特許第6795958号(P6795958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6795958
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/084 20060101AFI20201119BHJP
   F16L 37/23 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   F16L37/084
   F16L37/23
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-231819(P2016-231819)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-87622(P2018-87622A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】辻田 智
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/050929(WO,A1)
【文献】 特開2016−080134(JP,A)
【文献】 特開2012−159175(JP,A)
【文献】 実開昭51−069119(JP,U)
【文献】 実開昭59−051293(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0265316(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第105972360(CN,A)
【文献】 特開2017−161017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する配管部材を取り外し可能に連結する継手であって、
前端開口から後方に延在した挿入空間を画定する筒状側壁部及び後端壁部、該筒状側壁部の径方向で該筒状側壁部を貫通する施錠子保持孔、並びに該筒状側壁部の長手軸線の方向で該後端壁部を貫通する雌ねじ部を有する配管保持部材と、
該施錠子保持孔内に保持され、該筒状側壁部の内周面から内側に突出し該挿入空間内に挿入された配管部材に係合して該配管部材を係止する施錠位置と、該施錠位置よりも外側に位置し該配管部材の係止を解除する施錠解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
該配管保持部材の外周面上に配置され、該施錠子に径方向外側から係合して該施錠子を該施錠位置に保持する保持位置と、該保持位置から後方に変位して該施錠子が該施錠解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該長手軸線の方向で変位可能とされ、且つ該配管保持部材の周方向で回転可能とされたスリーブと、
雄ねじ部が形成された外周面を有し、該雄ねじ部により該配管保持部材の該雌ねじ部に螺合された流路部材であって、該挿入空間内に位置する前端開口から後方に延在する流路を有し、該配管部材が該挿入空間に挿入されて該施錠位置にある該施錠子により該挿入空間内に保持されている状態で該配管保持部材に対して相対的に該周方向に回動させることにより、該配管保持部材に対して前方に変位し、該配管部材の接続端面に当該流路部材の接続端面が密封係合して、当該流路部材の流路と該配管部材の流路とが連通するようにされた流路部材と、
該配管保持部材の外周面から径方向外側に突出するように該配管保持部材に取り付けられて、該流路部材を該配管保持部材に対して相対的に回動させるために作業者によって把持されるようにされたハンドル部材と、を備え、
前記スリーブが、後端部に該ハンドル部材を受け入れる切欠きを有しており、
該スリーブは、該周方向での回転位置が該切欠きと該ハンドル部材とが整合した整合位置にあるときには、該切欠きに該ハンドル部材を受け入れながら該保持位置から該解放位置にまで変位可能とされ、該回転位置が該切欠きと該ハンドル部材とが整合していない不整合位置にあるときには、該後端部が該ハンドル部材と干渉して該保持位置から該解放位置にまで変位することが阻止されるようにされた、継手。
【請求項2】
該配管保持部材が該ハンドル部材を摺動可能に収容するハンドル保持孔を有し、該ハンドル部材が該ハンドル保持孔に沿って該径方向に変位可能とされている、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
該ハンドル部材と該ハンドル保持孔との間に配置された摺動抵抗部材を有し、該ハンドル部材が該摺動抵抗部材による摺動抵抗力により該ハンドル保持孔に対して任意の径方向位置で静止するようにされた、請求項2に記載の継手。
【請求項4】
該流路部材の外周面上に周方向で回転可能に配置され、該径方向に延在する流路を有する回転流路連結部材をさらに備え、
該流路部材の流路が該流路部材の外周面に開口する開口部を有しており、
該回転流路連結部材は、該開口部を覆うように配置されて、当該回転流路連結部材の流路が該流路部材の流路と密封して連通した状態で該流路部材に対して回転するようにされた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の継手。
【請求項5】
該回転流路連結部材よりも後方の位置において、該流路部材を径方向に貫通し該流路部材の外周面から径方向外側に延在するようにして該流路部材に取り付けられた別のハンドル部材をさらに備える、請求項4に記載の継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する配管部材を取り外し可能に連結する継手に関する。
【背景技術】
【0002】
ソケットとプラグとからなる管継手において、プラグをソケット内に挿入することで連結が完了するようにされた、いわゆるワンタッチ式の管継手がよく知られている。このような管継手のソケットは、通常、プラグが挿入される挿入空間を画定する筒状側壁部と、筒状側壁部に形成された貫通孔内に保持された施錠子と、筒状側壁部の外周面に配置されて施錠子を外側から保持するスリーブとを備えている。スリーブは、施錠子をその一部が挿入空間内に突出してプラグを係止する位置に保持する保持位置と、施錠子が径方向外側に変位してプラグの係止を解除する位置との間で変位可能となっている。プラグをソケットに連結するためにソケットの挿入空間に挿入すると、施錠子がプラグを係止する位置に変位するとともにスリーブが保持位置に変位して施錠子をプラグに係止した位置に保持する。これと同時に、プラグはソケットの挿入空間内に配置されたシール部材に押圧されて、ソケットの流路とプラグの流路とが密封して連通した状態となる。これにより、プラグはソケットに連結された状態となる。この連結を解除する際には、スリーブを解放位置に変位させて施錠子がプラグとの係合が解除される位置にまで変位できる状態として、プラグをソケットから引き抜くようにする。
【0003】
また、特許文献1に示される同種の管継手においては、スリーブの後端部に切欠きが形成され、ソケットの外周面に径方向外側に突出するピンが配置されている。このスリーブは、切欠きがピンと整合する回転位置にあるときにのみ保持位置から解放位置に変位可能とされ、切欠きとピンとが整合していない回転位置にあるときにはスリーブの後端部がピンに干渉して保持位置から解放位置にまで変位できないようになっている。これにより、連結状態において誤ってスリーブが操作されて連結が不意に解除されることが防止されるようになっている。
【0004】
引用文献1のような管継手のソケットの構造を、工場などの配管の検査工程時にフランジ配管などの配管部材に別の配管を一時的に連結するための継手に利用したものもある。対象となる配管部材は、上述の管継手におけるプラグに比べて通常は大きな径を有しているため、それに連結される継手も必然的に大きなものとなる。また、配管部材と継手との間を密封するためのシール部材も配管部材の径に応じて大きなものとなる。連結操作において継手を配管部材に対して密封して連結するためにはシール部材を継手の接続端面と配管部材の接続端面との間である程度押し潰す必要があるが、それに必要な力はシール部材の径が大きくなるに従って大きくなる。そのため、上述の管継手のように継手を配管部材に係止して取り付けるときに同時にシール部材を押し潰して流路間を密封する構造になっていると、連結操作において大きな力が必要となり作業が非常に行い難くなる。
【0005】
そのため、配管部材に連結される継手において、継手を配管部材に係止して取り付ける操作と、シール部材を押し潰して流路間を密封して連通させる操作とを別々に行えるようにした継手も開発されている。このような継手は通常、挿入空間を画定する筒状側壁を有する配管保持部材と、流路を有し配管保持部材に螺合されて長手軸線の方向で変位可能とされた流路部材とを有している。このような継手を配管部材に連結する際には、まず配管部材を継手の挿入空間内に挿入して配管部材が施錠子により挿入空間内に保持された状態とし、次に流路部材を配管保持部材に対して回転させて配管部材に向かって変位させることで、配管部材の接続端面に流路部材の接続端面を押し付けてその間のシール部材を押し潰して互いに密封係合させる。これにより、配管部材の流路と流路部材の流路とが密封して連通した状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭51−69119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような配管部材に連結される継手において流路部材を回転させる操作は、上述のように比較的に大きな径を有する配管部材に合わせてシール部材が大きくなりそれを押し潰すのに必要な力が大きくなるとともに当該継手自体も大きくて重くなることもあり、配管部材の係止の操作と分離したとしても、比較的に大きな力が必要となる。そのため、回転操作はスパナなどの工具を利用して行われることもあるが、そのような工具なしで容易に操作が行えるようにするためにハンドルが設けられていることが望ましい。
【0008】
しかしながら、継手の配管保持部材には、その外周面上で長手軸線の方向に変位可能で且つ誤操作防止機能のために周方向にも回転可能なようにされたスリーブが配置されているため、このスリーブの変位を妨げないようにハンドルを配置しようとすると、通常はスリーブと干渉しないように解放位置にあるときのスリーブのさらに後方の位置にハンドルを設けることになる。そうすると、継手の特に長手軸線の方向での長さが大きくなり、またそれに伴って重量も大きくなってしまう。
【0009】
そこで本発明は、長手軸線の方向での大きさを増大させることなくハンドルを配置するようにした継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、
対応する配管部材を取り外し可能に連結する継手であって、
前端開口から後方に延在した挿入空間を画定する筒状側壁部及び後端壁部、該筒状側壁部の径方向で該筒状側壁部を貫通する施錠子保持孔、並びに該筒状側壁部の長手軸線の方向で該後端壁部を貫通する雌ねじ部を有する配管保持部材と、
該施錠子保持孔内に保持され、該筒状側壁部の内周面から内側に突出し該挿入空間内に挿入された配管部材に係合して該配管部材を係止する施錠位置と、該施錠位置よりも外側に位置し該配管部材の係止を解除する施錠解除位置との間で変位可能とされた施錠子と、
該配管保持部材の外周面上に配置され、該施錠子に径方向外側から係合して該施錠子を該施錠位置に保持する保持位置と、該保持位置から後方に変位して該施錠子が該施錠解除位置に変位することを許容する解放位置との間で該長手軸線の方向で変位可能とされ、且つ該配管保持部材の周方向で回転可能とされたスリーブと、
雄ねじ部が形成された外周面を有し、該雄ねじ部により該配管保持部材の該雌ねじ部に螺合された流路部材であって、該挿入空間内に位置する前端開口から後方に延在する流路を有する流路部材と、
該配管保持部材の外周面から径方向外側に突出するように該配管保持部材に取り付けられて作業者によって把持されるようにされたハンドル部材と、を備え、
該流路部材を該配管保持部材に対して相対的に該周方向に回動させることにより、該流路部材が該配管保持部材に対して前方に変位し、該挿入空間に挿入されて該施錠位置にある該施錠子により該挿入空間内に保持されている該配管部材の接続端面に該流路部材の接続端面が密封係合して、該流路部材の流路と該配管部材の流路とが連通するようにされた継手であって、
該スリーブが、後端部に該ハンドル部材を受け入れる切欠きを有しており、
該スリーブは、該周方向での回転位置が該切欠きと該ハンドル部材とが整合した整合位置にあるときには、該切欠きに該ハンドル部材を受け入れながら該保持位置から該解放位置にまで変位可能とされ、該回転位置が該切欠きと該ハンドル部材とが整合していない不整合位置にあるときには、該後端部が該ハンドル部材と干渉して該保持位置から該解放位置にまで変位することが阻止されるようにされた、継手を提供する。
【0011】
当該継手においては、スリーブが保持位置から解放位置に変位するときに配管保持部材に取り付けられたハンドル部材がスリーブの切欠きに受け入れられるようになっているため、ハンドル部材は、配管保持部材の長手軸線の方向での長さを大きくすることなく配置することが可能となる。また、スリーブはその回転位置を不整合位置とすることによりその後端部がハンドル部材と干渉して解放位置に変位することが阻止されるようになっているため、ハンドル部材によってスリーブの誤操作防止機能を有するようにもなる。すなわち、当該継手においては、誤操作防止機能のために従来技術においては必要であったスリーブに干渉するピンを別途設ける必要がない。
【0012】
好ましくは、該配管保持部材が該ハンドル部材を摺動可能に収容するハンドル保持孔を有し、該ハンドル部材が該ハンドル保持孔に沿って該径方向に変位可能とされているようにすることができる。
【0013】
このような構成により、当該継手を持ち運んだり、配管部材に取り付けた状態で保持しておいたりするときには、ハンドル部材を配管保持部材のハンドル保持孔内に押し込んで配管保持部材の外周面からの突出量を小さくしておき、ハンドル部材が邪魔にならないようにすることが可能となる。また、流路部材を配管保持部材に対して回転させる操作を行うときにはハンドル部材を大きく引き出して作業者が把持しやすいようにすることが可能となる。
【0014】
好ましくは、該ハンドル部材と該ハンドル保持孔との間に配置された摺動抵抗部材を有し、該ハンドル部材が該摺動抵抗部材による摺動抵抗力により該ハンドル保持孔に対して任意の径方向位置で静止するようにすることができる。
【0015】
このような構成により、ハンドル部材が重力により意図せず変位してしまうことを防止することが可能となる。
【0016】
好ましくは、
該流路部材の外周面上に周方向で回転可能に配置され、該径方向に延在する流路を有する回転流路連結部材をさらに備え、
該流路部材の流路が該流路部材の外周面に開口する開口部を有しており、
該回転流路連結部材は、該開口部を覆うように配置されて、当該回転流路連結部材の流路が該流路部材の流路と密封して連通した状態で該流路部材に対して回転するようにすることができる。
【0017】
当該継手を介して配管部材に流体を供給するための配管を回転流路連結部材に接続するようにすることにより、流路部材を回転させたときに該配管が一緒に回転して捻れることを防止することが可能となる。
【0018】
好ましくは、該回転流路連結部材よりも後方の位置において、該流路部材を径方向に貫通し該流路部材の外周面から径方向外側に延在するようにして該流路部材に取り付けられた別のハンドル部材をさらに備えるようにすることができる。
【0019】
流路部材の側にもハンドル部材を設けることにより、流路部材を配管保持部材に対して回転させる操作をより容易に行うことが可能となる。
【0020】
以下、本発明に係る継手の実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る継手の連結前の状態を示す図である。
図2図1の継手の挿入空間内に配管部材のフランジが挿入されて、フランジが挿入空間内に保持されている状態を示す図である。
図3図1の継手の流路と配管部材の流路とが密封して連通されている状態を示す図である。
図4図1の継手による配管部材の連結が完了した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る継手10は、図1に示すようなフランジ2を有する配管部材1を取り外し可能に連結するものであり、配管部材1のフランジ2を受け入れる挿入空間20を有する配管保持部材12と、配管部材1の流路3に連通接続される流路62を有する流路部材50とを備えている。
【0023】
配管保持部材12は、筒状側壁部14と後端壁部16とを有し、これら筒状側壁部14と後端壁部16とにより前端開口18から後方に延在した挿入空間20が画定される。筒状側壁部14にはその径方向に貫通する施錠子保持孔22が形成されており、その中に球状の施錠子24が保持されている。また後端壁部16には長手軸線Lの方向に貫通する雌ねじ部26が形成されている。施錠子保持孔22内に保持された施錠子24は、筒状側壁部14の内周面14aから内側に突出した施錠位置(図2−4)とこの施錠位置よりも外側に位置し実質的に筒状側壁部14の内周面14aから突出していない施錠解除位置(図1)との間で変位する。挿入空間20内には、スプリング28によって前方に付勢されているスライド部材30が設けられており、図1の非連結状態においては、施錠子24はこのスライド部材30によって径方向内側から支持されて施錠解除位置に保持されている。
【0024】
配管保持部材12の外周面12a上にはスリーブ32が配置されている。スリーブ32は施錠子24に径方向外側から係合して施錠子24を施錠位置に保持する保持位置(図2−4)と、保持位置から後方に変位して施錠子24が施錠解除位置に変位することを許容する解放位置(図1)との間で長手軸線Lの方向で変位可能となっている。また、スリーブ32はスプリング34によって前方に向かって、すなわち保持位置に向かって付勢されている。図1の非連結状態においては、スリーブ32の前端の施錠子受入凹部36が、スライド部材30によって施錠解除位置に保持されている施錠子24に係合することにより、スリーブ32は解放位置に保持されている。
【0025】
配管保持部材12には径方向に延びるハンドル保持孔38が形成されており、このハンドル保持孔38に円柱状のハンドル部材40が保持されている。ハンドル部材40はハンドル保持孔38に沿って配管保持部材12の径方向でその大部分がハンドル保持孔38内に収容されている位置(図1図2図4)とそこから径方向外側に大きく突出した位置(図3)との間で変位可能となっている。ハンドル部材40には、その円周側面40aにその軸方向に延びる溝40bが形成されている。配管保持部材12には、ハンドル保持孔38内に部分的に突出するようにボルト42が取り付けられている。このボルト42はハンドル部材40の溝40b内にまで延びるように取り付けられている。ハンドル部材40が径方向外側に変位したときには、図3に示すようにボルト42が溝40bの下端の段部40cに係合することにより、ハンドル部材40がハンドル保持孔38から抜けてしまうのを防止している。また、ハンドル部材40が回転しようとしたときには、ボルト42が溝40bの側壁に係合することにより、その回転が防止されるようにもなっている。ハンドル部材40の円周側面40aには環状の溝40dが形成されており、この環状の溝40dに摺動抵抗部材としてゴム製のOリング44が取り付けられている。このOリング44によってハンドル部材40とハンドル保持孔38との間に摺動摩擦抵抗が生じるようになっている。ハンドル部材40はOリング44による摺動摩擦抵抗によって任意の位置に静止するようになっている。配管保持部材12にはさらに、ハンドル保持孔38の下端部分から配管保持部材12の後端面12bにまで延びる空気穴46が形成されている。この空気穴46は、Oリング44によってハンドル保持孔38の内周面に対して密封されているハンドル部材40を変位させたときに、ハンドル保持孔38に対して空気を出し入れするためのものである。
【0026】
スリーブ32の後端部32aには切欠き48が形成されており、スリーブ32が解放位置にあるときには、図1に示すように、切欠き48がハンドル部材40を受け入れるようになっている。
【0027】
流路部材50は、その外周面50aに雄ねじ部52を有しており、この雄ねじ部52が配管保持部材12の雌ねじ部26に螺合されることによって配管保持部材12に取り付けられている。挿入空間20の中に位置する流路部材50の前端面である接続端面54には、配管部材1の接続端面4と密封係合するためのシール部材56が取り付けられている。また流路部材50には、接続端面54に形成された前端開口58から後方に延在し外周面50aに開口している開口部60にまで至る流路62が形成されている。この流路62は、前端開口58から後方に延びる第1流路部62aと、第1流路部62aの後端付近において径方向に延びる4つ(図面上には2つのみが見える)の第2流路部62bと、外周面50a上で周方向に延びて4つの第2流路部62bと連通する溝状の第3流路部62cとからなっている。従って開口部60は、円周方向に1周する帯状となっている。
【0028】
流路部材50の外周面50a上には周方向で回転可能に配置された回転流路連結部材64が設けられている。回転流路連結部材64には径方向に延在する1つの流路66が形成されている。回転流路連結部材64の内周面は、2つのシール部材68により、流路部材50の外周面50aに密封係合されている。流路部材50の流路62の開口部60は円周方向で連続した帯状となっているため、回転流路連結部材64の流路66は、回転流路連結部材64が周方向でのどの位置にあっても流路部材50の流路62と密封して連通した状態を維持できる。すなわち回転流路連結部材64は、その流路66を流路部材50の流路62と密封して連通させた状態で回転することができるようになっている。
【0029】
流路部材50にはさらに、回転流路連結部材64よりも後方の位置において流路部材50を径方向に貫通して配置された棒状の別のハンドル部材70が取り付けられている。このハンドル部材70は、その両端が流路部材50の外周面50aの外方に位置するように、外周面50aから径方向外側に延在している。
【0030】
当該継手10を対応する配管部材1に連結するときには、図1の状態から、配管部材1のフランジ2を挿入空間20内に挿入するように当該継手10を配管部材1に近づける。そうすると、フランジ2の接続端面4によってスライド部材30が後方に押されていく。フランジ2が施錠子24を通過した位置にまで挿入されると、図2に示すように、施錠子24はスリーブ32によって押されて径方向内側に変位して施錠位置となる。それと同時にスリーブ32はスプリング34の付勢力によって前方に向かって保持位置にまで変位して、施錠子24を施錠位置に保持する。これによって、配管部材1は、フランジ2が挿入空間20内に保持されて、挿入空間20から引き抜くことができない状態となる。ただしこの時点においては、流路部材50の接続端面54と配管部材1の接続端面4との間には隙間が形成されうる状態となっており、流路部材50と配管部材1とはまだ密封係合されていない。
【0031】
次に、配管保持部材12の側のハンドル部材40を径方向外側に引き出して把持するとともに、流路部材50側のハンドル部材40も把持して、流路部材50を配管保持部材12に対して相対的に回転させる。そうすると、流路部材50は配管保持部材12に対して前方に変位して、図3に示すように、配管部材1の接続端面4がシール部材56を介して配管部材1の接続端面4に密封係合した状態となる。これにより、流路部材50の流路62が配管部材1の流路3と密封して連通した連結状態となる。なお、回転流路連結部材64の流路66に流体を供給するための配管(図示しない)が既に接続されている場合には、流路部材50を回転させたときには回転流路連結部材64が流路部材50に対して回転するため、配管が流路部材50とともに回転して捻れることが防止される。または、回転流路連結部材64に管継手(図示しない)が取り付けられていて、当該継手10の連結が完了した後に管継手を介して配管を連結するようにしている場合には、連結完了後に回転流路連結部材64を回転させて管継手を配管の接続がしやすい任意の位置とすることができる。
【0032】
連結状態においては、径方向外側に大きく飛び出しているハンドル部材40が邪魔にならないように、ハンドル部材40を径方向内側に押し込んで、図4に示すようにハンドル保持孔38内にその大部分が収容された状態としてもよい。
【0033】
図2に示すように配管部材1のフランジ2が挿入空間20内に保持された後に、スリーブ32を周方向に回転させて切欠き48とハンドル部材40とが整合していない不整合位置(図3図4)とすることにより、スリーブ32の誤操作によって連結が不意に解除されてしまうことを防止することができる。すなわちスリーブ32を不整合位置とすることにより、スリーブ32を後方に解放位置に向かって変位させようとしたときにスリーブ32の後端部32aがハンドル部材70と干渉するようになるため、スリーブ32は解放位置にまで変位することができない状態となる。よって、スリーブ32に誤って後方への力が作用したとしても連結が解除されてしまうことがない。
【0034】
連結を解除する際には、上述の連結操作と逆の操作を行えばよい。すなわち、配管保持部材12の側のハンドル部材40を径方向外側に引き出して(図3)、流路部材50を回転させて流路部材50の接続端面54と配管部材1の接続端面4との密封係合を解除するとともに、スリーブ32を切欠き48がハンドル部材40と整合する整合位置にまで回転させ(図2)、さらにスリーブ32を後方に向かって解放位置にまで変位させて、配管部材1を挿入空間20から引き出すようにする(図1)。なお、スリーブ32を解放位置に変位させるときに、ハンドル部材40は切欠き48内に受け入れられる。
【0035】
当該継手10においては、スリーブ32が保持位置から解放位置に変位するときに配管保持部材12に取り付けられたハンドル部材40がスリーブ32の切欠き48に受け入れられるようになっているため、ハンドル部材40は、配管保持部材12の長手軸線Lの方向での長さを大きくしない位置に配置することが可能となる。また、連結状態においてスリーブ32を回転させて切欠き48とハンドル部材40とが整合していない不整合位置とすることにより、スリーブ32の後端部32aがハンドル部材40と干渉して、スリーブ32を解放位置にまで変位させることができない状態となる。すなわち、ハンドル部材40によってスリーブ32の誤操作を防止する機能をもたらすことも可能となる。このような構造により従来技術においては必要であったスリーブに干渉するピンを別途設ける必要がなくなる。
【0036】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、当該継手10に連結される配管部材1は必ずしもフランジ2を有するものでなくてもよい。また、流路部材50の側のハンドル部材70を流路部材50を貫通しないような形状及び配置として、流路62を長手軸線Lの方向に真っ直ぐに伸びる直線状の流路としてもよい。さらには、配管保持部材12側のハンドル部材40を配管保持部材12に固定して、径方向に変位しないものとしてもよいし、摺動抵抗部材としてのOリング44はハンドル保持孔38に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
配管部材1;フランジ2;流路3;接続端面4;
継手10;配管保持部材12;外周面12a;後端面12b;筒状側壁部14;内周面14a;後端壁部16;前端開口18;挿入空間20;施錠子保持孔22;施錠子24;雌ねじ部26;スプリング28;スライド部材30;スリーブ32;後端部32a;スプリング34;施錠子受入凹部36;ハンドル保持孔38;ハンドル部材40;円周側面40a;溝40b;段部40c;環状の溝40d;ボルト42;Oリング44;空気穴46;切欠き48;流路部材50;外周面50a;雄ねじ部52;接続端面54;シール部材56;前端開口58;開口部60;流路62;第1流路部62a;第2流路部62b;第3流路部62c;回転流路連結部材64;流路66;シール部材68;ハンドル部材70;長手軸線L;
図1
図2
図3
図4