(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作業者による手動操作を起点として、予め設定された作業動作を遂行するように構成され、且つ、前記手動操作から前記作業動作の完了までが1サイクルとして規定された電動工具であって、
前記手動操作が可能に構成された操作部材と、
モータと、
前記モータの動力で駆動され、前記作業動作を遂行するように構成された駆動機構と、
前記操作部材に対する前記手動操作に応じて前記モータの駆動を開始し、且つ、前記駆動機構が1サイクルの前記作業動作を完了すると前記モータの駆動を停止するように構成された制御装置と、
前記モータとは別に形成された金属製部材と、
前記モータから前記駆動機構へ至る動力伝達経路とは異なる伝熱経路を形成し、前記モータで発生した熱を前記金属製部材へ逃がすように構成された伝熱部材と、
前記駆動機構の少なくとも一部を収容するとともに、前記金属製部材を兼用する第1収容部と、
前記モータを収容するとともに、前記モータのステータに対向する位置に設けられた開口部を有する第2収容部とを備え、
前記伝熱部材は、
前記第1収容部および前記第2収容部とは別個に形成され、第1端部と第2端部とを有する金属製部材であって、且つ、
前記第1端部が前記第1収容部に接触し、且つ、前記第2端部が前記開口部を介して前記ステータに接触するように、前記第1収容部および前記第2収容部の外側に配置されていることを特徴とする電動工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記打込み工具では、モータは1サイクルの動作が完了する毎に停止するため、実作業を伴わない所謂アイドリング運転時にもモータが駆動される電動工具に比べて、モータの1回の駆動時間が短い。よって、上記打込み工具にモータによって駆動されるファンを設けたとしても、ファンのみではモータの冷却が十分に行えない可能性がある。そこで、上記打込み工具のように1サイクル毎にモータが停止する電動工具においては、モータで発生した熱の放熱に関して更なる改善が望まれている。
【0005】
本発明は、モータを駆動源として、作業者による手動操作から予め設定された動作の完了までを1サイクルとして遂行するように構成された電動工具において、モータで発生した熱をより効率的に放熱することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、作業者による手動操作を起点として、予め設定された作業動作を遂行するように構成され、且つ、手動操作から作業動作の完了までが1サイクルとして規定された電動工具が提供される。この電動工具は、操作部材と、モータと、駆動機構と、制御装置と、金属製部材と、伝熱部材とを備えている。
【0007】
操作部材は、作業者による手動操作が可能に構成されている。駆動機構は、モータの動力で駆動され、予め設定された作業動作を遂行するように構成されている。制御装置は、操作部材に対する手動操作に応じてモータの駆動を開始し、且つ、駆動機構が1サイクルの作業動作を完了するとモータの駆動を停止するように構成されている。金属製部材は、モータとは別で、金属を材料として形成された部材である。伝熱部材は、モータから駆動機構へ至る動力伝達経路とは異なる伝熱経路を形成し、モータで発生した熱を金属製部材へ逃がすように構成されている。
【0008】
なお、本態様でいう「電動工具」は「電動ツール」とも称され、動力として電力を使用するツール一般を指し、工作に使用されるツールや、園芸用のツールを含む。また、「1サイクル」とは、作業者による操作部材の手動操作を起点とし、且つ、予め設定された作業動作の完了を終点とする1つの動作単位を指す。1サイクル中の「予め設定された作業動作」は、例えば、互いに異なる複数の動作の一続きであってもよいし、同じ動作の複数回の繰り返しであってもよい。「作業者による手動操作を起点として、予め設定された作業動作を遂行するように構成され、且つ、手動操作から作業動作の完了までが1サイクルとして規定された電動工具」としては、例えば、釘打ち機、タッカ、ステープルガン、ネジカッタ、鉄筋結束機、剪定バサミ等が挙げられる。
【0009】
例えば、本態様に係る電動工具として、釘打ち機が採用される場合、作業者による操作部材の手動操作が1サイクルの起点となり、釘打ち機による釘の打込み動作(詳細には、ドライバが初期位置から動作位置へ移動して釘を被加工物に打ち込み、初期位置へ復帰する動作)の完了が1サイクルの終点となる。そして、作業者による再度の操作部材の手動操作が、次のサイクルの起点となる。また、例えば、釘打ち機において、作業動作として、作業者によって操作部材が1回手動操作されると1本の釘を打込む動作が予め設定されている場合、1サイクルは、1本の釘の打込み動作の完了をもって終了する。
【0010】
モータは、直流モータであってもよいし、交流モータであってもよい。また、モータは、ブラシを備えたモータであってもよいし、ブラシを備えていない所謂ブラシレスモータであってもよい。サイズ比での出力性能の観点からは、ブラシレスモータが採用されることが好ましい。
【0011】
金属製部材は、モータの仕様に応じて想定される発熱量に対応した熱容量とすることが好ましい。あるいは、金属製部材の表面積を大きく設定する、フィン形状とする等によって、放熱特性を高める構成とすることが好ましい。金属製部材を形成する金属の種類は特に限定されないが、熱伝導率が高い金属(例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム(いずれも合金を含む))であることが好ましい。伝熱部材は、例えば、熱伝導性を有する材料で形成されることで、モータで発生した熱を金属製部材へ逃がすように構成することができる。
【0012】
本態様に係る電動工具によれば、伝熱部材が動力伝達経路とは異なる伝熱経路を形成し、予め規定された1サイクル毎に断続的に駆動されるモータで発生した熱を、樹脂等に比べて熱伝導率が高い金属製部材に逃がすことができる。よって、伝熱部材によって、モータで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、伝熱部材は金属製であってもよい。伝熱部材も熱伝導率の高い金属製とすることで、より効率的にモータの熱を金属製部材に逃がすことができる。なお、伝熱部材を形成する金属は、金属製部材と同様、熱伝導率が高い金属(例えば、銅、アルミニウム、マグネシウム)であることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様によれば、電動工具は、打込み工具として構成されていてもよい。そして、駆動機構は、所定の駆動軸方向に初期位置と動作位置との間で直線状に移動可能に構成されたドライバを備えるとともに、ドライバが初期位置から動作位置へ移動することで打込み材を打ち出し、更に、動作位置から初期位置へ復帰する動作を、1サイクルの作業動作として行うように構成されていてもよい。電動工具は、駆動機構の少なくとも一部を収容する第1収容部を更に備えてもよい。第1収容部は、金属製部材を兼用し、伝熱部材は、モータおよび第1収容部に対して熱伝導可能に接続されていてもよい。金属製の第1収容部をモータの熱の逃がし先として利用することで、部品点数を増やすことなく効率的にモータで発生した熱を放熱することができる。
【0015】
なお、本態様でいう「モータおよび第1収容部に対して熱伝導可能に接続」に関し、モータおよび第1収容部に対して熱を伝導することが可能な状態であれば、接続態様は特に限られない。例えば、伝熱部材は、モータおよび第1収容部に対して固定されていてもよいし、モータおよび第1収容部に接触するように配置されていてもよい。
【0016】
本発明の一態様によれば、伝熱部材は、モータのステータに面接触する伝熱面を有してもよい。この場合、伝熱部材と、金属で形成されているステータとの接触面積を増加させ、放熱効果を高めることができる。
【0017】
本発明の一態様によれば、電動工具は、伝熱部材をステータに対して付勢する弾性部材を更に備えてもよい。この場合、弾性部材の付勢力によって伝熱部材のステータに対する密着性を高めることで、放熱効果を更に高めることができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、電動工具は、モータを収容する第2収容部を更に備えてもよい。そして、第1収容部は、第2収容部よりも熱伝導率が高い材料で形成されていてもよい。この場合、モータを収容する第2収容部よりも熱伝導率が高い第1収容部に熱を逃がすことで、モータで発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、電動工具は、第1収容部とモータとの間に配置され、駆動機構の一部を収容する第3収容部を更に備えてもよい。そして、第3収容部は、第1収容部よりも熱伝導率が低い材料で形成されており、伝熱部材は、第3収容部に接触していてもよい。この場合、モータと第1収容部との間で伝熱部材を第3収容部に接触させることで、第3収容部にも熱をある程度逃がすことができるため、伝熱部材が第3収容部に非接触の場合に比べ、放熱効果をより高めることができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、電動工具は、モータの動力で駆動され、所定の経路を流れる冷却風の流れを形成するように構成されたファンを更に備えてもよい。そして、伝熱部材の少なくとも一部は、冷却風の経路上に配置されていてもよい。この場合、経路を流れる冷却風によって、伝熱部材の少なくとも一部を冷却することができる。
【0021】
本発明の一態様によれば、電動工具は、電動工具の外郭を形成する外側ハウジングを更に備えてもよい。そして、外側ハウジングは、第1収容部の少なくとも一部を外部に露出させる開口部を有してもよい。この場合、モータから第1収容部へ逃がされた熱を、開口部を介して外側ハウジングの外部へ放熱することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態では、作業者による手動操作を起点として、予め設定された作業動作を遂行するように構成され、且つ、手動操作から作業動作の完了までが1サイクルとして規定された電動工具の一例として、電気―空気式釘打ち機(以下、単に釘打ち機という)を挙げて説明する。なお、釘打ち機1は、駆動軸A1に沿って釘(図示せず)を直線状に打ち出す(つまり、釘を打撃して直線状に移動させる)ことで、被加工物(例えば、木材))に釘を打込む釘打ち作業を行うことが可能な打込み工具の一例である。
【0024】
まず、
図1を参照して、釘打ち機1の概略構成について説明する。
図1に示すように、釘打ち機1の外郭は、主に、外側ハウジング10と、ノーズ部15と、マガジン17とで形成されている。
【0025】
外側ハウジング10は、本体部11と、ハンドル部13とを含む。本体部11は、駆動軸A1方向に沿って延在する第1部分111と、駆動軸A1方向における第1部分111の一端部から駆動軸A1に交差する(より詳細には概ね直交する)方向に突出する第2部分112とを含む。本体部11は、モータ2と、釘を打ち出すように構成された駆動機構3(
図2参照)とを収容している。ハンドル部13は、駆動軸A1方向における第1部分111のもう一方の端部から、第2部分112に概ね平行に突出する部分である。ハンドル部13は、作業者による把持が可能に構成されており、作業者によって操作されるトリガ131を有する。ハンドル部13の突出側の端部は、第2部分112の突出側の端部と接続されている。また、ハンドル部13の突出端には、充電式のバッテリ9を着脱可能に構成されたバッテリ装着部138が設けられている。釘打ち機1は、バッテリ9から供給される電力によって作動する。
【0026】
以下では、説明の便宜上、駆動軸A1方向を釘打ち機1の前後方向と規定し、第2部分112側を前側、ハンドル部13側を後側という。また、駆動軸A1方向に直交し、第2部分112およびハンドル部13の突出方向に対応する方向を釘打ち機1の上下方向と規定し、第1部分111側を上側、バッテリ装着部138側を下側と規定する。
【0027】
ノーズ部15は、第1部分111の前端部に、駆動軸A1に沿って前方へ突出するように連結されている。ノーズ部15の前端部には、釘が打ち出される射出口150が形成されている。ノーズ部15の内部には、後述するドライバ367用の通路151(
図6参照)が、駆動軸A1に沿って射出口150まで延在している。
【0028】
また、第1部分111には、前方へ突出するコンタクトアーム18が第1部分111に対して前後方向に相対移動可能に配置されている。コンタクトアーム18は、コイルバネ181によって前方へ付勢されており、その前端部は、常時には射出口150の前方に配置されている。釘打ち機1の使用時に、作業者によってコンタクトアーム18が被加工物に対して押し付けられると、コンタクトアーム18はコイルバネ181の付勢力に抗して後方へ移動する。なお、第1部分111の内部には、コンタクトアーム18の押圧状態に応じてオン状態とオフ状態が切り替えられるように構成されたコンタクトアームスイッチ182(
図5に一部のみ図示)が配置されている。コンタクトアームスイッチ182は、コンタクトアーム18の押圧が解除されている初期状態ではオフ状態に維持され、コンタクトアーム18が押圧されている間はオン状態に切り替えられる。
【0029】
マガジン17は、複数の釘を装填可能に構成されており、第2部分112の前側に、第2部分112と概ね平行に配置されている。マガジン17の上端部(釘の供給側端部)はノーズ部15の下部に連結され、後下端部は第2部分112の前下端部に連結されている。マガジン17に装填された釘は、釘送り機構(図示せず)によって、ノーズ部15内の通路151(
図6参照)に一本ずつ供給される。本実施形態では、作業者によるトリガ131の操作およびコンタクトアーム18の被加工物に対する押圧に応じてモータ2が駆動され、駆動機構3によって釘が打ち出される。
【0030】
以下、
図2〜
図11を参照して、外側ハウジング10の内部構造について説明する。
【0031】
図2に示すように、外側ハウジング10のうち、本体部11の内部には、モータ2と、駆動機構3と、伝熱部材5とが収容されている。また、ハンドル部13の内部には、トリガスイッチ132と、コントローラ4とが収容されている。これらの詳細構成について、順に説明する。但し、伝熱部材5については、後で詳述する。
【0032】
以下、
図2および
図3を参照して、モータ2について説明する。本実施形態では、モータ2は、直流モータとして構成されており、
図2に示すように、円筒状のモータハウジング20と、モータハウジング20内に収容されたステータ22、ロータ(図示せず)、およびファン25と、ロータと共に回転する出力シャフト(図示せず)とを含む。なお、本実施形態では、モータ2は、出力シャフトの回転軸A2が駆動軸A1と直交するように(具体的には上下方向に延在するように)、本体部11の第2部分112の下部に配置されている。また、モータハウジング20は、樹脂で形成されている。
【0033】
ステータ22は金属製(詳細には積層鋼板)である。
図3に示すように、モータハウジング20の外周部のうち、ステータ22に対向する一部には、矩形状の開口部201が形成されている。なお、
図3では、モータハウジング20の左側部の開口部201のみが図示されているが、
図2に示すように、右側部にも開口部201が形成されている。ステータ22の外周面の一部は、開口部201を介してモータハウジング20の外部へ露出している。
【0034】
ファン25は、モータ2の出力シャフト(図示せず)に固定されており、モータ2の動力によって回転される。本実施形態では、ファン25として遠心ファンが採用されている。モータハウジング20は、開口部201の周囲およびファン25の径方向外側に設けられた通気口205を有する。通気口205は、モータハウジング20の内部と外部とを連通させる。
図1に示すように、外側ハウジング10の第2部分112は、モータハウジング20の開口部201の周囲の通気口205に対向するように形成された通気口108と、ファン25の径方向外側に設けられた通気口205に対向するように形成された通気口106とを有する。ファン25は、開口部108から外側ハウジング10内に流入し、第2部分112の内部を流れ、通気口106から流出する冷却風の流れを形成する。なお、冷却風の一部は、第2部分112の下端部からハンドル部13へ向けて流れ、後述のコントローラ4を冷却する。
【0035】
以下、
図2〜
図3を参照して、駆動機構3について説明する。
図2に示すように、本実施形態の駆動機構3は、主に、ギア減速機構31と、クランク機構32と、圧縮機構34と、打撃機構36とを備えている。
【0036】
ギア減速機構31は、複数のギアを含み、モータ2の出力シャフトの回転動力を減速した上でクランク機構32に伝達するように構成されている。本実施形態では、モータ2の出力シャフトはモータハウジング20から上方へ突出しており、ギア減速機構31は、モータ2の上側に配置されている。なお、かかるギア減速機構31は周知の技術であるため、ここでの詳細な説明および図示は省略する。本実施形態では、ギア減速機構31は、樹脂製の円筒状のギアハウジング310に収容されている。ギアハウジング310は、モータハウジング20の上側にネジで連結固定され、本体部11の第2部分112の上部に配置されている。
【0037】
クランク機構32は、ギア減速機構31を介して伝達されたモータシャフトの回転動力を、後述する圧縮機構34の第1ピストン343の往復運動に変換するように構成されている。
図4に示すように、本実施形態のクランク機構32は、クランクシャフト321と、偏心ピン323と、連接ロッド325とを含む。
【0038】
クランクシャフト321は、モータ2の出力シャフトと同軸状に上下方向に延在するように配置され、回転軸A2周りにギア減速機構31によって減速回転されるシャフトである。偏心ピン323は、回転軸A2から偏心した位置に設けられている。連接ロッド325は、その一端が偏心ピン323に相対回動可能に連結され、他端がピン344を介して後述の第1ピストン343に相対回動可能に連結されている。本実施形態では、クランク機構32は、金属製(詳細にはマグネシウム合金製)のクランクハウジング320に収容されている。クランクハウジング320は、ギアハウジング310の上側にネジで連結固定され、本体部11の第1部分111の前下端部に配置されている。
【0039】
圧縮機構34は、後述の第2ピストン363を駆動するために空気を圧縮するように構成されている。
図4および
図5に示すように、本実施形態の圧縮機構34は、第1シリンダ341と第1ピストン343とを含む。
【0040】
本実施形態では、第1シリンダ341は、金属製(詳細にはアルミニウム合金製)であって、その軸方向が駆動軸A1と平行になるように、第1部分111に収容されている。なお、第1シリンダ341の上端部の一部は、第1部分111の上端部に形成された開口部105を介して外部に露出している。第1シリンダ341の内部には、第1ピストン343が駆動軸A1方向に摺動可能に配置されている。前述のように、第1ピストン343の前側には、ピン344を介して第1ピストン343に連結された連接ロッド325が配置されており、第1ピストン343は、モータ2の駆動に伴ってギア減速機構31を介して駆動されるクランク機構32により、駆動軸A1方向(前後方向)に往復動される。
【0041】
本実施形態では、モータ2の駆動が開始されていない初期状態における第1ピストン343の初期位置は、
図4および
図5に示す最前方位置に設定されている。モータ2が駆動されると、第1ピストン343は、最前方位置と、
図6および
図7に示す最後方位置との間で前後に往復動される。なお、本実施形態では、第1ピストン343の位置に応じてモータ2の通電が制御されるため、第1ピストン343の位置を検出するためのセンサ(図示せず)が設けられている。かかるセンサとして、いかなる周知のセンサが採用されてもよいが、例えば、クランクシャフト321の回転角度を検出可能な角度センサ、偏心ピン323の位置を検出可能な位置センサ等が採用可能である。
【0042】
第1ピストン343と、第1シリンダ341の底部(後壁部)との間に形成される内部空間は、第1ピストン343の往復動に伴って容積が変化する圧縮室348を構成している。具体的には、第1ピストン343が、圧縮室348の容積を減少する方向に、つまり、最前方位置から最後方位置へ向けて移動することで、圧縮室348の空気が圧縮される。
【0043】
打撃機構36は、釘を打撃することで、釘を射出口150から直線状に打ち出すように構成されている。
図4および
図5に示すように、本実施形態の打撃機構36は、第2シリンダ361と、第2ピストン363と、ドライバ367と、バルブ365とを含む。
【0044】
第2シリンダ361は、第1シリンダ341の内部に、駆動軸A1と同軸状に配置されている。より詳細には、第2シリンダ361は、第1シリンダ341内の上部空間に配置され、その後端部が第1シリンダ341に固定されている。つまり、第2シリンダ361は、第1シリンダ341の内部に配置されている。また、第1シリンダ341および第2シリンダ361の前端部は、クランクハウジング320に嵌め込まれ、クランクハウジング320と一体状に連結固定されている。これにより、モータハウジング20、ギアハウジング310、クランクハウジング320、第1シリンダ341および第2シリンダ361が一体的に連結され、駆動機構3のアセンブリを構成している。
【0045】
第1ピストン343には、駆動軸A1方向に第1ピストン343を貫通し、第2シリンダ361とほぼ同径の貫通孔345が形成されており、第2シリンダ361は貫通孔345に挿通されている。第1ピストン343は、駆動軸A1方向に往復動されるときには、第2シリンダ361の外周面に密接して摺動する。
【0046】
第2シリンダ361の内部には、第2ピストン363と、ドライバ367と、バルブ365が配置されている。より詳細には、第2シリンダ361の後端部にバルブ365が配置され、バルブ365の前側に第2ピストン363が配置されている。長尺棒状に形成されたドライバ367は、駆動軸A1上を延在するように、第2ピストン363の前端部に固定されている。
【0047】
本実施形態のバルブ365は、第1ピストン343の前後方向の移動に同期して、後述の閉位置と開位置との間で移動されるように構成されている。また、第2ピストン363は、第2シリンダ361の内部に駆動軸A1方向に摺動可能に配置されている。バルブ365と第2ピストン363との間には、空気室368が形成されている。
【0048】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、第1ピストン343が最前方位置に配置されているときには、バルブ365は、第1シリンダ341内の圧縮室348と、第2シリンダ361内の空気室368との連通路369(
図7参照)を閉塞する閉位置に配置される。このとき、第2ピストン363は、バルブ365の前端に当接する最後方位置に配置され、ドライバ367の前端部は、ノーズ部15内の通路151(
図6参照)に配置された釘から離間した初期位置に配置されている。初期位置は、ドライバ367の移動範囲における最後方位置である。
【0049】
一方、
図6および
図7に示すように、第1ピストン343が最後方位置へと移動されると、バルブ365は、圧縮室348と空気室368との連通路369(
図7参照)を開放する開位置に配置される。これにより、第1ピストン343が最後方位置へ移動することで圧縮された圧縮室348内の空気が、連通路369を介して第2シリンダ361の空気室368へと供給される。空気室368に供給された圧縮空気によって、第2ピストン363は前方へと移動される。第2ピストン363に固定されたドライバ367は、駆動軸A1上を直線状に初期位置から動作位置まで移動される。動作位置は、ドライバ367の移動範囲における最前方位置である。
【0050】
以下、
図4を参照して、トリガスイッチ132について説明する。
図4に示すように、ハンドル部13の上端部の前側には、作業者による押圧操作が可能なトリガ131が設けられており、ハンドル部13内においてトリガ131の後側には、トリガスイッチ132が配置されている。トリガスイッチ132は、トリガ131の操作に応じてオン状態とオフ状態との間で切り替え可能に構成されている。より詳細には、トリガスイッチ132は、トリガ131の押圧が解除されている初期状態ではオフ状態に維持される一方、作業者によってトリガ131が押圧されている間はオン状態に切り替えられる。
【0051】
以下、
図2を参照して、コントローラ4について説明する。
図2に示すように、本実施形態では、コントローラ4は、ハンドル部13の下端部内でバッテリ装着部138の近傍に配置されている。本実施形態のコントローラ4は、モータ2、トリガスイッチ132、コンタクトアームスイッチ182、第1ピストン343の位置検出用センサ(図示せず)に電気的に接続されている。コントローラ4は、トリガスイッチ132およびコンタクトアームスイッチ182のオン/オフ状態に基づいて、モータ2の通電を制御するように構成されている。
【0052】
以下、上記のように構成された釘打ち機1の動作について説明する。本実施形態の釘打ち機1では、コンタクトアーム18の押圧操作とトリガ131の押圧操作から1本の釘の打込み動作の完了までが、1サイクルとして設定されている。より具体的には、作業者がコンタクトアーム18を被加工物に押し付け、トリガ131を1回押圧操作すると、この操作を起点として、コントローラ4の制御の下で、モータ2の駆動が開始され、駆動機構3によって1本の釘を被加工物に打込む動作が遂行された後、モータ2の駆動が停止される。なお、釘打ち機1における1本の釘の打込み動作は、ドライバ367が初期位置(
図4および
図5参照)から動作位置(
図6および
図7参照)へ移動することで釘を被加工物に打込み、更に、動作位置から初期位置へ復帰する動作に対応する。
【0053】
まず、作業者によってコンタクトアーム18が被加工物に押し付けられることで、コンタクトアームスイッチ182がオン状態とされる。次に、トリガ131が押圧操作されることでトリガスイッチ132がオン状態とされると、モータ2の駆動が開始される。
【0054】
モータ2の駆動により、ギア減速機構31を介してクランク機構32が駆動され、第1ピストン343が後方へと移動を開始する。このとき、バルブ365は連通路369を閉塞しているため(
図5参照)、圧縮室348の容積が減少され、圧縮室348内に閉じ込められた空気が圧縮される。第1ピストン343が最後方位置に移動するのに同期して、バルブ365が連通路369を開放させる(
図7参照)。これにより、圧縮室348内の圧縮空気が第2シリンダ361の空気室368に供給され、
図6に示すように、第2ピストン363と共にドライバ367が動作位置へ移動される。ドライバ367は、初期位置から動作位置へ移動する過程でノーズ部15内の通路151に配置された釘の後端部を打撃し、射出口150から打ち出すことで、釘を被加工物に打込む。
【0055】
クランク機構32によって第1ピストン343が最後方位置から最前方位置へと移動されると、圧縮室348の容積が増加するために圧縮室348が負圧化される。これにより、連通路369および空気室368を通じて第2ピストン363が吸引されて後方へ移動され、初期位置へと戻される。
図4に示すように、ドライバ367は、動作位置から初期位置に復帰する。つまり、駆動機構3は、1本の釘の打込み動作を完了する。
【0056】
これをもって、コンタクトアーム18の押圧操作とトリガ131の押圧操作から1本の釘の打込み動作の完了までの1サイクルが終了する。そこで、コントローラ4は、前述の第1ピストン343の位置検出用センサ(図示せず)の検出結果に基づき、第1ピストン343が最前方位置に復帰した時点で、モータ2の駆動を停止する。バルブ365は連通路369を閉塞する。この時点でトリガスイッチ132およびコンタクトアームスイッチ182がオン状態に維持されていたとしても、コントローラ4は、モータ2への通電を停止する。なお、釘の打込み動作中に、トリガスイッチ132およびコンタクトアームスイッチ182の少なくとも一方がオフ状態とされた場合には、コントローラ4は、モータ2への通電を停止する。
【0057】
以下、
図2、
図3、
図8〜
図11を参照して、本体部11の第2部分112内に配置された伝熱部材5について説明する。伝熱部材5は、モータ2から駆動機構3へ至る動力伝達経路とは異なる伝熱経路を形成し、モータ2で発生した熱を、モータ2以外の金属製の部材へ逃がすように構成された部材である。
図2および
図3の夫々に示すように、本実施形態では、伝熱部材5は2つ設けられており、夫々が、モータ2のステータ22と、金属製のクランクハウジング320とに熱伝導可能に接続されている。
【0058】
図8および
図9に示すように、伝熱部材5は、全体としては長尺状のプレート部材として形成されており、モータ側端部51と、クランク側端部52と、接続部53とを含む。モータ側端部51は、伝熱部材5の長手方向における一端部を構成し、ステータ22の外周面に接触した状態で配置される部分である。クランク側端部52は、伝熱部材5の長手方向におけるもう一方の端部を構成し、クランクハウジング320に接触した状態で配置される部分である。接続部53は、モータ側端部51とクランク側端部52とを接続する部分である。本実施形態では、接続部53は長尺の矩形板状に形成されており、モータ側端部51とクランク側端部52は、接続部53に対して折り曲げられている。モータ側端部51は、ステータ22の外周面に対応する湾曲面510を有する。クランク側端部52は平板状に形成されている。
【0059】
図3に示すように、伝熱部材5は、接続部53が上下方向に延在してギアハウジング310の外面に接触し、モータ側端部51の湾曲面510がモータハウジング20の開口部201から露出されたステータ22の外周面に面接触し、且つ、クランク側端部52が、ネジで互いに連結固定されたクランクハウジング320の下面とギアハウジング310の上面との間に密着状に挟持されるように配置されている。なお、前述の通り、本実施形態では、モータハウジング20には、右側部と左側部の2か所に開口部201が形成されているため、2つの伝熱部材5は、外側ハウジング10(詳細には第2部分112)の内部で駆動機構3の右側と左側に配置される。
【0060】
更に、本実施形態では、モータ側端部51は、押え部材6によって、ステータ22の外周面に対して付勢されている。
図10および
図11に示すように、押え部材6は、全体としてはU字状の板バネとして構成されている。押え部材6は、円筒状のモータハウジング20の外周部に周方向に沿って装着されることで、その両端部がモータハウジング20を押圧するように構成されている。そこで、
図2および
図3に示すように、押え部材6の両端部を、右側と左側の開口部201を介して夫々ステータ22の外周面に接触配置された2つのモータ側端部51の外側に配置することで、湾曲面510とステータ22の外周面とを密着状に面接触させている。
【0061】
本実施形態では、伝熱部材5は、熱伝導率の高い金属製(詳細には銅製)とされている。モータ2の駆動によって生じた熱は、ステータ22からモータ側端部51に入力され、接続部53を経由してクランク側端部52まで伝導され、更に、クランク側端部52から金属製のクランクハウジング320に伝導される。つまり、モータ2の熱は、伝熱部材5によってクランクハウジング320に逃がされる。なお、ステータ22の外周面に面接触するモータ側端部51の湾曲面510と、クランクハウジング320の下面に面接触するクランク側端部52の面520は、夫々、伝熱面として機能する。なお、クランクハウジング320には、金属製(詳細にはアルミニウム合金製)の第1シリンダ341が連結固定されているため、クランクハウジング320から第1シリンダ341に更に熱を伝導することができる。また、モータハウジング20とクランクハウジング320の間では、伝熱部材5の接続部53はギアハウジング310の外面に接触しているため、ギアハウジング310にもある程度の熱を逃がすことができる
【0062】
以上に説明したように、本実施形態の釘打ち機1は、作業者によるコンタクトアーム18の押圧操作とトリガ131の押圧操作を起点として、予め設定された1本の釘の打込み動作を遂行するように構成されている。釘打ち機1では、コンタクトアーム18の押圧操作とトリガ131の押圧操作から1本の釘の打込み動作の完了までが1サイクルとして設定されている。コントローラ4は、コンタクトアーム18の押圧操作とトリガ131の押圧操作に応じてモータ2の駆動を開始し、駆動機構3が1本の釘の打込み動作を完了すると、モータ2の駆動を停止するように構成されている。つまり、釘打ち機1では、モータ2は、1サイクル毎に断続的に駆動される。
【0063】
モータ2は、駆動に伴って発熱する。前述のように、モータ2により回転されるファン25によって、外側ハウジング10内をモータ2の周囲を通って流れる冷却風の流れが形成されるが、ファン25もモータ2と同様に断続的に回転されるため、ファン25のみでは、モータ2の冷却が十分でない可能性がある。より詳細には、モータ2の発熱に対する冷却効率が悪いと、モータ2の温度が徐々に上昇した後、モータ2が焼損する可能性が生じる。また、例えば、モータ2の温度が所定値まで上昇した場合に、温度センサを用いた保護回路によってモータ2が駆動を停止するように構成されているような場合には、釘打ち機1を用いた作業が継続できなくなる。これに対し、本実施形態では、モータ2から駆動機構3へ至る動力伝達経路とは異なる伝熱経路を形成し、モータ2で発生した熱を、熱伝導性の高い金属製(詳細にはマグネシウム合金製)のクランクハウジング320へ逃がすように構成された伝熱部材5が設けられている。この伝熱部材5によって、モータ2で発生した熱を効率的に放熱することができる。このため、上記のようなモータ2の温度が上昇しすぎた場合に生じる不具合を回避することができる。また、本実施形態では、熱伝導率の高い伝熱部材5も金属製(詳細には銅製)であるため、より効率的にモータの熱を金属製部材に逃がすことができる。
【0064】
また、本実施形態では、モータ2の熱の逃がし先として新たな金属製の部材を設けるのではなく、クランク機構32を収容するクランクハウジング320が利用されている。よって、釘打ち機1の部品点数を増やすことなく、効率的にモータ2で発生した熱を放熱することができる。
【0065】
また、本実施形態では、伝熱部材5は、モータ2のステータ22に面接触する伝熱面として、モータ側端部51の湾曲面510を有する。よって、伝熱部材5と、金属で形成されているステータ22との接触面積を増加させ、放熱効果を高めることができる。更に、伝熱部材5(詳細にはモータ側端部51)は、板バネとして構成された押え部材6によって、ステータ22に対して付勢されている。この押え部材6の付勢力によって伝熱部材5のステータ22に対する密着性を高めることで、放熱効果を更に高めることができる。
【0066】
なお、伝熱部材5のクランク側端部52も、クランクハウジング320とギアハウジング310の間で挟持されることで、クランクハウジング320との密着性が高められている。これにより、伝熱部材5からクランクハウジング320への熱伝導をより効率的に行うことができる。また、伝熱部材5は、クランクハウジング320とギアハウジング310とが連結固定される際、クランク側端部52が間に挟み込まれ、その後、モータ側端部51が押え部材6によってモータハウジング20の外部からステータ22に密着状に押し付けられることで、モータ2とクランクハウジング320に熱伝導可能に接続されている。よって、伝熱部材5をモータ2やクランクハウジング320に固定する場合に比べ、容易に組み付けることができる。
【0067】
また、本実施形態では、モータ2を収容するモータハウジング20は樹脂製であるため、金属製のクランクハウジング320の方がモータハウジング20よりも熱伝導率が高い。よって、より熱伝導率が高いクランクハウジング320に熱を逃がすことで、モータ2で発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0068】
本実施形態では、伝熱部材5の一部は、ファン25によって形成され、第2部分112内を流れる冷却風の経路上に配置されている。よって、経路を流れる冷却風によって、伝熱部材5をある程度冷却することができる。また、熱の逃がし先であるクランクハウジング320に一体状に連結固定された第1シリンダ341の一部は、外側ハウジング10に設けられた開口部105から外部に露出している。よって、クランクハウジング320と第1シリンダ341に逃がされた熱を、開口部105を介して外側ハウジング10の外部へ放熱することができる。
【0069】
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。釘打ち機1は、本発明の「電動工具」および「打込み工具」に対応する構成例である。トリガ131は、本発明の「操作部材」に対応する構成例である。モータ2、ステータ22は、夫々、本発明の「モータ」、「ステータ」に対応する構成例である。駆動機構3、ドライバ367は、夫々、本発明の「駆動機構」、「ドライバ」に対応する構成例である。コントローラ4は、本発明の「制御装置」に対応する構成例である。クランクハウジング320は、本発明の「金属製部材」および「第1収容部」に対応する構成例である。伝熱部材5は、本発明の「伝熱部材」に対応する構成例である。湾曲面510は、本発明の「伝熱面」に対応する構成例である。押え部材6は、本発明の「弾性部材」に対応する構成例である。モータハウジング20は、本発明の「第2収容部」に対応する構成例である。ギアハウジング310は、本発明の「第3収容部」に対応する構成例である。ファン25は、本発明の「ファン」に対応する構成例である。外側ハウジング10は、本発明の「外側ハウジング」に対応する構成例である。開口部105は、本発明の「開口部」に対応する構成例である。
【0070】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る打撃工具は、例示された釘打ち機1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す釘打ち機1、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0071】
作業者による手動操作を起点として、予め設定された作業動作を遂行するように構成され、且つ、手動操作から作業動作の完了までが1サイクルとして規定された電動工具は、釘打ち機1に限られるものではない。かかる電動工具として、例えば、タッカ、ステープルガン、ネジカッタ、鉄筋結束機、剪定バサミ等が挙げられる。1サイクル中に遂行される作業動作は、電動工具の種類に応じて適宜設定されればよい。
【0072】
釘打ち機1において、モータ2および釘の打込み動作を遂行する駆動機構3の構成や配置は、適宜変更されてもよい。例えば、モータ2は、直流モータである必要はなく、交流モータであってもよい。この場合、釘打ち機1は、バッテリ装着部138に代えて、外部電源に接続する電源ケーブルを備えればよい。また、打撃機構36の第2シリンダ361は、圧縮機構34の第1シリンダ341の内部に配置される必要はなく、第1シリンダ341と第2シリンダ361とが互いに平行に並列されてもよいし、互いに交差する方向に配置されてもよい。
【0073】
上記実施形態では、コントローラ4は、作業者によるトリガ131の押圧操作(トリガスイッチ132のオン状態への切替え)およびコンタクトアーム18の被加工物への押し付け(コンタクトアームスイッチ182のオン状態への切替え)を起点として、モータ2への通電を開始するように構成されている。しかしながら、コントローラ4は、コンタクトアーム18の押し付け状態にかかわらず、少なくともトリガ131の押圧操作を起点としてモータ2に通電すればよい。
【0074】
伝熱部材5の数、形状、材料、モータ2とクランクハウジング320との接続態様等については、適宜変更が可能である。例えば、伝熱部材5は、1つのみが配置されてもよい。また、上記実施形態ではプレート部材として形成されているが、モータ2からクランクハウジング320へ熱を逃がす伝熱経路を形成できる限り、棒状、紐状等、他の形状とされてもよい。上記実施形態では伝熱部材5として銅が採用されているが、他の金属製(他例えば、アルミニウム製)であってもよい。できるだけ熱伝導率が高い金属が採用されることが好ましい。伝熱部材5は、モータ2のステータ22およびクランクハウジング320に固定されていてもよいし、モータ2のステータ22以外の金属部分や、クランクハウジング320の他の部分に熱伝導可能に接続されていてもよい。
【0075】
また、伝熱部材5とモータ2(ステータ22)との密着性を高める点において、押え部材6によって伝熱部材5をモータ2に対して付勢すると好ましい。しかしながら、モータ側端部51は、押え部材6で押えられることなく、開口部201を介してモータハウジング20とステータ22との間に挿入され、ステータ22に面接触するように配置されてもよい。また、押え部材6の形状や配置態様は、適宜変更可能である。
【0076】
伝熱部材5がモータ2の熱を逃がす先は、クランクハウジング320以外の金属製部材であってもよい。例えば、伝熱部材5は、モータ2と第1シリンダ341とに接続されていてもよい。また、例えば、ギアハウジング310が金属製の場合には、ギアハウジング310に接続されていてもよい。また、上記実施形態では、伝熱部材5は、接続部53がギアハウジング310の外面に接触するように配置されているが、接続部53はギアハウジング310に非接触であってもよい。