【実施例】
【0047】
<実施例1>
精製水99.66質量部に対し、安息香酸ナトリウムを2.5×10
−1質量部、塩化ベンザルコニウム2.5×10
−2質量部、塩化セチルピリジニウム1.0×10
−2質量部、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル1.2×10
−3質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物5.0×10
−2質量部を添加し、総量を100質量部とした。この薬液を、巻き取り長さ30m、坪量24g/m
2の不織布のロール体に含浸させ、ウエットティッシュのロール体とした。
【0048】
<実施例2から9>
薬液の各成分の添加量を表1及び表2に記載のとおりに変更し、必要に応じてグレープフルーツ種子抽出物を添加した点以外は、実施例1と同様にしてウエットティッシュのロール体を得た。なお、不織布のロール体の巻き取り長さ及び坪量は、表1及び表2のとおりとした。
【0049】
<比較例1から
14>
薬液の各成分及びその添加量を、表3から表5に記載のとおり変更した点以外は、実施例1と同様にしてウエットティッシュのロール体を得た。なお、不織布のロール体の巻き取り長さ及び坪量は、表3から表5のとおりとした。
【0050】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0051】
なお、表中、PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレン、PEはポリエチレン、PP/PEはポリプロピレン/ポリエチレン製熱融着繊維、PET/PETはポリエチレンテレフタレート製熱融着繊維を示す。また、ポリアミノプロピルビグアナイドの配合に当たっては、ポリアミノプロピルビグアナイドを20%含有する製剤であるArch UK Biocides Ltd.社製のコスモシルCQを、ポリアミノビグアナイドの添加量が指定の添加量となるように配合した。
【0052】
<評価>
実施例1から9、及び比較例1から
14のウエットティッシュのロール体について、以下のとおり評価を行った。
【0053】
[保存効力試験(真菌)]
クロコウジカビ株NBRC9455及びカンジダ酵母株NBRC1594の混合菌を使用して真菌の保存効力試験を行った。上記2株の菌液を滅菌生理食塩水(ポリソルベート80を0.05質量%添加)で希釈し、それぞれの菌株の生菌数が1×10
6個/mLから30×10
6個/mLである試験菌液を調製した。ウエットティッシュの試料を無菌的に約20mm×20mmの大きさに切り取り、重ね合わせて0.4gにしたものを試験片とした。この試験片を50mLのバイアル瓶の底に置いた。バイアル瓶は試料1検体ごとに4本ずつ用意した。
【0054】
試料は、各ウエットティッシュのロール体に含まれるウエットティッシュの枚数が半数となる、ウエットティッシュの中央部から切り取った。バイアル瓶中の試験片の表面に、試験菌液0.1mLを接種した。温度25℃、湿度約93質量%のデシケータ中で保存し、7日目、14日目、21日目、28日目に各試験菌につき、1本ずつ取り出し、その生菌数を測定した。
【0055】
生菌数の測定は、バイアル瓶に滅菌生理食塩水10mLを注ぎ、ボルテックスでよく混和して生菌を洗い出し、洗い出し液の生菌数を、GPLP寒天培地混釈法により測定した。これを、第十六改正 日本薬局方 保存効力試験法の判定基準のカテゴリーIAに準拠して以下のとおり評価した。
○:カテゴリーIAに該当し、かつ菌接種の7日目以降で菌が検出されなかった(検出下限10個/0.4g)
△:カテゴリーIAに該当する
×:カテゴリーIA該当しない。
【0056】
なお、カテゴリーIAは以下の基準で決定する。
(カテゴリーIA)
14日後・・・接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であること。
28日後・・・接種菌数と同レベル若しくはそれ以下であること。
【0057】
[保存効力試験(細菌)]
大腸菌株NBRC3972、緑膿菌株NBRC13275、及び黄色ブドウ球菌株NBRC13276の混合菌を使用して細菌の保存効力試験を行った。上記3株の菌液を滅菌生理食塩水で希釈し、それぞれの菌株の生菌数が1×10
6個/mLから30×10
6個/mLである試験菌液を調製した。ウエットティッシュの試料を無菌的に約20mm×20mmの大きさに切り取り、重ね合わせて0.4gにしたものを試験片とした。この試験片を50mLのバイアル瓶の底に置いた。バイアル瓶は試料1検体ごとに4本ずつ用意した。
【0058】
試料は、各ウエットティッシュのロール体に含まれるウエットティッシュの枚数が半数となる、ウエットティッシュの中央部から切り取った。バイアル瓶中の試験片の表面に、試験菌液0.1mLを接種した。温度25℃、湿度約93質量%のデシケータ中で保存し、7日目、14日目、21日目、28日目に各試験菌につき、1本ずつ取り出し、その生菌数を測定した。
【0059】
生菌数の測定は、バイアル瓶に滅菌生理食塩水10mLを注ぎ、ボルテックスでよく混和して生菌を洗い出し、洗い出し液の生菌数を、SCDLP寒天培地混釈法により測定した。これを、第十六改正 日本薬局方 保存効力試験法の判定基準のカテゴリーIAに準拠して以下のとおり評価した。
○:カテゴリーIAに該当し、かつ菌接種の7日目以降で菌が検出されなかった(検出下限10個/0.4g)
△:カテゴリーIAに該当する
×:カテゴリーIAに該当しない。
【0060】
なお、カテゴリーIAは以下の基準で決定する。
(カテゴリーIA)
14日後・・・接種菌数の0.1%以下の菌数であること。
28日後・・・14日後のレベルと同等若しくはそれ以下であること。
【0061】
[におい]
20名のパネラーにより、実施例及び比較例のウエットティッシュのにおいを評価した。判定基準を以下に示す。
○:「においが気になる」と感じた人が1人以下
△:「においが気になる」と感じた人が2人以上10人以下
×:「においが気になる」と感じた人が11人以上
【0062】
[べたつき]
20名のパネラーにより、実施例及び比較例のウエットティッシュのべたつきを評価した。判定基準を以下に示す。
○:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が1人以下
△:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が2人以上10人以下
×:「べたつく」、「ぬるぬるする」と感じた人が11人以上
【0063】
表1から表5より分かるように、本発明のウエットティッシュは、パラベン、エタノール、プロピレングリコール等を含有しないものであるが、真菌に対する抗菌活性及び細菌に対する抗菌活性・除菌活性に優れるとともに、においやべたつきを有していないものであった。
【0064】
<試験例1>
ウエットティッシュのロール体の製造に使用される薬液の各成分が、ウエットティッシュのロール体の内部にどの程度まで浸透するかにつき、以下の試験例において検討を行った。レーヨン60%、PET25%、PET/PET15%の不織布組成を有する、130mm×180mmのミシン目入りの不織布100枚を、直径32mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布100質量部あたり250質量部の実施例5の薬液(表6)に含浸させた。その後、ウエットティッシュのロール体を上段、中段、下段に3分割し、各段からの絞り液中に残存する安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウムの含有量を測定した。結果を表7に示す。
【0065】
【表6】
【表7】
【0066】
<参考試験例1>
レーヨン60%、PET20%、PP/PE20%の不織布組成を有する、150mm×300mmのミシン目入りの不織布250枚を、直径28mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布を容器に入れて不織布100質量部あたり270質量部の下記の薬液(表8)に含浸させ、さらに反転させて薬液を不織布に吸収させた。その後、ウエットティッシュのロール体を長さ方向に上段、中段、下段に3分割するとともに、芯部から円周方向に向かって、巻芯側、巻中、巻外に分割し、各部位に残存する塩化ベンザルコニウム及び塩化セチルピリジニウムの含有量を測定した。結果を表9及び表10に示す。なお、表9及び表10中、含浸倍率(%)とは、ウエットティッシュに含浸させた薬液の質量をウエットティッシュの基材である不織布の質量で除して算出された数値の百分率である。
【0067】
【表8】
【表9】
【表10】
【0068】
<試験例2>
レーヨン60%、PET10%、PP/PE30%の不織布組成を有する、140mm×200mmのミシン目入りの不織布150枚を、直径32mmの巻芯に巻き取ってロール体とし、不織布を容器に入れて不織布100質量部あたり270質量部の実施例1の薬液(表11)に含浸させた。その後、ウエットティッシュのロール体を長さ方向に上段、中段、下段に3分割するとともに、芯部から円周方向に向かって、巻芯側、巻中、巻外に分割し、各部位の液量の分布を測定した。結果を表12に示す。なお、表12中、含浸倍率(%)とは、ウエットティッシュに含浸させた薬液の質量をウエットティッシュの基材である不織布の質量で除して算出された数値の百分率である。
【0069】
【表11】
【表12】
【0070】
[評価]
表7、表9、表10、及び表12から明らかなように、本発明のウエットティッシュのロール体においては、ウエットティッシュの枚数が多いにも関わらず、ロール体の内部に至るまで薬剤成分が十分に浸透し、ウエットティッシュの全体に亘って薬剤が浸透していることが分かった。