(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795842
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】温調装置
(51)【国際特許分類】
F25B 21/02 20060101AFI20201119BHJP
H01L 35/30 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
F25B21/02 R
H01L35/30
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-1970(P2017-1970)
(22)【出願日】2017年1月10日
(65)【公開番号】特開2018-112335(P2018-112335A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】508175503
【氏名又は名称】キーナスデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】橘 純一
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/157417(WO,A1)
【文献】
特開2013−131344(JP,A)
【文献】
特開2008−034520(JP,A)
【文献】
特開2006−183882(JP,A)
【文献】
特開2008−102807(JP,A)
【文献】
特開2014−145503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 21/02
H05K 7/20
H01L 35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節の対象物が載置される温調ステージと、
前記温調ステージを加熱するヒータと、
駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面として機能する第1面、及び前記駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面のうち前記第1面と異なる面として機能する第2面を有し、前記第1面が前記温調ステージと熱的に結合されたペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子の前記第2面と熱的に結合し、装置外部との間で熱交換を行うヒートシンクと、
前記ヒートシンクを冷却する冷却手段と、
前記温調ステージの前記対象物が載置される面の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサで検出された温度に基づき、温調ステージの温度を所定の範囲となるように、且つ、ペルチェ素子による冷却期間と加熱期間とがバランスするように、前記ヒータと前記ペルチェ素子と前記冷却手段をそれぞれ駆動する電力を制御する制御手段と、
を備え、前記ヒータによる放熱並びに前記ペルチェ素子による放熱及び吸熱により、前記温調ステージの温度を所定の範囲に制御する温調装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ペルチェ素子を駆動する電力を制御する信号に基づき前記冷却手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の温調装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ペルチェ素子の前記第1面を冷却する制御信号に基づき前記冷却手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の温調装置。
【請求項4】
前記ペルチェ素子の前記第1面を冷却する制御信号はパルス信号(以下「冷却パルス」という。)であり、前記制御手段は、前記冷却パルスのパルス幅が広いほど前記冷却手段による冷却の強度を上げる制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の温調装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記冷却パルスのパルス幅が第1パルス幅より広い場合に、前記冷却手段による冷却の強度が最大になるように制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の温調装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記冷却パルスの幅が前記第1パルス幅より狭い第2パルス幅より狭い場合に、前記冷却手段による冷却の強度が最小になるように制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の温調装置。
【請求項7】
前記冷却手段の冷却方式は空冷方式であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の温調装置。
【請求項8】
前記冷却手段の冷却方式は液冷方式であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の温調装置。
【請求項9】
前記温調ステージを覆う断熱カバーを更に備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータとペルチェ素子を用いて対象物の温度を調節する温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温調装置は、温調ステージに載置された対象物の温度を、温調ステージの温度を変化させることにより調節する装置である。温調ステージに温度変化を与える温調ステージへの熱量の供給方法としては、例えばヒータとペルチェ素子を併用した方法が特許文献1などに開示されている。
【0003】
図1は従来の温調装置の一例を示す構成図である。温調装置100は、温調ステージ110、ヒータ120、ペルチェ素子130、ヒートシンク140、ファン150、温度センサ160、及び制御手段170を備える。
【0004】
温調ステージ110には温度調節の対象物DUTが載置される。ヒータ120は、温調ステージ110を加熱する任意の発熱体であり、例えば
図1に示すように温調ステージ110に内蔵される。ペルチェ素子130は、ペルチェ効果により駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面として機能する第1面、及び駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面のうち第1面と異なる面として機能する第2面を有し、第1面が温調ステージと熱的に結合するように配置されて、温調ステージを加熱又は冷却する。なお、ペルチェ素子130は、温調ステージ110とヒートシンク140のそれぞれとの熱的な結合に支障がなければ、例えば、
図1に示すようにモジュール化されていてもよい。ヒートシンク140は、ペルチェ素子130の第2面と熱的に結合するように配置される伝熱特性に優れた任意の材質、形状の部材であり、ペルチェ素子130の第2面に発生した熱について、装置外部との間で熱交換を行う。ファン150は、空冷方式によりヒートシンク140を冷却する冷却手段であり、ファン用電源151からの給電によりヒートシンク140に送風し、ヒートシンク140による熱交換を促進する。温度センサ160は、温調ステージ110の対象物DUTが載置される面の温度を検出する。制御手段170は、温度センサ160で検出された温度に基づき、ヒータ120とペルチェ素子130をそれぞれ駆動する電力を制御する。
【0005】
制御手段170は、例えば温調モジュール171、ヒータ駆動部172、及びペルチェ駆動部173を備える。温調モジュール171は、例えばCPU、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータであり、温度センサ160で検出された温度と目標温度とを比較し、目標温度より高いときには、ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号を出力する。また、目標温度より低いときには、ヒータ120とペルチェ素子130の第1面を加熱する制御信号を出力する。制御信号の型式は任意であるが、例えばパルス信号を用いると、デューティ比により冷却や加熱の程度を容易に伝達することができる。ヒータ駆動部172とペルチェ駆動部173は、例えば、ソリッドステートリレー(SSR)などのスイッチング素子を含むドライバ回路であり、温調モジュール171から出力された制御信号を、ヒータ120の駆動信号とペルチェ素子130の駆動信号にそれぞれ変換して出力する。
【0006】
制御手段170による温度調節の原理は次のとおりである。
【0007】
温度制御に関係する各熱量について、ペルチェ素子130におけるペルチェ効果によって第1面から放射される熱量をWp、ペルチェ素子130の自己発熱による熱量をWjp、ヒーター120が供給する熱量をWht、温調ステージ110から外気に逃げる熱量を−Whs、対象物DUTの発熱量をWdutとする。
【0008】
ペルチェ素子130の第1面の冷却時に、当該第1面から放射される熱量は−Wpであり、すなわちWpの熱量が第1面から吸収され、これにより第1面が冷却される。このとき、第2面からはWp+Wjpの熱量が放射される。
【0009】
温調ステージ110を冷却する際の温調ステージ110の温度は、ペルチェ素子130の第1面の冷却時の放射熱量−Wpに、対象物DUTの発熱量Wdut及び温調ステージ110から外気に逃げる熱量−Whsを加えた熱量
(−Wp)+Wdut−Whs ・・・(i)
と周囲温度とから決定される。
【0010】
一方、ペルチェ素子130の第1面の加熱時に、当該第1面から放射される熱量はWp+Wjpである。このとき、第2面から放射される熱量は−Wpであり、すなわちWpの熱量が第2面から吸収される。
【0011】
温調ステージ110を加熱する際の温調ステージ110の温度は、ペルチェ素子130の第1面の加熱時の放射熱量Wp+Wjpに、ヒータ120からの供給熱量Wht、対象物DUTの発熱量Wdut、及び温調ステージ110から外気に逃げる熱量−Whsを加えた熱量
(Wp+Wjp)+Wht+Wdut−Whs ・・・(ii)
と周囲温度とから決定される。
【0012】
或る目標温度に調節されている温調ステージ110に対象物DUTが載置された際に、この対象物DUTの発熱量が不定であるときには、例えば、ヒータ120の温度調節により熱量
Wht+Wdut−Whs ・・・(iii)
で目標温度の大凡の維持を図り、微調整をペルチェ素子130による冷却、加熱により行えばよい。すなわち、温度を下げる方向に微調整したいときは熱量−Wpにより冷却し、温度を上げる方向に微調整したいときは熱量Wp+Wjpにより加熱する。これにより精度よく温度調節をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2013−131344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図2は、ペルチェ素子130による第1面の冷却期間と加熱期間の時間関係を模式的に示したものである。ここでは、時間軸の上側が加熱期間、下側が冷却期間であるとして説明する。
【0015】
温調ステージ110の温度が概ね目標温度で維持されており、ペルチェ素子130による冷却期間と加熱期間とが
図2(a)に示すようにバランスしているとき、冷却能力、加熱能力ともに余力があり、温度調節時の外乱に対し最も広いレンジでペルチェ素子130により冷却、加熱を行い、目標温度への補正を行うことができる。
【0016】
しかし、目標温度の維持に際して、ペルチェ素子130による冷却期間と加熱期間との関係が
図2(b)に示すように冷却過多になっている場合、冷却能力の余力が少ないため、外乱で温度が上昇してしまったときに、目標温度に向けて冷却しきれない可能性がある。同様に、ペルチェ素子130による加熱期間と冷却期間との関係が
図2(c)に示すように加熱過多になっている場合、外乱で温度が下降してしまったときに目標温度に向けて加熱しきれない可能性がある。
【0017】
本発明の目的は、ヒータとペルチェ素子を併用する温調装置において、ペルチェ素子の冷却加熱能力に余力を確保することができ、この余力を活用して外乱発生時にも目標温度を安定的に維持することが可能な温調装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)本発明の温調装置は、温度調節の対象物が載置される温調ステージと、温調ステージを加熱するヒータと、駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面として機能する第1面、及び駆動電流の向きに応じて放熱面又は吸熱面のうち第1面と異なる面として機能する第2面を有し、第1面が温調ステージと熱的に結合されたペルチェ素子と、ペルチェ素子の第2面と熱的に結合し、装置外部との間で熱交換を行うヒートシンクと、ヒートシンクを冷却する冷却手段と、温調ステージの前記対象物が載置される面の温度を検出する温度センサと、温度センサで検出された温度に基づき、ヒータとペルチェ素子と冷却手段をそれぞれ駆動する電力を制御する制御手段と、を備え、前記ヒータによる放熱並びに前記ペルチェ素子による放熱及び吸熱により、温調ステージの温度を所定の範囲に制御する。冷却手段の冷却方式は、空冷方式を採用してもよいし液冷方式を採用してもよい。
【0019】
(2)制御手段は、ペルチェ素子を駆動する電力を制御する信号に基づき冷却手段を制御するようにしてもよい。
【0020】
(3)制御手段は、ペルチェ素子の第1面を冷却する制御信号に基づき冷却手段を制御するようにしてもよい。
【0021】
(4)ペルチェ素子の第1面を冷却する制御信号はパルス信号(以下「冷却パルス」という。)であり、制御手段は、冷却パルスのパルス幅が広いほど冷却手段による冷却の強度を上げる制御を行うようにしてもよい。
【0022】
(5)制御手段は、冷却パルスのパルス幅が第1パルス幅より広い場合に、冷却手段による冷却の強度が最大になるように制御を行うようにしてもよい。
【0023】
(6)制御手段は、冷却パルスの幅が第1パルス幅より狭い第2パルス幅より狭い場合に、冷却手段による冷却の強度が最小になるように制御を行うようにしてもよい。
【0024】
(7)温調装置は、温調ステージを覆う耐熱カバーを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
温度センサで検出された温度に基づきヒータとペルチェ素子に加え、ヒートシンクを冷却する冷却手段を制御することで、ペルチェ素子の冷却加熱能力に余力を確保することができる。具体的には、第1面(温調ステージ)を冷却するときには、冷却手段による冷却の強度を上げることで第2面の温度を下げて第1面の冷却能力を高めるとともに、第2面から放出された熱が温調ステージに回り込まないようすることで冷却期間を短縮することができる。また、第1面を冷却しないとき(加熱するとき)には、冷却手段による冷却の強度を下げることで第2面の温度低下を抑制し、これにより第1面の加熱能力の低下を防ぐことで加熱期間を短縮することができる。そして、このようにして確保した冷却加熱能力の余力を活用することで、外乱発生時にも目標温度を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来の温調装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】ペルチェ素子の第1面を冷却、加熱する制御信号の時間変化を模式的に示した図である。
【
図3】第1実施形態の温調装置の構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態の温調装置の別の構成を示す図である。
【
図5】温調モジュールから出力されるパルス信号波形の一例を示す図である。
【
図6】温調モジュールから出力されるパルス信号波形の一例を示す別の図である。
【
図7】温調モジュールから出力されるパルス信号波形の一例を示す更に別の図である。
【
図8】第2実施形態の温調装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0028】
<第1実施形態>
本発明の温調装置200の構成を
図3に示す。温調装置200は、温調ステージ110、ヒータ120、ペルチェ素子130、ヒートシンク140、ファン150、温度センサ160、及び制御手段270を備える。温調ステージ110、ヒータ120、ペルチェ素子130、ヒートシンク140、ファン150、及び温度センサ160については、背景技術として説明した温調装置100と同様のものである。
【0029】
制御手段270は、温度センサで検出された温度に基づき、ヒータ120と、ペルチェ素子130と、空冷方式によりヒートシンク140を冷却する冷却手段であるファン150をそれぞれ駆動する電力を制御する。具体的には、例えば、ペルチェ素子130を駆動する電力を制御する信号に基づきファン150を制御する。より具体的には温調ステージ110と熱的に結合するペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号に基づきファン150を制御する。
【0030】
図2に示すペルチェ素子130の動作状態、すなわち冷却期間と加熱期間がバランスしている状態(
図2(a))、冷却過多になっている状態(
図2(b))、及び加熱過多になっている状態(
図2(c))の制御は、ペルチェ素子130の動作効率を変化させたり、ヒータ120の熱量を加減したりすることで実現できる。
【0031】
具体的には、温調ステージ110の温度が目標温度より高く、冷却過多になっている場合には、ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号に基づきファン150の回転数を上げ、ヒートシンク140に対する冷却強度を上げる。これにより、ヒートシンク140と熱的に結合するペルチェ素子130の第2面の温度を下げて第1面の冷却能力を高めるとともに、第2面から放出された熱が温調ステージに回り込まないようすることができる。その結果、冷却期間を短縮し、冷却能力に余力を持たせることができる。
【0032】
温調ステージ110を冷却する際の温調ステージ110の温度は、前記の式(i)と周囲温度とから決定されるが、温調ステージ110が例えば耐熱性のカバーで覆われ、装置外部との熱のやり取りが遮断されている場合には、式(i)における冷却に資する項のひとつである−Whsの値がほぼゼロになる。そのため、耐熱カバーがある場合の温度調節に際しては、ペルチェ素子130に冷却余力があることが特に重要となる。
【0033】
温調ステージ110の温度が目標温度より低く、加熱過多になっている場合には、ペルチェ素子130の第1面を加熱する制御信号の合間に出力される第1面を冷却する制御信号に基づきファン150の回転数を抑え、ヒートシンク140に対する冷却強度を下げる。これにより、ペルチェ素子130の第2面の温度低下を抑制して第1面の加熱能力の低下を防ぐことができる。これにより、加熱期間を短縮し、加熱能力に余力を持たせることができる。
【0034】
ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号の形式は任意であるが、例えばパルス信号を用いると、デューティ比により冷却や加熱の程度を容易に伝達することができる。具体的には、冷却の強度が高いほど、パルス幅を広げてデューティ比を大きくするといった方法を採ることができる。
【0035】
この場合、例えば、温調ステージ110の温度が目標温度より高く、冷却過多になっているときには、制御手段270は、ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号を、冷却過多の程度が大きいほど広いパルス幅で出力し、ファン150はデューティ比が大きいほど回転数を上げるというように制御を行うことができる。その際、パルス幅が任意の第1パルス幅より広いときにはファン150の回転数を最大(100%)にするように制御してもよい。
【0036】
また、温調ステージ110の温度が目標温度より低く、加熱過多になっているときには、制御手段270は、ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号を、加熱過多の程度が大きいほど狭いパルス幅とし、ファン150はデューティ比が小さいほど回転数を抑制するというように制御することができる。その際、パルス幅が第1パルス幅より狭い任意の第2パルス幅より狭いときにはファン150の回転数を最小にするように制御してもよい。
【0037】
制御手段270は、例えば温調モジュール171、ヒータ駆動部172、ペルチェ駆動部173、及びPWMドライバ274を備える。温調モジュール171は、例えばCPU、記憶手段などを備えるマイクロコンピュータであり、温度センサ160で検出された温度と目標温度とを比較し、目標温度より高いときには、ペルチェ素子130の第1面を冷却するパルス信号を出力する。また、目標温度より低いときには、ヒータ120とペルチェ素子130の第1面を加熱するパルス信号を出力する。ヒータ駆動部172とペルチェ駆動部173は、例えば、ソリッドステートリレー(SSR)などのスイッチング素子を含むドライバ回路であり、温調モジュール171から出力された制御信号を、ヒータ120の駆動信号とペルチェ素子130の駆動信号にそれぞれ変換して出力する。PWMドライバ274は、ペルチェ素子130の第1面を冷却するパルス信号のパルス幅(デューティ比)に応じた回転数でファン150を駆動する。このとき、パルス幅が第1パルス幅より広い場合には回転数を最大にして駆動するようにしてもよい。
【0038】
制御手段は
図4に示すように構成してもよい。
図4は、制御手段270と一部が異なる制御手段370を備える温調装置300の構成を示す図である。温調装置300は、温調装置200のPWMドライバ274の代わりに、モノマルチ375、OR回路376、及びファン駆動部377を使用する構成である。モノマルチ375は、温調モジュール171から出力されたパルス信号の立ち下がり又は立ち上がりの検出をトリガに一定時間幅のパルス信号を出力する。OR回路376は、温調モジュール171から出力されたパルス信号とモノマルチ375から出力されたパルス信号との論理和をとって出力する。ファン駆動部377は、例えば、ソリッドステートリレー(SSR)などのスイッチング素子を含むドライバ回路であり、OR回路376から出力されたパルス信号を、ファン150の駆動信号に変換して出力する。
【0039】
PWMドライバ274をファン駆動部377のみで置き換えた場合、温調モジュール171から出力されたパルス信号のデューティ比が100%にならなければ、ファン150の回転数を最大にすることができない。これに対し、
図4の構成によれば、温調モジュール171から出力されたデューティ100%未満のパルス信号であっても、所定のパルス幅を持つモノマルチ出力との論理和でデューティ100%になるパルス幅(第1パルス幅)より広いパルス幅のパルス信号であれば、ファン150の回転数を最大にすることができる。
【0040】
図5(a)は、温調モジュール171から出力されるパルス信号波形の一例、
図5(b)は、
図5(a)のパルス信号が入力されたモノマルチ375から出力されたパルス信号波形、
図5(c)は、
図5(a)のパルス信号と
図5(b)のパルス信号とが入力されたOR回路376から出力されたパルス信号波形である。また、
図6は
図5より温調モジュール171からの出力パルス幅が広い(第1パルス幅より広い)場合、
図7は温調モジュール171からの出力パルスが常時ONの場合(フル冷却の場合)である。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態は、ヒートシンクの冷却を液冷方式により行う点において、空冷方式により行う第1実施形態と異なる。
【0042】
本発明の温調装置400の構成を
図8に示す。温調装置400は、温調ステージ110、ヒータ120、ペルチェ素子130、液冷ヒートシンク440、冷媒供給部450、温度センサ160、及び制御手段270を備える。温調ステージ110、ヒータ120、ペルチェ素子130、温度センサ160、及び制御手段270については、第1実施形態の温調装置200と同様のものである。
【0043】
液冷ヒートシンク440は、冷媒供給部450から供給された冷媒が循環する流路であり、ペルチェ素子130の第2面と熱的に結合するように配置される。これにより。ペルチェ素子130の第2面で発生した熱が冷媒に吸熱され、ペルチェ素子130の第2面が冷却される。液冷ヒートシンク440の具体的な配置方法は任意であるが、
図8に示すように蛇行させて距離を延ばすことで、より効率的に熱交換を行うことができる。また、使用する冷媒は任意である。
【0044】
冷媒供給部450は、液冷方式により液冷ヒートシンク440を冷却する冷却手段である。冷媒供給部450は、冷媒を冷却する冷媒冷却部451と冷媒を循環させるポンプ452を備え、冷媒冷却部451で冷却された冷媒を、ポンプ452を用いて液冷ヒートシンク440の一端から供給し、ペルチェ素子130の第2面との熱交換を経た冷媒を液冷ヒートシンク440の他端から回収して、再度冷媒冷却部451で冷却して液冷ヒートシンク440に供給するという処理を繰り返す。
【0045】
制御手段270は、温度センサで検出された温度に基づき、ヒータ120と、ペルチェ素子130と、冷媒供給部450をそれぞれ駆動する電力を制御する。
【0046】
制御の考え方は第1実施形態と同様であり、温調ステージ110の温度が目標温度より高く、冷却過多になっている場合には、ペルチェ素子130の第1面を冷却する制御信号に基づき冷媒供給部450の冷媒冷却部451における冷媒の冷却強度を上げ、よって液冷ヒートシンク440に対する冷却強度を上げる。これにより、液冷ヒートシンク440と熱的に結合するペルチェ素子130の第2面の温度を下げて第1面の冷却能力を高めるとともに、第2面から放出された熱が温調ステージに回り込まないようすることができる。その結果、冷却期間を短縮し、冷却能力に余力を持たせることができる。
【0047】
また、温調ステージ110の温度が目標温度より低く、加熱過多になっている場合には、ペルチェ素子130の第1面を加熱する制御信号の合間に出力される第1面を冷却する制御信号に基づき冷媒供給部450の冷媒冷却部451における冷媒の冷却強度を下げ、よって液冷ヒートシンク440に対する冷却強度を下げる。これにより、ペルチェ素子130の第2面の温度低下を抑制して第1面の加熱能力の低下を防ぐことができる。これにより、加熱期間を短縮し、加熱能力に余力を持たせることができる。
【0048】
なお、ここでは制御手段270からの信号により冷媒冷却部451での冷却強度を制御することで、液冷ヒートシンク440に対する冷却強度を上下させペルチェ素子130の第2面の温度を制御する方法を例示したが、液冷の具体的な方法は任意であり、例えば、制御手段270からの信号によりポンプ452を制御し冷媒の流速を制御することでペルチェ素子130の第2面の温度を制御するといった方法をとっても構わない。
【0049】
本発明の温調装置の各構成要素及び各機能は、必要に応じ併合・分割しても構わない。また、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0050】
100、200、300、400 温調装置
110 温調ステージ
120 ヒータ
130 ペルチェ素子
140 ヒートシンク
150 ファン
151 ファン用電源
160 温度センサ
170、270、370 制御手段
171 温調モジュール
172 ヒータ駆動部
173 ペルチェ駆動部
274 PWMドライバ
375 モノマルチ
376 OR回路
377 ファン駆動部
440 液冷ヒートシンク
450 冷媒供給部
451 冷媒冷却部
452 ポンプ