(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、前記親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、前記受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、前記親骨用ろくろと前記受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、
前記親骨の一部領域に前記生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、前記生地の一部が前記可動骨に取り付けられると共に残部が前記親骨に取り付けられ、前記可動骨と該可動骨に取り付けられた前記生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成し、
前記可動ベンチレーション部の前記生地と前記可動ベンチレーション部よりも前記傘軸側の領域で前記親骨に固定される前記生地とが、前記親骨並びに前記可動骨に沿って連続的に縫合される一方、前記親骨と前記親骨との間の領域では縫合されずに風抜き用の開口部を形成し、前記可動ベンチレーション部よりも前記傘軸側の領域の前記生地で固定ベンチレーション部が構成されている
ことを特徴とするパラソル。
生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、前記親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、前記受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、前記親骨用ろくろと前記受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、
前記親骨の一部領域に前記生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、前記生地の一部が前記可動骨に取り付けられると共に残部が前記親骨に取り付けられ、前記可動骨と該可動骨に取り付けられた前記生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成し、
前記可動ベンチレーション部の外側で、前記親骨の外周縁附近に固定される前記生地で構成される外周縁取り部と、該外周縁取り部の生地の前記親骨と前記親骨との間の領域の中程と前記傘軸とを連結する外周吊りテープとを備え、前記外周縁取り用生地が前記外周吊りテープによって垂れ下がらないに吊り下げられることを特徴とするパラソル。
前記可動骨は前記親骨と前記受骨とを回転可能に連結する軸を利用して前記親骨に回動自在に連結されているものであることを特徴とする請求項1または2記載のパラソル。
生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、前記親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、前記受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、前記親骨用ろくろと前記受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、
前記親骨の一部領域に前記生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、前記可動骨は前記親骨と前記受骨とを回転可能に連結する軸を利用して前記親骨に回動自在に連結されているものであり、前記生地の一部が前記可動骨に取り付けられると共に残部が前記親骨に取り付けられ、前記可動骨と該可動骨に取り付けられた前記生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成する
ことを特徴とするパラソル。
【背景技術】
【0002】
パラソルは風の影響を受けやすいものである。特に、大型で据え置き式のパラソルほど風の影響を受けやすく、屋外での日よけとして使用するには突風ややや強い風に対する十分な対策が必要となる。即ち、パラソルがやや強い風に飛ばされ転倒するのを未然に防ぎ、あるいはパラソルが転倒の衝撃またはやや強い風で生地等が破損してしまうことを防ぐことが望まれる。
【0003】
そのため、パラソルには風の影響を軽減させる構造、あるいは風に負けない強度を備えた構造が従来より存在する。例えば、風を受けたときに風を逃がすための開口部(風抜き)をパラソルの頂部周辺に設け、この開口部の上を副覆部即ち主覆部たるパラソル本体に比べて極めて小さな傘で覆う二重傘構造とし、主覆部と副覆部との間に常時開口された風の抜け穴を作ることが提案されている(特許文献1)。副覆部は、リンク(副覆部の受骨に相当する)で主覆部と連結されて、主覆部に対して連動して開閉する構造に設けられている。したがって、主覆部が拡げられるのと連動して副覆部の骨も拡げられて、主覆部の上に一定間隔を開けて副覆部が開いて、常時開口する風抜きが形成されるように設けられている。
【0004】
また、傘布の頂部周辺に設けた開口をゆったりとした広めの布で覆った冠布部を構成し、風が吹いたときにだけ冠布部が膨らんで主覆部との間に風抜きを形成するものもある(特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の発明では、パラソル内に籠もった熱気や風を逃がすための主覆部と副腹部との間の風抜きはリンクによって常にあけられているので、この風抜きから太陽光が差し込んだり雨が吹き込んだりすることとなり、パラソルとしての役目を一部損なうという問題を有している。このため、風抜きを大きめに設定することは望ましくない。つまり、風抜きの開口面積が一定であるため、十分な開口面積を確保しなければ風抜きとして十分に機能しないこともあるし、また必要以上の開口面積を確保すればパラソルとしての働きを損なうこととなる矛盾を含んでいる。しかも、風抜きを作り出す副覆部が主覆部と連動して開閉する傘構造をとるため、構造が複雑となり、部品点数が増えると共に組み立て工程も増え、コスト高となる問題を有する。
【0007】
しかも、パラソルの頂部周辺に設けられる風抜きは、開口面積が大きく採れないので十分に機能し得ない問題がある。例えば、3〜4m程度の直径ないし幅のパラソルの中央で数十cm程度の冠布部が僅かに開閉しても、パラソル内にこもった熱気を逃がすことはできても、吹き上げる風の力を瞬時に逃がすことに対しては十分機能しない。また、二重傘構造の主覆部と覆覆部との間の平行な隙間を経由して風が抜ける場合にも、やや強い風になると風抜きとして十分に機能できない虞がある。
【0008】
また、傘布の頂部周辺の開口をゆったりとした冠布部で覆う特許文献2記載の発明の場合には、熱気が籠もったり風が吹いたときにだけ冠布部が膨らんで傘布との間に風抜きを形成するので、通常は風抜きは閉じて日差しも雨も侵入し難いが、風抜きとしての機能も十分ではなく、実質的に風抜きとして機能し得ない問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、パラソルとしての機能を十分に果たしながらも、風が発生した時に風の強さに応じた風抜きを形成し得るパラソルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、親骨用ろくろと受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、親骨の一部領域に生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、生地の一部が可動骨に取り付けられると共に残部が親骨に取り付けられ、可動骨と該可動骨に取り付けられた生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成
し、可動ベンチレーション部の生地と可動ベンチレーション部よりも傘軸側の領域で親骨に固定される生地とが、親骨並びに可動骨に沿って連続的に縫合される一方、親骨と親骨との間の領域では縫合されずに風抜き用の開口部を形成し、可動ベンチレーション部よりも傘軸側の領域の生地で固定ベンチレーション部が構成されるようにしている。
【0011】
また、本発
明は、生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、親骨用ろくろと受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、親骨の一部領域に生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、生地の一部が可動骨に取り付けられると共に残部が親骨に取り付けられ、可動骨と該可動骨に取り付けられた生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成し、可動ベンチレーション部の外側で、親骨の外周縁附近に固定される生地で構成される外周縁取り部と、該外周縁取り部の生地の親骨と親骨との間の領域の中程と傘軸とを連結する外周吊りテープとを備え、外周縁取り用生地が外周吊りテープによって垂れ下がらないに吊り下げられるようにしている。
【0012】
ここで、
上述の発明
にかかるパラソル
において、可動骨は親骨と受骨とを回転可能に連結する軸を利用して親骨に回動自在に連結されているものであることが好ましい。
【0013】
また、本発明
は、生地と、これを支えるように放射状に配置された親骨と、この親骨の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろと、親骨の中程を突っ張ってパラソルを広げるための受骨と、受骨の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろと、親骨用ろくろと受骨用ろくろとを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸とを有するパラソルにおいて、親骨の一部領域に生地と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨を備え、可動骨は親骨と受骨とを回転可能に連結する軸を利用して親骨に回動自在に連結されているものであ
り、生地の一部が可動骨に取り付けられると共に残部が親骨に取り付けられ、可動骨と該可動骨に取り付けられた生地の一部とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部を構成するようにしている。
【0014】
さらに、本発明のパラソルは、可動骨が親骨の中に収まるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるパラソルによれば、風が作用して生地が膨らむとき、枢軸を中心に回動する可動ベンチレーション部が浮揚しあるいは翻ることによって風を受け流すことから、風を受ける面積が少なくなって吹き上げ荷重が減少し、飛ばされたり倒されたりし難くなる。しかも、風の影響をまともに受けることなく、受け流すことができるので、パラソルの骨への負担を軽減して骨の急激な曲がりや折損を免れることができる。また、可動ベンチレーション部の生地と可動骨とは取り付けられた状態で浮揚しあるいは翻ることから、生地だけが風にばたつき可動骨から外れて飛散することがない。さらに、可動ベンチレーション部は、上方へ翻るので、パラソルの下にいるユーザーに対して可動ベンチレーション部の骨や生地が衝突したり、接触することがなく、安全性が高い。
【0016】
しかも、風が弱まれば、浮揚しあるいは翻った可動ベンチレーション部が復元力で自動的に元の位置に復帰するので、パラソルとしての本来の機能を全面的に取り戻すことができる。つまり、本発明のパラソルによれば、風がないときあるいは微風であるときには風抜きが閉ざされるので、雨が吹き込んだり太陽光が差し込むことがなく、パラソルとしての役目を十分に果たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書において、先端側あるいは外側とは親骨の露先側、基端側あるいは内側とは傘軸側、周方向とは放射状に拡がる親骨を横切る方向、軸方向とは親骨に沿った方向を意味するものとする。
【0019】
図1〜
図6に本発明を適用したパラソルの実施形態の一例を示す。この実施形態のパラソルは、支柱から横方向に張り出すアームの先端に吊り下げられて使用位置において宙吊り状態で傘部分の開閉が行われるタイプのパラソル(例えば、特開2003-61724号公報参照)である。
【0020】
本実施形態にかかるパラソルは、パラソル本体1の親骨3の一部領域に生地2と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を有する可動骨21を備え、生地2の一部が可動骨21に取り付けられると共に残部が親骨3に取り付けられ、可動骨21と該可動骨21に取り付けられた生地の一部(第2の生地19)とで風が吹き付けられたときに浮揚しあるいは翻ることにより風を受け流す可動ベンチレーション部15を構成し、風が吹いたときに可動ベンチレーション部15が翻ることによって風を受け流すように設けられている。さらに本実施形態では、可動ベンチレーション部15の上に固定ベンチレーション部16、可動ベンチレーション部の下に外周縁取り部17とがそれぞれ設けられている。
【0021】
本実施形態のパラソル本体1は、例えば
図1及び
図2に示すように、生地(canopy)2と、これを支えるように放射状に配置された親骨(rib)3と、この親骨3の内側の端部を連結して集合させる親骨用ろくろ(固定ろくろ,ring)4と、親骨3の中程を突っ張ってパラソル2を広げるための受骨(spreder)5と、受骨5の内側の端部を連結して集合させる受骨用ろくろ(可動ろくろ)6と、親骨用ろくろ4と受骨用ろくろ6とを同軸に配置すると共にそれらの間の間隔を一定に保つための傘軸7とから構成され、パラソル本体の外に配置される支柱(図示省略)に備えられる巻取り具(図示省略)で巻き上げられるロープ(図示省略)によって受骨用ろくろ6が昇降されることによって受骨5を介して親骨3ひいては生地2の開閉を行うように構成されている。
【0022】
親骨用ろくろ4は、傘軸7に嵌合されて頂部附近に固定されている。傘軸7は、例えばユニバーサルジョイント10を介して図示していない支柱から張り出されるアームに吊り下げられ、図示していないロープに吊り下げられて昇降させられる受骨用ろくろ6の上昇端を規定し、親骨用ろくろ4と受骨用ろくろ6との位置関係を定める。
【0023】
本実施形態の場合、生地2は、
図1に示すように、例えば固定式ベンチレーション部16を構成する第1の生地18と、可動式ベンチレーション部15を構成する第2の生地19と、外周縁取り部17を構成する第3の生地20との三部で構成され、第1の生地18と第2の生地19の末端(径方向外側の端部)がそれぞれの外側の生地の上に一部重ねられてオーバーラップ領域24,25を構成する長さ関係に設定されている。尚、本実施形態の場合、生地2は、親骨3と親骨3との間を占める三角形状あるいは台形状の生地を6枚縫い合わせることによって(縫合糸の図示は省略)六角形に形成されているが、これに特に限られるものではなく、場合によっては多角形の環状の生地を組み合わせることによって構成しても良い。
【0024】
ここで、第1の生地18と第2の生地19とは、径方向には一部重なった状態で各々の縫合箇所(親骨3及び可動骨21の上)で連続的に縫い合される一方、周方向即ち親骨3と親骨3との間に跨がる方向には縫い合されずに単に重なるだけで開閉可能とされている。これによって、第1の生地18は第2の生地19の上に一部オーバラップすることで第2の生地19との間の隙間が塞がれた状態であるが、パラソル内外で圧力差が生じると(風が吹き込んだり、熱気が籠もって第1の生地18を外側へ膨らませる力が発生すると)、第2の生地19との間に隙間が生じて空気を通わせるための風抜き(固定ベンチレーション部16)を形成する。尚、固定ベンチレーション部16は、主としてパラソル内に籠もる熱気を排出させるためのものであり、ちょっとした風に対する風抜きとしても機能するものである。
【0025】
また、第2の生地19は第3の生地20とは親骨3に沿って径方向に縫合されておらず、第3の生地19とは完全に切り離されている。そして、第2の生地19は可動骨21に固定されることで、第2の生地19が風を孕んだときに可動骨21と共に上へ翻って風を受け流す可動ベンチレーション15を形成する。尚、第2の生地19(可動ベンチレーション部15)の縁と第3の生地20(外周縁取り部17)の縁との境部分も、周方向即ち親骨3と親骨3との間に跨がる方向には縫い合されずに単に重なるだけで開閉可能とされているので、可動ベンチレーション部15が翻るまでもなく、ちょっとした風に対する風抜きとしても機能する。
【0026】
また、第3の生地20は、第2の生地19とは完全に切り離されて独立しており、親骨3を周方向に繋ぐ環状の縁取り(外周縁取り部17)を形成している。この外周縁取り部17の第3の生地20と傘軸7とは外周吊りテープ22で連結されている。本実施例の場合、例えば、
図1に示すように、第3の生地20の親骨3と親骨3との間の中間位置で、中央の傘軸7と外周吊りテープ22を介して連結されている。この外周吊りテープ22によって、パラソル本体1を閉じたときに外周縁取り部17の中程が垂れ下がることがないように傘軸7に直接吊り下げさせている。尚、第2の生地19の縫合箇所の先端部にはストラップ13が、第3の生地20の縫合箇所の先端部にはストラップ9がそれぞれ縫い付けられている。
【0027】
このように縫製された第1の生地18の内側の端部は、中央部分に形成された穴(図示省略)が傘軸7に嵌合されて固定ろくろ4とキャップ8との間で固定されると共に、生地2の中央の穴の周囲をキャップ8で覆って雨水の浸入を防ぐ構造とされている。また、第2の生地19の外側の端部は、ストラップ13を介して可動骨21の庇部材26にビス止めなどによって固定されている。さらに、第3の生地20の外側の端部はストラップ9を介して親骨3の先端のキャップ11に固定されている。また、生地2の途中は、必要に応じて親骨3あるいは可動骨21に止め付けられている。例えば、生地2の縫製の際に縫い付けた帯紐(図示省略)を利用して、親骨3あるいは可動骨21に止め付けられている。帯紐は、例えばシャフトが貫通する孔が設けられており、該孔に親骨3あるいは可動骨21を貫通するシャフト12を貫通させて固定するようにしても良い。勿論、これ以外の手段によって、生地2と親骨3あるいは可動骨21とを固定しても良い。尚、上述の帯紐の孔には、通常、鳩目や糸のかがりが施される。
【0028】
親骨3はパラソル中心の親骨用ろくろ4において連結され、放射状に延びる。本実施形態の場合、例えば6本の骨で構成されているが、これに特に限られるものでなく、6本よりも多くても少なくても良い。本実施形態の場合、親骨3は、例えば
図3(B)に示すようなコ形(チャネル状)の型材例えばアルミ型材などが使用されている。そして、可動ベンチレーション部15を構成する可動骨21が親骨3の溝の中に鉛直面に沿って翻転可能に収納され、第2の生地を介して浮揚力が加えられたときにのみ親骨3から飛び出す構造とされている。したがって、外観的には一般的なパラソルと変わりがないし、親骨3よりも下には可動骨21が回動することがないので、パラソルの下に居るユーザーに可動骨が当たる不測の事態を防ぐことができ、安全性も高い。尚、本実施形態において、親骨3としてはチャネル状型材が用いられているが、これに特に限られるものではなく、例えば角パイプの一面を部分的に切り欠いて可動骨21が揺動可能に収納される範囲ではチャネル状の断面とするようにしても良いし、可動骨21を外に配置する場合には全域が矩形断面の角パイプでも良い。
【0029】
可動骨21は、親骨3の一部領域を占めて生地2と直交する方向に揺動可能でかつ復元力を備えるように設けられている。可動骨21の長さは任意であるが、所望とする開口面積の風抜きを形成できる長さが適宜決められる。例えば、本実施形態の場合、親骨3と受骨5とが回転可能に繋がれる滑節(ダボ部とも呼ばれる)14から外周縁取り部17の直近の位置までに至る長さの角パイプが採用されている。そして、親骨3と受骨5とが連結される滑節14のピンあるいは軸(以下、枢軸33と呼ぶ)を用いて連結されている。したがって、可動骨21が枢軸33を中心に翻転するとき、滑節14から外周縁取り部17までの間で生地2が翻って空気を通わせるための通風口即ち可動ベンチレーション部(風抜き)15が形成される。尚、可動骨21は、本実施形態の場合、角パイプが用いられているがこれに特に限られるものではなく、必要に応じて適宜断面形状の骨材が使用される。また、本実施形態の場合、受骨5と親骨3とを連結する滑節14の枢軸33を利用して可動骨21を連結することで部品点数と作業工程の削減を図っているが、これに特に限られるものでは無く、独自の枢軸を用いて任意の位置例えば滑節14よりも固定ろくろ4側の位置あるいは露先き(外周縁)側の位置で可動骨21を親骨3に連結するようにしても良い。
【0030】
可動骨21の先端には、外周縁取り部17の第3の生地20の上まで突出する庇部材(張出し)26が備えられている。そして、この庇部材26に第2の生地19の端を固定することにより、可動ベンチレーション部15の第2の生地19が外周縁取り部17の第3の生地20の上に重なり、下に潜り込むのを防ぐことができるようにされている。庇部材26は、可動骨21の端部から外周縁取り部17の第3の生地20の上にまで延びる短冊状の板であり、可動ベンチレーション部15の第2の生地19を支える強度と耐候性を維持できるものであれば、金属製でも合成樹脂製でも良い。第2の生地19と庇部材26との連結は、第2の生地19の縫合箇所の外周側端部に縫い付けられたストラップ13を介してビス止めなどによって連結されている。
【0031】
また、可動骨21の基端側には、プーリー機能を有する端部キャップ27が備えられ、該端部キャップ27を介して親骨3に回動可能に連結されている。端部キャップ27は、本実施形態の場合、
図6に示すように、可動骨21から外に突出する部分に半円形のプーリー部32を有し、可動骨21の中に嵌め込まれる軸部37の上面と下面並びに可動骨21から外に突出する半円形のプーリー部32にかけてロープ28が通過するのに好適な溝例えば半円の溝34がU形に連続的に形成されている。溝34をU形に形成することにより、可動骨21に嵌め込んで固着する際の方向性がなくなるため作業効率が良くなる。端部キャップ27は、可動骨21の基端部側に嵌め込まれて連結ピン35によって固定される。また、この端部キャップ27のプーリー部32の中心には枢軸33を貫通させる孔36が設けられている。
【0032】
端部キャップ27の下側の溝34には、引っ張りコイルばね29に一端が繋がれたロープ28が通されている。例えば、本実施形態の場合、可動骨21側に引っ張りコイルばね29の一端のクリップ部分が軸31に引っ掛けられて係留される一方、引っ張りコイルばね29の他端のクリップ部分にロープ28が係留され、該ロープ28が端部キャップ27の溝34を経て親骨3の軸30に止め付けられている。したがって、可動骨21が親骨3の中に収まっている無風状態などではロープ28は単にキャップ27の溝34内を通過して親骨3の係止軸30と引っ張りコイルばね29との間でほぼ直線的に張られているだけであるが、可動骨21が枢軸33回りに回動して可動ベンチレーション部15が翻るときには、ロープ28が半円形のプーリー部32に巻掛けられるのでその迂回分だけ引っ張りばね29が引き延ばされる。このため、可動ベンチレーション部15の生地にかかる風が弱まると、引っ張りコイルばね29の力で引っ張られるロープ28の動きが、半円形のプーリー部32を介して可動骨21を元の位置に戻す回転に変換されて、可動骨21を元位置に復帰させる。尚、本実施形態では、可動骨21を復元させる動力源として、引っ張りばね29とロープ28及びプーリー部32とで構成される機構を用いているが、これに特に限られるものではなく、他の復元手段例えばトーションコイルばねを滑節(回転可能な連結点)の枢軸33上に備えても良い。
【0033】
尚、本実施形態におけるパラソル本体1の開閉は、アーム先端のユニバーサルジョイント10に吊り下げられている傘軸7に対して、ロープを介して吊り下げられている受骨用ろくろ6を昇降させることによって行われる。図示していないが、パラソル1はその中心から離れたところに立てられる支柱から迫り出されるアームの先端に吊り下げられ、支柱に備えられている巻取り具例えば手巻きウィンチによって巻き取られるロープがアームの先端から吊り下げられる筒状の傘軸7の中を通過して受骨用ろくろ6に取り付けられ、受骨用ろくろ6が巻き上げられて傘軸7の下端に嵌め込まれたときに、固定される。
【0034】
以上のように構成された本実施形態にかかるパラソルによれば、パラソルの基本的構成である、固定ろくろ、可動ろくろ、親骨並びに受骨をそのまま利用し、可動骨とその復元機構を備えるだけで済むので、特許文献1記載の発明のように、風抜きを作り出す副覆部が主覆部と連動して開閉する傘構造をとる場合に比べて、構造が簡易となり、追加部品点数も組み立て工数も少なく、コスト増加を抑えられる。
【0035】
また、本実施形態のパラソルによると、風が全くあるいは殆ど無い時には、可動ベンチレーション部15と固定ベンチレーション部16との間並びに可動ベンチレーション部15と外周縁取り部17との間のオーバーラップ領域24,25の隙間が閉じているので、雨が吹き込んだり太陽光が差し込むことがなく、パラソルとしての役目を十分に果たす。そして、ちょっとした風例えば微風が起きたりパラソル本体1の内側に熱気が籠もったりしたときには、固定ベンチレーション部16のオーバーラップ領域24が開いて熱気や風を逃がすことができる。また、場合によっては、可動ベンチレーション部15と外周縁取り部17との間のオーバーラップ領域25も僅かに開いて風を逃がすこともある。
【0036】
他方、第2の生地19が風を孕んだときに可動ベンチレーション部15が浮揚しあるいは翻ってパラソル本体1の生地2の一部に風抜きが設けられる。つまり、風が作用して生地が膨らむとき、可動ベンチレーション部15が浮揚しあるいは翻ることによって風を受け流す。このことから、風を受ける面積が少なくなって吹き上げ荷重が減少し、パラソルが飛ばされたり倒されたりし難くなる。しかも、パラソルの外周に近い所を翻らせるので、風圧を受ける生地の面積変化が大きいので、吹き上げに対する抑制効果が高くなる(風をかわす効果が高くなる)。さらに、風を受け流して風の影響をまともに受けなくしているので、パラソルの骨への負担を軽減して骨の急激な曲がりや折損を免れることができる。また、可動ベンチレーション部15は、上方へ翻るので、パラソル本体1の下にいるユーザーに対して可動ベンチレーション部15の骨21や生地19が衝突したり、接触することがなく、安全性が高い。
【0037】
また、本実施形態では、親骨3に固定されている外周縁取り部17によってパラソル本体1の外形(輪郭)が保たれるようにしているので、可動ベンチレーション部15が翻ったとしても、パラソルの輪郭に変化は表れない。このため、ユーザーに与える驚きが少なくて済む。つまり、パラソルが壊れたのではないかと、ユーザーを驚かせることが少ない。また、外周吊りテープ22を介して外周縁取り部17の第3の生地20と傘軸7とが連結されているので、パラソル本体1を閉じたときに、外周縁取り部17の生地20の親骨と親骨との間の中間点部分が大きく垂れ下がることがなく、パラソル本体1の収納時に外観を損ねることがない。
【0038】
さらに、風が弱まれば、浮揚しあるいは翻った可動ベンチレーション部15が復元力で自動的に原位置に復帰するので、パラソルとしての本来の機能を全面的に取り戻すことができる。つまり、風抜きが閉ざされることで、雨が吹き込んだり太陽光が差し込むことがなく、パラソルとしての役目を十分に果たすことができる。
【0039】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では使用位置において宙吊り状態でパラソル本体1の開閉が行われるタイプのパラソルに適用した例を挙げて本発明を主に説明したが、このタイプに限られず、例えば図示していないが、パラソル中心に支柱が存在するタイプのパラソルに適用しても良いことは言うまでもない。この場合、支柱の上部が傘軸7としての働きを成し、支柱の上端に骨用ろくろ4が固定されると共に、その下方で受骨用ろくろ6が支柱に沿って昇降するように嵌合されている。また、非開閉構造のパラソル(開いた状態のまま固定されている構造)、その他の構造のオーニングなどに適用することも可能である。さらには、手に持って使用される雨傘、日傘などにも適用できることは言うまでも無い。
【0040】
さらに、上述の実施形態における可動ベンチレーション部15は、1つの帯域に連続的に形成した例を挙げて主に説明されているが、これに特に限られるものでは無く、パラソルの内径側から外径側にかけて複数段の可動ベンチレーション部15を備え、生地と骨とが径方向に複数箇所で連結されるようにしても良い。この場合、風の強さに応じて段階的に可動ベンチレーション部が浮揚しあるいは翻って風を逃がす・受け流す構造とすることができる。
【0041】
また、上述の実施形態では、固定ベンチレーション部16と外周縁取り部17との間の帯域の全周を可動ベンチレーション部15として構成した例を挙げて主に説明したが、これに特に限られるものではなく、場合によっては、少なくとも一部の親骨3に可動骨21を備えて可動ベンチレーション部15を周方向に不連続に設けるようにしても良い。例えば放射状に拡がる親骨3と親骨3との間の生地を1つ置きに可動骨21に取り付けたり、あるいは可動ベンチレーション部15の位置を径方向にずらしたり、及び/又は可動ベンチレーション部15の長さを異ならせるようにしても良い。このような場合においても、パラソル1にかかる風を受け流してその影響を軽減できる。
【0042】
また、上述の実施形態では、可動骨21はチャネル状の親骨3の中に収容されているが、これに特に限られ限られず、例えば、親骨3の外に可動骨21が平行に並べられて揺動可能に連結されても良い。この場合には、親骨3よりも下に可動骨21が回転するのを規制するための位置決め軸を設けることが好ましい。
【0043】
また、上述の実施形態では、パラソル本体1は、傘軸7を中心に内側(傘の頂部側)から固定ベンチレーション部16、可動ベンチレーション部15、外周縁取り部17の順に配置された三部構成とされているが、これに特に限られず、場合によっては、外周縁取り部17を設けずに外周端にまで達する可動ベンチレーション部15と固定ベンチレーション部16との二部構成としても良いし、さらには固定ベンチレーション部16も設けずに生地2の一部が可動ベンチレーション部15を構成する構造としても良い。