【実施例1】
【0019】
(1)エアフィルターの製造
原料として、ポリスルホン、ゼオライト粒子、NMPを用いた。
【0020】
室温にて、ポリスルホン30質量%、ゼオライト粒子30質量%、NMP40質量%となるように原料を混合し、ゼオライト粒子が分散したポリスルホンの溶液を作製した。この溶液をシリンジに入れ、シリンジの先を水中に入れた状態でシリンジの先から溶液を水中に押し出すと、水中に繊維が成形された。得られた繊維は、多孔質のポリスルホン中にゼオライト粒子が取り込まれている構造を有していた。
【0021】
つぎに、内径40mmのステンレス製の円筒内に上記で作製した繊維を入れ、油圧プレス機を用いて100kgf/cm
2の圧力で加圧してペレット化し、直径40mm、厚さ約10mmのエアフィルターを得た。
【0022】
(2)放射性セシウムを含むミストの除去試験
製造したエアフィルターを用いて、放射性セシウムを含むミストの除去試験を行った。試験に用いた実験装置概略図を
図1に示す。
【0023】
超音波霧化装置を用いて、放射性セシウムを含む検体液を霧化して直径約4μmのミストを生成させた。このミストを含む気体をドライ真空ポンプにより吸引し、吸着装置に設けられた吸着材(エアフィルター)と接触させた。吸着材を通過した気体を氷水で冷却されたトラップに導き、気体に含まれる水分を凝縮させて検出液として回収した。
【0024】
吸着材としては、本実施例のエアフィルターのほか、比較例として、本実施例のエアフィルターと同じサイズ(直径40mm、厚さ約10mm)に加工した、外気処理用の中性フィルターとして用いられる市販のポリエステルモダアクリル製のフィルター(比較例1)と、業務用及び家庭用エアコンのフィルターとして用いられる市販のウレタン樹脂性のフィルター(比較例2)を用いて、同条件にて試験を実施した。
【0025】
そして、試験前の検体液の放射性セシウム濃度と、試験後の検出液の放射性セシウム濃度を測定し、計算式{(試験前検体液放射性セシウム濃度−試験後検出液放射性セシウム濃度)/試験前検体液放射性セシウム濃度}×100により、放射性セシウムの除去率を求めた。
【0026】
その結果を下表に示す。比較例1、2ではほとんど放射性セシウムを除去できなかったが、実施例では、約90%の放射性セシウムを除去することができた。
【0027】
【表1】
【0028】
(3)アンモニアの除去試験
製造したエアフィルターを用いて、アンモニアの除去試験を行った。試験に用いた実験装置概略図を
図2に示す。
【0029】
アンモニア検知機を備えた約78Lの密閉容器中にアンモニアの気体発生源を収容し、アンモニアを発生させた。アンモニアの初期濃度は、49.4ppmであった。このアンモニアを含む気体をドライ真空ポンプにより6L/分の吸引速度で吸引し、吸着カラム(断面積約9.6cm
2、長さ約38cm、容積約365cm
3)に充填した吸着材(エアフィルター)(充填量102g、充填密度約279g/L)と面速度約104cm/秒で接触させた。また、気体は密閉容器と吸着カラムの間を循環させた。
【0030】
そして、密閉容器に設けたアンモニア検知機により、アンモニア濃度を測定した。
【0031】
その結果を
図3〜5に示す。本実施例の吸着材(エアフィルター)は、アンモニアを除去することができた。
【0032】
この結果をもとに、一般公衆トイレ(10m×5m×3m)の想定空間150m
3において、アンモニア除去率のシミュレーションを行った。吸着材(エアフィルター)は、断面積0.25m
2、長さ2.5cm、体積6250cm
2、重量6.25km(比重を1とする)と想定した。また、面速度は、公衆トイレ内の水が飛び散らない速度の2.5m/秒とし、それに合わせて通気速度は0.625m
3/秒(37500L/分)とした。
【0033】
アンモニアの初期濃度を50ppmとして計算したところ、
図6に示すように数分でアンモニアの80%以上を除去することができるという結果が得られ、本発明のエアフィルターが公衆トイレのアンモニア除去に使用可能であることが確認された。