(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜4いずれかに記載のシリコーン重合体の製造方法により、400nmの紫外線透過率が90%以上であるシリコーン重合体を製造するシリコーン重合体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリ塩化ビニリデン(以下、「PVDC」と略す。)がガスバリア膜として多くの場面で使用されてきた。実際、PVDCは優れたガスバリア性を示し、高湿度条件でも高いガスバリア性を示す。しかし、PVDCは焼却処分する際、適切な条件で燃焼しないと、ダイオキシンや塩素ガスといった環境・人体に有害な物質が発生することが懸念されている。このようなことから、廃棄処分が容易なガスバリア膜の開発が進められているが、ガスバリア性が低い、透明性が低いなどデメリットが多く、実用化に至っていない。
【0003】
さらに電子材料分野、例えば有機ELや太陽電池などでは、有機発光体である有機分子を保護するため、高いガスバリアを有するガスバリア膜が求められている。一般に電子材料向けに用いられるガスバリア膜はシリカ蒸着で形成されているが、シリカ蒸着の装置は大型で機械導入のコストが高く経済面で大きな課題がある。例えば電子線加熱蒸着で高いガスバリア性が得られた報告はあるが、設備導入に多額な費用投資が必要である(例えば特許文献1、2参照)。
【0004】
一方、半導体やディスプレイ材料において、高性能化に伴い電流密度の増加、発光波長の短波長化などにより、高い耐熱性を示す材料が求められている。そのような材料として高い透明性と耐熱性を有するシリコーン重合体が注目されており広く用いられている。
【0005】
しかし、例えば環状ポリオルガノシロキサンを用いて硬化膜を作製しガスバリア性を評価した例も報告されているが、ガスバリア性が低く電子材料への適用は困難である(例えば特許文献3参照)。また、特許文献3に記載された熱硬化性樹脂組成物は、硬化に時間がかかるため、生産性が低かった。
【0006】
このことから、ガスバリア膜を形成する設備が高価な蒸着でなく、さらに耐熱性、透明性が高いガスバリア膜を形成するための光硬化性を有するシリコーン重合体が求められている。光硬化性を有するシリコーン重合体としては、3−メタクリロキシプロピル基を含むシリコーン重合体が知られている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、室温で保管していると結晶のような析出物が生じたり、得られたシリコーン重合体が淡黄色に着色し、紫外線透過性の低下に伴い、紫外線硬化性が低下することがあり、室温で液体であり、紫外線の吸収が少なく透明で、紫外線硬化性に優れるシリコーン重合体の製造方法が求められていた。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物88〜92モル%と
R
1Si(OR
2)
3・・・(1)
(式中、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)、
下記一般式(2)で表される化合物8〜12モル%のシラン化合物を、
R
3Si(OR
4)
3・・・(2)
(式中、R
3はメチル基を示し、R
4は炭化水素基を示す)
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下、一般式(1)のシラン化合物と一般式(2)のシラン化合物の総計に対して、イソプロピルアルコールを、0.3〜1.5重量倍、メチルイソブチルケトンを、2.0〜3.0重量倍添加し、水をシラン化合物に対して、2.5〜3.3モル倍加え、15〜35℃で2〜80時間反応させて、シリコーン重合体を製造するシリコーン重合体の製造方法であって、シリコーン重合体のゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定される重量平均分子量が2000〜2600であり、シリコーン重合体が、下記一般式(3)
【0016】
(式中、aは88〜92モル%、bは、8〜12モル%を示し、a+b=100モル%である)で表される化学構造を有し、末端はシラノール基である、5〜40℃で液体であるシリコーン重合体の製造方法である。
【0017】
一般式(1)で表される化合物について説明する。
R
1Si(OR
2)
3・・・(1)
において、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す。炭化水素基としては、炭素数1〜3の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基が好ましい。炭素数1〜3の直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましい。より好ましくはメチル基、エチル基である。分岐状炭化水素基としては、iso−プロピル基が好ましい。
【0018】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ−iso−プロポキシシラン等を挙げることができる。
【0019】
これらの中でも本発明においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシランが好ましく用いられ、特に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましく、価格が安価で入手が容易な3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
【0020】
一般式(2)で表される化合物について説明する。
R
3Si(OR
4)
3・・・(2)
において、R
3はメチル基を示す。R
2は炭化水素基を示す。炭化水素基としては、炭素数1〜3の直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基が好ましい。
【0021】
炭素数1〜3の直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基である。分岐状炭化水素基としては、iso−プロピル基が好ましい。
【0022】
式(2)で表される化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン等を挙げることができる。
【0023】
これらの中でも本発明においては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシランが好ましく用いられ、特に、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、価格が安価で入手が容易なメチルトリメトキシシランがより好ましい。
【0024】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の合計を100モル%としたとき、一般式(1)で表される化合物を88〜92モル%使用し、好ましくは、89〜91モル%使用する。
【0025】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の合計を100モル%としたとき、一般式(2)で表される化合物を8〜12モル%使用し、好ましくは9〜11モル%使用する。
【0026】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを使用する。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドは、シリコーン重合体を製造するにあたり、触媒として作用すると考えられる。
【0027】
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの量は、式(1)で表される化合物と、
R
1Si(OR
2)
3・・・(1)
(式中、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)
式(2)で表される化合物の
R
3Si(OR
4)
3・・・(2)
(式中、R
3はメチル基を示し、R
4は炭化水素基を示す)
総計を100モル%としたとき、総計量100モル%に対して、0.005〜0.1モル%が好ましく、0.01〜0.04モル%がさらに好ましい。0.005モル以上であれば反応が速やかに進行し、0.1モル%以内であれば、シリコーン重合体の生産性が良く、経済的に好ましい。
【0028】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、イソプロピルアルコールを使用する。イソプロピルアルコールは、好ましくは、溶媒として使用する。イソプロピルアルコールの添加量は、式(1)で表される化合物と、
R
1Si(OR
2)
3・・・(1)
(式中、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)
式(2)で表される化合物の
R
3Si(OR
4)
3・・・(2)
(式中、R
4はメチル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)
総計に対して、0.5〜1.5重量倍である。イソプロピルアルコールの量は、式(1)で表される化合物と、式(3)で表される化合物の総計に対して、0.5〜1.2重量倍が好ましく、0.5〜1.0重量倍がさらに好ましい。0.5重量倍以上であれば、重合過程でシリコーン重合体のゲル化が抑制され、1.5重量倍以内であれば、シリコーン重合体の生産性が良い。
【0029】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、メチルイソブチルケトンを使用する。メチルイソブチルケトンは、好ましくは、溶媒として使用する。メチルイソブチルケトンの添加量は、式(1)で表される化合物と、
R
1Si(OR
2)
3・・・(1)
(式中、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)
式(2)で表される化合物の
R
3Si(OR
4)
3・・・(2)
(式中、R
3はメチル基を示し、R
4は炭化水素基を示す)
総計に対して、2.0〜3.0重量倍である。メチルイソブチルケトンの量は、式(1)で表される化合物と、式(3)で表される化合物の総計に対して、が好ましく、1.3〜2.7重量倍がさらに好ましい。2.0重量倍以上であれば、反応が速やかに進行し、3.0重量倍以内であれば、重合過程でシリコーン重合体のゲル化が抑制される。
【0030】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、アルコキシシランの加水分解のために水を加える。水の量は、式(2)で表される化合物と、
R
1Si(OR
2)
3・・・(2)
(式中、R
1は3−メタクリロキシプロピル基を示し、R
2は炭化水素基を示す)
式(3)で表される化合物の
R
3Si(OR
4)
3・・・(3)
(式中、R
3はメチル基を示し、R
4は炭化水素基を示す)
総計量に対して、2.5〜3.5モル倍が好ましく、2.8〜3.3モル倍がさらに好ましい。2.5モル倍以上であれば、重合過程でシリコーン重合体のゲル化が抑制され、3.5モル倍以内であれば、シリコーン重合体の生産性が良い。この明細書では、2モル倍とは、式(1)で表される化合物と、式(3)で表される化合物の総計を1モルとしたとき、水を2モル使用することを意味する。
【0031】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(ポリスチレン換算)が2000〜2600であり、2100〜2500であることが好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは、2150〜2450である。重合平均分子量が2000以上であると、緻密な膜を形成することができ、2600以下であると、粘度が低く塗布しやすい。
【0032】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、反応温度は15〜35℃であり20〜30℃が好ましい。反応温度が15℃以上であれば、反応が短時間で完了し、35℃以下であれば、400nmにおける紫外透過率が92%以上のシリコーン重合体を得ることができる。
【0033】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、反応時間は、2〜80時間である。反応時間は、3〜30時間が好ましい。2時間以上であれば反応が短時間で完了し、80時間以内だと、400nmにおける紫外透過率が92%以上のシリコーン重合体を得ることができる。
【0034】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、
下記一般式(3)
【0037】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体におけるa成分は、3−メタクリロイル基を含む成分であり、シリコーン重合体に加工時の反応性を付与する成分である。a成分とb成分の合計を、100モル%としたとき、a成分は88〜92モル%であり、好ましくは、89〜91モル%である。a成分が88モル%未満であると加工時の反応性が悪く、92モル%より多いと室温で液体状態を保つことができない。ここで製造されるシリコーン重合体はa成分およびb成分が、シリコーン重合体の化学構造にランダムに共重合しているのが通常である。
【0038】
本発明におけるb成分は、メチル基を含む成分であり、シリコーン重合体の性状に付与する成分である。a成分とb成分の合計を、100モル%としたとき、b成分は8〜12モル%であり、好ましくは9〜11モル%である。b成分が8モル%未満であると室温で液体状態を保つことができず、12モル%より多いと加工時の反応性を悪くする。
【0039】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、室温で液体である。本発明における室温とは5〜40℃である。
【0040】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、末端はシラノール基である。
【0041】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、シリコーン重合体の立体構造が、籠型の構造であっても良い。
【0042】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、400nmにおける紫外透過率が、好ましくは、90%以上であり、より好ましくは91%以上である。400nmにおける紫外線透過率が90%以上であると、紫外線を吸収しないため光を用いて硬化させる際、硬化特性に優れている。
【0043】
本発明のシリコーン重合体の製造方法では、反応終了後は、有機酸や無機酸でテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを中和してもよい。好ましくは、非極性溶媒を添加して反応生成物と水とを分離して、溶媒に溶解した反応生成物を回収し、水で洗浄後に溶媒を留去することにより、目的のシリコーン重合体が得られる。
【0044】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、溶媒に溶解してもよい。溶媒としては、アルコール系溶媒、高沸点溶媒が用いられる。アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、高沸点溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル等である。
【0045】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーの測定で得られるピークの数が2本であるシリコーン重合体であることが好ましい。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーの測定で得られるピークの数が2本あるシリコーン重合体は、分子量分布領域を変曲点で分離して得られるピークの数が2本であるシリコーン重合体である。これは、籠型構造に代表される特定の規則的な高次構造を有しているためである。本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体は、好ましくは、分子間相互作用が一般的な高分子に比べて少ないため、ニュートン性を示し取り扱いが容易になる。
【0046】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体を用いて塗膜を形成させる場合、アクリル単量体、光重合開始剤を加えてもよい。
【0047】
アクリル単量体としては、1つのアクリロイル基を有する単官能単量体、2つ以上のアクリロイル基、またはその無水物構造を有する多官能単量体のいずれでもよい。これらは単独で使用してもよく、2種類以上使用してもよい。
【0048】
単官能のアクリル単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類、スチレン、α―メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、マレイン酸、フマル酸およびそれらのエステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレンなどのアルケン類、ハロゲン化アルケン類が挙げられる。また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリラート等の多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸アリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等の芳香族ポリアルケニル類、無水アクリル酸、無水メタクリル酸等の酸無水物等が挙げられる。中でもメタクリル酸メチル、トリメチロールプロパントリメタクリラート、無水メタクリル酸を用いた場合、ガスバリア性が高いため好ましい。
【0049】
光重合開始剤は、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドである。2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、またはビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドを用いると、ガスバリア性を高くすることができる。またこれら光重合開始剤を用いることにより、酸素が存在する雰囲気下でも紫外線照射により、本発明の製造方法で製造するシリコーン重合体を含む組成物を光硬化することができる。
【0050】
本発明のシリコーン重合体の製造方法で製造するシリコーン重合体を含む組成物を用いてガスバリア膜を作製する一般的な方法を次に記載する。
【0051】
ガスバリア膜の作製は、シリコーン重合体を含む組成物を基板上に塗布して薄膜を形成し、これに紫外線を照射することでガスバリア膜を作製する。基板としては、例えばガラス基板やシリコンウェハーやポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのフィルムが例示される。また塗布方法としては、例えばスピン塗布法、ディップコート法、グラビアコート法、ドクターブレード法などが挙げられる。
【0052】
次に基板上に形成された薄膜をホットプレートやオーブンに入れ加熱しながら赤外線を照射することにより、シリコーン重合体のアクリルユニットとアクリル単量体と反応させることで、光硬化膜を作製する。
【0053】
紫外線照射は、例えば紫外線ランプを使用し、紫外線を発生させて照射することができる。紫外線ランプには、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプがあり、いずれも使用することができる。照射露光量は、好ましくは10〜10,000mJ/cm
2、より好ましくは100〜5,000mJ/cm
2である。
【0054】
このように作製したガスバリア膜は、シリコーン重合体の硬化物から形成されており、透明性や耐熱性に優れたガスバリア膜である。ガラス基板やシリコンウェハー、フィルム上に、シリコーン重合体を含む組成物を塗布して紫外線を照射するだけでガスバリア膜を容易に作製することができる。得られた硬化膜は優れた酸素バリア性および透明性を有するガスバリア膜である。
【0055】
本発明のシリコーン重合体の製造方法にて得られたシリコーン重合体は、上述の通り、簡便に塗膜が得られることから半導体やディスプレイなどに好適に用いられる。
【実施例】
【0056】
以下実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明する。以下の実施例において、分析には下記装置を使用し、原料は、特に明示しない場合、試薬メーカーから購入した一般的な試薬を用いた。分析には以下の方法を用いた。
【0057】
・重量平均分子量測定
東ソー社製HLC-8220GPCシステムを使用し、東ソー社製TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000、TSKgel SuperHZ1000を直列に接続して分析を行った。検出はRI(屈折率計)で行い、リファレンスカラムとしてTSKgelSuperH−RCを1本使用した。展開溶媒には和光純薬社製テトラヒドロフランを使用し、カラムとリファレンスカラムの流速は0.35mL/minで行った。測定温度はプランジャーポンプ、カラム共に40℃で行った。サンプルの調製には、シリコーン重合体約0.025gを10mLのテトラヒドロフランで希釈したものを25μL打ちこむ設定で行った。分子量分布計算には、東ソー社製TSK標準ポリスチレン(A−500、A−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80)を標準物質として使用した。このようにして、重量平均分子量(ポリスチレン換算)をゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定した。
【0058】
・400nmにおける紫外線透過率測定
島津製作所製UV−2550を使用し、測定範囲は250〜750nm、測光値は透過率、スキャンスピードは中速、ピッチは1.0nmとした。セル長10mmの石英セルに、シリコーン重合体を気泡が入らないように充填し、400nmにおける紫外線透過率を測定した。ブランクにはn−ヘキサンを用いた。
【0059】
実施例1
500mLの4つ口フラスコに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン80.5g(0.32mol)、メチルトリメトキシシラン4.9g(0.04mol)、イソプロピルアルコール42.7g、メチルイソブチルケトン213.4gを仕込んだ。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)2.6g(0.02mol%/シラン化合物)、イオン交換水18.9gを滴下した。25℃で4時間反応後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと当量以上のクエン酸水溶液で中和し、分液した。得られた油層に、超純水66.6gを加え撹拌の後、分液した。この操作を3回繰り返した後、油層を濃縮したところ、無色透明液体の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランのシリコーン重合体60.5gを得た。得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2350で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。実施例1のゲル浸透クロマトグラフィの測定結果を
図1に示した。400nmにおける紫外透過率は97%であった。
【0060】
実施例2
実施例1において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)2.6g(0.02mol%/シラン化合物)をテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)1.3g(0.01mol%/シラン化合物)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2310で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は97%であった。
【0061】
実施例3
実施例1において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)2.6g(0.02mol%/シラン化合物)をテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)3.9g(0.03mol%/シラン化合物)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2240で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は96%であった。
【0062】
実施例4
実施例1において、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)2.6g(0.02mol%/シラン化合物)をテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)5.3g(0.04mol%/シラン化合物)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2210で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は97%であった。
【0063】
実施例5
実施例1において、反応時間4時間を反応時間26時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2360で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は93%であった。
【0064】
実施例6
実施例1において、反応時間4時間を反応時間68時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2430で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は91%であった。
【0065】
実施例7
実施例1において、イソプロピルアルコールの量を、68.3gとした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2230であった。400nmにおける紫外透過率は97%であった。
【0066】
実施例8
実施例1において、イソプロピルアルコールの量を、85.4gとした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2190であった。400nmにおける紫外透過率は97%であった。
【0067】
比較例1
500mLの4つ口フラスコに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン89.4g(0.36mol)、イソプロピルアルコール44.7g、メチルイソブチルケトン223.5gを仕込んだ。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液(株式会社トクヤマ製、水分含量75重量%)2.6g(0.02mol%/シラン化合物)、イオン交換水18.9gを滴下した。20〜30℃で26時間熟成後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドと当量以上のクエン酸水溶液で中和し、分液した。得られた油層に、超純水69.7gを加え撹拌の後、分液した。この操作を3回繰り返した後、油層を濃縮したところ、無色透明液体の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのシリコーン重合体64.5gを得た。得られたシリコーン重合体は室温で固体の析出があった。
【0068】
比較例2
実施例1において、反応温度25℃、反応時間4時間を、反応温度40℃、反応時間26時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は2340で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは2本であった。400nmにおける紫外透過率は83%であった。
【0069】
比較例3
実施例1において、メチルイソブチルケトン213.4gをメチルイソブチルケトン298.8gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0070】
比較例4
実施例1において、メチルイソブチルケトン213.4gをメチルイソブチルケトン42.7gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、得られたシリコーン重合体は室温で液体であり、分子量(Mw)は3450で、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定されるチャートのピークは3本であった。比較例4のゲル浸透クロマトグラフィの測定結果を
図2に示した。400nmにおける紫外透過率は96%であった。
【0071】
比較例5
実施例1において、イソプロピルアルコール42.7gをイソプロピルアルコール34.2gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0072】
比較例6
実施例1において、イソプロピルアルコール42.7gをイソプロピルアルコール17.1gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0073】
比較例7
実施例1において、イソプロピルアルコール42.7gをイソプロピルアルコール0.0gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0074】
比較例8
実施例1において、イオン交換水18.9gをイオン交換水7.8gに変更した以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0075】
比較例9
実施例1において、イオン交換水18.9gをイオン交換水9.7gに変更した以外は、同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、重合過程でシリコーン重合体がゲル化し、室温で液体のシリコーン重合体は得られなかった。
【0076】
比較例10
実施例1において、イソプロピルアルコールの量を、170.8gとした以外は、実施例1と同様にしてシリコーン重合体を合成したところ、中和液が分離せず、液体のシリコーン重合体が得られなかった。
【0077】
それぞれの実施例、比較例の製造方法およびシリコーン重合体の性状を表1〜4にまとめた。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
は炭化水素基を示す)で表される化合物8〜12モル%のシラン化合物を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下、シラン化合物の総計に対して、イソプロピルアルコールを0.5〜1.5重量倍、メチルイソブチルケトンを2.0〜3.0重量倍添加し、水を2.5〜3.3モル倍加え、反応させる製造方法であって、重量平均分子量が2000〜2600であり、末端はシラノール基であり、5〜40℃で液体であるシリコーン重合体の製造方法。