特許第6796029号(P6796029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796029
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】新エネルギー源統合電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20201119BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02M7/48 F
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-116145(P2017-116145)
(22)【出願日】2017年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-4571(P2019-4571A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2020年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 佳澤
(72)【発明者】
【氏名】菊池 輝
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−226279(JP,A)
【文献】 特開2016−220396(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/122874(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
新エネルギー源の発電電力を所定の交流電力に変換して電力送電網に出力するインバータと、
該インバータを制御するPWM制御手段と、
前記インバータの入力の電圧と電流を検出する第1の検出手段と、
前記インバータの出力の電圧と電流と周波数とを検出する第2の検出手段と、
前記第1,第2の検出手段が検出した入力と出力のそれぞれの電圧と電流から前記インバータの入力側の入力電力と出力側の出力電力と、前記入力電力と前記出力電力との差異を算出するとともに、出力電力指令を参照して補正出力電力指令を算出する電力変更決定手段と、
前記第2の検出手段が検出した出力の電圧と電流と周波数と前記補正出力電力指令とを、基に仮想慣性特性を算出して、前記PWM制御手段へ参照指令を出力する仮想同期慣性制御手段と、
を備え、
前記電力変更決定手段の前記入力電力の変化に対する応答時間は、前記入力電力の変化した総量に応じて変化する、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記電力変更決定手段は、
前記インバータの出力の電圧と電流から出力電力を計算する第1の電力計算手段と、
前記インバータの入力の電圧と電流から入力電力を計算する第2の電力計算手段と、
前記第1の電力計算手段が計算した出力電力と第2の電力計算手段が計算した入力電力との差の絶対値が事前に定められていた閾値を超すか否かを判定する閾値比較判定手段と、
該閾値比較判定手段が前記出力電力と前記入力電力との差の絶対値が閾値を超したと判定した場合に、電力変更決定操作のフラッグ信号を出力するフラッグ発生手段と、
前記フラッグ信号が出力された場合に、前記入力電力と出力電力指令とに基づき補正出力電力指令を出力する出力電力変更指令手段と、
を備える、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記出力電力変更指令手段は、
スケジュール化された電力指令を基に構成される時系列電力指令手段と、
第1端子に前記出力電力指令を入力し、第2端子に前記時系列電力指令手段の出力する指令が入力し、前記フラッグ信号によって前記第2端子もしくは第1端子の指令を選択して前記補正出力電力指令として出力する切替手段と、
を備える、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記時系列電力指令手段のスケジュール化された電力指令は、新エネルギー源統合電力変換装置の動的応答時間と電力が計算される時間とに応じて決定される、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項5】
請求項2において、
前記出力電力と前記入力電力との差の絶対値を算出する前段に、ハイパスフィルタを備える、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項6】
新エネルギー源の発電電力を所定の交流電力に変換して電力送電網に出力するインバータと、
該インバータを制御するPWM制御手段と、
前記インバータの入力の電圧と電流を検出する第1の検出手段と、
前記インバータの出力の電圧と電流と周波数とを検出する第2の検出手段と、
前記第1,第2の検出手段が検出した入力と出力のそれぞれの電圧と電流と出力電力指令とを基に補正出力電力指令を算出して出力するとともに、前記補正出力電力指令の変化分の信号と、電力指令の変更が決定されることを伝達するフラッグ信号と、を出力する電力変更決定手段と、
前記第2の検出手段が検出した出力の電圧と電流と周波数と前記補正出力電力指令とを、基に仮想慣性特性を算出して、暫定参照指令を出力する仮想同期慣性制御手段と、
前記補正出力電力指令の変化分の信号と前記フラッグ信号とを基に仮想インピーダンス値を算出する仮想インピーダンス値決定手段と、
前記出力の電流と前記仮想インピーダンス値を基に補正参照指令を導出する仮想インピーダンス制御手段と、
を備え、
前記フラッグ信号によって、前記補正参照指令が選択された場合には、前記暫定参照指令と前記暫定参照指令を合成して参照指令を生成し、前記補正参照指令が選択さない場合には、前記暫定参照指令で参照指令を生成し、いずれかの場合の参照指令を前記PWM制御手段に供給する、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記電力変更決定手段は、
前記インバータの出力の電圧と電流から出力電力を計算する第1の電力計算手段と、
前記インバータの入力の電圧と電流から入力電力を計算する第2の電力計算手段と、
前記第1の電力計算手段が計算した出力電力と前記第2の電力計算手段が計算した入力電力との差の絶対値が事前に定められていた閾値を超すか否かを判定する閾値比較判定手段と、
該閾値比較判定手段が前記出力電力と前記入力電力との差の絶対値が閾値を超したと判定した場合に、電力変更決定操作のフラッグ信号を出力するフラッグ発生手段と、
前記フラッグ信号が出力された場合に、前記入力電力と出力電力指令とに基づき前記補正出力電力指令と当該補正出力電力指令の変化分の信号とを出力する出力電力変更指令手段と、
を備える、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記出力電力変更指令手段は、
前記出力電力指令と前記入力電力との差の絶対値を算出する絶対値算出手段と、
前記フラッグ信号の有無によって、前記入力電力と前記出力電力指令とを切り替えて、前記補正出力電力指令を出力する切替手段と、
前記絶対値算出手段の出力信号を前記フラッグ信号によって、記憶して保持する保持手段と、
を備える、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記仮想インピーダンス値決定手段は、前記補正出力電力指令の変化分の信号を仮想インピーダンス値に変換して出力する、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項10】
請求項1または請求項6において、
前記インバータは、直流電力を三相交流電力に変換する三相インバータである、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【請求項11】
請求項1または請求項6において、
前記第1の検出手段と前記第2の検出手段を一体化して一つの検出手段として構成する、
ことを特徴とする新エネルギー源統合電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新エネルギー源の電力を変換する新エネルギー源統合電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)の開催以降において、COP21の世界の参加各国は、風力発電や太陽光発電に代表される新エネルギー源を、従来の電力源に統合するための活動を、一層、促進している。
新エネルギー源の統合を図るためには、格子状の各拠点(グリッド)で連結された送電網における新エネルギー源の電力変換装置、およびその関連技術が不可欠である。その理由は、新エネルギー源は一般的に環境の急激な変化に影響を受けやすいので、前述の格子状の各拠点において新エネルギー源が生成した電力を調整、変換して送電網に連結する必要があるからである。
近い将来において、新エネルギー源の統合の中長期計画は現実化しつつあり、連結された送電網における電力の安定性の低下に関わる問題が予見されている。それは、新エネルギー源の電力変換装置が、電力変動を受けやすく、従来の主として同期発電機を用いた電力源のような同期機としての安定した慣性(イナーシャ)がないからである。
【0003】
従来の電力システムでは、殆どの電力発電所では同期機が使用されている。これらの同期機は回転子を備えており、電力網との接続点(格子点)における周波数と同期した周波数で回転している。これらの回転子は、大きな慣性の回転モーメント(慣性モーメント)を有している。そのためすべての同期機が一緒に回転すると、非常に大きな慣性の回転モーメントと安定性を持って、電力網との接続点(格子点)の周波数である50Hzもしくは60Hzで安定して回転している。
しかしながら、電力網に格子点から接続される新エネルギー源が増加するにつれ、相対的に電力網の安定性が低減する。それは前記の新エネルギー源における電力変換装置が同期機としての慣性がなく、電力網の接続点(格子点)において連携性の少ない個別の電力源としてあたかも振る舞うからである。
【0004】
この課題に対して、電力変換装置の仮想同期慣性(イナーシャ)制御が、新エネルギー源の電力網の安定性を向上させる一つの解決策として考えられる。
仮想同期慣性制御は、電力変換の制御アルゴリズムに同期機の特徴をもたらす。そのため、仮想同期慣性制御は、電力網の格子点における安定性をもたらす慣性を有する同期発電機のように振る舞う。
仮想同期慣性制御は、出力電力の発振を安定させる慣性モーメントを動的に調整する方法として知られている。しかしながら、新エネルギー源の電力生成の突然に喪失する状況においては、電力変換装置の出力は、電力バランスを維持するために、直ちに制限されなければならない。
この電力変換装置の出力を直ちに制限する操作がなされるが、その操作の期間において、実際の出力電力は、出力電力指令に従って動作する反応時間が必要である。
この状況(状態)は、電力変換装置の入力電力と出力電力との間に非常に大きなエネルギーの乖離をもたらす。それとともに、直流キャパシタ電圧が通常値の電圧から大きく逸脱する原因となる。
そのため、電力変換装置の操作と動作は不安定となることがある。
この理由によって、電力変換装置の出力電力を変更する間において、直流キャパシタ電圧の変動を緩和する方法が求められている。
【0005】
このような電力変換装置としては、例えば、特許文献1がある。
特許文献1の要約には、「本発明は、静止型電力コンバータに基く同期電力コントローラに関するものであり、前記コントローラは以下に参照される2つの主なブロック:ブロック1(電気ブロック)及びブロック2(電気機械ブロック)を備える。電気ブロック1(10)は仮想の電気特性制御コントローラ(11)と、仮想のアドミタンスコントローラ(12)とで形成されまた電気機械ブロック2(10)は仮想の超電力特性コントローラ(21)と、慣性及び減衰係数コントローラ(22)とで形成される。」と記載され、同期電力コントローラの技術が開示されている。
【0006】
また、非特許文献1には、仮想同期回転子の回転周波数の状態に基づいて、慣性モーメント値を動的に調整制御することによって、出力端子の発振を安定化させる方法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−509179号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J. Alipoor et al., "Power system stabilization using virtual synchronous generator with alternating moment of inertia," in IEEE Journal of Emerging and Selected Topics in Power Electronics, vol. 3, no. 2, pp. 451-458, June 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、および非特許文献1に開示された技術では、電力変換装置の入力電力と出力電力との間に非常に大きなエネルギーの乖離を未だもたらしているという課題がある。特に、新エネルギー源の発生電力の突然の低下によって、電力指令値と差異が生じた状況においては、前記した電力変換装置の操作と動作が不安定となる課題がある。
【0010】
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、新エネルギー源の発生電力の突然の低下が起きても電力変換装置の入力電力と出力電力の乖離を緩和し、安定した動作をする電力変換装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の新エネルギー源統合電力変換装置は、新エネルギー源の発電電力を所定の交流電力に変換して電力送電網に出力するインバータと、該インバータを制御するPWM制御手段と、前記インバータの入力の電圧と電流を検出する第1の検出手段と、前記インバータの出力の電圧と電流と周波数とを検出する第2の検出手段と、前記第1,第2の検出手段が検出した入力と出力のそれぞれの電圧と電流から前記インバータの入力側の入力電力と出力側の出力電力と、前記入力電力と前記出力電力との差異を算出するとともに、出力電力指令を参照して補正出力電力指令を算出する電力変更決定手段と、前記第2の検出手段が検出した出力の電圧と電流と周波数と前記補正出力電力指令とを、基に仮想慣性特性を算出して、前記PWM制御手段へ参照指令を出力する仮想同期慣性制御手段と、を備え、前記電力変更決定手段の前記入力電力の変化に対する応答時間は、前記入力電力の変化した総量に応じて変化する、ことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態の中で説明する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新エネルギー源の発生電力の突然の低下が起きても電力変換装置の入力電力と出力電力の乖離を緩和し、安定した動作をする電力変換装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置の構成の一例と、新エネルギー源との接続、および電力送電網との接続の関係を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置に備えられるインバータの構成例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段の構成例を示す図である。
図4】第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段の構成を示す図である。
図5】第1比較例の慣性モーメントJを調整する原理を示す図であり、(a)はモード照合とその調整結果の関連を示し、(b)は各モードの関連を示している。
図6】本発明の第1実施形態に係る電力変更決定手段の構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る出力電力変更指令手段の構成例と動作を示す図であり、(a)は出力電力変更指令手段の構成例を示し、(b)はその動作を説明するものである。
図8】第2比較例のモード対応慣性調整手段無しの場合における第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。
図9】第1比較例のモード対応慣性調整手段有り場合の第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る仮想同期慣性制御の特性を示す図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置の構成の一例を示す図であり、(a)は新エネルギー源統合電力変換装置の構成および新エネルギー源と三相交流電源との接続関係を示し、(b)は第3の仮想同期慣性制御手段の等価回路を示している。
図12】本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置における第3の仮想同期慣性制御手段の構成の一例を示す図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置における電力変更決定手段の構成の一例を示す図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置における出力電力変更指令手段の構成の一例を示す図である。
図15】本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段の特性、動作の一例を示す図であり、(a)は仮想インピーダンス値決定手段の入力信号、出力信号、制御信号を示す図であり、(b)は入力信号と出力信号の関係を示す変換図であり、(c)は制御信号の時間変化を示す図である。
図16】本発明の第2実施形態に係る第3の仮想同期慣性制御を用いた場合の特性例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
【0015】
≪本発明の第1実施形態≫
本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100を、図を参照して説明する。なお、「新エネルギー源統合電力変換装置」を、適宜、「電力変換装置」と表記する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100の構成の一例と、新エネルギー源(新エネルギー源のフロントエンド)101との接続、および電力送電網のグリッドである三相交流電源102との接続の関係を示す図である。
太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源は、そのまま直接、電力送電網に接続されるわけではない。その理由は、一般に新エネルギー源で生成する発電電力は、気象の変化などもあって、周波数や電圧が必ずしも安定して生成されないからである。そのため、電力変換装置で電力変換をしてから、電力送電網に配電される。
【0016】
なお、三相交流電源102は、網目状に構成された電力送電網が複数の電力の供給源を有して、その網目状の一つの格子点に相当している。そのため、前記の電力の供給源の一つである三相交流電源102を「グリッドである三相交流電源」、あるいは「三相交流電源グリッド」などと適宜、表記する。
また、電力送電網のグリッドである三相交流電源102から新エネルギー源を見た場合には、本来の新エネルギー源は、新エネルギー源のフロントエンドである新エネルギー源101と新エネルギー源のバックエンドである新エネルギー源統合電力変換装置100を備えて構成される。しかし、以降においては、表記の簡単化のために、単に、フロントエンドを「新エネルギー源101」、またバックエンドを「新エネルギー源統合電力変換装置100」と表記して扱う。
【0017】
また、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源は、従来の主なエネルギー源である火力発電、水力発電、原子力発電などに比較すると、前記したように電力の供給が不安定である。しかしながら、電力を配送する送電網から見るときに、火力発電、水力発電、原子力発電の発電機と同様に扱えたら都合がよい。
したがって、新エネルギー源101の電力を変換するバッファである新エネルギー源統合電力変換装置100を、火力発電、水力発電、原子力発電などに用いられる慣性力のある同期発電機として見立て、仮想の同期発電機として取り扱うことがある。
そのため、新エネルギー源統合電力変換装置100において、仮想の同期発電機、仮想同期イナーシャ(仮想同期慣性)、慣性モーメント、調速機(調整機)、回転子角速度(仮想回転子角度)、機械入力などの概念や用語を、適宜、導入する。
【0018】
《第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の概要》
図1において、新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100は、インバータ(直流−交流変換)104、直流コンデンサ105、検出器(電圧電流検出器)106,107、第1の仮想同期慣性制御手段108、PWM制御手段(パルス幅制御手段)109を備えている。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100は、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源の生成された当初の状態である新エネルギー源101から、直流電力を主とする有効電力(有効入力電力)Pdcの電力を入力している。
【0019】
新エネルギー源統合電力変換装置100は、入力した電力(有効電力Pdc)を仮想的に電力のイナーシャ(慣性)を制御して、出力電力Poutとして電力送電網のグリッドである三相交流電源102に出力する。なお、電力送電網のグリッドである三相交流電源102は、新エネルギー源統合電力変換装置100側から見て、グリッドとしてのインピーダンスX103を有している。また、三相交流電源102において、グリッドとしての電圧をEg、仮想回転子角度δを基準として0にとっているため、グリッドにおける三相交流電源102の電圧と位相(仮想回転子角度)の特性を「Eg∠0」と表記している。
新エネルギー源統合電力変換装置100は、新エネルギー源の電力が生成された初期状態の新エネルギー源101の直流電力を主とする有効電力Pdcを交流電力に変換するとともに、新エネルギー源101の電力に対して、仮想同期慣性制御(仮想同期イナーシャ制御)を行い、安定な電力として、電力送電網のグリッドである三相交流電源102に出力電力Poutを出力している。
【0020】
《本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の詳細》
図1において、新エネルギー源101から入力した電力(有効入力電力)Pdcを、直流コンデンサ105を介して、直流−交流変換するインバータ104に入力する。インバータ104は、三相交流に変換された電力(有効出力電力)Poutを出力する。なお、直流コンデンサ105は、新エネルギー源101から供給される電圧を平滑化、安定化させている。
また、検出器(電圧電流検出器、第1の検出手段)106は、インバータ104に入力する電力Pdcの電圧Vdcと電流Idcを検出する。検出器(電圧電流検出器、第2の検出手段)107は、インバータ104が出力した電力Poutの電圧Vと電流I、および電圧Vの出力周波数ωを検出する。
【0021】
第1の仮想同期慣性制御手段108は、前記の電圧Vdc、電流Idc、電圧V、電流I、出力周波数ω、および出力電力指令Pを入力する。そして、第1の仮想同期慣性制御手段108は、参照指令E∠δを生成し、PWM制御手段109に入力する。なお、「E∠δ」は、仮想の同期発電機の出力電圧Eと仮想回転子角度δの参照指令であることを表記している。
PWM制御手段109は、参照指令E∠δに従い、インバータ104の制御に必要なパルスを生成して、インバータ104を駆動制御する。
なお、インバータ104と第1の仮想同期慣性制御手段108の詳細については後記する。
【0022】
《本発明のインバータ104》
図2は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられるインバータ(直流−交流変換)104の構成例を示す図である。
図2において、インバータ104は、スイッチング素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)201〜206と複数のリアクトル207を備えている。なお、IGBT201〜206のそれぞれに逆並列ダイオードが接続されている。
IGBT201〜206は、PWM制御手段109で生成される制御信号によって、それぞれのオン・オフ(ON/OFF)とパルス幅が統合的に制御される。
この統合的な制御によって直流コンデンサ105(図1)の両端の直流電圧(Vdc)は、三相交流電圧(Vac)に変換される。
また、これらの三相交流電圧Vacは、複数のリアクトル207を介して出力される。複数のリアクトル207は、IGBT201〜206のスイッチングによって生ずるリプル(ノイズ)の影響を低減する。
【0023】
《本発明の第1実施形態の第1の仮想同期慣性制御手段108》
図3は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108の構成例を示す図である。
図3において、第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110と、電力変更決定手段111とを備えて構成される。
電力変更決定手段111は、検出器(電圧電流検出器)106の検出したインバータ104の入力側の電圧Vdcと電流Idcと、検出器(電圧電流検出器)107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと、出力電力指令Pを入力している。
そして、これらの入力信号と指令(Vdc,Idc,V,I,P)によって、電力変更決定手段111は、補正出力電力指令Poutを生成し、第2の仮想同期慣性制御手段110に、この補正出力電力指令Poutを入力している。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、インバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω、および前記の補正出力電力指令Poutとによって制御し、参照指令E∠δを出力する。
【0024】
第2の仮想同期慣性制御手段110は、後記するように、第1比較例としての簡易的な仮想同期慣性制御手段である。
それに対して、本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100に用いられる第1の仮想同期慣性制御手段108は、前記の第2の仮想同期慣性制御手段110に、さらに電力変更決定手段111を用いて精緻に制御することによって、より優れた仮想同期慣性制御を実施するものである。
そのため、図3に示した第1の仮想同期慣性制御手段108の詳細な機能、動作の説明は、第1比較例として示す第2の仮想同期慣性制御手段110の構成、機能、動作を説明した後で、再度、説明する。
【0025】
なお、図3に示した第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110によって仮想同期慣性制御の機能を有し、電力変更決定手段111によってアクティブパワーコントロール(有効電力制御)の機能を有している。
ただし、有効電力制御の機能は、電力変更決定手段111のみならず、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって効果が鮮明となるので、図3に示すように、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを併せて表記している。
【0026】
<第1比較例>
第1比較例としての第2の仮想同期慣性制御手段110の構成、機能、動作ついて説明する。
【0027】
《第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110の構成》
図4は、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110の構成を示す図である。
図4において、第2の仮想同期慣性制御手段110は、電力計算手段301、VSGモデル(Virtual Synchronous Generator model、仮想同期発電機モデル)302、積分手段(1/s)303、調整手段(調速手段)304、電圧制御手段305、モード対応慣性調整手段306、合成手段(掛算器)309を備えて構成されている。
また、モード対応慣性調整手段306は、モード照合手段307と慣性値調整手段308とを具備している。
また、第2の仮想同期慣性制御手段110には、検出器(電圧電流検出器)107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω、および前記の補正出力電力指令Poutを入力している。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、参照命令E∠δを出力する。
【0028】
電力計算手段301には、インバータ104の出力の電圧Vと電流Iが入力する。そして、電力計算手段301は、新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力(有効出力電力)Poutと無効電力(無効出力電力)Qoutが算出される。
【0029】
VSGモデル(仮想同期発電機モデル)302には、前記の出力の有効電力Poutと、出力周波数ωと、調整手段(調速機)304の出力する電力(機械入力)Pinと、モード対応慣性調整手段306の出力する慣性モーメントJとを入力する。そして、VSGモデル302から仮想的な回転子の角速度ωPCSを算出する。そして、この回転子の角速度ωPCSの信号を、積分手段303と調整手段304とモード対応慣性調整手段306とに供給する。
調整手段304は、前記の出力電力指令Poutと、出力周波数ωと、回転子の角速度ωPCSの信号を入力する。そして、調整手段(調整機)304は、電力(機械入力)Pinを出力して、VSGモデル302に供給する。
モード対応慣性調整手段306は、前記の回転子の角速度ωPCSの信号と出力周波数ωとを入力して、慣性モーメントJを算出する。そして、VSGモデル302に、前記の慣性モーメントJの信号を供給する。
【0030】
また、積分手段(1/s)303は、VSGモデル302の出力である回転子の角速度ωPCSの信号を積分して、仮想的な回転子の角度(仮想回転子角度)δを算出する。そして、この仮想回転子角度δの信号を合成手段309に出力する。
電圧制御手段305は、インバータ104の出力側の電圧Vと、電力計算手段301の算出した無効電力Qoutと、無効電力指令Qとを入力して、出力電圧Eを算出する。そして、この出力電圧Eの信号を合成手段309に出力する。
また、合成手段309において、出力電圧Eと仮想回転子角度δとを合成して、PWM制御信号E∠δを生成する。このPWM制御信号E∠δは、そのままPWM制御指令E∠δとなる。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、PWM制御指令E∠δを出力する。
【0031】
なお、VSGモデル302は、調整手段(調速機)304との間で、回転子の角速度(回転子角速度)ωPCSの信号と電力(機械入力)Pinの信号によって、信号がループしている。
また、VSGモデル302は、モード対応慣性調整手段306との間で、回転子の角速度ωPCSの信号と慣性モーメントJの信号によって、信号がループしている。
これらの信号がループすることによって、演算が収束して解が得られる。
なお、VSGモデル(仮想同期発電機モデル)302の詳細については、後記する。
また、調整手段(調速機)304のモデルの詳細については、後記する。
また、電圧制御手段305の詳細と電圧制御モデルについては、後記する。
また、モード対応慣性調整手段306の詳細については、後記する。
また、慣性モーメントJの調整原理の詳細については、後記する。
【0032】
《第1比較例のVSGモデル302》
図4における第1比較例のVSGモデル302は、次の(1)式に従って、実行される。
【0033】
【数1】
【0034】
仮想的な同期機の回転子の特性によって、(1)式は、表記されている。
なお、(1)式において、Pinは機械入力(電力)、Poutは出力の有効電力、Jは慣性モーメント、ωPCSは回転子の角速度、ωは出力周波数、Dは回転の振動抑制係数である。
以上の(1)式において、前記の各要素で表記されるのは、VSGモデル302が、システムの中に実際の機械(同期発電機)が備えられているわけではないからである。各要素の変化量は、仮想の同期発電機と、その回転子に関連している。
【0035】
《第1比較例の調整手段(調速機)304のモデル》
同期発電機の制御においては、調整手段(調速機)304は、電力(パワー)を制御するために行われる。
第1比較例の仮想同期慣性制御においては、調整手段(調速機)304は、次の(2)式で表される線形の減衰の関係式によって実行される。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、Pinは機械入力(電力)、Poutは補正出力電力指令、ωPCSは積分された回転子の角速度、ωは出力周波数、Kgovは調整手段(調速機)304に係る比例定数である。
なお、(2)式において、表記上の都合により、「Pout」と「Pout」は同義語とする。
【0038】
《第1比較例の電圧制御手段305の電圧制御モデル》
図4において、電圧制御手段305は、出力端における無効電力(無効出力電力)Qoutを、無効電力指令値Qに従って制御する。また、無効電力指令値Qは、検出された出力電圧Vと出力端における無効電力Qoutを用いて、電圧制御手段305の出力端子における出力電圧Eを調整する。
この制御は、次の(3)式によるPI制御(proportional and integral control:比例積分制御)で行われる。
【0039】
【数3】
【0040】
ここで、前記したように、Eは電圧制御手段305の出力電圧、Vは検出器107が検出した電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置)100の出力側の電圧、Qは無効電力指令値、Qoutは電力計算手段301が算出した出力端における無効電力である。また、KPQは比例制御に関する比例定数であり、KIQは積分制御に関する比例定数である。
【0041】
《第1比較例のモード対応慣性調整手段306》
図4における第1比較例のモード対応慣性調整手段306は、モード照合手段307と、慣性値調整手段308とを備えて構成されている。
モード照合手段307に、回転子の角速度ωPCSと、検出器107で検出した出力電圧(グリッドの出力電圧)の周波数による角速度ωとを入力し、後記する関係によりモードを選択して、このモード(Mode)を慣性値調整手段308に入力する。
慣性値調整手段308は、選択されたモードによって、慣性モーメントJを動的に変更、選択して、第1比較例のVSGモデル302に、慣性モーメントJを伝達する。
このようにして、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110において、慣性モーメントJを最適化することで、第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110を用いた第1比較例の新エネルギー源統合電力変換装置の出力端子における発振を防止し、安定化させている。
【0042】
《第1比較例の慣性モーメントJの調整原理》
図5は、第1比較例の慣性モーメントJを調整する原理を示す図であり、(a)はモード照合とその調整結果の関連を示し、(b)は各モードの関連を示している。
図5(a)において、モード照合手段307(図4)のモード照合と、モード照合によって定められるモードと、慣性値調整手段308(図4)の調整結果(調整)の各要素を示している。
図5(a)に示すように、回転子の角速度ωPCSは、モード照合(モード照合手段307)によって、インバータ104(図1)の出力、すなわち電力送電網との接続点(グリッド、格子点)である三相交流電源102(図1)の周波数(角速度)ωと比較される。
この比較した結果と、回転子の角速度ωPCSが増加しているか減少しているかによって、モード照合手段307で比較結果が判定される。
【0043】
図5(a)において、モード(Mode)1は、モード照合(モード照合手段307)において、ωPCS>ωかつωPCSが増加している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合におけるJnormalが選択される。
また、モード(Mode)2は、モード照合において、ωPCS>ωかつωPCSが減少している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合よりも小さい値のJsmallが選択される。
また、モード(Mode)3は、モード照合において、ωPCS<ωかつωPCSが減少している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合のJnormalが選択される。
また、モード(Mode)4は、モード照合において、ωPCS<ωかつωPCSが増加している場合であり、このとき慣性モーメントJは、通常の場合よりも小さい値のJsmallが選択される。
なお、通常の場合におけるJnormalは、通常の場合に用いている慣性モーメントJを変化させないという意味でもある。
【0044】
図5(b)において、ωPCSとωとモード(Mode1〜Mode4)との関係を図示している。また、Mode1およびMode4の近傍に付された右向きの矢印はωPCSが増加していることを示し、Mode2およびMode3の近傍に付された左向きの矢印はωPCSが減少していることを示している。
【0045】
以上の図4および図5を参照して示した第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110を用いた特性については、図8(第2比較例)と図9(第1比較例)とを参照して後記する。
しかしながら、図8(第2比較例)と図9(第1比較例)で説明する特性においては、後記するような改善点をまだ有している。
そのため、次に、さらに改良を加えた本発明(第1実施形態)を説明する。
【0046】
《本発明の第1実施形態の電力変更決定手段111》
次に、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100(図1)に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108における電力変更決定手段111(図3図6)について詳しく説明する。なお、電力変更決定手段111は、前記した第1比較例の第2の仮想同期慣性制御手段110、および第1比較例そのものに存在しない構成要素である。
【0047】
図6は、本発明の第1実施形態に係る電力変更決定手段111の構成の一例を示す図である。なお、前記したように第1実施形態は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを備えた第1の仮想同期慣性制御手段108を用いることが特徴であるので、電力変更決定手段111が重要な役目をする。
図6において、電力変更決定手段111は、電力計算手段401,402、ハイパスフィルタ(HPF)403、絶対値算出手段(ABS)404、閾値比較判定手段405、フラッグ発生手段406、出力電力変更指令手段407を備えて構成されている。
また、電力変更決定手段111は、図3において説明したように、検出器(電圧電流検出器)106の検出したインバータ104の入力側の電圧Vdcと電流Idcと、検出器107の検出したインバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと、出力電力指令Pとを入力している。
そして、これらの入力信号と指令(Vdc,Idc,V,I,P)によって、電力変更決定手段111は、補正出力電力指令Poutを生成し、第2の仮想同期慣性制御手段110に、この補正出力電力指令Poutを供給している。
【0048】
電力計算手段(第1の電力計算手段)401には、検出器107で検出したインバータ104(図1)の出力の電圧Vと電流Iが入力する。そして、電力計算手段401は、新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力(有効出力電力)Poutを算出する。
電力計算手段(第2の電力計算手段)402には、検出器106で検出したインバータ104の入力側の電圧Vdcと電流Idcが入力する。そして、電力計算手段402は、新エネルギー源統合電力変換装置100の入力の有効電力(有効入力電力)Pdcを算出する。
新エネルギー源統合電力変換装置100の出力の有効電力Poutと入力の有効電力Pdcは、差分手段409にそれぞれ入力する。
【0049】
差分手段409において、出力の有効電力Poutと入力の有効電力Pdcの差が検出される。差分手段409の出力は、ハイパスフィルタ(HPF)403に入力する。
ハイパスフィルタ(HPF)403で高周波(ノイズ)成分が除去される。高周波成分を除去することによって、次の工程での精度が向上する。
ハイパスフィルタ(HPF)403の出力は、絶対値算出手段(ABS)404に入力する。絶対値算出手段(ABS)404に入力した信号は、絶対値算出手段404によって、その絶対値が算出される。絶対値をとるのは、出力電力Poutと入力電力Pdcの大小関係が二通りあるからである。
【0050】
絶対値算出手段404の出力信号は、閾値比較判定手段405の一つの入力端子に入力する。閾値比較判定手段405のもう一つの入力端子には予め定められた閾値が入力している。閾値比較判定手段405において、前記の絶対値算出手段404の出力信号は、前記の予め定められた閾値と比較される。
絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が、前記の閾値より小さいか等しい場合には、意図されていた電力変換操作は、引き続き、そのまま実行される。
しかしながら、絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が、閾値より大きい場合には、意図されていた電力変換操作は変更する必要があることになる。
【0051】
もしこの電力変換操作を変更しない場合には、絶対値算出手段404の出力信号が、閾値より大きい状態が続いて、直流コンデンサ105(図1)の直流電圧が変化しつづける状態となって、電力変換装置が動作を停止する結果となる。
そのため、閾値比較判定手段405において、絶対値算出手段(ABS)404の出力信号が閾値より大きくなる場合には、フラッグ発生手段406が活性化して作動し、その状態の警告のフラッグ信号Fを立てる。そして、そのフラッグ信号Fを出力電力変更指令手段407に送る。
出力電力変更指令手段407は、前記のフラッグ信号Fと、電力計算手段402の出力信号である有効入力電力Pdcと、出力電力指令Pとを入力している。出力電力変更指令手段407は、前記の三つの信号を参照して、補正出力電力指令Poutを出力する。また、補正出力電力指令Poutの設定が初期化される。
【0052】
《本発明の第1実施形態の出力電力変更指令手段407》
次に、前記の出力電力変更指令手段407の詳細な構成と動作について説明する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る出力電力変更指令手段407の構成例と動作を示す図であり、(a)は出力電力変更指令手段407の構成例を示し、(b)はその動作を説明するものである。
なお、出力電力変更指令手段407は、本発明の第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100に備えられる第1の仮想同期慣性制御手段108の電力変更決定手段111に具備されている。
図7(a)において、出力電力変更指令手段407は、時系列電力指令手段408と切替手段410とゲート手段411とを有している。また、出力電力変更指令手段407には、出力電力指令Pと新エネルギー源101からの有効入力電力Pdcと、フラッグ発生手段406からのフラッグ信号Fとが入力されている。そして、出力電力変更指令手段407からは、補正出力電力指令Poutが出力されている。
【0053】
ゲート手段411は、フラッグ信号Fによって開閉される。ゲート手段411の入力側は有効入力電力Pdcの信号が入力され、出力側は原出力電力指令Poriginalとなる。
時系列電力指令手段408の第1端子には原出力電力指令Poriginalが入力し、時系列電力指令手段408において、図7(b)で後記するように信号が変換され、第2端子から補正出力電力指令Poutとなって出力される。
切替手段410の第1端子には、出力電力指令Pが入力し、第2端子には時系列電力指令手段408の出力の補正出力電力指令Poutが入力している。また、切替手段410は、フラッグ信号Fによって第1端子と第2端子との信号の切り替えが制御される。
【0054】
切替手段410において、フラッグ信号Fが立っていない場合には、通常状態として、第1端子の出力電力指令Pが選択される。そして、出力電力指令Pがそのまま補正出力電力指令Poutとして、出力される。
また、フラッグ信号Fが立っている場合には、電力変更が必要とされて、新エネルギー源101からの有効入力電力Pdcがゲート手段411を通過し、原出力電力指令Poriginalとなって、時系列電力指令手段408に入力する。前記したように、時系列電力指令手段408は、原出力電力指令Poriginalを補正出力電力指令Poutに変換する。
そして、切替手段410においては、フラッグ信号Fが立っているので、第2端子の時系列電力指令(時系列電力指令手段408の指令)を反映した補正出力電力指令Poutが、切替手段410の出力信号として出力される。
【0055】
すなわち、図6のフラッグ発生手段406でフラッグ信号Fが立って、有効電力の乖離が検出された場合には、原出力電力指令Poriginalとして、新エネルギー源101からの有効入力電力Pdcを用いる方が、通常状態の出力電力指令Pで有効電力の不均衡による直流コンデンサ105の電圧の不安定を防止する方法よりも、前記の有効電力の乖離が調整される。
【0056】
このように、出力電力指令を変更することが有効電力の不均衡を安定化させることの解決策となる。
しかし、出力電力変更指令の過渡期においては、直流コンデンサ105の直流電圧の大きな逸脱に対処する必要がある。
したがって、時系列電力指令(時系列電力指令手段408)においては、具体的に、前記の過渡期における直流コンデンサ105の直流電圧の大きな逸脱を緩和する方法をとる必要がある。
【0057】
図7(b)は、前記の過渡期における具体的な対策を示すものである。
図7(b)において、原出力電力指令Poriginalを正側に変化させる場合と、負側に変化される場合を表記している。正側に変化させる場合を図7(b)の上側に、負側に変化される場合を図7(b)の下側に示している。
図7(b)の上側(正電力変更)に示すように、原出力電力指令Poriginalを正側に変化させる場合(正電力変更)には、原出力電力指令Poriginalの正側への変化点から時間Δtschの間において、補正出力電力指令PoutをΔPschだけ多くなるように指令する。そして、時間Δtschの間にエネルギーとして、ΔEsch=ΔPsch・Δtschをより多く供給して、その後は、補正出力電力指令Poutを、原出力電力指令Poriginalと同じ電力量とする。
このように、変化点において、ΔEsch=ΔPsch・Δtschをより多く供給することにより、過渡期の直流コンデンサ105における電圧の大きな逸脱を緩和する。
【0058】
また、図7(b)の下側(負電力変更)に示すように、原出力電力指令Poriginalを負側に変化させる場合(負電力変更)には、原出力電力指令Poriginalの負側への変化点から時間Δtschの間において、補正出力電力指令PoutをΔPschだけ少なくなるように指令する。そして、時間Δtschの間にエネルギーとして、ΔEsch=ΔPsch・Δtschをより少なく供給して、その後は、補正出力電力指令Poutを、原出力電力指令Poriginalと同じ電力量とする。
このように、変化点において、ΔEsch=ΔPsch・Δtschをより少なく供給することにより、過渡期の直流コンデンサ105における電圧の大きな逸脱を緩和する。
【0059】
なお、変化点において、より多く、またはより少なく供給する期間の時間Δtschは、電力変換装置である新エネルギー源統合電力変換装置100のダイナミック応答の応答時間(動的応答時間)によって決定される。
また、電力量をより多く、または、より少なく供給する有効電力ΔPschは、時間Δtschにおける補償エネルギーΔEschによって決定される。すなわち、電力変更決定手段の入力変化に対する応答時間は、入力電力の変化した総量に応じて変化する。
また、第1の仮想同期慣性制御手段108において電力および電力量を計算する時間も時系列電力指令(時系列電力指令手段408)において考慮する必要がある。
この図7(a)、(b)に示した補正出力電力指令Poutによって、直流コンデンサ105における直流電圧の変動は緩和される。
【0060】
<本発明(第1実施形態)と比較例の仮想同期慣性制御の特性比較>
次に、本発明(第1実施形態)と比較例の仮想同期慣性制御の特性を比較して説明する。
なお、比較例として第1比較例と第2比較例がある。
第2比較例は、図4におけるモード対応慣性調整手段306を備えていない場合である。
第1比較例は、図4におけるモード対応慣性調整手段306を備えている場合である。
次に、比較例の第1比較例と第2比較例について、順に説明する。
【0061】
《第2比較例におけるモード対応慣性調整手段無しの場合の仮想同期慣性制御の特性》
図8は、第2比較例のモード対応慣性調整手段(306)無しの場合における第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。なお、モード対応慣性調整手段(306)無しの場合であるため、時系列電力指令手段408も用いていない。
図8において、縦軸には、入力電圧Vdc、残余エネルギーΔEpcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ωPCS、入力電力(機械入力)Pin、出力電力Poutである。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔEpcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0062】
図8は、前記したように、第2比較例のモード対応慣性調整手段無しの場合なので、特性線2003で示した慣性モーメントJは、常に一定の値を保っている。
また、符号Fで示した0.5秒後に電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置)が電力変換制御を始動すると、入力電圧Vdc、残余エネルギーΔEpcs、回転子の角速度ωPCS、入力電力(機械入力)Pin、出力電力Poutは、変化する。
0.5秒後に前記の各特性が変化しても、補正出力電力指令Poutは、一定であって、適切な制御ではないので、出力電力Poutは、特性線2006に示すように、減少はするものの発振波形となる。
そして、電力変換装置の直流コンデンサ105で変動して残余となっている残余エネルギーΔEpcs(特性線2002)によって、直流コンデンサ105における入力電圧Vdcを変動させる(特性線2001)。
このように、モード対応慣性調整手段無しの場合の操作においては、制御システムが出力端子における発振現象を抑制するために、1秒以上を必要とする。
さらに、直流コンデンサ105の電圧が、変動の過渡期において、平常値の2.4倍である2.4[pu]の電圧値にまで達する(特性線2001のピーク値2001P)。
【0063】
なお、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすれば、直流コンデンサ105の電圧のピーク値(2001P)を低減できる。また、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすることによって、過大な電圧を抑制し、安定的な動作をもたらす。
しかし、直流コンデンサ105の静電容量値を大きくすることは、電力変換装置のコストの上昇を招くことになる。
【0064】
《第1比較例におけるモード対応慣性調整手段有りの場合の仮想同期慣性制御の特性》
図9は、第1比較例のモード対応慣性調整手段(306)有り場合の第2の仮想同期慣性制御手段の特性例を示す図である。ただし、モード対応慣性調整手段(306)有りの場合であるが、時系列電力指令手段408(図7)は用いていない。
図9において、縦軸には、入力電圧Vdc、残余エネルギーΔEpcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ωPCS、入力電力Pin、出力電力Poutである。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔEpcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0065】
図9においては、前記したように、第1比較例のモード対応慣性調整手段(306)有りの場合であるので、過渡期およびそれ以降において、慣性モーメントJは変化している(特性線3003)。
第1比較例の図9に示す特性は、第2比較例の図8に示す特性と異なっている。この相違は、過渡期における慣性モーメントJの制御の相違に起因する。
図8における慣性モーメントJ(特性線2003)は、制御されずに一定値であったが、図9における慣性モーメントJ(特性線3003)は、細かく制御されて変化している。
この図9の慣性モーメントJ(特性線3003)の制御の結果、第2比較例における出力端子における出力電力Pout(特性線2006:図8)の過渡的な発振現象が、第1比較例では特性線3006(図9)に示すように、出力電力Pout(特性線3006)の過渡現象は素早く減衰し、収束している。
【0066】
しかしながら、第1比較例の図9における入力電圧Vdc(特性線3001)の過渡状態におけるピーク値は、第2比較例の図8における入力電圧Vdc(特性線2001)の過渡状態におけるピーク値とほぼ同一の2.4[pu]の電圧値にまで達している。
したがって、仮想同期電力変換装置として、過大な電圧を抑制し、安定的な動作をもたらすための制御という観点では、第1比較例も第2比較例と同様に、直流コンデンサ105の静電容量値をさらに大きくする等の対策をとる必要がある。
【0067】
《本発明の第1実施形態における仮想同期慣性制御の特性、図10
図10は、本発明の第1実施形態に係る第1の仮想同期慣性制御手段108を用いた場合の特性例を示す図である。
図10において、縦軸には、入力電圧Vdc、残余エネルギーΔEpcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ωPCS、入力電力Pin、出力電力Poutである。また、出力電力Poutの項に図7(b)に示した補正出力電力指令Pout(特性線1007)を併せて表記している。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔEpcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
図10における出力電力指令Pout(特性線1007)の効果により、過渡期における入力電圧Vdc(特性線1001)の過渡状態におけるピーク値(1001P)は、2.1[pu]の電圧値となって、第1比較例と第2比較例の入力電圧Vdcの過渡状態におけるピーク値の2.4[pu]に対して減少している。このようにピーク値が低減することは、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100)として望ましいことである。
【0068】
なお、図10における補正出力電力指令Pout(特性線1007)は、図7(b)における上側の原出力電力指令Poriginalを正側に変化させる場合について示した。
図10において、図7(b)における下側の原出力電力指令Poriginalを負側に変化させる場合については示していないが、正側と負側の差はあっても、入力電圧Vdcの過渡状態におけるピーク値を低減する作用は、概ね同一であるので、重複する説明は省略する。
【0069】
<第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100の構成・機能・動作の総括>
以上、述べたように、第1の仮想同期慣性制御手段108は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111とを備えている。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、前記したように、仮想同期慣性モーメントを制御する機能を有している。
また、電力変更決定手段111は、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって、有効出力電力を調整・制御する機能(アクティブパワーコントロール)を有している。
また、電力変更決定手段111は、電力変化時の対応を詳細に規定した時系列電力指令手段408を具備した出力電力変更指令手段407を有している。
以上の構成によって、第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100は、主として新エネルギー源101に起因する電力変動が起きた際に、電力変換装置(100)の入力と出力とのエネルギー差(電力差)を過渡的に緩和する。
そのため、インバータ104の入力側に設けられた直流コンデンサ105の電圧を通常の操作範囲(動作範囲)に保たれる。この機能によって、仮想同期慣性制御に基づく電力変換装置(100)は、新エネルギー源101(図1)の急激な環境の変動から守られて、動作停止が避けられるのである。
【0070】
<本発明の第1実施形態の効果>
以上、本発明の第1実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100によれば、新エネルギー源101において、電力の変動があった場合にも、その変動による影響を速やかに低減し、収束させることができる。すなわち、新エネルギー源統合電力変換装置100を介して新エネルギー源(フロントエンド+バックエンド)に等価的に、大きな慣性モーメントを付与することができるという効果がある。
したがって、新エネルギー源を有する送電線網に対して、電力品質を向上する電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100)を提供できる。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100における直流コンデンサに過渡的に生成される電圧を軽減させることができるので、新エネルギー源統合電力変換装置100の安定動作、信頼性の向上に寄与するという効果がある。
また、以上の効果を新エネルギー源統合電力変換装置100における直流コンデンサの静電容量を増加させることなく実現できるので、同じ効果を直流コンデンサの静電容量を増加させる方法に比較して、低コストで実現して提供できるという効果がある。
【0071】
≪本発明の第2実施形態≫
本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bを、図11図15を、適宜、参照して説明する。
【0072】
《本発明の第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bの概要》
図11は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100Bの構成の一例を示す図であり、(a)は新エネルギー源統合電力変換装置100Bの構成および新エネルギー源101と三相交流電源102との接続関係を示し、(b)は第3の仮想同期慣性制御手段508の等価回路を示している。
図11(a)において、新エネルギー源統合電力変換装置(電力変換装置)100Bは、インバータ104、直流コンデンサ105、検出器(電圧電流検出器)106,107、第1の仮想同期慣性制御手段508、PWM制御手段109を備えている。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100Bは、太陽光発電や風力発電などに代表される新エネルギー源のフロントエンドである新エネルギー源101から、有効入力電力Pdcの電力を入力している。
【0073】
以上において、図11(a)に示した第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bと、図1に示した第1実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100との相違は、図11(a)の第3の仮想同期慣性制御手段508と図1の第1の仮想同期慣性制御手段108との相違のみである。したがって、その他の重複する説明は、適宜、省略する。
図11(a)における第3の仮想同期慣性制御手段508については、図11(b)の説明の後で、詳細に説明する。
【0074】
図11(b)は、前記したように、第3の仮想同期慣性制御手段508の等価回路を示している。
図11(b)において、後記するように、仮想インピーダンス値決定手段512(図12)と仮想インピーダンス制御手段513(図12)とによって生成された仮想インピーダンス値Xを用いるか、用いないか(0)を、第3の仮想同期慣性制御手段508が後記する電力変更の指令であるフラッグ信号Fによって、切替手段514で選択することを表している。
次に、第3の仮想同期慣性制御手段508について説明する。
【0075】
《本発明の第2実施形態における第3の仮想同期慣性制御手段508》
図12は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける第3の仮想同期慣性制御手段508の構成の一例を示す図である。
図12において、第3の仮想同期慣性制御手段508は、第2の仮想同期慣性制御手段110と、電力変更決定手段511と、仮想インピーダンス値決定手段512と、仮想インピーダンス制御手段513と、切替手段514と、合成手段(加算器)519とを備えて構成されている。
第3の仮想同期慣性制御手段508には、インバータ104の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ωとインバータ104の入力側の電圧Vdcと電流Idcと、出力電力指令Pと、を入力している。そして、第3の仮想同期慣性制御手段508は、参照指令E∠δを出力する。
【0076】
電力変更決定手段511は、前記の入力信号と指令(Vdc,Idc,V,I,P)によって、補正出力電力指令Pout、および、その変化分(差分)の信号ΔPoutと、電力指令の変更が決定されたことを伝達するフラッグ信号Fを生成している。
そして、電力変更決定手段511は、第2の仮想同期慣性制御手段110に、前記の補正出力電力指令Poutを供給し、仮想インピーダンス値決定手段512に、前記補正出力電力指令Poutの変化分(差分)の信号ΔPoutを供給している。
また、電力変更決定手段511は、フラッグ信号Fを仮想インピーダンス値決定手段512と、切替手段514に供給している。
第2の仮想同期慣性制御手段110は、インバータ104(図11)の出力側の電圧Vと電流Iと出力周波数ω、および前記の補正出力電力指令Poutとによって制御し、暫定の参照指令である暫定参照指令信号E∠δを出力する。
【0077】
仮想インピーダンス値決定手段512は、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutとフラッグ信号Fとによって、仮想インピーダンス値Xを算出する。
仮想インピーダンス制御手段513は、出力側の電流Iと仮想インピーダンス値Xを用いて、補正参照指令を導出する。具体的には、電流Iの位相を−90度(−π/2)、変化させるとともに、仮想インピーダンス値Xを参照して増幅(バッファ)した信号を補正参照指令として、切替手段514の第2入力端子に送っている。
切替手段514は、第2入力端子の補正参照指令か、第1入力端子の0(変更なし)かをフラッグ信号Fによって選択し、その出力信号を合成手段(加算器)519の第2端子に入力している。なお、フラッグ信号Fが立った場合には、仮想インピーダンス制御手段513の出力する補正参照指令が選択される。
合成手段(加算器)519の第1端子には、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定参照指令E∠δが入力している。
合成手段(加算器)519は、切替手段514の仮想インピーダンス値の制御に関する補正参照指令と、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定指令信号E∠δと、を合成(加算)して参照指令E∠δを出力する。
【0078】
以上の構成によって、仮想出力インピーダンスの調整は、より改善される。すなわち、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)が電力調整変化の動作(操作)を行うときに、一時的に仮想インピーダンス制御を挿入することによって、直流コンデンサ105(図11)における直流電圧の大きな逸脱を回避することができる。
なお、第2の仮想同期慣性制御手段110は、図3(第1実施形態)、図4(第1の比較例)において前記したとおりである。
また、電力変更決定手段511と、仮想インピーダンス値決定手段512のそれぞれの詳細については、後記する。
【0079】
《本発明の第2実施形態における電力変更決定手段511》
次に本発明の第2実施形態の特徴的な構成要素である電力変更決定手段511について詳しく説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける電力変更決定手段511の構成の一例を示す図である。
図13において、電力変更決定手段511は、電力計算手段401,402、ハイパスフィルタ(HPF)403、絶対値算出手段(ABS)404、閾値比較判定手段405、フラッグ発生手段406、出力電力変更指令手段609を備えて構成されている。
以上の図13で示した電力変更決定手段511の構成において、図6で示した電力変更決定手段111と異なるのは、出力電力変更指令手段609である。出力電力変更指令手段609の詳細な構成と動作については後記するが、出力電力変更指令手段609が電力変更決定手段511に備えられたことで、電力変更決定手段511からは、補正出力電力指令Poutのみならず補正出力電力指令Poutの変化分(差分)の信号ΔPoutが出力される。
図13における他の構成は、図6の同じ符号を付したそれぞれの構成と同一であるので、重複する説明は、省略する。
【0080】
《本発明の第2実施形態における出力電力変更指令手段609》
次に出力電力変更指令手段609について詳しく説明する。
図14は、本発明の第2実施形態に係る新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける出力電力変更指令手段609の構成の一例を示す図である。
図14において、出力電力変更指令手段609は、絶対値算出手段(ABS)610と、保持手段611と、切替手段612と、差分手段(差分器)613とを備えて構成されている。
出力電力変更指令手段609には、新エネルギー源101からの有効入力電力Pdcと、出力電力指令Pと、フラッグ発生手段406のフラッグ信号Fとを入力している。
また、出力電力変更指令手段609は、補正出力電力指令Poutと、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutを出力している。
【0081】
出力電力指令Pと有効入力電力Pdcは、それぞれ差分器613に入力し、出力電力指令Pと有効入力電力Pdcの差分が出力して、この差分の信号が、絶対値算出手段(ABS)610に入力する。
絶対値算出手段(ABS)610は、出力電力指令Pと有効入力電力Pdcの差分の絶対値を演算して、保持手段611に入力する。
切替手段612の第1端子には、出力電力指令Pが入力し、第2端子には、有効入力電力Pdcが入力している。
切替手段612における信号の切り替えは、フラッグ信号Fによって制御される。電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立っていない場合には、切替手段612の補正出力電力指令Poutとして、出力電力指令Pが出力される。
【0082】
切替手段612において、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合には、切替手段612の補正出力電力指令Poutとして、有効入力電力Pdcが出力される。
また、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合には、このフラッグ信号Fによって、保持手段611は、絶対値算出手段(ABS)610の信号を保持して、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutとして出力する。
【0083】
以上の構成によって、電力変更の指令による操作が始まってフラッグ信号Fが立った場合には、補正出力電力指令Poutは、通常の操作である出力電力指令Pではなく、有効入力電力Pdcに合うように調整される。その理由は、入力と出力との間で不均衡となった有効電力によって直流コンデンサ105(図11)の電圧が不安定となることを防止するためである。
このように、補正出力電力指令Poutを変更することによって、安定状態から不均衡となった有効電力の状況を解決する。
しかしながら、電力指令を変更する操作の過程において、直流コンデンサ105(図1)の電圧が直流電圧の大きな乖離に耐えられるかどうかは保障されない。
第2実施形態における出力電力変更指令手段609の構成によって、仮想インピーダンスを用いる方法は、過渡的な直流コンデンサ105の電圧が安定状態から逸脱することを緩和するように、調整する。
電力指令を変更する操作の過程における仮想インピーダンス値を決定するために、出力電力指令Pと有効入力電力Pdcの電力の絶対値を読み取ることで、電力変更の指令による操作が始まってからの補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutを変化させた総量が検出される。
【0084】
《本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512の特性、動作》
次に本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512(図12図15)の特性、動作について詳しく説明する。
図15は、本発明の第2実施形態における仮想インピーダンス値決定手段512の特性、動作の一例を示す図であり、(a)は仮想インピーダンス値決定手段512の入力信号、出力信号、制御信号を示す図であり、(b)は入力信号と出力信号の関係を示す変換図(マップ)であり、(c)は仮想インピーダンス値Xの時間変化を示す図である。
図15(a)において、制御信号である電力変更の指令のフラッグ信号Fが立つと、仮想インピーダンス値決定手段512は、動作を開始して、入力信号である補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutを出力信号である仮想インピーダンス値Xに変換して、出力する。
【0085】
図15(b)において、横軸に示した補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutと、縦軸に示した仮想インピーダンス値Xとの関係を、特性線1501で表している。また、図15(b)において縦軸上に「−X」と表記した点は、図1における三相交流電源102のグリッドとしてのインピーダンスX103のインピーダンス値を示している。
また、図15(c)において、縦軸は仮想インピーダンス値Xであり、横軸は時間(時間の推移)を示している。図15(c)においては、制御信号であって電力変更の指令であるフラッグ信号Fが変化をした際における仮想インピーダンス値Xの時間変化を示している。
以上のように、電力変更の指令のフラッグ信号Fが有効な状態において、仮想インピーダンス値Xは、変換図(マップ)に従って、補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutから変換されて算出される。
【0086】
図15(a)、(b)、(c)によって説明した仮想インピーダンス値Xは、図12における切替手段514の第2入力端子に補正参照指令として入力している。
すなわち、フラッグ信号Fが立った場合には、仮想インピーダンス値Xによる補正参照指令によって、図12において、暫定参照指令E∠δが参照指令E∠δに補正される。
【0087】
《本発明の第2実施形態における第3の仮想同期慣性制御の特性、図16
図16は、本発明の第2実施形態に係る第3の仮想同期慣性制御手段508を用いた場合の特性例を示す図である。
図16において、縦軸には、入力電圧Vdc、残余エネルギーΔEpcs、慣性モーメントJ、回転子の角速度ωPCS、入力電力Pin、出力電力Poutである。また、出力電力Poutの項に補正出力電力指令Poutを併せて表記している。
なお、縦軸におけるそれぞれの単位は、残余エネルギーΔEpcsが[MJ]以外の項目は、すべて単位法であるpu(p.u.)で示している。また横軸は、時間(時間の推移)である。
【0088】
図16において、フラッグ信号Fによって、0.5秒後に電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)は、電力変換動作(操作)を開始している。そのため、補正出力電力指令Pout(特性線1107)が直ちに変化している。
このとき、電力変換装置の出力電力Pout(特性線1106)が発振現象を起こしている。しかし、速やかに、この発振現象は減衰している。その理由は、慣性モーメントJ(特性線1103)を変化させているからである。
さらに、それに加えて、出力端子の仮想インピーダンスXを挿入し、電力変換装置の直流コンデンサ105(図11)の残余エネルギーΔEpcs(特性線1102:図16)を抑制しているからである。
【0089】
そのため、この残余エネルギーΔEpcs(特性線1102:図16)は、図8の残余エネルギーΔEpcs(特性線2002、第2比較例)や、図9の残余エネルギーΔEpcs(特性線3002、第1比較例)に比較して小さい。
この結果、電力変換装置(新エネルギー源統合電力変換装置100B)の直流コンデンサ105の入力電圧Vdc(特性線1101:図16)の逸脱したピーク値1101P(約2.1pu)は、図8の電力変換装置の直流コンデンサ105の入力電圧Vdc(特性線2001、第2比較例)の逸脱したピーク値2001P(約2.4pu)や、図9の電力変換装置の直流コンデンサ105の入力電圧Vdc(特性線3001、第1比較例)の逸脱したピーク値3001P(約2.4pu)より小さい。
つまり、第2比較例の図8、および第1比較例の図9のピーク値の2.4puから、本発明の第2実施形態の図16に示すピーク値では2.1puに改善されている。
【0090】
<第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bの構成・機能・動作の総括>
以上、述べたように、第3の仮想同期慣性制御手段508は、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段511と仮想インピーダンス値決定手段512と仮想インピーダンス制御手段513とを備えている。そして、第2の仮想同期慣性制御手段110は、前記したように、仮想同期慣性モーメントを制御する機能を有している。
また、電力変更決定手段511は、第2の仮想同期慣性制御手段110との組み合わせによって、入力電力と出力電力との間の有効電力を調整・制御する機能(アクティブパワーコントロール)を有している。
また、電力変更決定手段511は、通常時の操作の出力電力指令Pと、電力変更の指令であるフラッグ信号Fが立った場合の補正出力電力指令Poutとして有効入力電力Pdcと、補正出力電力指令の変化分の信号ΔPoutとが出力される出力電力変更指令手段609を有している。
【0091】
仮想インピーダンス値決定手段512は、前記したように、補正出力電力指令の変化分の信号ΔPoutとフラッグ信号Fとによって、仮想インピーダンス値Xを算出する。
仮想インピーダンス制御手段513は、前記したように、出力側の電流Iと仮想インピーダンス値Xを用いて、補正参照指令を導出する。
切替手段514は、前記したように、第2入力端子の補正参照指令か、第1入力端子の0(変更なし)かをフラッグ信号Fによって選択し、その出力信号を合成手段(加算器)519の第2端子に入力している。
合成手段(加算器)519は、前記したように、切替手段514の仮想インピーダンス値の制御に関する補正参照指令と、第2の仮想同期慣性制御手段110の出力である暫定参照指令信号E∠δと、を合成(加算)して参照指令E∠δを出力する。なお、切替手段514において、「補正なし」を意味する「0」が選択された場合には、暫定参照指令信号E∠δが、そのまま参照指令E∠δとして出力される。
【0092】
以上の構成によって、第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bは、主として新エネルギー源101に起因する電力変動が起きた場合、電力調整変化の動作(操作)を行うときに、一時的に仮想インピーダンス制御を挿入することによって、直流コンデンサ105(図11)における直流電圧の大きな逸脱を回避することができる。
そのため、インバータ104の入力側に設けられた直流コンデンサ105の電圧を通常の操作範囲(動作範囲)に保たれる。この機能によって、第3の仮想同期慣性制御とアクティブパワーコントロールに基づく電力変換装置(100B)は、新エネルギー源101(図11)の急激な環境の変動から守られて、動作停止が避けられるのである。
【0093】
<本発明の第2実施形態の効果>
以上、本発明の第2実施形態の新エネルギー源統合電力変換装置100Bによれば、新エネルギー源101において、電力の変動があった場合にも、その変動による影響を速やかに低減し、収束させることができる。すなわち、新エネルギー源統合電力変換装置100Bを介して新エネルギー源(フロントエンド+バックエンド)に等価的に、大きな慣性モーメントを付与することができるという効果がある。
そのため、新エネルギー源を有する送電線網に対して電力品質を向上する新エネルギー源統合電力変換装置100Bを提供できる。
また、新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける直流コンデンサ105に過渡的に生成される電圧を軽減させることができるので、新エネルギー源統合電力変換装置100Bの安定動作、信頼性の向上に寄与するという効果がある。
また、以上の効果を新エネルギー源統合電力変換装置100Bにおける直流コンデンサの静電容量を増加させることなく実現できるので、同じ効果を直流コンデンサの静電容量を増加させる方法に比較して、低コストで実現して提供できるという効果がある。
【0094】
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
【0095】
《三相以外の方法》
図1図2で示した第1実施形態の例では、三相交流の場合であったが、単相交流に変換する場合にも適用できる。
【0096】
《スイッチング手段》
図2において、スイッチング素子(201〜206)をIGBTで説明したが、これに限定されない。MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Effect-Transistor)や、スーパージャンクションMOSFETなどでもよい。
【0097】
《インバータ》
図1において、インバータ104とPWM制御手段109を別々に表記したが、PWM制御手段109をインバータを構成する一部として、インバータの中に含めて構成してもよい。
【0098】
《第1の仮想同期慣性制御手段》
図1において、第1の仮想同期慣性制御手段108を一つの機能ブロックとして表記したが、図3に示すように、第2の仮想同期慣性制御手段110と電力変更決定手段111を別々の機能ブロックとして備えて構成してもよい。
【0099】
《検出器、検出手段》
図1、および図11において、インバータ104の入力側の電圧、電流を検出する検出器(第1の検出手段)106とインバータ104の出力側の電圧、電流を検出する検出器(第2の検出手段)107を別々に分けて記載し説明した。しかし、インバータ104の入力側と出力側のそれぞれの電圧、電流を検出すればよいので、2個の検出器106,107の構成に限定されない。
検出器106,107を一体化してもよいし、また、検出器106,107をそれぞれ電圧検出器と電流検出器に分けて、4個以上の検出器で構成してもよい。
【0100】
《出力電力変更指令手段》
図7において、出力電力変更指令手段407は、時系列電力指令手段408と切替手段410とゲート手段411とを備えて構成する例を示したが、フラッグ信号Fによって、時系列電力指令手段408の時系列電力指令と、出力電力指令Pとを切り替えればよいので、この回路に限定されない。
例えば、ゲート手段411を取り除いた回路構成もある。
【0101】
《仮想インピーダンス値決定手段》
図15において、仮想インピーダンス値決定手段512は、図15(b)に示す補正出力電力指令の変化分(差分)の信号ΔPoutと仮想インピーダンス値Xとの関係による一つの変換マップで仮想インピーダンス値Xを算出している。しかしながら、変換マップは一つに限定されない。様々な諸条件により、変換マップの特性(特性線1501)が変化する可能性がある。
そのため、変換マップを複数、備えて、諸条件の変化により、切り替える方法もある。
【符号の説明】
【0102】
100 新エネルギー源統合電力変換装置、電力変換装置
101 新エネルギー源(新エネルギー源のフロントエンド)
102 三相交流電源、三相交流電源グリッド
103 インピーダンス(グリッドとしてのインピーダンス)
104 インバータ
105 直流コンデンサ、コンデンサ
106 検出器、電圧電流検出器、検出手段(第1の検出手段)
107 検出器、電圧電流検出器、検出手段(第2の検出手段)
108 第1の仮想同期慣性制御手段
109 PWM制御手段
110 第2の仮想同期慣性制御手段(仮想同期慣性制御手段)
111,511 電力変更決定手段
201〜206 IGBT、スイッチング素子
207 リアクトル
301 電力計算手段
302 VSGモデル、仮想同期発電機モデル
303 積分手段(1/s)
304 調整手段、調速機
305 電圧制御手段
306 モード対応慣性調整手段
307 モード照合手段S
308 慣性値調整手段
309 合成手段(掛算器)
401 電力計算手段(第1の電力計算手段)
402 電力計算手段(第2の電力計算手段)
403 ハイパスフィルタ(HPF)
404,610 絶対値算出手段(ABS)
405 閾値比較判定手段
406 フラッグ発生手段
407,609 出力電力変更指令手段
408 時系列電力指令手段
409,613 差分手段(差分器)
410,514,612 切替手段
411 ゲート手段
508 第3の仮想同期慣性制御手段
512 仮想インピーダンス値決定手段
513 仮想インピーダンス制御手段
519 合成手段(加算器)
611 保持手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16