(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。このため、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体状態検出システム1の概略構成図である。流体状態検出システム1は、潤滑油が内部に介在している容器10と、容器10内の潤滑油の状態を検出する流体状態検出装置20と、を備える。
【0012】
容器10は、潤滑油が流通する配管や、回転部や摺動部といった駆動部の近傍や、潤滑油を貯留する貯留部などである。この容器10の側壁面には、測定窓11が設けられている。測定窓11は、ガラスや樹脂といった、電磁波を透過する材料で形成されている。
【0013】
流体状態検出装置20は、発信部21、受信部22、検出部23、および報知部24を備える。発信部21は、容器10内の潤滑油に測定窓11を介して電磁波を出射する。
【0014】
受信部22は、発信部21から容器10内の潤滑油に測定窓11を介して出射された電磁波の反射波、透過波、または再放射された散乱波を受信する。
反射波や散乱波を受信する場合には、受信部22は、容器10の内部から測定窓11を介して出てくる電磁波を受信する。
透過波を受信する場合には、容器10の側壁面のうち、測定窓11が設けられている位置と対向する位置に、測定窓11と同様の測定窓(以降、対向測定窓とする)を形成する。このようにすることで、受信部22は、測定窓11から入射された電磁波のうち、容器10内の潤滑油の中を透過して対向測定窓から出てくる電磁波を受信して、透過波を受信することができる。
【0015】
発信部21から出射された電磁波の強度や偏波と、受信部22で受信された電磁波の強度や偏波と、の関係は、容器10内の潤滑油に含まれている金属、ワニス、スラッジ、水分などの異物の量や、潤滑油の酸化の度合いなどによって変化する。そこで、検出部23は、発信部21から出射された電磁波の強度や偏波と、受信部22で受信された電磁波の強度や偏波と、に基づいて、容器10内の潤滑油の状態を検出する。
【0016】
報知部24は、検出部23による検出結果を報知する。報知部24が文字や画像を表示する表示部で構成されている場合には、報知部24は、検出部23による検出結果を表示する。また、報知部24が音を出力する出音部で構成されている場合には、報知部24は、検出部23による検出結果を知らせる音声を出力したり、この検出結果が予め定められた検出結果である場合に音を出力したりする。
【0017】
以上の発信部21、受信部22、検出部23、および報知部24は、CPU、メモリ(RAM)、ハードディスクなどを用いて実現される。
【0018】
ハードディスクは、オペレーティングシステムや、潤滑油の状態を検出するための一連の処理を実行するためのプログラムなどを記憶する。なお、ハードディスクは、非一時的な記録媒体であればよく、例えば、EPROMやフラッシュメモリといった不揮発性のメモリ、CD−ROMなどであってもよい。
【0019】
CPUは、メモリを適宜利用して、ハードディスクに記憶されているデータやプログラムを適宜読み出して、演算や実行を適宜行う。
【0020】
以上のように、流体状態検出システム1は、測定窓11が設けられている容器10と、流体状態検出装置20と、を備えており、流体状態検出装置20により、容器10内の潤滑油に測定窓11を介して電磁波を出射するとともに、この電磁波の反射波、透過波、または再放射された散乱波を受信し、出射した電磁波と受信した電磁波とに基づいて、容器10内の潤滑油の状態を検出する。このため、機器に対して大きな構成の追加や変更を加えることなく、潤滑油の状態を検出することができる。したがって、潤滑油の状態の検出を簡易に行うことができる。
【0021】
また、容器10内の潤滑油の液面は、波打っているなど、平面であるとは限らない。このため、容器10の鉛直上方から潤滑油に対して電磁波を出射すると、受信部22で受信される電磁波に、潤滑油の液面が平面ではないことによる影響が及んでしまい、潤滑油の状態を適正に検出できなくなってしまうおそれがある。
また、潤滑油に含まれている異物は、沈殿することがある。このため、容器の鉛直下方から潤滑油に対して電磁波を出射すると、受信部22で受信される電磁波に、沈殿している異物の影響が及んでしまい、潤滑油の状態を適正に検出できなくなってしまうおそれがある。
そこで、流体状態検出システム1は、測定窓11を、容器10の側壁面に設けている。このため、潤滑油の液面が平面でなかったり、潤滑油に含まれている異物が沈殿していたりしても、これらの影響を受けることなく潤滑油の状態を適正に検出することができる。
【0022】
また、流体状態検出システム1は、検出部23による検出結果を報知する報知部24を備えている。このため、容器10内の潤滑油の状態の検出結果を、報知することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、流体状態検出システム1は、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、流体状態検出システム1により、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の品質を検出したりすることもできる。
【0024】
また、潤滑油が流通する配管や、回転部や摺動部といった駆動部の近傍では、潤滑油が流動するため、潤滑油内に気泡が生じたり、潤滑油の量に変化が生じたりする可能性がある。潤滑油内に気泡が生じている場合、受信部22で受信される電磁波に気泡の影響が及んでしまい、潤滑油の状態を適正に検出できなくなってしまうおそれがある。また、潤滑油の量に変化が生じてしまうと、潤滑油の液面が下がるので、発信部21から出射された電磁波が適切に潤滑油に当たらず、潤滑油の状態を適正に検出できなくなってしまうおそれがある。
そこで、本実施形態において、容器10を、上述の配管や上述の駆動部の近傍ではなく、潤滑油を貯留する貯留部としてもよい。貯留部では、上述の配管や上述の駆動部の近傍と比べて、潤滑油の流動が比較的穏やかであるため、潤滑油内に気泡が生じたり、潤滑油の量に変化が生じたりする可能性が低くなる。このため、潤滑油の状態を適正に検出することができる。
【0025】
また、本実施形態において、流体状態検出装置20は、据え置き型の装置であってもよいし、携帯可能な装置であってもよい。
流体状態検出装置20が据え置き型の装置である場合には、測定窓11に対する流体状態検出装置20の位置および角度を固定しておくことができる。このため、発信部21から電磁波を出射するたびに、同じ位置から同じ角度で、電磁波を容器10内の潤滑油に当てることができる。したがって、潤滑油の状態を適正に検出することができる。
一方、流体状態検出装置20が携帯可能な装置である場合には、流体状態検出装置20を持ち運ぶことができるため、利便性を向上させることができる。ただし、この場合には、発信部21から出射された電磁波を測定窓11を介して容器10内の潤滑油に適切に当てることができるように、流体状態検出装置20にレーザーポインタを設けてもよい。また、測定窓11に対する流体状態検出装置20の位置および角度を、発信部21から電磁波を出射するたびに一定にするために、流体状態検出装置20を固定する固定部を、測定窓11を基準として予め定められた位置に設けてもよい。
【0026】
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る流体状態検出システム1Aの概略構成図である。流体状態検出システム1Aは、
図1に示した本発明の第1実施形態に係る流体状態検出システム1とは、容器10の代わりに容器10A、10Bを備える点と、流体状態検出装置20の代わりに流体状態検出装置20Aを備える点と、管理装置30を備える点と、で異なっており、他の部分については同様の形態をしている。このため、第1実施形態と同様の形態をしている部分については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
容器10A、10Bは、容器10と同様に、潤滑油が流通する配管や、回転部や摺動部といった駆動部の近傍や、潤滑油を貯留する貯留部などである。容器10Aの側壁面には、測定窓11Aが設けられ、容器10Bの側壁面には、測定窓11Bが設けられている。測定窓11A、11Bは、測定窓11と同様に、電磁波を透過する材料で形成されている。また、容器10Aには、容器10Aを一意に識別できる情報が書き込まれたRFIDタグ12Aが取り付けられており、容器10Bには、容器10Bを一意に識別できる情報が書き込まれたRFIDタグ12Bが取り付けられている。
【0028】
流体状態検出装置20Aは、発信部21、受信部22、検出部23、および報知部24に加えて、RFIDリーダ25および通信部26を備える。RFIDタグ12A、12BおよびRFIDリーダ25は、容器10A、10Bを識別する識別部として機能する。
【0029】
流体状態検出装置20Aは、携帯可能な装置である。このため、流体状態検出装置20Aは、発信部21から出射された電磁波を容器10A内の潤滑油に測定窓11Aを介して当てることで、容器10A内の潤滑油の状態を検出することができ、発信部21から出射された電磁波を容器10B内の潤滑油に測定窓11Bを介して当てることで、容器10B内の潤滑油の状態を検出することができる。
【0030】
RFIDリーダ25は、RFIDタグ12Aに書き込まれている情報と、RFIDタグ12Bに書き込まれている情報と、を適宜読み取る。容器10A内の潤滑油に向かって電磁波を出射した際には、RFIDリーダ25は、RFIDタグ12Aから、容器10Aを一意に識別できる情報を読み取る。容器10B内の潤滑油に向かって電磁波を出射した際には、RFIDリーダ25は、RFIDタグ12Bから、容器10Bを一意に識別できる情報を読み取る。
【0031】
通信部26は、検出部23により検出された潤滑油の状態と、RFIDリーダ25により読み取られた情報と、を紐付けて管理装置30に送信する。このため、管理装置30には、検出部23により検出された潤滑油の状態が、容器10A、10Bのどちらの内部の潤滑油の状態であるのかを認識することができる。管理装置30は、通信部26から送信された情報を記憶する。
【0032】
以上のように、流体状態検出システム1Aは、本発明の第1実施形態に係る流体状態検出システム1と同様に、容器10A、10Bのそれぞれの側壁面に測定窓11A、11Bのそれぞれを設けており、流体状態検出装置20Aに発信部21、受信部22、検出部23、および報知部24のそれぞれを設けている。このため、流体状態検出システム1Aは、本発明の第1実施形態に係る流体状態検出システム1と同様の効果を奏することができる。
【0033】
また、流体状態検出システム1Aは、容器10Aに、容器10Aを一意に識別できる情報が書き込まれたRFIDタグ12Aを取り付けるとともに、容器10Bに、容器10Bを一意に識別できる情報が書き込まれたRFIDタグ12Bを取り付けている。また、流体状態検出装置20AにRFIDリーダ25を設け、このRFIDリーダ25により、容器10A内の潤滑油に向かって電磁波を出射した際に、RFIDタグ12Aから情報を読み取り、容器10B内の潤滑油に向かって電磁波を出射した際に、RFIDタグ12Bから情報を読み取る。さらに、検出部23により検出された潤滑油の状態と、発信部21により電磁波を出射した際にRFIDリーダ25により読み取られた情報と、を紐付ける。このため、検出部23により検出された潤滑油の状態が、容器10A、10Bのどちらの内部の潤滑油の状態であるのかを、識別することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、流体状態検出システム1Aは、潤滑油の状態を検出したが、これに限らず、流体であれば状態を検出することができる。例えば、流体状態検出システム1Aにより、水の汚染度を検出したり、薬品や飲料の品質を検出したりすることもできる。
【0035】
また、本実施形態において、容器10A、10Bを、上述の配管や上述の駆動部の近傍ではなく、潤滑油を貯留する貯留部としてもよい。貯留部では、上述の配管や上述の駆動部の近傍と比べて、潤滑油の流動が比較的穏やかであるため、潤滑油内に気泡が生じたり、潤滑油の量に変化が生じたりする可能性が低くなる。このため、潤滑油の状態を適正に検出することができる。
【0036】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0037】
なお、本発明は、例えば水圧機器に適用することもできる。