(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、同軸ケーブルの端部に具備される同軸コネクタプラグや、室内の壁面に取付けられてテレビアンテナ等からの信号をテレビ等の受信機器に出力する直列ユニットとして、例えば、特許文献1,2に記載されているものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている同軸コネクタプラグは、L字状に形成された本体の一方にコネクタ部が、他方にプラグ部がそれぞれ設けられている。前記コネクタ部は、本体の円筒室内に嵌着された円筒状絶縁部材と、前記絶縁部材に保持された中心コンタクト(中心導体)とを備えるとともに、前記プラグ部は、本体の円筒室内に嵌着された円筒状絶縁部材と、前記絶縁部材に保持された中心導体とを備えており、前記中心コンタクトの一端と中心導体の一端とが本体内において電気的に接続されている。
前記中心コンタクトの一端と中心導体の一端とを電気的に接続するための構造として、特許文献1においては、
(1)前記中心導体の一端にスリ割りを形成し、当該スリ割りにより弾性を有する一端を、前記中心コンタクトの一端に設けた挿通孔に圧入する。
(2)前記中心コンタクトの一端に設けた挿通孔に切りこみを形成し、当該切りこみにより弾性を有する挿通孔に、前記中心導体の一端を圧入する。
(3)前記中心コンタクトの一端に設けた挿通孔と、前記中心導体の一端にそれぞれネジを形成するとともに、前記中心コンタクトの挿通孔に、前記中心導体の一端を螺着する。
(4)前記中心導体の一端に軸方向に切り込みを形成し、当該切り込みにより弾性を有する一端に、前記中心コンタクトの一端を挟持させる。
等といった構造が開示されている。
【0004】
特許文献2に記載されている直列ユニットは、出力端子を設けた筐体と、前記筐体に対して回動自在に接続される入力端子とを備えている。前記出力端子は、筐体と一体に設けた外部導体の内部空間に筒状の絶縁部材を収容し、この絶縁部材の中央に出力側の中心導体を保持して構成されている。また、入力端子はL字状に形成され、前記筐体に対し回動自在に接続される一方端には、出力側の中心導体の後端に設けたカップ状部と摺接する球状ヘッドを先端に設けた中継ぎ中心導体が絶縁部材により支持されているとともに、他方端には入力側の中心導体を収容した筒状の絶縁部材が嵌着されており、前記入力側の中心導体の上端に中継ぎ中心導体の後端に設けたピン型テールを挟持させることにより、入力側の中心導体と出力側の中心導体とが中継ぎ中心導体を介して電気的に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、
図1ないし
図30を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
まず、本発明における第1の実施形態について、
図1ないし
図13を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す斜視図、
図2は同じく断面図、
図3は同じく分解斜視図、
図4は外部導体の斜視図、
図5は中心導体の斜視図、
図6は接続端側絶縁部材の一方を構成する上部絶縁部材の斜視図、
図7は接続端側絶縁部材の他方を構成する下部絶縁部材の斜視図、
図8(a)は着脱端側絶縁部材の斜視図、
図8(b)は着脱端側絶縁部材の断面図、
図9は中心導体を外部導体内に配設する手順を示す説明図、
図10は各絶縁部材を外部導体内に挿嵌する手順を示す説明図、
図11は各絶縁部材の係合状態を示す斜視図、
図12はコネクタ部の断面図、
図13は同軸コネクタプラグの組立手順を示す説明図である。
【0016】
図1,2に第1の実施形態として本発明のL字型コネクタを同軸コネクタプラグに適用した例を示す。同軸コネクタプラグ100は、テレビ等の受信機器に設けられている入力端子や、室内の壁面に設けられた直列ユニット等の出力端子(TV端子)等に接続されるプラグ部1と、前記プラグ部1の後端に回転可能に接続されるコネクタ部10とを備えて構成されており、前記コネクタ部10として本発明のL字型コネクタが使用されている。
【0017】
図2,3に示すように、プラグ部1は、内部に前記受信機器の入力端子や直列ユニット等の出力端子(TV端子)等と螺合するネジ部2aを螺設した、例えば、亜鉛合金ダイキャストからなる接続ナット2と、前記接続ナット2の後端に連設された円筒部3と、前記接続ナット2の中心位置に同心状に配設される導電材料からなる棒状のコンタクト4と、前記コンタクト4を保持する絶縁材料からなる円板状のスペーサ5とを備えて構成されている。
また、コネクタ部10は、例えば、亜鉛合金ダイキャストからなる中空L字状の外部導体20と、前記外部導体20の中心位置に同心状に配設される中心導体30と、前記中心導体30を外部導体20内に保持する絶縁部材40とを備えて構成されている。
【0018】
以下、
図3〜8を参照しながら、コネクタ部10を構成する各部材の詳細な構造について説明する。
図4に示すように、中空L字状の外部導体20の一方端(短辺側の端部)は、同軸コネクタプラグ100のプラグ部1に回動可能に接続される接続端21を構成するとともに、他方端(長辺側の端部)は、同軸ケーブルの端部に具備した同軸コネクタの接栓が着脱される着脱端22を構成し、前記接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とは、直交する状態(90°)で交差している。21aは接続端21の外周に凹設された凹溝、21bは接続端21の開口部に形成された薄肉状の舌片、22aは着脱端22の外周に形成されたネジ部である。
【0019】
図5に示すように、中心導体30は、バネ性を有する金属片を外部導体20と同形状(直角)に曲成することによりL字状に形成されており、前記外部導体20の接続端21側及び着脱端22側に位置する各端部には、クランプ状の挟着部31,32がそれぞれ設けられている。
【0020】
図3に示すように、絶縁部材40は、外部導体20の接続端21側において中心導体30の出力側挟着部31を挟み込むような状態で保持する、例えば、上下一対の半円形状の絶縁部材42,43からなる接続端側絶縁部材41と、外部導体20の着脱端22側において中心導体30の入力側挟着部32を内部に収納した状態で保持する円筒状の着脱端側絶縁部材44から構成され、前記接続端側絶縁部材41を構成する一対の絶縁部材42,43は、それぞれ外部導体20の接続端21側における開口部から挿嵌されるとともに、前記着脱端側絶縁部材44は、外部導体20の着脱端22側における開口部から挿嵌される。
【0021】
前記接続端側絶縁部材41のうち、上部側の絶縁部材42は、
図6に示すように、内部に中心導体30の出力側挟着部31を収納することが可能な空所42aが設けられるとともに、前記空所42aには出力側挟着部31及び中心導体30の揺動を抑制する複数の支持片42bが設けられている。また、前記上部側の絶縁部材42の前端側(外部導体20の接続端21側における開口部から外部に臨む端部)には、後述する下部側の絶縁部材43の前端側に設けられる係合壁43cが係合する係合溝42cが凹設されている。
【0022】
一方、前記接続端側絶縁部材41のうち、下部側の絶縁部材43は、
図7に示すように、上部側の絶縁部材42と同様に、内部に中心導体30の出力側挟着部31を収納することが可能な空所43aが設けられているとともに、前記空所43aには出力側挟着部41の揺動を抑制する支持片43bが設けられている。また、前記下部側の絶縁部材43の前端側(外部導体20の接続端21側における開口部から外部に臨む端部)には、前記上部側の絶縁部材42の前端側に設けた係合溝42cに係合する係合壁43cが立設され、下部中央付近には、外部導体20の屈曲部内壁と係合する係止爪43dが設けられ、後端には、後述する着脱端側絶縁部材44の上端側に形成される溝部44fに係合する一対の舌状片43eが、その間に中心導体30が係合する係合凹部43fを形成した状態で突設されている。
【0023】
前記着脱端側絶縁部材44は、
図8に示すように、内部に中心導体30の入力側挟着部32を収納することが可能な空所44aが設けられているとともに、前記空所44aには入力側挟着部32の揺動を抑制する支持片44bが設けられている。また、前記着脱端側絶縁部材44の上端側には、前記中心導体30の入力側挟着部32を挿通可能な大きさで外周壁44c及び上端壁44dの一部を切欠くことにより開口部44eが設けられている。前記外周壁44cと上端壁44dとの間には、前記接続端側絶縁部材41の一方を構成する下部側の絶縁部材43の後端に突設した舌状片43eが係合する溝部44fが形成されている。なお、44gは着脱端側絶縁部材44の下端(外部導体20の着脱端22側における開口部から外部に臨む端部)に設けた挿通孔である。
【0024】
次に、外部導体20の中心位置に中心導体30を配設する場合について、
図9を参照しながら説明する。この場合、まず、外部導体20の接続端21側における開口部から、中心導体30の入力側挟着部32を挿入するとともに(
図9(a)参照)、前記中心導体30をそのバネ性を利用して弾性変形させながら外部導体20内へ押し込む(
図9(b)参照)。そして、前記入力側挟着部32が外部導体20の屈曲部を通過すると(
図9(c)参照)、中心導体30が初期状態に復帰し(
図9(d)参照)、外部導体20の中心位置に配設される(
図9(e)参照)。
【0025】
つづいて、前記中心導体30を外部導体20内に保持する場合について、
図10〜12を参照しながら説明する。この場合、まず、
図10(a),(b)に示すように、外部導体20の接続端21側における開口部から、接続端側絶縁部材41の一方を構成する上部側の絶縁部材42を、中心導体30の上部側に挿嵌し、内部の空所42aに出力側挟着部31を収納する。次に、
図10(b),(c)に示すように、外部導体20の着脱端22側における開口部から、着脱端側絶縁部材44を挿嵌することにより、上端側に設けた開口部44eから中心導体30の入力側挟着部32を内部の空所44aに収納し、かつ、支持片44bにより揺動を抑制した状態で保持するとともに、上端壁44dを上部側の絶縁部材42の後端に下方から当接することで、前記上部側の絶縁部材42を支持する。この後、
図10(c)に示すように、外部導体20の接続端21側における開口部から、接続端側絶縁部材41の他方を構成する下部側の絶縁部材43を、中心導体30の下部側に挿嵌し、内部の空所43aに挟着部31を収納するとともに、
図11(a)及び
図12に示すように、後端に突設した舌状片43eを着脱端側絶縁部材44の外周壁44cと上端壁44dとの間に形成した溝部44fに係合し、かつ、下部中央付近に設けた係止爪43dを外部導体20の屈曲部内壁に係合させ、更に、
図11(b)に示すように、前端側に設けた係合壁43cを上部側の絶縁部材42の前端側に設けた係合溝42cに係合させる。この結果、前記各絶縁部材42〜44は互いが係合することにより、外部導体20に対し抜脱を防いだ状態で固定されるとともに、中心導体30は前記各絶縁部材42〜44に設けた支持片42b,43b,44bによって揺動を抑制した状態で外部導体20の中心位置に保持される(
図12参照)。
【0026】
次に、コネクタ部10をプラグ部1に接続し、同軸コネクタプラグ100を構成する場合について、
図13を参照しながら説明する。この場合、まず、
図13(a),(b)に示すように、コネクタ部10の外部導体20の接続端21側における開口部から、接続端側絶縁部材41の前端に設けた挿通孔41aを介して導電材料からなる棒状のコンタクト4の後端を挿入し、当該後端を接続端側絶縁部材41内に保持されている中心導体30の出力側挟着部31に挟着する。なお、前記コンタクト4の中央部には鍔部4aが設けられており、この鍔部4aが接続端側絶縁部材41の前面とほぼ当接する位置までコンタクト4を挿入する。つづいて、
図13(b),(c)に示すように、前記コンタクト4に、その先端側から絶縁材料からなる円板状のスペーサ5を、その後端に設けた凹部5aに前記鍔部4aを収納する状態で挿通する。この状態で、外部導体20の接続端21側における開口部に設けた薄肉状の舌片21bをカシメ加工することにより、前記コンタクト4及びスペーサ5が外部導体20の接続端21から抜脱するのを阻止する。この後、
図13(c)に示すように、外部導体20の接続端21を円筒部3に挿入し、円筒部3の後端を接続端21の外周に設けた凹溝21a近傍の段部21cに当接させた状態で、前記円筒部3の後端をカシメ加工して接続端21の外周に設けた凹溝21aに挿入することにより、
図2に示すように、前記コネクタ部10はプラグ部1に対して回動可能に接続される。
【0027】
このように、本発明の第1の実施形態に係るコネクタ部(L字型コネクタ)10においては、中心導体30が中空L字状の外部導体20と同形状(即ちL字状)に曲成されたバネ性を有する金属片からなるので、前記中心導体30は、従来のように複数の導体を組合せて構成する必要がないため構造が簡素化でき、しかも、前記中心導体30の一方の端部に設けた出力側挟着部31は、外部導体20の接続端21側における開口部近傍に、接続端側絶縁部材41に保持された状態で位置しているため、プラグ部1を構成するコンタクト4は、前記接続端側絶縁部材41の挿通孔41aを介して出力側挟着部31に挟着させるだけでよく、従来のように、複雑な構造の複数の導体を外部導体の奥まった位置で接続する作業も不要となり、接続作業に掛かる時間の短縮も可能となる結果、前記中心導体30の構造の簡素化とも相俟って、コストの削減が可能となる。
また、前記中心導体30は、L字状に形成されていても、そのバネ性を利用して弾性変形させることにより、外部導体20内に容易に配設することができる。
更に、前記外部導体20内に配設された中心導体30を保持する各絶縁部材42〜44は、予め決められた順序で外部導体20内に挿嵌し、接続端側絶縁部材41を構成する下部側の絶縁部材43は係止爪43dが外部導体20の屈曲部内壁と係合することにより、同じく接続端側絶縁部材41を構成する上部側の絶縁部材42は係合溝42cに下部側の絶縁部材43の係合壁43cが係合することにより、着脱端側絶縁部材44は上端部に設けた溝部44fに下部側の絶縁部材43の舌状片43eが係合することにより、それぞれ外部導体20に対して抜脱を防いだ状態で固定することができるとともに、前記中心導体30を、揺動を抑制した状態で外部導体20内に保持することができる。
【0028】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について、
図14ないし
図22を参照しながら説明する。
図14は本発明における第2の実施形態を示す斜視図、
図15は同じく断面図、
図16は入力端子の断面図、
図17は外部導体の断面図、
図18は中心導体の断面図、
図19は着脱端側絶縁部材の断面図、
図20は中心導体を外部導体内に配設する際の弾性変形量を示す説明図、
図21は入力端子を筐体に取付ける状態を示す説明図、
図22は筐体を端子台に取付ける状態を示す説明図である。
【0029】
図14,15に第2の実施形態として本発明のL字型コネクタを直列ユニットに適用した例を示す。直列ユニット200は、出力端子(TV端子)51を正面側に設けた筐体50と、前記筐体50の背面側に回動可能に接続される入力端子60と、前記筐体50の正面側に出力端子51が突出した状態となるように取付けられる端子台70とを備えて構成されており、前記入力端子60として本発明に係るL字型コネクタが使用されている。
【0030】
前記筐体50は、例えば、亜鉛合金ダイキャストからなり、
図14,21に示すように、背面形状は逆U字状をしている。
図14,15に示すように、筐体50の正面中央部には出力端子51を構成する円筒状の外部導体52が、筐体50内と連通する状態で一体的に形成されている。前記外部導体52内には、円筒状の絶縁部材53が嵌着されており、前記絶縁部材53によって出力側中心導体54が、その後端を筐体50内に突出させた状態で保持されている。前記出力側中心導体54の先端には、出力端子51に接続される同軸ケーブルの中心導体を挟着するための挟着部54aが、絶縁部材53に設けた透孔53a側に向けて形成されている。
図14,21において、55は筐体50の側面に一体的に形成した取付片、55aは取付片55に穿孔した係止孔である。56は筐体50の背面に設けた挿通孔、57は筐体50の下面に設けた開口部であり、前記開口部57は蓋体58により閉塞される。
【0031】
また、前記端子台70は、例えば、合成樹脂からなり、
図14,15,22に示すように、その正面形状は矩形状をしている。端子台70の中央には円筒状の凹部71が凹設されており、前記凹部71の底面には筐体50に設けた出力端子51が挿通される孔部72が穿孔されている。端子台70の側面には、当該端子台70を筐体50の取付片55に固定するための係止爪73が設けられている。
【0032】
次に、入力端子60の構造について、
図15〜19を参照しながら説明する。前記入力端子60は、
図15,16に示すように、亜鉛合金ダイキャストからなる中空L字状の外部導体20Aと、前記外部導体20Aの中心位置に同心状に配設される中心導体30Aと、前記中心導体30Aを外部導体20A内に保持する絶縁部材40Aとを備えて構成されている。なお、入力端子60の構造は、外部導体20A,中心導体30A及び絶縁部材40Aを構成する着脱端側絶縁部材44Aの外観形状を除いて、第1の実施形態におけるコネクタ部10の構造とほぼ同様であるため、ここでは異なる部分についてのみ説明し、同一部分については同一の符号を用いて説明する。
【0033】
図17に示すように、中空L字状の外部導体20Aは、その接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とが90°よりも大きな角度α(例えば、98°)で交差する状態で形成されている。前記外部導体20Aの接続端21側の外周には、端部から所定距離を設けた位置に凹部211が、また、前記凹部211から所定距離を設けた位置に鍔部212がそれぞれ形成されている。221は外部導体20Aの着脱端22側の外周に形成したネジ部である。
【0034】
また、
図18に示すように、前記外部導体20A内に配設される中心導体30Aは、バネ性を有する金属片を、前記外部導体20Aと同形状、即ち、90°よりも大きな角度α(例えば、98°)で曲成することによりL字状に形成されており、その両端部にはそれぞれクランプ状の挟着部31,32が設けられている。
【0035】
更に、
図19に示すように、前記外部導体20Aの着脱端22A側に挿嵌されて中心導体30Aを保持する着脱端側絶縁部材44Aは、前記外部導体20Aの着脱端22A側が接続端21A側に対して90°よりも大きな角度α(例えば、98°)で交差している関係上、前記着脱端22A側に挿嵌した際に上端側が水平となるようにする(
図16参照)ために、外周壁44cの上端側と上端壁44dには、垂直方向の中心軸に対して90°よりも大きな角度α(例えば、98°)となるように傾斜が設けられている。
【0036】
なお、中心導体30Aを外部導体20A内に配設する場合の手順や、外部導体20A内に絶縁部材42,43,44Aを挿嵌する場合の手順については、第1の実施形態におけるコネクタ部10の場合と同様であるため詳細な説明を省略するが、前記のように外部導体20Aや中心導体30Aを構成することにより、前記中心導体30Aを外部導体20A内に挿入する際の弾性変形量θ
2(
図20(b)参照)は、第1の実施形態において中心導体30を外部導体20内に挿入する際の弾性変形量θ
1(
図20(a)参照)に比べて小さくすることが可能となる。
【0037】
次に、前記入力端子60を、直列ユニット200における筐体50の背面に接続する場合は、
図15,21に示すように、外部導体20Aの接続端21を、その外周に設けた鍔部212と筐体50背面との間にバネワッシャ80を介在させた状態で、前記筐体50背面に設けた挿通孔56から筐体50内に挿入する。この際、前記筐体50内には、出力端子51を構成する外部導体52内に絶縁部材53を介して保持された出力側中心導体54の後端が突出しているので、前記外部導体20Aの接続端21を筐体50内に挿入することにより、前記出力側中心導体54の後端は、外部導体20Aの接続端21側における開口部に臨む接続端側絶縁部材41の前端に開口する挿通孔41aから内部に進入し、前記接続端側絶縁部材41の内部に保持されている中心導体30Aの出力側挟着部31に挟着されて、電気的に接続される(
図15参照)。この後、筐体50内に挿入した外部導体20Aの接続端21側の外周に設けた凹部211に、筐体50の下面に設けた開口部57を介して止輪81を嵌着することにより、外部導体20Aの接続端21は筐体50に対して回動可能な状態で、かつ、電気的に接続される。なお、前記開口部57は蓋体58により閉塞される。
【0038】
また、前記筐体50を端子台70に取付ける場合は、
図15,22に示すように、端子台70の中央に凹設した凹部71の底面に穿孔されている孔部72に、筐体50の正面側に突設した出力端子52を挿通するとともに、前記筐体50に一体形成した取付片55に設けられている係止孔55aに端子台70の側面に設けた係止爪73を係止することにより、前記筐体50は端子台70に取付けられる。
【0039】
以上のように、第2の実施形態に係る入力端子(L字型コネクタ)60においては、中空L字状の外部導体20Aが、接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とが90°よりも大きな角度α(例えば、98°)で交差する状態で形成されており、また、前記外部導体20A内に配設されるバネ性を有する中心導体30も同形状で形成されているので、前記中心導体30Aを外部導体20A内にバネ性を利用して配設する際の弾性変形量を小さくすることが可能となり、この結果、前記中心導体30Aが必要以上に変形することにより塑性変形を起こすのを良好に防ぐことができるとともに、中心導体30Aを外部導体20A内へ配設する作業を第1の実施形態に比べ、より容易に行うことができる。
また、前記中心導体30Aは、外部導体20Aと同様にL字状に形成されているので、直列ユニット200を構成するに当っては、筐体50内において出力端子51の出力側中心導体54を、入力端子60における外部導体20Aの接続端21側から、前記外部導体20A内に配設した中心導体30Aの出力側挟着部31に挟着すればよい。従って、従来のように、出力側の中心導体と入力側の中心導体とを中継ぎ中心導体を用いて電気的に接続する必要がないので、構造の複雑化や部品点数の増加を抑制したり、作業工数の増加を抑制したりして、コストを削減することができる。しかも、入力端子60を構成する外部導体20Aは、筐体50の背面に設けた挿通孔56から挿入した接続端21に止輪81を嵌着することにより、前記筐体50背面に対して回動可能な状態で、かつ、電気的に接続することができるので、筐体50に対する入力端子60の接続構造も従来に比べ簡素化することが可能となる。
なお、第2の実施形態においては、出力(TV)端子51と入力端子60とを備えた直列ユニット200を一例として説明しているが、例えば、前記出力(TV)端子51及び入力端子60に加えて、入力端子60から入力された信号を他の直列ユニット等へ出力するための出力(中継)端子を備えた直列ユニットにも適用可能であり、この場合、前記出力(中継)端子としても、本発明に係るL字型コネクタを使用することができる。
【0040】
<変形例1>
図23,24に本発明の変形例1を示す。
図23は第1の実施形態の変形例を示す断面図、
図24は第2の実施形態の変形例を示す断面図である。
第1の実施形態に係るコネクタ部10(L字型コネクタ)は、外部導体20における接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とが直交する状態(90°)で交差するように構成されているが、
図23に示すように、外部導体20における接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とが90°より大きな角度α(例えば、98°)で交差するように構成してもよい。この場合、中心導体30及び着脱端側絶縁部材44は、第2の実施形態における中心導体30A及び着脱端側絶縁部材44Aと同様に形成される。
また、第2の実施形態に係る入力端子60(L字型コネクタ)は、外部導体20Aにおける接続端21側の中心軸と着脱端22側の中心軸とが90°より大きな角度(例えば、98°)で交差するように構成されているが、
図24に示すように、外部導体20Aにおける接続端21側の中心軸と着脱端21側の中心軸とが直交する状態(90°)で交差するように構成してもよい。この場合、中心導体30A及び着脱端側絶縁部材44Aは、第1の実施形態における中心導体30及び着脱端側絶縁部材44と同様に形成される。
【0041】
<変形例2>
図25〜29に本発明の変形例2を示す。
図25は本発明の変形例2における下部側の絶縁部材を示す斜視図、
図26は同じく着脱端側絶縁部材の斜視図、
図27は変形例2における各絶縁部材を外部導体内に挿嵌する手順を示す説明図、
図28は変形例2における各絶縁部材の係合状態を示す説明図、
図29は変形例2の断面図である。
本発明においては、接続端側絶縁部材41における下部側の絶縁部材43に、外部導体20(20A)の屈曲部内壁と係合する係止爪43dと、着脱端側絶縁部材44(44A)の上端側に形成される溝部44fに係合する舌状片43eとを設けるようにしているが、例えば、
図25,26に示すように、着脱端側絶縁部材44(44A)に外部導体20(20A)の屈曲部内壁と係合する係止爪44hと、接続端側絶縁部材41における下部側の絶縁部材43の後端に突設した舌状片44eの側面に形成した溝部43gに係合する舌片44iとを設けるようにしてもよい。
即ち、変形例2に係る下部側の絶縁部材43は、
図25に示すように、下部中央に設けられていた係止爪を無くす一方、後端に突設した一対の舌状片43e,43eの側面に溝部43gをそれぞれ形成する。また、変形例2に係る着脱端側絶縁部材44(44A)は、
図26に示すように、上端に設けられていた上端壁を無くして上端部を大きく開口する一方、外周壁44cの上端には前記下部側の絶縁部材43の後端に突設した一対の舌状片43e,43eの側面に形成されている溝部43gに係合する一対の舌片44i,44iを上向きに突設するとともに、外周壁44cの上端側には外部導体20(20A)の屈曲部内壁と向き合う位置に係止爪44hを形成している。
【0042】
前記のように接続端側絶縁部材41における下部側の絶縁部材43と、着脱端側絶縁部材44(44A)を構成した場合、各絶縁部材42,43,44(44A)を外部導体20(20A)内へ挿嵌する順序は、
図27に示すように、接続端側絶縁部材41における上部側の絶縁部材42→接続端側絶縁部材41における下部側の絶縁部材43→着脱端側絶縁部材44(44A)の順となる。そして、接続端側絶縁部材41を構成する各絶縁部材42,43を外部導体20(20A)内にそれぞれ挿嵌し、
図28(a)に示すように、下部側の絶縁部材43の前端側に設けた係合壁43cを上部側の絶縁部材42に前端側に凹設した係合溝42cに係合させた状態で、着脱端側絶縁部材44(44A)を外部導体20(20A)内に挿嵌し、
図28(b)に示すように、外周壁44cの上端に上向きに突設した舌片44iを、下部側の絶縁部材43の後端に突設した舌状片43e,43e側面に設けた溝部43gに係合させ、かつ、
図29に示すように、外周壁44cの上端側に設けた係止爪44hを、外部導体20(20A)の屈曲部内壁に係合させることにより、前記各絶縁部材42〜44(44A)は外部導体20(20A)に対し、それぞれ抜脱を防いだ状態で固定されるとともに、中心導体30(30A)は前記各絶縁部材42〜44(44A)によって揺動を抑制した状態で外部導体20(20A)の中心位置に保持される。
【0043】
<変形例3>
図30に本発明の変形例3を示す。
図30は本発明の変形例3を示す断面図である。
本発明においては、外部導体20(20A)の着脱端22側の外周に、ネジ部22a(221)を設けるようにしているが、
図30に示すように、ワンタッチ装着具90を設けるようにしてもよい。
図30に示すように、外部導体20(20A)の着脱端12側にワンタッチ装着具90を設けるに当たり、着脱端22側における外部導体20(20A)、絶縁部材44(44A)及び中心導体30(30A)の長さは、ネジ部22a(221)を設ける場合の約半分程度の長さとなっている。また、ワンタッチ装着具90は、同軸ケーブルの先端部が挿入される挿入筒91と、前記挿入筒91を着脱端22の下面との間において挟持した状態で、前記着脱端22の外周に固定される固定筒92と、前記固定筒92の外側に上下動可能に挿着される可動筒93とを備えて構成されており、前記固定筒92は固定リング94を用いて着脱端22の外周に固定される。95は固定筒92の下端部に設けられ、可動筒93の操作により同軸ケーブルの外被に食い込む固定爪である。
【0044】
<変形例4>
本発明において、外部導体20,20Aは中空円筒状に形成されており、また、前記外部導体20,20A内に挿嵌される各絶縁部材42,43,44,44Aも半円形状もしくは円筒状に形成されているが、例えば、前記外部導体20,20Aを中空角筒状に形成するとともに、前記各絶縁部材42,43,44,44Aを半多角形状もしくは角筒状に形成するようにしてもよい。
【0045】
以上説明したように、第1の実施形態に係るコネクタ部10や、第2の実施形態に係る入力端子60を、変形例1〜4のように構成した場合でも、第1,第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。