特許第6796053号(P6796053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796053エレベーター制御装置およびエレベーター制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796053
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】エレベーター制御装置およびエレベーター制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   B66B3/02 T
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-245851(P2017-245851)
(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公開番号】特開2019-112172(P2019-112172A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】井上 真輔
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/168619(WO,A1)
【文献】 特開2015−013731(JP,A)
【文献】 特開2003−118946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかごを駆動する電動機に設けられ、前記電動機の回転数を検出するパルス発生器からの信号に基づいて、前記乗りかごの位置を演算するかご位置演算部と、
前記乗りかごの位置を検出可能な前記パルス発生器とは異なる位置検出装置からの位置情報と、予め設けられた複数の絶対位置を示す補正点とに基づいて、前記乗りかごの絶対位置を演算するかご絶対位置演算部と、
補正点の絶対位置ごとに、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置に基づいて前記かご位置演算部で演算される位置を補正するかご位置補正部と
基準位置を検出するための基準位置検出装置からの信号に基づいて、前記乗りかごの基準位置に基づいて、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置を補正する基準位置補正部と、を備え
前記基準位置補正部は、前記かご絶対位置演算部による位置と前記かご位置演算部による位置との差分が異常判定値を超えると判定した場合、前記乗りかごが前記基準位置検出装置に向かうように制御を行う、
とを特徴とするエレベーター制御装置。
【請求項2】
かご位置演算部が、エレベーターの乗りかごを駆動する電動機に設けられ、前記電動機の回転数を検出するパルス発生器からの信号に基づいて、前記乗りかごの位置を演算する第1のステップと、
かご絶対位置演算部が、前記乗りかごの位置を検出可能な前記パルス発生器とは異なる位置検出装置からの位置情報と、予め設けられた複数の絶対位置を示す補正点とに基づいて、前記乗りかごの絶対位置を演算する第2のステップと、
かご位置補正部が、補正点の絶対位置ごとに、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置に基づいて前記かご位置演算部で演算される位置を補正する第3のステップと、
基準位置補正部が、基準位置を検出するための基準位置検出装置からの信号に基づいて、前記乗りかごの基準位置に基づいて、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置を補正する第4のステップと、を含み、
前記基準位置補正部が、前記かご絶対位置演算部による位置と前記かご位置演算部による位置との差分が異常判定値を超えると判定した場合、前記乗りかごが前記基準位置検出装置に向かうように制御を行う、
ことを特徴とするエレベーター制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベーター制御装置およびエレベーター制御方法に関し、例えば電動機の回転数を検出するパルス発生器からの信号に基づいて、乗りかごの位置を演算するエレベーター制御装置およびエレベーター制御方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかごを駆動する電動機には、電動機の回転数を検出するパルス発生器が設置されている。パルス発生器より、間接的に乗りかごの位置および速度を検出し、速度制御を行っている。また、昇降路において停止階および他の任意の位置に位置検出板を設け、乗りかごに設置された位置検出板検出器を通るごとに、パルス発生器による位置を補正している。
【0003】
近年、ガバナ(調速機)に設置されたパルス発生器で、乗りかごの着床位置を検出する技術が開示されている(特許文献1参照)。走行中に位置検出板を検出するごとに、ガバナのパルス発生器による位置を補正し、着床誤差の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/103968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルス発生器による位置を補正するために必要な位置検出板は、各階床に設けられるため、ビルの高さが高くなるほど、設置するのに手間がかかる。また、経年でビルが縮むと、位置検出板の初期計測値に誤差が生じ、パルス発生器による位置を誤補正する可能性がある。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、位置検出板を設置しなくても、乗りかごの高精度な着床位置制御ができるエレベーター制御装置等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、エレベーターの乗りかごを駆動する電動機に設けられ、前記電動機の回転数を検出するパルス発生器からの信号に基づいて、前記乗りかごの位置を演算するかご位置演算部と、前記乗りかごの位置を検出可能な前記パルス発生器とは異なる位置検出装置からの位置情報と、予め設けられた複数の絶対位置を示す補正点とに基づいて、前記乗りかごの絶対位置を演算するかご絶対位置演算部と、補正点の絶対位置ごとに、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置に基づいて前記かご位置演算部で演算される位置を補正するかご位置補正部と、を設けるようにした。
【0008】
また本発明においては、かご位置演算部が、エレベーターの乗りかごを駆動する電動機に設けられ、前記電動機の回転数を検出するパルス発生器からの信号に基づいて、前記乗りかごの位置を演算する第1のステップと、かご絶対位置演算部が、前記乗りかごの位置を検出可能な前記パルス発生器とは異なる位置検出装置からの位置情報と、予め設けられた複数の絶対位置を示す補正点とに基づいて、前記乗りかごの絶対位置を演算する第2のステップと、かご位置補正部が、補正点の絶対位置ごとに、前記かご絶対位置演算部で演算される絶対位置に基づいて前記かご位置演算部で演算される位置を補正する第3のステップと、を設けるようにした。
【0009】
上記構成によれば、補正点ごとにパルス発生器の位置を補正することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高精度な着床位置の制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態によるエレベーターの全体構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態による補正位置データの一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態による補正処理に係る処理手順の一例を示す図である。
図4】第2の実施の形態によるエレベーターの全体構成の一例を示す図である。
図5】第2の実施の形態による補正処理に係る処理手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)第1の実施の形態
図1は、第1の実施の形態によるエレベーターの全体構成の一例を示す。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態によるエレベーターでは、主ロープ5の一端にエレベーターの乗りかご1が接続され、主ロープ5の他端につりあい錘8が接続され、主ロープ5は、電動機6に巻きかけられている。電動機6が駆動することで乗りかご1が昇降路9内を昇降する。
【0015】
電動機6の回転による乗りかご1の上昇および下降は、エレベーター制御装置10により制御される。
【0016】
ここで、エレベーター制御装置10は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置を備える制御装置である。例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより、エレベーター制御装置10の機能(かご位置演算部11、かご絶対位置演算部12、かご位置補正部13、位置検出器異常判定部14、かご速度制御部15等)を実現する。なお、CPUに代えてASIC(Applied Specific Integrated Circuit)を使用してもよい。
【0017】
電動機6には、電動機6の回転に同期したパルスを出力(電動機6の回転数を検出)するパルス発生器7が取り付けられている。パルス発生器7で発生したパルスは、かご位置演算部11に入力される。かご位置演算部11は、パルス発生器7が出力したパルス数をカウントし、乗りかご1の位置(かご位置データ)を演算し、かご位置データをかご速度制御部15に通知する。かご速度制御部15は、かご位置データを用いて電動機6に速度指令を出す。
【0018】
ここで、かご位置演算部11において、上昇時はパルス数を加算し、降下時はハルス数を減算する構成とし、例えば、最下階を基準値(0mm、0パルス)として乗りかご1が出発した場合、乗りかご1が昇降して最下階に戻ってきたとき、原理的には、基準値(0mm、0パルス)となる。しかしながら、例えば、主ロープ5と電動機6との間でスリップが発生した場合(電動機6が回転したけれども主ロープ5が移動しなかった場合)、乗りかご1が昇降して最下階に戻ってきた場合、現在値(0mm、2パルス等)となり、かご位置演算部11により演算される位置が不正確になってしまう。そこで、本実施の形態では、後述するように、補正点ごとに、パルス発生器7を用いて検出した位置の補正を行う。
【0019】
より具体的には、乗りかご1には、ガバナロープ2が接続され、ガバナ3に巻きかけられている。ガバナ3には、ガバナロープ2の移動(ガバナの回転)に同期したパルスを出力(ガバナの回転数を検出)するガバナ用パルス発生器4が取り付けられている。ガバナロープ2には、乗りかご1が接続されているので、ガバナ用パルス発生器4が出力するパルスは、乗りかご1の昇降に同期したパルスになる。
【0020】
ここで、ガバナ用パルス発生器4を用いる場合、なるべく測定誤差が小さくなるように、ガバナロープ2としては、伸縮量が小さく、またガバナロープ2とガバナ3間のスリップが小さくなるものを採用する。
【0021】
ガバナ用パルス発生器4が出力したパルスは、かご絶対位置演算部12に入力される。かご絶対位置演算部12は、図2に示す補正位置データ16に基づいて補正点を決定し、乗りかご1の絶対位置を演算する。
【0022】
ここで、補正位置データ16は、補正点の位置を示すデータであり、エレベーター制御装置10の記憶装置に記憶されている。補正点は、任意に設定できる。例えば、各階床の一定距離の手前に補正点を設けてもよいし、所定の間隔(8m、4m等)で補正点を設けてもよいし、その他の位置に補正点を設けてもよい。
【0023】
例えば、かご絶対位置演算部12は、ガバナ用パルス発生器4のパルス数をカウントし、カウントしたパルス数に対応する位置が移動距離「X」となったと判定した場合、移動距離「X」を示す信号(補正位置情報)をかご位置補正部13に通知する。
【0024】
かご絶対位置演算部12が演算した補正位置情報は、かご位置補正部13に入力される。かご位置補正部13は、補正位置情報に基づいてかご位置演算部11による位置を補正する。かかる構成により、かご速度制御部15は、かご位置演算部11から補正後のかご位置データを受け取り、補正後のかご位置データに基づいて電動機6に速度指令を出すことができる。
【0025】
また、パルス発生器7による位置とガバナ用パルス発生器4による位置とは、位置検出器異常判定部14に入力される。位置検出器異常判定部14は、両者の差分をとり、異常判定値を超えると判定(異常(予兆)を検出)した場合、以降補正を行わないようにかご位置補正部13に指示する。
【0026】
図3を用いて、エレベーター制御装置10が実行する補正処理について説明する。
【0027】
まず、かご絶対位置演算部12は、ガバナ用パルス発生器4のパルス数に対応する位置が補正点であるか否かを判定する(ステップS11)。かご絶対位置演算部12は、補正点であると判定した場合、補正位置情報をかご位置補正部13に通知し、ステップS12に処理を移し、補正点でないと判定した場合、ステップS11に処理を戻す。
【0028】
ステップS12では、かご位置補正部13は、パルス発生器7を用いて検出した位置を補正する。より具体的には、かご位置補正部13は、補正位置情報に基づいて、パルス発生器7が出力したパルス数をカウントするためのパルス数カウンタ(カウンタ値)を補正する。例えば、かご位置補正部13は、補正点の位置Xを示す補正位置情報を受け取った場合、補正点の位置Xに対応するパルス数をパルス数カウンタにセットする。
【0029】
続いて、位置検出器異常判定部14は、パルス発生器7による位置とガバナ用パルス発生器4による位置との差分が予め設けられた異常判定値を超えるか否かを判定する(ステップS13)。位置検出器異常判定部14は、異常判定値を超えると判定した場合、ステップS14に処理を移し、異常判定値を超えないと判定した場合、ステップS11に処理を移す。
【0030】
ステップS14では、位置検出器異常判定部14は、パルス発生器7を用いて検出した位置の補正を行わないようにかご位置補正部13に指示する。
【0031】
上述の実施の形態においては、乗りかご1の絶対位置を検出する位置検出装置(方法)として、ガバナ3に取り付けられたガバナ用パルス発生器4を用いる場合を例に挙げて説明したが、乗りかご1の絶対位置を検出する方法は、これに限られるものではない。
【0032】
例えば、乗りかご1の絶対位置を連続して検出可能なように最下階から最上階まで昇降路9内に磁気テープを貼り付け、乗りかご1に設置した検出器で読み取る方法を採用してもよい。
【0033】
また、例えば、昇降路9内にバーコードを貼り付け、乗りかご1に設置した検出器で読み取る方法を採用してもよい。
【0034】
また、例えば、乗りかご1に撮像装置を設置し、撮像装置で撮像される画像の解析を行って絶対位置を検出する方法を採用してもよい。
【0035】
上述した構成では、補正点ごとに、パルス発生器7とは異なる位置検出装置を用いて検出した絶対位置に基づいてパルス発生器7を用いて検出した位置を補正するので、位置検出板を設置しなくても、乗りかご1の高精度な着床位置制御ができる。
【0036】
(2)第2の実施の形態
図4は、第2の実施の形態によるエレベーターの全体構成の一例を示す。
【0037】
本実施の形態では、ガバナ用パルス発生器4の誤差が無視できない場合に誤差を解消するための基準位置検出装置21が端階など任意の位置に取り付けられている。例えば、ガバナ用パルス発生器4の誤差の有無は、製品の出荷時の試験で判定される。本実施の形態では、第1の実施の形態と異なる構成について主に説明する。
【0038】
エレベーター制御装置10は、基準位置補正部22を備える。基準位置補正部22は、一定時間、エレベーターの呼びがないときに、乗りかご1が自動で基準位置検出装置21に向けて走行して位置を補正する処理を行う。例えば、基準位置補正部22は、乗りかご1が基準位置検出装置21に接したとき、かご絶対位置演算部12のパルス数カウンタを基準位置(例えば、0mm)に対応した値(例えば、0バルス)にセットする。
【0039】
また、基準位置補正部22は、基準位置に基づく補正後の一定時間内に、再度、異常判定値を超えたと判定した場合、異常発報し、乗りかご1の運転を休止する処理などを行う。
【0040】
図5は、本実施の形態における補正処理に係る処理手順の一例を示す図である。ステップS11〜ステップS13までの処理は、第1の実施の形態で説明したものと同じであるので、その説明を省略する。
【0041】
ステップS21では、基準位置補正部22は、前回の補正から一定時間経過したか否かを判定する。基準位置補正部22は、一定時間を経過したと判定した場合、ステップS22に処理を移し、一定時間を経過していないと判定した場合、ステップS23に処理を移す。
【0042】
ステップS22では、基準位置補正部22は、基準位置補正フラグをオンにセットし、ステップS11に処理を移す。なお、基準位置補正フラグは、異常を検出したことにより、基準位置を用いた補正が必要となっているか否かを示すフラグである。基準位置補正フラグがオンである場合は、後述するように、乗りかご1の乗客全員が降車後、遅滞なく、基準位置に基づいて補正が行われる。
【0043】
ステップS23では、基準位置補正部22は、異常発報し、乗りかご1の運転を休止する制御を行う。
【0044】
ステップS24では、基準位置補正部22は、基準位置補正フラグがオンであるか否かを判定する。基準位置補正部22は、基準位置補正フラグがオンであると判定した場合、ステップS25に処理を移し、基準位置補正フラグがオフであると判定した場合、ステップS28に処理を移す。
【0045】
ステップS25では、基準位置補正部22は、乗りかご1に乗客がいるか否かを判定する。基準位置補正部22は、乗りかご1に乗客がいると判定した場合、ステップS11に処理を移し、乗りかご1に乗客がいないと判定した場合、ステップS26に処理を移す。
【0046】
ステップS26では、基準位置補正部22は、基準位置補正フラグをオフにセットし、ステップS27に処理を移す。
【0047】
ステップS27では、基準位置補正部22は、基準位置に基づいて補正を行う。より具体的には、基準位置補正部22は、乗りかご1を基準位置検出装置21に向かうように制御を行い、基準位置検出装置21が乗りかご1に接したことを検知した信号を受け取ると、かご絶対位置演算部12のパルス数カウンタを基準位置に対応した値にセットする。
【0048】
ステップS28では、基準位置補正部22は、一定時間、エレベーターの呼びがないか否かを判定する。基準位置補正部22は、エレベーターの呼びがないと判定した場合、ステップS27に処理を移し、エレベーターの呼びがあると判定した場合、ステップS11に処理を移す。
【0049】
上述した構成によれば、ガバナ用パルス発生器4の誤差が無視できない場合であっても、基準位置に基づいて補正を行うことで、乗りかご1の高精度な着床位置制御ができる。
【0050】
また、パルス発生器7による位置とガバナ用パルス発生器4による位置との差分が異常判定値を超える(異常)と判定した場合、基準位置に基づいて補正を行うことで、より適切に乗りかご1の着床位置制御ができる。
【0051】
また、パルス発生器7による位置とガバナ用パルス発生器4による位置との差分が異常判定値を超える(異常)と判定したとしても、前回の補正から一定時間を経過したかを加味することで、その異常が一時的な要因である場合は継続して補正点に基づく補正を行えるようになるので、より適切に乗りかご1の着床位置制御ができる。
【0052】
(3)他の実施の形態
なお上述の第1及び第2の実施の形態においては、本発明をエレベーター制御装置10に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のエレベーター制御装置に広く適用することができる。
【0053】
また上述の実施の形態においては、かご位置補正部13は、パルス発生器7が出力したパルス数をカウントするためのパルス数カウンタを補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、かご位置補正部13は、補正に必要なデータ(パルス数)をかご位置演算部11に通知するようにしてもよい。
【0054】
この場合、かご位置演算部11は、補正を反映した位置データを演算してかご速度制御部15に通知しもよいし、位置データと補正位置データとを演算してかご速度制御部15に通知してもよい。なお、かご速度制御部15に位置データと補正位置データとが通知される場合は、かご速度制御部15は、位置データと補正位置データとを加味して電動機6に速度指令を出す。この場合は、位置検出器異常判定部14は、異常を検出したとき、以降補正を行わないようにかご速度制御部15に指示するようにしてもよい。
【0055】
また上述の実施の形態においては、基準位置補正フラグがオンであり、乗りかご1に乗客がいないときに、乗りかご1が自動で基準位置検出装置21に向けて走行して補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、基準位置補正フラグを設けることなく、乗客全員が乗りかご1を降りたときに、乗りかご1が自動で基準位置検出装置21に向けて走行して補正するようにしてもよい。
【0056】
また上述の実施の形態においては、ガバナ用パルス発生器4の誤差が無視できない場合に基準位置に基づく補正を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ガバナ用パルス発生器4の誤差の大きさにかかわらず、基準位置に基づく補正を行うようにしてもよい。
【0057】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0058】
また、上記の説明において各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0059】
1……乗りかご、2……ガバナロープ、3……ガバナ、4……ガバナ用パルス発生器、5……主ロープ、6……電動機、7……パルス発生器、8……つりあい錘、9……昇降路、10……エレベーター制御装置、11……かご位置演算部、12……かご絶対位置演算部、13……かご位置補正部、14……位置検出器異常判定部、15……かご速度制御部。
図1
図2
図3
図4
図5