(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795748
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】燃料電池システム用空気バルブ装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20201119BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20201119BHJP
F16K 1/226 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
H01M8/04 N
F16K27/00 A
F16K1/226 G
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-89738(P2016-89738)
(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公開番号】特開2017-147214(P2017-147214A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0019048
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジョン、ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チャン、ハ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ウル、ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジェ、ファン
【審査官】
清水 康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−259577(JP,A)
【文献】
実開昭56−097664(JP,U)
【文献】
特開2012−172519(JP,A)
【文献】
特開2007−285311(JP,A)
【文献】
特開2009−187701(JP,A)
【文献】
特開昭57−061865(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0264028(US,A1)
【文献】
特開平11−294267(JP,A)
【文献】
実開昭50−128722(JP,U)
【文献】
特開2011−253740(JP,A)
【文献】
実開昭58−109670(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/2495
F16K 1/226
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックのカソードに連結される空気通路が形成されたバルブボディー、及び前記空気通路の開閉のためにバルブボディーに回転可能に取り付けられたバルブフラップを含む燃料電池システム用空気バルブ装置であって、
前記バルブボディーにおいて空気通路の外側位置にバルブシャフトが回転可能に取り付けられ、前記バルブフラップはバルブシャフトの回転中心から一側に偏った位置に結合され、
前記バルブボディーは、
バルブフラップが回転可能に取り付けられ、外形をなすメインボディー;及び
前記バルブフラップの密閉時にバルブフラップと接触し、前記メインボディーに着脱可能に結合されるサブボディーを含んでなり、
前記メインボディーはアルミニウムダイキャスティングで製作され、前記サブボディーは、メインボディーより向上した粗度及び硬度の確保のために、ステンレススチールから製作されるかあるいはアルミニウムハードアノ−ダイジング(anodizing)で後処理して製作されることを特徴とする、燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項2】
前記サブボディーはメインボディーより向上した粗度を有することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項3】
前記サブボディーはメインボディーより硬度が高いことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項4】
前記空気通路は、入口側空気通路及び出口側空気通路を含んでなり、前記入口側空気通路及び出口側空気通路は単一バルブボディーに形成され、前記バルブフラップは入口側空気通路及び出口側空気通路をそれぞれ開閉させることができるように複数からなり、前記複数のバルブフラップは入口側空気通路及び出口側空気通路を同時に開閉させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項5】
前記メインボディーに取り付けられたバルブモーター;及び
前記バルブモーターとバルブシャフトを連結し、バルブモーターの動力をバルブシャフトに伝達するバルブギアをさらに含み、
前記バルブシャフトは、メインボディーに回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項6】
前記バルブフラップは空気通路の一端を覆う形に密閉させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項7】
前記バルブフラップは、
バルブシャフトと結合されたバルブプレート;及び
前記バルブプレートをカバーするプレートカバーを含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項8】
前記プレートカバーは、サブボディーとの接触の際、騒音及び衝撃を吸収するとともに空気通路との気密性を向上させるように、ラバー素材から形成されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項9】
前記メインボディー側に一端が結合され、バルブシャフト側に他端が結合されるように取り付けられたもので、前記バルブフラップが空気通路を密閉させる方向に移動するようにバルブシャフトに回転力を提供するリターンスプリングをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項10】
前記プレートカバーには、バルブフラップの密閉時に空気通路をなすサブボディーの隔壁と接触するカバー突起が一体に形成され、前記カバー突起は、バルブフラップが密閉された状態で、隔壁の端部を覆う形に隔壁の端部と面着し、前記カバー突起と隔壁の端部との間には、バルブフラップが密閉された状態で、気密性能の向上のためにオーバーラップ区間が存在することを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項11】
前記バルブシャフトは、バルブシャフトの回転中心とサブボディーの隔壁の末端が垂直線と一致するように取り付けられ、前記バルブプレートは、バルブシャフトの回転中心から一側に偏った位置に結合されることを特徴とする、請求項10に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項12】
バルブフラップが前記カバー突起の突出長だけバルブシャフトの回転中心から偏ることを特徴とする、請求項10に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項13】
前記バルブフラップは、密閉状態を基準に完全開放時の夾角が鋭角を維持することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【請求項14】
燃料電池システムの運転停止の際、バルブフラップには空気通路を閉鎖状態に維持するバルブフラップの閉鎖力及びバルブフラップを基準に内外部の圧力差による圧力が同時に作用することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム用空気バルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム用空気バルブ装置に係り、より詳しくは燃料電池システムの停止時に燃料電池スタックのカソードに連結された空気通路を完全に遮断することができる燃料電池システム用空気バルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは空気中の酸素と燃料である水素の化学的反応によって水と電気を発生させる装置で、水素燃料電池車両は燃料電池システムで発生した電気を駆動源として用いる車両である。
【0003】
燃料電池システムには電気エネルギーを生成する燃料電池スタックが含まれて構成され、前記燃料電池スタックは、空気が供給されるカソード(cathode、空気極、酸素極、還元極)、水素が供給されるアノード(anode、燃料極、水素極、酸化極)、カソードとアノード間の電解質膜を含む。
【0004】
燃料電池システムが運転されているとき、外部空気はフィルター、ブロワー及び膜加湿器を通過しながら湿気を含む加湿空気になり、燃料電池スタックのカソード側には加湿された空気が供給される。
【0005】
燃料電池スタックのアノード側に供給された水素は触媒によって水素イオン(H+)と電子(e−)に分解され、このうち水素イオンのみが電解質膜を通過してカソードに伝達されると同時に電子は導体である気体拡散層と分離板を通じてカソードに伝達される。
【0006】
前記カソードにおいては、電解質膜を通じて供給された水素イオンと分離板を通じて伝達された電子が空気中の酸素と会って水を生成する。この際、水素イオンの移動により、外部導線を通じて電子の流れが発生することによって電気が生成される。
【0007】
したがって、燃料電池システムが運転中であるとき、膜加湿器を通過した加湿された空気が燃料電池スタックのカソードに供給されなければならなく、燃料電池システムの運転が終われば、カソードへの加湿空気の流入が遮断されなければならない。このために、燃料電池スタックのカソード側には空気の流れを制御する空気バルブ装置が装着される。
【0008】
前記空気バルブ装置はカソードに連結された入口側及び出口側の空気通路に取り付けられ、燃料電池システムの停止時、カソード側への加湿された空気の流入を完全に遮断する場合にだけ燃料電池スタックの耐久性を確保することができる。
【0009】
燃料電池システムの停止時、カソードに連結された空気通路をバルブが完全に遮断させることができなければ、加湿された空気が続いてカソードに流入することによって触媒に相当するカーボン担持体の腐食が発生し、酸化が加速化され、これによって燃料電池スタックの劣化速度が高くなって耐久性が落ちる欠点がある。
【0010】
特に、燃料電池システムの停止時、加湿された空気が続いてカソードに流入すれば、個別セルの開回路電圧が燃料電池スタックに損傷を与えることができる高電圧まで上昇する欠点があり、始動の際、上昇した個別セルの電圧を消費させるために構成された始動COD(Cathode Oxygen Depletion)の機能を高めなければならない欠点がある。
【0011】
また、バルブと空気通路との間の隙間を通じて異物が流入する欠点もある。
【0012】
前記背景技術として開示した事項は本発明の背景に対する理解増進のためだけのものであり、当該技術分野で通常の知識を持った者に既に知られた従来技術にあたるものに認めてはいけないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−2012−0019764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は前述した欠点を解消するためになされたもので、燃料電池システムの停止時、燃料電池スタックのカソードに連結された空気通路を完全に遮断することができる燃料電池システム用空気バルブ装置を提供することにより、燃料電池スタックの耐久性向上を図ることにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するための本発明の燃料電池システム用空気バルブ装置は、燃料電池スタックのカソードに連結される空気通路が形成されたバルブボディー;及び前記空気通路の開閉のためにバルブボディーに回転可能に取り付けられたバルブフラップを含む燃料電池システム用空気バルブ装置であって、前記バルブボディーにおいて空気通路の外側位置にバルブシャフトが回転可能に取り付けられ、前記バルブフラップはバルブシャフトの回転中心から一側に偏った位置に結合されることを特徴とする。
【0016】
前記バルブボディーは、バルブフラップが回転可能に取り付けられ、外形をなすメインボディー;及び前記バルブフラップの密閉時にバルブフラップと接触し、前記メインボディーに着脱可能に結合されるサブボディーを含んでなることができる。
【0017】
前記サブボディーはメインボディーより向上した粗度を有することができる。
【0018】
前記サブボディーはメインボディーより硬度が高いことができる。
【0019】
前記メインボディーはアルミニウムダイキャスティングで製作され、前記サブボディーは、メインボディーより向上した粗度及び硬度の確保のために、ステンレススチールから製作されるかあるいはアルミニウムハードアノ−ダイジング(anodizing)で後処理して製作されることができる。
【0020】
前記空気通路は、入口側空気通路及び出口側空気通路を含んでなり、前記入口側空気通路及び出口側空気通路は単一バルブボディーに形成され、前記バルブフラップは入口側空気通路及び出口側空気通路をそれぞれ開閉させることができるように複数からなり、前記複数のバルブフラップは入口側空気通路及び出口側空気通路を同時に開閉させることができる。
【0021】
前記燃料電池システム用空気バルブ装置は、前記メインボディーに取り付けられたバルブモーター;及び前記バルブモーターとバルブシャフトを連結し、バルブモーターの動力をバルブシャフトに伝達するバルブギアをさらに含むことができ、前記バルブシャフトは、メインボディーに回転可能に取り付けられることができる。
【0022】
前記バルブフラップは空気通路の一端を覆う形に密閉させることができる。
【0023】
前記バルブフラップは、バルブシャフトと結合されたバルブプレート;及び前記バルブプレートをカバーするプレートカバーを含んでなることができる。
【0024】
前記プレートカバーは、サブボディーとの接触の際、騒音及び衝撃を吸収するとともに空気通路との気密性を向上させるように、ラバー素材から形成されることができる。
【0025】
前記燃料電池システム用空気バルブ装置は、前記メインボディー側に一端が結合され、バルブシャフト側に他端が結合されるように取り付けられたもので、前記バルブフラップが空気通路を密閉させる方向に移動するようにバルブシャフトに回転力を提供するリターンスプリングをさらに含むことができる。
【0026】
前記プレートカバーには、バルブフラップの密閉時に空気通路をなすサブボディーの隔壁と接触するカバー突起が一体に形成され、前記カバー突起は、バルブフラップが密閉された状態で、隔壁の端部を覆う形に隔壁の端部と面着し、前記カバー突起と隔壁の端部との間には、バルブフラップが密閉された状態で、気密性能の向上のためにオーバーラップ区間が存在することができる。
【0027】
前記バルブシャフトは、バルブシャフトの回転中心とサブボディーの隔壁の末端が垂直線と一致するように取り付けられ、前記バルブプレートは、バルブシャフトの回転中心から一側に偏った位置に結合されることができる。
【0028】
バルブフラップが前記カバー突起の突出長だけバルブシャフトの回転中心から偏ることができる。
【0029】
前記バルブフラップは、密閉状態を基準に完全開放時の夾角が鋭角を維持することができる。
【0030】
燃料電池システムの運転停止の際、バルブフラップには空気通路を閉鎖状態に維持するバルブフラップの閉鎖力及びバルブフラップを基準に内外部の圧力差による圧力が同時に作用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、バタフライタイプのバルブを使い、燃料電池システムの停止時に空気通路を完全に密閉させることができることになり、ソレノイドタイプのバルブ構造に比べて部品数の減縮、重量減少及びコスト節減が可能であり、燃料電池スタックのカソード側に加湿された空気の流入及び異物の流入を防止することができるので、始動CODの機能縮小及び燃料電池システムの耐久性を大幅に向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明による空気バルブ装置の斜視図である。
【
図2】
図1の装置からバルブボディーを除去した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明によるリターンスプリングを説明する図である。
【
図5】本発明によってバルブフラップとサブボディーのオーバーラップ構造を説明する図である。
【
図6】本発明によってバルブシャフトに偏心状に結合されたバルブフラップを説明する図である。
【
図7】一般的なバルブフラップの結合構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例による燃料電池システム用空気バルブ装置を説明する。
【0034】
本発明による燃料電池システム用空気バルブ装置は、
図1〜
図7に示したように、燃料電池スタック1のカソード1aに連結される空気通路11が形成されたバルブボディー10;及び前記空気通路11の開閉のためにバルブボディー10に回転可能に取り付けられたバルブフラップ20を含む。
【0035】
本発明による空気バルブ装置はバタフライタイプのバルブ装置で、ソレノイドタイプに比べてコストが低い利点がある。
【0036】
前記バルブボディー10に形成された空気通路11は、加湿された外部空気が燃料電池スタック1のカソード1a側に流入する入口側空気通路11a及び前記カソード1aから空気が排出される出口側空気通路11bからなり、前記入口側空気通路11a及び出口側空気通路11bは単一バルブボディー10に形成される。これにより、バルブ装置の数及び全体サイズの縮小を図ることができ、コスト低減を図ることができることになる。
【0037】
前記入口側空気通路11aと出口側空気通路11bは
図1に示した状態とは反対に構成できる。
【0038】
前記バルブフラップ20は入口側空気通路11a及び出口側空気通路11bをそれぞれ開閉することができるように複数でなり、前記複数のバルブフラップ20は入口側空気通路11a及び出口側空気通路11bを同時に開閉させるように構成される。
【0039】
複数のバルブフラップ20が入口側空気通路11a及び出口側空気通路11bを同時に開閉させるように構成されれば、バルブフラップ20の駆動のための駆動源及び駆動源からバルブフラップ20までの動力伝達機構も1セットのみ設けられれば良い。これにより、部品数の減縮、重量減少及びコスト低減を図ることができることになる。
【0040】
入口側空気通路を開閉させるバルブフラップと出口側空気通路を開閉させるバルブフラップがそれぞれ別の駆動源、そしてそれぞれ別の動力伝達機構で個別的に開閉させる構成になれば、部品数及び重量が大きく増加し、コストが上昇し、特にバルブ装置の外形サイズが大きくなる欠点が発生する。本発明は、このような欠点を予防するために、複数のバルブフラップ20が入口側空気通路11a及び出口側空気通路11bを同時に開閉させるように構成されたものである。
【0041】
前記バルブボディー10はバルブフラップ20が回転可能に取り付けられるもので、バルブ装置の外形をなすメインボディー12、及び前記バルブフラップ20の密閉時にバルブフラップ20と接触するサブボディー13からなり、前記メインボディー12とサブボディー13は互いに着脱可能に結合された構造を持つ。
【0042】
前記サブボディー13はメインボディー12より向上した粗度及び硬度を持つことを特徴とする。
【0043】
すなわち、前記メインボディー12は軽量化のためにアルミニウムダイキャスティングで製作され、前記サブボディー13はメインボディー12より向上した粗度及び硬度の確保のためにステンレススチールから製作されるかあるいはアルミニウムハードアノ−ダイジング(anodizing)処理によって製作される。
【0044】
前記サブボディー13は空気通路11との気密性能の向上(漏洩防止)のためにメインボディー12より向上した粗度を持つことを特徴とする。
【0045】
バルブフラップ20と直接接触するサブボディー13はバルブフラップ20の密閉時に空気通路11の気密性能を決定する重要な構成要素で、前記サブボディー13をメインボディー12と同様にアルミニウムダイキャスティングだけで製作すれば、空気通路11の粗度管理が容易でなくて空気通路11の気密性能が悪くなる欠点が発生する。本発明は、このような欠点を予防するために、サブボディー13をステンレススチールで製作するかあるいはアルミニウムハードアノ−ダイジング(anodizing)で後処理して製作することにより、サブボディー13がメインボディー12より向上した粗度を確保することができるようにしたものである。
【0046】
また、前記サブボディー13は、バルブフラップ20による破損を防止することができるように、メインボディー12より硬度が高いことを特徴とする。
【0047】
バルブボディー10においてバルブフラップ20と直接接触する部位(空気通路が形成された部位)は冬季に空気に含有された湿気によって結氷が発生し、結氷が発生すれば、バルブフラップ20との接触の際、微細な破損が発生する欠点がある。本発明は、このような欠点を予防するために、サブボディー13をステンレススチールで製作するかあるいはアルミニウムハードアノ−ダイジング(anodizing)で後処理して製作することにより、サブボディー13がメインボディー12より高い硬度を確保することができるようにしたものである。
【0048】
また、本発明による空気バルブ装置は、前記メインボディー12に取り付けられたバルブモーター30;前記メインボディー12に回転可能に取り付けられ、複数のバルブフラップ20が固定結合されたバルブシャフト40;及び前記バルブモーター30とバルブシャフト40を連結して、バルブモーター30の動力をバルブシャフト40に伝達するバルブギア50をさらに含む。
【0049】
前記バルブシャフト40はメインボディー12内に取り付けられるとともに空気の流動抵抗を無くすために空気通路11の外に位置するように取り付けられ、前記バルブフラップ20はバルブシャフト40の回転時に空気通路11の一端を完全に覆う形態のもので、空気通路11を密閉させ、これにより空気通路11の気密性能を向上させることができることになる。
【0050】
前記バルブフラップ20は、バルブシャフト40と結合されたスチールまたはプラスチック素材のバルブプレート21;及び前記バルブプレート21をカバーするもので、サブボディー13との接触の際、騒音及び衝撃を吸収し、空気通路11との気密性を向上させるラバー素材のプレートカバー22からなる。
【0051】
また、本発明による空気バルブ装置は、前記メインボディー12側に一端が結合され、バルブシャフト40側に他端が結合されるように取り付けられたもので、前記バルブフラップ20が空気通路11を密閉させる方向に移動するようにバルブシャフト40に回転力を提供するリターンスプリング60をさらに含む。
【0052】
本発明による空気バルブ装置はバルブモーター30の動力でバルブシャフト40を回転させ、バルブシャフト40の回転時にバルブフラップ20が回転して空気通路11を開閉させる構造のもので、燃料電池システムの運転停止時(始動オフ時)にはバルブフラップ20が空気通路11を密閉させて閉鎖状態を維持しなければならないだけでなく、燃料電池システムが要求する気密性能も確保しなければならない。
【0053】
燃料電池システムの運転が停止すれば、バルブモーター30への電力供給が遮断されてバルブフラップ20によって空気通路11が密閉される。この際、バルブフラップ20において弾性を有するラバー素材からなるプレートカバー22が空気通路11の形成されたサブボディー13と接触することになり、プレートカバー22の弾性力によってバルブフラップ20が開放方向に作動することにより、バルブフラップ20と空気通路11との間には微細な隙間が発生する。したがって、本発明による実施例は、バルブフラップ20が空気通路11を密閉させた状況でバルブフラップ20と空気通路11との間に微細な隙間が発生することを防止するために、圧縮コイルスプリングからなるリターンスプリング60を取り付けた構造のものである。
【0054】
前記リターンスプリング60の弾性力は、バルブフラップ20が空気通路11を密閉させた状況では、プレートカバー22の反力よりは大きくなければならない。
【0055】
そして、バルブフラップ20が空気通路11を開放させた状態であるとき、リターンスプリング60の弾性力はバルブフラップ20を密閉させる力として作用することになる。したがって、リターンスプリング60の弾性力があまり大きければ、バルブモーター30が空気通路11の開放状態を維持するために消費する電力が大きくなり、これにより、空気通路11の開放状態を持続的に維持しなければならない燃料電池システムの運転の際、バルブモーター30の消費電力が過度に大きくなって燃費に良くない影響を及ぼすことになる。
【0056】
したがって、前記リターンスプリング60の弾性力はラバー素材から形成されたプレートカバー22の弾性力とバルブモーター30の消費電力との間で最適の値を持つように設計されなければならない。
【0057】
燃料電池システムの運転停止時(始動オフ時)、バルブフラップ20には空気通路11を閉鎖状態に維持しようとするバルブフラップ20の閉鎖力が作用するだけでなく、バルブフラップ20を基準に内外部の圧力差による圧力が同時に作用する。これにより、本発明はバルブフラップ20によって空気通路11の気密性能が一層向上して漏洩流量を最小化することができることになる。
【0058】
すなわち、燃料電池システムの運転が停止すれば、バルブフラップ20はリターンスプリング60の復帰力によって閉鎖状態を維持することになり、リターンスプリング60の力が空気通路11を閉鎖状態に維持しようとするバルブフラップ20の閉鎖力となる。
【0059】
また、燃料電池システムの運転が停止すれば、バルブフラップ20を基準にサブボディー13側の空気通路11の圧力(バルブフラップを基準に外部の圧力、
図3のP1位置)はスタック残存ガスと反応して大気圧より低い圧力となり、反対にバルブフラップ20を基準にメインボディー11側の圧力(バルブフラップを基準に内部の圧力、
図3のP2位置)は前記サブボディー13側の空気通路11の圧力(P1位置の圧力)より高い圧力となる。
【0060】
したがって、燃料電池システムの運転停止時(始動オフ時)、バルブフラップ20にはリターンスプリング60によるバルブフラップ20の閉鎖力とバルブフラップ20を基準に内外部の圧力差による圧力が同時に作用することにより、前記バルブフラップ20による空気通路11の気密性能が一層向上し、よって漏洩流量を最小化することができることになるものである。
【0061】
そして、前記プレートカバー22には、バルブフラップ20の密閉時、空気通路11をなすサブボディー13の隔壁13aと接触するカバー突起23が一体に形成され、前記カバー突起23はバルブフラップ20が密閉された状態で隔壁13aの端部を覆う形に隔壁13aの端部と面着し、前記カバー突起23と隔壁13aの端部との間には、バルブフラップ20が密閉された状態で気密性能の向上のために、オーバーラップ区間M1が存在する構造を持つ。
【0062】
そして、前記バルブシャフト40は、
図6に示すように、バルブシャフト40の回転中心C1とサブボディー13の隔壁13aの末端が垂直線L1と一致するように、空気通路11の外側に取り付けられ、前記バルブプレート21はバルブシャフト40の回転中心C1から一側に偏った位置に結合された構造になり、前記カバー突起23の突出長L2だけバルブシャフト40の回転中心C1からバルブフラップ20が偏った構造になる。
【0063】
一般に、バタフライタイプのバルブにおいては、
図7に示すように、バルブプレート21がバルブシャフト40の回転中心C1と一致するように結合された構造が主流を占める。この場合、バルブフラップ20が開放状態から密閉状態になるように動作するとき(矢印R1)、回転中心C1に近い位置にあるカバー突起23(図の上側位置にあるカバー突起)からサブボディー13の隔壁13aと接触することになり、回転中心C1から遠い位置にあるカバー突起23(図の下側位置にあるカバー突起)はサブボディー13の隔壁13aから離隔した状態になる。
【0064】
したがって、空気通路11の完全密閉のためには、サブボディー13の隔壁13aから離隔した下側位置のカバー突起23もサブボディー13の隔壁13aと接触しなければならない。このためにバルブモーター30は続いて駆動しなければならなく、上側位置のカバー突起23と隔壁13aの干渉によって消費電力が大きくなり、過度な場合にはバルブモーター30の焼損が発生することになる。
【0065】
しかし、
図6に示した本発明のように、バルブシャフト40の回転中心C1からカバー突起23の突出長L2だけバルブフラップ20を偏らせてバルブシャフト40に結合させれば、バルブフラップ20が開放状態から密閉状態になるように動作するとき、回転中心C1に近い位置にあるカバー突起23(図の上側位置にあるカバー突起)と遠い位置にあるカバー突起23(図の下側位置にあるカバー突起)がほぼ同時にサブボディー13の隔壁13aと接触することになる。これにより、本発明による実施例はバルブモーター30の消費電力を減らすことができ、ひいてはバルブモーター30の焼損を予防することができる利点がある。
【0066】
また、本発明によれば、前記バルブフラップ20は、密閉状態を基準に完全開放時の夾角(θ1)が鋭角を維持することが好ましい。
【0067】
すなわち、前記バルブフラップ20は、完全開放時に空気の流動抵抗を減らしながら空気バルブ装置の外形サイズの縮小のために、垂直線L1(バルブフラップの密閉状態)との夾角(θ1)を鋭角に維持することが好ましい。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施例は、バタフライタイプのバルブを使いながらも空気通路11の完全密閉を図ることができることになるので、ソレノイドタイプのバルブ構造に比べて部品数の減縮、重量減少及びコストの節減を図ることができる利点がある。
【0069】
また、燃料電池システムの停止時には、カソード1aに連結された空気通路11がバルブフラップ20によって完全に密閉されることによって燃料電池スタックの耐久性を大きく向上させることができる。特に、燃料電池システムの停止時に個別セルの開回路電圧を低い状態に維持させることができるので、始動COD(Cathode Oxygen Depletion)の機能縮小を図ることができる利点もある。
【0070】
また、空気通路11の完全密閉によって異物の流入を遮断することによって燃料電池システムの耐久性向上を図ることができる利点もある。
【0071】
以上、本発明を特定の実施例に基づいて図示して説明したが、以下の特許請求範囲によって提供される本発明の技術的思想を離脱しない範疇内で、本発明を多様に改良及び変化させることができるのは当該分野で通常の知識を持った者に明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0072】
燃料電池システムの停止時、燃料電池スタックのカソードに連結された空気通路を完全に遮断することができる燃料電池システム用空気バルブ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 燃料電池スタック
1a カソード
10 バルブボディー
20 バルブフラップ
30 バルブモーター
40 バルブシャフト
50 バルブギア
60 リターンスプリング