(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6795827
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】IaaSホストの省エネ方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3228 20190101AFI20201119BHJP
G06F 1/3225 20190101ALI20201119BHJP
G06F 9/50 20060101ALI20201119BHJP
G06F 9/455 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
G06F1/3228
G06F1/3225
G06F9/50 120A
G06F9/455 150
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-42808(P2020-42808)
(22)【出願日】2020年3月12日
【審査請求日】2020年3月12日
(31)【優先権主張番号】201911036668.0
(32)【優先日】2019年10月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516277750
【氏名又は名称】広東睿江云計算股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520086966
【氏名又は名称】広東智江网絡有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG ZHIJIANG NETWORK CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲シェン▼力
(72)【発明者】
【氏名】史 偉
(72)【発明者】
【氏名】閔 宇
【審査官】
征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−211546(JP,A)
【文献】
特開2006−301749(JP,A)
【文献】
特表2016−536661(JP,A)
【文献】
特開2015−022671(JP,A)
【文献】
特開2014−174663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/32−1/3296
G06F9/445;9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IaaSホストの省エネ方法であって、
ホストを起動させて、性能モードにするステップS1と、
ホストの省エネモードをカスタマイズ設定し、省エネモード条件を満たす場合、ホストが性能モードから省エネモードに入るステップS2と、を含み、ステップS2は、具体的には、
S21、ホストのVM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0である場合、ホストが省エネモードに入り、VM仮想マシンの数が0ではない場合、性能モードを維持し、
S22、VM仮想マシンの数が0ではない場合、ホストのハードウェア性能を引き続き検出し、
CPU使用率を検出し、CPU使用率が所定のしきい値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記CPU使用率の所定のしきい値としてはホストに具体的な数値を予め設定することを含み
S23、ステップS22の後に、ホストがまだ性能モードであれば、ホストのqemuプロセスの数を収集し、qemuプロセスの数が所定の数より少ない場合、ホストが省エネモードを開始させ、前記qemuプロセスの数の所定の数としては、ホストに具体的な数の値が予め設定されている、
ことを特徴とするIaaSホストの省エネ方法。
【請求項2】
前記ステップS22では、CPU使用率の所定のしきい値の具体的な数値は30%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のIaaSホストの省エネ方法。
【請求項3】
VM仮想マシンの数が0ではない場合、ホストのハードウェア性能を引き続き検出する前記ステップS22では、
メモリ使用率を検出し、メモリ使用率が所定値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記メモリ使用率の所定値としてはホストに具体的な数値を予め設定することをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のIaaSホストの省エネ方法。
【請求項4】
前記ステップS22では、メモリ使用率の所定値の具体的な数値は50%である、
ことを特徴とする請求項3に記載のIaaSホストの省エネ方法。
【請求項5】
前記ステップS23では、qemuプロセスの数の所定数の具体的な数の値は3である、
ことを特徴とする請求項1に記載のIaaSホストの省エネ方法。
【請求項6】
VM仮想マシンとそのホストとを備えるIaaSホストの省エネシステムであって、
前記ホストは、省エネモードモジュール、性能モードモジュール、VM仮想マシン数検出モジュール、CPU使用率検出モジュール、メモリ使用率検出モジュール及びqemuプロセス数検出モジュールを備え、
前記省エネモードモジュールは、前記ホストの省エネモードを制御し、
前記性能モードモジュールは、前記ホストの性能モードを制御し、
前記VM仮想マシン数検出モジュールは、VM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0であることを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、VM仮想マシンの数が0ではないことを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記CPU使用率検出モジュールは、CPU使用率を検出すること、及びCPU使用率の所定のしきい値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、CPU使用率が所定のしきい値より低いことを検出する場合、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、CPU使用率が所定のしきい値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記メモリ使用率検出モジュールは、メモリ使用率を検出すること、及びメモリ使用率の所定値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、メモリ使用率が所定値より低いことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、メモリ使用率が所定値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記qemuプロセス数検出モジュールは、qemuプロセスの数を検出すること、及びqemuプロセスの数の所定数についてホストに具体的な数の値を設定することに用いられ、qemuプロセスの数が所定数より少ないことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、qemuプロセスの数が所定数以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御する、
ことを特徴とするIaaSホストの省エネシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想マシンにおけるホストの省エネ技術分野に関し、特にIaaSホストの省エネ方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
今まで発展してきたインターネットでは、サーバーは2008年頃に省エネの概念を導入しており、CPU負荷が高くない場合にCPUのクロック周波数を低下させることにより、パワー出力を低減させ、省エネを実現する。通常、すべてのサーバーのBIOSに省エネモードが設定されている。クラウドコンピューティングの発展に伴い、省エネモードの自動開始には、クラウドホスティングの顧客パフォーマンスが実行できないなど、予期しない状況が発生しており、仮想化されたIaaSレイヤーでは、通常、サーバーBIOSにおける省エネモードを起動しないように顧客を案内する。
【0003】
従来技術では、性能と省エネの両立をどのように達成するかという矛盾が発生している。たとえば、仮想化環境では、複数の物理機器(ホスト)が組み合わせられてプールの概念を形成し、これにより、顧客のVM(仮想マシン)が物理機器のリソースプールにおいて自由に移動することができ、すべての省エネモードをオフにして、高性能モードを使用する場合、VMクラウドホスティングに搭載されている物理機器が存在するかにかかわらず、常に同じ量の電力が使用され、機器の温度が上昇し、機械室の中央式空調に使用される電力も間接的に増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第106161539号明細書
【0005】
本発明は、ARMサーバーに基づく仮想ホストのスケジューリング作成の省エネ・最適化方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ホストの省エネモードと性能モードを組み合わせて割り当てることができ、それにより、ホスト効果の発揮に影響を与えることなく、最適な省エネ効果を奏する、IaaSホストの省エネ方法及びそのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明は、下記技術案を提供する。IaaSホストの省エネ方法であって、
ホストを起動させて、性能モードにするステップS1と、
ホストの省エネモードをカスタマイズ設定し、省エネモード条件を満たす場合、ホストが性能モードから省エネモードに入るステップS2と、を含み、ステップS2は、具体的には、
S21、ホストのVM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0である場合、ホストが省エネモードに入り、VM仮想マシンの数が0ではない場合、性能モードを維持し、
S22、VM仮想マシンの数が0ではない場合、ホストのハードウェア性能を引き続き検出し、
CPU使用率を検出し、CPU使用率が所定のしきい値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記CPU使用率の所定のしきい値としてはホストに具体的な数値を予め設定することを含み
S23、ステップS22の後に、ホストがまだ性能モードであれば、ホストのqemuプロセスの数を収集し、qemuプロセスの数が所定の数より少ない場合、ホストが省エネモードを開始させ、前記qemuプロセスの数の所定の数としては、ホストに具体的な数の値が予め設定されている。
【0008】
さらに、前記ステップS22では、CPU使用率の所定のしきい値の具体的な数値は30%である。
【0009】
さらに、VM仮想マシンの数が0ではない場合、ホストのハードウェア性能を引き続き検出する前記ステップS22では、
メモリ使用率を検出し、メモリ使用率が所定値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記メモリ使用率の所定値としては、ホストに具体的な数値を予め設定することをさらに含む。
【0010】
さらに、前記ステップS22では、メモリ使用率の所定値の具体的な数値は50%である。
【0011】
さらに、前記ステップS23では、qemuプロセスの数の所定数の具体的な数の値は3である。
【0012】
本発明の別の目的は、VM仮想マシンとそのホストとを備えるIaaSホストの省エネシステムであって、
前記ホストは、省エネモードモジュール、性能モードモジュール、VM仮想マシン数検出モジュール、CPU使用率検出モジュール、メモリ使用率検出モジュール及びqemuプロセス数検出モジュールを備え、
前記省エネモードモジュールは、前記ホストの省エネモードを制御し、
前記性能モードモジュールは、前記ホストの性能モードを制御し、
前記VM仮想マシン数検出モジュールは、VM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0であることを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、VM仮想マシンの数が0ではないことを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記CPU使用率検出モジュールは、CPU使用率を検出すること、及びCPU使用率の所定のしきい値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、CPU使用率が所定のしきい値より低いことを検出する場合、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、CPU使用率が所定のしきい値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記メモリ使用率検出モジュールは、メモリ使用率を検出すること、及びメモリ使用率の所定値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、メモリ使用率が所定値より低いことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、メモリ使用率が所定値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記qemuプロセス数検出モジュールは、qemuプロセスの数を検出すること、及びqemuプロセスの数の所定数についてホストに具体的な数の値を設定することに用いられ、qemuプロセスの数が所定数より少ないことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、qemuプロセスの数が所定数以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御するIaaSホストの省エネシステムを提供することである。
【発明の効果】
【0013】
上記技術案を用いると、本発明は、少なくとも下記有益な効果を有する。本発明では、仮想マシンの仮想数、CPU使用率、メモリ使用率及びqemuプロセスの数を検出することでホストの省エネモードを制御し、それにより、省エネモードと性能モードを適切に切り替えることを可能にし、最高性能の状態を失わずに最適な省エネ制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るIaaSホストの省エネ方法のステップのフローである。
【
図2】本発明に係るIaaSホストの省エネシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
なお、矛盾しない限り、本出願における実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができ、以下、図面及び具体的な実施例にて本出願をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明では、一連の収集モジュール又は検出モジュールにより省エネデータを収集し、物理ホスト(ホスト)が省エネモードに入る必要があるか否かを判断し、設定モジュールにより省エネモード又は性能モードの切り替えを制御する。それによって、
図1に示されるように、本発明に係るIaaSホストの省エネ方法は、ステップ1とステップ2とを含む。
1、まず、物理ホスト、即ち、ホストを起動させて、性能モードにする。デフォルトでは、ホストは起動されると性能モードに入る。
2、ホストが起動されると性能モードになるため、省エネモードにするために、ホストが省エネモード条件を満たすか否かを検出し、ホストの省エネモードが予めカスタマイズ設定されており、省エネモード条件を満たす場合、ホストが性能モードから省エネモードに入り、具体的には、
21、ホストのVM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0である場合、ホストが省エネモードに入り、VM仮想マシンの数が0ではない場合、性能モードを維持する。
22、VM仮想マシンの数が0ではない場合、性能モードを維持し、この場合、ホストの一連のハードウェア性能を検出し、ホストが省エネモードに入るか否かを制御し、
CPU使用率を検出し、CPU使用率が所定のしきい値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記CPU使用率の所定のしきい値としてはホストに具体的な数値を予め設定することを含み、前記CPU使用率の所定のしきい値は、実際の状況に応じて任意に調整することができ、本実施例では、好ましくは、CPU使用率の所定のしきい値は30%に設定され、
又は、メモリ使用率を検出し、メモリ使用率が所定値より低い場合、ホストが省エネモードに入ること、前記メモリ使用率の所定値としては、ホストに具体的な数値を予め設定することをさらに含み、前記メモリ使用率の所定値は、実際の状況に応じて任意に調整することができ、本実施例では、好ましくは、所定値は50%に設定される。
23、ステップ22の後に、ホストがまだ性能モードであれば、ホストのqemuプロセスの数を収集し、qemuプロセスの数が所定の数より少ない場合、ホストが省エネモードを開始させ、前記qemuプロセスの数の所定の数としては、ホストに具体的な数の値が予め設定されており、前記qemuプロセスの数の所定数は、実際の状況に応じて任意に調整することができ、本実施例では、好ましくは、所定数の数の値は3に設定される。
【実施例2】
【0017】
本実施例では、実施例1の方法に基づいて、IaaSホストの省エネシステムが提供されており、
図2に示されるように、該省エネシステムは、VM仮想マシンとそのホストとを備え、前記ホストは、省エネモードモジュール、性能モードモジュール、VM仮想マシン数検出モジュール、CPU使用率検出モジュール、メモリ使用率検出モジュール及びqemuプロセス数検出モジュールを備え、
前記省エネモードモジュールは、前記ホストの省エネモードを制御し、
前記性能モードモジュールは、前記ホストの性能モードを制御し、
前記VM仮想マシン数検出モジュールは、VM仮想マシンの数を検出し、VM仮想マシンの数が0であることを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、VM仮想マシンの数が0ではないことを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記CPU使用率検出モジュールは、CPU使用率を検出すること、及びCPU使用率の所定のしきい値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、CPU使用率が所定のしきい値より低いことを検出する場合、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、CPU使用率が所定のしきい値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記メモリ使用率検出モジュールは、メモリ使用率を検出すること、及びメモリ使用率の所定値についてホストに具体的な数値を予め設定することに用いられ、メモリ使用率が所定値より低いことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、メモリ使用率が所定値以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御し、
前記qemuプロセス数検出モジュールは、qemuプロセスの数を検出すること、及びqemuプロセスの数の所定数についてホストに具体的な数の値を設定することに用いられ、qemuプロセスの数が所定数より少ないことを検出すると、前記省エネモードモジュールは、ホストが省エネモードに入るように制御し、qemuプロセスの数が所定数以上であることを検出すると、前記性能モードモジュールは、ホストが性能モードに入るように制御する。
【0018】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者であれば、本発明の原理及び主旨を脱逸することなくこれら実施例に対してさまざまな等価変化、修正、置換及び変形を行うことができ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその同等範囲により限定されることを理解できる。
【要約】 (修正有)
【課題】ホストの省エネモードと性能モードを組み合わせて割り当てることができ、ホスト効果の発揮に影響を与えることなく、最適な省エネ効果を奏するIaaSホストの省エネ方法及びそのシステムを提供する。
【解決手段】方法は、ホストを起動させて性能モードにするステップと、ホストの省エネモードをカスタマイズ設定するステップとを含む。省エネモードのカスタマイズ設定は、ホストのVM仮想マシンの数が0である場合、ホストが省エネモードに入り、VM仮想マシンの数が0ではない場合、ホストのハードウェア性能を引き続き検出する。ホストの省エネモードを制御し、CPU使用率が所定値より低い場合、又はメモリ使用率が所定値より低い場合、ホストが省エネモードに入る。ホストがまだ性能モードであれば、ホストのqemuプロセスの数が所定数より少ない場合、ホストが省エネモードを開始させる。
【選択図】
図1