(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SOFCにおいて、燃料ガスや空気ガスを加圧しながら供給することで電気化学セルの発電性能が向上することが近年の研究で明らかになっている。そのため、同一圧力による試験の他、差圧条件下(例えば、100〜300KPa)による試験を行って各電極の圧力特性や発電特性等の性能評価を行いたいという要望がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1の評価用ホルダでは、挟持部材を挟持した状態で組み立てたときの気密性が低く、燃料ガスと空気ガスとの間に圧力差が生じる差圧条件下でセル評価試験を実施すると、流路やホルダ本体の僅かな隙間からガスが漏洩して正確なセル評価試験を実施することができなかった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、差圧条件下におけるセル評価試験を実施した場合であっても供給する燃料ガスや空気ガスの漏洩を防止して高精度なセル評価試験を実施することができる電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る第1の態様は、電解質が燃料極と空気極のそれぞれの界面と同一面上に露出面を有して前記燃料極と前記空気極との間に挟まれたセル部を含む挟持部材
と、
燃料ガスを供給する燃料ガス導入管と、供給された燃料ガスを排出する燃料ガス排出管と、固定用の複数の燃料極側挿通孔とを有する金属製の燃料極側筐体と、
空気ガスを供給する空気ガス導入管と、供給された空気ガスを排出する空気ガス排出管と、固定用の複数の空気極側挿通孔とを有する金属製の空気極側筐体と、を備え、
前記挟持部材は、
前記燃料ガスを均等に拡散する金属製の燃料ガス拡散板と、
前記空気ガスを均等に拡散する金属製の空気ガス拡散板と、
前記セル部を収容する際の位置決め用の収容孔が形成され、且つ前記燃料極側挿通孔及び前記空気極側挿通孔と一直線上に連通する位置に固定用挿通孔が形成されたセル用ガスケットと、
前記セル用ガスケットと前記燃料ガス拡散板の間に介在し、燃料極集電体を収容する際の位置決め用の収容孔が形成され、且つ前記燃料極側挿通孔及び前記空気極側挿通孔と一直線上に連通する位置に固定用挿通孔が形成された燃料極集電体用ガスケットと、
前記セル用ガスケットと前記空気ガス拡散板の間に介在し、空気極集電体を収容する際の位置決め用の収容孔が形成され、且つ前記燃料極側挿通孔及び前記空気極側挿通孔と一直線上に連通する位置に固定用挿通孔が形成された空気極集電体用ガスケットと、
前記燃料極側挿通孔及び前記空気極側挿通孔と一直線上に連通する位置に固定用挿通孔が形成され、前記燃料極側筐体と前記燃料ガス拡散板との間に介在される燃料ガス拡散板用ガスケットと、
前記燃料極側挿通孔及び前記空気極側挿通孔と一直線上に連通する位置に固定用挿通孔が形成され、前記空気極側筐体と前記空気ガス拡散板との間に介在される空気ガス拡散板用ガスケットと、を含み、
前記挟持部材を前記燃料極側筐体と前記空気極側筐体との間に挟み込んだ状態で固定部材によって固定し、前記燃料ガスと前記空気ガスとの間に圧力差が生じる差圧条件下におけるセル評価試験に用いられる電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法であって、
前記セル部における前記電解質のそれぞれの露出面に、セル評価試験時の加熱温度に耐え得るガラスペーストを塗布
するステップと、
前記燃料極側挿通孔、前記空気極側挿通孔及び前記固定用挿通孔が一直線上に連通するように位置合わせし、前記燃料極側筐体と前記空気極側筐体との間に前記挟持部材を挟み込んだ状態で対向するように突き合わせ、前記塗布したガラスペーストが前記セル部と前記セル用ガスケットの収容孔との間の隙間や、前記セル用ガスケットと前記燃料極集電体用ガスケットおよび前記空気極集電体用ガスケットとの間の隙間に入り込むように均等に荷重を加えながら前記固定部材で固定して組み立
てるステップと、を含むことを特徴とする、電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法である。
【0009】
本発明に係る第2の態様は、第1の態様に係る電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法において、前記燃料極集電体用ガスケットの収容孔と、前記空気極集電体用ガスケット
の収容孔
を、前記セル用ガスケットの収容孔よりも小さく形成
するステップを含むことを特徴とする、電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法である。
【0010】
本発明に係る第3の態様は、第1又は第2の態様に係る電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法において、前記セル用ガスケット、前記燃料極集電体用ガスケット、前記空気極集電体用ガスケット、前記燃料ガス拡散板用ガスケット及び前記空気ガス拡散板用ガスケットの両面
にガラスコーティング処理
を施すステップを含むことを特徴とする、電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気化学セル評価用ホルダ
の組み立て方法によれば、セル部における電解質の少なくとも一方の露出面にガラスペーストが塗布した状態で組み立てるため、塗布したガラスペーストが塗布部分からその周囲へと広がってガス漏洩が懸念される隙間が埋まるので、高精度にセル評価試験を行うことができる。
【0012】
また、燃料極集電体等ガスケット及び空気極集電体用ガスケットの収容孔は、セル用ガスケットの収容孔よりも小さく形成されているため、組み立てた際にセル部とセル用ガスケットの収容孔との隙間を覆うように塞がるので、燃料ガスや空気ガスの漏洩を防止する効果を奏する。
【0013】
さらに、セル用ガスケット、燃料極集電体用ガスケット、空気極集電体用ガスケット、燃料ガス拡散板用ガスケット、空気ガス拡散板用ガスケットの両面にガラスコーティング処理が施されているため、組み立てた際に、上下の部品との密着性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【0016】
なお、本明細書において、添付する各図を参照した以下の説明において、方向乃至位置を示すために上、下、左、右の語を使用した場合、これはユーザが各図を図示の通りに見た場合の上、下、左、右に一致する。
【0017】
[構成要件について]
図1や
図2に示すように、電気化学セル評価用ホルダ(以下、「評価用ホルダ」と略称する)1は、例えば固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell :SOFC)で用いられる平板型の電気化学セル(セル部21)の性能評価を行うための機器である。
この評価用ホルダ1は、燃料極側筐体2(図中下方)と空気極側筐体3(図中上方)との間に挟持部品4(後述するセル部21、燃料極集電体22、空気極集電体23、一対のガス拡散板24、セル用ガスケット25、一対の集電体用ガスケット26、一対のガス拡散板用ガスケット27を含む)を挟持し、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを固定部材5で締結固定して組み立てる構成を基本構造としている。
【0018】
−燃料極側筐体−
燃料極側筐体2は、セル評価試験時の高温に耐え、且つ組み立て時に加わる荷重(例えば10〜20MPa)に耐え得るように金属製(例えばステンレス)である。また、燃料極側筐体2の略中央部分には、後述する燃料ガス導入管8を介して導入された燃料ガスをセル部21に供給するための燃料ガス供給孔6と、セル部21に供給された燃料ガスを後述する燃料ガス排出管9を介して排出するための燃料ガス排出孔7が形成されている。
【0019】
図1や
図2に示すように、燃料極側筐体2の一側面(図中では左側面)には、燃料ガス導入管8と燃料ガス排出管9とが並設されている。
【0020】
燃料ガス導入管8は、外部から燃料ガスを取り込むガス導入口8aを有し、ガス導入口8aから取り込んだ燃料ガスを燃料極側筐体2に形成された燃料ガス供給孔6を介してセル部21に供給している。
【0021】
燃料ガス排出管9は、燃料ガスを排出するガス排出口9aを有し、セル部21に供給された未反応の燃料ガスを、燃料極側筐体2に形成された燃料ガス排出孔7を介してガス排出口9aから排出している。
【0022】
また、
図1に示すように、燃料極側筐体2には、固定部材5により空気極側筐体3との締結固定を行うための複数の燃料極側挿通孔10が形成されている。
図1の例では、燃料極側筐体2の外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して燃料極側挿通孔10が形成され、使用する固定部材5に応じて孔径が適宜決定される。
【0023】
さらに、燃料極側筐体2の表面と、燃料ガス導入管8及び燃料ガス排出管9の表面と内面には、例えばAg(銀)、Au(金)、Pt(白金)によるメッキ加工が施されている。
【0024】
−空気極側筐体−
空気極側筐体3は、セル評価試験時の高温に耐え、且つ組み立て時に加わる荷重(例えば10〜20MPa)に耐え得るように金属製(例えばステンレス)である。また、空気極側筐体3の略中央部分には、後述する空気ガス導入管13から導入された空気ガスをセル部21に供給するための空気ガス供給孔11と、セル部21に供給された空気ガスを後述する空気ガス排出管14を介して排出するための空気ガス排出孔12が形成されている。
【0025】
図1や
図2に示すように、空気極側筐体3の一側面(図中では左側面)には、空気ガス導入管13と空気ガス排出管14とが並設されている。
【0026】
空気ガス導入管13は、外部から空気ガスを取り込むガス導入口13aを有し、ガス導入口13aから取り込んだ空気ガスを空気極側筐体3に形成された空気ガス供給孔11を介して後述するセル部21に供給している。
【0027】
空気ガス排出管14は、空気ガスを排出するガス排出口14aを有し、セル部21に供給された未反応の空気ガスを空気極側筐体3に形成された空気ガス排出孔12を介してガス排出口14aから排出している。
【0028】
図1に示すように、空気極側筐体3には、固定部材5により燃料極側筐体2との締結固定を行うための複数の空気極側挿通孔15が形成されている。
図1の例では、空気極側筐体3の外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して空気極側挿通孔15が形成され、使用する固定部材5に応じて孔径が適宜決定される。
【0029】
なお、
図1に示すように、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15は、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせたときに、固定部材5の後述するボルト51が挿入可能なように各孔の個数が同数であり、且つ対向する孔同士が一直線上となる位置にそれぞれ形成されている。
【0030】
さらに、空気極側筐体3の表面と、空気ガス導入管13及び空気ガス排出管14の表面と内面には、例えばAg(銀)、Au(金)、Pt(白金)によるメッキ加工が施されている。
【0031】
−挟持部材−
図1や
図2に示すように、挟持部品4は、セル部21、燃料極集電体22、空気極集電体23、一対のガス拡散板24、セル用ガスケット25、一対の集電体用ガスケット26、一対のガス拡散板用ガスケット27から構成される。
【0032】
図1や
図2に示すように、挟持部品4は、燃料極側筐体2を上方、空気極側筐体3を下方として配置した場合、上から順に燃料ガス拡散板用ガスケット27a、燃料ガス拡散板24a、燃料極集電体22及び燃料極集電体用ガスケット26a、セル部21及びセル用ガスケット25、空気極集電体23及び空気極集電体用ガスケット26b、空気ガス拡散板24b、空気ガス拡散板用ガスケット27bの順に積層される部品である。
【0033】
セル部21は、例えばYSZ/Niサーメットなどの燃料極と、例えば(La,Sr)MnO
3 などの空気極との間に、例えばYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)などの電解質を一体化した円板形状を成して構成される。セル部21における燃料極及び空気極は、電解質よりも小さいサイズで形成されているため、電解質が各極の周囲に露出した状態となる。なお、セル部21の形状としては、図中に示すような円盤形状に限定されず、例えば矩形形状でもよい。
【0034】
また、セル部21における電解質の露出面21aの少なくとも一方の面(表面、裏面)には、セル評価試験時の加熱温度(850℃以下)まで耐熱性を有するガラスペースト21bを塗布する。ガラスペースト21bは、
図2における拡大部分に示すように、組み立ての際に塗布した部分からその周囲へと広がって、セル部21と後述するセル用ガスケット25の収容孔25aとの間の隙間や、セル用ガスケット25と集電体用ガスケット26との間の隙間が埋まる。このため、セル評価試験時における燃料ガスや空気ガスの漏洩を防止することができる。
【0035】
なお、
図2の拡大部分では、ガラスペースト21bが周囲に広がった状態を表現するため多少デフォルメした図となっているが、実際にはガラスペースト21bの層は薄く、セル部21の露出面21aとその上下にある集電体用ガスケット26との間はガラスペースト21bを介して密着した状態となる。
【0036】
また、ガラスペースト21bを塗布する領域は、少なくとも燃料極と空気極には塗布せず電解質の露出面21aのみとし、塗布量は使用するセル部21における電解質の露出面21aの大きさやセル部21とセル用ガスケット25の収容孔25aとの間の隙間の大きさによって適宜決定すればよい。
【0037】
燃料極集電体22は、還元雰囲気で安定であるNi網などで構成される。また、空気極集電体23は、高温で酸化しにくい貴金属である例えば金(Au)や白金(Pt)製の網などで構成される。なお、燃料極集電体22や空気極集電体23のサイズは、少なくとも対応する電極(燃料極又は空気極)よりも小さくする。
【0038】
一対のガス拡散板24(燃料ガス拡散板24a、空気ガス拡散板24b)は、燃料極側筐体2や空気極側筐体3と同様、評価試験時の高温に耐え、且つ組み立て時に加わる荷重(5〜10KN程度)に耐え得るように金属製である。また、各ガス拡散板24a、24bにおける略中央部分には、セル部21に燃料ガス(又は空気ガス)を供給するためのガス供給孔24cと、セル部21に供給した燃料ガス(又は空気ガス)を燃料ガス排出管9(又は空気ガス排出管14)に向けて排出するためのガス排出孔24dが形成されている。
【0039】
なお、各ガス拡散板24a、24bに形成されたガス供給孔24cとガス排出孔24dは、燃料極側筐体2や空気極側筐体3に形成された燃料ガス供給孔6、燃料ガス排出孔7、空気ガス供給孔11、空気ガス排出孔12の位置に合わせて連通するように形成されている。
【0040】
また、本ホルダ組み立ての際に、ボルト51が挿入される固定用挿通孔24eが、各ガス拡散板24a、24bの外縁に沿って所定数形成されている。この固定用挿通孔24eは、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせたときに、固定部材5のボルト51が挿入可能なように、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の各孔の個数と同数であり、且つ対向する孔同士が一直線上に連通する位置にそれぞれ形成されている。
よって、
図1に示すように、本実施形態の固定用挿通孔24eは、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の貫通位置及び個数に合わせ、各ガス拡散板24a、24bの外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して形成されている。
【0041】
セル用ガスケット25は、ガス漏洩防止用として弾力性を有するセラミックス(例えば、バーミキュライト、マイカ、アルミナファイバー等)からなり、その両面には上下の部品との密着性を高めるようにガラスコーティング処理が施されている。セル用ガスケット25の略中央部分には、セル部21を設置する際の位置決めとなる収容孔25aが、セル部21と略同等のサイズに形成されている。
【0042】
また、本ホルダ組み立ての際に、ボルト51が挿入される固定用挿通孔25bが、セル用ガスケット25の外縁に沿って所定数形成されている。この固定用挿通孔25bは、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせたときに、固定部材5のボルト51が挿入可能なように、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の各孔の個数と同数であり、且つ対向する孔同士が一直線上に連通する位置にそれぞれ形成されている。
よって、
図1に示すように、本実施形態の固定用挿通孔25bは、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の貫通位置及び個数に合わせ、セル用ガスケット25の外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して形成されている。
【0043】
一対の集電体用ガスケット26(燃料極集電体用ガスケット26a、空気極集電体用ガスケット26b)は、セル用ガスケット25と同様、ガス漏洩防止用として弾力性を有するセラミックス(例えば、バーミキュライト、マイカ、アルミナファイバー等)からなり、その両面には上下の部品との密着性を高めるようにガラスコーティング処理が施されている。また、各集電体用ガスケット26a、26bの略中央部分には、燃料極集電体22や空気極集電体23を設置する際の位置決めとなる収容孔26cが、各集電体と略同等のサイズに形成されている。
【0044】
収容孔26cは、セル用ガスケット25の収容孔25aよりも小さく形成されている。これは、組み立てた際に、セル用ガスケット25と燃料極集電体用ガスケット26a(又は空気極集電体用ガスケット26b)とが密着したときに、セル部21と収容孔25aとの隙間を覆うように塞ぐためである。
よって、セル評価試験時に、ガラスペースト21bによる作用効果に加えて、燃料ガスや空気ガスの漏洩を防止する効果を奏することができる。
【0045】
また、本ホルダ組み立ての際に、ボルト51が挿入される固定用挿通孔26dが、各集電体用ガスケット26a、26bの外縁に沿って所定数形成されている。この固定用挿通孔26dは、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせたときに、固定部材5のボルト51が挿入可能なように、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の各孔の個数と同数であり、且つ対向する孔同士が一直線上に連通する位置にそれぞれ形成されている。
よって、
図1に示すように、本実施形態の固定用挿通孔26dは、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の貫通位置及び個数に合わせ、各集電体用ガスケット26a、26bの外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して形成されている。
【0046】
一対のガス拡散板用ガスケット27(燃料ガス拡散板用ガスケット27a,空気ガス拡散板用ガスケット27b)は、セル用ガスケット25や集電体用ガスケット26と同様、ガス漏洩防止用として弾力性を有するセラミックス(例えば、バーミキュライト、マイカ、アルミナファイバー等)からなり、その両面には上下の部品との密着性を高めるようにガラスコーティング処理が施されている。
【0047】
また、各ガス拡散板用ガスケット27a、27bにおける略中央部分には、セル部21に燃料ガス(又は空気ガス)を供給するためのガス供給孔27cと、セル部21に供給した燃料ガス(又は空気ガス)を燃料ガス排出管9(又は空気ガス排出管14)に向けて排出するためのガス排出孔27dが形成されている。
【0048】
さらに、各ガス拡散板用ガスケット27a、27bには、本ホルダ組み立ての際に、ボルト51が挿入される固定用挿通孔27eが、外縁に沿って所定数形成されている。この固定用挿通孔27eは、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせたときに、固定部材5のボルト51が挿入可能なように、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の各孔の個数と同数であり、且つ対向する孔同士が一直線上に連通する位置にそれぞれ形成されている。
よって、
図1に示すように、本実施形態の固定用挿通孔27eは、燃料極側挿通孔10及び空気極側挿通孔15の貫通位置及び個数に合わせ、各ガス拡散板用ガスケット27a、27bの外縁に沿って等間隔に8箇所貫通して形成されている。
【0049】
図3に示すように、燃料ガス導入管8及び空気ガス導入管13のガス導入口13aには、セル部21で発電した電流を燃料極集電体22又は空気極集電体23から取り出す電流取出用リード線31と、セル部21の各電極の電圧測定を行う電圧測定用リード線32と、セル部21近傍の温度測定を行う温度センサ33とを導入するためのハーメチック端子41(燃料極側ハーメチック端子41a、空気極側ハーメチック端子41b)がそれぞれ設置されている。
【0050】
図3に示すように、ハーメチック端子41(41a,41b)は、燃料ガス導入管8、燃料ガス排出管9、空気ガス導入管13、空気ガス排出管14のそれぞれに装着され、燃料ガス(又は空気ガス)を案内するガス案内路42aが設けられた端子本体42と、各ガス導入管8,13やガス排出管9,14に挿入された状態で端子本体42とO−リング43を介して螺合してガス漏れを防止する第1係合部材44と、端子導入部材45とO−リング46とを介在した状態で端子本体42と螺合してガス漏れを防止する第2係合部材47とで構成され、電流取出用リード線31、電圧測定用リード線32、温度センサ33をガス漏れさせずに外部から導入して評価用ホルダ1内の所定箇所に配置するための気密端子である。
【0051】
図1や
図3に示すように、固定部材5は、燃料極側筐体2や空気極側筐体3と同様のステンレス製のボルト51と、ボルト51の軸部に挿入される絶縁チューブ52と、ボルト51と螺合するステンレス製のナット53とで構成されている。
【0052】
図示の例では、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせた状態で、挟持部品4(下から順に、空気ガス拡散板用ガスケット27b、空気ガス拡散板24b、空気極集電体用ガスケット26b、空気極集電体23、セル用ガスケット25、セル部21、燃料極集電体22、燃料極集電体用ガスケット26a、燃料ガス拡散板24a、燃料ガス拡散板用ガスケット27a、の順で積層)を挟持する。次に、空気極側挿通孔15に絶縁チューブ52を装着したボルト51を燃料極側挿通孔10から挿通した状態でナット53により締付固定している。
【0053】
また、挟持部品4に含まれるセル用ガスケット25、集電体用ガスケット26、ガス拡散板用ガスケット27を、それぞれの上下にある部材と確実に密着させるため、締結時に油圧プレス機等の荷重手段で上側にある燃料極側筐体2の表面から均等に所定の荷重を加えている。
【0054】
これにより、各ガスケット同士が上下にある部材と均一に密着するため、空気ガスや燃料ガスが漏洩を防止することができる。
【0055】
[組み立て手順について]
次に、上記のように構成される評価用ホルダ1の組み立て手順について説明する。
ここでは、
図1に示すように、空気極側筐体3を下方、燃料極側筐体2を上方に配置した状態で組み立てる際の手順である。
【0056】
まず、空気極側筐体3における空気ガス供給孔11及び空気ガス排出孔12が形成された面を上向きとし、この状態で空気ガス拡散板用ガスケット27bを接着剤で仮止めして位置決めする。接着剤は、空気ガス拡散板用ガスケット27bの一時的な仮止めであるため、位置固定が即時可能な瞬間接着剤が好適である。
【0057】
次に、位置決めした空気ガス拡散板用ガスケット27bの上に空気ガス拡散板24b、空気極集電体用ガスケット26bの順で載せる。そして、空気極集電体用ガスケット26bの収容孔26cに空気極集電体23を収容する。
【0058】
同様に、燃料極側筐体2における燃料ガス供給孔6及び燃料ガス排出孔7が形成された面を上向きとし、この状態で燃料ガス拡散板用ガスケット27aを接着剤で仮止めして位置決めする。
【0059】
次に、位置決めした燃料ガス拡散板用ガスケット27aの上に燃料ガス拡散板24a、燃料極集電体用ガスケット26aの順で載せる。そして、燃料極集電体用ガスケット26aの収容孔26cに燃料極集電体22を収容する。
【0060】
次に、空気極側筐体3における空気極集電体23の上にセル用ガスケット25を載せ、収容孔25aにセル部21を収容する。そして、セル部21の電解質の露出面21aの表裏面(若しくは一方の面)にガラスペースト21bを塗布する。ガラスペースト21bの塗布量は、セル部21と収容孔25aとの間の隙間が埋まる程度の量とし、ホルダを組み立てた後に各電極表面に付着しないように塗布する。
【0061】
次に、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを突き合わせて挟持部品4を挟持させた状態で、燃料極側挿通孔10から挿入したボルト51をナット53で仮止めする。そして、仮止めした状態の評価用ホルダ1を荷重手段によって所定の荷重(5〜10KN程度)を均等に加えた後、緩みが生じたナット53を締め付け、燃料極側筐体2と空気極側筐体3とを固定する。これにより、評価用ホルダ1の組み立て作業が終了する。
【0062】
[実施例]
次に、本発明に係る評価用ホルダ1における気密性能評価試験について説明する。
以下の試験では、本発明の評価用ホルダ1のセル部21における電解質の露出面21aに所定量のガラスペースト21bを塗布し、比較対象となる評価用ホルダには電解質の露出面21aにガラスペースト21bを塗布しない構成とした。
【0063】
また、
図4に示すように、流量測定を行うガスはHe(ヘリウム)ガスを使用し、単位時間(1分間)あたりの流量を100cm
3 /min(以下、「ccm」とする)とし、燃料ガス導入管8から流入した流入ガス(インガス)の圧力を可変させ、ホルダ内の流路を通過させた後、燃料ガス排出管9から排出ガス(オフガス)の排出流量をプロットした。
【0064】
図示に示すように、ガラスペースト21bを塗布した評価用ホルダ1は、圧力が0KPaのときに「100ccm」、60KPaのときに「99.25ccm」、100KPaのときに「98.44ccm」、155KPaのときに「97.11ccm」、214KPaのときに「95.98ccm」、262KPaのときに「94.86ccm」、309KPaのときに「93.45ccm」、312KPaのときに「93.53ccm」となった。
【0065】
一方、ガラスペースト21bを塗布しない評価用ホルダでは、0KPaのときに「100ccm」、50KPaのときに「85.9ccm」、98KPaのときに「70ccm」となった。
【0066】
以上の結果より、ガラスペースト21bをセル部21の電解質の露出面21aに塗布することで、評価用ホルダ1の高気密化が図れることが実証された。
【0067】
以上説明したように、上述した電気化学セル評価用ホルダ1は、燃料極側筐体2と燃料ガス拡散板24aとの間に燃料ガス拡散板用ガスケット27aを介在させ、空気極側筐体3と空気ガス拡散板24bとの間に空気ガス拡散板用ガスケット27bを介在させる。また、燃料ガス拡散板24aと空気ガス拡散板24bとの間には、セル部21及びセル用ガスケット25を境とし、燃料極側に燃料極集電体22及び燃料極集電体用ガスケット26aを、空気極側に空気極集電体23及び空気極集電体用ガスケット26bをそれぞれ介在させる。そして、セル部21の電解質の露出面21aには、ガラスペースト21bを塗布した後、各筐体2,3間で挟持部品4を挟持した状態で、所定の荷重を加えながら燃料極側挿通孔10又は空気極側挿通孔15の何れか一方から挿入したボルト51をナット53で締結固定して組み立てる。
【0068】
これにより、組み立ての際に、塗布したガラスペースト21bがその塗布部分から周囲へと広がって、セル部21とセル用ガスケット25の収容孔25aとの間の隙間や、セル用ガスケット25と集電体用ガスケット26との間の隙間に入り込んで埋まるため、燃料ガスや空気ガスの漏洩が防止され、高精度にセル評価試験を実施することができる。
【0069】
また、収容孔26cは、セル用ガスケット25の収容孔25aよりも小さく形成されているため、セル用ガスケット25と燃料極集電体用ガスケット26a(又は空気極集電体用ガスケット26b)とが密着したときに、セル部21と収容孔25aとの隙間を覆うように塞ぐことができるため、燃料ガスや空気ガスの漏洩を防止する効果を奏する。
【0070】
さらに、セル用ガスケット25、燃料極集電体用ガスケット26a、空気極集電体用ガスケット26b、燃料ガス拡散板用ガスケット27a、空気ガス拡散板用ガスケット27bの両面にはガラスコーティング処理が施されているため、組み立てた際に、上下の部品との密着性を高めることができる。