特許第6795825号(P6795825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6795825
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】天然皮革の立体模様を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C14B 1/56 20060101AFI20201119BHJP
   C14B 5/02 20060101ALI20201119BHJP
   C14B 17/00 20060101ALI20201119BHJP
   B44C 1/24 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   C14B1/56
   C14B5/02
   C14B17/00
   B44C1/24 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-128248(P2019-128248)
(22)【出願日】2019年7月10日
【審査請求日】2019年7月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年4月9日〜4月15日開催のSalone Satellite 2019
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502010549
【氏名又は名称】有限会社ニシイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
(74)【代理人】
【識別番号】100161252
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】西井 宏之
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−188100(JP,A)
【文献】 特開平07−138600(JP,A)
【文献】 特開2016−210110(JP,A)
【文献】 特開昭62−130824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C14B 1/00−99/00
B44C 1/00− 1/14,
1/18− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然皮革に立体的模様を形成する方法であって、該立体模様をデザインする工程と、該デザインに基づいてメス金型を彫刻する工程と、該メス金型とアテ製造用上蓋とを用いて200℃まで耐えられる耐熱性を備えた硬度60〜70度(タイプA JIS K 6253−1997)の弾性のアテを製造する工程と、前記メス金型と該アテを内面に取付け、かつ、前記アテと接触する部分において、該アテの立体模様を付した部分の裏面部と、外周部と、を除いて段下げしている皮革加工用上蓋とを用いて材料の天然皮革シートを所定の温度と所定の圧力で所定の時間をかけて加熱加圧する工程と、からなることを特徴とする天然皮革に立体模様を形成する方法。
【請求項2】
前記所定の温度が、90℃〜110℃、前記所定の圧力が120〜180kgf・cm、前記所定の時間が1〜30秒であることを特徴とする請求項1に記載の天然皮革に立体模様を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然皮革に、彫が鋭く深い立体模様を形成する方法及びその製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天然皮革に金型を用いてプレス加工をしても、天然皮革にダメージを与えて割れや破れが発生する。そこで、天然皮革に割れや破れの発生が起こらないようにすれば、角が丸くなってしまったり、鋭い角度を持つ立体模様を付けることができなかったり、深い立体模様を付けることもできなかったという問題があった。
【0003】
そこで、皮革素材を加熱蒸気に晒した状態で、皮革素材の裏側に芯地を貼り付けた後、皮革素材の表面を弾性力のある平坦な支持面に載置して、皮革素材を、芯地の上面から所定時間加圧して、保形処理する工程を備えた皮革素材の立体模様加工方法の先行技術が開示されている(参考文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−105307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の先行技術は、蛇腹状の凹凸をつくり、プリーツ加工ができることについては優れているが、加熱蒸気に晒しても角度が鋭く深い立体模様を付けることができないし、また、芯地を必要としているので、皮革素材のみで立体形状を保つことができないという問題があった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決したものであって、天然皮革素材に、鋭く深い立体模様をつけることができる皮革の立体模様を形成する方法及びその製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本願発明の請求項1に係る皮革の立体模様を形成する方法は、天然皮革に立体的模様を形成する方法であって、該立体模様をデザインする工程と、該デザインに基づいてメス金型を彫刻する工程と、該メス金型とアテ製造用上蓋とを用いて200℃まで耐えられる耐熱性を備えた硬度60〜70度(タイプA JIS K 6253−1997)の弾性のアテを製造する工程と、前記メス金型と該アテを内面に取付け、かつ、前記アテと接触する部分において、該アテの立体模様を付した部分の裏面部と、外周部と、を除いて段下げしている皮革加工用上蓋とを用いて材料の天然皮革シートを所定の温度と所定の圧力で所定の時間をかけて加熱加圧する工程と、からなることを特徴とする。
【0008】
この構成を採用することにより、本発明に係る天然皮革の立体模様を形成する方法は、まず、製造したい皮革製品のデザインを決め、そのデザインを基にしてメスの金型を彫刻する。次に、そのメスの金型とアテ(当て物)製造用上蓋とを使って、耐熱性を備えた弾性のアテを加熱、加圧して製造する。その後、該メスの金型と、該アテを取付けた皮革加工用上蓋を用いて、材料の天然皮革シートを、所定時間、加熱、加圧することによって、該皮革に立体模様を形成することができる。
【0009】
ここで、金型の上蓋に、耐熱性を備えた弾性のアテ(オス)を使用しているので、天然皮革にダメージを与えることなく確実にメスの金型に押し込むことができる。よって、所定の温度と圧力を、所定の時間加えることによって、彫りが鋭く深い立体模様を天然皮革に施すことができる。
【0010】
本願発明の請求項2に係る天然皮革の立体模様を形成する方法は、請求項1に記載の皮革の立体模様を形成する方法において、前記所定の温度が、90℃〜110℃、前記所定の圧力が120〜180kgf・cm、前記所定の時間が1〜30秒であることを特徴とする。
【0011】
これらの構成によって、アテの弾性が硬度60〜70度(タイプA JIS K 6253−1997)であるので、天然皮革素材を傷つけずに、メス金型に最適な強さで圧入させることができる。また、アテを取付ける皮革加工用上蓋に段下げが施されており、加熱加圧した際に、立体模様をつける部分以外の部分の不要な圧力を逃がすことができるので、天然皮革シートに傷がつくのを防止できる。それと裏腹に、アテの立体模様部の裏面が接触する部分は段下げが施されていないので、加圧した際に、天然皮革シートに確実に力を伝えることができる。よって、天然皮革シートに彫が鋭く深い立体模様を付けることができる。また、前記所定の温度が90℃〜110℃、前記所定の圧力が120〜180kgf・cm、前記所定の時間が1〜30秒で加熱加圧すれば、彫りが鋭く深くなっているメス金型であっても、金型のとおりに、天然皮革シートに立体的模様を付けることができると共に、時間が経過しても型崩れを起こさない。
【0012】
また、本発の天然皮革シートは、請求項1又は2に記載の天然皮革の立体模様を形成する方法により、彫が鋭く深い立体模様を形成した。
【0013】
この構成によって、本発明に係る天然皮革シートは、彫が鋭く深い立体模様を付けることができる。よって、本発明に係る天然皮革シートを材料に用いれば、財布、カバン、ソファー、自動車の内装等に、天然皮革を材料にしても、立体模様を付けることができるので、従来なかった斬新な形状の立体模様を施すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る請求項1からに記載の天然皮革の立体模様を形成する方法によれば、天然皮革シートを傷付けず、また天然皮革シートのみで立体模様を施すことができる。
【0015】
本発明の天然皮革シートによれば、皮革が破損することなく、彫りが鋭く深い立体模様を付けることができると共に、時間が経過しても型崩れしない。また、本発明に係る天然皮革シートを材料に用いれば、財布、カバン、ソファー、自動車の内装等に、天然皮革を材料にしても、鋭く深い立体模様を付けることができるので、従来なかった斬新な形状の立体模様を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施するための形態に係る天然皮革に立体模様を形成する方法のフロー図である。
図2】本発明の実施するための形態に係る天然皮革に立体模様を形成する方法であって、(a)はアテの模式的斜視図、(b)はメス金型の模式的斜視図、(c)は、アテを製造するための上蓋の模式的斜視図、(d)は、皮革加工用上蓋の模式的斜視図である。
図3】本発明の実施するための形態に係る天然皮革に立体模様を形成する方法であって、上蓋にアテを取付けた状態の模式的斜視図である。
図4】本発明の実施するための形態に係る天然皮革に立体模様を形成する方法であって、天然皮革を加温加圧している状態の模式的斜視図である。
図5】本発明の実施するための形態に係る天然皮革に立体模様を形成する方法で製造した天然皮革シートの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る天然皮革に立体模様を形成する方法は、図1に示すように、立体模様をデザインする工程と、そのデザインに基づいてメス金型を彫刻して作成する工程と、そのメス金型とアテ製造用上蓋とを用いて、耐熱性を備えた弾性のアテを製造する工程と、前記メス金型と、アテを内面に取付けた皮革加工用上蓋と、を用いて、材料の天然皮革シートを所定の温度と所定の圧力で、所定時間加熱加圧する工程と、から構成されている。
【0018】
まず、立体皮革をデザインする工程では、天然皮革に付けたい立体模様を創作して、図面化しデータ化する。
【0019】
次に、そのデザインのデータを用いて、メス金型2を、機械で切削して彫刻していく。金型2は、図2(b)に示すように、金属製の金型を鋭く深く削っている。これによって、出来上がった製品である天然皮革シート10に鋭く深い立体模様をつけることができる。また、四隅には、アテや上蓋1、3、4を固定するための固定穴2−2が設けられている。これによって、天然皮革シート10やアテ1や上蓋3,4がメス金型からずれるのを防ぎ、鋭く深い立体模様を作ることができる。また、該固定穴2−2の内側に、天然皮革シートの裁断位置を示す裁断位置マーク2−3がある。なお、メス金型2、アテ製造用上蓋3、皮革加工用上蓋4は、一般的な加熱加圧のプレスに用いられる金属製及び耐熱・耐圧性樹脂等を使用することができる。
【0020】
図2(c)に示すように、アテ製造用上蓋3は、平面であって、四隅にアテ固定用突起4−1を備えている。この固定用突起4−1によって、アテ製造用上蓋3に、ゴムシートとメス金型2を固定させることができる。そして、ゴムシートを、メス金型2とアテ製造用上蓋3との間に挟み込んで、固定用突起3−1と固定穴1−2、2−1によってゴムシートを固定して、所定の時間、加熱加圧し、その後、所定の大きさに裁断してアテ1は完成する。
【0021】
図2(a)に示すように、アテ1は、高く鋭く出張った立体模様1−1が施されている。アテ1は、例えば、200℃まで耐えることができ、かつ、弾性が硬度60度〜70度(タイプA JIS K 6253〜1997)のゴムシートであり、四隅の位置に固定用穴1−2が設けられている。アテ1の立体模様凸型は、前述した弾性があるので、加熱加圧した際に、天然皮革シート10を、確実に彫りが鋭く深いメス金型に押込んで立体模様を形成させることができると共に、弾性によって適度に力を逃がすことができるので、天然皮革シート10を傷つけない。
【0022】
次に、図3に示すように、アテ1の固定穴1−2に、皮革加工用上蓋4の固定用突起4−1を通して、アテ1を皮革加工用上蓋4に固定する。皮革製造用上蓋4は、図2(d)に示すように、アテ1の立体模様凸型1−1の裏面の位置に立体模様裏当部4−3が設けられており、立体模様裏当部4−3は、四隅に設けられた固定用突起4−1がある外周部と同じ高さの平面上にある。外周部と立体模様裏当部4−3との間には、1.0〜1.5mm低くなった段下部4−2が設けられている。よって、アテ1を皮革加工用上蓋に4に取付け、天然皮革シート10を、メス金型2に挟込んで加熱加圧しだ際に、この段下部4−2が緩衝帯となって、天然皮革シート10に余分な力が加わって傷がつくことを防止できる。また、立体模様裏当部4−3が設けられているので、アテ1の立体模様凸型1−1を、確実に、天然皮革シート10に押圧させることができる。よって、天然皮革シート10に彫が鋭く深い立体模様10−1を施すことができる。
【0023】
アテ1を皮革加工用上蓋4に、取付けて固定した後、図4に示すように、天然皮革シート10をメス金型2に載せて、固定用突起4−1をメス金型2の固定穴2−2に固定して、90℃〜110℃の温度加熱し、120〜180kgf/cmの圧力で、1〜30秒間加圧する。すると、図5に示すように、天然皮革シート10に、彫が鋭く深い立体模様10−1が形成される。その後、裁断位置マーク10−2の位置で裁断すれば、天然皮革シート10が完成する。なお、天然皮革シートの厚みは1〜1.5mmが好適である。
【0024】
本発明に係る天然皮革に立体模様を形成する方法によって製造された天然皮革シート10は、天然皮革を用いた財布、かばん、、ソファー、いす、自動車の内装等に、今までにない斬新な形状の立体模様を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
天然皮革製品に立体模様を付する分野に広く利用することができる。
【0026】
1:アテ
1−1:立体模様凸型 1−2:固定穴(アテ)
1−3:裁断位置マーク(アテ)
2:メス金型 2−1:立体模様彫刻(メス金型)
2−2:固定穴(メス金型) 2−3:裁断位置マーク(メス金型)
3:アテ製造用上蓋 3−1:アテ固定用突起
4:皮革加工用上蓋 4−1:固定用突起
4−2:段下部 4−3:立体模様裏当部
10:天然皮革シート
10−1:立体模様 10−2:裁断位置マーク
【要約】
【課題】天然皮革素材に、鋭く深い立体模様を付けることができる皮革の立体模様を形成する方法及びその製品を提供する。
【解決手段】天然皮革に立体的模様を形成する方法であって、該立体模様をデザインする工程と、該デザインに基づいてメス金型を彫刻する工程と、該メス金型とアテ製造用上蓋とを用いて耐熱性を備えた弾性のアテを製造する工程と、前記メス金型と該アテを内面に取付けた皮革加工用上蓋とを用いて材料の天然皮革シートを所定の温度と所定の圧力で所定の時間をかけて加熱加圧する工程と、からなることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5