特許第6795768号(P6795768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795768
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/909 20190101AFI20201119BHJP
   G06F 16/9038 20190101ALI20201119BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G06F16/909
   G06F16/9038
   G01C21/26 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-208761(P2017-208761)
(22)【出願日】2017年10月30日
(65)【公開番号】特開2019-82773(P2019-82773A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592135203
【氏名又は名称】キヤノンITソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】稲田 陽光
(72)【発明者】
【氏名】小西 伸之
【審査官】 鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−081722(JP,A)
【文献】 特開2000−155036(JP,A)
【文献】 特開2012−226584(JP,A)
【文献】 特開2012−247358(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0059127(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/909
G01C 21/26
G06F 16/9038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動に基づく複数の地点の位置情報を含む移動情報を複数記憶する情報処理装置であって
前記複数の移動情報に含まれる複数の地点の位置情報に基づき、前記複数の移動情報から抽出される部分の地点により決定される複数の部分経路を比較する比較手段と、
前記比較した結果に基づき、前記複数の移動情報において類似する複数の部分経路を表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記複数の移動情報から抽出される所定数連続する地点どうしを比較することにより当該地点により決定される複数の部分経路を比較することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数の移動情報の間で、前記類似する複数の部分経路の中の地点どうしの対応関係を識別可能に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の移動情報の間で、前記類似する部分経路の中の地点どうしは、動的時間伸縮法より対応付けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
移動に基づく複数の地点の位置情報を含む移動情報を複数記憶する情報処理装置の制御方法であって、
比較手段が、前記複数の移動情報に含まれる複数の地点の位置情報に基づき、前記複数の移動情報から抽出される部分の地点により決定される複数の部分経路を比較する比較ステップと、
表示制御手段が、前記比較した結果に基づき、前記複数の移動情報において類似する複数の部分経路を表示する表示制御ステップと
を備えることを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項6】
移動に基づく複数の地点の位置情報を含む移動情報を複数記憶する情報処理装置において実行可能なプログラムであって、
前記情報処理装置を
前記複数の移動情報に含まれる複数の地点の位置情報に基づき、前記複数の移動情報から抽出される部分の地点により決定される複数の部分経路を比較する比較手段と、
前記比較した結果に基づき、前記複数の移動情報において類似する複数の部分経路を表示する表示制御手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路データに基づいて部分的に類似する経路を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の移動体に関して取得した走行データ等のテレマティクスデータの活用として、危険運転の検知や燃費の改善を対象とすることが多い。例えば、特許文献1では、車両の速度及び走行距離のデータから危険運転判定を行う手法が考案されている。
【0003】
テレマティクスデータのその他の活用として、移動経路の効率化が挙げられる。移動経路の効率化は類似した経路の重複使用を回避することにより行うことができる。類似した経路の探索には様々な手法が提案されているが、最近、動的時間伸縮法(Dynamic Time Warping。略称DTW)の応用が知られている。例えば、特許文献2および特許文献3ではともにDTWを用いた類似区間の探索を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−138769号公報
【特許文献2】特開2012−097603号公報
【特許文献3】特開2011−069845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DTW等の分析手法を使用して、テレマティクスデータに対する類似経路探索を行う際に、部分的に類似した経路どうしを検出したい場合がある。例えば、2つの経路の部分的な無駄を判断する場合や、2つの経路を部分的に統合して車等の移動の効率化を図る場合などである。しかし、現状の分析手法では、部分的に類似している経路どうしであっても、全体経路どうしが類似していなければ、類似した経路として検知することができない。
【0006】
そこで、本発明は、複数の異なる経路の中から部分的に類似する経路を特定できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、移動に基づく複数の地点の位置情報を含む移動情報を複数記憶する情報処理装置であって、前記複数の移動情報に含まれる複数の地点の位置情報に基づき、前記複数の移動情報から抽出される部分の地点により決定される複数の部分経路を比較する比較手段と、前記比較した結果に基づき、前記複数の移動情報において類似する複数の部分経路を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、複数の異なる経路の中から部分的に類似する経路を特定できる仕組みを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態である類似経路探索システムの構成の一例を示すシステム構成図である。
図2】類似経路探索システムを構成する情報処理機器に適用可能なハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】類似経路探索システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】類似経路探索及び表示処理の一例を示すフローチャートである。
図5】経路分割処理の一例を示すフローチャートである。
図6】経路経路探索処理の一例を示すフローチャートである。
図7】部分類似経路探索処理の一例を示すフローチャートである。
図8】類似経路探索システムで使用するデータ類の一例を示すデータ構成図である。
図9】類似経路探索システムで使用するデータ類の一例を示すデータ構成図である。
図10】実施例で使用する地理的前提を説明する図である。
図11】地点どうしの対応付けの概要を説明する図である。
図12】経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
図13】類似経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
図14】部分類似経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明における類似経路探索システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0012】
類似経路探索システム100は、1または複数のクライアント端末101(PC,入出力装置など)、1または複数のデータサーバ102がネットワーク103を介して接続される構成となっている。
【0013】
本実施例では、データサーバ102に蓄積されてテレマティクスデータをクライアント端末101に取り込み、クライアント端末101にて関連処理を実行する構成としているが、データサーバ102にて関連処理を実行し、クライアント端末101はユーザによる操作や入力の受け付け、および、画面表示を実行する構成であってもよい。
【0014】
以下、図2を用いて、図1に示したクライアント端末101、データサーバ102に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例について説明する。
【0015】
図2は、クライアント端末101、データサーバ102に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0017】
203はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0018】
また、205は入力コントローラで、キーボード(KB)209や不図示のマウス等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御する。なお、表示器はCRTや、液晶ディスプレイ等の様々な種類が存在する。
【0019】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶する外部記憶装置(ハードディスク(HD))や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるCFカードメモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0020】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワーク(例えば、図1に示したインターネット104)を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0021】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0022】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に格納されており、これらについての詳細な説明も後述する。
【0023】
以上で図2のハードウェア構成図の説明を終了する。
【0024】
次に、図3を用いて、本発明の実施形態である類似経路探索システム100の機能ブロック図について説明する。
【0025】
データサーバ102は、テレマティクスデータ記憶部321を備えている。
【0026】
テレマティクスデータ記憶部321は、対象の移動体から逐次送信されてくるテレマティクスデータ、または、一時的にメモリ等に記憶されアップロードされるテレマティクスデータを格納するデータベースである。
【0027】
クライアント端末101は、テレマティクスデータ取得部311、類似経路検出部312、部分類似経路検出部313、類似経路表示部314を備えている。
【0028】
テレマティクスデータ取得部311は、データサーバ102からテレマティクスデータを取得する。類似経路検出部312は、経路データを基に類似経路を検出する。部分類似経路検出部313は、経路データを元に部分的な類似経路を検出する。類似経路表示部314は、検出された類似経路の情報を表示する。
【0029】
以上で図3の機能ブロック図の説明を終了する。
【0030】
ここで、図10を参照して、本実施例で取り扱う地理的前提について説明する。図10は本実施例で取り扱う地図情報であり、黒丸印は訪問地点等のテレマティクスデータを取得可能な地点(サンプリング地点)を表す。各地点は、x座標、y座標で表すが、経度、緯度で表してもよい。
【0031】
以下、本実施形態における類似経路探索システム100の処理の流れを説明する。
【0032】
図4は、類似経路探索システム100における、類似経路探索処理の一例を示すフローチャートである。各処理ステップは、クライアント端末101のCPU201が実行する。
【0033】
本処理は、不図示のメニュー画面において、ユーザより「類似経路探索」ボタンが押下されることによって開始する。
【0034】
ステップS101では、テレマティクスデータの取得を行う。テレマティクスデータは、データサーバ102のテレマティクスデータ記憶部321より取得する。
【0035】
ステップS102では、テレマティクスデータを経路に分割する。経路分割処理については図5で詳述する。ここでは、図8(a)のテレマティクスデータ(図8(a))および、地点データ(図8(b))を入力として、経路データ(図8(c))を出力する。
【0036】
ステップS103では、類似経路の探索を行う。類似経路探索処理については、図6で詳述する。ここでは、経路データ(図8(c))および、地点データ(図8(b))を元に、DTW値計算結果(図9(d))を出力し、DTW値計算結果が閾値よりも小さいものを、類似経路として保持すると同時に、地点番号対応付け結果(図9(e))を出力し、これを元に部分類似経路データ(図9(f))を出力する。
【0037】
ステップS104では、類似経路の表示を行う。出力結果は図12図13図14で詳述する。
【0038】
以上で、図4の類似経路探索処理の説明を終了する。
ここで、図8図9を参照して、上記に記述した本実施例で使用するデータについて説明する。
【0039】
図8(a)にテレマティクスデータの一例を示す。
【0040】
テレマティクスデータ800は、車両が拠点または訪問した地点ごとに取得したデータであり、車台番号801、地点番号802、到着時刻803、出発時刻804、到着順序805を持つ。車台番号801は使用した車両を識別する英数字列である。地点番号802は訪問または通過した地点を表し、地点データ810の地点番号811に対応する。到着時刻803、出発時刻804は車両がその地点に対して到着、出発した時刻を表す。到着順序805は車両がその地点に到着した順序を表す。
【0041】
図8(b)に地点データの一例を示す。
【0042】
地点データ810は、テレマティクスデータに含まれる拠点または訪問した地点のデータを格納し、地点番号811、座標X812、座標Y813を持つ。地点番号811は地点を一意に表す英数字列である。座標X812、座標Y813は地点の位置を二次元座標で表したものであり、経度、緯度等でもよい。
【0043】
図8(c)に経路データの一例を示す。
【0044】
経路データ820は、テレマティクスデータ800を基に分割した経路のデータであり、テレマティクスデータの項目(801〜805が821〜825に対応)に加え、経路番号826を持つ。経路番号826は、経路を識別する文字列であり、経路番号826ごとに到着順序825を新たに採番する。また、地点番号822は地点データ810の地点番号811に対応する。
【0045】
図9(d)にDTW値計算結果の一例を示す。
【0046】
DTW値計算結果900は、2つの経路の間のDTW値(乖離度)の計算結果データであり、2つの経路番号901と902、DTW値903を持つ。2つの経路番号901と902は、DTW値の計算対象となって経路の組合せを表し、DTW値903は計算されたDTW値を表す。
【0047】
図9(e)に地点番号対応付け結果の一例を示す。
【0048】
地点番号対応付け結果910は、DTW値の計算時に得られる2つの経路の保持する地点同士の対応付け結果データであり、各対応付けの対応番号911と2つの経路番号と地点番号の組912,913と914,915および各対応の距離916を持つ。2つの経路番号と地点番号の組912,913と914,915は経路が保持する地点同士の対応関係を表し、1つの経路番号と地点番号の組に対して、複数の対応する経路番号と地点番号の組が存在してもよい。距離916は地点同士の距離を表す。
【0049】
ここで、図11を参照して、2つの経路に含まれる地点どうしの対応付けの概要について説明する。
【0050】
イメージ1100は2つの経路データを示しており、白丸、黒丸がそれぞれの経路データ内の地点列を表している。イメージ1101はDTWによる対応付け後の2つの経路データであり、各点が点線で表される対応付け結果を保持している。この対応付けは1つの地点が複数の地点と対応する場合もある(例えば、1102に1103と1104が対応)。
【0051】
図9(f)は部分類似経路データの一例を示す。
【0052】
部分経路類似データ920は、地点番号対応付け結果を元に得られる2つの経路の部分的な類似を表すデータであり、地点番号対応付け結果のデータ項目(922〜927が911〜916に対応)に加え、類似経路番号921を持つ。類似経路番号921は部分類似経路を識別する文字列である。
【0053】
以上で本実施例で使用するデータの説明を終了する。
【0054】
図5では、図4のステップS102で記述した、テレマティクスデータの経路分割処理について詳述する。テレマティクスデータは、拠点から出発し、訪問地点を回り、拠点に到着するというデータを1または複数回連続して保持している。本処理では、この、拠点から出発し、訪問地点を回り、拠点に到着するまでを一つの経路として認識するための番号を付与する。
【0055】
ステップS201では、ステップS202,S203,S204,S205,S206,S207,S208の各処理に対し、ループ処理を行う。ループは車台番号ごとに行う。例えば、図8(a)に示されるテレマティクスデータの場合、車台番号Aおよび車台番号Bに対してループを行う。
【0056】
ステップS202では、空の経路を作成する。
【0057】
ステップS203では、ステップS204,S205,S206,S207,S208の各処理に対し、ループ処理を行う。ループは各レコードに対して行う。例えば、ステップS201で車台番号Aのループが行われている場合、図8(a)に示すテレマティクスデータの1レコード目から8レコード目までのループ処理を行う。
【0058】
ステップS204では、処理中のレコードに対し、拠点の到着判定を行う。拠点の到着判定は地点により行う。例えば、図8(a)のテレマティクスデータの1レコード目から8レコード目では、1レコード目が出発拠点となるため、地点番号が同一である4レコード目および8レコード目が到着と判定される。
【0059】
ステップS205では、ステップS204で判定された結果により条件分岐を行う。拠点到着と判定された場合はS206を行い、拠点到着と判定されなかった場合はS208を行う。例えば、図8(a)のテレマティクスデータの1レコード目から9レコード目では、4レコード目と9レコード目を処理中にはS206を行い、それ以外の場合はS208を行う。以下、処理順の都合からS208から説明を記述する。
【0060】
ステップS208では、ステップS202で作成した経路に対して、現在のレコードを追加する。例えば、図8(a)のテレマティクスデータの1レコード目では、空の経路は1レコード目のみの経路となり、2レコード目では、1レコード目と2レコード目からなる経路となる。
【0061】
ステップS206では、これまでのステップで作成した経路を経路データとして保存する。この際、現在のレコードを到着レコードとして経路データに追加した上で保存する。例えば、図8(a)のテレマティクスデータの4レコード目では、これまでのステップで作成した1レコード目から3レコード目までのデータからなる経路データに、出発時刻を空として到着レコードとした4レコード目を追加し、経路番号A−1として保存する。
【0062】
ステップS207では、次の経路として、空の経路を作成する。また、この後に行われるステップS208においては、現在のレコードを、到着時刻を空とした出発レコードして追加する。例えば、図8(a)の4レコード目では、ステップS207およびS208により、到着時刻を空としたレコードのみからなる経路が作成される。
【0063】
ステップS209は、ステップS203からの繰り返し処理の終端である。
【0064】
ステップS210は、ステップS201からの繰り返し処理の終端である。
【0065】
以上で、ステップS102の経路分割処理の説明を終了する。
【0066】
図6では、図4のステップS103で記述した、類似経路探索処理について詳述する。
【0067】
ステップS301では、ステップS302、ステップS303の処理についてループ処理を行う。ループ処理は、すべての経路番号の組合せに対して行う。例えば、図8(c)の経路データの場合、経路番号A−1とA−2、A−1とB−1、A−2とB−1に対してループ処理を行う。
【0068】
ステップS302では、DTW法を用いてDTW値の計算を行う。DTW法は2つの時系列波形の時間および周期の差異を調整して波形どうしの乖離度(または類似度。値が小さいほど類似性が高い)を求めるために考案された手法であり、DTW法を経路データに適用すれば、2つの経路の地点の出発時刻や到着時刻、移動速度の差異を調整して経路どうしの乖離度を算出することができる。例えば、経路番号A−1とA−2の組に対するループの場合、標準的なDTW法を実施することで、当該経路の組に対するDTW値(乖離度)を得ることができる。また、DTW法以外に、地図上に描かれた経路に対し二次元形状の類似度または乖離度を算出する諸手法を適用してもよく、地点どうしの対応付けを行うことで経路どうしの類似度または乖離度を算出できる方法であればよい。
【0069】
ステップS301とステップS302により経路番号の組合せに対するDTW値、経路番号の組合せに対する地点番号の対応付け結果を得ることができる。図9(d)、図9(e)に一例を示す。
【0070】
ステップS303では、ステップS302により得られた地点番号の対応付け結果を元に、経路番号の組合せに対する部分類似経路の探索を行う。部分類似経路の探索については図8で詳述する。ここでは、図9(e)を元に、図9(f)の部分類似経路データを出力する。
【0071】
ステップS304は、ステップS301からの繰り返し処理の終端である。
【0072】
ステップS305では、DTW値が基準値以下となっている経路番号の組を抽出する。例えば、図9(d)において、基準値が25となっている場合、経路番号A−2とB−1の組のみが類似経路として抽出される。
【0073】
ステップS306では、、部分類似経路が存在している経路番号の組を抽出する。例えば、図9(f)においては、経路番号A−1と経路番号B−1の組が抽出される。
【0074】
以上で、ステップS103の類似経路探索処理の説明を終了する。
【0075】
図8では、図7ステップS303で記述した、部分類似経路探索処理について詳述する。
【0076】
ステップS401では、空の経路を作成する。
【0077】
ステップS402では、ステップS403〜ステップS408の各処理に対し、ループ処理を行う。ループは各地点番号の対応付けに対して行う。例えば、図9(e)に示す地点番号対応付け結果の1レコード目から5レコード目までのループ処理を行う。
【0078】
ステップS403では、処理中のレコードに対し、距離の判定を行う。レコードの距離が基準値以下の場合はS404の処理を行い、基準値より大きい場合はS406の処理を行う。つまり、対応付けらた地点どうしの距離が近いかにより部分類似経路の一部となり得るかを判断する。基準値以下であれば例えば、基準値を20とした場合、図9(e)の地点番号対応付け結果の1レコード目から3レコード目まででは基準値より小さいと判定され、4レコード目では大きいと判定される。
【0079】
ステップS404では、ステップS401で作成した経路に対して、現在のレコードを追加する。例えば、図9(e)の地点番号対応付け結果の1レコード目では、空の経路は1レコード目のみの経路となり、2レコード目では、1レコード目と2レコード目からなる経路となる。
【0080】
ステップS405では、最終地点の判定を行う。地点番号対応付け結果の最終レコードの場合、最終地点と判定する。最終地点の場合、ステップS406の処理を行い、最終地点でない場合は、ステップS409の処理を行う。
【0081】
ステップS406では、現在の経路の数の判定を行う。一定数以上であればステップS407の処理を行い、一定数より少なければステップS408の処理を行う。つまり、近い地点どうしが一定数連続していれば部分類似経路と判断する。例えば、一定数を3レコードとした場合、図9(e)の地点番号対応付け結果の4レコード目では、現在の経路が3レコード(図9(e)の1レコード目から3レコード目)のため一定数以上と判定される。
【0082】
ステップS407では、現在の経路と部分類似経路として保存する。例えば、図9(e)の地点番号対応付け結果の4レコード目では、現在の経路(図9(e)の1レコード目から3レコード目)が保存される。
【0083】
ステップS408では、現在の経路を破棄し、次の経路を作成する。
【0084】
ステップS409は、ステップS402からの繰り返し処理の終端である。
【0085】
以上で、ステップS303の部分類似経路探索処理の説明を終了する。
図12図13図14を参照して、図4のステップS104で記述した、類似経路の出力方法について詳述する。
【0086】
図12は経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
【0087】
経路表示画面1200は、類似経路探索の対象となった経路の一覧を経路図表示欄1201、経路情報表示欄1202として表示する。例えば、経路図表示欄1201では、経路番号A−1,A−2,B−1の経路を、経路番号ごとに色分け、または、線の形状を変える等して出力する。類似経路探索結果ボタン1203を押下することにより、図13の類似経路表示画面に遷移する。
【0088】
図13は類似経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
【0089】
類似経路表示画面1300は、ステップS305で抽出された類似経路の情報を表示する。
【0090】
類似経路表示画面1300では、類似経路図表示欄1301と、類似経路情報表示欄1302を表示する。類似経路図表示欄1301には類似経路に対する地図上の経路を表示し、類似経路情報表示欄1302には類似経路に関する各種情報を表示する。抽出された類似経路が複数ある場合は、前後ボタン1303を押下することにより別の類似経路の情報を表示する。なお、ステップS305にて抽出された類似経路だけでなく、前後ボタン1303を押下することにより全経路の組合せに対する情報を類似度の順(DTW値(乖離度)の小さい順)に表示するようにしてもよい。全経路表示ボタン1304を押下することにより、図12の経路表示画面に遷移する。また、部分類似経路表示ボタン1305を押下することにより、図14の部分類似経路表示画面に遷移する。
【0091】
図14は部分類似経路表示画面の一例を示す画面イメージである。
【0092】
部分類似経路表示画面1400は、ステップS306で抽出された部分類似経路の情報を表示する。
【0093】
部分類似経路表示画面1400は、部分類似経路表示欄1401と、部分類似経路情報表示欄1402を表示する。部分類似経路表示欄1401には部分類似経路を含む経路に対する地図上の経路を表示し、部分類似経路を色分け、または線の形状、大きさを変える等して出力する。本表示例では、部分類似経路に含まれる地点を白抜き丸印(経路間で地点が異なる場合)または白抜き二重丸印(経路間で地点が一致する場合)で表し、対応する地点どうしを二重線で結んでいる。部分類似経路情報表示欄1402には部分類似経路に関する各種情報を表示する。1つの経路の組内に抽出された部分類似経路が複数ある場合は前後ボタン1403を押下することにより別の部分類似経路の情報を表示する。また、異なる経路の組内に部分類似経路が存在する場合は前後ボタン1404を押下することにより、別の経路内の部分類似経路の情報を表示する。前後ボタン1403,1404を押下することにより全経路の組合せに対する情報を類似度の順に表示するようにしてもよい。その場合、部分類似経路が存在しなければ、部分類似経路に関する部分は表示されない。経路表示ボタン1405を押下することにより、図12の経路表示画面に遷移する。また、類似経路表示ボタン1406を押下することにより、図13の類似経路表示画面に遷移する。
【0094】
上記により、部分的に類似する経路を精度よく検出できるようになる。
【0095】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0096】
また、本発明におけるプログラムは、各図に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は各図の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。なお、本発明におけるプログラムは各図の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0097】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0098】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0099】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0100】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0101】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0102】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0103】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0104】
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
100 類似経路探索システム
101a/b クライアント端末
102 データサーバ
103 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14