(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795761
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20201119BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20201119BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
B29C49/42
B60H1/00 102L
F24F13/02 E
F24F13/02 A
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-210630(P2016-210630)
(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公開番号】特開2018-69526(P2018-69526A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】谷 奈央人
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−067807(JP,A)
【文献】
特開2005−306309(JP,A)
【文献】
実開昭60−184754(JP,U)
【文献】
特開2013−177076(JP,A)
【文献】
特開平02−125716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/42
B60H 1/00
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形体と、前記ブロー成形体とは別体であり且つ前記ブロー成形体に装着される別体部材を備える構造体であって、
前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の中央連結部で互いに連結された左中空部と右中空部を備え、
前記構造体は、前記左中空部と前記右中空部の間に中央座面を備え、
前記中央連結部は、前記左中空部と前記右中空部の間に溝が形成されるように設けられ、
前記別体部材は、前記別体部材によって前記中央座面が形成されるように前記溝に装着され、
前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、
前記中央座面は、前記左中空部の開口部と前記右中空部の開口部に挟まれる位置に設けられる、構造体。
【請求項2】
前記別体部材は、前記中央連結部に固定される、請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記中央連結部は、前記中央連結部の長手方向に沿って前記溝の深さが変化するように設けられる、請求項1又は請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記中央座面は、前記左中空部の開口部の周縁及び前記右中空部の開口部の周縁と同一平面上に設けられる、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の構造体。
【請求項5】
前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、前記中央連結部の長手方向に沿って傾斜した傾斜面を有し、前記中央連結部は、前記傾斜面に隣接した部位に傾斜部を備える、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の構造体。
【請求項6】
前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、
前記傾斜面は、前記開口部に対向する位置に設けられる、請求項5に記載の構造体。
【請求項7】
前記別体部材は、前記溝の周縁に当接するベース部を備える、請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の構造体。
【請求項8】
前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、
前記溝の周縁は、前記開口部の周縁から凹んだ位置に設けられる、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
前記別体部材は、中央壁と、前記中央壁の一方の面に設けられ且つ前記左中空部に当接する左リブと、前記中央壁の他方の面に設けられ且つ前記右中空部に当接する右リブを備え、前記左リブ及び前記右リブは、前記溝の深さ方向に延びるように設けられる、請求項1〜請求項8の何れか1つに記載の構造体。
【請求項10】
前記別体部材は、射出成形体である、請求項1〜請求項9の何れか1つに記載の構造体。
【請求項11】
前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の外側連結部で前記左中空部又は前記右中空部に連結された外側中空部を備え、
前記外側連結部によって外側座面が形成され、
前記外側座面と前記中央座面は、同一平面上に設けられる、請求項1〜請求項10の何れか1つに記載の構造体。
【請求項12】
前記外側中空部、前記外側連結部、及び前記外側座面をそれぞれ、左外側中空部、左連結部、及び左座面とし、
前記左外側中空部は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の左連結部で前記左中空部に連結され、
前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の右連結部で前記右中空部に連結された右外側中空部を備え、
前記右連結部によって右座面が形成され、
前記右座面と前記中央座面は、同一平面上に設けられる、請求項11に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用ダクトなどの構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の空調装置では、空気を通風させるための管状の空調用ダクトが用いられている。
【0003】
空調用ダクトの製造方法としては、溶融状態の樹脂を分割金型で型締めし、内部に空気を吹き込んで膨張させるブロー成形方法が広く知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−83859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のダクトでは、空気の供給口が1つであり、1つの供給口からダクト内に供給された空気が4つのダクト部に分岐されているので、4つのダクト部から排出される空気は、同じ温度を有する。一方、4つのダクト部から排出される空気の温度や流量を個別に制御することが要求される場合があり、その場合、
図1(a)〜(b)に示すように、4つのダクト部1a〜1dを互いに分離させて、それぞれに供給口2a〜2dを設ける構成が採用される場合がある。このような構成では、4つの供給口2a〜2dのそれぞれに供給される空気の温度や流量が個別に制御される。それぞれの供給口2a〜2dに供給される空気が混ざらないように、隣接する供給口の間にパッキン材を押し当てるための座面3a〜3cが設けられる。
【0006】
ブロー成形によってダクトを形成する場合、パリソンを金型で圧縮して圧縮部4a〜4cを形成し、この圧縮部4a〜4cによって座面3a〜3cが形成される。圧縮部4a〜4cは、パリソンを金型で圧縮して形成するので、パーティングラインPL上に形成される。座面3a〜3cは、供給口2a〜2dの周縁と同一平面になるように設けられるので、圧縮部4a〜4cによって座面3a〜3cを形成すると、
図1(c)に示すように、ダクト部1a〜1dの下端にパーティングラインPLが設けられることになる。
【0007】
ところで、
図1(c)の断面において、対向するパーティングラインの最外点同士を直線Wで連結し、直線Wから最も離れた点Tと直線Wを直線Vで連結すると、ブロー比=(直線Vの長さ)/(直線Wの長さ)の式に従ってブロー比を算出することができる。このように算出されるブロー比が大きいほど、成形時にパリソンが局所的に延伸される度合いが大きくなり、ブロー成形が困難になる。
図1(c)の例では、直線Wが短く、且つ直線Vが長いので、ブロー比が非常に大きい。このため、ブロー成形の際にパリソンが十分に延伸されずに、
図1(c)中の点線Uよりも外側の領域(ブロー比が高い領域)においてパリソンが破れてしまい、所望の形状のブロー成形体が得られない場合がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ブロー成形性を悪化させることなく所望部位に座面を設けることが可能な構造体を提供するものである。
【0009】
本発明によれば、ブロー成形体と、前記ブロー成形体とは別体であり且つ前記ブロー成形体に装着される別体部材を備える構造体であって、前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の中央連結部で互いに連結された左中空部と右中空部を備え、前記構造体は、前記左中空部と前記右中空部の間に中央座面を備え、前記中央連結部は、前記左中空部と前記右中空部の間に溝が形成されるように設けられ、前記別体部材は、前記別体部材によって前記中央座面が形成されるように前記溝に装着される、構造体が提供される。
【0010】
本発明では、左中空部と前記右中空部の間に溝が形成されるように連結部を形成し、この溝に装着した別体部材によって座面を形成しているので、連結部の位置を座面の位置に一致させる必要がないためにブロー成形性が悪化しない。また、別体部材によって座面を形成しているので、座面を所望部位に設けることができる。
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記別体部材は、前記中央連結部に固定される。
好ましくは、前記中央連結部は、前記中央連結部の長手方向に沿って前記溝の深さが変化するように設けられる。
好ましくは、前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、前記中央座面は、前記左中空部の開口部と前記右中空部の開口部に挟まれる位置に設けられる。
好ましくは、前記中央座面は、前記左中空部の開口部の周縁及び前記右中空部の開口部の周縁と略同一平面上に設けられる。
好ましくは、前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、前記中央連結部の長手方向に沿って傾斜した傾斜面を有し、前記中央連結部は、前記傾斜面に隣接した部位に傾斜部を備える。
好ましくは、前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、前記傾斜面は、前記開口部に対向する位置に設けられる。
好ましくは、前記別体部材は、前記溝の周縁に当接するベース部を備える。
好ましくは、前記左中空部及び前記右中空部は、それぞれ、開口部を備え、前記溝の周縁は、前記開口部の周縁から凹んだ位置に設けられる。
好ましくは、前記別体部材は、中央壁と、前記中央壁の一方の面に設けられ且つ前記左中空部に当接する左リブと、前記中央壁の他方の面に設けられ且つ前記右中空部に当接する右リブを備え、前記左リブ及び前記右リブは、前記溝の深さ方向に延びるように設けられる。
好ましくは、前記中央連結部は、ブロー成形時にパリソンを金型で圧縮することによって形成される。
好ましくは、前記別体部材は、射出成形体である。
好ましくは、前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の外側連結部で前記左中空部又は前記右中空部に連結された外側中空部を備え、前記外側連結部によって外側座面が形成され、前記外側座面と前記中央座面は、略同一平面上に設けられる。
好ましくは、前記外側中空部、前記外側連結部、及び前記外側座面をそれぞれ、左外側中空部、左連結部、及び左座面とし、前記左外側中空部は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の左連結部で前記左中空部に連結され、前記ブロー成形体は、前記ブロー成形体のパーティングライン上に設けられた板状の右連結部で前記右中空部に連結された右外側中空部を備え、前記右連結部によって右座面が形成され、前記右座面と前記中央座面は、略同一平面上に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の課題を説明するための図であり、(a)は上方からの斜視図、(b)は下方からの斜視図、(c)は(a)中のA−A断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の構造体10を示す上方からの斜視図である。
【
図3】
図2の構造体10の下方からの斜視図である。
【
図4】
図3中の別体部材6をブロー成形体5から分離させた状態を示す斜視図である。
【
図7】別体部材6を外した状態での
図5に対応する断面図である。
【
図8】ブロー成形体5の製造工程に含まれるパリソン形成工程を説明するための、
図2中のC−C断面に対応する断面図である。
【
図9】ブロー成形体5の製造工程に含まれるブロー成形工程を説明するための、
図2中のC−C断面に対応する断面図である。
【
図10】ブロー成形体5に別体部材6を装着する直前の状態を示す、
図2中のC−C断面に対応する断面図である。
【
図11】ブロー成形体5に別体部材6を装着した後の状態を示す、
図2中のC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0014】
図1〜
図11を用いて、本発明の一実施形態の構造体10の構成及び製造方法について説明する。
【0015】
1.構造体10の構成
構造体10は、開口部11a〜14aを通じて中空部11〜14に供給される空気の特性(例:温度及び流量)が個別に制御される用途に用いられる空調用ダクトである。構造体10は、ブロー成形体5と、別体部材6を備える。別体部材6は、ブロー成形体5とは別体であり、且つブロー成形体5に装着される。別体部材6は、例えば射出成形体である。
【0016】
ブロー成形体5は、左外側中空部11、左中空部12、右中空部13、及び右外側中空部14を備える。中空部11,12は、左連結部15aで連結される。中空部12,13は、中央連結部15bで連結されている。中空部13,14は、右連結部15cで連結されている。左外側中空部11又は右外側中空部14が特許請求の範囲の「外側中空部」となり、左連結部15a又は右連結部15cが特許請求の範囲の「外側連結部」となる。連結部15a〜15cは、板状であり、
図9〜
図10に示すように、ブロー成形体5のパーティングラインPL上に設けられる。
【0017】
中央連結部15bは、
図7及び
図10等に示すように、中空部12,13の間に溝16が形成されるように設けられる。また、
図7に示すように、中央連結部15bは、中央連結部15bの長手方向に沿って溝16の深さが変化するように設けられる。別体部材6は、溝16に装着される。
【0018】
中空部11〜14には、開口部11a〜14aが設けられている。開口部11a〜14aは略正方形状である。開口部11a,12aに挟まれるように左座面18aが設けられ、開口部12a,13aに挟まれるように中央座面18bが設けられ、開口部13a,14aに挟まれるように右座面18cが設けられる。座面18a〜18cは、パッキン材を押し当てる等の目的で利用される面であり、平面であることが好ましいが曲面であってもよい。座面18a〜18c及び開口部11a〜14aの周縁は、略同一平面上に設けられる。左座面18a又は右座面18cが特許請求の範囲の「外側座面」となる。なお、本願明細書において、2つの平面が略同一平面であるとは、2つの平面間の距離が例えば5mm(好ましくは4mm,3mm、2mm、1mm)以内である状態を意味する。
【0019】
中空部11〜14には、開口部11a〜14aに対向する位置に傾斜面11b〜14bが設けられており、開口部11a〜14aから供給された空気が中空部11〜14の奥に向かって案内されるようになっている。
図4〜
図5に示すように、中央連結部15bは、傾斜面12b,13bに隣接した位置に傾斜部15b2を備える。
【0020】
左座面18a及び右座面18cは、それぞれ、左連結部15a及び右連結部15cによって形成される。つまり、左連結部15a及び右連結部15cの底面が左座面18a及び右座面18cとなる。一方、中央座面18bは、別体部材6によって形成される。
【0021】
別体部材6は、ベース部6aと、ベース部6aから立設する挿入部6bを備える。ベース部6aの底面6a2が中央座面18bとなる。挿入部6bが溝16内に挿入される。挿入部6bは、中央壁6cと、中央壁6cの一方の面に設けられ且つ左中空部12に当接する左リブ6fと、中央壁6cの他方の面に設けられ且つ右中空部13に当接する右リブ6dを備える。左リブ6f及び右リブ6dは、溝16の深さ方向に延びるように設けられる。左リブ6f及び右リブ6dには、テーパー面6gが設けられている。このように構成することによって別体部材6を溝16に挿入する際の摩擦抵抗が低減されている。
【0022】
中央壁6cには係合部6eが設けられている。係合部6eは2つ設けられている。
図7に示すように、中央連結部15bには取付穴15b1が設けられている。挿入部6bを溝16に挿入して係合部6eを取付穴15b1に係合させることによって別体部材6が中央連結部15bに固定される。中央連結部15bは、
図8〜
図9に示すように、ブロー成形時にパリソン21を金型23,24で圧縮することによって形成される部位であるので、強度及び寸法精度が優れている。このため、別体部材6を中央連結部15bに固定することによって別体部材6が安定的に装着される。
【0023】
図7及び
図10に示すように、溝16の周縁16aは、座面18a〜18c及び開口部11a〜14aの周縁から凹んだ位置に設けられている。この凹み量がベース部6aの厚さと略同一であるので、ベース部6aの上面6a1が周縁16aに当接するように別体部材6が溝16に装着されると、ベース部6aの底面(すなわち、中央座面)6a2が左座面18a及び右座面18cと略同一平面上に配置される。
【0024】
2.構造体10の製造方法
構造体10は、ブロー成形体5に別体部材6を装着することによって製造することができる。
【0025】
2.1 ブロー成形体5の製造
ブロー成形体5は、パリソン形成工程、ブロー成形工程、後処理工程によって形成可能である。以下、各工程について詳細に説明する。
【0026】
(1)パリソン形成工程
パリソン形成工程では、
図8に示すように、溶融樹脂をヘッドから押し出して垂下させてパリソン21を形成し、パリソン21を金型23,24の間に配置する。パリソン21の形状は、特に限定されず、円筒状であってもよく、シート状であってもよい。パリソン21は、ソリッドのパリソンであってもよく、発泡パリソンであってもよい。金型23は、ピンチオフ部23dで囲まれたキャビティ内に突起23a〜23cを備える。金型24は、ピンチオフ部24dで囲まれたキャビティ内に突起24a〜24cを備える。
【0027】
(2)ブロー成形工程
ブロー成形工程では、金型23,24の型締めを行った後にパリソン21内にエアーを吹き込むことによってパリソン21を金型23,24のキャビティ内面に沿った形状に賦形してバリ付きのブロー成形体を形成する。パリソン21が円筒パリソンである場合には型締め前にプリブローを行ってもよく、パリソン21が樹脂シートである場合には、型締め前に樹脂シートを金型に真空吸引してもよい。型締めした状態では突起23a,24aは連結部15aの厚さに相当する間隔を空けて対向し、突起23b,24bは連結部15bの厚さに相当する間隔を空けて対向し、突起23c,24cは連結部15cの厚さに相当する間隔を空けて対向する。この間隔は、パリソン21の厚さよりも小さいので突起23a〜23c,24a〜24cによってパリソン21が圧縮されて連結部15a〜15cが形成される。
【0028】
(3)後処理工程
ブロー成形工程で形成されるバリ付きのブロー成形体にはバリ25と捨て袋26が設けられているので、後処理工程では、バリ25及び捨て袋26を除去して、
図10に示す構成のブロー成形体5を得る。ブロー成形体5についての
図10の断面では、直線W,Vは、
図10に示すようになる。
図10と
図1(c)を比較すると明らかなように、本実施形態のブロー成形体5では、中空部12,13の間に溝16が形成されるように連結部15bが形成されているので、
図1の例と比較して直線Wが長くなり且つ直線Vの長さが短くなるので、その結果、(直線Vの長さ)/(直線Wの長さ)によって定義されるブロー比が小さくなる。このため、ブロー成形体5を形成する際のパリソン21の必要延伸量が小さくなり、ブロー成形性が向上する。
【0029】
2.2 別体部材6の装着
この工程では、
図10〜
図11に示すように、ブロー成形体5に別体部材6を装着する。別体部材6は、好ましくは樹脂の射出成形によって形成されるが、別の方法で形成してもよい。
図10に示すように、別体部材6の挿入部6bの射影の外形は、溝16の内面形状に略一致しているので、別体部材6を溝16に挿入することによって溝16が別体部材6によって充填される。別体部材6を溝16内に押し込むと、
図5〜
図7に示すように、別体部材6の係合部6eが取付穴15b1に係合され、且つ挿入部6bの上面6hが中央連結部15bに当接するとともに、ベース部6aが溝16の周縁16aに当接して別体部材6が溝16に装着される。そして、別体部材6のベース部6aの底面6a2が中央座面18bとなる。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、ブロー成形性を悪化させることなく所望部位に座面を設けることができる。
【0031】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、ブロー成形体5は、4つの中空部及び3つの連結部を備えるが、中空部11,14及び連結部15a,15cは省略可能である。
・上記実施形態では、各中空部に開口部が設けられているが、本発明は、中空部に開口部がない形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1a〜1d:ダクト部
2a〜2d:供給口
3a〜3c:座面
4a〜4c:圧縮部
5:ブロー成形体
6:別体部材
6a:別体部材のベース部
6b:別体部材の挿入部
10:構造体
11:左外側中空部
12:左中空部
13:右中空部
14:右外側中空部
11a〜14a:開口部
11b〜14b:傾斜面
15a:左連結部
15b:中央連結部
15b1:中央連結部の取付穴
15b2:中央連結部の傾斜部
15c:右連結部
16:溝
16a:溝の周縁
18a:左座面
18b:中央座面
18c:右座面
21:パリソン
23:金型
23a〜23c:突起
23d:ピンチオフ部
24:金型
24a〜24c:突起
24d:ピンチオフ部
25:バリ
26:捨て袋
PL:パーティングライン