(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、
図1〜
図4を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0021】
図1〜
図4で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば操作面1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えばカバー体1)の一部であることを示している。
【0022】
図1〜
図4において、
1は操作ボタンとして作用する下開口鞘状のカバー体,
1aは利用者が内容物放出操作の対象とする操作面,
1bはカバー体1の前面上部分に形成されて後述のノズル2が取り付けられる開口部,
1cはカバー体1の下側内周面の周方向に形成されて後述のシリンダテーブル7およびこれと嵌合状態のステム9から前記カバー体が図示上方に抜けるのを阻止するための計二個の円弧凸状部,
をそれぞれ示している。
【0023】
また、
2は開口部1bに取り付けられた内容物放出用のノズル,
2aはノズル2の先端部分に形成されてシャットオフ動作の開閉対象となる吐出口,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
3は後述の弁作用部4および被駆動シャフト5からなり、操作面1aへの押下げ操作にともなう後述の傾斜カム面7cとのカム作用によりそれまでの吐出口2aとの当接位置から後退して、この吐出口を閉状態から開状態にシフトさせるシャットオフ部材,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
4はシャットオフ部材3の前側部分であって吐出口2aに対する鞘状の弁作用部,
4aは弁作用部4の後端側外周面に形成されて後述のシリンダ6の内円筒状部6mの内周面に案内されるスカート状部,
4bは弁作用部4の後端側に形成されて後述のコイルスプリング8の前端部分を受ける環状後端部,
をそれぞれ示している。
【0026】
また、
5はシャットオフ部材3の後側部分であって弁作用部4と嵌合し、操作面1aへの押下げ操作にともなう後述の薄肉ヒンジ部6dを中心とした回動テコ部材6cの図示反時計方向への回動作用により、後方へ駆動される鞘状の被駆動シャフト,
5aは被駆動シャフト5の後端部分左右方向(
図1,
図3の紙面垂直方向)にそれぞれ形成された一対の被駆動片部,
5bは被駆動片部5aの前側曲面部分であって後述の回動テコ部材6cの駆動作用面6eと当接する一対の被駆動曲面,
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
6はノズル2を嵌合配設し、シャットオフ部材3をその後端側露出の状態で収容して前後方向に案内し、後述のシリンダテーブル7により上下方向に案内され、かつ、放出対象内容物の通路として作用する内部空間域を備えたシリンダ,
6aはシリンダ6の後端側の外天面部分に起立状態で形成されたカム作動用基部,
6bはカム作動用基部6aの上端側に後延長水平態様で形成されたいわば剛性,変位なしの天井部分,
6cは天井部分6bの後端側から下方向への片持ち態様で連続形成されて、後述の傾斜カム面7cとの間でカム作用を呈する横長板状のカムフォロワ部としての回動テコ部材,
6dは天井部分6bと回動テコ部材6cとのいわばインタフェース作用部であって、前記回動テコ部材の回動中心・支点部分として作用する薄肉ヒンジ部,
6eは回動テコ部材6cの下側部分に形成され、一対の被駆動片部5aの前端側曲面部分に当接して操作面1aの押下げ操作にともないこの曲面部分それぞれを後方に駆動する作用点部分としての縦断面「くの字状」で折り曲げ平面状の一対の駆動作用面,
6fは回動テコ部材6cの前下端部分であって前記押下げ操作にともない後述の傾斜カム面7cに倣う形で図示後方側へと移動する力点部分としてのカム倣い縁部分,
6gは回動テコ部材6cの左右方向中央の下側部分に形成されて被駆動シャフト5のシャットオフ移動を可とするための切欠状部分,
6hはその前側内周面にノズル2の後側部分が嵌合配設された前後方向の外円筒状部,
6jは外円筒状部6hの下側部分に形成された内容物通過用の孔部,
6kは孔部6jを上内側に取り込むかたちで外円筒状部6hのいわば下底部分から下方に連続形成されて、後述の逆スカート状起立部7dとの間の被案内・シール作用を呈する上下方向の下円筒状部,
6mは外円筒状部6hと後端環状底面部分を介して連続形成され、弁作用部4のスカート状部4aを案内するとともに、被駆動シャフト5をその被駆動片部5aがシリンダ6の後外側に露出するかたちで収容する前後方向の内円筒状部,
6nは内円筒状部6mの後端内側環状部分に連続形成されて後述のコイルスプリング8を受け、かつそこから後方へ連続する筒状内周面により被駆動シャフト5の後側大径の非露出部分を案内する円環状段部,
をそれぞれ示している。
【0028】
また、
7は回動テコ部材6cとの間のカム作用および下円筒状部6kに対する案内・シール作用を呈し、かつ後述のステム9を嵌合固定する平面視二重円形状のシリンダテーブル,
7aは操作面1aの押下げ操作初期のシャットオフ解除後に後述のシリンダ6の下円筒状部6kの下端部分が当接して、その後の連続押下げ操作により下方に駆動されるシリンダテーブル7の上面,
7bは上面7aの後側部分に形成された一対の起立カム部,
7cは起立カム部7bの上端部分に形成された後下がりの傾斜カム面,
7dはシリンダテーブル7の上面中央部分に形成されて、その上端外周面部分が下円筒状部6kの内周面と密接する逆スカート状起立部,
7eはシリンダテーブル7の下面中央側部分に形成されて、後述のステム9が嵌合状態で取り付けられる円筒状垂下部,
をそれぞれ示している。
【0029】
また、
8は弁作用部4の環状後端部4bとシリンダ6の円環状段部6nとの間の環状空間域に配設されて、シャットオフ部材3の全体を前方に付勢するコイルスプリング,
を示している。
【0030】
また、
9はシリンダテーブル7の円筒状垂下部7eに嵌合して強弾性力で上方に付勢され、内容物通過用空間域を備え、かつ操作面1aの押下げ操作時にシャットオフ部材3が後退してから下動することにより周知のポンプ機構またはバルブ機構を作動させる鞘状のステム,
を示している。
【0031】
ここで、カバー体1,ノズル2,シャットオフ部材3(弁作用部4および被駆動シャフト5),シリンダ6,およびステム9などはポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ポリアミド,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。コイルスプリング8は金属製,プラスチック製のものである。
【0032】
図示のシャットオフ機構の基本的特徴は、回動テコ部材6cとして、片持ち態様で上下方向、すなわち被駆動シャフト5がこの回動テコ部材で駆動される後方向と略直交する方向に延びる「第2種テコ」態様のテコを用いたことである。
【0033】
また、回動テコ部材6cを、その支点部分から力点部分までの腕の長さと、支点部分から作用点部分までの腕の長さとが略等しい形状に設定したことである。
【0034】
これにより、上記回動外力にともなう回動テコ部材6cの損傷のおそれを減少させることができる。この減少効果は、回動テコ部材6cの支点部分から力点部分までの腕の長さと、支点部分から作用点部分までの腕の長さとが略等しい形状の回動テコ部材において顕著である。
【0035】
また、上記略直交状態の回動テコ部材6cで後方向に駆動される被駆動シャフト5とその案内部などとの摩擦力が小さくなるので、後方移動のシャットオフ部材3の作動荷重の減少化や、シャットオフ部材自体のよじれ発生の抑止化を図ることができる。
【0036】
このように、弁作用部4および被駆動シャフト5からなるシャットオフ部材3は、軽作動荷重の下、よじれることもなくスムーズに後方に移動し、吐出口2aの開閉動作が楽におこなえる。
【0037】
被駆動シャフト5の作動荷重を軽くできるのは、回動テコ部材6cが薄肉ヒンジ部6dをテコ支点にして図示反時計方向に回動し、この回動にともない被駆動シャフト5の一対の被駆動片部5aが略後方向のみへの力を受けるからである。
【0038】
ここで、回動テコ部材6cは、薄肉ヒンジ部6dをいわば片持ち回動中心の支点とし、そこから下方に延びる部分の前下端のカム倣い縁部分6fが力点に対応し、またその延びる部分の後下側の駆動作用面6eが作用点に対応するテコ部材といえる。図示の回動テコ部材6cは支点と力点との間に作用点が位置する「第2種テコ」に相当する。この回動テコ部材6cに代えて、支点と作用点との間に力点が位置する「第3種テコ」態様の回動テコ部材を用いてもよい。
【0039】
この「第2種テコ」,「第3種テコ」に相当する回動テコ部材はともに、それぞれの支点部分からみて力点部分および作用点部分が同じ側に形成されたテコ部材である。
【0040】
図示のシャットオフ機構は、
図1の操作面1aの押下げ操作にともない、先ずシャットオフ部材3が後退して吐出口2aが開き、続いてカバー体1からステム9までの全体が下動することにより周知のポンプ機構を作動させるものである。
【0041】
その動作概要は、
(31)
図1の静止モードの操作面1aへの押下げ操作により、先ずカバー体1,ノズル2,シャットオフ部材3およびシリンダ6のいわば可動ユニットが、上方への強弾性力により初期固定位置状態のシリンダテーブル7およびステム9の一体物に対して下動し、
(32)このとき、下動状態の回動テコ部材6cのカム倣い縁部分6fと固定位置状態の傾斜カム面7cとのカム作用で、この回動テコ部材が、傾斜カム面7cに倣う形で薄肉ヒンジ部6dを中心にして図示反時計方向に回動し、
(33)回動テコ部材6cの後方(反時計方向)への回動にともない、被駆動シャフト5の被駆動片部5aが後退し、すなわちこれと一体の弁作用部4も後退してノズル2の吐出口2aがそれまでの閉状態から開状態へと移行し(
図3参照)、
(34)吐出口2aが開き、シリンダ6の下円筒状部6kがシリンダテーブル7の上面7aに当接した後は、このシリンダテーブルおよびステム9も
図3の状態で上記可動ユニットとともに上記強弾性力に抗しながら下方に移動し、
(35)ステム9の下動により周知のポンプ作用部が作動して容器本体(図示省略)の内容物が、概略「ステム9の内部空間域−逆スカート状起立部7d−内円筒状部6m・弁作用部4とそれぞれの外側のノズル2との環状空間域」を経て吐出口2aから外部空間域へ放出される、
ことである。
【0042】
図示の内容物放出機構の組立て手順は例えば、
(41)被駆動シャフト5をシリンダ6に後方から差し込む、
(42)上記(41)のシリンダ6の前方からコイルスプリング8を内円筒状部6mの中にセットする、
(43)上記(42)のシリンダ6をカバー体1の下方から差し込み、開口部1bを通す形で、弁作用部4の環状後端部4bを被駆動シャフト5の前端に係合し、ノズル2を外円筒状部6hの前端に係合する、
(44)上記(43)で組み立てたカバー体1の下方からシリンダテーブル7を差し込み、円弧凸状部1cに係止させる、
といった手順となる。
【0043】
図1および
図2の静止モードでは、
(51)ステム9およびこれと一体のシリンダテーブル7,起立カム部7bが周知のコイルスプリング(図示省略)の上方向への強弾性力で最上位置に配設され、
(52)カバー体1,ノズル2,シャットオフ部材3,シリンダ6およびコイルスプリング8などからなる可動ユニットが、このコイルスプリング8で前記ノズルを前方向に付勢して吐出口2aを前記ノズルで閉じた状態に設定され、
(53)そして、この吐出口2aが閉じた可動ユニットがシリンダテーブル7および起立カム部7bに、下円筒状部6kと逆スカート状起立部7dとの当接作用およびカム倣い縁部分6fと傾斜カム面7cとの当接作用により保持されている。
【0044】
すなわち、カバー体1,ノズル2,シャットオフ部材3,シリンダ6およびコイルスプリング8などで構成される可動ユニットが、下動しえる状態で、シリンダテーブル7の起立カム部7bおよび逆スカート状起立部7dに搭載されている。
【0045】
この搭載状態の可動ユニットは、
図1の静止モード位置から、上方向への強弾性力により最上位置に保持されたシリンダテーブル7に対し下動しえる。
【0046】
図3および
図4は、操作面1aの押下げ操作にともないこの可動ユニットの下円筒状部6kがシリンダテーブル7の上面7aに当接した後のステム下動状態を示している。
【0047】
すなわち、押下げ操作の初期段階(ステム9が下動しない段階)の回動テコ部材6cと起立カム部7bとのカム作用でシャットオフ部材3が後退して吐出口2aが開状態に移行した後のカバー体1からステム9までの全体一体物の下方への移動を示している。
【0048】
ここで、シャットオフ部材3はコイルスプリング8の弾性力に抗しながら後方向へ移動する。
【0049】
ステム9が所定位置まで下動すると各種のポンプ機構が作動して容器本体の内容物が上記経路により吐出口2aから外部空間域に放出される。
【0050】
操作面1aの押下げ操作を解除すると、ステム9は強い前記弾性力により
図1の静止モード位置までいわば瞬時に上動し、また、シャットオフ部材3はコイルスプリング8の弾性力により前方向に移動して吐出口2aを静止モードの閉状態に設定する。
【0051】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば次のようにしてもよい。
(61)カム倣い縁部分6fと傾斜カム面7cとを上下反転させた状態に設定する。すなわちカム倣い縁部分6fを起立カム部7bの側に設けて、傾斜カム面7cを回動テコ部材6cの側に設ける。
(62)回動テコ部材6cとしていわゆる「第3種テコ」形状の回動テコ部材を用いる。すなわち支点の薄肉ヒンジ部6dと、作用点の駆動作用面6e(の被駆動曲面5bとの当接部分)との間に、力点のカム倣い縁部分6fが配設される形に回動テコ部材を用いる。
【0052】
本発明が適用されるポンプ式製品やエアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0053】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0054】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0055】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0056】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0057】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0058】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0059】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0060】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0061】
エアゾール式製品における内容物放出用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。