(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分割パネルは、左右方向外端部に設けられる被ガイド部がガイドレールに嵌入する左右一対の端パネルと、該両端パネル間を連結する連結パネルとによる分割型とし、端パネルと連結パネルの連結端部同士を、該連結端部がパネル本体の左右方向中央部に位置しないように設定して連結固定したことを特徴とする請求項1記載の建築用開閉装置における防水パネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものは、左右方向中央位置が連結ラインとなっているため、パネル体に防水機能を持たせた場合、最も水圧がかかる中央位置が連結ラインとなっていて脆弱性に問題があり、特にパネル体の左右幅が広くなるほど脆弱性が顕著なものになるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、開口部の左右両端部に設けたガイドレールを上下移動して開口部の開閉をする開閉体の下端部に、左右両端部がガイドレールに内嵌して昇降案内されるパネル本体が
設けられ、該パネル本体は、開閉体が閉鎖姿勢になったとき押し潰されて防水機能を発揮する防水シールが備えられる建築用開閉装置において、前記パネル本体を、少なくとも二分割された分割パネル
を連結したものとし、該分割パネル
同士は、連結端部がパネル本体の左右方向中央部に位置しないように設定して連結固定
されたものであり、前記パネル本体に、左右方向に長い補強部材が設けられ、該補強部材は、複数に分割された分割型であり、該補強部材の分割位置は、分割パネル同士の連結端部とは位置ズレするように設定されていることを特徴とする建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項2の発明は、分割パネルは、左右方向外端部に設けられる被ガイド部がガイドレールに嵌入する左右一対の端パネルと、該両端パネル間を連結する連結パネルとによる分割型とし、端パネルと連結パネルの連結端部同士を、該連結端部がパネル本体の左右方向中央部に位置しないように設定して連結固定したことを特徴とする請求項1記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項3の発明は、
補強部材は、パネル本体の上端部に取付けられ、パネル本体と開閉体とを連結する分割型のアングル材であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項4の発明は、前記アングル材は、端パネル、連結パネルにそれぞれ設けられた分割型のものであり、端パネル側アングル材、連結パネル側アングル材同士の対向端縁が、
分割パネル同士の連結端部を避けて端パネル側または連結パネル側に偏倚していることを特徴とする請求項2を引用する請求項3記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項5の発明は、各アングル材は、開閉体に連結
するための縦片同士が背中合わせ状に突き合わされて室内外に一対設けられたものであり、室内外少なくとも一方のアングル材同士の対向端縁が、
分割パネル同士の連結端部を避けて端パネル側または連結パネル側に偏倚していることを特徴とする請求項4記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項6の発明は、
補強部材は、パネル本体の表裏面板の少なくとも一方に設けられる左右方向に長い補強金具
であることを特徴とする請求項1または2記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項7の発明は、補強金具は、
パネル本体の下端部に設けら
れることを特徴とする請求項6記載の建築用開閉装置における防水パネルである。
請求項8の発明は、請求項2記載の
分割パネルの組立て方法であって、該方法は、左右端パネルの被ガイド部をガイドレールに内嵌して左右端パネルを設置する工程、持ち上げられた連結パネルを下して左右端パネルと面一状に設置する工程、端パネルと連結パネルの連結端部同士を固定する工程、とを順次行うことを特徴とする建築用開閉装置における防水パネル
を構成する分割パネルの組立て方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、防水パネルを、防水パネルの端部をガイドレールに嵌合しやすい分割型にしながら、水圧が最も斯かる左右方向中央部に連結端部同士がないため、防水パネルの強度アップが図れることになる。
しかもパネル本体に設けられる補強部材が、分割パネルの連結端部を避けた構造となり、これによって分割型の防水パネルの強度アップをさらに図ることができる。
請求項2または
8の発明とすることにより、防水パネルのガイドレールへ組込むに際し、まず端パネルを被ガイド部がガイドレールに内嵌するよう設置した後、連結パネルを持ち上げて端パネル間に左右面一状に設置することで良いことになって、長い防水パネルを傾斜して組込むような作業が強いられることがなく、組立て性の向上が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、
補強部材がアングル材として利用できることになる。
請求項4の発明とすることにより、防水パネルのパネル本体と開閉体とを連結するためのアングル材が、端パネル用のものと連結パネル用のものとに分割されることになるが、これらアングル材の連結部が端パネルと連結パネルとの連結端部を避けた構造となり、これによって分割型の防水パネルの強度アップをさらに図ることができる。
請求項5の発明とすることにより、アングル材として、一対のものが背中合わせ状に突き合わされたものになっていることで、更なる強度アップが図れることができる。
請求項6の発明とすることにより、分割型の防水パネルの補強ができることになる。
請求項7の発明とすることにより、防水パネルの更なる補強ができることになる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。ここにおいて使用する「前後方向」とは「開口部の出入り方向(見込方向)」であり、「左右方向」とは開口部の「開口部の左右幅方向(見付け方向)」であり、「左右方向外方」とは「開口部左右中心から左右方向外側を向く方向」であり、「左右方向内方」とは「開口部左右端側から左右方向中心を向く方向」であり、「左右方向内面」とは「開口部の左右中心から見える面」であり、「左右方向外面」とは「開口部の左右両端側から見える面」であると便宜上定義するが、必ずしもこれに拘泥されるものではない。
まず、
図1〜11に示されたものは参考例を示すものであり、まずこれについて説明する。図面において、1は建築用重量シャッター装置のシャッターカーテン(開閉体)であって、該シャッターカーテン1は、スラット1aをインターロック結合により上下方向に一連状に連結することで形成され、上端縁が天井部に設けられた巻取りドラム2に連結されている。そしてシャッターカーテン1は、巻取りドラム2が電動開閉機3の正逆駆動に基づいて回転することにより、開口部左右に設けたガイドレール4に案内されて上下開閉移動をするようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
5は防水パネル(防水板)であって、該防水パネル5は、一枚板状のパネル本体6と、該パネル本体6の左右両端部に抜き差し自在に取付けられる溝状の端部カバー7とから構成されるが、パネル本体6は、左右幅が左右ガイドレール4のガイド溝4a内に嵌入し、パネル厚がガイドレール4に遊嵌する寸法設定になっている。そしてパネル本体6の上端面にはアングル材6aが取付けられ、該アングル材6aにシャッターカーテン1の最下端のスラット(下側インターロック結合部がないもの)1bが緊締具の一例であるボルト6bを介して固定されている。
【0010】
端部カバー7は、表裏面板7aと左右方向外面板7bと底面板7cとを備え、上下方向上方及び左右方向内方が開口した溝形状で構成されるが、表裏面板7a間の内寸法は、ガイドレール4に遊嵌しかつパネル本体6に外嵌する寸法設定になっている。
外面板7bおよび底面板7cの内面には気密シール(例えばEPDM等のゴム質弾性材)7dが全面に亘って貼着されているが、該気密シール7dは、パネル本体6の左右両端部を端部カバー7の外面板7b、底面板7cに押し付けるように内嵌すると押し潰された状態となって気密性を発揮することになる。この状態で表裏面板7aの内端縁7iは、ガイドレール4のガイド溝4aから左右方向内方に延出する寸法設定になっていて延出部7hが形成されている。そして該延出部7hが緊締具の一例であるビス7eを介してパネル本体6に着脱自在に固定されることになるが、本実施の形態では、パネル本体6が肉薄であった場合に、表裏面側から螺入したビス7e同士の螺子部が接触しないよう上下位置をずらすように設定されいる。
また端部カバー底面板7cの左右方向内端縁7jは、表裏面板7aの延出部7hの内端縁7iよりも左右方向内方に向けて長く突出して突出部7fが形成され、これにより端部カバー7は、突出部7fが表裏面板7aよりも左右方向内方に突出する状態でパネル本体6の底面板6cに気密シール7dがあいだに挟持される状態で当接するようになっており、これによって後述するように端部カバー7をパネル本体6に着脱する作業を、突出部7fを把持してできるよう配慮されており、これにより延出部7hのガイドレール4からの延出量を小さくし、ビス7eによる端部カバー7の固定部位をガイドレール4に近接させて外観性を損なうことが低減されるようになっている。
さらに前記パネル本体6のアングル材6aは、左右両端部に切欠き6dが形成されるが、該切欠き6dは、最下端スラット1bに設けられている振れ止め体(図示せず)との干渉を回避するためのものである。
【0011】
8、8aは防水シールSを構成するシール本体、シール端部であって、該シール本体8はパネル本体6の底面板6cに例えば両面粘着テープにより貼着されるものであり、シール端部8aは、端部カバー外面板7bの外面からコーナー部7gの外面を経て底面板7cの底面(つまり外周面)の内端縁7jにまで至る状態で同じく貼着されるものであり、これらシール本体8、シール端部8aは例えば低反発性ゴム質弾性材を用いて構成されるが、シール本体8、シール端部8aの突出部7fの端縁部位で互いに対向する対向部位8bは接着剤で接着されて隙間の無いように一体化されている。尚、シール本体8は、パネル本体6の底面板6cの板面の前後からの突き合わせ部を塞ぐ構造となるので、パネル本体6内への防水にも寄与することになる。
シール端部8aは、端部カバー7の外面板7bと底面板7cとのコーナー部7gにおいて折曲するように取付けられて一体化されているが、該シール端部8aのコーナー部8cの外周面は、防水シールSが高さ方向に肉厚であるため、前記コーナー部7gで折曲された場合であっても弧状に湾曲した構造になっている。
【0012】
9はガイドレール4の溝底面4bに取付けられる押圧具であって、該押圧具9は、溝底面4bに緊締具の一例であるビス9aを上下方向に長い取付け孔9lに螺入することで固定される基板9bと、該基板9bから左右方向内方に向けて突出する押圧体9cとから構成されるが、基板9bはガイド溝4aよりも幅狭になっていて、既存のガイド溝4aに後付けできるようになっている。
押圧体9cは、上端から下側に行くほど左右方向内方への突出量が多くなるよう傾斜して基板9bの上下方向中間位置にまで至る第一押圧部9dと、該第一押圧部9d下端の突出量を維持した状態で床面F近傍にまで至る第二押圧部9eと、下端が床面Fに接し、さらに押圧体9cの左右方向内端縁(つまり頂辺)9mが下端側ほど左右方向内方に突出する状態で弧状になったコーナー部9jを経て次第に低くなるように傾斜して床面Fに至る第三押圧部9fとにより形成されているが、この第三押圧部9fは、左右方向内端9gが防水パネル5の左右方向外端縁6eよりも左右方向内方まで突出するようになっている。
因みに第三押圧部9fの左右方向内端9gは、床面Fに対して段差が無いように加工され、これによってシール端部8aの左右方向内端9gが押圧状に当接する部位とのあいだに隙間ができないように設定されている。
尚、本参考例の押圧具9は、
図7に示すように平板状の基板9bに嵌合孔9hが穿設されたものにし、該嵌合孔9hに、押圧体9cに形成した突起9iを嵌合し、両者を溶着することにより形成している。
さらに押圧体9cの左右方向内端9gの形状としては、例えば
図7(D)に示すように、角形状(コーナー部は面取りされていることが好ましい。)、円弧形状、山形状等、各種の形状にすることができる。
【0013】
そしてシャッターカーテン1が閉作動していくと、端部カバー7の外面板7bに貼着された左右側面部位8dが下側から第一押圧部9dに順次当接されて押圧変形することになる。そして左右側面部位8dが第二押圧部9eに至ると、該左右側面部位8dは変形量が最も深い状態となって押圧されていき、最後にパネル本体6の底面板6cに設けたシール本体8および端部カバー7の底面板7cに設けた底側部位8eが床面Fに当接して押し潰されて変形し、これによって防水パネル5の底部および左右両端部の防水がなされるようになっている。
この場合に、シール端部8aの外周面が弧状になったコーナー部8cは、同じく弧状(曲率は同じでも異なっていてもよい。)に形成された押圧体9cのコーナー部9jに押圧されることになるため、例えばこのコーナー部9jを、第二押圧部9eと第三押圧部9fとの頂辺を結ぶ角度を有する鈍角コーナー形状とした場合に、この鈍角コーナー部でのシール端部8aの弧状になったコーナー部8cでの押圧変形が不十分になって水漏れしやすくなるような可能性を回避することができるように設定されているが、これらは防水シールSの固さ等によって種々選択されるものであり弧状にする必要は必ずしもない。
このような押圧体9cのコーナー部9jでの水漏れ防止の対策としては、該コーナー部9jを、シール端部8aのコーナー部8cの弧よりも大きな弧状(曲率が大きい)にするものに限定されず、例えば
図10(A)に示すように小さな弧状にしたものでもよく、さらには同図(B)に示すように、コーナー部9jを第二押圧部9eと第三押圧部9fとの頂片が鈍角状に交わったままにしたもの、同図(C)に示すように第二押圧部9eと第三押圧部9fとのあいだに直線状になった第四の押圧部9kを設けるようにしてコーナー部の鈍角が大きくなるようにし、これにより水漏れ回避をするように諮ることができる。このものにおいてさらに同図(D)に示すように各頂辺が交わる二つのコーナー部9jを弧状にしたもの、さらには第四の押圧部9kを、さらに二つ以上の多角形状にしたものとすることもできる。
【0014】
このようにしてシャッターカーテン1の開閉昇降が繰り返されると、端部カバー7の左右方向外面板7bに設けたシール端部8aの外側面が第一〜第三押圧部9d、9e、9fに摺動する状態で押圧変形が繰り返されることになって消耗することになり、このようになった場合、シール端部8aを交換するメンテナンスが必要になる。
この場合のメンテナンス方法としては、延出部7hのビス7eを外す工程、端部カバー7をパネル本体6から抜き出す工程、端部カバー7をガイドレール4から抜き出す工程、端部カバー7に設けられるシール端部8aを交換する工程、シール端部8aが交換された端部カバー7をガイドレールに嵌入する工程、シール端部8aが交換された端部カバー7を延出部7hにおいてパネル本体6にビス7e固定する工程、を順次行うことになるが、具体的には、例えばシャッターカーテン1を、防水パネル5の下端縁が少なくとも第一押圧部9dに当接しない位置まで上昇させ、この状態でシール本体8とシール端部8aとの対向部位(接着部位)8bを切断すると共に、端部カバー7を延出部7hにおいてパネル本体6に固定するビス7eを外すと、端部カバー7をパネル本体6から取外すことができ、この外れた端部カバー7を下側に移動させ、ガイドレール4から引出し、これによって該引出した端部カバー7を単体にした状態でシール端部8aの交換ができるようになっている。そしてシール端部8aが交換された端部カバー7をこの逆の手順でパネル本体6に組込むことができる。
尚、この手順は、底面板突出部7fが、ビス7eによりパネル本体6の底面板6cに固定された場合に有効であり、この底面板6cに固定されるビス7eは、シール端部8aの底側部位8eを底面板突出部7fから剥がして該ビス7eが露出する状態にしてから取外すことができる。
【0015】
さらにまた、別の具体的なメンテナンス方法としては、シャッターカーテン1を全閉姿勢(あるいは全閉に近い姿勢)にした状態で延出部7hにおいてビス7eを外した後、シャッターカーテンを上昇させて端部カバー7をパネル本体6から抜き出す。しかる後、端部カバー7をガイドレール4から抜き出し、該抜き出した端部カバー7においてシール端部8aの交換をし、この逆の手順でシール端部8aが交換された端部カバー7をパネル本体6に取付けるようにしてもよい。
この手順は、底面板突出部7fが、例えば両面粘着テープでパネル本体6の底面板6cに貼着されたような場合に有効であり、この場合には、延出部7hにおいてビス7eを外した後、シャッターカーテンを上昇させる際に、底面板6cに貼着される底面板突出部7fを剥がすことで端部カバー7をパネル本体6から取外すことができる。
【0016】
前記パネル本体6の上端部に設けたアングル材6aの左右両端部には、防水パネル5が左右に振れるのを防止するための左右方向振れ止め体10が設けられている。この振れ止め体10は、板状の支持部材10aと、該支持部材10aの左右方向外方に取付けられたローラ10bとから構成されるが、支持部材10aには、左右方向に長い長孔10dが形成されており、これによって振れ止め体10のアングル材6aに対してボルト(緊締具)10cによる左右取付け位置の調整ができ、ローラ10bがガイドレール溝底面4bから僅かな隙間(例えば2mm)を存して対向するよう構成され、防水パネル5の左右位置ずれを防止し、これによってシール端部8aの押圧体9cによる押圧変形を可及的に左右均一にするよう配慮されている。この場合において、振れ止め体10は、正確に位置決めされるよう取付ける必要があり、このため本実施の形態では、
図9に示すように、ボルト10cと固定用のビス(緊締具)10eとで振れ止め体10を正確に位置決めした後、固定用ビス10eで確りと固定するようになっている。
また、このものではパネル本体6には、L字形をした補強金具12が室内側にボルト12aを介して固定されるが、補強金具12が室外側のみ、室内外両側に設けたものであってもよい。また、補強金具12は防水パネル5の下端部に設けられるため強度的に有利になる。
さらにまたパネル本体6の左右方向外方の上側コーナー部には逆L字形の補助金具13が設けられているが、該補助金具13は、端部カバー7をパネル本体6に取付ける際のガイドとして機能することになり、メンテナンス作業の作業性が向上する。
【0017】
叙述の如く構成された本参考例において、シャッターカーテン1は、開口部の左右両端部に設けたガイドレール4を上下移動して開口部の開閉をすることになるが、このシャッターカーテン1の下端部に、左右両端部がガイドレール4に内嵌して昇降案内される防水パネル5が設けられる。そして該防水パネル5は、左右両端部がガイドレール4に内嵌するパネル本体6と、該パネル本体6の左右両端部に抜き差し自在に外嵌する状態で該パネル本体6に着脱自在に固定される溝状の端部カバー7とを備えて構成され、開口部下側部位の防水をするための防水シールSは、パネル本体6の底面板6cに取付けられるシール本体8と、端部カバー7の左右方向外面板7bおよび底面板7cの外周面に設けられるシール端部8aとを備えて構成され、シャッターカーテン1が閉鎖姿勢になったとき、シール本体8とシール端部8aの底側部位8eは床面Fに当接して押し潰されて防水機能が発揮され、シール端部8aの左右側面部位8dおよびコーナー部8cはガイドレール4内に設けた押圧体9cの当接によって押圧変形して防水機能が発揮され、これによって高い防水性を確保することができる。
【0018】
そしてこのものでは押圧体9cがガイドレール4内に設けられるため、外観性を損なうことがないが、シール端部8aのコーナー部8c及び左右側面部位8dは押圧体9cに摺接する状態での当接が、シャッターカーテン1の開閉の度に繰り返されることになって消耗が早く、これを放置すると防水性が損なわれるため、シール端部8aを交換するメンテナンスが必要になる。
【0019】
このメンテナンスをするには、防水パネル5が少なくとも押圧具9の上端に位置するようにした状態で、シール本体8とシール端部8aとの接着している対向部位8bを切断すると共に、ガイドレール4よりも左右方向内方に延出して防水パネル5の正面に露出していて作業しやすい延出部7hにおいてビス7eを取外すと、端部カバー7は、パネル本体6から外れることになり、そこで端部カバー7をパネル本体6から引き抜くと共に下におろした状態でガイドレール4から引出す。これにより端部カバー7のみを取出した状態でシール端部8aの交換ができ、その後、逆の作業で新しく交換されたシール端部8aが設けられた端部カバー7をパネル本体6に組み付けることができる。
【0020】
このように本参考例のものは、シール端部8aと押圧体9cとがガイドレール4内に設けて外部から見えないようにしたものでありながら、シール端部8aの交換をするメンテナンス作業を、防水パネル5をガイドレール4から外すことなく簡単にできることになる。
【0021】
しかもこのものでは、端部カバー7の左右方向外面板7bと底面板7cに取付けられるシール端部8aは、コーナー部8cを折曲するようにして一体物として設けられているから、コーナー部8cを境にして別物として設ける場合に比してシール端部8aの交換作業が容易になる。
【0022】
そのうえ端部カバー7の底面板7cには、延出部7hよりもさらに左右方向内方に突出する状態でパネル本体6の底面板6cに下側で積層している突出部7fが設けられているため、端部カバー7は、この突出部7fを把持して端部カバー7のパネル本体6からの抜き差し作業ができることになる結果、前記ビス7eを介して固定される延出部7hの延出量を可及的に小さくできて防水パネル5の外観性を損なうことを低減できる。
またシール端部8aとシール本体8の互いに対向する対向部位8bは接着されることで防水処理が施されるため、ここから水が漏れることを防止できることになる。
【0023】
さらに端部カバー7の左右方向外面板7bと底面板7cとの内面には、コーナー部7gも含めて端部カバー7とパネル本体6とのあいだの気密を確保するための気密シール7dが設けられているたる、防水パネル5を、メンテナンスしやすいよう端部カバー7とパネル本体6とに分割したものでありながら、気密性も確保できることになる。
そのうえこのものでは、パネル本体6に設けられるアングル材6aに、防水パネル5の左右方向の振れ止めをするための振れ止め体10が設けられているため、防水パネル5の左右方向の位置ズレが僅かなものになり、シール端部8aの押圧体9cに対する左右方向の位置ズレが小さいものになって左右均等的なシール端部8aの押圧変形がなされることになって防水性が向上する。
【0024】
尚、本参考例は、
図11に示す実施の形態のように、ガイドレール4の溝幅が広く、防水パネル5が前後方向に位置ずれしてシール端部8aの押圧体9cに対する押圧変形が片寄ってしまう惧れがある場合、端部カバー7の表裏面板7aの前後方向外面に、防水パネル5の前後方向の振れ止めをするための前後方向振れ止め体11を設けるようにすることができ、これによって左右均等的なシール端部8aの押圧変形がなされることになって防水性が向上する。
【0025】
次に
図12以降の図面において本実施の形態の説明をする。
このものはシャッターカーテン1が前記第一の実施の形態のものよりも左右幅広であるため、より高い水圧を受けることになり、これに耐えられるよう防水パネル21の前後方向の厚さを、左右ガイドレール4の内々寸法内においてガイドレール4の溝幅よりも厚くしたものである。
そしてこの防水パネル21は、左右幅広で厚いため重量が重く、単品とした場合の左右ガイドレール4への組込み作業が大変になると共に、現場への搬送が大掛かりとなり、そこで分割型として構成されている。そして分割数としては特に限定されるものでないが、奇数枚とすることが好ましい。その理由としては、奇数枚とした場合、防水パネル21の左右方向中央部に分割位置がないものとなって耐水圧性が向上する、という利点がある。以下の本実施の形態では三分割にした防水パネル21について説明する。
【0026】
前記防水パネル21は、前記第一の実施の形態の場合と同じくパネル本体22と端部カバー7とにより構成されている。パネル本体22は、中央パネル(連結パネル)24と左右対称状になった一対の端パネル25とを用いて構成されるが、これら中央パネル24と左右の端パネル25とは左右長さが同じになるよう設定され、現場搬送する場合の梱包を同じにできる等の利点があるが、中央パネル24と左右の端パネル25の左右長さは、全て異なったものとしてもよいし、端パネル25同士は同じ長さであるが中央パネル24は端パネル25とは異なった長さ(長さは長くても短くてもよい。)にしてもよいし、一方の端パネル25と中央パネル24は同じ長さであり、他方の端パネル25の長さが異なったものにしてもよい。さらにまた、強度を持たせるための防水パネルとしては、両端パネル25のみの2枚の分割型であってもよく、この場合、両端パネル25同士の連結部が防水パネルの左右方向中央位置ではなく、左右方向何れかに位置ずれしたものとすることで強度アップを図ることができる。この場合、何れか一方の端パネル25k連結部は、前記第二の実施の形態の第一連結部24dの構成になることは言うまでもない。
【0027】
中央パネル24は、肉厚の箱状に構成される中央パネル本体24aと、該中央パネル本体24aの上端面に固定される逆L字形をした第一、第二のアングル材24b、24cと、中央パネル体本体24aの左右両端に設けられる第一連結部24dとを備えて構成されている。
第一、第二アングル材24b、24cは、縦片同士が背中合わせ状に突き合わされた状態で横片が中央パネル本体24aの上面に溶着される。本実施の形態では、屋外側の第一アングル材24bは中央パネル本体24aの左右長さと一致しているが、第二アングル材24cは両端縁が中央パネル本体24aの左右長さよりも長くなっている。
また第一連結部24dは、本実施の形態では中央パネル本体24aの表裏面板24jを左右方向外方に向けて延出した延出部24kとして形成されているが、中央パネル本体24aの左右端面に例えばコ字形型材の跨部を溶着すること等で構成してもよい。そしてこのものでは、第一連結部24dの下端縁は底板24eの板厚分、切欠かれた切欠き部24fとなっている。
【0028】
また端パネル25は、箱状になった肉厚の端パネル本体25aと、該端パネル本体25aの上面に固定される逆L字形をした第三、第四のアングル材25b、25cと、端パネル本体25aの左右方向内方側に固定される第二連結部25dと、端パネル本体25の左右方向外方面25iからガイドレール4のガイド溝4aに遊嵌状に嵌合するよう突出して設けられた被ガイド部25eとを備えて構成されている。
第三、第四アングル材25b、25cは、縦片同士が背中合わせ状に突き合わされた状態で横片が端パネル本体25aの上面に溶着される。本実施の形態では、屋外側の第三アングル材25bは端パネル本体25aの左右長さと一致しているが、第四アングル材25cは、前記第二アングル材24cの両端縁が長くなった分、端パネル本体25aの左右長さよりも短くなっている。
また第二連結部25dは、跨部25fが端パネル本体25aの表裏面板25gよりも左右方向内方に延出する状態で脚部25hが表裏面板25gに溶着されたコ字形をした第一連結金具25iと、該第一連結金具25iに内嵌した脚部25jが第一連結金具25iの脚部25hに溶着されたコ字形をした第二連結金具25kとにより構成されている。そして前記延出した第一連結部24dの延出部24kを、第一連結金具25iの脚部25hの延出部位に外嵌した状態でボルト(緊締具)22aを介して該延出部24k部位を固定することで中央パネル24と端パネル25とを連結できるように構成されている。そして該連結後、当接面部位を鉄パテでコーキングし、その後、パネル本体22の表面を防水塗装するようにしている。
【0029】
そして本実施の形態の防水パネル21は次のようにして組付けられる。まず、左右の端パネル本体25aを、被ガイド部25eがガイドレール4に嵌入するようにして床面Fに配置する。次いで中央パネル本体24aを持ち上げ、第一連結部24dが第二連結部25dに雄雌状に外嵌する状態で降ろし、床面Fに設置する。そして第一、第二連結部24d、25d同士をボルト22aを介して固定することでパネル本体22の組込みができることになる。しかる後、第一〜第四アングル材24b、24c、25b、25cをボルト22bを介して最下端スラット1bに固定することになり、これにより本実施の形態の防水パネル21を組立てることができるようになっている。
尚、第一、第二連結部24d、25d同士の雄雌嵌合構造は、逆の構造であっても勿論よい。これら連結部24d、25dの面接触する部位にコーキング材を予め塗布しておいて防水性能の向上を図っている。
この場合において、被ガイド部25eに前記第一の実施の形態に用いたと同じ構造のシール端部8aが設けられた端部カバー7を予め取付けておいてもよいが、パネル本体22をシャッターカーテン1に取り付け後、持ち上げた状態にして端部カバー7を取付けるようにしてもよい。またシール本体8は、パネル本体22がシャッターカーテン1に連結された後、床面Fから持ち上げることで底板24e、25gに取付けることができるが、各底板24e、25gに分割する状態で予め取付けておいてもよい。このシール本体8を分割型とした場合、シール本体8の端部同士を、パネル本体22の組付け後、対向端部同士を接着剤で接着することで防水性が損なわれないように配慮される。
尚、本実施の形態においては、パネル本体22の底面に取付けられるシール本体8としては、前記第一の実施の形態のように端部カバー7に取付けられるシール端部8aと連続するようにして取付けられるもののほかに、屋外側に並列するようにもう一本のシール本体8が取付けられているが、これは屋内側であってもよく、さらには屋内外に一対設けてもよい。
因みに端部カバー7については前記実施の形態と同じ構造であるので、その詳細は省略する。
さらにこのようにして組付けられたパネル本体22の表裏面にはL字形をした補強金具26がボルト26aを介して固定されている。本実施の形態での補強金具は左右方向中央部において二分割されたものであり、このように構成することにより、補強金具26の分割位置とパネル本体22の分割位置とが位置ずれしたものとなって強度アップを図る構成になっている。この場合に、補強金具26は、パネル本体22の下側位置に設けることが強度確保のため好ましいものとなる。因みに補強金具26は分割型でなく一本ものであっても勿論よい。
【0030】
そしてこのものでは、中央パネル24に設けられる第二アングル材24cが長くなっていて端パネル25の第三アングル材25bと重なり合う構造となると共に、該重なり合った部位をボルト22bで固定するため、ここにおいても強度アップを図ることができるようになっている。
【0031】
このようなアングル材の配置としては、パネル本体同士24a、25aの分割部で突き合うようにしても勿論よいが、例えば突出側を端パネル25側の第四アングル材25cとしてもよく、またアングル材同士の突き合わせ位置を端パネル25の左右方向中間位置、あるいは中央パネル24の左右方向中間位置のように大きく偏倚することができ、このようにすることでアングル材同士の突き合わせ位置が大きく齟齬したものとなってパネル本体同士の連結位置からずれることになりより強度アップが図れることになる。そして前記第四アングル材25cを長くした場合には、防水パネル22の組み込み手順としては、中央パネル24をセットした後、端パネル25を持ち上げ、被ガイド部25eがガイドレール4に内嵌した状態で中央パネル24の左右両側に端パネル25を降ろしてセットした後、第一、第二連結部24d、25d同士を連結することでパネル本体22の組込みができることになる。
【0032】
そしてこのものも、シール端部8aが損耗した場合に、前記参考例と同様、端部カバー7のみをパネル本体22から取外してシール端部8aの交換をした後、再び端部カバー7を取付けることで簡単に交換のメンテナンス作業を行うことができるようになっている。
【0033】
このように本発明が実施された形態においては、開口部の左右両端部に設けたガイドレール4を上下移動して開口部の開閉をするシャッターカーテン1の下端部に、左右両端部の被ガイド部25eがガイドレール4に内嵌して昇降案内されるパネル本体22に防水機能を持たせて防水パネル21を構成したものでありながら、前記パネル本体22を、ガイドレール4に嵌入する被ガイド部25eが設けられる左右一対の端パネル25と、該両端パネル25間を連結する中央パネル24である連結パネルとによる分割型とし、端パネル25と中央パネル24の連結端部同士を、該連結端部がパネル本体22の左右方向中央部に位置しないように設定して連結固定したものであるから、最も水圧がかかる防水パネル21の左右方向中央部の強度が高くなるため、防水パネル21を幅広なものにできることになる。
この場合に、左右の端パネル25間を連結するための中央パネル24について、少なくとも一枚以上の奇数枚(長さを同じに設定する。)とすることで、パネル本体22の左右方向中央部に連結固定部位が位置しない構成にできるため、防水パネル21を小型のパネルとして分割できることになってより取り扱いやすいものになる。
またパネル本体22とシャッターカーテン4とを連結すべく縦片を有したアングル材が、該縦片を背中合わせされた状態で、中央パネル24、端パネル25の上端面にそれぞれ設けられた第一〜第四アングル24b、24c、25b、25cとなる分割型のものであり、そして連結パネル24側の第一、第二アングル材24b、24c、端パネル25側の第三、第四アングル材25b、25c同士の対向端縁のうち、本実施の形態では、第二アングル材24c、第四アングル材25cの対向端縁が中央、端パネル24、25同士の連結端部を避けて端パネル25側に偏倚しているため、ここにおいても強度アップを図れることになる。
さらにこれら分割型の防水パネル21を組立てるにあたり、左右端パネル25の被ガイド部25eをガイドレール4に内嵌する状態で左右端パネル25を設置した後、持ち上げられた中央パネル24を下して前記設置された左右端パネル24と面一状になるよう設置し、しかる後、端パネル24と中央パネル24の連結端部同士を連結固定することで簡単に組付けることができ、この結果、参考例で記載したように防水パネル5が一枚板状になったもののように、防水パネルを傾斜状にして持ち上げてガイドレール4に組込むような作業が強いられることがなく、幅広な防水パネル21であってもガイドレール4への組み込み作業が容易になると共に、防水パネル21の現場搬入も簡略化されることになる。
尚、前記参考例及び実施の形態は何れもシャッターカーテン1の下端に防水パネルを設けた電動式のものとしたが、シャッターカーテンを設けることなく防水パネル単体のものをガイドレールに設置する手動式のものとしてもよいことは勿論である。