(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
【0015】
≪本発明の第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100を、図を参照して説明する。なお、「新エネルギー源統合電力変換装置」を、適宜、「電力変換装置」と表記する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100の構成の一例と、新エネルギー源(新エネルギー源のフロントエンド)101との接続、および電力送電網のグリッドである三相交流電源102との接続の関係を示す図である。
太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源は、そのまま直接、電力送電網に接続されるわけではない。その理由は、一般に新エネルギー源で生成する発電電力は、気象の変化などもあって、周波数や電圧が必ずしも安定して生成されないからである。そのため、電力変換装置で電力変換をしてから、電力送電網に配電される。
【0016】
なお、三相交流電源102は、網目状に構成された電力送電網が複数の電力の供給源を有して、その網目状の一つの格子点に相当している。そのため、前記の電力の供給源の一つである三相交流電源102を「グリッドである三相交流電源」、あるいは「三相交流電源グリッド」などと適宜、表記する。
また、電力送電網のグリッドである三相交流電源102から新エネルギー源を見た場合には、本来の新エネルギー源は、新エネルギー源のフロントエンドである新エネルギー源101と新エネルギー源のバックエンドである新エネルギー源統合電力変換装置100を備えて構成される。しかし、以降においては、表記の簡単化のために、単に、フロントエンドを「新エネルギー源101」、またバックエンドを「新エネルギー源統合電力変換装置100」と表記して扱う。
【0017】
また、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源は、従来の主なエネルギー源である火力発電、水力発電、原子力発電などに比較すると、前記したように電力の供給が不安定である。しかしながら、電力を配送する送電網から見るときに、火力発電、水力発電、原子力発電の発電機と同様に扱えたら都合がよい。
したがって、新エネルギー源101の電力を変換するバッファである新エネルギー源統合電力変換装置100を、火力発電、水力発電、原子力発電などに用いられる慣性力のある同期発電機として見立て、仮想の同期発電機として取り扱うことがある。
そのため、新エネルギー源統合電力変換装置100において、仮想の同期発電機、仮想同期イナーシャ(仮想同期慣性)、慣性モーメント、調速機(調整機)、回転子角速度(仮想回転子角度)、機械入力などの概念や用語を、適宜、導入する。
【0018】
《第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の概要》
図1において、新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100は、インバータ(直流−交流変換)104、直流コンデンサ105、検出器(電圧電流検出器)106,107、第1の仮想同期慣性制御手段108、PWM制御手段(パルス幅制御手段)109を備えている。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100は、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源の生成された当初の状態である新エネルギー源101から、直流電力を主とする有効電力(有効入力電力)P
dcの電力を入力している。
【0019】
新エネルギー源統合電力変換装置100は、入力した電力(有効電力P
dc)を仮想的に電力のイナーシャ(慣性)を制御して、出力電力P
outとして電力送電網のグリッドである三相交流電源102に出力する。なお、電力送電網のグリッドである三相交流電源102は、新エネルギー源統合電力変換装置100側から見て、グリッドとしてのインピーダンスX
S103を有している。また、三相交流電源102において、グリッドとしての電圧をEg、仮想回転子角度δを基準として0にとっているため、グリッドにおける三相交流電源102の電圧と位相(仮想回転子角度)の特性を「Eg∠0」と表記している。
新エネルギー源統合電力変換装置100は、新エネルギー源の電力が生成された初期状態の新エネルギー源101の直流電力を主とする有効電力P
dcを交流電力に変換するとともに、新エネルギー源101の電力に対して、仮想同期慣性制御(仮想同期イナーシャ制御)を行い、安定な電力として、電力送電網のグリッドである三相交流電源102に出力電力P
outを出力している。
【0020】
《本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の詳細》
図1において、新エネルギー源101から入力した電力(有効入力電力)P
dcを、直流コンデンサ105を介して、直流−交流変換するインバータ104に入力する。インバータ104は、三相交流に変換された電力(有効出力電力)P
outを出力する。なお、直流コンデンサ105は、新エネルギー源101から供給される電圧を平滑化、安定化させている。
また、検出器(電圧電流検出器、第1の検出手段)106は、インバータ104に入力する電力P
dcの電圧V
dcと電流I
dcを検出する。検出器(電圧電流検出器、第2の検出手段)107は、インバータ104が出力した電力P
outの電圧Vと電流I、および電圧Vの出力周波数ω
gを検出する。
【0021】
第1の仮想同期慣性制御手段108は、前記の電圧V
dc、電流I
dc、電圧V、電流I、出力周波数ω
g、および出力電力指令P
*を入力する。そして、第1の仮想同期慣性制御手段108は、参照指令E
*∠δ
*を生成し、PWM制御手段109に入力する。なお、「E
*∠δ
*」は、仮想の同期発電機の出力電圧Eと仮想回転子角度δの参照指令であることを表記している。
PWM制御手段109は、参照指令E
*∠δ
*に従い、インバータ104の制御に必要なパルスを生成して、インバータ104を駆動制御する。
なお、インバータ104と第1の仮想同期慣性制御手段108の詳細については後記する。
【0022】
《本発明のインバータ104》
図2は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられるインバータ(直流−交流変換)104の構成例を示す図である。
図2において、インバータ104は、スイッチング素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)201〜206と複数のリアクトル207を備えている。なお、IGBT201〜206のそれぞれに逆並列ダイオードが接続されている。
IGBT201〜206は、PWM制御手段109で生成される制御信号によって、それぞれのオン・オフ(ON/OFF)とパルス幅が統合的に制御される。
この統合的な制御によって直流コンデンサ105(
図1)の両端の直流電圧(V
dc)は、三相交流電圧(V
ac)に変換される。
また、これらの三相交流電圧V
acは、複数のリアクトル207を介して出力される。複数のリアクトル207は、IGBT201〜206のスイッチングによって生ずるリプル(ノイズ)の影響を低減する。
【0023】
《本発明の第1実施形態の第1の仮想同期慣性制御手段108》
図3は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108の構成例を示す図である。
図3において、第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110と、電力変更決定手段111とを備えて構成される。
電力変更決定手段111は、検出器(電圧電流検出器)106の検出したインバータ104の入力側の電圧V
dcと電流I
dcと、検出器(電圧電流検出器)107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと、出力電力指令P
*を入力している。
そして、これらの入力信号と指令(V
dc,I
dc,V,I,P
*)によって、電力変更決定手段111は、補正出力電力指令P
out*を生成し、第2の仮想同期慣性制御手段110に、この補正出力電力指令P
out*を入力している。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、インバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω
g、および前記の補正出力電力指令P
out*とによって制御し、参照指令E
*∠δ
*を出力する。
【0024】
第2の仮想同期慣性制御手段110は、後記するように、第1比較例としての簡易的な仮想同期慣性制御手段である。
それに対して、本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100に用いられる第1の仮想同期慣性制御手段108は、前記の第2の仮想同期慣性制御手段110に、さらに電力変更決定手段111を用いて精緻に制御することによって、より優れた仮想同期慣性制御を実施するものである。
そのため、
図3に示した第1の仮想同期慣性制御手段108の詳細な機能、動作の説明は、第1比較例として示す第2の仮想同期慣性制御手段110の構成、機能、動作を説明した後で、再度、説明する。
【0025】
なお、
図3に示した第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110によって仮想同期慣性制御の機能を有し、電力変更決定手段111によってアクティブパワーコントロール(有効電力制御)の機能を有している。
ただし、有効電力制御の機能は、電力変更決定手段111のみならず、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって効果が鮮明となるので、
図3に示すように、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを併せて表記している。
【0026】
<第1比較例>
第1比較例としての第2の仮想同期慣性制御手段110の構成、機能、動作ついて説明する。
【0027】
《第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110の構成》
図4は、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110の構成を示す図である。
図4において、第2の仮想同期慣性制御手段110は、電力計算手段301、VSGモデル(Virtual Synchronous Generator model、仮想同期発電機モデル)302、積分手段(1/s)303、調整手段(調速手段)304、電圧制御手段305、モード対応慣性調整手段306、合成手段(掛算器)309を備えて構成されている。
また、モード対応慣性調整手段306は、モード照合手段307と慣性値調整手段308とを具備している。
また、第2の仮想同期慣性制御手段110には、検出器(電圧電流検出器)107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω
g、および前記の補正出力電力指令P
out*を入力している。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、参照命令E
*∠δ
*を出力する。
【0028】
電力計算手段301には、インバータ104の出力の電圧Vと電流Iが入力する。そして、電力計算手段301は、新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力(有効出力電力)P
outと無効電力(無効出力電力)Q
outが算出される。
【0029】
VSGモデル(仮想同期発電機モデル)302には、前記の出力の有効電力P
outと、出力周波数ω
gと、調整手段(調速機)304の出力する電力(機械入力)P
inと、モード対応慣性調整手段306の出力する慣性モーメントJとを入力する。そして、VSGモデル302から仮想的な回転子の角速度ω
PCSを算出する。そして、この回転子の角速度ω
PCSの信号を、積分手段303と調整手段304とモード対応慣性調整手段306とに供給する。
調整手段304は、前記の出力電力指令P
out*と、出力周波数ω
gと、回転子の角速度ω
PCSの信号を入力する。そして、調整手段(調整機)304は、電力(機械入力)P
inを出力して、VSGモデル302に供給する。
モード対応慣性調整手段306は、前記の回転子の角速度ω
PCSの信号と出力周波数ω
gとを入力して、慣性モーメントJを算出する。そして、VSGモデル302に、前記の慣性モーメントJの信号を供給する。
【0030】
また、積分手段(1/s)303は、VSGモデル302の出力である回転子の角速度ω
PCSの信号を積分して、仮想的な回転子の角度(仮想回転子角度)δを算出する。そして、この仮想回転子角度δの信号を合成手段309に出力する。
電圧制御手段305は、インバータ104の出力側の電圧Vと、電力計算手段301の算出した無効電力Q
outと、無効電力指令Q
*とを入力して、出力電圧Eを算出する。そして、この出力電圧Eの信号を合成手段309に出力する。
また、合成手段309において、出力電圧Eと仮想回転子角度δとを合成して、PWM制御信号E∠δを生成する。このPWM制御信号E∠δは、そのままPWM制御指令E
*∠δ
*となる。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、PWM制御指令E
*∠δ
*を出力する。
【0031】
なお、VSGモデル302は、調整手段(調速機)304との間で、回転子の角速度(回転子角速度)ω
PCSの信号と電力(機械入力)P
inの信号によって、信号がループしている。
また、VSGモデル302は、モード対応慣性調整手段306との間で、回転子の角速度ω
PCSの信号と慣性モーメントJの信号によって、信号がループしている。
これらの信号がループすることによって、演算が収束して解が得られる。
なお、VSGモデル(仮想同期発電機モデル)302の詳細については、後記する。
また、調整手段(調速機)304のモデルの詳細については、後記する。
また、電圧制御手段305の詳細と電圧制御モデルについては、後記する。
また、モード対応慣性調整手段306の詳細については、後記する。
また、慣性モーメントJの調整原理の詳細については、後記する。
【0032】
《第1比較例のVSGモデル302》
図4における第1比較例のVSGモデル302は、次の(1)式に従って、実行される。
【0034】
仮想的な同期機の回転子の特性によって、(1)式は、表記されている。
なお、(1)式において、P
inは機械入力(電力)、P
outは出力の有効電力、Jは慣性モーメント、ω
PCSは回転子の角速度、ω
gは出力周波数、Dは回転の振動抑制係数である。
以上の(1)式において、前記の各要素で表記されるのは、VSGモデル302が、システムの中に実際の機械(同期発電機)が備えられているわけではないからである。各要素の変化量は、仮想の同期発電機と、その回転子に関連している。
【0035】
《第1比較例の調整手段(調速機)304のモデル》
同期発電機の制御においては、調整手段(調速機)304は、電力(パワー)を制御するために行われる。
第1比較例の仮想同期慣性制御においては、調整手段(調速機)304は、次の(2)式で表される線形の減衰の関係式によって実行される。
【0037】
ここで、P
inは機械入力(電力)、P
out*は補正出力電力指令、ω
PCSは積分された回転子の角速度、ω
gは出力周波数、K
govは調整手段(調速機)304に係る比例定数である。
なお、(2)式において、表記上の都合により、「P
*out」と「P
out*」は同義語とする。
【0038】
《第1比較例の電圧制御手段305の電圧制御モデル》
図4において、電圧制御手段305は、出力端における無効電力(無効出力電力)Q
outを、無効電力指令値Q
*に従って制御する。また、無効電力指令値Q
*は、検出された出力電圧Vと出力端における無効電力Q
outを用いて、電圧制御手段305の出力端子における出力電圧Eを調整する。
この制御は、次の(3)式によるPI制御(proportional and integral control:比例積分制御)で行われる。
【0040】
ここで、前記したように、Eは電圧制御手段305の出力電圧、Vは検出器107が検出した電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置)100の出力側の電圧、Q
*は無効電力指令値、Q
outは電力計算手段301が算出した出力端における無効電力である。また、K
PQは比例制御に関する比例定数であり、K
IQは積分制御に関する比例定数である。
【0041】
《第1比較例のモード対応慣性調整手段306》
図4における第1比較例のモード対応慣性調整手段306は、モード照合手段307と、慣性値調整手段308とを備えて構成されている。
モード照合手段307に、回転子の角速度ω
PCSと、検出器107で検出した出力電圧(グリッドの出力電圧)の周波数による角速度ω
gとを入力し、後記する関係によりモードを選択して、このモード(Mode)を慣性値調整手段308に入力する。
慣性値調整手段308は、選択されたモードによって、慣性モーメントJを動的に変更、選択して、第1比較例のVSGモデル302に、慣性モーメントJを伝達する。
このようにして、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110において、慣性モーメントJを最適化することで、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110を用いた第1比較例の新エネルギー源統合電力変換装置の出力端子における発振を防止し、安定化させている。
【0042】
《第1比較例の慣性モーメントJの調整原理》
図5は、第1比較例の慣性モーメントJを調整する原理を示す図であり、(a)はモード照合とその調整結果の関連を示し、(b)は各モードの関連を示している。
図5(a)において、モード照合手段307(
図4)のモード照合と、モード照合によって定められるモードと、慣性値調整手段308(
図4)の調整結果(調整)の各要素を示している。
図5(a)に示すように、回転子の角速度ω
PCSは、モード照合(モード照合手段307)によって、インバータ104(
図1)の出力、すなわち電力送電網との接続点(グリッド、格子点)である三相交流電源102(
図1)の周波数(角速度)ω
gと比較される。
この比較した結果と、回転子の角速度ω
PCSが増加しているか減少しているかによって、モード照合手段307で比較結果が判定される。
【0043】
図5(a)において、モード(Mode)1は、モード照合(モード照合手段307)において、ω
PCS>ω
gかつω
PCSが増加している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合におけるJ
normalが選択される。
また、モード(Mode)2は、モード照合において、ω
PCS>ω
gかつω
PCSが減少している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合よりも小さい値のJ
smallが選択される。
また、モード(Mode)3は、モード照合において、ω
PCS<ω
gかつω
PCSが減少している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合のJ
normalが選択される。
また、モード(Mode)4は、モード照合において、ω
PCS<ω
gかつω
PCSが増加している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合よりも小さい値のJ
smallが選択される。
なお、通常の場合におけるJ
normalは、通常の場合に用いている慣性モーメントJを変化させないという意味でもある。
【0044】
図5(b)において、ω
PCSとω
gとモード(Mode1〜Mode4)との関係を図示している。また、Mode1およびMode4の近傍に付された右向きの矢印はω
PCSが増加していることを示し、Mode2およびMode3の近傍に付された左向きの矢印はω
PCSが減少していることを示している。
【0045】
以上の
図4および
図5を参照して示した第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110を用いた特性については、
図8(第2比較例)と
図9(第1比較例)とを参照して後記する。
しかしながら、
図8(第2比較例)と
図9(第1比較例)で説明する特性においては、後記するような改善点をまだ有している。
そのため、次に、さらに改良を加えた本発明(第1実施形態)を説明する。
【0046】
《本発明の第1実施形態の電力変更決定手段111》
次に、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100(
図1)に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108における電力変更決定手段111(
図3、
図6)について詳しく説明する。なお、電力変更決定手段111は、前記した第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110、および第1比較例そのものに存在しない構成要素である。
【0047】
図6は、本発明の第1実施形態に係る電力変更決定手段111の構成の一例を示す図である。なお、前記したように第1実施形態は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを備えた第1の仮想同期慣性制御手段108を用いることが特徴であるので、電力変更決定手段111が重要な役目をする。
図6において、電力変更決定手段111は、電力計算手段401,402、ハイパスフィルタ(HPF)403、絶対値算出手段(ABS)404、閾値比較判定手段405、フラッグ発生手段406、出力電力変更指令手段407を備えて構成されている。
また、電力変更決定手段111は、
図3において説明したように、検出器(電圧電流検出器)106の検出したインバータ104の入力側の電圧V
dcと電流I
dcと、検出器107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと、出力電力指令P
*とを入力している。
そして、これらの入力信号と指令(V
dc,I
dc,V,I,P
*)によって、電力変更決定手段111は、補正出力電力指令P
out*を生成し、第2の仮想同期慣性制御手段110に、この補正出力電力指令P
out*を供給している。
【0048】
電力計算手段(第1の電力計算手段)401には、検出器107で検出したインバータ104(
図1)の出力の電圧Vと電流Iが入力する。そして、電力計算手段401は、新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力(有効出力電力)P
outを算出する。
電力計算手段(第2の電力計算手段)402には、検出器106で検出したインバータ104の入力側の電圧V
dcと電流I
dcが入力する。そして、電力計算手段402は、新エネルギー源統合電力変換装置100の入力の有効電力(有効入力電力)P
dcを算出する。
新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力P
outと入力の有効電力P
dcは、差分手段409にそれぞれ入力する。
【0049】
差分手段409において、出力の有効電力P
outと入力の有効電力P
dcの差が検出される。差分手段409の出力は、ハイパスフィルタ(HPF)403に入力する。
ハイパスフィルタ(HPF)403で高周波(ノイズ)成分が除去される。高周波成分を除去することによって、次の工程での精度が向上する。
ハイパスフィルタ(HPF)403の出力は、絶対値算出手段(ABS)404に入力する。絶対値算出手段(ABS)404に入力した信号は、絶対値算出手段404によって、その絶対値が算出される。絶対値をとるのは、出力電力P
outと入力電力P
dcの大小関係が二通りあるからである。
【0050】
絶対値算出手段404の出力信号は、閾値比較判定手段405の一つの入力端子に入力する。閾値比較判定手段405のもう一つの入力端子には予め定められた閾値が入力している。閾値比較判定手段405において、前記の絶対値算出手段404の出力信号は、前記の予め定められた閾値と比較される。
絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が、前記の閾値より小さいか等しい場合には、意図されていた電力変換操作は、引き続き、そのまま実行される。
しかしながら、絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が、閾値より大きい場合には、意図されていた電力変換操作は変更する必要があることになる。
【0051】
もしこの電力変換操作を変更しない場合には、絶対値算出手段404の出力信号が、閾値より大きい状態が続いて、直流コンデンサ105(
図1)の直流電圧が変化しつづける状態となって、電力変換装置が動作を停止する結果となる。
そのため、閾値比較判定手段405において、絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が閾値より大きくなる場合には、フラッグ発生手段406が活性化して作動し、その状態の警告のフラッグ信号Fを立てる。そして、そのフラッグ信号Fを出力電力変更指令手段407に送る。
出力電力変更指令手段407は、前記のフラッグ信号Fと、電力計算手段402の出力信号である有効入力電力P
dcと、出力電力指令P
*とを入力している。出力電力変更指令手段407は、前記の三つの信号を参照して、補正出力電力指令P
out*を出力する。また、補正出力電力指令P
out*の設定が初期化される。
【0052】
《本発明の第1実施形態の出力電力変更指令手段407》
次に、前記の出力電力変更指令手段407の詳細な構成と動作について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る出力電力変更指令手段407の構成例と動作を示す図であり、(a)は出力電力変更指令手段407の構成例を示し、(b)はその動作を説明するものである。
なお、出力電力変更指令手段407は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108の電力変更決定手段111に具備されている。
図7(a)において、出力電力変更指令手段407は、時系列電力指令手段408と切替手段410とゲート手段411とを有している。また、出力電力変更指令手段407には、出力電力指令P
*と新エネルギー源101からの有効入力電力P
dcと、フラッグ発生手段406からのフラッグ信号Fとが入力されている。そして、出力電力変更指令手段407からは、補正出力電力指令P
out*が出力されている。
【0053】
ゲート手段411は、フラッグ信号Fによって開閉される。ゲート手段411の入力側は有効入力電力P
dcの信号が入力され、出力側は原出力電力指令P
original*となる。
時系列電力指令手段408の第1端子には原出力電力指令P
original*が入力し、時系列電力指令手段408において、
図7(b)で後記するように信号が変換され、第2端子から補正出力電力指令P
out*となって出力される。
切替手段410の第1端子には、出力電力指令P
*が入力し、第2端子には時系列電力指令手段408の出力の補正出力電力指令P
out*が入力している。また、切替手段410は、フラッグ信号Fによって第1端子と第2端子との信号の切り替えが制御される。
【0054】
切替手段410において、フラッグ信号Fが立っていない場合には、通常状態として、第1端子の出力電力指令P
*が選択される。そして、出力電力指令P
*がそのまま補正出力電力指令P
out*として、出力される。
また、フラッグ信号Fが立っている場合には、電力変更が必要とされて、新エネルギー源101からの有効入力電力P
dcがゲート手段411を通過し、原出力電力指令P
original*となって、時系列電力指令手段408に入力する。前記したように、時系列電力指令手段408は、原出力電力指令P
original*を補正出力電力指令P
out*に変換する。
そして、切替手段410においては、フラッグ信号Fが立っているので、第2端子の時系列電力指令(時系列電力指令手段408の指令)を反映した補正出力電力指令P
out*が、切替手段410の出力信号として出力される。
【0055】
すなわち、
図6のフラッグ発生手段406でフラッグ信号Fが立って、有効電力の乖離が検出された場合には、原出力電力指令P
original*として、新エネルギー源101からの有効入力電力P
dcを用いる方が、通常状態の出力電力指令P
*で有効電力の不均衡による直流コンデンサ105の電圧の不安定を防止する方法よりも、前記の有効電力の乖離が調整される。
【0056】
このように、出力電力指令を変更することが有効電力の不均衡を安定化させることの解決策となる。
しかし、出力電力変更指令の過渡期においては、直流コンデンサ105の直流電圧の大きな逸脱に対処する必要がある。
したがって、時系列電力指令(時系列電力指令手段408)においては、具体的に、前記の過渡期における直流コンデンサ105の直流電圧の大きな逸脱を緩和する方法をとる必要がある。
【0057】
図7(b)は、前記の過渡期における具体的な対策を示すものである。
図7(b)において、原出力電力指令P
original*を正側に変化させる場合と、負側に変化される場合を表記している。正側に変化させる場合を
図7(b)の上側に、負側に変化される場合を
図7(b)の下側に示している。
図7(b)の上側(正電力変更)に示すように、原出力電力指令P
original*を正側に変化させる場合(正電力変更)には、原出力電力指令P
original*の正側への変化点から時間Δt
schの間において、補正出力電力指令P
out*をΔP
schだけ多くなるように指令する。そして、時間Δt
schの間にエネルギーとして、ΔE
sch=ΔP
sch・Δt
schをより多く供給して、その後は、補正出力電力指令P
out*を、原出力電力指令P
original*と同じ電力量とする。
このように、変化点において、ΔE
sch=ΔP
sch・Δt
schをより多く供給することにより、過渡期の直流コンデンサ105における電圧の大きな逸脱を緩和する。
【0058】
また、
図7(b)の下側(負電力変更)に示すように、原出力電力指令P
original*を負側に変化させる場合(負電力変更)には、原出力電力指令P
original*の負側への変化点から時間Δt
schの間において、補正出力電力指令P
out*をΔP
schだけ少なくなるように指令する。そして、時間Δt
schの間にエネルギーとして、ΔE
sch=ΔP
sch・Δt
schをより少なく供給して、その後は、補正出力電力指令P
out*を、原出力電力指令P
original*と同じ電力量とする。
このように、変化点において、ΔE
sch=ΔP
sch・Δt
schをより少なく供給することにより、過渡期の直流コンデンサ105における電圧の大きな逸脱を緩和する。
【0059】
なお、変化点において、より多く、またはより少なく供給する期間の時間Δt
schは、電力変換装置である新エネルギー源統合電力変換装置100のダイナミック応答の応答時間(動的応答時間)によって決定される。
また、電力量をより多く、または、より少なく供給する有効電力ΔP
schは、時間Δt
schにおける補償エネルギーΔE
schによって決定される。すなわち、電力変更決定手段の入力変化に対する応答時間は、入力電力の変化した総量に応じて変化する。
また、第1の仮想同期慣性制御手段108において電力および電力量を計算する時間も時系列電力指令(時系列電力指令手段408)において考慮する必要がある。
この
図7(a)、(b)に示した補正出力電力指令P
out*によって、直流コンデンサ105における直流電圧の変動は緩和される。
【0060】
<本発明(第1実施形態)と比較例の仮想同期慣性制御の特性比較>
次に、本発明(第1実施形態)と比較例の仮想同期慣性制御の特性を比較して説明する。
なお、比較例として第1比較例と第2比較例がある。
第2比較例は、
図4におけるモード対応慣性調整手段306を備えていない場合である。
第1比較例は、
図4におけるモード対応慣性調整手段306を備えている場合である。
次に、比較例の第1比較例と第2比較例について、順に説明する。
【0061】
《第2比較例におけるモード対応慣性調整手段無しの場合の仮想同期慣性制御の特性》
図8は、第2比較例のモード対応慣性調整手段(306)無しの場合における第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。なお、モード対応慣性調整手段(306)無しの場合であるため、時系列電力指令手段408も用いていない。
図8において、縦軸には、入力電圧V
dc、残余エネルギーΔE
pcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ω
PCS、入力電力(機械入力)P
in、出力電力P
outである。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔE
pcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0062】
図8は、前記したように、第2比較例のモード対応慣性調整手段無しの場合なので、特性線2003で示した慣性モーメントJは、常に一定の値を保っている。
また、符号Fで示した0.5秒後に電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置)が電力変換制御を始動すると、入力電圧V
dc、残余エネルギーΔE
pcs、回転子の角速度ω
PCS、入力電力(機械入力)P
in、出力電力P
outは、変化する。
0.5秒後に前記の各特性が変化しても、補正出力電力指令P
out*は、一定であって、適切な制御ではないので、出力電力P
outは、特性線2006に示すように、減少はするものの発振波形となる。
そして、電力変換装置の直流コンデンサ105で変動して残余となっている残余エネルギーΔE
pcs(特性線2002)によって、直流コンデンサ105における入力電圧V
dcを変動させる(特性線2001)。
このように、モード対応慣性調整手段無しの場合の操作においては、制御システムが出力端子における発振現象を抑制するために、1秒以上を必要とする。
さらに、直流コンデンサ105の電圧が、変動の過渡期において、平常値の2.4倍である2.4[pu]の電圧値にまで達する(特性線2001のピーク値2001P)。
【0063】
なお、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすれば、直流コンデンサ105の電圧のピーク値(2001P)を低減できる。また、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすることによって、過大な電圧を抑制し、安定的な動作をもたらす。
しかし、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすることは、電力変換装置のコストの上昇を招くことになる。
【0064】
《第1比較例におけるモード対応慣性調整手段有りの場合の仮想同期慣性制御の特性》
図9は、第1比較例のモード対応慣性調整手段(306)有り場合の第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。ただし、モード対応慣性調整手段(306)有りの場合であるが、時系列電力指令手段408(
図7)は用いていない。
図9において、縦軸には、入力電圧V
dc、残余エネルギーΔE
pcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ω
PCS、入力電力P
in、出力電力P
outである。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔE
pcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0065】
図9においては、前記したように、第1比較例のモード対応慣性調整手段(306)有りの場合であるので、過渡期およびそれ以降において、慣性モーメントJは変化している(特性線3003)。
第1比較例の
図9に示す特性は、第2比較例の
図8に示す特性と異なっている。この相違は、過渡期における慣性モーメントJの制御の相違に起因する。
図8における慣性モーメントJ(特性線2003)は、制御されずに一定値であったが、
図9における慣性モーメントJ(特性線3003)は、細かく制御されて変化している。
この
図9の慣性モーメントJ(特性線3003)の制御の結果、第2比較例における出力端子における出力電力P
out(特性線2006:
図8)の過渡的な発振現象が、第1比較例では特性線3006(
図9)に示すように、出力電力P
out(特性線3006)の過渡現象は素早く減衰し、収束している。
【0066】
しかしながら、第1比較例の
図9における入力電圧V
dc(特性線3001)の過渡状態におけるピーク値は、第2比較例の
図8における入力電圧V
dc(特性線2001)の過渡状態におけるピーク値とほぼ同一の2.4[pu]の電圧値にまで達している。
したがって、仮想同期電力変換装置として、過大な電圧を抑制し、安定的な動作をもたらすための制御という観点では、第1比較例も第2比較例と同様に、直流コンデンサ105の静電容量値をさらに大きくする等の対策をとる必要がある。
【0067】
《本発明の第1実施形態における仮想同期慣性制御の特性、
図10》
図10は、本発明の第1実施形態に係る第1の仮想同期慣性制御手段108を用いた場合の特性例を示す図である。
図10において、縦軸には、入力電圧V
dc、残余エネルギーΔE
pcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ω
PCS、入力電力P
in、出力電力P
outである。また、出力電力P
outの項に
図7(b)に示した補正出力電力指令P
out*(特性線1007)を併せて表記している。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔE
pcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
図10における出力電力指令P
out*(特性線1007)の効果により、過渡期における入力電圧V
dc(特性線1001)の過渡状態におけるピーク値(1001P)は、2.1[pu]の電圧値となって、第1比較例と第2比較例の入力電圧V
dcの過渡状態におけるピーク値の2.4[pu]に対して減少している。このようにピーク値が低減することは、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100)として望ましいことである。
【0068】
なお、
図10における補正出力電力指令P
out*(特性線1007)は、
図7(b)における上側の原出力電力指令P
original*を正側に変化させる場合について示した。
図10において、
図7(b)における下側の原出力電力指令P
original*を負側に変化させる場合については示していないが、正側と負側の差はあっても、入力電圧V
dcの過渡状態におけるピーク値を低減する作用は、概ね同一であるので、重複する説明は省略する。
【0069】
<第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の構成・機能・動作の総括>
以上、述べたように、第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを備えている。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、前記したように、仮想同期慣性モーメントを制御する機能を有している。
また、電力変更決定手段111は、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって、有効出力電力を調整・制御する機能(アクティブパワーコントロール)を有している。
また、電力変更決定手段111は、電力変化時の対応を詳細に規定した時系列電力指令手段408を具備した出力電力変更指令手段407を有している。
以上の構成によって、第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100は、主として新エネルギー源101に起因する電力変動が起きた際に、電力変換装置(100)の入力と出力とのエネルギー差(電力差)を過渡的に緩和する。
そのため、インバータ104の入力側に設けられた直流コンデンサ105の電圧を通常の操作範囲(動作範囲)に保たれる。この機能によって、仮想同期慣性制御に基づく電力変換装置(100)は、新エネルギー源101(
図1)の急激な環境の変動から守られて、動作停止が避けられるのである。
【0070】
<本発明の第1実施形態の効果>
以上、本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100によれば、新エネルギー源101において、電力の変動があった場合にも、その変動による影響を速やかに低減し、収束させることができる。すなわち、新エネルギー源統合電力変換装置100を介して新エネルギー源(フロントエンド+バックエンド)に等価的に、大きな慣性モーメントを付与することができるという効果がある。
したがって、新エネルギー源を有する送電線網に対して、電力品質を向上する電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100)を提供できる。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100における直流コンデンサに過渡的に生成される電圧を軽減させることができるので、新エネルギー源統合電力変換装置100の安定動作、信頼性の向上に寄与するという効果がある。
また、以上の効果を新エネルギー源統合電力変換装置100における直流コンデンサの静電容量を増加させることなく実現できるので、同じ効果を直流コンデンサの静電容量を増加させる方法に比較して、低コストで実現して提供できるという効果がある。
【0071】
≪本発明の第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bを、
図11〜
図15を、適宜、参照して説明する。
【0072】
《本発明の第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bの概要》
図11は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100Bの構成の一例を示す図であり、(a)は新エネルギー源統合電力変換装置100Bの構成および新エネルギー源101と三相交流電源102との接続関係を示し、(b)は第3の仮想同期慣性制御手段508の等価回路を示している。
図11(a)において、新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100Bは、インバータ104、直流コンデンサ105、検出器(電圧電流検出器)106,107、第1の仮想同期慣性制御手段508、PWM制御手段109を備えている。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100Bは、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源のフロントエンドである新エネルギー源101から、有効入力電力P
dcの電力を入力している。
【0073】
以上において、
図11(a)に示した第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bと、
図1に示した第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100との相違は、
図11(a)の第3の仮想同期慣性制御手段508と
図1の第1の仮想同期慣性制御手段108との相違のみである。したがって、その他の重複する説明は、適宜、省略する。
図11(a)における第3の仮想同期慣性制御手段508については、
図11(b)の説明の後で、詳細に説明する。
【0074】
図11(b)は、前記したように、第3の仮想同期慣性制御手段508の等価回路を示している。
図11(b)において、後記するように、仮想インピーダンス値決定手段512(
図12)と仮想インピーダンス制御手段513(
図12)とによって生成された仮想インピーダンス値X
Vを用いるか、用いないか(0)を、第3の仮想同期慣性制御手段508が後記する電力変更の指令であるフラッグ信号Fによって、切替手段514で選択することを表している。
次に、第3の仮想同期慣性制御手段508について説明する。
【0075】
《本発明の第2実施形態における第3の仮想同期慣性制御手段508》
図12は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける第3の仮想同期慣性制御手段508の構成の一例を示す図である。
図12において、第3の仮想同期慣性制御手段508は、第2の仮想同期慣性制御手段110と、電力変更決定手段511と、仮想インピーダンス値決定手段512と、仮想インピーダンス制御手段513と、切替手段514と、合成手段(加算器)519とを備えて構成されている。
第3の仮想同期慣性制御手段508には、インバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω
gとインバータ104の入力側の電圧V
dcと電流I
dcと、出力電力指令P
*と、を入力している。そして、第3の仮想同期慣性制御手段508は、参照指令E
*∠δ
*を出力する。
【0076】
電力変更決定手段511は、前記の入力信号と指令(V
dc,I
dc,V,I,P
*)によって、補正出力電力指令P
out*、および、その変化分(差分)の信号ΔP
out*と、電力指令の変更が決定されたことを伝達するフラッグ信号Fを生成している。
そして、電力変更決定手段511は、第2の仮想同期慣性制御手段110に、前記の補正出力電力指令P
out*を供給し、仮想インピーダンス値決定手段512に、前記補正出力電力指令P
out*の変化分(差分)の信号ΔP
out*を供給している。
また、電力変更決定手段511は、フラッグ信号Fを仮想インピーダンス値決定手段512と、切替手段514に供給している。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、インバータ104(
図11)の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω
g、および前記の補正出力電力指令P
out*とによって制御し、暫定の参照指令である暫定参照指令信号E∠δを出力する。
【0077】
仮想インピーダンス値決定手段512は、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*とフラッグ信号Fとによって、仮想インピーダンス値X
Vを算出する。
仮想インピーダンス制御手段513は、出力側の電流Iと仮想インピーダンス値X
Vを用いて、補正参照指令を導出する。具体的には、電流Iの位相を−90度(−π/2)、変化させるとともに、仮想インピーダンス値X
Vを参照して増幅(バッファ)した信号を補正参照指令として、切替手段514の第2入力端子に送っている。
切替手段514は、第2入力端子の補正参照指令か、第1入力端子の0(変更なし)かをフラッグ信号Fによって選択し、その出力信号を合成手段(加算器)519の第2端子に入力している。なお、フラッグ信号Fが立った場合には、仮想インピーダンス制御手段513の出力する補正参照指令が選択される。
合成手段(加算器)519の第1端子には、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定参照指令E∠δが入力している。
合成手段(加算器)519は、切替手段514の仮想インピーダンス値の制御に関する補正参照指令と、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定指令信号E∠δと、を合成(加算)して参照指令E
*∠δ
*を出力する。
【0078】
以上の構成によって、仮想出力インピーダンスの調整は、より改善される。すなわち、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)が電力調整変化の動作(操作)を行うときに、一時的に仮想インピーダンス制御を挿入することによって、直流コンデンサ105(
図11)における直流電圧の大きな逸脱を回避することができる。
なお、第2の仮想同期慣性制御手段110は、
図3(第1実施形態)、
図4(第1の比較例)において前記したとおりである。
また、電力変更決定手段511と、仮想インピーダンス値決定手段512のそれぞれの詳細については、後記する。
【0079】
《本発明の第2実施形態における電力変更決定手段511》
次に本発明の第2実施形態の特徴的な構成要素である電力変更決定手段511について詳しく説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける電力変更決定手段511の構成の一例を示す図である。
図13において、電力変更決定手段511は、電力計算手段401,402、ハイパスフィルタ(HPF)403、絶対値算出手段(ABS)404、閾値比較判定手段405、フラッグ発生手段406、出力電力変更指令手段609を備えて構成されている。
以上の
図13で示した電力変更決定手段511の構成において、
図6で示した電力変更決定手段111と異なるのは、出力電力変更指令手段609である。出力電力変更指令手段609の詳細な構成と動作については後記するが、出力電力変更指令手段609が電力変更決定手段511に備えられたことで、電力変更決定手段511からは、補正出力電力指令P
out*のみならず補正出力電力指令P
out*の変化分(差分)の信号ΔP
out*が出力される。
図13における他の構成は、
図6の同じ符号を付したそれぞれの構成と同一であるので、重複する説明は、省略する。
【0080】
《本発明の第2実施形態における出力電力変更指令手段609》
次に出力電力変更指令手段609について詳しく説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける出力電力変更指令手段609の構成の一例を示す図である。
図14において、出力電力変更指令手段609は、絶対値算出手段(ABS)610と、保持手段611と、切替手段612と、差分手段(差分器)613とを備えて構成されている。
出力電力変更指令手段609には、新エネルギー源101からの有効入力電力P
dcと、出力電力指令P
*と、フラッグ発生手段406のフラッグ信号Fとを入力している。
また、出力電力変更指令手段609は、補正出力電力指令P
out*と、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*を出力している。
【0081】
出力電力指令P
*と有効入力電力P
dcは、それぞれ差分器613に入力し、出力電力指令P
*と有効入力電力P
dcの差分が出力して、この差分の信号が、絶対値算出手段(ABS)610に入力する。
絶対値算出手段(ABS)610は、出力電力指令P
*と有効入力電力P
dcの差分の絶対値を演算して、保持手段611に入力する。
切替手段612の第1端子には、出力電力指令P
*が入力し、第2端子には、有効入力電力P
dcが入力している。
切替手段612における信号の切り替えは、フラッグ信号Fによって制御される。電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立っていない場合には、切替手段612の補正出力電力指令P
out*として、出力電力指令P
*が出力される。
【0082】
切替手段612において、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合には、切替手段612の補正出力電力指令P
out*として、有効入力電力P
dcが出力される。
また、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合には、このフラッグ信号Fによって、保持手段611は、絶対値算出手段(ABS)610の信号を保持して、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*として出力する。
【0083】
以上の構成によって、電力変更の指令による操作が始まってフラッグ信号Fが立った場合には、補正出力電力指令P
out*は、通常の操作である出力電力指令P
*ではなく、有効入力電力P
dcに合うように調整される。その理由は、入力と出力との間で不均衡となった有効電力によって直流コンデンサ105(
図11)の電圧が不安定となることを防止するためである。
このように、補正出力電力指令P
out*を変更することによって、安定状態から不均衡となった有効電力の状況を解決する。
しかしながら、電力指令を変更する操作の過程において、直流コンデンサ105(
図1)の電圧が直流電圧の大きな乖離に耐えられるかどうかは保障されない。
第2実施形態における出力電力変更指令手段609の構成によって、仮想インピーダンスを用いる方法は、過渡的な直流コンデンサ105の電圧が安定状態から逸脱することを緩和するように、調整する。
電力指令を変更する操作の過程における仮想インピーダンス値を決定するために、出力電力指令P
*と有効入力電力P
dcの電力の絶対値を読み取ることで、電力変更の指令による操作が始まってからの補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*を変化させた総量が検出される。
【0084】
《本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512の特性、動作》
次に本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512(
図12、
図15)の特性、動作について詳しく説明する。
図15は、本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512の特性、動作の一例を示す図であり、(a)は仮想インピーダンス値決定手段512の入力信号、出力信号、制御信号を示す図であり、(b)は入力信号と出力信号の関係を示す変換図(マップ)であり、(c)は仮想インピーダンス値X
Vの時間変化を示す図である。
図15(a)において、制御信号である電力変更の指令のフラッグ信号Fが立つと、仮想インピーダンス値決定手段512は、動作を開始して、入力信号である補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*を出力信号である仮想インピーダンス値X
Vに変換して、出力する。
【0085】
図15(b)において、横軸に示した補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*と、縦軸に示した仮想インピーダンス値X
Vとの関係を、特性線1501で表している。また、
図15(b)において縦軸上に「−X
S」と表記した点は、
図1における三相交流電源102のグリッドとしてのインピーダンスX
S103のインピーダンス値を示している。
また、
図15(c)において、縦軸は仮想インピーダンス値X
Vであり、横軸は時間(時間の推移)を示している。
図15(c)においては、制御信号であって電力変更の指令であるフラッグ信号Fが変化をした際における仮想インピーダンス値X
Vの時間変化を示している。
以上のように、電力変更の指令のフラッグ信号Fが有効な状態において、仮想インピーダンス値X
Vは、変換図(マップ)に従って、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*から変換されて算出される。
【0086】
図15(a)、(b)、(c)によって説明した仮想インピーダンス値X
Vは、
図12における切替手段514の第2入力端子に補正参照指令として入力している。
すなわち、フラッグ信号Fが立った場合には、仮想インピーダンス値X
Vによる補正参照指令によって、
図12において、暫定参照指令E∠δが参照指令E
*∠δ
*に補正される。
【0087】
《本発明の第2実施形態における第3の仮想同期慣性制御の特性、
図16》
図16は、本発明の第2実施形態に係る第3の仮想同期慣性制御手段508を用いた場合の特性例を示す図である。
図16において、縦軸には、入力電圧V
dc、残余エネルギーΔE
pcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ω
PCS、入力電力P
in、出力電力P
outである。また、出力電力P
outの項に補正出力電力指令P
out*を併せて表記している。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔE
pcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0088】
図16において、フラッグ信号Fによって、0.5秒後に電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)は、電力変換動作(操作)を開始している。そのため、補正出力電力指令P
out*(特性線1107)が直ちに変化している。
このとき、電力変換装置の出力電力P
out(特性線1106)が発振現象を起こしている。しかし、速やかに、この発振現象は減衰している。その理由は、慣性モーメントJ(特性線1103)を変化させているからである。
さらに、それに加えて、出力端子の仮想インピーダンスX
Vを挿入し、電力変換装置の直流コンデンサ105(
図11)の残余エネルギーΔE
pcs(特性線1102:
図16)を抑制しているからである。
【0089】
そのため、この残余エネルギーΔE
pcs(特性線1102:
図16)は、
図8の残余エネルギーΔE
pcs(特性線2002、第2比較例)や、
図9の残余エネルギーΔE
pcs(特性線3002、第1比較例)に比較して小さい。
この結果、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)の直流コンデンサ105の入力電圧V
dc(特性線1101:
図16)の逸脱したピーク値1101P(約2.1pu)は、
図8の電力変換装置の直流コンデンサ105の入力電圧V
dc(特性線2001、第2比較例)の逸脱したピーク値2001P(約2.4pu)や、
図9の電力変換装置の直流コンデンサ105の入力電圧V
dc(特性線3001、第1比較例)の逸脱したピーク値3001P(約2.4pu)より小さい。
つまり、第2比較例の
図8、および第1比較例の
図9のピーク値の2.4puから、本発明の第2実施形態の
図16に示すピーク値では2.1puに改善されている。
【0090】
<第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bの構成・機能・動作の総括>
以上、述べたように、第3の仮想同期慣性制御手段508は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段511と仮想インピーダンス値決定手段512と仮想インピーダンス制御手段513とを備えている。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、前記したように、仮想同期慣性モーメントを制御する機能を有している。
また、電力変更決定手段511は、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって、入力電力と出力電力との間の有効電力を調整・制御する機能(アクティブパワーコントロール)を有している。
また、電力変更決定手段511は、通常時の操作の出力電力指令P
*と、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合の補正出力電力指令P
out*として有効入力電力P
dcと、補正出力電力指令の変化分の信号ΔP
out*とが出力される出力電力変更指令手段609を有している。
【0091】
仮想インピーダンス値決定手段512は、前記したように、補正出力電力指令の変化分の信号ΔP
out*とフラッグ信号Fとによって、仮想インピーダンス値X
Vを算出する。
仮想インピーダンス制御手段513は、前記したように、出力側の電流Iと仮想インピーダンス値X
Vを用いて、補正参照指令を導出する。
切替手段514は、前記したように、第2入力端子の補正参照指令か、第1入力端子の0(変更なし)かをフラッグ信号Fによって選択し、その出力信号を合成手段(加算器)519の第2端子に入力している。
合成手段(加算器)519は、前記したように、切替手段514の仮想インピーダンス値の制御に関する補正参照指令と、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定参照指令信号E∠δと、を合成(加算)して参照指令E
*∠δ
*を出力する。なお、切替手段514において、「補正なし」を意味する「0」が選択された場合には、暫定参照指令信号E∠δが、そのまま参照指令E
*∠δ
*として出力される。
【0092】
以上の構成によって、第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bは、主として新エネルギー源101に起因する電力変動が起きた場合、電力調整変化の動作(操作)を行うときに、一時的に仮想インピーダンス制御を挿入することによって、直流コンデンサ105(
図11)における直流電圧の大きな逸脱を回避することができる。
そのため、インバータ104の入力側に設けられた直流コンデンサ105の電圧を通常の操作範囲(動作範囲)に保たれる。この機能によって、第3の仮想同期慣性制御とアクティブパワーコントロールに基づく電力変換装置(100B)は、新エネルギー源101(
図11)の急激な環境の変動から守られて、動作停止が避けられるのである。
【0093】
<本発明の第2実施形態の効果>
以上、本発明の第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bによれば、新エネルギー源101において、電力の変動があった場合にも、その変動による影響を速やかに低減し、収束させることができる。すなわち、新エネルギー源統合電力変換装置100Bを介して新エネルギー源(フロントエンド+バックエンド)に等価的に、大きな慣性モーメントを付与することができるという効果がある。
そのため、新エネルギー源を有する送電線網に対して電力品質を向上する新エネルギー源統合電力変換装置100Bを提供できる。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける直流コンデンサ105に過渡的に生成される電圧を軽減させることができるので、新エネルギー源統合電力変換装置100Bの安定動作、信頼性の向上に寄与するという効果がある。
また、以上の効果を新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける直流コンデンサの静電容量を増加させることなく実現できるので、同じ効果を直流コンデンサの静電容量を増加させる方法に比較して、低コストで実現して提供できるという効果がある。
【0094】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0095】
《三相以外の方法》
図1、
図2で示した第1実施形態の例では、三相交流の場合であったが、単相交流に変換する場合にも適用できる。
【0096】
《スイッチング手段》
図2において、スイッチング素子(201〜206)をIGBTで説明したが、これに限定されない。MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Effect-Transistor)や、スーパージャンクションMOSFETなどでもよい。
【0097】
《インバータ》
図1において、インバータ104とPWM制御手段109を別々に表記したが、PWM制御手段109をインバータを構成する一部として、インバータの中に含めて構成してもよい。
【0098】
《第1の仮想同期慣性制御手段》
図1において、第1の仮想同期慣性制御手段108を一つの機能ブロックとして表記したが、
図3に示すように、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111を別々の機能ブロックとして備えて構成してもよい。
【0099】
《検出器、検出手段》
図1、および
図11において、インバータ104の入力側の電圧、電流を検出する検出器(第1の検出手段)106とインバータ104の出力側の電圧、電流を検出する検出器(第2の検出手段)107を別々に分けて記載し説明した。しかし、インバータ104の入力側と出力側のそれぞれの電圧、電流を検出すればよいので、2個の検出器106,107の構成に限定されない。
検出器106,107を一体化してもよいし、また、検出器106,107をそれぞれ電圧検出器と電流検出器に分けて、4個以上の検出器で構成してもよい。
【0100】
《出力電力変更指令手段》
図7において、出力電力変更指令手段407は、時系列電力指令手段408と切替手段410とゲート手段411とを備えて構成する例を示したが、フラッグ信号Fによって、時系列電力指令手段408の時系列電力指令と、出力電力指令P
*とを切り替えればよいので、この回路に限定されない。
例えば、ゲート手段411を取り除いた回路構成もある。
【0101】
《仮想インピーダンス値決定手段》
図15において、仮想インピーダンス値決定手段512は、
図15(b)に示す補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔP
out*と仮想インピーダンス値X
Vとの関係による一つの変換マップで仮想インピーダンス値X
Vを算出している。しかしながら、変換マップは一つに限定されない。様々な諸条件により、変換マップの特性(特性線1501)が変化する可能性がある。
そのため、変換マップを複数、備えて、諸条件の変化により、切り替える方法もある。