特許第6795921号(P6795921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795921
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   F24F7/007 C
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-136706(P2016-136706)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-9710(P2018-9710A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】徳永 昌之
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−310423(JP,A)
【文献】 特開平06−284475(JP,A)
【文献】 特開平04−002472(JP,A)
【文献】 特開平06−281221(JP,A)
【文献】 特開2007−061449(JP,A)
【文献】 米国特許第05139009(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気を必要とする機器から送信される電波による通信用データを受信する信号受信部、および、換気装置の換気運転を制御する制御部を備え、
前記信号受信部が前記機器から送信される換気運転開始用データを含む電波を受信すると前記制御部が前記換気装置の換気運転を開始し、前記信号受信部が前記機器から送信される換気運転停止用データを含む電波を受信すると前記制御部が前記換気装置の換気運転を停止する、連動換気運転制御を実行するように構成された換気システムであって、
前記換気運転開始用データおよび前記換気運転停止用データには、前記機器に設定された機器用IDコードが含まれており、
前記信号受信部が受信した、前記通信用データに含まれる前記機器用IDコードが、特定の機器に設定された機器用IDコードである特定IDコードと一致するときには前記制御部が前記連動換気運転制御を実行し、
前記信号受信部が受信した、前記通信用データに含まれる前記機器用IDコードが前記特定IDコードと一致しないときには前記制御部が前記連動換気運転制御を実行しないように構成されているとともに、
前記機器が、暫定無線通信用の機器側電子部品を接続する機器側電子部品接続部を備え、
前記換気装置が、暫定無線通信用の換気装置側電子部品を接続する換気装置側電子部品接続部を備えており、
前記機器から前記換気装置に対して、前記機器側電子部品接続部に接続された前記機器側電子部品の定数に基づいて設定される識別コード、および、前記機器用IDコードを含む、IDコード送信用データを無線通信によって送信する、暫定無線通信を行うことができるように構成され、
前記換気装置において前記暫定無線通信により受信したデータに含まれる前記機器側電子部品接続部に接続された前記機器側電子部品の定数に基づいて設定される識別コードが、前記換気装置側電子部品接続部に接続された前記換気装置側電子部品の定数に基づいて設定される識別コードと一致するとき、前記暫定無線通信により受信したデータに含まれる前記機器用IDコードが、前記特定IDコードとして設定されるように構成されていること
を特徴とする換気システム
【請求項2】
前記通信用データが、前記換気運転における換気風量の大小に関するデータを含むことを特徴とする請求項1記載の換気システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気システムに関し、詳しくは、例えば、調理機器などとともに用いられる換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
煮物や揚げ物などの調理や、肉や魚などを焼くグリル料理などに用いられるガスコンロや、ガスグリルなどの加熱調理器として、近年、使用する際に、加熱調理器が使用される部屋(一般的には台所)に設けられた換気装置(レンジフード)を連動させて換気が行われるようにしたガス調理器が用いられるようになっている。
【0003】
そして、特許文献1には、そのような換気を必要とするガスコンロなどの機器の使用と連動して換気運転を行う換気装置(レンジフード)が提案されている。
【0004】
この換気装置の場合、換気を必要とする機器を使用した際、当該機器から送出される換気運転開始用の赤外線信号によって自動的に作動する、すなわち、連動換気運転制御を行うように構成されているので、換気を必要とする機器の使用によって生じた燃焼ガスなどを、機器が設置された部屋(一般的には台所)から外部に確実に排出することが可能になり、有意義である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−220562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の段落0162には、コンロ側と換気装置側の間の通信として、電波を用いた無線通信を行わせてもよい旨が記載されているが、コンロ側と換気装置側の間の通信として電波を用いた無線通信を行わせた場合、集合住宅などのように、複数の住戸が接近しており、同様のコンロと換気装置が各住戸に設置された場合、電波を用いた無線通信を行うときに、同一の部屋に設置されたコンロと換気装置との間で無線通信を行う場合には問題は生じないが、コンロと、当該コンロが設置された部屋とは別の部屋に設置された換気装置との間で無線通信が行われてしまうと、コンロを使用したときに当該コンロが設置された部屋に設置された換気装置(換気運転を行わせるべき換気装置)ではなく、コンロとは別の部屋に設置された換気装置が換気運転を行ってしまうという不具合が生じる。
【0007】
また、通信媒体として通信可能な距離が3m程度の微弱電波を用いた場合にも、特に集合住宅の場合には、例えば、隣接した2つの住戸のうち、一方の住戸に設置されたガスコンロと、他方の住戸に設置された換気装置とが、無線通信を行ってしまうおそれがあり、その場合には、上述のような不都合が生じることが十分に考えられる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、換気装置とペアリングされた特定の機器以外の機器から送信される電波によって上述の連動換気運転制御を実行してしまうという誤動作を確実に防止することが可能で、信頼性の高い換気システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の換気システムは、
換気を必要とする機器から送信される電波による通信用データを受信する信号受信部、および、換気装置の換気運転を制御する制御部を備え、
前記信号受信部が前記機器から送信される換気運転開始用データを含む電波を受信すると前記制御部が前記換気装置の換気運転を開始し、前記信号受信部が前記機器から送信される換気運転停止用データを含む電波を受信すると前記制御部が前記換気装置の換気運転を停止する、連動換気運転制御を実行するように構成された換気システムであって、
前記換気運転開始用データおよび前記換気運転停止用データには、前記機器に設定された機器用IDコードが含まれており、
前記信号受信部が受信した、前記通信用データに含まれる前記機器用IDコードが、特定の機器に設定された機器用IDコードである特定IDコードと一致するときには前記制御部が前記連動換気運転制御を実行し、
前記信号受信部が受信した、前記通信用データに含まれる前記機器用IDコードが前記特定IDコードと一致しないときには前記制御部が前記連動換気運転制御を実行しないように構成されているとともに、
前記機器が、暫定無線通信用の機器側電子部品を接続する機器側電子部品接続部を備え、
前記換気装置が、暫定無線通信用の換気装置側電子部品を接続する換気装置側電子部品接続部を備えており、
前記機器から前記換気装置に対して、前記機器側電子部品接続部に接続された前記機器側電子部品の定数に基づいて設定される識別コード、および、前記機器用IDコードを含む、IDコード送信用データを無線通信によって送信する、暫定無線通信を行うことができるように構成され、
前記換気装置において前記暫定無線通信により受信したデータに含まれる前記機器側電子部品接続部に接続された前記機器側電子部品の定数に基づいて設定される識別コードが、前記換気装置側電子部品接続部に接続された前記換気装置側電子部品の定数に基づいて設定される識別コードと一致するとき、前記暫定無線通信により受信したデータに含まれる前記機器用IDコードが、前記特定IDコードとして設定されるように構成されていること
を特徴としている。
【0010】
本発明の換気システムにおいては、前記通信用データが、前記換気運転における換気風量の大小に関するデータを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の換気システムは、上述のように構成されているので、換気装置とペアリングされた特定の機器以外の機器から送信される電波によって連動換気運転制御を実行しまうという誤動作を確実に防止することができる。
【0012】
また、本発明の換気システムにおいて、通信用データが、換気運転における換気風量の大小に関するデータを含むようにした場合、機器の使用状態に応じて、換気風量を変更することが可能になるので、不必要な大風量や過少な小風量による、不適切な連動換気運転を防止することが可能になる。このような態様は、上記機器が、燃焼状態の変動を伴うことが多いガス調理器である場合、特に有意義である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる換気システムを構成する換気装置(レンジフード)とともに用いられるガスコンロの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる換気システムを構成する換気装置(レンジフード)の切欠き正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0015】
[実施形態]
この実施形態では、まず、使用時に本発明の実施形態にかかる換気システムを構成する換気装置を用いて換気が行われるように構成された、燃料ガスを熱エネルギー源とする加熱調理器(グリルが組み込まれたガスコンロ)について説明した後、本発明の換気システムについて説明する。
【0016】
<換気を必要とする機器であるガスコンロの構成>
換気を必要とする機器であるガスコンロ100は、図1に示すように、コンロ本体Hの上面部に、左右一対のコンロバーナ1を備え、コンロ本体Hの内部にグリルGを備えている。
また、コンロ本体Hの前面には、グリル扉8が設けられている。
【0017】
なお、このガスコンロ100は、キッチンカウンタに形成したコンロ装着口に上方から挿入して組付ける、いわゆるビルトインタイプとして構成されており、コンロ本体Hの上部の周縁部には、キッチンカウンタに載置する鍔部が形成されている。
【0018】
コンロ本体Hの上部には、ガラス製の天板2が装備され、天板2の後部側箇所には、グリルGの調理排気を排出するためのグリル排気口3が形成されている。
また、天板2の上部には、コンロバーナ1にて加熱される鍋などの被加熱物を載置するための五徳4が、左右のコンロバーナ1のそれぞれに対応して設けられている。
【0019】
なお、コンロバーナ1の中央部には、図1に示すように、鍋などの被加熱物の存在および被加熱物の底壁温度を検出するコンロバーナセンサ1Aが設けられている。
【0020】
コンロ本体Hの上部に装備した天板2の手前側箇所には、左右のコンロバーナ1のそれぞれに対する左右一対のコンロ用操作具5が、上方に離脱させることができるように設けられており、コンロ本体Hの前面部の右側箇所には、グリルGに対するグリル用設定操作部6が、下方側を支点にした前後揺動により開閉することができるように設けられている。なお、図1は、グリル用設定操作部6が開いた状態を示している。
【0021】
ちなみに、一対のコンロ用操作具5のそれぞれは、前後や左右のスライド操作および左右の回転操作により、点火および消火の指令、目標火力の指令、目標温度に維持する自動温度調理の指令など、各種の指令情報を指令するように構成されている。
【0022】
グリル用設定操作部6は、複数の指令スイッチを備えて、それらの複数の指令スイッチの操作により、後述する加熱調理用のグリル加熱手段としてのグリルバーナ(図示せず)に対する点火および消火の指令、目標火力の指令、調理モードの指令など、各種の指令情報を指令するように構成されている。
【0023】
天板2の上部には、ガスコンロ100の使用開始(コンロバーナ1による加熱の開始、または、グリルバーナによる加熱の開始)に伴って、換気装置(レンジフード)110(図2参照)に対して換気運転開始用の電波による無線信号を送出し、ガスコンロ100の使用終了(コンロバーナ1による加熱中、あるいは、グリルバーナによる加熱中の状態から、コンロバーナ1およびグリルバーナのいずれも加熱を停止した状態への移行)に伴って、換気装置(レンジフード)110に対して換気運転停止用の電波による無線信号を送出する信号送出部100Sが設けられている。
【0024】
<換気装置(レンジフード)の構成>
図2は、上述の換気を必要とする機器であるガスコンロ100とともに用いられる、換気装置(レンジフード)110を示す切欠き正面図である。
【0025】
このレンジフード110は、排気用ファン101を駆動するモータ107に通電して、排気用ファン101を駆動することにより、フード部103から吸い込んだ空気を、排気ダクト106を経由して、台所の外部に排出するように構成されている。
【0026】
一般的には、レンジフード110の排気ダクト106に延長用排気筒(図示せず)が接続され、レンジフード110のフード部103から吸引された台所内の空気は、排気ダクト106から図示しない延長用排気筒を経て、台所の外部に排出される。
【0027】
また、このレンジフード110は、換気を必要とする機器であるガスコンロ100から送出される換気運転開始用の電波による無線信号、および、ガスコンロ100の信号送出部100Sから送出される換気運転停止用の電波による無線信号を受信する信号受信部200Sを備えている(図2)。
【0028】
そして、信号受信部200Sが、ガスコンロ100の信号送出部100Sからの、換気運転開始用の電波による無線信号を受信すると、制御部(図示せず)が、排気用ファン101を駆動するモータ107に通電して、排気用ファン101を駆動することで、換気運転を開始するように構成されている。
【0029】
また、排気用ファン101を駆動させた換気運転の実行中に、信号受信部200Sが、ガスコンロ100の信号送出部100Sからの、換気運転停止用の電波による無線信号を受信すると、制御部(図示せず)が、排気用ファン101を駆動するモータ107への通電を停止して、排気用ファン101の駆動を停止して換気運転を停止するように構成されている。
【0030】
<特徴的構成>
次に、本発明の実施形態にかかる換気システムの特徴的な構成について説明する。
【0031】
レンジフード110には、上述のように、換気を必要とする機器であるガスコンロ100に設けられた信号送出部100S(図1)から送信される電波による通信用データを受信する信号受信部200S(図2)、および、換気運転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。
【0032】
レンジフード110は、信号受信部200Sがガスコンロ100の信号送出部100Sから送信される換気運転開始用データを含む電波を受信すると、レンジフード110が備える制御部が換気運転を開始し、また、信号受信部200Sがガスコンロ110の信号送出部100Sから送信される換気運転停止用データを含む電波を受信すると、レンジフード110が備える制御部が換気運転を停止する形態で、レンジフード110が備える制御部が、ガスコンロ100との連動換気運転制御を実行するように構成されている。
【0033】
なお、換気運転開始用データおよび換気運転停止用データには、ガスコンロ100に設定されたガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)が含まれる。
【0034】
そして、受信した通信用データに含まれるガスコンロ用IDコードが特定のガスコンロ(レンジフードとペアリングされたガスコンロ)100に設定された特定IDコードと一致するとき、レンジフード110が備える制御部が連動換気運転制御を実行する。
【0035】
一方、受信した通信用データに含まれるガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)が上記特定IDコードと一致しないときには、レンジフード110に備える制御部は連動換気運転制御を実行しない。
【0036】
すなわち、受信した通信用データに含まれるガスコンロ用IDコードが特定のガスコンロ(レンジフードとペアリングされたガスコンロ)100に設定された特定IDコードと一致するときにのみ連動換気運転制御が実行され、一致しないときには連動換気運転制御が実行されることがないように構成されている。
【0037】
そして、レンジフード110には、換気装置側電子部品として、固定抵抗器を接続するための、換気装置側電子部品接続部250が配設されている(図2参照)。
【0038】
また、ガスコンロ100には、ガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)として、固定抵抗器を接続するための、ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150が配設されている(図1参照)。
【0039】
そして、ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150にガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)である固定抵抗器(例えば、121kΩ±1%、図示せず)を接続し、換気装置側電子部品接続部250に換気装置側電子部品として固定抵抗器(例えば、121kΩ±1%、図示せず)を接続し、ガスコンロ100のグリル用設定操作部6(図1)を用いて所定の操作(複数のスイッチの同時押しなどが所定の操作として好適であるが、特に限定されない)を行うことにより、ガスコンロ100とレンジフード110との無線通信(暫定無線通信)を開始するように構成されている。
【0040】
暫定無線通信において、ガスコンロ100からは、
(a)ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150に接続されたガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)の定数(121kΩ)に基づいて設定される識別コード(2進数で0001 0010 0001、左記2進数を4桁毎に10進数に変換すると121)、および、
(b)ガスコンロ100に予め設定されているガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)を含む、IDコード送信用データ
がレンジフード110の信号受信部200Sに送信される。
【0041】
一方、レンジフード110においては、この暫定無線通信により信号受信部200Sがガスコンロからのデータを受信する。そして、受信したデータに含まれる機器側電子部品接続部150に接続された機器側電子部品の定数に基づいて設定される識別コード(上述の121)と、換気装置側電子部品接続部250に接続された換気装置側電子部品の定数(121kΩ)に基づいて設定される識別コード(2進数で0001 0010 0001、左記2進数を4桁毎に10進数に変換すると121)とが一致することから、、上記IDコード送信用データに含まれるガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)が、特定IDコードとして設定される。
【0042】
これに対し、もし、ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150にガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)(例えば、121kΩ±1%の固定抵抗器)を接続し、換気装置側電子部品接続部250に換気装置側電子部品(例えば、178kΩ±1%の固定抵抗器)が接続された場合には、ガスコンロ100からは、ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150に接続されたガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)の定数(121kΩ)に基づいて設定される識別コード(2進数で0001 0010 0001、左記2進数を4桁毎に10進数に変換すると121)、および、ガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)を含む、IDコード送信用データが、この暫定無線通信によって送信される。
【0043】
一方、レンジフード110において、暫定無線通信により受信される、上述のガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)の定数(121kΩ)に基づいて設定される識別コードは、換気装置側電子部品接続部250に接続された換気装置側電子部品の定数(178kΩ)に基づいて設定される識別コード(2進数で0001 0111 1000、左記2進数を4桁毎に10進数に変換すると178)と一致しないので、このときのIDコード送信用データに含まれガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)は、特定IDコードとして設定されない。
【0044】
なお、上述のガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)および換気装置側電子部品の接続は、ガスコンロ100の設置の際、あるいは、レンジフード110の設置の際に、設置業者、または、使用者によって行われるものであり、レンジフード110が備えている運転制御部が、ガスコンロ100からガスコンロ用IDコード(機器用IDコード)を取得し、このガスコンロ用IDコードが特定IDコードとして設定された後に、ガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)および換気装置側電子部品は取り外されるので、レンジフード110やガスコンロ100の使用時においてガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)および換気装置側電子部品が邪魔になることはない。
【0045】
また、ガスコンロ(換気を必要とする機器)100側で行われる暫定無線通信開始用の操作としては、例えば、グリル用設定操作部6に設けた専用の通信開始用スイッチ(図示せず)の操作、グリル用設定操作部6に設けられたグリル用の複数の設定スイッチ(図示せず)の同時押しなど、種々の形態を採用することが可能であり、その形態に特に制約はない。
【0046】
なお、上述のような無線通信の方式としては、周知の種々の通信方式が採用可能であり、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0047】
この実施形態の換気システムは、上述のように構成されており、暫定無線通信によってレンジフード110とペアリングされたガスコンロ100以外の機器から送信される電波によってレンジフード110が連動換気運転を実行してしまうという誤動作を適確に防止することができる。
【0048】
また、この実施形態では、ガスコンロ100から送信され、レンジフード110が受信する電波に含まれる通信用データに、レンジフード100の換気運転における換気風量の大小に関するデータを含むように構成されている。
【0049】
その結果、ガスコンロ100の使用状態に応じて、レンジフード110の換気風量を自動的に調節することができるため、レンジフード110における不必要な大風量による換気や過少な小風量による連動換気運転を防止することが可能になる。
【0050】
因みに、このような態様は、この実施形態の場合のように、換気を必要とする機器がガスコンロ100のような、燃焼状態の変動を伴うことが多いガス調理器である場合に、特に有意義である。
【0051】
ただし、ガスコンロ100から送信され、レンジフード110が受信する電波に含まれる通信用データに、レンジフード110の換気運転における換気風量の大小に関するデータを含ませるようにした構成は任意の構成であり、ガスコンロ100から送信され、レンジフード110が受信する電波に含まれる通信用データに、レンジフード110の換気運転における換気風量の大小に関するデータが含まれないように構成することも可能である。
【0052】
[別実施形態]
(1)上記実施形態では、換気装置110が、フード部103を備えるレンジフードである場合について説明したが、換気装置として、フード部103を備えない換気扇を用いるように構成してもよい。
【0053】
(2)また、上記実施形態では、換気を必要とする機器がガスコンロである場合について説明したが、本発明において、換気を必要とする機器の種類に特別の制約はなく、ガスコンロ以外にも、電気式のコンロや、ガス燃焼式の湯沸かし器など、ガスコンロ以外の機器に対しても、本発明を適用することが可能である。なお、電気式のコンロの場合において換気装置を作動させるのは、燃焼排ガスによる室内汚染を解消する目的ではなく、調理物からの煙、たとえば油煙による汚染を防ぐことを目的とするものである。
【0054】
(3)換気連動運転を実行する際に、換気装置が、送風機(排気用ファン)のON/OFFに関するデータ、単位時間当たりの換気風量に関するデータを含む運転状態に関するフィードバックデータを電波によって送信することができるように構成するとともに、換気を必要とする特定機器としてのガスコンロが、上記運転状態に関するフィードバックデータを含む電波を受信することができるように構成し、ガスコンロが、必要な換気風量のデータを含む換気運転開始用データを送信した後、所定時間が経過したとき、ガスコンロが送信した「必要な換気風量」で換気が実行されているというデータ(換気風量の大小に関するフィードバックデータ)を受信しない場合、ガスコンロの運転を停止する、あるいは、ガスコンロから警報を発するように構成してもよい。
このように構成した場合、望ましい換気が行われていない状態でガスコンロの燃焼が継続することを回避し、あるいは、使用者がガスコンロの燃焼状態を確認することを促すことが可能になり、安全性を向上させることができる。
【0055】
(4)ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)150に接続されるガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)の定数や、換気装置側電子部品接続部250に接続される換気装置側電子部品の定数は上述の値に限定されるものではなく、種々の定数のものを用いることが可能である。
【0056】
(5)上記実施形態では、ガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)および換気装置側電子部品として、固定抵抗器が用いられているが、固定抵抗器に代えて、コンデンサやインダクタを用いてもよい。
【0057】
なお、ガスコンロ側電子部品(機器側電子部品)および換気装置側電子部品としてコンデンサが用いられる場合は、ガスコンロ側電子部品および換気装置側電子部品の定数はコンデンサの静電容量で表され、ガスコンロ側電子部品及び換気装置側電子部品としてインダクタが用いられる場合は、ガスコンロ側電子部品および換気装置側電子部品の定数はインダクタのインダクタンスで表されることになる。
【0058】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 左右一対のコンロバーナ
1A コンロバーナセンサ
2 天板
3 グリル排気口
4 五徳
5 左右一対のコンロ用操作具
6 グリル用設定操作部
8 グリル扉
100 ガスコンロ
100S 信号送出部
101 排気用ファン
103 フード部
106 排気ダクト
107 モータ
110 換気装置(レンジフード)
200S 信号受信部
150 ガスコンロ側電子部品接続部(機器側電子部品接続部)
250 換気装置側電子部品接続部
G グリル
H コンロ本体
図1
図2