(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉粒物(Wc)が収容された小袋(Wb)を包装材(Wa)で包んだ被検査物(W)を所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過するX線の透過画像を用いて前記被検査物を検査するX線検査装置(1)であって、
前記小袋を抽出するための所定の閾値で前記透過画像を2値化した2値化画像のうち最大領域の塊から所定の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像(S1)を生成し、予め設定された前記小袋の大きさのマスク領域(S2)を前記小袋画像上に設定して、前記マスク領域外に前記小袋画像が存在するか否かにより前記小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定する信号処理部(6)を備えたことを特徴とするX線検査装置。
前記信号処理部(6)は、前記マスク領域(S2)から外れる位置に存在する前記小袋画像(S1)の塊の数に応じて前記小袋(Wb)からの粉粒物(Wc)の漏れ不良を判定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のX線検査装置。
粉粒物(Wc)が収容された小袋(Wb)を包装材(Wa)で包んだ被検査物(W)を所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過するX線の透過画像を用いて前記被検査物を検査するX線検査方法であって、
前記小袋を抽出するための所定の閾値で前記透過画像を2値化するステップと、
前記2値化した2値化画像のうち最大領域の塊から所定の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像(S1)を生成するステップと、
予め設定された前記小袋の大きさのマスク領域(S2)を前記小袋画像上に設定して、前記マスク領域外に前記小袋画像が存在するか否かにより前記小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定するステップとを含むことを特徴とするX線検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドリップバッグやティーバッグなどのような液体用フィルタの製品を被検査物とした場合、包装状況や搬送状況などの検査状況に応じて粉粒物が小袋から漏れて包装材内でランダムに分散することがある。このため、包装材内での小袋からの粉粒物の漏れは、利用者が包装材を開封したときの影響を考慮して良否判定基準を設定し、製品の良否を判断する必要がある。具体的には、製品の良否判定基準として、包装材内で小袋から粉粒物が許容範囲以上の大きい塊で漏れている場合は不良品とし、包装材内で小袋から粉粒物が許容範囲内の少量の塊で散在して漏れている場合は良品として扱いたいという要求がある。
【0006】
しかしながら、上述したドリップバッグやティーバッグなどの製品を被検査物とした場合、粉粒物が包装材内のどこにでも存在する可能性があるため、上述した特許文献1のX線検査装置では不存在領域を設定することが困難であった。仮に、不存在領域を設定した場合には、不存在領域における内容物の有無を判定することになるので、不存在領域に少量の塊が内容物として漏れて散在する場合であっても不良と判定してしまう。その結果、上述した要求を満たすことができず、製品の歩留りも悪くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、製品の歩留りを考慮した検査を行うことができるX線検査装置およびX線検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載されたX線検査装置は、粉粒物Wcが収容された小袋Wbを包装材Waで包んだ被検査物Wを所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過するX線の透過画像を用いて前記被検査物を検査するX線検査装置1であって、
前記小袋を抽出するための所定の閾値で前記透過画像を2値化した2値化画像
のうち最大領域の塊から所定
の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像S1を生成し、予め設定された前記小袋の大きさのマスク領域S2を前記小袋画像上に設定して
、前記マスク領域外に前記小袋画像が存在するか否かにより前記小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定する信号処理部6を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載されたX線検査装置は、請求項1のX線検査装置において、
前記信号処理部6は、前記2値化画像
のうち最大領域の塊から所定
の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像S1を生成する画像形成手段12と、
前記小袋画像の重心を算出する重心算出手段13と、
前記マスク領域S2を前記重心算出手段が算出した重心位置に対応させて前記小袋画像上に設定するマスク領域設定手段15と、
前記マスク領域から外れる位置に前記小袋画像による塊が存在するか否かにより前記小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良を判定する漏れ不良判定手段16とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載されたX線検査装置は、請求
項2のX線検査装置において、
前記信号処理部6は、
前記小袋画像S1の傾きを算出する傾き算出手段14を備え、
前記マスク領域設定手段15は、前記傾き算出手段が算出した傾きに対応させて前記マスク領域S2を前記小袋画像上に設定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載されたX線検査装置は、請求項
1〜3の何れかのX線検査装置において、
前記信号処理部6は、
前記マスク領域S2から外れる位置に存在する前記小袋画像S1の塊の数に応じて前記小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良を判定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載されたX線検査方法は、粉粒物Wcが収容された小袋Wbを包装材Waで包んだ被検査物Wを所定間隔おきに搬送しながらX線を照射し、前記被検査物を透過するX線の透過画像を用いて前記被検査物を検査するX線検査方法であって、
前記小袋を抽出するための所定の閾値で前記透過画像を2値化するステップと、
前記2値化した2値
化画像
のうち最大領域の塊から所定
の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像S1を生成するステップと、
予め設定された前記小袋の大きさのマスク領域S2を前記小袋画像上に設定して
、前記マスク領域外に前記小袋画像が存在するか否かにより前記小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小袋を抽出するための所定の閾値で被検査物を透過するX線の透過画像の2値化画像から所定の塊の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像を生成し、予め設定された小袋の大きさのマスク領域を小袋画像上に設定して小袋からの粉粒物の漏れ不良を判定するので、製品の良否判断基準に応じて包装材内の内容物の収容不良を判定でき、包装材内で小さい塊の粉粒物が分散した被検査物を不良として判別することがなく、従来よりも生産の歩留りを向上させて被検査物の検査を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[本発明の概要]
本発明に係るX線検査装置は、例えば搬送ラインの一部に組み込まれ、一定間隔おきに順次搬送されてくる被検査物(物品)に対し、包装材に包まれた小袋からの粉粒物(粉、粒)の漏れによる収容不良の有無を検査するものである。
【0017】
例えばドリップバッグやティーバッグなどの液体用フィルタであり、網目や紙などの小袋に粉粒物が収容され、さらに小袋がアルミ製や樹脂製の包装材に包まれた製品を被検査物とし、小袋より粉粒物のX線吸収量が高いことを利用して小袋の2値化画像を求めると、小袋から漏れた粉粒物も同時に抽出される。その際、小袋から漏れた粉粒物は、粉粒物の量によって大きい塊やノイズのような小さい塊などの複数の塊ができる。この塊を画像処理して調整し、粉粒物を含む小袋の画像を生成することで製品の良否判断基準に応じて包装材内の内容物(粉粒物)の収容不良を判定できるようになる。
【0018】
そこで、本発明は、2値化画像から所定の塊の大きさ以下の小さい塊を除去して小袋画像を生成し、予め設定された外形サイズの疑似領域からなる小袋のマスク領域を、重心と傾きが一致するように小袋画像上に設定し、マスク領域から外れた2値化画像の存在の有無により小袋からの粉粒物の漏れがあるか否かを判定して収容不良の検査を行う機能を有する。
【0019】
[X線検査装置の構成]
図1に示すように、本実施の形態のX線検査装置1は、上記機能を実現するため、搬送装置2、X線発生器3、X線検出器4、設定入力部5、信号処理部6、表示部7を含んで概略構成される。
【0020】
搬送装置2は、検査対象の被検査物Wを搬送路上で所定間隔おきに順次搬送するもので、例えば装置本体に対して水平に配置されたベルトコンベアで構成される。
【0021】
搬送装置としてのベルトコンベア2は、X線を透過しやすい材料(原子量の大きい元素以外の元素)からなる搬送ベルト2aを備え、被検査物Wの検査を行うときに、不図示の搬送制御手段の制御に基づく駆動モータMの回転により予め設定入力部5にて設定される搬送速度で搬送ベルト2aを駆動する。これにより、搬入口から搬入された被検査物Wは、搬出口側に向けて
図1の搬送方向Xに搬送される。
【0022】
X線発生器3は、搬入口から搬出口に向かって搬送方向Xに搬送路上を搬送される被検査物WにX線を照射するもので、電圧を印可して加速させた電子をターゲットに射突させてX線を発生させる円筒状のX線管と、X線管が発生させたX線をX線検出器4に向けて照射するための照射スリットとを有する。
【0023】
X線管は、例えば金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成する。X線管は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(
図1のX方向)の平面上で直交する方向に設けられ、生成したX線を、下方のX線検出器4に向けて、長手方向に沿った照射スリットによりスクリーン状にして照射する。
【0024】
X線検出器4は、搬送される被検査物Wの搬送方向Xの平面上で搬送方向Xと直交する方向に複数の素子が一直線上に配置されたものである。さらに説明すると、X線検出器4は、ライン状に整列して配設された複数のフォトダイオードと、ライン状のフォトダイオード上に設けられたシンチレータとを備えてアレイ状に構成される。
【0025】
X線検出器4は、複数の素子(フォトダイオードとシンチレータのアレイ)によって被検査物Wおよび搬送ベルト2aを透過するX線を検出し、この検出した検出データを素子毎に複数の素子数を1ラインとして信号処理部6に順次出力し、被検査物Wの搬送に伴い順次出力を繰り返す。
【0026】
設定入力部5は、装置本体に設けられる例えばキー、押しボタン、スイッチ、表示部7の表示画面上のソフトキーなどで構成される。
【0027】
設定入力部5は、
図3(a)に示す被検査物Wの包装材Wa内での小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良の検査を行うにあたって、小袋Wbを抽出するための閾値、小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良の判定基準となる設定カウント値、設定面積、判定閾値を被検査物Wの品種や粉粒物Wcの種類などに応じて適宜設定して信号処理部6の後述する記憶手段11に記憶する際に操作される。
【0028】
また、設定入力部5は、搬送装置2の搬送ベルト2aの搬送速度の設定、検査対象となる被検査物Wの小袋Wbの大きさを示す外形サイズ(縦長さ、横長さ)を設定して信号処理部6の記憶手段11に記憶する際に操作される。
【0029】
信号処理部6は、被検査物Wを透過するX線の透過画像を2値化した2値化画像から小袋画像(粉粒物Wcを含む小袋Wbの画像)を生成し、この生成した小袋画像に基づいて小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良の有無を判定するもので、
図1に示すように、記憶手段11、画像形成手段12、重心算出手段13、傾き算出手段14、マスク領域設定手段15、漏れ不良判定手段16を含んで構成される。
【0030】
記憶手段11は、X線検出器4からの各被検査物W毎のX線透過データを記憶する。X線透過データは、X線検出器4からの電気信号を不図示のA/D変換器によりA/D変換して得られる。さらに説明すると、記憶手段11は、1つの被検査物Wの検査を行う毎に、X線検出器4の1ライン(Y方向)あたり例えば数百個のX線透過データを、少なくとも搬送される被検査物Wの搬送方向の長さ(前端から後端までの検出期間に相当)に対応した所定ライン数(例えば数百ライン)だけ格納する。
【0031】
画像形成手段12は、
図3(b)や
図4(b)に示すように、記憶手段11に記憶された被検査物WのX線透過データによる透過画像を小袋Wb(粉粒物Wcを含む)を抽出するための所定の閾値で2値化処理し、この2値化処理した2値化画像から所定の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像S1を生成する。これにより、包装材Wa内で小袋Wbから少量の粉粒物Wcが散在して漏れた被検査物Wを不良として判定するのを防いでいる。
【0032】
なお、画像形成手段12は、2値化画像における最大領域の塊のみを小袋画像S1として捉えるように塊を見つけるための2値化処理を行ってもよい。この2値化処理による最大領域(ラベリング後の最大面積)の塊からなる小袋画像S1は、ラベリング前にスムージングを行い、最大領域の塊の近傍の細かい塊を連結したり、消去して2値化画像の形を整える。
【0033】
重心算出手段13は、
図3(c)や
図4(c)に示すように、画像形成手段12にて生成した小袋画像S1のうち最大領域の塊からなる小袋画像S1の重心G1を算出する。また、傾き算出手段14は、画像形成手段12にて生成した小袋画像S1のうち最大領域の塊からなる小袋画像S1の傾き(楕円Cの長軸方向の角度)θを算出する。
【0034】
例えば
図3(c)や
図4(c)に示すように、最大領域の塊からなる小袋画像S1の4つの頂点P1,P2,P3,P4を通る楕円(円)Cを描き、描いた楕円(円)Cの長軸L1と短軸L2との交点を小袋画像S1の重心G1として算出する。なお、小袋画像S1の4つの頂点P1,P2,P3,P4を通る円Cの場合は、円Cの中心を小袋画像S1の重心G1として算出する。
【0035】
また、描いた楕円Cの重心G1を原点、搬送方向XをX軸、搬送方向Xと直交する方向をY軸として、長軸L1と短軸L2からX軸(搬送方向X)に対する小袋画像S1の傾きθを算出する。
【0036】
さらに、画像処理では、2値化画像のモーメントを用いて小袋画像S1の重心と傾きを求めることができる。
【0037】
一般的に、モーメントとは物体を回転させる力の大きさを表すが、これを画像の統計量として捉えて、特徴量抽出に利用することもできる。2値画像のモーメント特徴とは、画素の位置の重みづけをして合計した数値である。
【0038】
画像のモーメントは、一般的に下記式(1)で定義される(p+q)次のモーメントM(p,q)を用いて計算される。
【0040】
ここで、f
ijは画素値であり、対象の画素は1で、対象より外側のバックグランドは0である。重心座標(I,J)を決定する場合、I=M(1,0)/M(0,0)、J=M(0,1)/M(0,0)が用いられる。すなわち、重心算出手段14は、1次モーメントを用いて重心を求める(但し、面積は0次モーメント)。
【0041】
なお、1次モーメントを用いた重心座標(I,J)は、I=i方向の1次モーメント/0次モーメント(i方向の座標位置の合計/面積)、J=j方向の1次モーメント/0次モーメント(j方向の座標位置の合計/面積)である。
【0042】
主軸の方向を示すtanθは、対象画像が伸びている方向を表し、2次モーメントと相乗モーメントを用いた下記式(2)によって計算される。すなわち、傾き算出手段13は、下記式(2)を用いて傾きを求める。但し、M(2,0)=i方向の2次モーメント、M(0,2)=j方向の2次モーメント、M(1,1)=相乗モーメントである。
【0044】
マスク領域設定手段15は、
図3(d)や
図4(d)に示すように、設定入力部5にて設定された外形サイズの疑似領域からなる小袋Wbのマスク領域S2を、重心算出手段13にて算出した重心の位置と傾き算出手段14にて算出した傾きに対応させて小袋画像S1上に設定する。すなわち、マスク領域設定手段15は、小袋Wbのマスク領域S2の重心の位置が重心算出手段13にて算出した重心の位置と一致し、かつ小袋Wbのマスク領域S2の傾きが傾き算出手段14にて算出した傾きと一致するように、小袋Wbのマスク領域S2を小袋画像S1上に設定する。
【0045】
漏れ不良判定手段16は、マスク領域設定手段15にて設定されたマスク領域S2から外れる位置に小袋画像S1(粉粒物Wc)が存在するか否かにより小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れの有無を判定する。
【0046】
さらに説明すると、漏れ不良判定手段16は、マスク領域設定手段15にて設定されたマスク領域S2から外れる位置に存在する小袋画像S1の塊をラベリングしてその数をカウントし、カウント値が設定入力部5にて設定された設定カウント値以上のときに、小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ有りと判定する。
【0047】
また、漏れ不良判定手段16は、マスク領域設定手段15にて設定されたマスク領域S2からはみ出した小袋画像S1が存在すると、小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ有りと判定する。その際、マスク領域S2からはみ出した小袋画像S1の総面積が予め設定される設定面積を超えたときに、小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ有りと判定してもよい。
【0048】
さらに、漏れ不良判定手段16は、マスク領域設定手段15にて設定されたマスク領域S2から外れる位置の小袋画像S1において、予め設定入力部5にて設定される判定閾値を超える濃度の領域が存在すると、小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ有りと判定してもよい。
【0049】
表示部7は、例えば液晶表示器などの表示装置で構成され、小袋画像S1、小袋画像S1やマスク領域S2を含む被検査物Wの全体画像、判定結果に基づく被検査物Wを平面視したX線の透過画像、「OK」や「NG」の良否判定結果、総検査数、良品数、NG総数などの検査結果を設定入力部5の操作に基づいて表示画面に表示する。
【0050】
[X線検査方法]
そして、上記のように構成されるX線検査装置1を用いて被検査物Wの漏れ不良の有無を判定するX線検査方法について
図2のフローチャートおよび
図3、
図4を用いて説明する。
【0051】
まず、記憶手段11に記憶されたX線透過データによる透過画像(
図3(a)や
図4(a)に示す包装材Waを除く小袋Wbと粉粒物Wcの透過画像)を2値化処理した2値化画像から小袋画像S1を画像形成手段12にて生成する(ST1)。その際、2値化画像から所定の大きさ以下の小さい塊を除去する処理を行う。
【0052】
次に、重心算出手段13にて小袋画像S1の重心を算出するとともに、傾き算出手段14にて小袋画像S1の傾きを算出する(ST2)。例えば
図3(c)や
図4(c)に示すように、小袋画像S1の4つの頂点P1,P2,P3,P4を通る円(楕円)Cを描き、描いた円(楕円)Cの長軸L1と短軸L2から小袋画像S1の重心G1と傾きθを算出する。
【0053】
次に、マスク領域設定手段15は、
図3(d)や
図4(d)に示すように、予め設定入力部5にて設定された外形サイズの小袋Wbのマスク領域S2を小袋画像S1上に設定する(ST3)。その際、小袋Wbのマスク領域S2の重心G2の位置が重心算出手段13にて算出した重心G1の位置と一致し、かつ小袋Wbのマスク領域S2の傾きが傾き算出手段14にて算出した傾きθと一致するように、小袋Wbのマスク領域S2を小袋画像S1上に設定する。
【0054】
そして、漏れ不良判定手段16は、小袋Wbのマスク領域S2から外れる位置に小袋画像S1(粉粒物Wc)の塊が存在するか否かにより小袋Wbからの粉粒物Wcの漏れ不良を判定する(ST4)。例えば
図3(d)や
図4(d)の例では、小袋Wbのマスク領域S2から外れる位置に小袋画像S1による粉粒物Wcの塊が存在するので、粉粒物Wcの漏れ不良有りと判定する。
【0055】
このように、本実施の形態のX線検査装置及びX線検査方法では、2値化画像から所定の塊の大きさ以下の小さい塊を除去した小袋画像(粉粒物を収容した小袋の画像)を生成し、予め設定された外形サイズの小袋のマスク領域を、重心の位置と傾きが一致するように小袋画像上に設定し、マスク領域から外れた2値化画像の存在の有無により小袋からの粉粒物の漏れがあるか否かを判定する。これにより、製品の良否判断基準に応じて包装材内の内容物(粉粒物)の収容不良を判定でき、包装材内で小さい塊の粉粒物が分散した被検査物を不良として判別することがなく、従来よりも生産の歩留りを向上させて被検査物の検査を行うことができる。
【0056】
以上、本発明に係るX線検査装置およびX線検査方法の最良の形態について説明したが、この形態による記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、この形態に基づいて当業者等によりなされる他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれることは勿論である。