特許第6795831号(P6795831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795831
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20201119BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20201119BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20201119BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201119BHJP
【FI】
   F21S8/08 200
   F21V29/503
   F21V29/83
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-109021(P2016-109021)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-216138(P2017-216138A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 徹
(72)【発明者】
【氏名】深谷 和正
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−153712(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0268764(US,A1)
【文献】 特開2015−118814(JP,A)
【文献】 特開2016−012491(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0063832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 29/503
F21V 29/83
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不透光性の本体の下面側に形成される開口部の周縁部で囲まれた領域にLED素子が放射する光を所定の配光にて出射する発光部を備え、前記発光部の出射光が道路方向に配光される照明器具において、
前記発光部から道路方向に配光される出射光のうち、グレア抑制として、前記発光部の鉛直方向に対して所定角度以上の出射光が前記周縁部で遮られる位置に、前記発光部が前記本体に配置され
前記本体は、上壁と、前記上壁から下降する周囲壁とを有し、
前記開口部は、前記周囲壁に囲まれた下側に開口するものであり、
前記発光部は、LED基板と、前記LED基板の下側面に配置されるLED素子と、前記LED素子を覆うように前記LED基板に組み合わされ前記LED素子が放射する光を所定の配光にて出射する配光ユニットとを備え、
前記配光ユニットは、前記LED素子ごとに所定配光の出射光を形成する配光特性部を備え、
前記発光部が前記領域に配置された状態で、前記配光特性部と前記開口部の周縁部下端の関係が、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係であり、
更に、前記本体は、前記上壁から前記LED基板に当接する前後方向に長い熱伝導リブを有し、
前記熱伝導リブの前端及び後端は、前記本体と離間され、
前記本体の前記上壁、前記周囲壁、前記LED基板及び前記熱伝導リブにより、前記本体の後部から斜め上前方へ延びる空気通路が形成される、
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記本体は、熱良導材で構成され、
前記発光部は、前記本体に取り付けられるLED基板と、前記LED基板の下側面に前後方向の直線状に配置される複数のLED素子を備え、
前記LED基板が取り付けられた状態で、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係である、
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記本体には、前記開口部の後部に対応して前記発光部の点灯を制御する点灯制御部が配置され、前記点灯制御部の前側に前記発光部が配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)を光源とする照明器具に関し、特に、LEDの発光に伴うグレア抑制構成並びに放熱構造である照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
生活道路等に設置される照明器具の一つである防犯灯は、道路面を照射するために、道路の端に道路方向に所定間隔で設置された支柱に照明器具の後部に設けた取り付け部を取り付け、その取り付け状態において、前後方向に長い照明器具が道路幅方向に向かう前上がり状態となり、道路方向に長い配光を得るものがある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の照明器具は、金属製の略矩形の薄い板状の基板ベースの下面にLED基板が取り付けられ、LED基板には前後方向に延びる2列配置にLEDが取り付けられ、これらLEDごとのレンズ部を形成した透光性カバーが、LED基板の下側面を覆う。
この照明器具は、LEDが発する光によって歩行者が眩しさ(グレア)を感じることを抑制するために、各列のLEDの外側方を覆うグレア抑制部材を取り付けている。
【0004】
また、本発明の技術分野は、LED(発光ダイオード)を光源とする照明器具において、特に、LEDの発光に伴い発生する熱を効果的に放熱する構成を有する照明器具である。
その背景技術として、生活道路等に設置される照明器具の一つである防犯灯は、道路面を照射するために、道路の端に道路方向に所定間隔で設置された支柱等に、照明器具の後部に設けた取り付け部を取り付け、その取り付け状態において、前後方向に長い照明器具が道路幅方向に向かう状態となり、道路方向に長い配光を得るものがある(特許文献2)。
【0005】
特許文献2の照明器具は、器具内の光源室には、LED基板に取り付けた光源となるLED(発光ダイオード)と、レンズ体と、反射板が配置され、光源室内後部には、反射板の高さの範囲内にLEDの電源を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014ー116143号公報
【特許文献2】特開2014ー175074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、歩行者が眩しさ(グレア)を感じることを抑制するために、各列のLEDの外側方を覆うグレア抑制部材が必要である。
【0008】
本発明は、眩しさ(グレア)を抑制するために、特許文献1のようにグレア抑制部材を設けることなく、LED基板及びレンズ形態の配光部の照明器具本体へ取り付け状態を特定の状態とすることにより、歩行者が眩しさ(グレア)を感じることを抑制する構成を提供するものである。
【0009】
また、特許文献2では、電源の発する熱は、放熱シートを介して器具本体に伝達され放熱される。一方、LEDの発光に伴い発生する熱の放熱のために、LED基板の裏側である上面に当接する伝熱板を配置しており、LEDの発光に伴い発生する熱が、この伝熱板を介して金属製の器具本体に伝達され、この器具本体から放熱される。
【0010】
特許文献2では、このようにLEDの発光に伴い発生する熱の放熱のために、LED基板の裏側に伝熱板を配置する。また、電源の発する熱の放熱のために、放熱シートを配置する。
【0011】
特許文献2では、器具本体が、ベースケース体(灯具本体)と、下カバー体(下部パネル体)と、蓋体の3部品の組み合わせで構成されている。
【0012】
本発明は、この点に鑑み、このような伝熱板を設けることなく、LEDの発光に伴って照明器具本体内に発生する熱の放熱効果に優れた構成とする。
【0013】
また、本発明は、電源の発する熱の放熱のために、放熱シートを設けなくても電源の発する熱の放熱が良好に行える構成とする。
【0014】
また、本発明は、器具本体が、特許文献2のような3部品構成ではなく1部品によって構成し、LED基板と電源の支持が安定し、且つ放熱効果が良好に行われる照明器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の本発明の照明器具は、不透光性の本体2の下面側の周縁部で囲まれた領域にLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する発光部6を備え、前記発光部6の出射光が道路方向に配光される照明器具において、
前記発光部6から前記道路方向に配光される出射光のうち、グレア抑制として、前記発光部6の鉛直方向に対して所定角度以上の出射光が前記開口部2Aの周縁で遮られる位置に、前記発光部6が前記本体2に配置された、
ことを特徴とする。
【0016】
第2の本発明の照明器具は、上記第1において、
前記発光部6は、LED基板5の下側面にLED素子7が配置され、前記LED素子7を覆うように前記LED基板5に組み合わされ前記LED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する配光ユニット8を備え、
前記配光ユニット8は、前記LED素子7ごとに所定配光の出射光を形成する配光特性部83Aを備え、
前記発光部6が前記領域に配置された状態で、前記配光特性部83Aと前記開口部2Aの周縁下端の関係が、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係である、
ことを特徴とする。
【0017】
第3の本発明の照明器具は、上記第1または第2において、
前記本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、前記周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口部2Aを有する熱良導材で構成され、
前記発光部6は、前記本体2に取り付けられるLED基板5と、前記LED基板5の下側面に前後方向の直線状に配置される複数のLED素子7を備え、
前記LED基板5が取り付けられた状態で、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係である、
ことを特徴とする。
【0018】
第4の本発明の照明器具は、上記第3において、
前記本体2には、前記開口部2Aの後部に対応して前記発光部6の点灯制御部が配置され、前記点灯制御部の前側に前記開口部2Aに対応して前記発光部6が配置された、
ことを特徴とする。
【0019】
第5の本発明の照明器具は、上記第4において、
前記本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから前記開口部2Aの周縁に至る周囲壁2Sで囲まれ後部から前部へ向けて長い形態の内部空間4を有し、
前記内部空間4には、後部に前記点灯制御部が配置され、前部に前記発光部6が配置された、
ことを特徴とする。
【0020】
第6の本発明の照明器具は、上記第5において、
前記本体2は、前記上壁2Tから前記LED素子7に対応して前記LED基板5の上面に当接する前後方向に長い熱伝導リブ11を有し、
前記熱伝導リブ11の左右両側で、前記本体2の上壁2T及び周囲壁2Sと前記LED基板5との間に、前記本体2の後部から斜め上前方へ延び前記熱伝導リブ11の前端と後端で連通する空気通路が形成された、
ことを特徴とする。
【0021】
第7の本発明の照明器具は、上記第1または第2において、
前記本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから前記開口部2Aの周縁に至る周囲壁2Sで囲まれた熱良導材で構成され、後部から前部へ向けて長い形態の内部空間4を有し、
前記発光部6は、前記本体2に取り付けられるLED基板5と、前記LED基板5の下側面に前後方向の直線状に配置される複数のLED素子7を備え、
前記LED基板5が取り付けられた状態で、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係である、
ことを特徴とする。
【0022】
第8の本発明の照明器具は、上記第1または第2において、
前記発光部6は、前記本体2に取り付けられるLED基板5と、前記LED基板5の下側面に前後方向の直線状に複数列配置された複数のLED素子7と、前記LED素子7ごとに所定配光の出射光を形成する配光特性部83Aを備え、
前記本体2は、上壁2Tと前記上壁2Tから前記開口部2Aの周縁に至る周囲壁2Sで囲まれ後部から前部へ向けて長い形態の内部空間4を有する熱良導材で構成され、
前記内部空間4には、後部に前記点灯制御部が配置され、前部に前記発光部6が配置され、
前記本体2は、前記上壁2Tから前記各列のLED素子7に対応して前記LED基板5の上面に当接する前後方向に並行に延びる熱伝導リブ11を有し、
前記熱伝導リブ相互間に形成されるトンネル状の第1空気通路及び前記熱伝導リブの外側面に沿って形成される第2空気通路が、後部から前部に向けて斜め前方に上昇する形態で前記内部空間に形成された、
ことを特徴とする。
【0023】
第9の本発明の照明器具は、上記第1乃至第8のいずれかにおいて、
前記本体2は、前記開口部2Aの周縁下端に、前記開口部2Aの周縁を巡るフランジ2Fを備え、
前記開口部2Aを覆うように前記フランジ2Fの内側に組み合わされた透光性カバー3を備え、
前記発光部6と前記フランジ2Fの下端の関係が、前記所定角度以上の出射光が遮られる関係である、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、配光部から開口部の左右の周縁部を通る出射光のうち、鉛直角で所定角度以上の出射光が、開口部の左右の周縁部によって制限されるため、所定角度未満の範囲では路面照射が良好となり、この所定角度以上の範囲ではグレア抑制が良好となる。このような構成は、内部空間を形成する本体の構成でもって、その内部空間内へのLED基板と発光部の位置決めによって達成できるため、特別なグレア抑制部材を設ける必要がなく、発光部の取り付けも安定したものとなる。
【0025】
また本発明によって、上記のようなグレア抑制と共に、LED素子の発光に伴い発生する熱は、LED基板から熱伝導リブを通して本体から放熱されるルートによって放熱される。また、LED基板の上側に熱伝導リブに沿って形成される前後方向の空気通路によって、内部空間の空気は流動し、LED素子の発光に伴い発生する熱及び制御部の発する熱が本体から放熱される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る照明器具の分解斜視図である。
図2】本発明に係る照明器具の縦断側面図である。
図3】本発明に係る照明器具の本体を下方から視た図である。
図4】本発明に係るLED基板と制御基板を取り付けた状態の照明器具の本体を下方から視た図である。
図5】本発明に係る本体内のLED基板及び配光ユニットの配置並びに透光カバーの関係を分解状態にて断面で示す説明図である。
図6】本発明に係る照明器具の本体と透光性カバーを組み合わせた状態を断面で示す説明図である。
図7】本発明に係る照明器具を後方から視た図である。
図8】本発明に係る照明器具を支柱に取り付けた状態の側面図である。
図9】本発明に係る照明器具を支柱に取り付けた状態を上方から視た図である。
図10】本発明に係る照明器具をポールに取り付ける状態を断面で示す説明図である。
図11】本発明に係る照明器具をポールに取り付けた状態の側面図である。
図12】本発明に係るLED基板に配光ユニットを取り付けた平面状態の説明図である。
図13図12のA−A断面図である。
図14図12のB−B断面図である。
図15】本発明に係る照明器具を道路に沿って配置した状態の配光状態の説明図である。
図16】本発明に係る照明器具によるグレア抑制状態の説明図である。
図17】本発明に係る照明器具本体と発光部の関係によるグレア抑制構成を断面で示す説明図である。
図18図1において制御部14を絶縁シートで覆った状態を示す照明器具の分解斜視図である。
図19図2において制御部14を絶縁シートで覆った状態を示す照明器具の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の照明器具1は、不透光性の本体2の下面側の周縁部で囲まれた領域にLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する発光部6を備え、前記発光部6の出射光が道路方向に配光される照明器具において、前記発光部6から前記道路方向に配光される出射光のうち、グレア抑制として、前記発光部6の鉛直方向に対して所定角度以上の出射光が前記開口部2Aの周縁で遮られる位置に、前記発光部6が前記本体2に配置された構成である。
【0028】
その一つ形態として、図1図2等に示すように、本体2は、アルミニウム等の熱良導材で構成され、上壁2Tと上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、前記領域として、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口部2Aを形成した内部空間4を形成し、本体2は、支柱等への取り付け部10を後部に備える。照明器具1は、開口部2Aを塞ぐように本体2に組み合わされる透光性カバー3を備える前後方向に長い形態であり、開口部2Aに沿って発光部6を配置している。発光部6は、LED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、LED基板5の下側面にLED素子7が配置され、LED素子7を覆うようにLED基板5に組み合わされLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する配光ユニット8を備える。本体2は、内部空間4のうちの大半を占める前部空間4Aに、LED基板5の上面が当接する前後方向に延びる熱伝導リブ11を一体に有する。
【0029】
また、本発明は、下面に開口部2Aを有する不透光性の本体2の開口部2Aに対応して発光部6が取り付けられ、発光部6の出射光が道路方向に配光される照明器具において、
発光部6から道路方向に配光される出射光のうち、発光部6の鉛直方向に対する角度で所定角度以上の出射光が開口部2Aの周縁で遮られる位置に、発光部6が本体2に取り付けられている。
【0030】
発光部6は、LED基板5の下側面にLED素子7が配置され、LED素子7を覆うようにLED基板5に組み合わされLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する配光ユニット8を備え、
配光ユニット8はLED素子7ごとに所定配光の出射光を形成する配光特性部83Aを備え、
発光部6が内部空間4に取り付けられた状態で、配光特性部83Aと開口部2Aの周縁下端の関係が、所定角度以上の出射光が遮られる関係である。
【0031】
本体2は、上壁2Tと上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口部2Aを有する熱良導材で構成され、上壁2Tと周囲壁2Sで囲まれ後部から前部へ向けて長い形態の内部空間4を有し、内部空間4には、後部に点灯制御部14が配置され、前部に発光部6が配置されている。
本体2は、上壁2TからLED素子7に対応してLED基板5の上面に当接する前後方向に長い熱伝導リブ11を有し、
熱伝導リブ11の左右両側で、本体2の上壁2T及び周囲壁2SとLED基板5との間に、本体2の後部から斜め上前方へ延び熱伝導リブ11の前端と後端で連通する空気通路が形成されている。
以下、本発明の実施形態として、LED素子7が2列配置されたLED照明器具1について、図面を参照して説明する。
【0032】
図1乃至図6に示すように、本発明のLED照明器具1は、下面の略全域が開口するように開口部2Aを形成し内外両面に防錆効果のある熱伝導性塗装を施した金属製等の熱伝導良好な不透光性の本体2と、この本体2の開口部2Aを塞ぐように開口部2Aの周縁部に組み合わされる合成樹脂製の透光性カバー3を備える。透光性カバー3は下方に膨らんだ形態をなし、上端周縁部には上方へ突出するフランジ3Fが形成されている。本体2の開口部2Aの周縁部2A1を巡るように、下方へ突出する環状のフランジ2Fを形成している。開口部2Aの周縁部2A1には、フランジ2Fの内側に透光性カバー3のフランジ3Fが嵌り込む溝2Mを有する。
【0033】
溝2Mにフランジ3Fが嵌り込むように、透光性カバー3を本体2の開口部2Aに組み合わせた状態で、ネジNJで開口部2Aの周縁部2A1に固定する。溝2Mとフランジ3Fのように嵌り合う凹凸構成によって、本体2と透光性カバー3との間が防水構造をなしている。なお、溝2Mの上底にパッキンを収容し、このパッキンがフランジ3Fによって圧縮される構成によって、更によい防水効果が得られる。
図8及び図11に示すように、LED照明器具1は、水平ラインに対して開口部2Aのラインが、後部1Aより前部1Bが角度αだけ若干高くなる傾斜状態を保つ。この状態で、透光性カバー3の下面は前部から後部に向けて次第に下方となる傾斜をなしており、後部から急峻に本体2に向けた立ち上がり部3Gを形成する形態をなし、透光性カバー3の最低部には、排水孔51とその周囲を囲む突壁40を備える。
【0034】
内部空間4のうちの前部空間4Aにおいて、開口部2Aに沿ってLED基板5が、後述のように本体2に伝熱的に取り付けられる。電気絶縁性のLED基板5は、発光部6を構成する複数のLED素子(発光ダイオード)7を下面に実装し、LED素子7への電路が同じ下面にプリント配線として形成され、このプリント配線を絶縁被膜で覆っている。LED基板5の下面には、LED基板5と重ね合わせ状態に配光ユニット8が配置されている。配光ユニット8は透光性合成樹脂製であり、板状部81に複数の配光部82を一体形成しており、所定位置において板状部81が、LED基板5を貫通して本体2に形成した取り付けボス13Bに螺合するネジ9によって取り付けられる。これによって配光ユニット8がLED基板5の下面に取り付けられる。配光部82は、LED素子7ごとに所定の配光となる出射光を形成する部分であり、実施例ではレンズ形態をなし、LED照明器具1の前後方向軸に対して左右方向に長い配光特性を有する。図1及び図12に示すように、配光ユニット8は、前側配光ユニット8Pと後側配光ユニット8Qで構成している。
【0035】
本体2は、上壁2Tと上壁2Tから開口部2Aの周縁に至る周囲壁2Sで囲まれた熱良導材で構成される。本体2は、アルミニウムを材料としてダイキャスト成形され、下側に開口部2Aを形成するように上方に膨らむ形態の内部空間4を形成し、内部空間4の開口部2Aを透光性カバー3で覆う形態である。本体2は、本体2の後壁2Bから後方へ延出する状態に、電柱等の支柱へ取り付ける取り付け部10を一体形成している。また本体2は、内部空間4のうちの大半を占める前部空間4Aには、LED基板5の上面を支える前後方向に並行に延びる複数の熱伝導リブ11と、LED基板5を取り付ける取り付けボス13が本体2に一体に形成されている。取り付けボス13は、熱伝導リブ11にLED基板5の上面が当接した状態でプリント配線とは接続しない位置に形成したLED基板5の4隅の孔5Pを通してネジ12でLED基板5を取り付ける部分である。LED基板5は、取り付けボス13に取り付けられた状態で、中央部が前後方向に並ぶ本体2に一体形成されたボス13Bで支えられると共に、前部空間4Aにおける開口部2Aの多くを塞ぐように、開口部2Aよりも若干空間4側へ入った位置(前部空間4A側へ入った位置)において、開口部2Aに略並行に沿った状態である。本体2の内部空間4は、前部から後部に向けて次第に深くなる(開口部2Aを基準とすれば次第に上方に高くなる)ように形成している。
【0036】
LED照明器具1は、本体2の後壁2Bを後部1Aとしてそこから前部1Bへ長く延びる形態をなし、発光部6の発光によって、図15に示すように、配光ユニット8と透光性カバー3を通して道路の路面を道路方向に長い配光となるように照射する。
このため、本体2と透光性カバー3は、後部1Aから前部1Bへ長く延びる形態をなし、本体2内に形成される内部空間4も前後方向に長く、内部空間4はその前部空間4Aと後部空間4Bが連通状態に形成される。そして、LED基板5及び前部空間4Aも前後方向に長い形態であり、LED基板5は前後方向に長い矩形状の平板形状である。
【0037】
LED基板5は前後方向に長い平板の矩形状をなし、LED素子7は、前後方向に長い矩形状のLED基板5の下側面に、前後方向に間隔を存して複数列状態に配置され、熱伝導リブ11は、LED素子7の各列の裏側(上面側)に対向する位置に形成する。
実施例の場合は、LED素子7はLED基板5に前後方向に等間隔でもって左右対称に2列状態に配置され、図5及び図6に示すように熱伝導リブ11は、2列配置のLED素子7に対向する位置の裏側(上面側)に形成している。熱伝導リブ11の後端は後部空間4Bに臨む位置であり、本体2と一体形成される熱伝導リブ11の前端は前部空間4Aの前壁2Gの後方位置である。
LED基板5の下面の後端部に、制御部14のコネクタ14Cと電気的に接続するためにコネクタ95が配置されている。
【0038】
LED基板5の上面には、電気的接続とならないように、下面のプリント配線とは接続しない状態に放熱用の熱伝導被膜(図示せず)が略全面に亘り形成されており、この熱伝導被膜が熱伝導リブ11に当接して、LED基板5の発熱をこの熱伝導被膜から熱伝導リブ11を経て本体2の表面から放熱する仕組みである。このため、LED基板5から熱伝導リブ11を通して本体2に伝達される熱の伝達効果を向上させるために、熱伝導リブ11は、LED素子7の裏側(上面側)に対向する位置に形成する。
【0039】
また、LED照明器具1は、LED素子7に点灯電力を供給する電源部と、LED素子7の点灯と消灯の制御を行う制御回路とを含む制御部14が、前部空間4Aの後方に位置する後部空間4Bに配置されている。このため、制御部14は、LED基板5よりも後方配置となる。制御部14は、電源部を構成する電気部品及び前記制御回路を構成する電気部品EPがプリント配線基板である制御基板15の下側面に取り付けられる。
図1図2等に示すように、制御基板15は、後部空間4Bに本体2から一体に突出する4個の取り付けボス16、16Bに載置した状態で、その対角線上の2か所の取り付けボス16をネジ17で固定し、本体2と熱伝導状態となる。残りの対角線上の2か所の取り付けボス16Bは、制御基板15に形成した対角線上の2か所の孔に嵌合する突起16Tを中央部に備えた位置決めボスである。
この取り付け状態で、制御基板15は、開口部2Aから深く空間4側へ入った位置(後部空間4Bの上壁に近く入った上方位置)であり、LED基板5よりも上方位置となるように、内部空間4内へ深く入った位置(本体2の上壁に近い位置)を維持する。
【0040】
内部点検等のために透光性カバー3が本体2から取り外された状態で、作業者が制御部14の電気回路部分に触れると危険であるため、その危険防止のために、制御部14を下側から全体的に覆う保護カバー18を設けている。この保護カバー18は、後部空間4Bに本体2から一体に突出する4個の取り付けボス19、19Bに載置した状態で、その対角線上の2か所の取り付けボス19をネジ20で固定し、残りの対角線上の2か所の取り付けボス19Bは、保護カバー18に形成した対角線上の2か所の孔に嵌合する突起19Tを中央部に備えた位置決めボスである。
この取り付けによって、保護カバー18は、制御基板15及び電気部品EPを含む制御部14と離間した状態であり、制御基板15及び電気部品EPに作業者が触れることによる感電を防いでいる。
保護カバー18は、金属板か不透明状態の合成樹脂板で構成され、透光性カバー3を通して外部から制御部14が見えないようにする効果もある。
【0041】
LED照明器具1は、周囲の照度を検知して日暮れ時から夜明けまでの夜間にLED素子7が点灯するように制御部14に電気的に接続された照度センサSSを備える。照度センサSSは、制御基板15と電気的に接続されるセンサ基板15Hに取り付けた光を透過しないホルダ21内に保持されており、照度センサSSがLED照明器具1の後方の周囲の照度を検知するように、ホルダ21が本体2の後壁2Bに形成した採光窓(採光孔ともいう)2Hに保持されている。ホルダ21は、照度センサSSへ周囲の光が侵入するように後方に開口しており、この開口と採光窓2Hを防水状態に塞ぐように透光性のカバー22が採光窓2Hに挿入保持され、透光性のカバー22とホルダ21が結合されて、ホルダ21が採光窓2Hに保持される関係である。採光窓2Hは取り付け部10から外れた位置となるように、取り付け部10の横側で後壁2Bに形成され、照度センサSSがLED照明器具1の後方周囲の明るさを検知する。
【0042】
LED照明器具1へ外部電源から電力供給を行うために、LED照明器具1へ供給される外部電源ライン23は、本体2の後壁2Bに形成した貫通孔24に挿入される絶縁ゴム製のブッシング25を貫通し、その先端に取り付けた電源コネクタ26が制御部14の電源部のコネクタに電気的に接続される。
【0043】
配光ユニット8を構成する分離配光ユニット8P、8Qは、LED素子7の配列に合わせて、前後に間隔を存してLED基板5の下側面に重ね合わせ状態で組み合わされ、その板状部81がLED基板5を貫通して、一列配置の3個の取り付けボス13Bの中間を除き前後の取り付けボス13Bにそれぞれネジ9で取り付けられる。
分離配光ユニット8P、8QとLED素子7の配列については、2列状態のLED素子7のうち、前側の8個のLED素子7が前側の分離配光ユニット8Pと対応配置され、後側の8個のLED素子7が後側の分離配光ユニット8Qと対応配置され、図12に示すように、前側の8個のLED素子7に前側の分離配光ユニット8Pの第1の配光特性部83Aの夫々が対応し、後側の8個のLED素子7に後側の分離配光ユニット8Qの第1の配光特性部83Aの夫々が対応し、図15に示すような左右方向に長い配光となる。図15に示す波紋状の線は、照明器具1に近い領域の照度が高く、遠くなるにしたがって照度が低下する状態の説明用である。
【0044】
配光ユニット8を構成する前側配光ユニット8Pと後側配光ユニット8Qは、LED照明器具1の前後方向に対して、左右方向に楕円形、長円形等のように長く延びる左右方向の配光特性が形成されるように、配光部82として、LED素子7ごとに所定配光の出射光を形成する第1の配光特性部83Aを形成している。このため、第1の配光特性部83Aは、図1図2図5図6図13図14から明らかなように、板状部81からかまぼこ形態または米俵の半分の形態のように、断面が略一定の半円形で以って左右方向に長く端部が球面状をなして下方へ突出するレンズ構成であり、中央位置の内部にLED素子7が侵入する下方に向けて窄む窪み93が形成されている。
また、第1の配光特性部83Aの下方へ突出するレンズ構成の他の形態としては、LED素子7の出射光がレンズを通過して略均一配光となるようにするために、中央位置に板状部81方向へ曲線で窪みを形成する形態である。即ち、板状部81からかまぼこ形態または米俵の半分の形態のように、断面が略一定の半円形で以って左右方向に長く端部が球面状をなし、且つ中央位置に板状部81方向へ曲線で窪み、この窪みに対応して内部にLED素子7が侵入する下方に向けて窄む窪み93が形成される形態である。
実施例では、各配光特性部83Aからの出射光による配光は、同じ配光形態となる構成であるが、LED照明器具1の求める照射形態に応じて、それぞれ異なる配光形態となる構成でもよい。
【0045】
なお、図面に示す第1の配光特性部83Aは、中央部に長さ方向の直線が描かれ、この直線の前後端部から4本の斜線が描かれているが、これはコンピュータ作図によって生じる曲面の表示であり、配光特性部83Aの形態は上記のように、断面が略一定の半円形状の長さの両端部が球面形状のレンズ構成である。
【0046】
取り付け部10は、電柱等の支柱PLに取り付けバンド30によって取り付ける第1取り付け部101と、支柱PLに代わり先端部が横へ延びる円筒状または円柱状のポールPPの先端部が挿入される第2取り付け部102を備えており、第1取り付け部101と第2取り付け部102は本体2と一体に形成される。
【0047】
第2取り付け部102は、ポールPPの斜め上方に向く先端部が挿入されるように、本体2の後壁2Bに連続して後方へ延びる円筒状をなし、その円筒状の前面は本体2の後壁2Bで塞がれ、その円筒状の後面は解放してポールPPの先端部PP1が挿入される挿入開口102Kを有する形態である。また、第2取り付け部102は、円筒状の後端面102Rは、支柱PLの柱面(周面)が接触しないような逃げ部となる曲面形状をなす。このため、円筒状の後端面102Rの曲面は、好ましくは、支柱PLの柱面(周面)の曲面と同等または若干小さな半径で描かれる曲面形状である。
【0048】
第1取り付け部101は、第2取り付け部102と一体化する状態で、第2取り付け部102の左右両側に並行状態に配置された縦方向の板状の左右取り付け板部101Bで構成される。左右取り付け板部101Bの後端面101Rは、支柱PLの柱面(周面)に縦方向に沿う直線状をなす。左右取り付け板部101Bと第2取り付け部102には、取り付けバンド30が挿通され係止する縦方向に長い取り付け孔31を有する。
【0049】
このように第1取り付け部101により支柱PLにLED照明器具1を取り付けた状態は、図8に示すように、LED照明器具1は、水平ラインに対して開口部2Aのラインが、後部1Aより前部1Bが角度αだけ若干高くなる傾斜状態を保つ。このような状態となるように、取り付け部101が構成されている。これによって、配光部82のレンズ効果によって、LED照明器具1の前後方向軸に対して左右方向に長い配光が形成されるため、左右方向に長い道路面を照射することができる。
【0050】
また、第2取り付け部102によりLED照明器具1を取り付けた状態は、図11に示すようにLED照明器具1は、水平ラインに対して開口部2Aのラインが、後部1Aより前部1Bが角度αだけ若干高くなる傾斜状態を保つ。このような状態となるように、取り付け部102が構成されている。これによって、配光部82のレンズ効果によって、LED照明器具1の前後方向軸に対して左右方向に長い配光が形成されるため、左右方向に長い道路面を照射することができる。
【0051】
このような第1の配光特性部83Aによって、LED素子7の発光がレンズ効果によって左右方向へ拡がり、LED照明器具1の下方を左右に通る道路面に左右方向に長く延びる配光が形成される。この状態の道路面の配光の一例を図15に示す。
【0052】
上記のように、本体2の内部空間4は、前部から後部に向けて次第に深くなるように(開口部2Aを基準とすれば次第に上方に高くなるように)形成しており、内部空間4には、熱伝導リブ11の左右側面に沿って後部から前部に向けて斜め前方に上昇する空気通路が形成される。このため、取り付け部10を支柱PLに取付けた状態で、水平ラインに対して開口部2Aのラインが略並行となる水平取り付け状態でも、同様の空気通路が形成される。
また、上記のように支柱PL等への取り付けによって、水平ラインに対して開口部2Aのラインが、後部1Aより前部1Bが角度αだけ若干高くなる傾斜取り付け状態を保つことにより、水平取り付け状態よりも更に斜め前方に上向くため、内部空間4には、熱伝導リブ11の左右側面に沿って後部から前部に向けて斜め前方に上昇する空気通路が形成される。
このため、本体2内の内部空間4では、熱伝導リブ11の左右側面に沿って後部空間4Bから前部空間4Aへ向けた空気の流れが生じ易くなる。
【0053】
図示のように並行な熱伝導リブ11を形成する場合は、並行な熱伝導リブ11とLED基板5によって囲まれたトンネル状の第1空気通路1Pと、第1空気通路の左右両外側となる位置で熱伝導リブ11の外側面に沿った第2空気通路1Qが、後部から前部に向けて斜め前方に上昇する形態で内部空間4に形成されている。第1空気通路1Pの前端と後端が解放するように、第1空気通路1Pと第2空気通路1Qは、並行な熱伝導リブ11の前端と後端で連通している。
【0054】
この様な構成によって、照明器具1内に空気流通が形成される。
その一つとして、第1空気通路1Pの温度よりも熱伝導リブ11の外側面に沿う第2空気通路1Qの温度が相対的に低くなり易い。このため、制御部14の発熱とLED素子7の発熱によって温められた内部空間4の空気は、主として後部空間4Bから前部空間4Aに向けて第1空気通路1Pを通り、熱伝導リブ11の先端部から第2空気通路1Qを経て後部空間4B側へ帰還し、再び第1空気通路1Pを流れる空気流通が形成される。この場合、空気は熱伝導リブ11及び本体2の壁面と接触しつつ流れるため、本体2への熱伝達が促進される。
図5に示すように、LED基板5の左右両端部が第2空気通路1Qの下側を覆う状態とすることにより、第2空気通路1Qの空気流通がスムーズになる。
このような空気循環は、照明器具1の周囲温度によって変化することもある。
【0055】
また、もう一つの空気循環として、制御部14の発熱とLED素子7の発熱によって温められた内部空間4の空気は、主として第1空気通路1Pと第2空気通路1Qを通って本体2の後部1Aから前部1Bに向けて流れ、熱伝導リブ11の先端部からLED基板5と透光性カバー3の間の空間へ流れ、LED基板5と透光性カバー3の間の空間を経て後部空間4B側へ帰還し、再び第1空気通路1Pと第2空気通路1Qを流れる空気流通が形成される。この場合、空気は熱伝導リブ11及び本体2の壁面と接触しつつ流れるため、本体2への熱伝達が促進される。
図5に示すように、LED基板5の左右両端部が第2空気通路1Qの下側を覆う状態とすることにより、第2空気通路1Qの空気流通がスムーズになる。
このような空気流通は、照明器具1の周囲温度によって変化することもある。
【0056】
上記のように、LED素子7の発光に伴い発生する熱は、LED基板5から熱伝導リブ11を通して本体2から放熱されるルートによって放熱され、また空気循環によって本体2との接触が促進され、LED素子7の発光に伴い発生する熱及び制御部14の発する熱が本体2から良好に放熱される。
【0057】
また本体2は、1部品によって構成でき部品点数も少なく組み立て工数も少なくなる。更に、熱伝導リブ11と、取り付けボス13及び16によって、LED基板5と制御基板15の支持が安定し、且つ放熱効果が良好に行われる照明器具となる。
【0058】
LED基板5は、所謂金属基板でもよいが、低コスト化として、電気絶縁性の一枚の合成樹脂製を採用する。上記のような本体2、LED基板5、制御部14、熱伝導リブ11の関係構成は、LED基板5が電気絶縁性の平板である場合に、LED素子7の発熱を効果的に放熱する効果がある。
なお、電気絶縁性の平板のLED基板5のLED素子7が実装された下面とは反対側の上側面に、熱伝導被膜を形成することにより、LED素子7の発熱は、LED基板5とその上側の熱伝導被膜を通して熱伝導リブ11から本体2に伝達され、効果的な放熱が行える。
【0059】
上記のように、照明器具1は、
下面に開口部2Aを形成した内部空間4を有し開口部2Aに沿って内部空間4に収容された発光部6を備え支柱等への取り付け部10を後部に備える金属製の本体2と、開口部2Aを塞ぐように本体2に組み合わされる透光性カバー3を備える前後方向に長い形態であり、
発光部6は、LED基板5の下側面に前後方向に複数のLED素子7が直線状に配置された構成であり、
本体2は、内部空間4のうちの大半を占める前部空間4Aに、直線状に配置されたLED素子7の裏側に対応して、LED基板5の上面が当接する前後方向に延びる熱伝導リブ11を一体に有し、
内部空間4のうちの前部空間4Aに連続する後部空間4Bに収容保持されるLED素子7の制御部14を備え、
内部空間4は、熱伝導リブ11の左右側面に沿って後部から前部に向けて斜め前方に上昇する空気通路を有する。
【0060】
また、照明器具1は、
下面に開口部2Aを形成した内部空間4を有し開口部2Aに沿って内部空間4に収容された発光部6を備え支柱等への取り付け部10を後部に備える金属製の本体2と、開口部2Aを塞ぐように本体2に組み合わされる透光性カバー3を備える前後方向に長い形態であり、
発光部6は、LED基板5の下側面に前後方向に直線状配置の複数のLED素子7が複数列状態に配置され、
本体2は、内部空間4のうちの大半を占める前部空間4Aに、直線状に配置されたLED素子7の各列の裏側に対応して、LED基板5の上面が当接する前後方向に並行に延びる熱伝導リブ11を一体に有し、
内部空間4のうちの前部空間4Aに連続する後部空間4Bに本体2に取り付けられたLED素子7の制御部14を備え、
熱伝導リブ11相互間に形成されるトンネル状の第1空気通路1P及び熱伝導リブ11の外側面に沿って形成される第2空気通路1Qが、後部から前部に向けて斜め前方に上昇する形態で内部空間4に形成されている。
【0061】
また、照明器具1は、
LED基板5は開口部2Aに沿って前部空間4A内の下部に配置され、
制御部14は、熱伝導リブ11の後方の後部空間4BにLED基板5よりも上方位置で本体2に熱伝導状態の取り付けである。
【0062】
また、照明器具1は、
制御部14は電気部品を取り付けた制御基板15を有し、
LED基板5及び制御基板15は、それぞれ本体2に一体形成の取り付けボスにネジ固定されている。
【0063】
また、照明器具1は、
熱伝導リブ11の後端は後部空間4Bに臨む位置であり、熱伝導リブ11の前端は前部空間4Aの前壁の後方位置である。
【0064】
また、照明器具1は、
並行の熱伝導リブ11とLED基板5によって囲まれたトンネル状の第1空気通路1Pと、第1空気通路1Pの左右両外側となる位置で熱伝導リブ11の外側面に沿った第2空気通路1Qは、並行な熱伝導リブ11の前端と後端で連通している。
【0065】
次にグレア抑制構造について説明する。
本発明は、図16に示すように、道路灯において、非照射面である道路の路面から鉛直方向VTの高さ4.5mに設置された光源となる発光部6から出射される出射光のうち、発光部6の中心部における鉛直方向VTから遠い地点で、路面から1.5mの高さにある人の目線の水平方向に対する所定の仰角以上の出射光が、前記人の目に入らないように遮ることによって、その人に対する眩しさ(グレア)を抑制する技術の提供である。
【0066】
この場合、照明器具に特別な遮光板を取り付けることなく、照明器具の必須構成部品の範囲内で上記のような眩しさ(グレア)を抑制する技術を達成することに特徴がある。
【0067】
上記のように、照明器具1は、第1取り付け部101または第2取り付け部102による取り付けのいずれにおいても、前後方向に長い照明器具1が道路幅方向に向かう前上がり状態となり、図15に示すように、道路方向に長い配光を得る。
【0068】
本体2は、図1図5図17に示すように、本体2の開口部2Aの周縁部2A1を巡るように、下方へ突出するフランジ2Fを形成している。
本発明は、下面に開口部2Aを有する不透光性の本体2の前記開口部2Aに対応して発光部6が取り付けられ、発光部6の出射光が道路方向に配光される照明器具において、発光部6から道路方向に配光される出射光のうち、グレア抑制として、発光部6の鉛直方向に対して所定角度θ1以上の出射光が開口部2Aの周縁で遮られる位置に、発光部6が本体2に取り付けられた構成である。
発光部6は、LED素子7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、実施例では、LED素子7と、LED素子7ごとに所定の配光となる出射光を形成するレンズ形態の配光部82を有する配光ユニット8によって構成している。
【0069】
この具体的実施例として、前記のように、路面から1.5mの高さにある人(歩行者)の目線の水平方向に対する所定の仰角θ4の出射光を遮るために、この仰角θ4を5°未満とし、グレア抑制の範囲である前記所定角度θ1を規定の85°以上とする場合について記載する。
【0070】
このため、下面に開口部2Aを有する不透光性の本体2の開口部2Aに対応して発光部6が取り付けられ、発光部6の出射光が道路方向に配光される照明器具1において、図17に示すように、発光部6からの出射光の出射範囲は、発光部6の中央における鉛直方向VTに対する角度(鉛直角)θ2=90°であり、その中で、グレアを抑制する範囲は角度θ4=5°未満である。この場合、発光部6から道路方向に配光される出射光のうち、発光部6の鉛直方向VTに対する角度(鉛直角)でθ1=85°以上の出射光が、開口部2Aの周縁下端であるフランジ2Fの下端で遮られる位置に、発光部6が本体2に取り付けられる構成としている。
【0071】
発光部6はLED基板5に取り付けたLED素子7によって形成され、発光部6からの出射光は、LED素子7の発光に基づきLED素子7ごとに形成した配光特性部83Aから発せられ、透光性カバー3を透過して図15に示すように、LED照明器具1の前後方向軸に対して道路方向である左右方向に長い配光特性を有する。
【0072】
これによって、1個の照明器具1から道路方向である左右方向に向けて、角度θ3=170°の範囲で出射光が発せられ、照明器具1の左右において角度θ4の範囲でグレアが抑制される。
【0073】
これに係るLED基板5と配光ユニット8の本体2への配置について、上記のように、LED基板5は、取り付けボス13に上面が当接する状態で4隅の孔5Pを通してネジ12で取り付けボス13に取り付けられ、配光ユニット8は、その板状部81がLED基板5の下側面に重ね合わせ状態で以って、LED基板5を貫通して他の取り付けボス13Bにネジ9で取り付けられる。この状態で、発光部6からの出射光の出射範囲を限定する部分となる配光特性部83Aの基部と板状部81との交点BTが、フランジ2Fよりも下方へ突出しない状態となり、LED基板5と配光ユニット8が、開口部2Aに沿って内部空間4に配置される状態となる。
【0074】
図示の形態は、複数のLED素子7が所定間隔を存して前後方向に直線的に一列に配置されたものが左右2列配置の構成であるが、これに限定されない。
例えば、前後方向に長いLED基板5の左右間の中央を前後方向に延びる軸線上に、複数のLED素子7が所定間隔を存して前後方向に直線的に一列のみに配置されたものとし、この各LED素子7に対応する配光部8または配光特性部83Aを板状部81に形成した配光ユニット8をLED基板5の下側面に配置し、発光部6の中央における鉛直方向VTに対する所定角度(鉛直角でθ1=85°等)以上の出射光が、開口部2Aの周縁下端で遮られる位置に、発光部6が本体2に取り付けられる構成とするものでもよい。
更にLED素子7を3列構成とし、上記同様の構成とするものでもよい。
【0075】
上記のように、本発明によって、発光部6から開口部の左右の周縁部を通る出射光のうち、鉛直角で85°以上の範囲が、開口部2Aの左右の周縁部によって制限されるため、この角度未満の範囲では路面照射が良好となり、特別なグレア抑制部材を設ける必要がなくグレア抑制が良好となる。また、発光部6の取り付けも安定したものとなる。
【0076】
また本発明によって、上記のようなグレア抑制と共に、LED素子7の発光に伴い発生する熱は、LED基板5から熱伝導リブ11を通して本体2から放熱されるルートによって放熱される。また、LED基板5の上側に熱伝導リブ11に沿って形成される前後方向の空気通路によって、内部空間4の空気は流動し、LED素子7の発光に伴い発生する熱及び制御部14の発する熱が本体2から放熱される。
【0077】
本発明は、発明の範囲内における種々の変更が可能であり、LED照明器具1の形態も上記に限定されることなく、種々の形態のLED照明器具1に適用可能である。
このため、上記では、グレアを抑制する範囲が、発光部6の鉛直方向VTに対する角度(鉛直角)でθ1=85°以上の範囲としたが、規定が80°以上であれば、それに合致するように、上記同様の構成とする。
【0078】
上記図示の実施例では、配光ユニット8を分離配光ユニット8P、8Qで構成したが、これに替わって、例えば配光ユニット8を分離配光ユニット8Pのみの1枚とする場合は、その分離配光ユニット8Pは、一列配置の3個の取り付けボス13Bの中間のものにネジ9で取り付けることにより、上記同様の構成及び作用が達成できる。
【0079】
また、配光ユニット8を1枚とする場合、前後方向に長いLED基板5の左右間の中央を前後方向に延びる軸線上に、複数のLED素子7が所定間隔を存して前後方向に直線的に一列のみに配置されたものとし、この各LED素子7に対応する配光部8または配光特性部83Aを板状部81に形成した配光ユニット8をLED基板5の下側面に配置し、発光部6の中央における鉛直方向VTに対する所定角度(鉛直角でθ1=85°等)以上の範囲の出射光が、開口部2Aの周縁下端で遮られる位置に、発光部6が本体2に取り付けられる構成とすることもできる。
【0080】
実施形態では透光性カバー3を備えるが、本発明は、透光性カバー3を設けずに、配光ユニット8が
透光性カバー3の役目を兼用するように、配光部82を一体形成する板状部81の平面積を広くして、
配光ユニット8が本体2の開口部2Aの周縁を巡るフランジ2Fの内側において、開口部2Aの全体を覆う大きさに形成する形態でも、同様の作用効果を奏することができる。
【0081】
本発明の照明器具1は、図18及び図19に示すように、制御部14を絶縁シート110で覆うことにより、制御部14が本体2及び保護カバー18との接触を避け、更に照明器具1の点検等を行う作業者への感電防止等を行う構成である。図18図1において制御部14を絶縁シートで覆った状態を示す照明器具の分解斜視図であり、図1と同じ構成であるため一部の符号を省略している。また、図19図2において制御部14を絶縁シートで覆った状態を示す照明器具の縦断側面図であり、図2と同じ構成であるため一部の符号を省略している。
【0082】
絶縁シート110は、図18に示すように、上辺111と下辺112とこれら両辺を連結する連結辺113を一体形成した略コ字状をなす電気絶縁性の合成樹脂製シートである。実施例の絶縁シート110は、厚さが略0.19mmのポリエステル製で構成し、上辺111と下辺112は、制御部14全体を覆う平面積を有する大きさである。
【0083】
絶縁シート110は、上辺111の四隅部分にそれぞれ4個の取り付けボス16、16Bが入り込む切欠き114を形成している。このため、連結辺113が制御基板15の外側位置において上辺111と下辺112との間に制御部14が位置するように絶縁シート110を組み合わせ、且つ四か所の切欠き114がそれぞれ4個の取り付けボス16、16Bの内側に一致する状態に、絶縁シート110を本体2の後部空間4Bに配置する。
これによって、図18及び図19に示すように、絶縁シート110は取り付けボス16、16Bによって位置決めされ、上辺111と下辺112の間に制御部14が配置され、制御部14の全体が絶縁シート110で覆われる状態となる。
【符号の説明】
【0084】
1 照明器具
1P 第1空気通路
1Q 第2空気通路
2 本体
2A 本体の開口部
2F フランジ
3 透光性カバー
4 内部空間
4A 前部空間
4B 後部空間
5 LED基板
6 発光部
7 LED素子
8 配光ユニット
10 取り付け部
11 熱伝導リブ
14 制御部
15 制御基板
110 絶縁シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19