のための値Δfは、周波数変化のそれぞれ第1の帯域幅および第2の帯域幅に相当する。この場合、第1の帯域幅および第2の帯域幅は同じであって、好適な形式でそれぞれ5kHzである。第3の励振パターン300の周波数特性は、著しく高い第3の帯域幅、特に前記9kHzの帯域幅を有している。従って、第3の励振パターン300の周波数特性は部分的に、第2の励振パターン200の第2の周波数特性および第1の励振パターン100の第1の周波数特性と重畳することが分かる。このような重畳は甘んじて受け入れられる。何故ならば、同時に第3の励振パターン300の周波数特性のための著しく増大された第3の帯域幅が得られるからである。これにより、前記高められたドップラーロバスト性が得られ、ひいては、超音波センサ装置10の周囲の障害物の改善された時間的な検出が得られる。
【0039】
各励振パターン100,200,300は、好適な形式で1.6ミリ秒の時間間隔T中に実行される。従って、超音波センサ装置10によって発信されるすべての超音波パルスは、同じ時間的な長さを有している。第1の励振パターン100、第2の励振パターン200および第3の励振パターン300による周波数の変化は、特に48kHzの標準周波数f
0を中心にして対称的に延在する。このような標準周波数は超音波センサ1,2,3,4,5,6のために好適である。
【符号の説明】
【0040】
1,2,3,4,5,6 超音波センサ
7 コントロールユニット
8 周波数軸
9 時間軸
10 超音波センサ装置
100,200,300 励振パターン
f
0 標準周波数