【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、ドアガラスを透過して車室内に入った騒音が車室内側シールリップ部とドアガラスの車室内面との間で反射増幅されるのを抑制するようにシールリップ部の構造を工夫することによって騒音が乗員の耳に届きにくくした。
【0009】
第1の発明は、
ドアガラスの縁部に沿って延びるように形成されたドアフレーム部に取り付けられ、上記ドアガラスと上記ドアフレーム部との間をシールする弾性材からなる車両用ドアのグラスランにおいて、
上記グラスランは、上記ドアフレーム部に取り付けられるグラスラン本体部と、該グラスラン本体部の車室内側から上記ドアガラスの車室内面に向けて延び、その突出方向中間部に、他の部位に比べて薄肉部となる凹状部が形成され、該凹状部の形成部位を境界として先端側が
、該凹状部で屈曲変形して該ドアガラスの車室内面に接触するように形成された車室内側シールリップ部とを備え、
上記グラスラン本体部の車室内側には、上記ドアフレーム部に当接する突出部が形成され、
上記車室内側シールリップ部の基端側は上記ドアガラスの車室内面から車室内側へ離れるように形成され、上記車室内側シールリップ部の基端側と上記ドアガラスの車室内面との間には、空間が形成され、
上記車室内側シールリップ部
における上記ドアガラスの車室内面との間に上記空間を形成する部分と上記凹状部よりも基端側の部分との間の中間部分は、上記ドアガラスの車室内面に接触するように形成され、
上記車室内側シールリップ部の上記中間部分と上記突出部とは、車室内外方向から見たときに互いに重複するように存在しており、
上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、上記ドアガラスの車室内面とのなす角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、グラスランの車室内側シールリップ部の先端側がドアガラスの車室内面に接触することによってドアガラスとドアフレーム部との間がシールされる。このシール状態では、車室内側シールリップ部の基端側がドアガラスの車室内面から車室内側へ離れており、車室内側シールリップ部の基端側とドアガラスの車室内面との間に空間が形成されることになる。このとき、車室内側シールリップ部の基端側におけるドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、ドアガラスの車室内面とのなす角度が35度以上であることから、ドアガラスを透過して上記空間に入った騒音は、該空間内で反射増幅されにくくなる。また、ドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、ドアガラスの車室内面とのなす角度が65度以下であることから、車室内側シールリップ部の基端側で反射され、ドアガラスを透過して再び車室外へ出て行く音の減少を抑えることができる。これにより、乗員の耳に届く騒音の音圧が小さくなる。
【0011】
さらに、ドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、ドアガラスの車室内面とのなす角度が35度以上であることから、ドアガラスを斜めに透過して該平坦面に入射する音成分そのものが減るため、いわゆるコインシデンス効果によってドアガラスの透過損失が高くなり、このことによっても乗員の耳に届く騒音の音圧が小さくなる。
【0012】
第2の発明は、
ドアガラスの縁部に沿って延びるように形成されたドアフレーム部に取り付けられ、上記ドアガラスと上記ドアフレーム部との間をシールする弾性材からなる車両用ドアのグラスランにおいて、
上記グラスランは、上記ドアフレーム部に取り付けられるグラスラン本体部と、該グラスラン本体部の車室内側から上記ドアガラスの車室内面に向けて延び、その突出方向中間部に、他の部位に比べて薄肉部となる凹状部が形成され、該凹状部の形成部位を境界として先端側が
、該凹状部で屈曲変形して該ドアガラスの車室内面に接触するように形成された車室内側シールリップ部とを備え、
上記グラスラン本体部の車室内側には、上記ドアフレーム部に当接する突出部が形成され、
上記車室内側シールリップ部の基端側は上記ドアガラスの車室内面から車室内側へ離れるように形成され、上記車室内側シールリップ部の基端側と上記ドアガラスの車室内面との間には、空間が形成され、
上記車室内側シールリップ部
における上記ドアガラスの車室内面との間に上記空間を形成する部分と上記凹状部よりも基端側の部分との間の中間部分は、上記ドアガラスの車室内面に接触するように形成され、
上記車室内側シールリップ部の上記中間部分と上記突出部とは、車室内外方向から見たときに互いに重複するように存在しており、
上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する対向面が該車室内面へ向けて湾曲する湾曲面で構成され、
上記車室内側シールリップ部をその先端側から基端側に亘って切断した切断面に現れる上記湾曲面を示す曲線を構成している各点における当該曲線の接線をそれぞれ引き、これら接線と上記ドアガラスの車室内面とのなす角度を求めて角度範囲を得たとき、該角度範囲の中央値となる角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、車室内側シールリップ部の基端側におけるドアガラスの車室内面と対向する対向面が湾曲面である場合に、第1の発明と同様な作用効果が得られる。
【0014】
第3の発明は、第1の発明において、
上記グラスランは、車両のルーフに沿って延びる上部グラスランと、車両のピラーに沿って延びる縦方向グラスランとを有し、
上記上部グラスランの上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、上記ドアガラスの車室内面とのなす角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、上部グラスランは乗員の耳に近いところに位置することになり、この上部グラスランにおける騒音低減の寄与率は大きなものになる。従って、上部グラスランにおける車室内側シールリップ部の平坦面と、ドアガラスの車室内面とのなす角度を上記のように設定することで、騒音低減の効果がより顕著になる。
【0016】
第4の発明は、第2の発明において、
上記グラスランは、車両のルーフに沿って延びる上部グラスランと、車両のピラーに沿って延びる縦方向グラスランとを有し、
上記上部グラスランの上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する対向面が該車室内面へ向けて湾曲する湾曲面で構成され、
上記上部グラスランの上記車室内側シールリップ部をその先端側から基端側に亘って切断した切断面に現れる上記湾曲面を示す曲線を構成している各点における当該曲線の接線をそれぞれ引き、これら接線と上記ドアガラスの車室内面とのなす角度を求めて角度範囲を得たとき、該角度範囲の中央値となる角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、上部グラスランは乗員の耳に近いところに位置することになるので、騒音低減の効果がより顕著になる。
【0018】
第5の発明は、第3の発明において、
上記グラスランは、上記上部グラスランと上記縦方向グラスランとの境界部分において屈曲したコーナー部グラスランを有し、
上記コーナー部グラスランの少なくとも上部側における上記上部グラスランとの境界部分から上記車室内側シールリップ部の上記屈曲が開始する部分の間において、上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する平坦面と、上記ドアガラスの車室内面とのなす角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、コーナー部グラスランは乗員の耳に近いところに位置することになり、このコーナー部グラスランにおける騒音低減の寄与率は大きなものになる。従って、コーナー部グラスランにおける車室内側シールリップ部の平坦面と、ドアガラスの車室内面とのなす角度を上記のように設定することで、騒音低減の効果がより顕著になる。
【0020】
第6の発明は、第4の発明において、
上記グラスランは、上記上部グラスランと上記縦方向グラスランとの境界部分において屈曲したコーナー部グラスランを有し、
上記コーナー部グラスランの少なくとも上部側における上記上部グラスランとの境界部分から上記車室内側シールリップ部の上記屈曲が開始する部分の間において、上記車室内側シールリップ部の基端側における上記ドアガラスの車室内面と対向する対向面が該車室内面へ向けて湾曲する湾曲面で構成され、
上記コーナー部グラスランの上記車室内側シールリップ部をその先端側から基端側に亘って切断した切断面に現れる上記湾曲面を示す曲線を構成している各点における当該曲線の接線をそれぞれ引き、これら接線と上記ドアガラスの車室内面とのなす角度を求めて角度範囲を得たとき、該角度範囲の中央値となる角度が35度以上65度以下に設定されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、コーナー部上部側グラスランは乗員の耳に近いところに位置することになるので、騒音低減の効果がより顕著になる。