(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、料金所のスペースを十分に確保することができなくなっている。例えば、料金所の入口から料金自動収受器までの距離を7メートルしか確保できないことがある。このような場合、大型貨物車などの全長が7メートルを超える車両が料金所に進入すると、車尾が料金所に進入し終えないまま、車頭が料金自動収受機に達してしまう。例えば、フルトレーラの全長の最大値は18メートルである。このとき、車両の車種を判別する車種判別装置は、車軸数の計測が完了しないまま車両の車種を判別しなければならない。
【0005】
車種を判別するためには牽引の有無を特定する必要があるところ、車軸数の計測が完了していない場合、特許文献1に記載の方法を用いて牽引の有無を特定することができない。特許文献1では、車軸数が3である場合と車軸数が4である場合とで異なる手法により牽引の有無を判定している。しかしながら、車軸数の計測が未完了である場合、何れの手法により牽引の有無を判定すべきかを特定することができない。例えば、ある時点で3つの車軸を検知できたとしても、車軸数が4以上である可能性を排除することはできない。
本発明の目的は、車軸数の計測が完了しない場合にも牽引の有無を判定することができる牽引判定装置、牽引判定方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、牽引判定装置(50)は、車両(A)の車軸に関する情報である車軸情報を取得する車軸情報取得部(502)と、前記車両の車長を示す車長情報を取得する車長情報取得部(504)と、前記車軸情報に基づいて前記車両の後車軸のうち最も前方に設けられた車軸である最前後車軸の位置である最前後車軸位置を特定する車軸特定部(505)と、前記車両の最前後車軸位置が前記車両の車長に対する所定の割合の位置よりも前方に位置する場合に、前記車両が被牽引車両を牽引している牽引車両であると判定する牽引判定部(507)とを備える。
後車軸群により単車両を支持する場合、後車軸群が車両の所定の割合の位置よりも後方に位置する必要があるところ、所定の割合の位置よりも前方に位置する後車軸群により車両が支持できているということは、先頭車両の後方に、自らの車軸により支持される被牽引車両が接続されている蓋然性が高い。これにより、牽引判定装置は、少なくとも最前後車軸を検知することができれば、車軸数の計測が完了していなくても、牽引の有無を判定することができる。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る牽引判定装置は、前記車軸情報は、前記車軸に係る車輪が複輪であるか否かを示す情報を含み、前記車軸特定部は、前記車両の複数の車軸のうち、複輪の車軸であり、かつ直前の車軸が単輪である車軸の位置を、最前後車軸位置として特定するものであってよい。
これは、複輪の車軸は後車軸群に設けられ、前車軸群には複輪に係る車軸が存在しないためである。これにより、牽引判定装置は、精度よく最前後車軸位置を特定することができる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る牽引判定装置は、前記車軸情報は、前記車両の車軸どうしの間隔を示す情報を含み、前記車軸特定部は、前記車両の複数の車軸のうち、直前の車軸との間の距離が所定の閾値以上である車軸の位置を、最前後車軸位置として特定するものであってよい。これは、前車軸群に係る車軸どうしの間隔、および前車軸群の最後車軸と後車軸群の最前車軸との間隔の取り得る範囲が統計的に予測可能であり、さらに前車軸群に係る車軸どうしの間隔が前車軸群の最後車軸と後車軸群の最前車軸との間隔より短いためである。これにより、牽引判定装置は、精度よく最前後車軸位置を特定することができる。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係る牽引判定装置は、前記車両の車軸が道路上の所定の検知位置に位置することを検知する車軸検知部と、前記車軸検知部が前記車軸を検知したときの前記車両の車頭位置を特定する車頭特定部とをさらに備え、前記車軸特定部は、前記検知位置と前記車頭位置とに基づいて、前記車軸検知部が検知した前記車軸の位置を特定するものであってよい。車頭位置は車長を計測する機器により計測できるため、牽引判定装置は、特殊な機器を用いることなく車軸位置を特定することができる。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、牽引判定方法は、車両の車軸に関する情報である車軸情報を取得することと、前記車両の車長を示す車長情報を取得することと、前記車軸情報に基づいて前記車両の後車軸のうち最も前方に設けられた車軸である最前後車軸の位置である最前後車軸位置を特定することと、前記車両の最前後車軸位置が前記車両の車長に対する所定の割合の位置よりも前方に位置する場合に、前記車両が被牽引車両を牽引している牽引車両であると判定することとを有する。
【0011】
本発明の第6の態様によれば、プログラムは、コンピュータ(90)に、車両の車軸に関する情報である車軸情報を取得することと、前記車両の車長を示す車長情報を取得することと、前記車軸情報に基づいて前記車両の後車軸のうち最も前方に設けられた車軸である最前後車軸の位置である最前後車軸位置を特定することと、前記車両の最前後車軸位置が前記車両の車長に対する所定の割合の位置よりも前方に位置する場合に、前記車両が被牽引車両を牽引している牽引車両であると判定することとを実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、牽引判定装置は、少なくとも最前後車軸を検知することができれば、車軸数の計測が完了していなくても、牽引の有無を判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら第1の実施形態について詳しく説明する。
【0015】
《全体構成》
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す俯瞰図である。
料金収受システム1は、有料道路の料金所に設けられ、有料道路の利用者から当該利用者が乗車する車両Aの車種区分に応じた額の料金の収受を行うシステムである。料金所は、車両Aが走行する車線Lと、車線Lの両側に敷設されるアイランドIとを備えるスペースである。アイランドIには、有人ブースBと料金収受システム1を構成する各種装置が設置されている。
以下、車線Lが延在する方向(
図1における±X方向)を「車線方向」という。車線Lの車線方向における料金所の入口側(
図1における+X方向側)を「上流側」または、「車線方向手前側」という。車線Lの車線方向における料金所の出口側(
図1における−X方向側)を「下流側」、または「車線方向奥側」という。
【0016】
料金収受システム1は、車両分離器10、車種判別用踏板20、ナンバープレート認識装置30、レーザースキャナ40、車種判別装置50、料金収受機60を備える。
【0017】
車両分離器10は、光センサにより各車両Aを分離して検知する装置である。車線Lの車線方向の最も入口側に設置され、車線Lの両側に設けられた一対の透過型光センサアレイである投光器アレイおよび受光器アレイを備える。投光器アレイは、垂直方向に並べられた複数の投光器を備える。受光器アレイは、垂直方向に並べられた複数の受光器を備える。投光器アレイは、受光器アレイに対して複数の光線を出射する。例えば、投光器アレイの各投光器には時分割された投光タイミングがそれぞれ割り当てられ、各投光器は割り当てられた投光タイミングにおいて光線を出射する。受光器アレイは投光器アレイから出射された光線を受光する。車両分離器10は、受光器アレイで光線が検知されなくなったときから、再び検知されるようになったときまで、同一の車両Aが一対の透過型光センサアレイの間を通過していると判定する。
【0018】
車種判別用踏板20は、車線Lのうち車両分離器10の一対の透過型光センサアレイで挟まれた箇所に設けられる。車種判別用踏板20は、料金所の車線Lに進入してきた車両Aのタイヤ幅およびトレッドを検出する装置である。車種判別用踏板20は、進入してきた車両Aに踏まれることで車両Aの軸数、タイヤ幅およびトレッドを検知する。車種判別用踏板20が検出したタイヤが複輪(ダブルタイヤ)である場合、車種判別用踏板20は、その内側のタイヤの最も内側の面と、その外側のタイヤの最も外側の面との距離を、タイヤ幅として検出する。車種判別用踏板20は、進入してきた車両Aに踏まれる度に、検出した情報を車軸情報として車種判別装置50に出力する。複輪とは、車両Aの1車軸の片側に2個の車輪を付けた状態をいう。
【0019】
ナンバープレート認識装置30は、車線Lを走行する車両Aの車体を正面側(車線方向奥側)から撮影可能な位置に設けられている。ナンバープレート認識装置30は、車両分離器10から車両Aの進入を示す検知信号が出力されたタイミングで車両Aを正面側から撮影し、車両Aのナンバープレートを含んだ画像データを取得する。ナンバープレート認識装置30は、取得した画像データに所定の画像認識処理を施して、車両Aのナンバープレート情報(以下、「NP情報」と記載)を生成する。NP情報は、車両Aに取り付けられたナンバープレートの大きさ(プレートサイズ)、当該ナンバープレートに刻印された分類番号を含む。
【0020】
レーザースキャナ40は、車線Lを跨ぐガントリ等に設置されることで、車線Lの上方に設置される。レーザースキャナ40は、車線方向に光線を走査し、その反射光に基づいて車両Aの車体に係る情報である車体情報を取得する。車体情報は、車両Aの車頭位置、車高および車長を含む。ここで、車長とは、車両Aの車頭から車尾までの距離(全長)であり、車両Aが連結車両である場合、牽引車の車頭から最後尾の被牽引車の車尾までの距離(連結全長)をいう。レーザースキャナ40は、車線方向の複数の計測点の高さを計測することができる。これにより、レーザースキャナ40は、複数の計測点のうち、所定の高さ以上の点が計測された点であって、最も車線方向奥側の点を、車両Aの車頭位置として特定することができる。レーザースキャナ40は、所定の高さ以上の点が連続する範囲の長さを、車両Aの車長として特定することができる。レーザースキャナ40は、複数の計測点において計測された高さのうち最も高いものを車両Aの車高として特定することができる。
【0021】
車種判別装置50は、車両分離器10、車種判別用踏板20、ナンバープレート認識装置30、およびレーザースキャナ40が取得した情報に基づいて車両Aの車種を判別する。このとき、車種判別装置50は、車両Aの牽引の有無を判定する。車種判別装置50は、牽引判定装置としての機能を有する。
【0022】
料金収受機60は、有人ブースB内に設けられ、収受員により操作される。料金収受機60は、車種判別装置50が判別した車種に基づいて車両Aに対し料金収受処理を行う。
【0023】
《車種判別装置の機能構成》
図2は、第1の実施形態に係る車種判別装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
車種判別装置50は、存在判定部501、車軸情報取得部502、NP情報取得部503、車体情報取得部504、車軸特定部505、車両情報記憶部506、牽引判定部507、車種判別部508を備える。
存在判定部501は、車両分離器10から車両の進入の検知信号を取得し、車両分離器10の一対の透過型光センサアレイの間に車両Aが存在するか否かを判定する。
車軸情報取得部502は、車両の車軸に関する情報である車軸情報を車種判別用踏板20から取得する。車軸情報には、車軸カウント数、タイヤ幅およびトレッドが含まれる。
NP情報取得部503は、ナンバープレート認識装置30からNP情報を取得する。
車体情報取得部504は、レーザースキャナ40から車体情報を取得する。車体情報は車長情報を含む。つまり、車体情報取得部504は、車長情報取得部としての機能を有する。
【0024】
車軸特定部505は、車軸情報と車体情報とに基づいて各車軸が設けられた位置を特定する。また車軸特定部505は、車軸情報に基づいて各車軸が車両Aの前車軸群に係る車軸であるか後車軸群に係る車軸であるかを特定する。前車軸群とは、前車軸またはタンデム式前車軸を構成する各車軸(前前車軸および前後車軸)である。後車軸群とは、後車軸またはタンデム式後車軸を構成する各車軸(後前車軸および後後車軸)である。ここで、後前車軸は、車両Aの後車軸のうち最も前方に設けられた車軸である最前後車軸に相当する。
車両情報記憶部506は、車種判別の対象の車両Aに係る情報を記憶する。具体的には、車両情報記憶部506は、トレッド、NP情報、車長、1軸目車高、各車軸の軸位置、および各車軸が複輪であるか否かを示す情報を記憶する。
牽引判定部507は、車両Aの車長と車軸特定部505が特定した車軸の位置のうち、最前後車軸の位置とに基づいて、車両Aが被牽引車両を牽引している牽引車両であるか否か(連結車両であるか否か)を判定する。
車種判別部508は、車軸情報、NP情報、車体情報、および牽引判定部507の判定結果に基づいて車両Aの車種を判別する。車種判別部508は、車種の判別結果を料金収受機60に出力する。
【0025】
《車種判別装置の動作》
図3は、第1の実施形態に係る車種判別装置の動作を示すフローチャートである。
車両分離器10、車種判別用踏板20、ナンバープレート認識装置30、およびレーザースキャナ40は、計測結果を車種判別装置50に逐次送信する。車種判別装置50は、車両分離器10、車種判別用踏板20、ナンバープレート認識装置30、およびレーザースキャナ40から計測結果を受信し、以下に示す車種判別処理を実行する。
【0026】
車種判別装置50の存在判定部501は、車両分離器10から受信する信号に基づいて、車両分離器10が車両Aを検知したか否かを判定する(ステップS1)。つまり、存在判定部501は、車両分離器10の受光器アレイにおいて光線が検知される状態から、検知されない状態に遷移したか否かを判定する。車両分離器10が車両Aを検知していない場合(ステップS1:NO)、ステップS1に処理を戻し、進入検知の判定を繰り返し実行する。車両分離器10が車両Aを検知した場合(ステップS1:YES)、NP情報取得部503は、ナンバープレート認識装置30からNP情報を取得し、NP情報を車両情報記憶部506に記録する(ステップS2)。また車体情報取得部504は、レーザースキャナ40から車体情報を取得し、車両情報記憶部506が記憶する車長を、車体情報に含まれる車長で更新する(ステップS3)。
【0027】
車軸情報取得部502は、車種判別用踏板20から車軸情報が入力されたか否かを判定する(ステップS4)。車軸情報が入力された場合(ステップS4:YES)、車軸特定部505は、検知された車軸のカウント値を算出する(ステップS5)。例えば、ステップS4で取得した車軸情報が、ステップS1で車両Aの進入を検知後、最初に取得されたものである場合、車軸特定部505は、当該車軸情報が示す車軸が1軸目の車軸(カウント値=「1」)であると判定する。また、既に同一の車両Aに係る車軸情報が取得されている場合、車軸特定部505は、先に取得された車軸情報に係る車軸のカウント値に「1」を加えた値を、当該車軸のカウント値として算出する。
【0028】
次に、車軸特定部505は、最後に取得された車体情報に含まれる車頭位置と、車種判別用踏板20の設置位置(既知)との距離を算出することで、車頭から検知された車軸までの距離を示す軸位置を算出する(ステップS6)。車体情報は、ステップS1で車両分離器10が車両Aの進入を検知してから、後述のステップS11で車両分離器10が車両Aの分離を検知するまで、または後述のステップS15で牽引判定部507が車種判別指示を受信するまで、断続的に取得され続ける。そのため、ステップS4で車軸情報が入力されたと判定したときにおける「最後に取得された車体情報」とは、車軸情報が入力されたタイミングで取得された車体情報と等価である。次に、車軸特定部505は、車軸情報に含まれるタイヤ幅に基づいて検知された車軸に係る車輪が複輪であるか否かを判定する(ステップS7)。具体的には、車軸特定部505は、タイヤ幅が一定値(例えば、300ミリメートル)以上である場合に、車輪が複輪であると判定し、車軸特定部505は、タイヤ幅が一定値未満である場合に、車輪が単輪であると判定する。
そして、車軸特定部505は、ステップS6で算出した軸位置およびステップS7で判定した複輪であるか否かを示す情報を、ステップS5で算出したカウント値に関連付けて、車両情報記憶部506に記録する(ステップS8)。
【0029】
次に、車軸特定部505は、ステップS4で入力された車軸情報が示す車軸が、車両Aの1軸目に係る車軸であるか否かを判定する(ステップS9)。つまり、車軸特定部505は、ステップS5で算出されたカウント値が「1」であるか否かを判定する。カウント値が「1」である場合(ステップS9:YES)、車軸特定部505は、ステップS3で取得した車体情報に含まれる車高を、1軸目車高として車両情報記憶部506に記録する(ステップS10)。
【0030】
ステップS4で車軸情報が入力されていない場合(ステップS4:NO)、ステップS9においてカウント値が「2」以上である場合(ステップS9:NO)、およびステップS10で1軸目車高を記録した場合、車種判別装置50は、以下の処理を実行する。
車種判別装置50の存在判定部501は、車両分離器10から受信する信号に基づいて、車両分離器10が車両Aの分離を検知したか否かを判定する(ステップS11)。つまり、存在判定部501は、車両分離器10の受光器アレイにおいて光線が検知されない状態から、再び検知される状態に遷移したか否かを判定する。車両分離器10が車両Aの分離を検知した場合(ステップS11:YES)、後述する牽引判定処理を実行する(ステップS12)。牽引判定処理は、車両情報記憶部506が記憶する情報に基づいて車両Aの牽引の有無を判定する処理である。
【0031】
次に、車種判別部508は、車両情報記憶部506が記憶する情報および牽引判定処理の結果に基づいて車種を判別する(ステップS13)。具体的には、車種判別部508は、車両Aの基本車種を「軽自動車または二輪車」、「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」の何れかに分類する。例えば、車種判別部508は、分類番号の上一桁が「3」である場合、または分類番号の上一桁が「4」〜「7」の何れかであり、かつかつ車長が軽自動車規格の車長を超過する場合に、車両Aの基本車種を「普通車」に分類する。例えば、車種判別部508は、プレートサイズが中板であり、かつ分類番号の上一桁が「1」または「2」である場合に、車両Aの基本車種を「中型車」に分類する。例えば、車種判別部508は、プレートサイズが大板であり、かつ分類番号の上一桁が「1」であり、かつ連結車両でない場合に、車両Aの基本車種を「大型車」に分類する。例えば、車種判別部508は、プレートサイズが大板であり、かつ分類番号の上一桁が「1」であり、かつ連結車両である場合に、車両Aの基本車種を「特大車」に分類する。また車種判別部508は、基本車種が「軽自動車または二輪車」、「普通車」または「中型車」であり、かつ連結車両である場合に、車両Aの車種を基本車種からランクアップしたものとして特定する。
そして、車種判別部508は、車種判別結果を、料金収受機60に出力する(ステップS14)。これにより、料金収受機60は、車種判別結果に基づいて料金の計算を行うことができる。
【0032】
一方、車両Aの車長が車両分離器10から有人ブースBまでの距離(例えば、7メートル)より長いために、車両分離器10が車両Aの分離を検知する前に、車両Aの車頭が有人ブースBに到達することがある。この場合、有人ブースBの収受員が、料金収受機60に設けられた図示しない車種判別開始スイッチを押下することで、車種判別装置50に車種判別処理を実行させることができる。料金収受機60の車種判別開始スイッチが押下されると、料金収受機60は、車種判別装置50に車種判別処理の開始指示を出力する。
そのため、ステップS11において車両分離器10が車両Aの分離を検知していない場合(ステップS11:NO)、牽引判定部507は、車種判別指示を受信したか否かを判定する(ステップS15)。牽引判定部507は、車種判別指示を受信した場合(ステップS15:YES)、ステップS12の牽引判定処理を実行する。他方、牽引判定部507は、車種判別指示を受信していない場合(ステップS15:NO)、ステップS3に戻り、車体情報の取得処理を繰り返し実行する。
【0033】
《車種判別装置による牽引判定方法》
上述したステップS12による牽引判定処理について図を用いて詳細に説明する。
図4は、第1の実施形態に係る牽引判定処理を示すフローチャートである。
牽引判定部507は、車両情報記憶部506が記憶する車軸のカウント値に基づいて、検出された車軸の数が1より多いか否かを判定する(ステップS101)。検出された車軸の数が1以下である場合(ステップS101:NO)、車両Aの後軸が未検出であることがわかる。そのため、牽引判定部507は、当該車両Aの最前後車軸位置を、車両計測領域長(車種判別用踏板20の設置位置と有人ブースBの設置位置との間の距離)とみなす(ステップS102)。
【0034】
検出された車軸の数が1より多い場合(ステップS101:YES)、牽引判定部507は、車両情報記憶部506が記憶する1軸目車高が2.0メートル(「軽自動車または二輪車」および「普通車」の最大車高)を超えるか否かを判定する(ステップS103)。これにより、セミトレーラー用トラクターやフルトレーラ―用トラクターなどの「中型車」、「大型車」または「特大車」の牽引車の判別をすべきか、キャンピングトレーラーなどの被牽引車両を牽引する「軽自動車または二輪車」または「普通車」の牽引車の判別をすべきかを分別することができる。なお、2.0メートルは閾値の一例であり、他の実施形態においては他の閾値が用いられてもよい。
【0035】
1軸目車高が2.0メートル以下である場合(ステップS103:NO)、牽引判定部507は、車両情報記憶部506が記憶する軸位置に基づいて1軸目の車軸と2軸目の車軸との間の軸距を算出し、当該軸距が2.0メートルより長いか否かを判定する(ステップS104)。軸距とは、前後の車軸の軸中心間の水平距離をいう。車両Aが「軽自動車または二輪車」または「普通車」であって、1軸目と2軸目との間の軸距が2.0メートルより長い場合、2軸目の車軸は最前後車軸である。つまり、牽引判定部507は、軸距が2.0メートルより長いか否かを判定することで、2軸目の車軸が最前後車軸であるか否かを判定する。なお、2.0メートルは閾値の一例であり、他の実施形態においては他の閾値が用いられてもよい。
【0036】
他方、1軸目車高が2.0メートルを超える場合(ステップS103:YES)、牽引判定部507は、車両情報記憶部506が記憶する情報に基づいて2軸目の車軸に係る車輪が複輪であるか否かを判定する(ステップS105)。「中型車」、「大型車」または「特大車」に分類される車両Aにおいて、前車軸群に属する車軸に係る車輪は単輪であり、後車軸群に属する車軸に係る車輪は複輪である。したがって、2軸目の車軸に係る車輪が複輪である場合、2軸目の車軸は最前後車軸である。つまり、牽引判定部507は、2軸目の車軸に係る車輪が複輪である否かを判定することで、2軸目の車軸が最前後車軸であるか否かを判定する。なお、1軸目の車軸に係る車輪は必ず単輪であるため、当該2軸目の車軸は、車両Aの複数の車軸のうち、複輪の車軸であり、かつ直前の車軸が単輪である車軸である。
【0037】
牽引判定部507は、2軸目の車軸が最前後車軸であると判定した場合(ステップS104:YESまたはステップS105:YES)、牽引判定部507は、車両Aの最前後車軸位置を、2軸目の車軸の軸位置に決定する(ステップS106)。
他方、牽引判定部507は、2軸目の車軸が最前後車軸でないと判定した場合(ステップS104:NOまたはステップS105:NO)、検出された車軸の数が2より多いか否かを判定する(ステップS107)。検出された車軸の数が2以下である場合(ステップS107:NO)、車両Aの後軸が未検出であることがわかる。そのため、牽引判定部507は、当該車両Aの最前後車軸位置を、車両計測領域長とみなす(ステップS102)。
検出された車軸の数が2より多い場合(ステップS107:NO)、牽引判定部507は、車両Aの最前後車軸位置を、3軸目の車軸の軸位置に決定する(ステップS108)。これは、車両の前車軸群が最大で2つの車軸から構成され、3軸目の車軸が必然的に後車軸群に属するためである。なお、車両Aが「軽自動車または二輪車」または「普通車」に分類される場合、2軸目の車軸と3軸目の車軸との間の軸距は、2.0メートルを超えるものとなる。また、車両Aが「中型車」、「大型車」または「特大車」に分類される場合、後車軸群に係る車輪は必ず複輪であるため、当該3軸目の車軸は、車両Aの複数の車軸のうち、複輪の車軸であり、かつ直前の車軸が単輪である車軸である。
【0038】
牽引判定部507は、ステップS102、ステップS106、またはステップS108で最前後車軸位置を決定すると、車長に対する最前後車軸位置の比である車長対最前後車軸比を算出する(ステップS109)。車長対最前後車軸比は、最前後車軸位置を車長で除算することで得られる割合である。
【0039】
次に、牽引判定部507は、車長が12メートル(単車両の最大車長)を超えるか否かを判定する(ステップS110)。車長が12メートルを超える場合(ステップS110:YES)、牽引判定部507は、車両Aが被牽引車両を牽引している牽引車両、すなわち連結車両であると判定する(ステップS111)。なお、12メートルは閾値の一例であり、他の実施形態においては他の閾値が用いられてもよい。
他方、車長が12メートル以下である場合(ステップS110:NO)、牽引判定部507は、車長対最前後車軸比が45パーセントを超えるか否かを判定する(ステップS112)。なお、45パーセントは閾値の一例であり、他の実施形態においては他の閾値が用いられてもよい。車長対最前後車軸比が45パーセント以下である場合(ステップS112:NO)、牽引判定部507は、車両Aが被牽引車両を連結車両であると判定する(ステップS111)。つまり、牽引判定部507は、車両Aの最前後車軸位置が車両Aの車長に対する45パーセントの位置よりも前方に位置する場合に、車両Aが被牽引車両を連結車両であると判定する。
他方、車長対最前後車軸比が45パーセントを超える場合(ステップS112:YES)、牽引判定部507は、車両Aが被牽引車両を単車両であると判定する(ステップS113)。
【0040】
ここで、車長対最前後車軸比が45パーセントを超えるか否かに基づいて牽引の有無を判定する理由について説明する。
車長対最前後車軸比が45パーセント以下である場合、すなわち車両Aの全長の45パーセントの割合より前の位置に後車軸群が存在する場合、車両Aが単車両であると仮定すると、当該後車軸群により車両Aを支持できない蓋然性が高い。つまり、車両Aの全長の45パーセントの割合より前の位置に後車軸群が存在する場合、車両Aは連結車両である蓋然性が高い。他方、車長対最前後車軸比が45パーセントを超える場合、すなわち車両の全長の45パーセントの割合より後ろの位置に後車軸群が存在する場合、後車軸群より後ろの長さが短く、当該後車軸群より後ろに牽引車両が存在する蓋然性は低い。
【0041】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、車種判別装置50は、車両Aの最前後車軸位置が車両Aの車長に対する所定の割合の位置よりも前方に位置する場合に、前記車両が被牽引車両を牽引している牽引車両であると判定する。後車軸群により単車両を支持する場合、後車軸群が車両Aの所定の割合の位置よりも後方に位置する必要があるところ、所定の割合の位置よりも前方に位置する後車軸群により車両Aが支持できているということは、先頭車両の後方に、自らの車軸により支持される被牽引車両が接続されている蓋然性が高い。これにより、車種判別装置50は、少なくとも最前後車軸を検知することができれば、車軸数の計測が完了していなくても、牽引の有無を判定することができる。
【0042】
また、第1の実施形態によれば、車種判別装置50は、検出された車両Aの複数の車軸のうち、複輪の車軸であり、かつ直前の車軸が単輪である車軸の位置を、最前後車軸位置として特定する。これは、車両Aが「中型車」、「大型車」または「特大車」に分類される場合、後車軸群に係る車輪は必ず複輪であるためである。これにより、車種判別装置50は、精度よく最前後車軸位置を特定することができる。なお、他の実施形態では、車種判別装置50は、複輪の判定を行わずに最前後車軸位置を特定してもよい。例えば、他の実施形態では、車両Aが「中型車」、「大型車」または「特大車」に分類される場合にも、軸距に基づいて最前後車軸位置を特定してもよい。
【0043】
また、第1の実施形態によれば、車種判別装置50は、車両Aの複数の車軸のうち、直前の車軸との間の距離が所定の閾値以上である車軸の位置を、最前後車軸位置として特定する。これは、車両Aが前車軸群に係る車軸どうしの間隔、および前車軸群の最後車軸と後車軸群の最前車軸との間隔の取り得る範囲が予め統計的に予測可能であり、さらに前車軸群に係る車軸どうしの間隔が前車軸群の最後車軸と後車軸群の最前車軸との間隔より短いためである。これにより、車種判別装置50は、精度よく最前後車軸位置を特定することができる。なお、他の実施形態では、車種判別装置50は、軸距を用いずに最前後車軸位置を特定してもよい。
【0044】
また、第1の実施形態によれば、車種判別装置50は、車種判別用踏板20の設置位置と車両Aの車頭位置とに基づいて、車軸の位置を特定する。車両Aの車頭位置は車長を計測するレーザースキャナ40等により計測できるため、車種判別装置50は、特殊な機器を用いることなく車軸位置を特定することができる。
【0045】
《変形例》
以上、図面を参照して第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第1の実施形態に係る車種判別装置50は、2軸目の車軸が最前後車軸でないと判定した場合に、3軸目の車軸が最前後車軸であると判定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る車種判別装置50は、各車軸について、複輪であるか否かまたは軸距に基づいて最前後車軸であるか否かの判定を行ってもよい。
【0046】
また、第1の実施形態に係る車種判別装置50は、車両分離器10が車両Aの分離を検知できたか否かに関わらず同じ手法で牽引判定処理を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る車種判別装置50は、車両分離器10が車両Aの分離を検知できない場合に第1の実施形態と同様の牽引判定処理を行い、車両分離器10が車両Aの分離を検知した場合に、特許文献1に記載の手法など他の手法を用いて牽引の有無を判定してもよい。
【0047】
また、第1の実施形態に係る車種判別装置50は牽引判定装置の一例であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、車種判別装置50と別個に牽引判定装置を備えてもよい。
【0048】
図5は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の車種判別装置50は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、車両情報記憶部506に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0049】
補助記憶装置903の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。補助記憶装置903は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース904または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0050】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。