特許第6795889号(P6795889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795889
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ウエットティッシュのロール体
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/00 20060101AFI20201119BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A47K7/00 G
   A61L2/18
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-5528(P2016-5528)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-124060(P2017-124060A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年12月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300027635
【氏名又は名称】株式会社ディプロ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】神山 美幸
(72)【発明者】
【氏名】野口 陽一
【審査官】 舟木 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−024520(JP,A)
【文献】 特開2016−003022(JP,A)
【文献】 特開2009−256338(JP,A)
【文献】 特開2013−245216(JP,A)
【文献】 特開平02−061000(JP,A)
【文献】 特開2002−003306(JP,A)
【文献】 特開2003−079530(JP,A)
【文献】 特開2008−295837(JP,A)
【文献】 特開2008−119433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/00
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布に薬液を含浸させたウエットティッシュのロール体であって、
前記薬液が、
1.0×10−1質量%以上2.5×10−1質量%以下の安息香酸ナトリウム、
1.5×10−2質量%以上2.5×10−2質量%以下の塩化ベンザルコニウム、
5.0×10−3質量%以上1.0×10−2質量%以下の塩化セチルピリジニウム、
5.0×10−4質量%以上1.2×10−3質量%以下のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及び
4.0×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を含有し、
水を99.0質量%以上含有し、
前記薬液にパラオキシ安息香酸エステル、プロピレングリコール、及びエタノールが配合されていない、
ウエットティッシュのロール体。
【請求項2】
前記不織布100質量部に含浸している前記薬液が、180質量部以上350質量部以下である、請求項1に記載のウエットティッシュのロール体。
【請求項3】
前記不織布が、その巻き取り方向と垂直に、一定間隔でミシン目を有するものであり、
前記不織布のシートの幅が90mm以上200mm以下であり、
前記不織布の坪量が20g/m以上50g/m以下であり、
前記不織布の坪量(g/m)と巻き取り長さ(m)の積が400g/m以上1,000g/m以下である、請求項1又は2に記載のウエットティッシュのロール体。
【請求項4】
前記薬液が、
2.0×10−1質量%以上2.5×10−1質量%以下の安息香酸ナトリウム、
2.0×10−2質量%以上2.5×10−2質量%以下の塩化ベンザルコニウム、
8.0×10−3質量%以上1.0×10−2質量%以下の塩化セチルピリジニウム、
9.6×10−4質量%以上1.2×10−3質量%以下のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及び
4.0×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を含有する、請求項1から3のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体。
【請求項5】
前記薬液が、さらに、1.0×10−3質量%以上1.0×10−1質量%以下の植物抽出物を含む、請求項1から4のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体。
【請求項6】
前記植物抽出物が、アルテア根エキス、オノニスエキス、カミツレ花エキス、スギナエキス、セイヨウノコギリソウ花エキス、セージ葉エキス、セロリエキス、タチジャコウソウ花/葉/茎エキス、フキタンポポエキス、メリッサ葉エキス、アルニカ花エキス、オトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウキズタ葉/茎エキス、セイヨウノコギリソウエキス、トウキンセンカ花エキス、及びグレープフルーツ種子抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載のウエットティッシュのロール体。
【請求項7】
除菌活性値が大腸菌で2.0以上、かつ黄色ブドウ球菌で2.0以上である、請求項1から6のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌効果及び防カビ効果に優れ、皮膚に対する刺激性の低減されたウエットティッシュのロール体に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエットティッシュは、一般に、手指の汚れや雑菌の除去、各種器具の清掃に使用されるものであり、素手で扱うことが多い傾向にある。これらのウエットティッシュには、従来、パラオキシ安息香酸エステル(以下、パラベンとも称する)、エタノール、プロピレングリコール等が配合されていたが(例えば、特許文献1参照)、これらの成分は、皮膚に対する刺激性を有することが知られており、使用者によってはこれらの成分に対してアレルギー反応を起こす者がいることも知られているほか、これらの成分が含まれた薬液を手指に適用することにより、好ましくないべたつき感やぬるぬる感を感じることもある(例えば、特許文献2及び3参照)。したがって、皮膚に対する刺激性を低減して、乳幼児のような皮膚刺激に対して敏感な使用者でも安心して使用できるようにするため、従来、パラベン、エタノール、プロピレングリコール等を使用しないウエットティッシュを提供することが求められていた。
【0003】
ここで、ウエットティッシュに含浸させる薬液において、パラベン、エタノール、プロピレングリコール、その他の殺菌剤や防腐剤の含有量を低減させることにより、薬液成分の99.0質量%以上を水としたことを特徴とするウエットティッシュが知られている。
【0004】
例えば、特許文献4には、保水性を備えたシート基材に対して、パラベンを含有しない薬液を含有させたウエットティッシュにおいて、前記薬液中に、所定量のポリアミノプロピルビグアナイド、グルコノラクトン、安息香酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、及び水分を含有することを特徴とするウエットティッシュが開示されている。特許文献5には、不織布シートに薬液を含浸させたウエットティッシュであって、前記薬液は99.80質量%以上99.95質量%未満の水と、所定量の塩化ベンザルコニウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びグリコール類とを配合されていることを特徴とするウエットティッシュが開示されている。特許文献6には、保水性を備えた不織布に対して、パラベンを含有しない薬液を含有させたウエットティッシュであって、薬液中に所定量のポリアミノプロピルビグアナイド、グルコノラクトン、安息香酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、及び水を含有するウエットティッシュが開示されている。
【0005】
薬液を含浸させたウエットティッシュが十分な殺菌効果を奏するためには、薬液に一定量以上の殺菌剤や防腐剤を配合する必要があるため、ウエットティッシュ用の薬液中の殺菌剤及び防腐剤の配合割合については、肌荒れ防止と殺菌・防腐効果発揮との双方の観点から、当業者により適宜設定されている。
【0006】
ところで、ウエットティッシュには、積層タイプのウエットティッシュとロールタイプのウエットティッシュが一般に知られている。
【0007】
積層シートタイプのウエットティッシュは、一枚一枚のウエットティッシュを薬液に含浸してから積層することで製造される。そして、この薬液には殺菌剤、防腐剤等の薬剤が配合され、各ウエットティッシュに各薬剤を均一に含有させることによって、各ウエットティッシュに、品質の均一性や防カビ性、抗菌性、保存性等を付与することができる。しかしながら、シートを折って積層し、80枚から90枚以上に枚数を増やした場合、これを実現するための積層装置の導入が必要となるなど追加の設備投資が必要となったり、80枚以下の枚数で積層されたシートの2山以上を人の手で積み重ねるなどの手間が必要となったりする場合があるという問題があり、そのための費用が嵩む問題があった。加えて、嵩高く積層されたシートが倒れないようにするために、追加の設備や人手が必要となる場合もあれば、嵩高さを低減するための代替手段を採用することが必要となる場合もあった。
【0008】
そのような代替手段としては、例えば、1枚1枚のシートは通常、複数回折り畳んでから積層されるが、この折り畳みの回数を低減し、1枚当たりの嵩高さを低減する工夫が考えられる。しかしながら、このような場合にも、折り畳み前のシートの面積が同じであれば、折り畳み回数を低減することにより、積層シートの底面面積が広くなってしまう問題がある。他の代替手段としては、不織布の坪量を低減することで積層した際の嵩高さを抑制する手段が考えられるが、そのような手段を採用する場合、シート1枚1枚を厚手のものにしにくいという問題もある。
【0009】
ロールタイプのウエットティッシュの場合、ウエットティッシュの枚数を100枚、150枚と増やしても、製造の際の設備費用等がかさむ問題はなく、積層シートの形態のウエットティッシュに比べて製造コストを抑えることもできる。また、取出しが簡単な取り出し口をつけた略円柱形状プラスチック容器に入れることによって、略円柱形状の略円形部を底面とでき、設置面積が増大することもない上に略円柱形状プラスチック容器は高さがあるので、店頭、家庭等の場所で目立ちやすく探しやすいという利点がある。そして、ロールタイプのウエットティッシュにはミシン目が入れてあるので、容器の取り出し口で一枚一枚ちぎって取り出すことができ、はさみ等で切断する道具が不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平02−061000号公報
【特許文献2】特開2002−003306号公報
【特許文献3】特開2003−079530号公報
【特許文献4】特開2008−295837号公報
【特許文献5】特開2012−024520号公報
【特許文献6】特開2008−119433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、特許文献4に記載されるような、パラベンやエタノール、プロピレングリコールを実質的に含まないウエットティッシュは、積層シートタイプのウエットティッシュであり、巻き取り方向に垂直に一定間隔でミシン目を有するロールタイプのウエットティッシュでは、薬液成分の99.0質量%以上が水であり、パラベン、エタノール、プロピレングリコールを含まないことを特徴とするものは、従来提供されていなかった。また、特許文献4の発明では、不織布に含浸させる薬液の量も多くなる傾向にあり、より少ない薬液の量を含浸させる態様については必ずしも想定されていない。
【0012】
ロールタイプのウエットティッシュの場合、薬液を不織布のロールに含浸させるにあたり、不織布のロールの上部から略円柱の上面に薬液をかける方法と、不織布のロールの側面部分と略円柱の上面の中心部分の2箇所から薬液をかけて含浸させる方法があるものの、製造過程において設けられたミシン目によりウエットティッシュが千切れることを防止するため、一枚一枚のウエットティッシュを薬液に含浸させてから巻き取ることはできない。そのため、薬液の分布、及び殺菌剤、防腐剤の分布にムラができるという問題が指摘されていた。このような問題は、特に、巻き取り枚数の多いロールタイプのウエットティッシュで顕著であり、例えば、特許文献1に記載のウエットティッシュのような40枚程度の巻き取り枚数のロールタイプのウエットティッシュにおいては顕在化する問題ではなかった。さらに、一部の先行技術文献に記載の発明において殺菌剤として使用されているポリアミノプロピルビグアナイドをロールタイプのウエットティッシュに使用する場合、ポリアミノプロピルビグアナイドが不織布に吸着される傾向にあるため、ロールの内部にまで殺菌剤が浸透しないという問題があることも指摘されている。
【0013】
殺菌防腐効果を十分に発揮させて保存性が良好なウエットティッシュを得るためには、薬液と殺菌剤、防腐剤がロール全体に行き渡るようにするため、薬液の量を多くする必要があり、手指や各種の機器の汚れの除去や清掃のために使用する場合に、部分的に薬液の量が多くなりすぎる、という問題があった。
【0014】
液量を多くすることができない場合、細菌やカビが繁殖しないようにパラベン、エタノール、又はプロピレングリコールを配合したり、その他の殺菌剤、防腐剤の配合量を増加させたりする必要がある。しかしながら、そのような場合には、特に、肌に対する刺激に敏感な使用者が刺激を感じたり、原材料費がかさんだりする、という問題があった。
【0015】
したがって、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、ウエットティッシュのロール体であって、薬液にパラベン、エタノール、プロピレングリコールを含有せず、かつ薬液中の水の配合量を99.0質量%以上としても細菌やカビの繁殖を防止することができる、ウェットティッシュのロール体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、不織布に薬液を含浸させたウエットティッシュのロール体であって、前記薬液が安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を所定量配合含有する、ウエットティッシュのロール体によれば、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0017】
(1)本発明の第1の態様は、不織布に薬液を含浸させたウエットティッシュのロール体であって、前記薬液が、1.0×10−1質量%以上5.0×10−1質量%以下の安息香酸ナトリウム、1.5×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下の塩化ベンザルコニウム、5.0×10−3質量%以上1.0×10−1質量%以下の塩化セチルピリジニウム、5.0×10−4質量%以上6.0×10−3質量%以下のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、4.0×10−2質量%以上2.0×10−1質量%以下のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を含有する、ウエットティッシュのロール体である。
【0018】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のウエットティッシュのロール体であって、前記不織布100質量部に含浸している前記薬液が、180質量部以上350質量部以下であることを特徴とするものである。
【0019】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のウエットティッシュのロール体であって、前記不織布が、その巻き取り方向と垂直に、一定間隔でミシン目を有するものであり、前記不織布のシートの幅が90mm以上200mm以下であり、前記不織布の坪量が20g/m以上50g/m以下であり、前記不織布の坪量(g/m)と巻き取り長さ(m)の積が400g/m以上1,000g/m以下であることを特徴とするものである。
【0020】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体であって、前記薬液が、2.0×10−1質量%以上4.0×10−1質量%以下の安息香酸ナトリウム、2.0×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下の塩化ベンザルコニウム、8.0×10−3質量%以上5.0×10−2質量%以下の塩化セチルピリジニウム、9.6×10−4質量%以上3.0×10−3質量%以下のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、4.0×10−2質量%以上1.0×10−1質量%以下のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を含有し、水を99.0質量%以上含有することを特徴とするものである。
【0021】
(5)本発明の第5の態様は、(4)に記載のウエットティッシュのロール体であって、前記薬液のパラオキシ安息香酸エステルの含有量が1ppm以下であり、プロピレングリコールの含有量が1ppm以下であり、エタノールの含有量が1ppm以下であることを特徴とするものである。
【0022】
(6)本発明の第6の態様は、(5)に記載のウエットティッシュのロール体であって、前記薬液にパラオキシ安息香酸エステル、プロピレングリコール、及びエタノールが配合されていないことを特徴とするものである。
【0023】
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体であって、前記薬液が、さらに、1.0×10−3質量%以上1.0×10−1質量%以下の植物抽出物を含むことを特徴とするものである。
【0024】
(8)本発明の第8の態様は、(7)に記載のウエットティッシュのロール体であって、前記植物抽出物が、アルテア根エキス、オノニスエキス、カミツレ花エキス、スギナエキス、セイヨウノコギリソウ花エキス、セージ葉エキス、セロリエキス、タチジャコウソウ花/葉/茎エキス、フキタンポポエキス、メリッサ葉エキス、アルニカ花エキス、オトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウキズタ葉/茎エキス、セイヨウノコギリソウエキス、トウキンセンカ花エキス、及びグレープフルーツ種子抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とするものである。
【0025】
(9)本発明の第9の態様は、(1)から(8)のいずれかに記載のウエットティッシュのロール体であって、除菌活性値が大腸菌で2.0以上、かつ黄色ブドウ球菌で2.0以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のウエットティッシュのロール体は、これに含浸させる薬液に、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物の5種類の成分を組み合わせて使用し、その使用量を所定の量としている。このような5種類の成分の組み合わせを特異的に用いることにより、ロールタイプのウエットティッシュであっても、薬液の量や殺菌・防腐剤等の薬剤の配合を増大させることなく、ウエットティッシュの全体に薬剤が浸透し、ウエットティッシュの全体が抗菌性と防腐性を備えたものとなる。
【0027】
また、本発明のウエットティッシュのロール体は、薬液にパラベン、エタノール、プロピレングリコールを配合していないので、皮膚に対する刺激性が低く、乳幼児のような皮膚刺激に対して敏感な使用者でも安心して使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
【0029】
<ウエットティッシュのロール体>
本発明のウエットティッシュのロール体は、不織布のロール体に所定の薬液を含浸させたものである。
【0030】
[不織布]
不織布としては、木材パルプ繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維を、ケミカルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、エアレイド法、湿式スパンレース法、スパンボンド法、メルトボンド法等の公知の加工法によって一体化したものを用いることができる。不織布に使用する各繊維の割合、不織布の一体化を行うための各加工法は、ウエットティッシュに要求される風合いや機械的強度に応じて適宜選択すればよい。
【0031】
ウエットティッシュのロール体を製造するにあたっては、上記の不織布に対し、その巻き取り方向と垂直に、一定間隔でミシン目を入れ、不織布をロール状に巻き取ることが好ましい。不織布のシートの幅は、90mm以上200mm以下であることが好ましく、不織布の巻き取り長さは、8m以上50m以下であることが好ましい。不織布の坪量は、20g/m以上50g/m以下であり、不織布の坪量(g/m)と巻き取り長さ(m)の積が、400g/m以上1,000g/m以下であることが好ましく、500g/m以上800g/m以下であることがより好ましい。不織布の坪量、及び坪量と巻き取り長さの積を、以上の範囲内のものとすることにより、ウエットティッシュが適度な風合いと強度とを兼ね備えたものとなる。また、ウエットティッシュのロール体の製造コストを抑制するとともに、薬液を外部から含浸させた場合においても、内部にまで薬液や殺菌・防腐剤を含浸させることができる。
【0032】
[薬液]
ウエットティッシュのロール体を製造するにあたって、不織布に含浸させる薬液には、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、及びエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物を配合する。これらの5種の薬剤を組み合わせて使用することにより初めて、ロールタイプのウエットティッシュにおいても薬剤がロール内部にまで十分に浸透して、ウエットティッシュのロール体の全体が抗菌性、防カビ性を発揮しうるものとなり、パラベン、エタノール、プロピレングリコール等の刺激性の強い成分を使用しなくても、水99.0質量%以上の薬液を使用したウエットティッシュを提供することが可能となる。ウエットティッシュの製造に用いられる薬液は、パラベンの含有量が1ppm以下、エタノールの含有量が1ppm以下、プロピレングリコールの含有量が1ppm以下であることが好ましく、これらの成分が配合されていないことがより好ましい。
【0033】
特に、殺菌剤として知られている一部の成分は、不織布のロール体に適用した場合、ロール体の表面に吸着して内部へと浸透しないことがある。本発明のウエットティッシュのロール体に用いられる薬液においては、上記の5種の成分を組み合わせて用いることにより、各成分が不織布のロール体の内部にまで浸透し、十分な抗菌性、防カビ性を発揮しうるものとなる。
【0034】
不織布には、不織布100質量部あたり、180質量部以上350質量部以下の薬液を含浸させることが好ましく、200質量部以上280質量部以下であることがより好ましい。薬液の量を上記の範囲内のものとすることにより、手指や各種の機器の汚れを除去する際に、薬液が多くなりすぎることがなく、かつ不織布に十分な殺菌・防腐効果を発揮させることができるとともに、少ない拭き取り回数で汚れや雑菌を十分に除去することができる。
【0035】
(安息香酸ナトリウム)
安息香酸ナトリウムは、殺菌防腐剤としての効果を有する薬剤である。薬液における安息香酸ナトリウムの含有量は、1.0×10−1質量%以上5.0×10−1質量%以下であり、2.0×10−1質量%以上4.0×10−1質量%以下であることが好ましい。安息香酸ナトリウムの含有量を上記の範囲内のものとすることにより、製造コストを適切な範囲に抑えつつ、殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
【0036】
(塩化ベンザルコニウム)
塩化ベンザルコニウムは、主に細菌類に対する殺菌剤としての効果を有する薬剤である。薬液における塩化ベンザルコニウムの含有量は、1.5×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下であり、2.0×10−2質量%以上5.0×10−2質量%以下であることが好ましい。塩化ベンザルコニウムの含有量を上記の範囲内のものとすることにより、製造コストを適切な範囲に抑えつつ、べたつき感やぬめり感等の使用感触を起こすことなく、殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
【0037】
(塩化セチルピリジニウム)
塩化セチルピリジニウムは、主に細菌類に対する殺菌剤としての効果を奏する薬剤である。薬液における塩化セチルピリジニウムの含有量は、5.0×10−3質量%以上1.0×10−1質量%以下であり、8.0×10−3質量%以上5.0×10−2質量%以下であることが好ましい。塩化セチルピリジニウムの含有量が上記の範囲内のものであることにより、製造コストを適切な範囲に抑えつつ、殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
【0038】
(ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル)
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルは、主に真菌類に対する防腐剤としての効果を奏する薬剤である。薬液におけるブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの含有量は、5.0×10−4質量%以上6.0×10−3質量%以下であり、9.6×10−4質量%以上3.0×10−3質量%以下であることが好ましい。ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルの含有量が上記の範囲内のものであることにより、製造コストを適切な範囲に抑えるとともに、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルに特有の臭気の発現も抑制し、かつ殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
【0039】
(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物は、キレート剤であり、殺菌防腐助剤としての効果を奏する薬剤である。薬液におけるエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物の含有量は、4.0×10−2質量%以上2.0×10−1質量%以下であり、4.0×10−2質量%以上1.0×10−1質量%以下であることが好ましい。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物の含有量が上記の範囲内のものであることにより、製造コストを適切な範囲に抑えつつ、殺菌効果及び防カビ効果を良好に維持することができる。
【0040】
本発明においては、これらの5種類の成分を組み合わせて使用することにより、パラベン、エタノール、プロピレングリコール等の皮膚に対する刺激の強い成分を使用しなくても、十分な殺菌効果及び防カビ効果を有するウエットティッシュを提供することができる。
【0041】
(その他の成分)
本発明のウエットティッシュのロール体に用いられる薬液には、上記の5種類の成分のほか、植物抽出物を含有させてもよい。植物抽出物を含有させることにより、ウエットティッシュのロール体に植物由来の抗菌性や、SOD様活性作用、抗炎症作用、収斂作用、エストロゲン様作用、ヒアルロン酸産生促進作用等を付与することができるとともに、適度な芳香も付与することができる。薬液における植物抽出物の含有量は、1.0×10−3質量%以上1.0×10−1質量%以下であることが好ましい。
【0042】
ウエットティッシュのロール体を製造する際に用いることができる植物抽出物としては、ウエットティッシュに抗菌性を付与可能なものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、アルテア根エキス、オノニスエキス、カミツレ花エキス、スギナエキス、セイヨウノコギリソウ花エキス、セージ葉エキス、セロリエキス、タチジャコウソウ花/葉/茎エキス、フキタンポポエキス、メリッサ葉エキス、アルニカ花エキス、オトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウキズタ葉/茎エキス、セイヨウノコギリソウエキス、トウキンセンカ花エキス、及びグレープフルーツ種子抽出物からなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。これらの中でも、グレープフルーツ種子抽出物を使用することがより好ましい。
【0043】
[除菌活性]
本発明のウエットティッシュのロール体は、除菌活性値が大腸菌で2.0以上、かつ黄色ブドウ球菌で2.0以上であることが好ましい。
【0044】
なお、除菌活性値の測定及び算出は、一般社団法人 日本衛生材料工業連合会編、「ウエットワイパー類の除菌性能試験方法」(平成27年11月16日改定)に準じて行い、ステンレス板に、適当な汚れとともに細菌を接種し、これを乾燥後、ウエットティッシュを巻きつけたおもりで所定回数拭き取って5分間静置し、ステンレス板上の除菌活性物質を不活性化した後、生菌数を測定することにより行い、除菌活性値Rは、具体的には、以下の計算式により求める。
R=A−B
A;対照試料で3回試行した結果の生菌数の常用対数の平均値
B;試験試料で3回試行した結果の生菌数の常用対数の平均値
【0045】
<ウエットティッシュのロール体の製造方法>
本発明のウエットティッシュのロール体は、例えば、以下に示す製造方法により製造することができる。不織布の原反を巻取り機にかけて不織布の帯を繰り出し、巻き取り方向と垂直に一定間隔でミシン目加工しながら、例えば、直径20mmから40mmのステンレス製の芯に巻き取る。ここで、巻き取り機には製品の不織布の幅の整数倍の幅を有する不織布の原反をセットし、スリッターで所定の幅に切断してもよい。巻き取られたロールをステンレス製の芯から抜き取ったあとコンベアーで搬送し、ボトル容器入りタイプに調製する場合には、容器に投入した上で、略円柱の上面側から数回に分けて薬液をかける。薬液含浸後、容器の天面に封シールをしてからキャップを容器に装着すればよい。
【0046】
また、ウエットティッシュのロール体を詰め替え用タイプの製品として調製する場合には、巻き取られたロールをステンレス製の芯から抜き取ったあと、機械でバケットに移し、略円柱の側面部分と、上面の中心部分の2箇所に薬液をかける。液含浸後に、包装機を用い、巻取り品を多層フィルムで包装すればよい。
【実施例】
【0047】
<実施例1>
精製水99.66質量部に対し、安息香酸ナトリウムを2.5×10−1質量部、塩化ベンザルコニウム2.5×10−2質量部、塩化セチルピリジニウム1.0×10−2質量部、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル1.2×10−3質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物5.0×10−2質量部を添加し、総量を100質量部とした。この薬液を、巻き取り長さ30m、坪量24g/mの不織布のロール体に含浸させ、ウエットティッシュのロール体とした。
【0048】
<実施例2から9>
薬液の各成分の添加量を表1及び表2に記載のとおりに変更し、必要に応じてグレープフルーツ種子抽出物を添加した点以外は、実施例1と同様にしてウエットティッシュのロール体を得た。なお、不織布のロール体の巻き取り長さ及び坪量は、表1及び表2のとおりとした。
【0049】
<比較例1から14
薬液の各成分及びその添加量を、表3から表5に記載のとおり変更した点以外は、実施例1と同様にしてウエットティッシュのロール体を得た。なお、不織布のロール体の巻き取り長さ及び坪量は、表3から表5のとおりとした。
【0050】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0051】
なお、表中、PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレン、PEはポリエチレン、PP/PEはポリプロピレン/ポリエチレン製熱融着繊維、PET/PETはポリエチレンテレフタレート製熱融着繊維を示す。また、ポリアミノプロピルビグアナイドの配合に当たっては、ポリアミノプロピルビグアナイドを20%含有する製剤であるArch UK Biocides Ltd.社製のコスモシルCQを、ポリアミノビグアナイドの添加量が指定の添加量となるように配合した。
【0052】
<評価>
実施例1から9、及び比較例1から14のウエットティッシュのロール体について、以下のとおり評価を行った。
【0053】
[保存効力試験(真菌)]
クロコウジカビ株NBRC9455及びカンジダ酵母株NBRC1594の混合菌を使用して真菌の保存効力試験を行った。上記2株の菌液を滅菌生理食塩水(ポリソルベート80を0.05質量%添加)で希釈し、それぞれの菌株の生菌数が1×10個/mLから30×10個/mLである試験菌液を調製した。ウエットティッシュの試料を無菌的に約20mm×20mmの大きさに切り取り、重ね合わせて0.4gにしたものを試験片とした。この試験片を50mLのバイアル瓶の底に置いた。バイアル瓶は試料1検体ごとに4本ずつ用意した。
【0054】
試料は、各ウエットティッシュのロール体に含まれるウエットティッシュの枚数が半数となる、ウエットティッシュの中央部から切り取った。バイアル瓶中の試験片の表面に、試験菌液0.1mLを接種した。温度25℃、湿度約93質量%のデシケータ中で保存し、7日目、14日目、21日目、28日目に各試験菌につき、1本ずつ取り出し、その生菌数を測定した。
【0055】
生菌数の測定は、バイアル瓶に滅菌生理食塩水10mLを注ぎ、ボルテックスでよく混和して生菌を洗い出し、洗い出し液の生菌数を、GPLP寒天培地混釈法により測定した。これを、第十六改正 日本薬局方 保存効力試験法の判定基準のカテゴリーIAに準拠して以下のとおり評価した。
○:カテゴリーIAに該当し、かつ菌接種の7日目以降で菌が検出されなかった(検出下限10個/0.4g)
△:カテゴリーIAに該当する
×:カテゴリーIA該当しない。
【0056】
なお、カテゴリーIAは以下の基準で決定する。
(カテゴリーIA)
14日後・・・接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であること。
28日後・・・接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であること。
【0057】
[保存効力試験(細菌)]
大腸菌株NBRC3972、緑膿菌株NBRC13275、及び黄色ブドウ球菌株NBRC13276の混合菌を使用して細菌の保存効力試験を行った。上記3株の菌液を滅菌生理食塩水で希釈し、それぞれの菌株の生菌数が1×10個/mLから30×10個/mLである試験菌液を調製した。ウエットティッシュの試料を無菌的に約20mm×20mmの大きさに切り取り、重ね合わせて0.4gにしたものを試験片とした。この試験片を50mLのバイアル瓶の底に置いた。バイアル瓶は試料1検体ごとに4本ずつ用意した。
【0058】
試料は、各ウエットティッシュのロール体に含まれるウエットティッシュの枚数が半数となる、ウエットティッシュの中央部から切り取った。バイアル瓶中の試験片の表面に、試験菌液0.1mLを接種した。温度25℃、湿度約93質量%のデシケータ中で保存し、7日目、14日目、21日目、28日目に各試験菌につき、1本ずつ取り出し、その生菌数を測定した。
【0059】
生菌数の測定は、バイアル瓶に滅菌生理食塩水10mLを注ぎ、ボルテックスでよく混和して生菌を洗い出し、洗い出し液の生菌数を、SCDLP寒天培地混釈法により測定した。これを、第十六改正 日本薬局方 保存効力試験法の判定基準のカテゴリーIAに準拠して以下のとおり評価した。
○:カテゴリーIAに該当し、かつ菌接種の7日目以降で菌が検出されなかった(検出下限10個/0.4g)
△:カテゴリーIAに該当する
×:カテゴリーIAに該当しない。
【0060】
なお、カテゴリーIAは以下の基準で決定する。
(カテゴリーIA)
14日後・・・接種菌数の0.1%以下の菌数であること。
28日後・・・14日後のレベルと同等若しくはそれ以下であること。
【0061】
[におい]
20名のパネラーにより、実施例及び比較例のウエットティッシュのにおいを評価した。判定基準を以下に示す。
○:「においが気になる」と感じた人が1人以下
△:「においが気になる」と感じた人が2人以上10人以下
×:「においが気になる」と感じた人が11人以上
【0062】
[べたつき]
20名のパネラーにより、実施例及び比較例のウエットティッシュのべたつきを評価した。判定基準を以下に示す。
○:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が1人以下
△:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が2人以上10人以下
×:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が11人以上
【0063】
表1から表5より分かるように、本発明のウエットティッシュは、パラベン、エタノール、プロピレングリコール等を含有しないものであるが、真菌に対する抗菌活性及び細菌に対する抗菌活性・除菌活性に優れるとともに、においやべたつきを有していないものであった。
【0064】
<試験例1>
ウエットティッシュのロール体の製造に使用される薬液の各成分が、ウエットティッシュのロール体の内部にどの程度まで浸透するかにつき、以下の試験例において検討を行った。レーヨン60%、PET25%、PET/PET15%の不織布組成を有する、130mm×180mmのミシン目入りの不織布100枚を、直径32mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布100質量部あたり250質量部の実施例5の薬液(表6)に含浸させた。その後、ウエットティッシュのロール体を上段、中段、下段に3分割し、各段からの絞り液中に残存する安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウムの含有量を測定した。結果を表7に示す。
【0065】
【表6】
【表7】
【0066】
<参考試験例1>
レーヨン60%、PET20%、PP/PE20%の不織布組成を有する、150mm×300mmのミシン目入りの不織布250枚を、直径28mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布を容器に入れて不織布100質量部あたり270質量部の下記の薬液(表8)に含浸させ、さらに反転させて薬液を不織布に吸収させた。その後、ウエットティッシュのロール体を長さ方向に上段、中段、下段に3分割するとともに、芯部から円周方向に向かって、巻芯側、巻中、巻外に分割し、各部位に残存する塩化ベンザルコニウム及び塩化セチルピリジニウムの含有量を測定した。結果を表9及び表10に示す。なお、表9及び表10中、含浸倍率(%)とは、ウエットティッシュに含浸させた薬液の質量をウエットティッシュの基材である不織布の質量で除して算出された数値の百分率である。
【0067】
【表8】
【表9】
【表10】
【0068】
<試験例2>
レーヨン60%、PET10%、PP/PE30%の不織布組成を有する、140mm×200mmのミシン目入りの不織布150枚を、直径32mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布を容器に入れて不織布100質量部あたり270質量部の実施例1の薬液(表11)に含浸させた。その後、ウエットティッシュのロール体を長さ方向に上段、中段、下段に3分割するとともに、芯部から円周方向に向かって、巻芯側、巻中、巻外に分割し、各部位の液量の分布を測定した。結果を表12に示す。なお、表12中、含浸倍率(%)とは、ウエットティッシュに含浸させた薬液の質量をウエットティッシュの基材である不織布の質量で除して算出された数値の百分率である。
【0069】
【表11】
【表12】
【0070】
[評価]
表7、表9、表10、及び表12から明らかなように、本発明のウエットティッシュのロール体においては、ウエットティッシュの枚数が多いにも関わらず、ロール体の内部に至るまで薬剤成分が十分に浸透し、ウエットティッシュの全体に亘って薬剤が浸透していることが分かった。