【実施例】
【0055】
実施例1
Ni触媒IIの合成は文献に記載されている(O’Connorら,
Organometallics 2009,28 2372−2384)。あるいは、この錯体のMg塩と過剰のNaBAr
F4の混合物を実施例2で概要を示した手順に従って製造することもできる。
【0056】
実施例2
本実施例では、Ni(II)配位触媒の合成について説明する。式IIIの化合物は以下のようにして式IIの化合物に変換された。化合物III(8mmol)をNaBAr
F4(8mmol)及びメシチレン(20mmol)と、100mlシュレンクチューブ内の40mlジエチルエーテル中で混合し、−78℃に冷却した。5分後、ジエチルエーテル中1Mのアリルマグネシウムブロミド8mlを撹拌下で滴加し、アリルマグネシウムブロミドの添加完了後、冷却浴の交換により、温度を−20℃に上げた。−20℃で60分後、冷却浴を取り除き、混合物を25℃に温めた。この温度でエーテルは蒸留除去され、粗固体が残った。次に、塩化メチレン(30ml)を加え、混合物を撹拌した後、固体をろ過した。ヘプタン(10mL)を塩化メチレン溶液に加え、得られた混合物を高真空下で濃縮乾固し、約50%の収率のNiベースの触媒IIを含有する6.85gの固体を得た。
【0057】
【化6】
【0058】
実施例3
以下の実施例において、1,3-ブタジエン及びイソプレンと、9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾール(式IV)との共重合を示す。官能性モノマーの9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾールは以下のようにして合成した。
【0059】
9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾールの合成
【0060】
【化7】
【0061】
280mgのMg削り節(11mmol、1.1当量)を10mLのTHFと共に層状に積み重ね、0.05mLの1,2−ジブロモエタン(0.5mmol、0.05当量)で活性化した。2.58g(10mmol、1当量)の9−(4−クロロブチル)−9H−カルバゾール(9−(4−クロロ/ブロモ−ブチル)−9H−カルバゾールは、J.Med.Chem.,2014,57(16),pp6973−6988に従って合成)の40mL THF中溶液を滴加した。反応混合物を50℃で3日間撹拌した。残ったMgをろ過除去した。
【0062】
グリニャール試薬を、0℃で、57mgの(dppp)NiCl
2と11mmolのクロロプレンの13mL THF中溶液に滴加した。室温で1.5時間撹拌後、反応混合物をH
2O/HCl中に注いだ。水性相をEt
2Oで5回抽出し、合わせた有機相をNa
2SO
4上で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去することにより、粗生成物を黄色/橙色の混濁油として得た。粗生成物をペンタンを用いた超音波処理により精製した後、ろ過した。ペンタンの除去後、所望生成物を淡黄色油として得た。収量:1.73g(6.28mmol、63%)。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6) δ = 8.06 (m, 2H, H13), 7.41 (m, 2H, H11), 7.23 (m, 2H, H12), 7.16 (m, 2H, H10), 6.27 (dd, J = 17.6, 10.8 Hz, 1H, H13), 5.05 (d, J = 17.6 Hz, 1H, H4), 4.92 (d, J = 10.8 Hz, 1H, H4), 4.89 (s, 1H, H1), 4.77 (s, 1H, H1), 3.76 (t, J= 7.2 Hz, 2H, H8), 1.92 (t, J = 7.6 Hz, 2H, H5), 1.48 (m, 2H, H6), 1.28 (m, 2H, H7)。
13C NMR (100 MHz, C
6D
6) δ = 146.0 (C2), 140.8 (C9, 139.1 (C3), 125.9 (C12), 123.5 (C14), 120.8 (C13), 119.2 (C11), 116.9 (C1), 113.2 (C4), 108.9 (C10), 42.7 (C8), 31.1 (C5), 28.8 (C6), 25.7 (C7)。
【0063】
【化8】
【0064】
実施例4
トルエン中での化合物IIを用いる1,3-ブタジエンと9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾールの共重合
式IVの官能性モノマーは実施例3に記載のようにして合成した。
【0065】
式IVのモノマーを、火炎乾燥シュレンクフラスコにトルエン溶液として加え(トルエンの全体積は15)、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。溶液を室温で1.05barのBD圧により飽和し、トルエン(5mL)中触媒を示された反応温度で添加することにより重合を開始した。重合は、示された時間、その温度で行わせた。0.5mLのNEt
3を加えて重合を終了させた。残留ブタジエンを減圧下で注意深く除去し、ポリマーを、BHTの存在下(約100mg/100mL)、MeOH中に沈殿させた。形成されたポリマーを減圧下50℃で一晩乾燥させ、示された収量gのポリ(ブタジエン−コ−9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾール)を得た。サンプルを分析し、結果を表1に示した。分子量Mn及び多分散性(PDI)は、THF中でのGPCを用い、ポリスチレン標準に対して測定した。ガラス転移温度TgはDSCを用いて測定した。ポリマーのミクロ構造は、NMR分析(
1H及び
13C)により決定した。
【0066】
【表1】
【0067】
実施例5
本実施例では、9−(4−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)ベンジル)−9H−カルバゾールの合成を示す。官能性モノマーの9−(4−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)ベンジル)−9H−カルバゾール(式V)は、以下のようにして合成した。
【0068】
9−(4−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)ベンジル)−9H−カルバゾールの合成
【0069】
【化9】
【0070】
46mgのMg削り節(1.9mmol、1.9当量)をTHFと共に層状に積み重ね、0.05mLのジブロモエタンを加えてマグネシウムを活性化した。2mLのTHF中306mgの9−(4−(クロロメチル)ベンジル)−9H−カルバゾール(1mmol、1当量、J.Med.Chem.,2014,57(16),pp6973−6988と同様にして製造)を滴加した。反応を55℃で3時間撹拌した。残ったマグネシウムをろ過除去した。
【0071】
グリニャール試薬をクロロプレン(1.1mmol、1.1当量)と(dppp)NiCl
2のTHF(10mL)中混合物に0℃で滴加した。反応を室温で1時間撹拌した後、H
2O/HClの添加によりクエンチングした。Et
2Oによる抽出とその後の溶媒除去により粗生成物を得、これをMeOH中に溶解し、不溶性不純物をろ過して精製した。減圧下で溶媒を除去し、87mg(0.27mmol、27%)の所望化合物を得た。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6) δ = 8.06 (d, J = 7.9 Hz, 2H, H17 及び H20), 7.31 (vt, J = 7.5 Hz, 2H, H15 及び H22), 7.21 (vt, J = 7.5 Hz, 2H, H16 及び 21), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 2H, H14 及び H23), 6.85 (d, J = 7.8 Hz, 2H, H7 及び 11), 6.80 (d, J = 7.8 Hz, 2H, H8 及び 10), 6.29 (dd, J = 17.5, 10.8 Hz, 1H, H3), 5.07 (d, J = 17.5 Hz, 1H, H4), 4.98 (s, 1H, H1), 4.93 (s, 2H, H12), 4.88 (d, J = 10.8 Hz, 1H, H4), 4.75 (s, 1H, H1), 3.27 (s, 2H, H5)。
13C NMR (100 MHz, C
6D
6) δ = 145.5 (C2), 141.2 (C13 及び C24), 138.8 (C3), 138.7 (C6), 135.4 (C9), 129.5 (C7 及び C11), 126.5 (C8 及び C10), 126.2 (C15 及びC22), 123.7 (C18 及び C19), 120.8 (C17 及び C20), 119.6 (C16 及び C21), 118.3 (C1), 114.5 (C4), 109.3 (C14 及び C23), 46.2 (C12), 37.9 (C5)。
【0072】
【化10】
【0073】
実施例6
トルエン中での化合物IIを用いる1,3-ブタジエンと9−(4−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)ベンジル)−9H−カルバゾールの共重合
式Vの官能性モノマーは実施例5に記載のようにして合成した。
【0074】
式Vのモノマーを、火炎乾燥シュレンクフラスコにトルエン溶液として加え(トルエンの全体積は15)、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。溶液を室温で1.05barのBD圧により飽和し、トルエン(5mL)中触媒を示された反応温度で添加することにより重合を開始した。重合は、示された時間、その温度で行わせた。0.5mLのNEt
3を加えて重合を終了させた。残留ブタジエンを減圧下で注意深く除去し、ポリマーを、BHTの存在下(約100mg/100mL)、MeOH中に沈殿させた。形成されたポリマーを減圧下50℃で一晩乾燥させ、示された収量gのポリ(ブタジエン−コ−9−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−9H−カルバゾール)を得た。サンプルを分析し、結果を表2に示した。分子量Mn及び多分散性(PDI)は、THF中でのGPCを用い、ポリスチレン標準に対して測定した。ガラス転移温度TgはDSCを用いて測定した。ポリマーのミクロ構造は、NMR分析(
1H及び
13C)により決定した。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例7
本実施例では、N−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−N−フェニルアニリンの合成を示す。官能性モノマーのN−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−N−フェニルアニリン(式VI)は、以下のようにして合成した。
【0077】
N−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−N−フェニルアニリンの合成
【0078】
【化11】
【0079】
マグネシウム削り節(0.36g、15mmol、1.5当量)を2mLのTHFと合わせ、ジブロモエタン(1mmol、0.1当量)で活性化した。N−(4−ブロモブチル)−N−フェニルアニリン(2.6g、10mmol、1当量)及びジブロモエタン(1mmol、0.1当量)のTHF(15mL)中溶液を加え、混合物を30分間還流した。ろ過して過剰のMgを除去した後、用意したグリニャール試薬を、(dppp)NiCl
2(60mg、0.11mmol)とクロロプレン溶液(11mmol、1.1当量)の5mL THF中懸濁液に0℃で滴加した。混合物を室温に温め、12時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機相を塩化アンモニウム溶液で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 10:1)により精製し、所望生成物を無色油として得た。収量:2.16g(7.79mmol、78%)。
1H-NMR (400 MHz, C
6D
6): δ = 7.15 - 7.10 (m, 4H, H10, H14, H16, 及び H20), 6.98 - 6.95 (m, 4H, H11, H13, H17, 及び H19), 6.86 - 6.82 (m, 2H, H12 及び H18), 6.29 (dd,
3J = 17.6 及び 10.8 Hz, 1H, H3), 5.08 (d, J = 17.6 Hz, 1H, H4), 4.93 (m, 1H, H4), 4.92 (m, 1H, H1), 4.85 (m, 1H, H1), 3.49 (t, J = 7.5 Hz, 2H, H8), 2.01 (td,
3J = 7.6 及び
4J = 1.2 Hz, 2H, H5), 1.53 (m, 2H, H7), 1.35 (m, 2H, H6)。
13C-NMR (100 MHz, C
6D
6): δ = 148.7 (C19 及び C20), 146.5 (C2), 139.2 (C3), 129.5 (C11, C13, C17, 及び C19) 121.5 (C12 及び C18), 121.4 (C10, C14, C16, 及び C20), 115.8 (C4), 113.2 (C1), 52.3 (C8), 31.3 (C5), 27.7 (C7), 25.8 (C6)
【0080】
【化12】
【0081】
実施例8
トルエン中での化合物IIを用いる1,3-ブタジエンとN−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−N−フェニルアニリンの共重合
式VIの官能性モノマーは実施例7に記載のようにして合成した。
【0082】
式VIのモノマーを、火炎乾燥シュレンクフラスコにトルエン溶液として加え(トルエンの全体積は、サンプル4及び5が15mL、サンプル6が35mL)、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。ブタジエンを、反応温度及び1.05barの圧力でのトルエンの飽和により添加した。トルエン(5mL)中触媒を示された反応温度で添加することにより重合を開始した。重合は、示された時間、その温度で行わせた。0.5mLのNEt
3を加えて重合を終了させた。残留ブタジエンを減圧下で注意深く除去し、ポリマーを、BHTの存在下(約100mg/100mL)、MeOH中に沈殿させた。形成されたポリマーを減圧下50℃で一晩乾燥させ、示された収量gのポリ(ブタジエン−コ−N−(5−メチレンヘプタ−6−エン−1−イル)−N−フェニルアニリン)を得た。サンプルを分析し、結果を表3に示した。分子量Mn及び多分散性(PDI)は、THF中でのGPCを用い、ポリスチレン標準に対して測定した。ガラス転移温度TgはDSCを用いて測定した。ポリマーのミクロ構造は、NMR分析(
1H及び
13C)により決定した。
【0083】
【表3】
【0084】
実施例9
本実施例では、4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンの合成を示す。官能性モノマーの4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリン(式VII)は、以下のようにして合成した。
【0085】
【化13】
【0086】
マグネシウム削り節(0.36g、15mmol、1.5当量)を2mLのTHFと共に層状に積み重ね、ジブロモエタン(1mmol、0.1当量)で活性化した。4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン(2.0g、10mmol、1当量)及びジブロモエタン(1mmol、0.1当量)のTHF(15mL)中溶液を加え、混合物を60分間還流した。ろ過して過剰のMgを除去した後、用意したグリニャール試薬を、(dppp)NiCl
2(60mg、0.11mmol)とクロロプレン溶液(11mmol、1.1当量)の5mL THF中懸濁液に0℃で滴加した。混合物を室温に温め、12時間撹拌した。一部を取り(0.25mL)、ヘプタンで希釈し、沈殿したMg塩を遠心分離により除去し、上清を真空下で濃縮した。NMR分析により、4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンの形成が示された(収率約85%)。[4+2]付加環化反応のために4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンは濃縮サンプル中で不安定なので、希釈ヘプタン溶液として使用した。従って、THF反応溶液を50mLのヘプタンに加え、マグネシウム塩をろ過除去し、得られた溶液を真空下で濃縮して、NMR分析により、1282mgの4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンを含有する8.65gのヘプタン溶液(収率74%)を得た。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6): d 7.36 (m, 2H, H6 及び H10), 6.66 (dd,
3J = 17.6 及び 10.8 Hz, 1H, H3), 6.56 (m, 2H, H7 及び H9), 5.45 (d, ,
3J = 17.6, 1H, H4), 5.25 (s, 1H, H1), 5.20 (s, 1H, H1), 5.14 (d,
3J = 10.8, 1H, H4), 2.50 (s, 6H, H11 及び H12)。
【0087】
【化14】
【0088】
実施例10
本実施例では、1,3-ブタジエンと4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリンの共重合を示す。
【0089】
式VIIの官能性モノマーは実施例9に記載のようにして合成した。
ヘプタン溶液中の式VIIのモノマー(1mmol/1.17gヘプタン溶液)を、14mLのトルエンを含有する火炎乾燥シュレンクフラスコに加え、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。ブタジエンを、反応温度及び1.05barの圧力でのトルエンの飽和により添加した。トルエン(5mL)中触媒を示された反応温度で添加することにより重合を開始した。重合は、示された時間、その温度で行わせた。0.5mLのNEt
3を加えて重合を終了させた。残留ブタジエンを減圧下で注意深く除去し、ポリマーを、BHTの存在下(約100mg/100mL)、MeOH中に沈殿させた。形成されたポリマーを減圧下50℃で一晩乾燥させ、示された収量gのポリ(ブタジエン−コ−4−(ブタ−1,3−ジエン−2−イル)−N,N−ジメチルアニリン)を得た。サンプルを分析し、結果を表4に示した。分子量Mn及び多分散性(PDI)は、THF中でのGPCを用い、ポリスチレン標準に対して測定した。ガラス転移温度TgはDSCを用いて測定した。ポリマーのミクロ構造は、NMR分析(
1H及び
13C)により決定した。
【0090】
【表4】
【0091】
実施例11
本実施例では、N,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリンの合成を示す。官能性モノマーのN,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリン(式VIII)は、以下のようにして合成した。
【0092】
【化15】
【0093】
(a)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルリチウム。2−メチル−N,N−ジメチルアニリン(1.35g、10mmol)のヘプタン(25mL)中溶液に、n−BuLi(10mmol、ヘキサン中2.5M 4mL)をシリンジで加えた。体積を真空下で約15mLに削減し、得られた混合物を20時間還流したところ、2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルリチウムの薄茶色沈殿物が形成された。その固体をろ過により回収し、ペンタン(3×10mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、それ以上精製せずに使用した。(b)N,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリン。このようにして得られた2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルリチウム(282mg、2mmol)をTHF(4mL)中に溶解し、無水MgCl
2(286mg、3mmol)を加え、混合物を25℃で20分間撹拌した。得られた混合物を、(dppp)NiCl
2(6mg、0.011mmol)とクロロプレン溶液(2.2mmol、1.1当量)の5mL THF中懸濁液に0℃で滴加した。35分間の0℃の後に分取した一定分量のNMR分析により、N,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリンの形成が示された(収率約80%)。反応混合物を50mLのヘプタンに加え、ろ過し、ろ液を濃縮して、約310mg(1.65mmol、82%)のN,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリンを含有する4.48gのヘプタン溶液を得た。
1H NMR (400 MHz, C
6D
6/thf-h
8): d 7.13 (m, 1H, H7), 7.05 (m, 1H, H9), 6.94 (m, 1H, H10), 6.88 (m, 1H, H8), 6.35 (dd,
3J = 17.6 及び 10.8 Hz, 1H, H3), 5.20 (d,
3J = 17.6,Hz, 1H, H4), 5.04 (s, 1H, H1), 4.89 (d,
3J = 10.8 Hz, 1H, H4), 4.87 (s, 1H, H1), 3.62 (s, 2H, H5), 2.45 (s, 6H, H11 及び H12)。
【0094】
【化16】
【0095】
実施例12
本実施例では、1,3-ブタジエンとN,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリンの共重合を示す。
【0096】
式VIIIの官能性モノマーは実施例11に記載のようにして合成した。
式VIIIのモノマーのヘプタン溶液を、15mLのトルエンを含有する火炎乾燥シュレンクフラスコに加え、次いでフラスコをゴムセプタムで密封した。ブタジエンを、反応温度及び1.05barの圧力でのトルエンの飽和により添加した。トルエン(5mL)中触媒を示された反応温度で添加することにより重合を開始した。重合は、示された時間、その温度で行わせた。0.5mLのNEt
3を加えて重合を終了させた。残留ブタジエンを減圧下で注意深く除去し、ポリマーを、BHTの存在下(約100mg/100mL)、MeOH中に沈殿させた。形成されたポリマーを減圧下50℃で一晩乾燥させ、示された収量gのポリ(ブタジエン−コ−N,N−ジメチル−2−(2−メチレンブタ−3−エン−1−イル)アニリン)を得た。サンプルを分析し、結果を表5に示した。分子量Mn及び多分散性(PDI)は、THF中でのGPCを用い、ポリスチレン標準に対して測定した。ガラス転移温度TgはDSCを用いて測定した。ポリマーのミクロ構造は、NMR分析(
1H及び
13C)により決定した。
【0097】
【表5】
【0098】
[発明の態様]
1.1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群から選ばれるモノマーと、式I:
【0099】
【化17】
【0100】
[式中、R
1は、フェニレン、又は2〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルカンジイル基、又は一つもしくは複数のフェニレン基と一つもしくは複数の1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルカンジイル基との組合せであり;R
2及びR
3は、独立に、フェニル又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基であるか、又はR
2及びR
3の一方は水素で、他方はフェニル又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基であるか、又はR
2及びR
3は窒素原子と一緒になって、4〜12個の炭素原子を含有する窒素含有ヘテロサイクリック基を表し;そしてR
4は、水素又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基である]のモノマーとのコポリマー。
【0101】
2.窒素含有ヘテロサイクリック基が、構造:
【0102】
【化18】
【0103】
[式中、R
5基は、同じでも又は異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基、アリール基、アリル基、及びアルコキシ基からなる群から選ばれるメンバーを表し、Yは、酸素、硫黄、又はメチレン基を表し、nは4〜12の整数である]からなる群から選ばれる、1記載のコポリマー。
【0104】
3.シス1,4ミクロ構造含量が80重量パーセントを超える、1記載のコポリマー。
4.少なくとも95重量パーセントのシス1,4ミクロ構造含量を含む、1記載のコポリマー。
【0105】
5.0.1〜40重量パーセントの、式Iのモノマーから誘導された単位を含む、1記載のコポリマー。
6.0.5〜20重量パーセントの、式Iのモノマーから誘導された単位を含む、1記載のコポリマー。
【0106】
7.1〜5重量パーセントの、式Iのモノマーから誘導された単位を含む、1記載のコポリマー。
8.式Iのモノマーが、構造:
【0107】
【化19-1】
【0108】
【化19-2】
【0109】
からなる群から選ばれる、1記載のコポリマー。
10.1記載のコポリマーを含むゴム組成物。
11.10記載のゴム組成物を含む空気入りタイヤ。
【0110】
12.1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群から選ばれるモノマーと、式I:
【0111】
【化20】
【0112】
[式中、R
1は、フェニレン、又は2〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルカンジイル基、又は一つもしくは複数のフェニレン基と一つもしくは複数の1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルカンジイル基との組合せであり;R
2及びR
3は、独立に、フェニル又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基であるか、又はR
2及びR
3の一方は水素で、他方はフェニル又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基であるか、又はR
2及びR
3は窒素原子と一緒になって、4〜12個の炭素原子を含有する窒素含有ヘテロサイクリック基を表し;そしてR
4は、水素又は1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基である]のモノマーとを(アリル)(アレーン)Ni(II)重合触媒の存在下で重合させる工程を含むコポリマーの製造法。
【0113】
13.式Iのモノマーが、構造:
【0114】
【化21-1】
【0115】
【化21-2】
【0116】
からなる群から選ばれる、10記載の方法。
14.重合触媒が、式II:
【0117】
【化22】
【0118】
[式中、BAr
F4−はテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートである]の触媒である、12記載の方法。
15.窒素含有ヘテロサイクリック基が、構造:
【0119】
【化23】
【0120】
[式中、R
5基は、同じでも又は異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝アルキル基、アリール基、アリル基、及びアルコキシ基からなる群から選ばれるメンバーを表し、Yは、酸素、硫黄、又はメチレン基を表し、nは4〜12の整数である]からなる群から選ばれる、12記載の方法。