(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
指示情報により指定された物品のうち、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品を取り揃えるために第1番目のピッキング位置から第n番目(nは自然数)のピッキング位置に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める必要がある場合において、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品の全てを取り揃えるために想定される経路の候補数が閾値αを超えることを条件として、前記スケジュールの策定範囲を、第1番目から第a番目(aはnより小さい自然数)のピッキング位置に至るまでの範囲に限定するスケジュール策定深度調整処理がなされ、
前記スケジュール策定深度調整処理において、前記経路候補抽出部により抽出される前記経路候補の候補数が前記閾値α以下となるように前記スケジュールの策定範囲が限定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のピッキング作業管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術においては、上記特許文献1に開示されているもののように各作業者の作業能力等を考慮して負荷を調整するものは存在しているが、物品が準備されている各準備部においてピッキング作業を行う際に生じる負荷(ストレス)にまで配慮がなされたものは存在していない。そのため、従来技術のピッキング設備やピッキング方法では、ピッキング作業を行う作業者や装置に対して作用する負荷を抑制し、ピッキング作業を十分効率化できているとはいえない。
【0006】
そこで本発明は、ピッキング作業に伴い発生する負荷を最小限に抑制しつつ、効率的にピッキング作業を行えるようにするためのピッキング作業管理システム、及びこれを実現するためのプログラムを提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のピッキング作業管理システムは、物品が準備された複数の準備部から、予め指定された種類及び数量の物品を取り揃えるピッキング作業を管理するピッキング作業管理システムであって、前記準備部を識別するための準備部識別情報を規定する準備部識別情報規定部と、前記準備部に準備されている物品の種類と前記準備部識別情報との関係を規定する準備状態規定部と、ピッキング作業に伴う負荷を指数により規定する負荷指数規定部と、ピッキング作業により準備する物品の種類及び数量を指定する指示情報を受け付ける指示情報受付部と、前記指示情報に基づき物品の一部又は全部を各準備部から取り揃えるための経路の候補を経路候補として抽出する経路候補抽出部と、前記負荷指数規定部に規定された指数に基づき、予め指定された物品の一部又は全部を取り揃えるために要する負荷を総負荷として前記経路候補毎に導出する総負荷導出部と、前記経路候補抽出部により抽出された前記経路候補から、前記総負荷導出部により導出された前記総負荷に基づいて一の経路を最適経路として選択する最適経路選択部と、前記最適経路で物品の一部又は全部を取り揃えるようにピッキング作業のスケジュールを管理するスケジュール管理部と、を有することを特徴とする
【0008】
本発明のピッキング作業管理システムでは、指示情報に基づき物品を各準備部から取り揃えるための経路候補を経路候補抽出部で抽出し、物品を取り揃えるために要する総負荷を経路候補毎に導出できる。また、経路候補毎に導出された総負荷に基づき、ピッキング作業に適した経路を最適経路として選択し、最適経路で物品を取り揃えるようにピッキング作業のスケジュールを策定することができる。従って、本発明のピッキング作業管理システムによれば、ピッキング作業に伴い発生する負荷を最小限に抑制しつつ、効率的にピッキング作業を行えるような経路を選択し、スケジュールを策定できる。
【0009】
(2)本発明のピッキング作業管理システムは、前記最適経路選択部が、前記経路候補抽出部により抽出された前記経路候補のうち、前記総負荷導出部により導出された前記総負荷が最小となる経路で物品をピッキングする経路を選択することを特徴とする。
【0010】
本発明のピッキング作業管理システムは、総負荷が最小となる経路を物品のピッキングを行うものとして選択するため、作業主体の負担を最小限に抑制できる。
【0011】
(3)本発明のピッキング作業管理システムは、前記負荷指数規定部が、前記準備部への移動に伴って発生する負荷に基づいて規定された移動負荷テーブルを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明のピッキング作業管理システムは、負荷指数規定部に移動負荷テーブルが設けられたものであるため、移動に伴い作業者や作業を行う装置にかかる負荷を考慮に入れつつ、最適な経路でピッキング作業を行うように誘導できる。
【0013】
(4)本発明のピッキング作業管理システムは、前記準備部が、複数の区画により構成されており、前記負荷指数規定部が、ピッキング作業に伴う負荷を一又は複数の前記区画毎に規定するピッキング負荷テーブルを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明のピッキング作業管理システムは、負荷指数規定部にピッキング負荷テーブルが設けられたものである。そのため、本発明のピッキング作業管理システムによれば、区画の違いによる負荷(ストレス)の違いにまで考慮しつつ、ピッキング作業の最適化を図ることができる。
【0015】
(5)本発明のピッキング作業管理システムは、前記ピッキング負荷テーブルが、前記区画が配されている高さを加味して規定されることを特徴とする。
【0016】
本発明のピッキング作業管理システムでは、ピッキング負荷テーブルが、区画が配置されている高さを加味して規定されている。そのため、本発明のピッキング作業管理システムによれば、区画の高さの違いによる負荷(ストレス)の違いにまで配慮しつつ、ピッキング作業を最適化できる。
【0017】
(6)本発明のピッキング作業管理システムは、複数の作業主体によるピッキング作業を管理するものであり、前記負荷指数規定部が、一の作業主体によるピッキング作業が、他の作業主体によるピッキング作業の影響で待機状態になることにより生じる負荷に基づいて既定された待機負荷テーブルを備えていることを特徴とする。
【0018】
本発明のピッキング作業管理システムは、負荷指数規定部が待機負荷テーブルを備えており、他の作業主体によるピッキング作業の影響で待機状態になることにより生じる負荷を考慮してピッキング作業を最適化できる。
【0019】
なお、本出願において「作業主体」とは、ピッキング作業を行う人(作業者)だけでなく、機械化によりピッキング作業を行う装置(ピッキング装置)を設けた場合におけるピッキング装置を含む概念である。
【0020】
(7)本発明のピッキング作業管理システムは、複数の作業主体によるピッキング作業を管理するものであり、ピッキング作業の実施予定時間と作業主体との関係を管理するスケジュール管理部を有することを特徴とする。
【0021】
本発明のピッキング作業管理システムは、スケジュール管理部によりピッキング作業の実施予定時間と作業主体との関係を管理できる。これにより、各作業主体によるピッキング作業を最適化できる。
【0022】
(8)本発明のピッキング作業管理システムは、前記スケジュール管理部が、時間の最小区切り単位をタイムスライスと規定し、ピッキング作業の実施予定時間を前記タイムスライス数に基づいて管理可能であることを特徴とする。
【0023】
本発明のピッキング作業管理システムによれば、タイムスライス数に基づいてピッキング作業の実施予定時間を管理可能できるため、スケジュール管理を容易かつ精度良く行える。
【0024】
(9)本発明のピッキング作業管理システムは、指示情報により指定された物品のうち、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品を取り揃えるために第1番目のピッキング位置から第n番目(nは自然数)のピッキング位置に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める必要がある場合において、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品の全てを取り揃えるために想定される経路の候補数が閾値αを超えることを条件として、前記スケジュールの策定範囲を、第1番目から第a番目(aはnより小さい自然数)のピッキング位置に至るまでの範囲に限定するスケジュール策定深度調整処理がなされ、前記スケジュール策定深度調整処理において、前記経路候補抽出部により抽出される前記経路候補の候補数が前記閾値α以下となるように前記スケジュールの策定範囲が限定されることを特徴とする。
【0025】
本発明のピッキング作業管理システムにおいては、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品の全てを取り揃えるために想定される経路の候補数が閾値αを超えることを条件として、スケジュール策定深度調整処理がなされる。これにより、経路候補の候補数が閾値α以下となるようにスケジュールの策定範囲が限定され、スケジュールの策定処理に要する処理能力を軽減できる。
【0026】
(10)本発明のピッキング作業管理システムは、前記最適経路選択部により選ばれた経路で物品を取り揃えるようにピッキング作業を誘導する誘導指示を出力する誘導指示出力部を有することを特徴とする。
【0027】
本発明のピッキング作業管理システムによれば、最適経路選択部により選ばれた経路で物品を取り揃えるよう、誘導指示出力部から出力される誘導指示によりピッキング作業を誘導できる。これにより、作業主体となる作業者等が迷うことなく効率的にピッキング作業を行えるようになると共に、ピッキング作業に伴う負荷(ストレス)を最小限に抑制できる。
【0028】
(11)本発明のピッキング作業管理システムは、前記誘導指示出力部から出力された誘導指示に基づいてピッキング作業を行う作業主体に対して物品の取り揃え方法を報知する報知部と、物品の取り揃え状況を入力可能な状況入力部と、備えており、第1番目のピッキング位置から第n番目(nは自然数)のピッキング位置に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める必要がある場合に、前記報知部において前記ピッキング位置毎に分けて物品の取り揃え方法が報知され、各ピッキング位置において物品の取り揃えが完了した旨の入力が前記状況入力部になされることを条件として、次のピッキング位置における物品の取り揃え方法が前記報知部において報知されることを特徴とする。
【0029】
本発明のピッキング作業管理システムによれば、各ピッキング位置において報知部により報知された通りに物品を取り揃えればピッキング作業を進めることができる。そのため、本発明のピッキング作業管理システムによれば、作業主体となる作業者等の能力や経験等に依存することなく効率的にピッキング作業を行えるようになり、ピッキング作業に伴う負荷(ストレス)を最小限に抑制できる。また、各ピッキング位置において物品の取り揃えが完了した旨の入力が状況入力部になされることを条件として、次のピッキング位置における物品の取り揃え方法が報知部において報知されるため、物品の取り揃えが不十分なまま次々と物品の取り揃え方法が報知される等の問題が生じない。
【0030】
(12)本発明のピッキング作業管理システムは、前記報知部及び前記状況入力部が、携帯型情報端末において実現されていることを特徴とする。
【0031】
本発明のピッキング作業管理システムにおいては、報知部及び状況入力部が、例えばスマートフォンや携帯電話、PDAなどの携帯型情報端末において実現される。そのため、本発明のピッキング作業管理システムでは、携帯型情報端末を持参してピッキング作業を行うことにより報知部による報知を受けたり、状況入力部への入力作業を行ったりすることができる。
【0032】
(13)本発明のピッキング作業管理システムは、第1番目のピッキング位置から第n番目(nは自然数)のピッキング位置に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める物品収集具を有し、物品収集具が、n個以上の収容空間に区画されており、各ピッキング位置において収集された物品を、各収容空間に前記ピッキング位置毎に分類させて収集可能なものであることを特徴とする。
【0033】
本発明のピッキング作業管理システムにおいては、物品収集具に設けられた各収容空間に各ピッキング位置において取り揃えた物品を収容していくことによりピッキング作業を進めることができる。これにより、取り揃えるべき物品を漏れなく確実にピッキングすることが可能となる。
【0034】
(14)本発明のプログラムは、上記(1)〜(13)のいずれかに記載のピッキング作業管理システムの機能をコンピュータに実現させるものである。
【0035】
本発明のプログラムによれば、上述した本発明のピッキング作業管理システムをコンピュータを用いて実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ピッキング作業に伴い発生する負荷を最小限に抑制しつつ、効率的にピッキング作業を行えるようにするためのピッキング作業管理システム、及びこれを実現するためのプログラムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、ピッキング作業管理システム1及びこれを実現するためのプログラムの一例について説明する。ピッキング作業管理システム1は、物品が種類毎に分類されて準備された複数の準備部10から予め指定された種類及び数量の物品を取り揃える作業(ピッキング作業)を管理するためのものである。準備部10は、ピッキング作業に備え、物品を準備しておくためのものである。準備部10は、例えば物流倉庫において物品を保管しておく棚や、調剤薬局などにおいて調剤用の薬剤を種類ごとに分類して保管しておく調剤棚などにより構成することができる。
【0039】
ピッキング作業管理システム1は、ピッキング作業の管理を実現するためのプログラムがインストールされたコンピュータ2を中心として構成されている。前述したプログラムをインストールすることにより、コンピュータ2には、準備部識別情報規定部21、準備状態規定部22、負荷指数規定部23、指示情報受付部25、スケジュール深度決定部26、経路候補抽出部27、総負荷導出部28、最適経路選択部29、スケジュール管理部30、及び誘導指示出力部31が形成されている。
【0040】
準備部識別情報規定部21は、物品を準備するために複数設けられている準備部10を識別するためのID番号等の準備部識別情報を規定するものである。例えば準備部10として10台のラックが準備されている場合、準備部識別情報規定部21は、各ラックについてR1〜R10等のID番号を割り振ったものをテーブルとして記憶しておくことができる。
【0041】
準備状態規定部22は、各準備部10に準備されている物品の種類と、準備部識別情報との関係を規定するものである。例えば、準備状態規定部22は、各準備部10のID番号と、物品の種類を判別するための名称や品番などの情報とを関連づけたテーブルを規定することができる。
【0042】
負荷指数規定部23は、準備部10におけるピッキング作業に伴う負荷(ストレス)を指数により規定するものである。負荷指数規定部23は、移動負荷テーブル23a、ピッキング負荷テーブル23b、待機負荷テーブル23cなど、ピッキング作業に伴って負荷が発生すると想定される作業について、負荷を指数により規定したテーブルを備えている。本実施形態では、負荷指数規定部23は、前述した3つのテーブル23a,23b,23cを備えている。
【0043】
移動負荷テーブル23aは、ピッキング作業のために準備部10に移動すること伴って発生する負荷を指数(負荷指数)により規定するためのものである。例えば、移動負荷テーブル23aは、
図3に示すように、移動の起点となる準備部10と、移動先となる準備部10との距離等に基づき、移動による負荷(ストレス)を負荷指数により規定することができる。
【0044】
ピッキング負荷テーブル23bは、準備部10内から物品を取り揃える際に生じる負荷を指数(負荷指数)により規定するものである。本実施形態では、ピッキング負荷テーブル23bは、準備部10がいわゆる調剤棚のように上下左右方向に配列された複数の区画を有する場合を想定し、
図5に示すように、区画毎に負荷指数を規定したテーブルとされている。具体的には、準備部10がいわゆる調剤棚のように上下左右方向に配列された複数の区画を有する場合には、同じ準備部10から物品を取り揃える場合であっても、高さの違いなどにより作業主体にかかる負荷が相違するものと想定される。ピッキング負荷テーブル23bは、同一の準備部10であっても、物品が配置されている位置などの要因により、物品を取り揃える際に生じる負荷が相違する場合があることが想定される場合に、負荷を負荷指数により規定することができる。
【0045】
待機負荷テーブル23cは、一の作業主体によるピッキング作業に伴い、他の作業主体によるピッキング作業が待機状態になることにより生じる負荷を指数(負荷指数)により規定するためのものである。例えば、待機負荷テーブル23cは、
図6に示すように、待機時間が長くなるにつれて負荷指数が高くなるような関係を規定したものとすることができる。
【0046】
指示情報受付部25は、ピッキング作業により準備すべき物品の種類及び数量を指定する指示情報を受け付ける部分である。例えば、ピッキング作業管理システム1が調剤に用いられる場合には、処方箋情報が指示情報受付部25が受け付ける指示情報に該当する。また、ピッキング作業管理システム1が物流倉庫において用いられる場合には、同一の配送先に配送すべき物品をリストアップした配送情報が指示情報に該当する。
【0047】
スケジュール深度決定部26は、指示情報により指定された物品を取り揃えるための経路を決定する際に、何工程先までのスケジュールを策定すべきかを決定処理(スケジュール策定深度調整処理)を行うものである。具体的には、以後のピッキング作業により取り揃えるべき物品を取り揃えるために第1番目のピッキング位置から第n番目(nは自然数)のピッキング位置に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める必要がある場合、最大でn箇所を移動してピッキング作業を行うためのスケジュールを策定する必要がある。しかしながら、n箇所を移動してピッキング作業を行うためのスケジュールを策定しようとすると、候補となる経路の数が膨大になり、ピッキング作業管理システム1全体の処理速度の低下に繋がりかねない。そこで、ピッキング作業管理システム1においては、以後のピッキング作業によって取り揃えるべき物品の全てを取り揃えるために想定される経路の候補数が閾値αを超えることを条件として、スケジュールの策定範囲を、第1番目から第a番目(aはnより小さい自然数)のピッキング位置に至るまでの範囲に限定し、経路の候補数が閾値α以下に抑制する処理を行う。
【0048】
ここで、ピッキング作業により物品の全てを取り揃えるために想定される経路の候補数を導出する処理(経路候補数導出処理)は、様々なアルゴリズムにより実現可能であるが、例えば順列の概念を用いることにより導出可能である。具体的には、n箇所を移動してピッキング作業を行う場合に、x(xはn以下の自然数)工程先までの経路の候補数yを導出するためには、「y=nPx」の数式に則って導出できる。例えば、10箇所を移動してピッキング作業を行うためのスケジュールを策定しようとした場合、経路の候補数yは、10P10=3628800通りもの膨大な経路となる。これに対し、スケジュールの策定範囲を第2番目のピッキング位置に至るまでの範囲に限定すれば、経路の候補数yは、10P2=90通りとなり、経路の候補数が大幅に限定される。そのため、スケジュール深度決定部26によれば、閾値αをピッキング作業管理システム1全体の処理速度の低下を招かないと想定される範囲に設定し、スケジュールの策定範囲を限定することができる。
【0049】
経路候補抽出部27は、指示情報受付部25で受け付けられた指示情報に基づき、ピッキング作業により準備すべき物品の一部又は全部を各準備部10から取り揃えるための経路の候補を経路候補として抽出する処理を行うものである。例えば、A,B,Cの3種の物品がID番号がR1〜R3である準備部10に準備されている場合において、物品A,B,Cを取り揃える場合には、経路候補抽出部27は、(経路1)R1→R2→R3、(経路2)R1→R3→R2、(経路3)R2→R1→R3、(経路4)R2→R3→R1、(経路5)R3→R1→R2、(経路6)R3→R2→R1からなる6つの経路を経路候補として抽出する処理を行う。
【0050】
総負荷導出部28は、負荷指数に基づき、予め指定された物品の一部又は全部を取り揃えるために要する負荷を総負荷として経路候補毎に導出する処理を行うものである。総負荷は、負荷指数の単純和、総負荷の導出に最適化された加法関数、又は心理学や感性工学に基づいて規定された総負荷を導出するための所定の関数に基づいて算出する等、適宜の方法で算出可能である。本実施形態では、負荷指数の単純和により総負荷を導出することとしている。具体的には、上述のようにA,B,Cの3種の物品をID番号がR1〜R3である準備部10から取り揃える場合には、
図7に示す負荷集計表のようにして負荷指数を導出する処理を行う。
【0051】
例えば
図7に示すように、上記の(経路1)でピッキング作業を行う場合、先ず所定の地点から第1番目のピッキング位置にある準備部10(ID=R1)に到達するまでの移動による負荷指数が1、第1番目のピッキング位置において物品Aを取り揃えるための負荷指数が3、第1番目のピッキング位置で待機することによる負荷指数が2である。また、第1番目のピッキング位置から第2番目のピッキング位置にある準備部10(ID=R2)に到達するまでの移動による負荷指数が10、第2番目のピッキング位置において物品Bを取り揃えるための負荷指数が1、第2番目のピッキング位置で待機することによる負荷指数が4である。さらに、第2番目のピッキング位置から第3番目のピッキング位置にある準備部10(ID=R3)に到達するまでの移動による負荷指数が1、第3番目のピッキング位置において物品Cを取り揃えるための負荷指数が0、第3番目のピッキング位置で待機することによる負荷指数が0、第3番目のピッキング位置から所定の地点まで戻る移動による負荷指数が11である。そのため、(経路1)でピッキング作業を行う場合の総負荷は33である。総負荷導出部28は、(経路2)〜(経路6)についても同様の算出方法により各経路毎に総負荷を導出できる。なお、
図7に示す例においては、物品A,B,Cを各準備部10において取り揃えるための負荷指数がいずれの経路を通過しても同一である。このように、比較対象となる各経路について総負荷を導出する際に負荷指数が同一となる要素がある場合には、同一となる要素を負荷指数の導出に加味しなくても良い。
【0052】
最適経路選択部29は、経路候補抽出部27により抽出された経路候補から最適なものを最適経路として選択する処理を行うものである。最適経路選択部29による最適経路の選択処理のアルゴリズムはいかなるものであっても良いが、例えば総負荷導出部28により導出された総負荷が最小となる経路を選択する方法など、総負荷導出部28により導出された総負荷を指標として一の経路を最適経路として選択する処理を行うものとすることができる。
【0053】
スケジュール管理部30は、ピッキング作業の実施予定時間と作業主体との関係を準備部10毎に管理することができる。具体的には、スケジュール管理部30は、各準備部10(本実施形態ではR1〜R10)がどの時間にどの作業主体(例えばP1〜P5)に割り当てられているかを
図8に示すようなスケジュール表により経時的に管理できる。また、スケジュール管理部30は、各作業主体(本実施形態ではP1〜P5)が作業に従事する準備部10の遷移を、
図9に示すようなスケジュール表により経時的に管理することも可能である。
【0054】
また、スケジュール管理部30は、
図4に示すような移動時間テーブル30aを備えている。移動時間テーブル30aは、移動の起点となる位置から移動先となる位置まで移動するのに要すると想定される時間(移動時間)を規定したものである。移動時間テーブル30aは適宜設定することが可能であるが、例えば
図4に示すように、同一地点間の移動であっても起点となる地点が入れ替わることで移動時間が相違するようにするなど、移動に伴う事情を考慮して設定されることが好ましい。具体的には、
図4の例においては、R1とR10との間の移動であっても、1階にあるR1を移動の起点として3階にあるR10まで移動する場合に要する時間(122秒)と、3階にあるR10を移動の起点として1階にあるR1まで移動する場合に要する時間(117秒)とで、想定される移動時間を相違させている。このように、個別事情を加味しつつ移動時間テーブル30aを設定することも可能である。
【0055】
また、スケジュール管理部30は、上述した移動時間テーブル30aに基づき、各作業主体が移動起点から移動先への到着予定時間を導出できる。また、スケジュール管理部30は、到着予定時間に基づき、移動主体がピッキング作業に備えて待機する待機時間を導出できる。
【0056】
ここで、スケジュール管理部30は、別途設けた時計等から受信した実際の時間(時刻)や電源投入後の経過時間等により時間管理することも可能であるが、本実施形態では時間の最小区切り単位をタイムスライスと規定し、タイムスライスの概念に基づいてスケジュール管理するものとされている。具体的には、所定時間(例えば5秒毎)の区切り時間をタイムスライスとして想定すると、
図8や
図9に示すように時系列に各準備部10および各作業主体の状態をタイムスライスの概念を用いて規定できる。タイムスライスの1単位分の長さは、前述した5秒に限定されるものではなく、例えば1秒、10秒、1分、5分など、ピッキング作業を行う現場の事情などを考慮して適宜設定可能である。例えば、調剤室での作業がピッキング作業管理システム1の管理対象である場合には、2〜5秒程度が適切と想定される。
【0057】
また、スケジュール管理部30は、ピッキング作業の資源(リソース)たりうる各準備部10の割り当てについてスケジュール管理を行うことも可能である。具体的には、スケジュール管理部30は、各準備部10毎に、タイムスライスと割り当てられた作業主体との関係を、
図10に示すようなスケジュール表に基づいて管理することができる。この表において、作業主体のIDを示す欄(オーナーID欄)が正の値である場合は、IDがその値である作業主体に準備部10の使用が割当られていることを示している。また、オーナーID欄がゼロ(0)である場合は、いずれの作業主体にも準備部10の使用が割り当てられていない状態、負の場合は物品の補充などのメンテナンスを行う作業主体に準備部10の使用が割当られている状態を意味してる。また、残時間スライス数の欄には、その時点であと何単位スライス分占有される予定であるかを表す情報が入力されている。
【0058】
図10の例に則り、この表で管理されている準備部10にIDが5番である作業主体(以下、「5番作業者」とも称す)がスライス7231の時点までには到着できそうな場合を例に挙げ、スケジュール管理部30により実行される処理について説明する。この場合、先ずスケジュール管理部30は、スライス7231のオーナーID欄及び残時間スライス数の欄を参照する。この例では、
図10(a)に示すようにオーナーID欄及び残時間スライス数の欄が共にゼロ(0)である。オーナーID欄がゼロ(0)であるため、この準備部10にはタイムスライス7231の時点で他の作業主体についての使用予約は登録されていない。また、タイムスライス7231における残時間がゼロ(0)であるため、この準備部10を無制限に利用可能である。そのため、スケジュール管理部30は、5番作業者の予定作業時間分のタイムスライスを5番作業者のために割り当てる処理を行う。
【0059】
具体的には、スケジュール管理部30は、
図10(b)に示すように、占有予定である各スライス(
図10の例では7231〜7240)について、オーナーID欄に5番作業者のIDを記入する。また、スケジュール管理部30は、作業予定である期間の最初のタイムスライスから最後のタイムスライスまでの各残時間スライス数の欄に、その時点における残りの占有予定期間をタイムスライス数で記入する。具体的には、
図10(b)の例ではタイムスライス7231から10タイムスライス分の期間に亘って5番作業者が準備部10を占有するため、タイムスライス7231〜7240に亘って10から1までカウントダウンするように残時間スライス数を記入する。さらに、5番作業者のために割り当てられたタイムスライス7231から遡り、一つ前の予定に出くわすまでの期間(
図10(b)の例ではタイムスライス7222の時点まで)に亘って、残時間スライス数を記入する。
【0060】
ここで、タイムスライス7222からタイムスライス7230の間のように、オーナーIDがゼロ(0)であって、残時間タイムスライス数が経時的にカウントダウンする期間について、この期間内で作業完了が見込める他のタスクのリクエストがあれば、この期間にそのタスクを割り当て可能である。具体的には、
図10(b)の例においてタイムスライス7207にIDが6番である作業主体(以下、「6番作業者」とも称す)が到着可能な場合には、オーナーID欄がゼロ(0)であり、残時間スライス数が7であるため、7タイムスライス数以内であれば、6番作業者の予約を登録可能な状態である。この例では、6番作業者が6スライス数分の作業を行う予定であるため、
図10(c)に示すようにタイムスライス7207から6スライス分の期間に亘ってオーナーID欄に予約を登録する作業主体のID(本実施形態では「6」)が記入される。また、タイムスライス7207から6スライス分に亘って、残時間スライス数の欄が6からカウントダウンするように更新されると共に、タイムスライス7206から遡り、一つ前の予定に出くわすまでの期間(
図10(c)の例ではタイムスライス7206)について残時間スライス数が記入される。
【0061】
誘導指示出力部31は、最適経路選択部29により選ばれた経路で物品を取り揃えるようにピッキング作業を誘導する誘導指示を出力するものである。本実施形態では、誘導指示出力部31から後に詳述する通信端末50に向けて誘導指示を出力可能とされている。
【0062】
ピッキング作業管理システム1は、上述したコンピュータ2と直接的あるいは間接的に通信可能な通信端末50を備えている。通信端末50は、作業主体毎に設けられている。通信端末50は、有線によりコンピュータ2と通信可能なものであっても良いが、作業主体が自由に移動可能としてピッキング作業を効率的に行えるようにするためには無線によりコンピュータ2と通信可能なものであることが望ましい。具体的には、通信端末50は、従来公知のスマートフォンや携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、PDAなど携帯可能であって無線で通信可能な端末であることが望ましい。また、通信端末50は、携帯性や拡張性が高く、操作性に優れた携帯型の情報端末であるあることが望ましい。そのため、通信端末50には、スマートフォンやPDAが好適に利用可能である。
【0063】
通信端末50は、報知部51及び状況入力部52を備えている。報知部51及び状況入力部52は、通信端末50をピッキング作業管理システム1の専用品として準備するなどして報知部51や状況入力部52に相当する部材を設けても良いが、上述のスマートフォンなどの汎用品を通信端末50として用いる場合には、アプリケーションソフトをインストールする等の手法により報知部51や状況入力部52を構築しても良い。
【0064】
報知部51は、コンピュータ2側に設けられた誘導指示出力部31から出力された誘導指示に基づき、通信端末50に割り当てられた作業主体に対して物品の取り揃え方法を報知するものである。報知部51は、第1番目のピッキング位置(準備部10)から第n番目(nは自然数)のピッキング位置(準備部10)に至る経路を経てn箇所に分散された物品を集める必要がある場合に、ピッキング位置毎(準備部10毎)に物品の取り揃え方法を報知する。報知部51は、表示による報知や、音声による報知、振動による報知など様々な方法で物品の取り揃え方法を報知することができるが、例えば
図11に示すように取り揃えるべき物品の名称や画像、数量などを表示することにより報知するようにしても良い。また、報知部51は、表示、音声、振動などの報知方法から選ばれる一つの方法で報知するものに限られず、複数の報知方法を組み合わせて報知するようにしても良い。
【0065】
状況入力部52は、ピッキング作業による物品を取り揃え状況を入力するものである。状況入力部52は、通信端末50に設けられた機械式のボタンなどによって構成することも可能であるが、通信端末50の表示画面に画像により表示されたボタンや入力フォーム等によって実現したり、音声入力などの手法により実現することが可能である。本実施形態では、
図11に示すように、報知部51による報知により指示されている種類及び数量の物品を取り揃えた段階で通信端末50の表示画面に表示されたボタン画像(図中の「次へ」ボタンに相当)を選択することにより、指示された物品の取り揃えが完了した状態であることを入力可能としている。
【0066】
報知部51により第m番目(mは1≦m<nを満足する自然数)のピッキング位置(準備部10)で取り揃えるべき物品が取り揃えられたことが状況入力部52により入力されると、報知部51は、通信端末50の表示画面を(m+1)番目のピッキング位置(準備部10)で取り揃えるべき物品の種類及び数量とピッキング位置を指示する報知に切り替える。報知部51により報知されている報知が、第n番目のものである、すなわち最終のピッキング位置で取り揃えるべき物品に関するものである場合には、状況入力部52により取り揃え完了の旨の入力がなされると、ピッキング作業が完了した旨の報知を行う。
【0067】
本実施形態のピッキング作業管理システム1では、例えば
図14に示すような物品収集具60がピッキング作業に用いられる。物品収集具60は、カゴなどの携帯可能な容器により構成されている。物品収集具60は、物品を収容するための収容空間が複数の区画61に区画されている。各区画61には番号が付されている。そのため、報知部51により取り揃えるべき物品の名称や画像、数量などと共に、取り揃えた物品をどの区画61に投入すべきかを報知することにより、物品を取り揃えつつ区分けすることが可能となる。区画61の数は任意であるが、第1番目のピッキング位置(準備部10)から第n番目(nは自然数)のピッキング位置(準備部10)に至る経路を経て物品を収集する場合には、n個以上の区画61を有する物品収集具60を用いることが望ましい。
【0068】
図12は、ピッキング作業管理システム1においてピッキング作業を行う場合の流れを示したフローチャートである。以下、このフローチャートに則ってピッキング作業の流れについて説明する。
【0069】
(ステップS101)
ステップS101は、指示情報受付部25への指示情報の入力の有無が確認される。指示情報の入力が確認されると、ステップS102に制御が進められる。
【0070】
(ステップS102)
ステップS102では、ピッキング作業により取り揃えるべき物品の残数の有無が確認される。ここで、残数有りの場合にはステップS103に制御が進められ、残数無しの場合には制御が終了する。
【0071】
(ステップS103)
ステップS103では、次作業決定処理が行われる。次作業決定処理は、次に取り揃えるべき物品についてのピッキング作業に関し、最適な移動経路を選択する処理、取り揃えるべき物品の種類や数量を決定する処理、決定された経路や物品の種類、数量等の情報を報知する処理などを行うものである。次作業決定処理は、
図13に示したサブルーチンに則って行われる。その後、ステップS104に制御が進められる。
【0072】
(ステップS104)
ステップS104では、ステップS103において決定された作業方法等によるピッキング作業の実施状況が確認される。ステップS103で作業方法等が決定されたピッキング作業が完了したことが確認されるまでは制御がステップS104に留まり、ピッキング作業の完了が確認されると、ステップS102に処理が戻される。
【0073】
このようにして、ステップS102においてピッキング作業により取り揃えるべき物品の残数が無いと判断されるまで処理を継続することにより、作業主体にかかる負荷(ストレス)を最小限に抑制しつつ、取り揃えるべき物品を漏れなく確実にピッキングすることができる。
【0074】
図13は、次作業決定処理についての処理の流れを示したフローチャートである。以下、このフローチャートに則って次作業決定処理の流れについて説明する。
【0075】
(ステップS201)
ステップS201では、スケジュール深度決定部26により、スケジュールの策定深度が決定される。その後、ステップS202に処理が進められる。
【0076】
(ステップS202)
ステップS202では、経路候補抽出部27により、指示情報受付部25で受け付けられた指示情報、及びステップS201で決定されたスケジュールの策定深度に基づき、ピッキング作業により準備すべき物品の一部又は全部を各準備部10から取り揃えるための経路の候補を経路候補として抽出する処理が行われる。ここで、以後のピッキング処理によりn箇所に分散された物品を集める必要がある場合において、スケジュールの策定深度が第1番目から第a番目(aはnより小さい自然数)のピッキング位置に至るまでの範囲に限定されている場合には、a番目までの範囲に限定して経路候補を抽出する処理が行われる。その後、ステップ203に処理が進められる。
【0077】
(ステップS203)
ステップS203では、総負荷導出部28により総負荷導出処理が行われる。総負荷導出処理は、ステップS202において抽出された各経路について行われる。その後、ステップS204に処理が進められる。
【0078】
(ステップS204)
ステップS204では、最適経路選択部29により、ステップS202において抽出された経路候補からピッキング作業に最適な経路を決定する処理が実行される。具体的には、ステップS204においては、ステップS203での総負荷導出処理により経路候補毎に導出された総負荷を比較し、総負荷が最も小さい経路が最適経路として決定される。その後、ステップS205に処理が進められる。
【0079】
(ステップS205)
ステップS205では、スケジュール管理部30により、ステップS204において選択された最適経路に基づいてピッキング作業を進めることができるように、各準備部10を使用するための予約を入れる処理(予約処理)を行う。具体的には、上述したように、予約情報データベース32には、実施予定時間と作業主体との関係が各準備部10毎に記録可能とされている。具体的には、最適経路でピッキング作業を行う場合に、各準備部10への到達予想時点から、物品の取り揃えに要すると想定される時間に亘って作業予定時間として記録する。本実施形態では、タイムスライスの概念を用いて時間管理がなされているため、各準備部10への到達予想時点に相当するタイムスライスから、物品の取り揃えに要すると想定される時間分のタイムスライスがピッキング作業のために使用されるタイムスライスであるとして登録される。このようにして、最適経路でピッキング作業を行う際に経由する各準備部10(ピッキング位置)について、予約情報データベース32に作業予定時間として記録する処理を行うことにより、各準備部10についての使用予約がなされる。また、予約情報データベース32に使用予約がなされた時間帯については、他の作業主体についての使用予約は登録不可能な状態になる。このようにして、ステップS205における予約処理が完了すると、
図13のサブルーチンが終了する。
【0080】
本実施形態のピッキング作業管理システム1は、指示情報に基づき物品を各準備部10から取り揃えるための経路候補を経路候補抽出部27で抽出し、物品を取り揃えるために要する総負荷を経路候補毎に導出できる。また、経路候補毎に導出された総負荷に基づき、ピッキング作業に適した経路を最適経路として選択し、最適経路で物品を取り揃えるようにピッキング作業のスケジュールを策定することができる。そのため、ピッキング作業管理システム1によれば、ピッキング作業に伴い発生する負荷を最小限に抑制しつつ、効率的にピッキング作業を行えるような経路を選択し、スケジュール管理できる。
【0081】
また、ピッキング作業管理システム1では、総負荷導出部28により導出された総負荷が最小となる経路で物品をピッキングする経路が選択される。そのため、ピッキング作業管理システム1によれば、ピッキング作業により作業主体にかかる負担を最小限に抑制できる。なお、本実施形態では、総負荷導出部28により導出された総負荷が最小となる経路をピッキング作業用の経路として選択する例を示したが、総負荷が最小となる経路以外の経路をピッキング作業用の経路として選択するようにしても良い。
【0082】
上述したピッキング作業管理システム1は、移動負荷テーブル23aと、ピッキング負荷テーブル23bと、待機負荷テーブル23cとを備えているため、移動やピッキング作業、待機時間の発生に伴って作業主体にかかる負荷を考慮に入れ、ピッキング作業の経路を最適化できる。なお、本実施形態では、移動負荷テーブル23a、ピッキング負荷テーブル23b、及び待機負荷テーブル23cを備え、移動やピッキング作業、待機時間の発生に伴う負荷を経路選択の指標として利用する例を示したが、これらのうちいずれか一つ又は複数のテーブルを備えない構成としたり、これらに代えてあるいは加えて別の観点で負荷指数を規定したテーブルを設け、経路選択の指標として利用するようにしても良い。また、ピッキング作業管理システム1では、ピッキング負荷テーブル23bが、物品が準備されている区画の高さを加味して規定されたものであるが、高さに代えてあるいは加えて他の要素を加味して規定されたものであっても良い。
【0083】
本実施形態のピッキング作業管理システム1では、スケジュール管理部30により、ピッキング作業を行う複数の作業主体によるピッキング作業について、ピッキング作業の実施予定時間と作業主体との関係を管理できる。そのため、ピッキング作業管理システム1によれば、一箇所の物流倉庫や調剤室等で複数の作業主体が従事する場合であっても、各作業主体によるピッキング作業を効率良く行えるよう、管理することができる。
【0084】
本実施形態では、スケジュール管理部30が、時間の最小区切り単位をタイムスライスと規定し、ピッキング作業の実施予定時間をタイムスライス数に基づいて管理している。これにより、スケジュール管理部30によるスケジュール管理を容易かつ精度良く行える。なお、本実施形態では、タイムスライスという概念を導入し、これに基づいてスケジュール管理を行う例を示したが、タイムスライスという概念を用いることなく実際の時刻や電源投入後の経過時間等に基づいてスケジュール管理を行うようにしても良い。
【0085】
また、本実施形態のピッキング作業管理システム1では、スケジュール深度決定部26によりスケジュール策定深度調整処理を行うことで、経路候補抽出部27により抽出される経路候補の候補数が閾値α以下となるようにスケジュールの策定範囲が限定可能とされている。そのため、ピッキング作業管理システム1では、スケジュールの策定処理に要する処理能力を軽減できる。なお、本実施形態では、スケジュール深度決定部26によりスケジュールの策定深度を調整可能とした例を示したが、ピッキング作業管理システム1はスケジュール深度決定部26を備えていないものであっても良い。また、スケジュール深度決定部26によりスケジュールの策定深度の調整方法は上述したものに限られず、例えばユーザーによりスケジュールの策定深度を任意に設定可能とするなどしても良い。
【0086】
本実施形態のピッキング作業管理システム1では、誘導指示出力部31から出力される誘導指示に則ってピッキング作業を行うことにより、最適経路選択部29により選ばれた経路で物品を取り揃えることができる。そのため、ピッキング作業管理システム1によれば、作業主体が迷うことなく効率的にピッキング作業を行えると共に、ピッキング作業に伴う負荷(ストレス)を最小限に抑制できる。
【0087】
ピッキング作業管理システム1では、報知部51においてピッキング位置(準備部10)毎に分けて物品の取り揃え方法が報知される。そのため、各ピッキング位置(準備部10)において報知部51により報知された通りに物品を取り揃えればピッキング作業を進めることができ、作業主体の能力や経験等に依存することなく効率的にピッキング作業を行える。また、各ピッキング位置において物品の取り揃えが完了した旨の入力が状況入力部52になされることを条件として、次のピッキング位置における物品の取り揃え方法が報知部51において報知されるため、物品の取り揃えが不十分なまま次々と物品の取り揃え方法が報知される等の問題が生じない。なお、本実施形態では、各ピッキング位置(準備部10)毎に分けて取り揃えるべき物品の種類や数量等を報知する例を示したが、各ピッキング位置(準備部10)において取り揃えるべき物品の種類や数量等を一覧表にするなどして纏めて報知するようにしても良い。
【0088】
本実施形態のピッキング作業管理システム1では、いわゆるスマートフォンなどの携帯型情報端末により報知部51及び状況入力部52が実現されている。そのため、ピッキング作業管理システム1では、携帯型情報端末を持参してピッキング作業を行うことにより報知部51による報知を受けたり、状況入力部52への入力作業を行ったりすることができる。
【0089】
本実施形態のピッキング作業管理システム1では、カゴ等により構成された物品収集具60を用いて各ピッキング位置(準備部10)において収集された物品を、各区画61にピッキング位置毎に分類して収集可能とされている。これにより、取り揃えるべき物品を漏れなく確実にピッキングすることが可能となる。なお、本実施形態では、物品収集具60を用いてピッキング作業を行えるようにした例を示したが、物品収集具60を用いることなくピッキング作業を行う構成であったり、区画61に区分されていない一般的なカゴなどの容器を物品収集具60の代わりに用いるようにしても良い。
【0090】
また、本実施形態では、汎用品のコンピュータ2にピッキング作業管理システム1をインストールすることによりピッキング作業管理システム1の各機能を発揮可能とした例を示したが、ピッキング作業管理システム1の各機能を発揮させるための専用品として機能する制御装置をコンピュータ2の代わりに用いても良い。