(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6795873
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】噴霧ノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 7/30 20060101AFI20201119BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
B05B7/30
B65D83/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-97774(P2020-97774)
(22)【出願日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年7月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515171293
【氏名又は名称】株式会社プライムネッツ
(73)【特許権者】
【識別番号】520198801
【氏名又は名称】渡邊 介
(73)【特許権者】
【識別番号】520154564
【氏名又は名称】有限会社ワンズボックス
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】畑尾 知成
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 介
【審査官】
清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−039916(JP,A)
【文献】
特開平11−262700(JP,A)
【文献】
特開平10−305243(JP,A)
【文献】
HOBBY DEPT. CATALOGUE 2018−2019,GSI Creos,2019年 1月,p.1,9,20,24,URL,http://www.mr-hobby.com/en/Mr.Hobbyleaflet.pdf
【文献】
GSIクレオス プロスプレー ベーシック PS182,amazon,amazon.co.jp,図面(上から4番目の選択図),URL,https://www.amazon.co.jp/GSI-クレオス-Creos- P S 182-GSIクレオス/db/B00W4TD2IM
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/30−7/32
11/06
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容されている液体を噴霧するための噴霧ノズルであって、
エアスプレーからの圧縮空気を噴射するためのエアノズルと、
前記エアノズルと着脱可能であって、前記容器からの液体を噴出するための塗料ノズルとを備え、
前記エアノズルには、第1の管が挿入されて、前記第1の管が前記エアスプレーに接続され、
前記塗料ノズルには、第2の管が挿入されて、前記第2の管が前記容器に挿入され、
前記塗料ノズルは、
前記第2の管を挿入可能であり、前記容器からの液体を噴出する噴出部と、
前記エアノズルに着脱可能に挿入可能な挿入部とを含み、
前記挿入部は、前記エアノズルに対して、スナップ結合によって、着脱可能となっており、
前記挿入部は、
間隔を空けて配置された2つの撓み部と、
各前記撓み部に設けられた2つの突起部とを有することを特徴とする、噴射ノズル。
【請求項2】
前記エアノズルは、
前記エアスプレーからの前記圧縮空気を噴射する噴射部と、
前記塗料ノズルを着脱可能に取り付けるための固定部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の噴射ノズル。
【請求項3】
前記噴射部は、
前記エアスプレーからの前記圧縮空気を噴射するための前記第1の管を挿入可能なノズル挿入孔と、
前記第1の管用の前記ノズル挿入孔の一端側に形成されたエア噴出孔とを有することを特徴とする、請求項2に記載の噴射ノズル。
【請求項4】
前記固定部は、
前記塗料ノズルを着脱可能に挿入するための塗料ノズル挿入孔を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の噴射ノズル。
【請求項5】
前記噴出部は、
前記容器からの前記液体を噴出するための前記第2の管を挿入可能なノズル挿入孔と、
前記第2の管用の前記ノズル挿入孔の一端側に形成された塗料噴出孔とを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の噴射ノズル。
【請求項6】
前記挿入部には、凸部が設けられており、
前記エアノズルにおける前記塗料ノズルを挿入するための前記塗料ノズル挿入孔には、前記凸部に対応する凹部が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の噴射ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料等の液体を霧状に噴霧するためのノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアノズルと、エアノズルの先端近くに設けられた塗料ノズルとを設けて、エアノズルに圧縮空気を充填したボンベを接続しておいて、エアノズルからボンベ内の圧縮空気を噴射して、噴射される空気によって生じる負圧によって、塗料を塗料ノズルから吸い上げて、空気と共に前方に霧状に噴射する器具が知られている(特許文献1ないし4参照)。このような器具は、霧吹きの原理を応用して、塗料を霧状に噴射するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭39−9272号公報
【特許文献2】実公昭41−23830号公報
【特許文献3】特開平10−305243号公報
【特許文献4】特許4564297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1ないし4に記載の器具は、いずれも、塗料ノズル側に取り付けられる塗料の容器は、予め決められた仕様やサイズのものでなければならなかった。特許文献1に記載の器具であれば、噴射目的物容器蓋体(8)に合う容器を使用しなければならず、特許文献2に記載の器具であれば、ネジ頭部(5)に合う容器を使用しなければならず、特許文献3に記載の器具であれば、継手(33)に合う容器を使用しなければならず、特許文献4に記載の器具であれば、第2容器装着部(3)に合う容器を使用しなければならない。
【0005】
噴霧したい塗料が、これらの器具に適した容器に収容されていればよいが、そのような容器に収容されていない場合は、塗料を当該容器に移し替えなければならず、手間がかかる。従来、様々な大きさや形状等の容器に利用可能な噴霧ノズルは、存在しなかった。また、エアスプレー(ボンベ)についても、従来の器具では、選択の余地が少ないものとなっていた。
【0006】
それゆえ、本発明は、噴霧に使用する塗料等の液体が収容されている容器やエアスプレーの選択肢を増やして、様々な大きさや形状等の容器やエアスプレーに利用可能な噴霧ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する。本発明は、容器に収容されている液体を噴霧するための噴霧ノズルであって、エアスプレーからの圧縮空気を噴射するためのエアノズルと、エアノズルと着脱可能であって、容器からの液体を噴出するための塗料ノズルとを備える。エアノズルには、第1の管が挿入されて、第1の管がエアスプレーに接続される。塗料ノズルには、第2の管が挿入されて、第2の管が容器に挿入される。エアノズル及び塗料ノズルは、エアスプレー及び容器には、取り付けられない。
【0008】
一実施形態において、エアノズルは、エアスプレーからの圧縮空気を噴射する噴射部と、塗料ノズルを着脱可能に取り付けるための固定部とを含む。
【0009】
一実施形態において、噴射部は、エアスプレーからの圧縮空気を噴射するための第1の管を挿入可能なノズル挿入孔と、第1の管用のノズル挿入孔の一端側に形成されたエア噴出孔とを有する。
【0010】
一実施形態において、固定部は、塗料ノズルを着脱可能に挿入するための塗料ノズル挿入孔を有する。
【0011】
一実施形態において、塗料ノズルは、第2の管を挿入可能であり、容器からの液体を噴出する噴出部と、エアノズルに着脱可能に挿入可能な挿入部とを含む。
【0012】
一実施形態において、噴出部は、容器からの液体を噴出するための第2の管を挿入可能なノズル挿入孔と、第2の管用のノズル挿入孔の一端側に形成された塗料噴出孔とを有する。
【0013】
一実施形態において、挿入部は、エアノズルに対して、スナップ結合によって、着脱可能となっている。
【0014】
一実施形態において、挿入部は、間隔を空けて配置された2つの撓み部と、各撓み部に設けられた2つの突起部とを有する。
一実施形態において、挿入部には、凸部が設けられており、エアノズルにおける塗料ノズルを挿入するための塗料ノズル挿入孔には、凸部に対応する凹部が設けられている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアノズルと塗料ノズルとは、別体であって、お互いが着脱可能となっている。そして、エアノズル及び塗料ノズルは、エアスプレー及び容器には、取り付けられないようになっている。そのため、塗料ノズルに挿入される第2の管を容器に挿入するだけでよいので、容器の大きさや形状等の選択肢が増す。また、エアスプレー側の第1の管についても、エアスプレーに挿入するだけでよいので、エアスプレーの大きさや形状等の選択肢が増す。よって、様々な大きさや形状等の容器やエアスプレーに利用可能な噴霧ノズルを提供することを可能となる。
【0016】
また、塗料ノズルをエアノズルにスナップ結合によって、着脱可能とすることで、簡易な構成で、2つを着脱可能とすることができる。
【0017】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における噴霧ノズル3を構成するエアノズル1の構造を示す図である。(a)は、エアノズル1の左側面図である。(b)は、エアノズル1の平面図である。(c)は、エアノズル1の右側面図である。なお、左側面図と右側面図は、平面図を正面視したとしたときの図として表している。(d)は、エアノズル1の正面図である。(e)は、(d)に示すエアノズル1の縦方向の断面図である。(f)は、エアノズル1の底面図である。(g)及び(h)は、エアノズル1の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態における噴霧ノズル3を構成する塗料ノズル2の構造を示す図である。(a)は、塗料ノズル2の左側面図である。(b)は、塗料ノズル2の平面図である。(c)は、塗料ノズル2の右側面図である。なお、左側面図と右側面図は、平面図を正面視したとしたときの図として表している。(d)は、塗料ノズル2の(b)におけるB−B断面図である。(e)は、塗料ノズル2の正面図である。(f)は、塗料ノズル2の(e)におけるA−A断面図である。(g)は、塗料ノズル2の底面図である。(h)及び(i)は、塗料ノズル2の斜視図である。
【
図3】
図3は、エアノズル1と塗料ノズル2とを合体させて得られる噴射ノズル3を示す図である。(a)は、噴射ノズル3の正面図である。(b)及び(c)は、噴射ノズル3の斜視図である。
【
図4】
図4は、噴射ノズル3の使用方法を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、エアノズル1は、樹脂成形されており、固定部1eと、噴射部1fとを備える。固定部1e及び噴射部1fは、略楕円柱状であるように図示しているが、限定されるものではない。固定部1eには、塗料ノズル挿入孔1cが貫通して形成されている。また、塗料ノズル挿入孔1cの上部には、凹部1dが形成されている。噴射部1fには、ノズル挿入孔1bと、エア噴出孔1aが形成されている。ノズル挿入孔1bには、後述する管4を挿入することができる。エア噴出孔1aは、ノズル挿入孔1bより小さな孔であり、オリフィスとなっている。
【0020】
図2に示すように、塗料ノズル2は、樹脂成形されており、挿入部2eと、噴出部2fとを備える。挿入部2eは、略U字状に二股に分かれた撓み部2d、2dと、各撓み部の先端付近に設けられた突起部2c、2cと、凸部2gとを有する。
【0021】
凸部2gは、エアノズル1の凹部1dに沿った形状を有しており、凸部2gが凹部1dに沿うようにして、挿入部2eが塗料ノズル挿入孔1cに挿入される。突起部2c、2cは、先端側に傾斜面を有しており、突起部2c、2cが、塗料ノズル挿入孔1cに当接すると、傾斜面に沿って、撓み部2d、2dがそれぞれ内側に撓む。そして、挿入をそのまま続けて、突起部2c、2cが塗料ノズル挿入孔1cを貫通すると、撓み部2d、2dが外側に復元する。これにより、突起部2c、2cが塗料ノズル挿入孔1cの外側面で係止することとなる。突起部2c、2cの反対側の面は、略垂直に立ち上がっているので、塗料ノズル2の挿入部2eが、エアノズル1の固定部1eから抜けにくくなるのである。
【0022】
このように、挿入部2eは、いわゆるスナップ結合による構造を有している。塗料ノズル2をエアノズル1に固定するためのスナップ結合の構造は、あくまでも一例であって、あらゆる周知のスナップ結合の構造を挿入部2eに採用することができる。また、塗料ノズル2をエアノズル1から着脱可能に取り付けることができる構造であれば、スナップ結合に限られるものではない。
【0023】
塗料ノズル2の噴出部2fには、後述する管5を挿入するためのノズル挿入孔2bが設けられている。ノズル挿入孔2bの上端部分は、
図2(f)に示すように、先細りとなっており、塗料を噴出するための塗料噴出孔2aを有する。
【0024】
図3に示すように、塗料ノズル2が、エアノズル1に挿入されることで、噴射ノズル3が構成される。なお、使用者は、適宜、突起部2c、2cを、内側に押し込んで、撓み部2d、2dを内側に撓ませることで、塗料ノズル2をエアノズル1から取り外すことができる。このように、塗料ノズル2をエアノズル1から着脱可能とすることで、噴射ノズル3が製造し易くなる。また、メンテナンスも容易となる。
【0025】
図4に示すように、エアノズル1の噴射部1fにあるノズル挿入孔1bに管4(第1の管)の一端が挿入される。管4の他端は、圧縮空気が内蔵されているエアスプレー6の噴射孔に接続される。また、塗料ノズル2の噴出部2fに管5(第2の管)の一端が挿入される。管5の他端は、塗料容器7の中に挿入される。なお、管4及び管5は、たとえば、一般的なスプレー用ノズルであるとよいが、管4及び管5の材質や長さなどは限定されない。管4及び管5は、フレキシブルなものであってもよい。
【0026】
エア噴出孔1aから噴射される空気によって、管5を通じて、塗料等の液体が吸い上げられて、塗料噴出孔2aから噴出され、空気の進む方向に、塗料等の液体が噴射されることとなる。
【0027】
図4に示すように、噴射ノズル3は、エアスプレー6や塗料用容器7に取り付けられるものではない。したがって、噴射ノズル3を使用するに際して、塗料容器の大きさや形状等の制約を受けことなく、液体が収容されている容器を選ぶことがない。また、エアスプレー6の形状についても制約を受けない。よって、様々な大きさや形状の容器に対応することができる噴射ノズル3が提供される。
【0028】
なお、上記実施形態では、塗料ノズル2が、エアノズル1に挿入される関係となっているが、逆に、エアノズル1が塗料ノズル2に挿入される関係となっていてもよい。すなわち、本発明においては、塗料ノズル2とエアノズル1とが、着脱可能となっていればよいのであって、着脱可能とするための構成については、限定されるものではない。
【0029】
なお、上記実施形態では、エア噴出孔1aが、噴射部1fの端面と面一に形成されているとしているが、塗料噴出孔2aのように、端面から突出した孔であってもよい。
【0030】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、液体を噴射することができる噴射ノズルであり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 エアノズル
1a エア噴出孔
1b 第1の管用のノズル挿入孔
1c 塗料ノズル挿入孔
1d 凹部
1e 固定部
1f 噴射部
2 塗料ノズル
2a 塗料噴出孔
2b 第2の管用のノズル挿入孔
2c 突起部
2d 撓み部
2e 挿入部
2f 噴出部
2g 凸部
3 噴霧ノズル
4 第1の管
5 第2の管
6 エアスプレー
7 塗料容器
【要約】 (修正有)
【課題】様々な大きさや形状等の容器やエアスプレーに利用可能な噴霧ノズルを提供する。
【解決手段】容器7に収容されている液体を噴霧するための噴霧ノズル3は、エアスプレー6からの圧縮空気を噴射するためのエアノズル1と、エアノズル1と着脱可能であって、容器7からの液体を噴出するための塗料ノズル2とを備える。エアノズル1には、第1の管4が挿入されて、第1の管4がエアスプレー6に接続される。塗料ノズル2には、第2の管5が挿入されて、第2の管5が容器7に挿入される。エアノズル1及び塗料ノズル2は、エアスプレー6及び容器7には、取り付けられない。
【選択図】
図4