(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
ビジネスにおいて、複数の企業が取引をしながら最終顧客へサービスを提供することが多い。典型的な例として、自動車メーカーでは、一次サプライヤーから部品を調達し、自動車を生産し、ディーラーに自動車を出荷する。一次サプライヤーは、部品を作るために必要な部材を二次サプライヤーから調達する。
【0014】
各部品や部材、製品の移動に関しては、輸送業者が業務を担う。更には、ディーラーを介して顧客へ自動車を納品した後も、車検などの保守サービスが行われる。ビジネスを介して生み出された情報は、これまでは主に社内の限定された用途のために使用されていた。
【0015】
昨今、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)の進展により、各企業の情報を連結して分析及び活用することで、ビジネスの効率化や新たな知見の取得が期待されている。先の自動車の例では、二次サプライヤーの生産効率の変化を検知し、自動車の生産計画に反映させたり、車検業者での自動車の部品の交換頻度から、保守部品の生産量をコントロールしたり、といった活用が考えられる。
【0016】
収集された情報を用いて、あるアプリケーション(即ちソフトウェア)を実行する際に問題となるのが、各社で収集している情報の細かさ(粒度)の違いである。各社の情報を連結するためには、粒度を正規化する必要がある。本実施形態における情報管理装置は、アプリケーションを実行するアプリケーション実行装置から、アプリケーションに入力され使用される実行情報を受け付け、管理する。情報管理装置は、粒度を正規化するための情報生成ルールを生成し、アプリケーション実行装置に実行情報を送信する前に、情報生成ルールに則って粒度の正規化を行う。
【0017】
なお、本実施形態における情報管理装置の運用形態として、種々の運用形態が想定される。例えば、関係する企業でグループを構成し、情報管理装置を共有して運用する形態が考えられる。この形態は、資本関係のある同一グループ企業など、企業間で情報の共有が比較的容易である場合に有効である。
【0018】
また例えば、管理対象企業とは異なる企業が情報管理装置を有し、サービスビジネスとして各企業と契約を締結し、企業の情報を収集及び管理する形態が考えられる。この形態は、資本関係のない企業間で情報を共有したい場合に有効である。以下、後者の運用形態にてサービスを展開する実施形態を用いて説明する。
【0019】
なお、本実施形態において、粒度とは、情報の細かさを示す指標である。ある値を分類する項目が、他の項目を包含する階層構造にある場合、より上層にある項目は粒度が荒く、より下層にある項目は粒度が細かいものとして説明する。
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の例を説明する。
図1は、情報管理システム1の機能ブロック図の一例を示す図である。情報管理システム1は、情報管理装置100と、該情報管理装置100とネットワークNを介して通信可能に接続された1又は複数のアプリケーション実行装置200と、を有する。情報管理システム1は、アプリケーション実行装置200によるアプリケーションの実行に用いられる実行情報を管理する。
【0021】
情報管理装置100は、PC(Personal Computer)、又はサーバーコンピュータ等の端末装置である。アプリケーション実行装置200は、PC、サーバーコンピュータ、又はスマートフォン等の端末装置である。
図1には、1つの情報管理装置100に対し、2つのアプリケーション実行装置200(アプリケーション実行装置200A及びアプリケーション実行装置200B)が接続されている状態が示されている。
【0022】
情報管理装置100は、例えば情報管理サービスを提供するサービス提供者の有する装置である。また、アプリケーション実行装置200は、例えば情報管理サービスの提供を受けるクライアントの有する装置である。
【0023】
情報管理装置100は、制御部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、を備える。制御部110は、情報管理装置100全体を統括的に制御する。記憶部120は、情報管理装置100により管理される情報のほか、実行情報の変換処理に必要な情報を記憶する。入力部130は、後述の入力装置を用いてユーザーからの入力操作を受け付ける。
【0024】
出力部140は、通信部150を介してアプリケーション実行装置200に対して情報を出力する。出力部140は、情報管理装置100の有する出力装置に対して情報を出力させてもよい。通信部150は、アプリケーション実行装置200との間で情報を送信及び受信する。なお、本実施形態における情報管理装置100について、入力部130は必須の構成ではない。
【0025】
制御部110は、項目分類部111と、情報生成ルール生成部112と、粒度変換情報生成部113と、粒度変換要求特定部114と、アプリケーション実行部115と、を備える。項目分類部111は、後述する多義情報に含まれる、実行情報の項目を分類する。項目分類部111は、多義情報内の項目のうち、類似する項目を関連付けて項目を階層化する。
【0026】
より具体的には、項目分類部111は、多義情報に含まれる各項目をクラスタリングし、階層的クラスタリング情報を生成する。クラスタリングの方法については、一般的な統計処理を用いるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
情報生成ルール生成部112は、分類された項目が、後述の情報生成要件を満たすか否かを判定し、アプリケーション毎に、情報生成要件を満たす項目を含む情報生成ルールを生成する。情報生成ルール生成部112は、階層的クラスタリング情報を構成する項目のうち下層に位置する項目から順に、該項目に係る実行情報をアプリケーションが実行する場合に、情報生成要件を満たすか否かを判定する。情報生成ルール生成部112は、情報生成要件を満たす項目が特定されるまで、項目に対する判定を繰り返す。
【0028】
粒度変換情報生成部113は、アプリケーション実行装置200から要求された実行情報について、情報生成ルールに基づいて粒度を変換し、出力情報を生成する。即ち、粒度変換情報生成部113は、情報生成ルールに含まれる項目を用いて実行情報を変換して出力情報を生成する。より具体的には、粒度変換情報生成部113は、要求された実行情報の項目の粒度と情報生成ルールに含まれる項目の粒度とを比較する。粒度変換情報生成部113は、実行情報の項目の粒度と情報生成ルールに含まれる項目の粒度とが一致する場合に、実行情報を出力情報とする。
【0029】
一方、粒度変換情報生成部113は、要求された実行情報の項目の粒度が、情報生成ルールに含まれる項目の粒度よりも荒い場合に、細分化モデルを生成して実行情報に含まれる値を細分化する。粒度変換情報生成部113は、細分化により生成される値が予め定められた基準を満たす場合に、当該値を用いて出力情報を生成する。
【0030】
また、粒度変換情報生成部113は、要求される実行情報の項目が、情報生成ルールに含まれる項目の粒度よりも細かい場合に、情報生成ルールに含まれる項目に対する実行情報の値を算出し、算出して得た値を用いて出力情報を生成する。
【0031】
粒度変換要求特定部114は、アプリケーション実行装置200からの実行情報を特定した要求を受け付ける。なお、粒度変換要求特定部114は、実行するアプリケーションを特定した要求をアプリケーション実行装置200から受け付けてもよい。その場合、粒度変換要求特定部114は、記憶部120を参照することにより、アプリケーションの実行に用いられる実行情報を特定する。
【0032】
アプリケーション実行部115は、実行情報を用いてアプリケーションを実行する。アプリケーション実行部115は、アプリケーションの実行に要した時間や、精度チェックの結果を特定する。特定された情報は、情報生成ルールの適否を判定する際に用いられる。
【0033】
記憶部120は、実行情報121と、多義情報122と、生成要件情報123と、回帰モデル情報124と、を記憶している。実行情報121は、アプリケーションに対して入力される情報であって、ある項目により各レコードが分類されている。実行情報121は、項目に値が関連付けられた定量情報である。
【0034】
なお、実行情報121に関しては、記憶部120の図示しない領域又は該実行情報121に含まれるメタ情報等の情報を参照することより、使用されるアプリケーションを特定することができる。また、実行情報121には、使用可能なアプリケーション実行装置200(又はアプリケーション実行装置200を有する企業)を特定する情報が、記憶部120の図示しない領域に関連付けられていてもよい。
【0035】
多義情報122は、実行情報121の複数の項目を含む情報である。多義情報122は、例えば各項目が関連付けられた定性情報である。なお、多義情報122は数値を含む定量情報であってもよく、実行情報121を多義情報122に用いてもよい。
【0036】
生成要件情報123は、情報生成ルールの生成に用いる情報生成要件を含む情報である。生成要件情報123は、情報管理装置100が管理する実行情報121を使用するアプリケーションを示す情報毎に、対象とするアプリケーション実行装置200(又はアプリケーション実行装置200を有する企業)、対象期間等を示す情報生成要件が関連付けられている。
【0037】
回帰モデル情報124は、実行情報121の項目の粒度が情報生成ルールに含まれる項目の粒度よりも荒い場合に行われた、重回帰分析の結果を示す情報である。詳細は後述するが、実行情報121の項目に対応する値を目的変数として行われた重回帰分析の結果、出力される値が、予め定められた基準を満たす場合に、重回帰分析を構成する情報が回帰モデル情報124として記憶される。回帰モデル情報124は、例えば説明変数、説明変数毎に用いられる係数、及び重回帰分析の結果出力される切片等の値が関連付けられた情報である。
【0038】
アプリケーション実行装置200は、制御部210と、通信部220と、を備える。制御部210は、アプリケーション実行装置200を統括的に制御する。通信部220は、情報管理装置100との間で情報の送信及び受信を行う。
【0039】
制御部210は、アプリケーション実行部211を備える。アプリケーション実行部211は、実行情報121を用いたアプリケーションによる処理を実行する。
【0040】
図2は、実行情報121Aのデータ構造の一例を示す図である。実行情報は、アプリケーションに使用される情報であって、項目により値が分類されている。
図2に示す実行情報121Aは、項目として「設備」を示す情報を含み、「設備」の項目には「P1」及び「P2」が含まれている。項目は、実行情報121の各レコードを分類するための分類項目又は分類軸を意味する。
【0041】
また、
図2に示す実行情報121Aは、各項目に対する測度として、「処理1能力」及び「処理2能力」を示す情報を含む。測度は、観測項目又は統計項目を意味する。本実施形態における項目は、上述の分類項目のほか、測度(即ち観測項目又は統計項目)を含むものであってもよい。実行情報121Aにおいて、「P1」と、「処理1能力」との組合せに対し、「500」の値が関連付けられている。
【0042】
図3は、実行情報121Bのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示す実行情報121Bは、項目として「拠点」を示す情報を含み、「拠点」の項目には、「S2」が含まれている。
図3に示す実行情報121Bは、測度として「処理1能力」及び「処理2能力」を示す情報を含む。
【0043】
図4は、多義情報122のデータ構造の一例を示す図である。多義情報122は、実行情報121に含まれる複数の項目の関係を示すものである。
図4に示す多義情報122は、項目として、「企業」、「拠点」、「ライン」、及び「設備」を示す情報を含んでいる。なお、多義情報122は、
図4に示す多義情報122のように1つの多義情報122に複数の項目を有していてもよい。また、1つの多義情報122に含まれる項目は単数であっても、複数の多義情報122を参照することにより複数の項目の関係が特定されるものであってもよい。
【0044】
なお、多義情報122は、後述する項目分類処理において、類似する項目を関連付ける際に用いられる。そのため、多義情報122は、項目を分類可能に含んでいればよく、例えば項目に対し数値が関連付けられた定量情報であってもよい。
【0045】
図5は、生成要件情報123のデータ構造の一例を示す図である。生成要件情報123は、アプリケーションを特定する識別情報毎に、例えば対象期間、精度目標、処理時間上限値、基準情報、及び対象装置等の情報生成要件を関連付けた情報である。
【0046】
対象期間とは、例えば情報生成ルールの生成に用いる実行情報121の生成期間を示す情報である。精度目標とは、情報生成ルールの生成において、精度チェックの判定に用いる情報であって、精度確認方法及び精度の基準を示す情報が含まれる。例えば、精度目標は、対応するアプリケーションにより使用される実行情報121の実行により出力される値の範囲を示す情報等である。処理時間上限値は、情報生成ルールの生成の際に用いられる情報であって、アプリケーションによる実行情報121の実行に要する時間の上限値であるが、詳細は後述する。
【0047】
基準情報とは、後述する粒度変換処理において、粒度変換後に出力される情報の可否の基準となる情報である。基準情報は、例えば粒度変換前後において出力される値の割合の上限値又は下限値を示す情報である。対象装置とは、アプリケーションの実行対象となるアプリケーション実行装置200又はアプリケーション実行装置200を有する企業を特定する識別情報である。
【0048】
図6は、情報管理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。情報管理装置100は、入力装置161と、出力装置162と、外部記憶装置163と、演算装置164と、主記憶装置165と、通信装置166と、を備え、各構成要素はバス167により接続されている。
【0049】
入力装置161は、ユーザーからの入力操作を受け付ける装置であり、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイク等である。出力装置162は、情報管理装置100に格納されたデータの出力処理を行う装置であって、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置、又はプリンタ等である。入力部130は入力装置161を用いることができ、出力部140は出力装置162を用いることができる。
【0050】
外部記憶装置163は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディアである。演算装置164は、CPU(Central Processing Unit)等の中央演算装置であって、主記憶装置165又は外部記憶装置163に記録されたプログラムに従って処理を実行する。制御部110を構成する各処理部は、演算装置164がプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0051】
主記憶装置165は、RAM(Random Access Memory)又はフラッシュメモリ等の記憶装置であり、プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリアとして機能する。通信装置166は、情報管理装置100をネットワークNに接続するための装置であって、例えばNIC(Network Interface Card)等の通信デバイスである。
【0052】
記憶部120は、主記憶装置165又は外部記憶装置163によりその機能が実現される。また、記憶部120は、ネットワークN上の記憶装置によってその機能が実現されてもよい。
【0053】
なお、情報管理装置100の各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、情報管理装置100の各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0054】
例えば、アプリケーションに入力される実行情報121を、アプリケーション提供企業が管理する装置に記憶させ、必要に応じて当該装置に実行情報121を要求するなど、機能毎にハードウェアが分離された構成であってもよい。
【0055】
アプリケーション実行装置200は、情報管理装置100と同様のハードウェア構成を有する。そのため、アプリケーション実行装置200のハードウェア構成については、説明を省略する。
【0056】
図7は、情報生成ルール生成処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、例えば生成要件情報123が更新されると開始される。なお、本処理は、情報管理装置100において定期的に行われるものであってもよい。本処理開始前に、情報管理装置100の制御部110は、情報生成ルール生成処理の対象となる生成要件情報123(例えば更新された生成要件情報123)を特定する。
【0057】
まず、項目分類部111は、対象の情報をロードする(ステップS11)。具体的には、項目分類部111は、情報生成ルール生成処理の対象となる情報生成要件に含まれる、アプリケーションを示す情報を特定する。項目分類部111は、記憶部120の図示しない領域又は実行情報121のメタ情報を参照し、特定したアプリケーションと関連する実行情報121を抽出する。
【0058】
なお、情報生成要件に、対象装置、即ちアプリケーション実行装置200(又は対象とする企業)を示す情報が含まれている場合、項目分類部111は、記憶部120の図示しない領域を参照し、特定したアプリケーションと関連し、かつ当該企業において処理対象となる実行情報121を抽出する。また、情報生成要件に、対象期間が含まれている場合、項目分類部111は、抽出した実行情報121から、さらに対象期間に生成された実行情報121を抽出する。
【0059】
以下、抽出された実行情報121が1つである場合について説明する。抽出された実行情報121が複数である場合については後述する。
【0060】
次に、項目分類部111は、多義情報122を分類する(ステップS12)。具体的には、項目分類部111は、多義情報122に含まれる各項目をクラスタリングし、階層的クラスタリング情報を生成する。
【0061】
例えば、
図4に示す多義情報122は、「企業A」が拠点として「S1」を有しており、「S1」の拠点はライン「L1」を有しており、ライン「L1」は設備「P1」及び「P2」を有していることを示す。クラスタリングの結果、項目の「設備」が項目の「ライン」に包含され、項目の「ライン」が項目の「拠点」に包含され、項目の「拠点」が項目の「企業」に包含されることが分かる。項目分類部111は、クラスタリングの結果得られる情報を、階層的クラスタリング情報として記憶部120の図示しない領域に記憶させる。即ち、本例では、上層から「拠点−ライン−設備」であることを示す階層的クラスタリング情報が生成される。
【0062】
なお、上述したように、多義情報122は定量情報であってもよい。多義情報122の一例として、項目の「企業」毎に売上高が関連付けられた定量情報と、売上高を用いて企業を分類する分類項目が関連付けられた情報(例えば、「売上高500万円以上:種別A、売上高500万円未満:種別B」等の情報)とが挙げられる。多義情報122を用いて、類似する項目を関連付けたクラスタリングが可能である。この場合、下層の項目として、「企業」を示す項目、上層の項目として分類項目(「種別A」及び「種別B」)が含まれる階層的クラスタリング情報が生成される。
【0063】
次に、情報生成ルール生成部112は、設定クラスタを特定する(ステップS13)。具体的には、情報生成ルール生成部112は、ステップS12で記憶させた階層的クラスタリング情報を参照し、最下層の項目を設定クラスタとして特定する。上述の例で説明すると、最下層の項目が「設備」であるため、情報生成ルール生成部112は、項目の「設備」を設定クラスタとして特定する。
【0064】
次に、粒度変換情報生成部113は、設定クラスタを用いて実行情報121を変換する(ステップS14)。粒度変換情報生成部113は、ステップS11でロードした実行情報121を変換する。本ステップにおいて行われる粒度変換情報生成処理については後述する。本処理の結果、設定クラスタの項目に対して値が関連付けられた実行情報121が生成される。
【0065】
例えば、
図2に示す実行情報121Aにおいて、設定クラスタである項目の「設備」に対して、能力を示す値が関連付けられている。実行情報121Aは既に設定クラスタに応じた値を有しているため、そのまま変換後の実行情報121として取り扱われる。仮に、項目の「拠点」に対し、能力を示す値が関連付けられた実行情報121BがステップS11でロードされている場合、粒度変換情報生成部113は、当該情報に対し粒度変換情報生成処理を行うことにより、設定クラスタの項目の「設備」毎に値を関連付けた実行情報121に変換する。
【0066】
次に、アプリケーション実行部115は、アプリケーションを実行して処理時間を計測する(ステップS15)。具体的には、アプリケーション実行部115は、ステップS11で特定したアプリケーションに対し、ステップS14において変換を行った実行情報121を入力し、処理を実行する。その際、アプリケーション実行部115は、処理時間を計測する。
【0067】
次に、情報生成ルール生成部112は、計測時間が上限値に達したか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、情報生成ルール生成部112は、本処理開始前に特定された情報生成要件に含まれる、処理時間上限値を特定する。情報生成ルール判定部は、ステップS15で計測した処理時間が、上限値に到達したか否かを判定する。
【0068】
情報生成ルール生成部112が、計測時間が上限値に達していないと判定する場合(ステップS16で「No」の場合)、情報生成ルール生成部112は、精度チェックの結果、基準を達成したか否かを判定する(ステップS18)。具体的には、情報生成ルール生成部112は、本処理開始前に特定された情報生成要件に含まれる精度目標を参照し、実行情報121を用いたアプリケーションによる処理の結果、精度目標に含まれる基準を達成したか否かを判定する。
【0069】
例えば、正解の準備できるアプリケーションについて、実行情報121を用いた精度チェックを行う場合、情報生成要件の精度目標には、正解を示す出力情報が含まれている。情報生成ルール生成部112は、精度目標に含まれる正解が出力されたか否かを用いて、基準達成可否を判定する。また例えば、需要予測や作業時間推定等、実績値との誤差率で精度確認が可能であるアプリケーションについては、情報生成要件の精度目標には基準を達成したと判定する誤差率の範囲が基準値として含まれる。その場合、情報生成ルール生成部112は、実績値を示す情報を用いた誤差率を算出し、誤差率と基準値との比較により、基準達成可否を判定する。
【0070】
なお、情報生成要件には、精度確認に関する情報が含まれないか、又は精度確認を行わないことを示す情報が含まれていてもよい。その場合、本ステップによる処理は省略される。
【0071】
情報生成ルール生成部112が、精度チェックの結果、基準を達成していないと判定する場合(ステップS18で「No」の場合)、又は、ステップS16において、情報生成ルール生成部112が、計測時間が上限値に達したと判定する場合(ステップS16で「Yes」の場合)、情報生成ルール生成部112は、設定クラスタを変更する(ステップS17)。具体的には、情報生成ルール生成部112は、階層的クラスタリング情報を参照し、現在特定されている設定クラスタを示す項目よりも1層上層に位置する項目を設定クラスタとして特定する。
【0072】
その後、情報生成ルール生成部112は、処理をステップS14に進める。その結果、情報生成要件を満たす項目が設定クラスタに特定されるまで、階層的クラスタリング情報において下層の項目から順に処理が行われる。
【0073】
情報生成ルール生成部112が、精度チェックの結果、基準を達成したと判定する場合(ステップS18で「Yes」の場合)、情報生成ルール生成部112は、設定クラスタを保存する(ステップS19)。具体的には、情報生成ルール生成部112は、基準を達成した設定クラスタに係る項目と、ステップ11で特定したアプリケーションを示す情報とを関連付けて情報生成ルールを示す情報を生成し、記憶部120に記憶させる。その後、制御部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0074】
なお、ステップS11で抽出した実行情報121が複数である場合、情報生成ルール生成部112は、実行情報121毎にステップS13からステップS18の処理を繰り返す。ある実行情報121について特定された設定クラスタがステップS18において基準を達成した場合、他の実行情報121では基準を達成した項目から設定クラスタに特定される。結果として、ステップS11においてロードされたすべての実行情報121において基準を達成した項目のうち、最も下層に位置する項目が、設定クラスタとして特定される。
【0075】
本実施形態によれば、アプリケーションによる実行情報121を用いた処理において適切な項目を情報生成ルールとすることができる。このように生成した情報生成ルールを用いることにより、後述する粒度変換処理において適切な粒度の実行情報121を出力することができる。
【0076】
図8は、粒度変換処理の一例を示すフローチャートである。本処理は、情報管理装置100の粒度変換要求特定部114が、アプリケーション実行装置200から出力情報の要求を受け付けると開始される。以下、粒度変換要求特定部114が、実行情報121を特定した要求を受け付ける場合について説明する。粒度変換要求特定部114は、複数の実行情報121の要求を受け付けた場合、各実行情報121について以下の処理を行う。
【0077】
なお、粒度変換要求特定部114は、処理を行うアプリケーションを特定した要求を受け付けてもよい。その場合、粒度変換要求特定部114は、記憶部120を参照することにより、要求に含まれるアプリケーションに入力される実行情報121を特定する。
【0078】
まず、粒度変換情報生成部113は、対象の情報をロードする(ステップS21)。粒度変換情報生成部113は、要求される実行情報121を特定する。特定された実行情報121を対象実行情報121として説明する。
【0079】
次に、粒度変換情報生成部113は、対象の情報の設定クラスタをロードする(ステップS22)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、ステップS21で特定した対象実行情報121を実行するアプリケーションを特定する。粒度変換情報生成部113は、先述の
図7のステップS19において保存した情報生成ルールを参照し、特定したアプリケーションと対応する設定クラスタを特定する。
【0080】
次に、粒度変換情報生成部113は、設定クラスタと対象の情報の粒度が一致するか否かを判定する(ステップS23)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目を示す文字列と、設定クラスタの項目を示す文字列とを用いて、
図7のステップS12で生成された階層的クラスタリング情報を参照する。粒度変換情報生成部113は、両項目の文字列が一致する場合に、設定クラスタと対象の情報の粒度が一致すると判定する。
【0081】
また、粒度変換情報生成部113は、階層的クラスタリング情報において、対象実行情報121の項目が設定クラスタに係る項目よりも下層に位置する場合、対象実行情報121の方が粒度が細かいと判定する。一方、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目が設定クラスタに係る項目よりも上層に位置する場合、対象実行情報121の方が粒度が荒いと判定する。
【0082】
粒度変換情報生成部113が、対象実行情報121の方が粒度が細かいと判定する場合(ステップS23で「粒度が細かい」の場合)、対象実行情報121をクラスタ別に変換する(ステップS24)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、設定クラスタに係る項目毎に対象実行情報121の値を算出することにより対象実行情報121を変換し、出力情報とする。
【0083】
粒度変換情報生成部113が、対象実行情報121の方が粒度が細かいと判定する場合の処理について、
図2に示す実行情報121A及び
図4に示す多義情報122を用いて説明する。設定クラスタに係る項目が「ライン」である場合、
図2に示す実行情報121Aの項目は「設備」であり、
図4に示す多義情報122では「設備」が「ライン」よりも下層にあるため、対象実行情報121の項目の方が細かいと判定される。
【0084】
実行情報121Aにおいて、項目の「設備」には、「P1」及び「P2」が含まれる。
図4において、「設備」の「P1」及び「P2」には、設定クラスタの項目である「ライン」について「L1」が関連付けられている。粒度変換情報生成部113は、項目の「設備」の「P1」及び「P2」を、「ライン」の「L1」に変更し、測度の「処理1能力」及び「処理2能力」毎に値を合算する。即ち、「ライン」の「L1」に対し、「処理1能力」として500+500=1000が関連付けられ、「処理2能力」として550+530=1080が関連付けられる。
【0085】
なお、対象実行情報の項目より上層の設定クラスタに変換するための計算方法は、加算に限られない。必要な計算手順を情報生成要件として記憶しておき、変換の際に該計算手順を用いることで、適切に対象実行情報121の値を算出することができる。
【0086】
説明を
図8に戻す。粒度変換情報生成部113が、設定クラスタと対象の実行情報121の粒度が一致すると判定する場合(ステップS23で「Yes」の場合)、即ち対象実行情報121の項目と設定クラスタに係る項目とが一致する場合、粒度変換情報生成部113は対象実行情報121を出力情報として取り扱い、処理をステップS29に進める。
【0087】
粒度変換情報生成部113が、対象実行情報121の方が設定クラスタよりも粒度が荒いと判定する場合(ステップS23で「粒度が荒い」の場合)、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の値を細分化モデルで細分化する(ステップS25)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目に対応する値を目的変数とする細分化モデル(回帰モデル)を、重回帰分析を行うことにより生成する。重回帰分析には、例えば記憶部120に記憶された他の実行情報121であって、対象実行情報121と項目及び測度が共通する実行情報121が用いられる。重回帰分析については一般的な手法を用いるため、説明を省略する。
【0088】
例えば、
図4に示す多義情報122において、設定クラスタが「ライン」である場合を考える。
図4に示す「企業B」は、
図3に示す実行情報121Bを情報管理装置100に送信していたものとする。実行情報121Bは、項目の「拠点」に対し、測度の「処理1能力」及び「処理2能力」の値が関連付けられている。
【0089】
設定クラスタが「ライン」であるため、実行情報121Bの項目である「拠点」を、「ライン」に変換する。
図3に示す「拠点」の「S2」は、
図4において「ライン」の「L2」及び「L3」に関連付けられている。そのため、粒度変換情報生成部113は、
図3に示す「処理1能力」の「1200」を、設定クラスタの項目である「ライン」の「L2」の「処理1能力」及び「L3」の「処理1能力」で説明する細分化モデルを生成する。測度の「処理2能力」についても同様に細分化モデルを生成する。
【0090】
粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目を設定クラスタに係る項目に変換し、細分化モデルを用いて得られた値を項目に関連付ける。
【0091】
次に、粒度変換情報生成部113は、値が基準を満たすか否かを判定する(ステップS26)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、ステップS25により得られた、細分化された値又は細分化モデルの生成により得られた値が、予め定められた基準を満たすか否かを判定する。粒度変換情報生成部113は、生成要件情報123の情報生成要件に含まれる基準情報を参照することにより、得られた値が適切であるか否かを判定する。
【0092】
例えば、基準情報が、細分化により得られた値の合算値と、対象実行情報121における細分化前の値との差分の上限値である場合を説明する。細分化により得られた値を合算して得た値と、対象実行情報121において目的変数とした値との差分が、上限値を超える場合、粒度変換情報生成部113は、値が基準を満たさないものと判定する。
【0093】
なお、基準情報はこれに限られず、回帰モデル生成の際に生成される情報であってもよい。例えば、情報生成要件に含まれる基準情報は、細分化モデルの生成の際に得られるP値の指標に関する基準値であってもよい。
【0094】
また、対象実行情報121の設定クラスタへの変換方法については、細分化モデルを用いる例に限られない。例えば、生成要件情報123が、各項目に対する配分の割合を含んでおり、当該割合に基づいて変換を行ってもよい。上述の例を用いれば、生成要件情報123が、「拠点」の項目を「ライン」に細分化する際に、対象実行情報121の値を「ライン」の数に按分することを示す情報を含んでいてもよい。
【0095】
粒度変換情報生成部113が、値が基準を満たさないと判定する場合(ステップS26で「No」の場合)、粒度変換情報生成部113は、細分化モデルを変更する(ステップS27)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、例えば他の説明変数を用いる等により細分化モデルを変更し、処理をステップS25に戻す。なお、得られる細分化モデルをすべて用いても値が基準を満たさない場合、粒度変換情報生成部113は処理を終了する。
【0096】
粒度変換情報生成部113は、値が基準を満たすと判定する場合(ステップS26で「Yes」の場合)、細分化モデルを記憶部120に保存する(ステップS28)。粒度変換情報生成部113は、ステップS25で生成した細分化モデルを、回帰モデル情報124として記憶部120に記憶させる。また、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目を設定クラスタに係る項目に変換し、細分化モデルを用いて得られた値を項目に関連付けた情報を出力情報として、処理をステップS29に進める。
【0097】
ステップS24において、実行情報121をクラスタ別に変換した後、又はステップS23において、粒度変換情報生成部113が設定クラスタと対象の情報の粒度が一致したと判定した後、又はステップS28において細分化モデルを保存した後、出力部140は、出力情報を出力する(ステップS29)。具体的には、粒度変換情報生成部113は、生成した出力情報を、粒度変換要求特定部114の受け付けた要求を送信したアプリケーション実行装置200に対して、通信部150を介して送信する。その後、制御部110は本フローチャートの処理を終了する。
【0098】
なお、本実施形態において、対象実行情報121と設定クラスタとの粒度を比較する際、粒度変換情報生成部113は、対象実行情報121の項目の文字列と、設定クラスタの項目の文字列とが一致する場合に、粒度が一致すると判定した。しかしながら、粒度の一致は、項目の文字列が一致する場合に限られない。
【0099】
例えば、階層的クラスタリング情報を生成する際、階層的クラスタリングを構成する各項目の階層内の位置(例えば下から2層目等)を示す情報を関連付けておき、対象実行情報121の項目の位置と、設定クラスタの項目の位置とが一致する場合に、粒度が一致することとしてもよい。
【0100】
また、本実施形態において、アプリケーション実行装置200からの要求を契機として、粒度変換処理を実行した。しかしながら、粒度変換処理の処理開始タイミングはこれに限られない。例えば、
図7に示す情報生成ルール生成処理の終了後に、情報生成ルールを生成したアプリケーションにより実行される実行情報121を抽出し、該実行情報121毎に粒度変換処理を行ってもよい。この場合、
図8に示すステップS29において出力情報は出力されず、記憶部120に記憶される。
【0101】
以上、本発明に係る各実施形態及び変形例の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0102】
また、上記の情報管理装置100の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述に示す通り、情報管理装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。