特許第6796064号(P6796064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796064双方向および同時通信システムならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796064
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】双方向および同時通信システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/49 20060101AFI20201119BHJP
   H04L 5/14 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H04L25/49 H
   H04L5/14
   H04L25/49 K
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-527362(P2017-527362)
(86)(22)【出願日】2015年11月3日
(65)【公表番号】特表2018-501701(P2018-501701A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】FR2015052965
(87)【国際公開番号】WO2016079397
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年5月25日
(31)【優先権主張番号】14/61184
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517182044
【氏名又は名称】ペランク ソシエテ パール アクシオン サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】PELLENC Societe par actions simplifiee
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ペランク,ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】ロペ,ベルナール
【審査官】 原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0078019(US,A1)
【文献】 特表2011−524678(JP,A)
【文献】 特開平08−265308(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00783994(EP,A1)
【文献】 特開2007−142914(JP,A)
【文献】 特表2007−511999(JP,A)
【文献】 特開2010−068802(JP,A)
【文献】 特開昭51−081502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/49
H04L 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機器(10)と第1の機器に接続された第2の機器(20)との間での、単芯の導線を有する伝送ライン(32)による双方向通信システムであって、該システムは、伝送ラインに出力される伝送信号のパルス幅変調によって第1の機器から第2の機器に向かってデータ(DATA1、DATA2)を伝送する手段(12、22)と、前記伝送信号の振幅変調によって第2の機器から第1の機器に向かってデータ(DATA3)を伝送する手段(26、52)とを含むシステムであり、第1の機器から第2の機器に向かってデータを伝送する手段が、少なくとも1つの第1のデジタルデータ(DATA1、DATA2)に応じてパルス幅変調された伝送信号を生成することのできる第1の変調器(12)を含み、第1の変調器は第1の機器(10)内に位置しており、第1の変調器は、伝送信号の高位状態(T1)と低位状態(T2)のうちの一方のパルス幅によって第1のデジタルデータ(DATA1)をコーディングし、伝送信号の周数によって第2のデジタルデータ(DATA2)をコーディングすることができることを特徴とするシステム。
【請求項2】
伝送手段がさらに、伝送信号から前記デジタルデータ(DATA1、DATA2)を抽出することのできる第1の復調器(22)を含み、復調器(22)は第2の機器(20)内に位置していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第1の変調器(12)が、伝送信号の高位状態(T1)のパルス幅によって第1のデジタルデータ(DATA1)をコーディングすることができることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
第2の機器から第1の機器に向かってデータを伝送する手段が、第3のデジタルデータ(DATA3)に応じて伝送信号の振幅を修正することのできる第2の変調器(26)を含み、第2の変調器(26)は、第2の機器(20)内に位置し、伝送手段はさらに、伝送信号から前記第3のデジタルデータ(DATA3)を抽出するための第2の復調器(52)を含み、第2の復調器(52)は、第1の機器(10)内に位置していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項5】
第2の変調器(26)が、断続器を形成し第3のデジタルデータに応じて駆動される制御トランジスタと直列に、伝送ラインの負荷抵抗(23)を含んでいることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
伝送信号が、伝送信号の振幅変調周波数以上の周波数を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
伝送信号上で伝送信号の振幅変調を同期するための同期ユニット(24)を含む、請求項1から6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
第1の機器が、電動工具(68)、および該工具に結びつけられた遠隔給電ユニットのうちの一方であり、第2の機器が、電動工具、および該工具に結びつけられた遠隔給電ユニットのうちの他方であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
第1の機器(10)が、剪定鋏、シャー、チェーンソー、ヘッジトリマー、ブロワーおよびブラッシュカッターの中から選択されるポータブル式電動工具であり、第2の機器(20)が、多芯の導線を有するケーブル(90)によって工具に接続された遠隔給電ユニットであり、ケーブルが、伝送ライン(32)を形成する1本の導線を含むことを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
工具は、給電ユニットに制御データを伝送するために第1の変調器(12)に接続された第1の制御インターフェース(64)を有し、給電ユニットは、制御データを受信するために第1の復調器(22)に接続された電子ボード(80)を含み、電子ボードは、制御データに応じて電動機(68)用の少なくとも1つの供給電流を制御するように構成され、ボードはさらに、供給電流を電動機に供給するため多芯の導線を有するケーブル(90、92)により電動機(80)に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
工具(10)の第1の制御インターフェース(64)についての動作に対応するデータ、および給電ユニット(20)の第2の制御インターフェース(84)についての動作に対応するデータのうちの少なくとも一方を伝送するために使用される請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
多芯の導線を有するケーブル(90)が、第1の機器(10)の少なくとも1つの電子ボード(68、63)への給電のための2本の電線(34、35)をさらに含むことを特徴とする、請求項9から11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
多芯の導線を有するケーブル(90)が、電動機への給電用の3本の導線(92)をさらに含むことを特徴とする、請求項9から12のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項14】
剪定鋏と剪定鋏用給電ユニットとの間の信号交換を目的とし、第1のインターフェース(64)が、剪定鋏の刃(66)の移動振幅制御および刃の移動方向制御のうちの少なくとも一方の制御のデータ収集を行うように構成されており、第2のインターフェース(84)は、電圧印加制御および剪定鋏の作動モードの変更制御のうちの少なくとも一方のデータ収集を行うように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
第1の機器(10)と、第1の機器に接続された第2の機器(20)との間での、単芯の導線を有する伝送ライン(32)による通信方法であって、伝送ラインに出力される伝送信号のパルス幅にるデータ(DATA1、DATA2)を第1の機器(10)から第2の機器(20)に向かって伝送し、前記伝送信号の振幅変調によって第2の機器(20)から第1の機器(10)に向かってデータを伝送し、さらに、伝送信号の周波数にるデータ(DATA2)を第1の機器(10)から第2の機器(20)に向かって伝送することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線で接続された2つの機器間での信号交換による、双方向および同時通信システムならびに方法に関する。本発明は、特に工具、詳細には遠隔給電の備わった自律式ポータブル電動工具に応用される。この場合、工具は機器の一方を構成し、給電ユニットが第2の機器を構成する。
【0002】
本発明は、異なる利用分野、詳細には建設、緑地の維持、ブドウ栽培、樹木栽培および園芸の分野におけるポータブル式電動工具に対して実施可能である。本発明は、自律性が高く高出力の給電を備えた業務用工具に特に有用である。本発明の極めて特定的な利用分野は、剪定または収穫作業用の手持ち式で遠隔給電付きの電気剪定鋏に関係する。
【0003】
最後に、本発明は、異なる電動工具に接続され得る汎用給電ユニットに応用される。
【背景技術】
【0004】
電話網などの電気接続ケーブルを用いる規格化された双方向および同時通信システム、ならびにRS232、USBまたはCANなどの情報処理または産業において利用されるシステムは公知である。これらの異なるシステムの同時通信は、接続用電気ケーブルの少なくとも2本の電線を介して伝送される。
【0005】
本発明は、概して、あらゆる双方向および同時通信システムに適用可能であるものの、現状技術は、電動工具とその給電の間の通信ニーズが増々増大しつつある電動工具類の分野、特に遠隔給電を有する電動工具におけるその主な利用を基準にして説明されている。
【0006】
遠隔給電とは、工具の本体内にも工具に直接連結されたケース内にも位置しない給電のことである。遠隔給電は、電気ケーブルを用いて工具に接続されている。典型的には、遠隔給電式工具は、ベルトまたは背中に担持され得る給電ユニットを利用できる。ケーブルの長さは可変的であるが、給電ユニットを手に持った工具に接続するのに充分なものである。
【0007】
仏国特許発明第2862558号明細書および仏国特許出願公開第2033742号明細書から、遠隔給電を備えた自律式のポータブル工具が公知である。
【0008】
複数の導線を有する電気ケーブルが、給電ユニットと工具を接続する。ケーブルは、工具の電動機に給電するための電線を含む。これは例えば、三相電動機の給電のための3本の電線である。同様にケーブルは、工具の電子ボードまたは電子コンポーネントに給電するための電線も含むことができる。最後に、ケーブルは、工具とエネルギー供給ユニットの間の情報交換のための1本または複数の電線を含むことができる。
【0009】
工具は、給電ユニットと全く同様に、工具の機能の管理、ユーザー制御の管理、エネルギー使用の管理、接続された機器間の相互識別などを目的として、電子ボードを備えることができる。工具およびバッテリの作動を良好に調整させるため、これらの電子ボードは、概してデジタルデータの形で情報を相互に交換するための通信インターフェースを含む。
【0010】
工具類の進化およびその改良は、交換されるデータ量の増加傾向を伴う。
【0011】
データ交換に対する制限要因は、ケーブル内で利用可能な電線または導線の数に関係する。ところが、優れた可撓性および高い信頼性が保たれるようにするため、ケーブルは制限された数の電線しか含まないことが好ましい。こうして、信号交換に割当てることのできる電線の数は削減される。これは、特に単芯であることが考えられる。しかしながらこの単芯は、現状技術においては同時ではなく逐次的な通信しか可能にしない。
【0012】
少なくとも一部の工具について、工具から給電ユニットに向かっておよび給電ユニットから工具に向かって情報を同時に伝送できる必要があることに第2の問題点が存在する。これは、優先的に伝送される必要のあるセキュリティデータにとって極めて重要である。
【0013】
最後の問題点は、伝送される信号の電磁擾乱に関係する。このような擾乱は、本発明の利用分野の如何に関わらず遭遇する可能性のある問題である。しかしながらこれは、電動機の位相の切替え、そしてより一般的にはその作動に固有の擾乱を理由として、電動工具の分野においては重大な問題である。
【0014】
単芯の導線上での情報の通信のためには、複数のタイプの接続を企図することができる。アナログ接続は、単純な方法で情報を伝送するための公知の最も古い方法である。これは極めて堅固で、電磁擾乱に対する感応性が低い可能性があるが、それは低い通過帯域の場合だけであり、そのとき、伝送される情報の重大な改変無く擾乱を容易にろ過することができる。しかしながらアナログ接続は、一方では高い通過帯域および電磁擾乱の存在を伴う情報伝送のみならず、工具から給電ユニットに向かっておよびその逆での情報の同時伝送にも適していない。
【0015】
例えばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter(汎用非同期送受信回路))タイプのシリアルデジタル接続が、例えば個別のコンピュータの分野において、コンピュータのシリアルポートからライン上でビット毎に情報を伝送するために一般的に使用されている。この接続には、アナログ接続に比べて独立性のある複数の情報を伝送できるという利点があるが、単芯の導線上での同時双方向通信を可能にするものではない。
【0016】
PWM(Pulse Width Modulation(パルス幅変調))またはフランス語のMLI(Modulation de Largeur d’Impulsion)の呼称で知られている別のタイプのシリアル接続は、定周波数で論理信号を生成するという原理のものであるが、そのデューティ比は、伝送したいアナログ値に応じてデジタル制御される。これは、高い通過帯域の場合の電磁擾乱に対する優れた堅固性を有しながら、アナログ接続の単純さを活用する。しかしながらこれは、その作動原理自体からみて、UARTタイプのデジタルシリアル接続の精度を可能にするものではない。UARTタイプまたはアナログタイプの接続と同様にPWM接続もまた、単芯の導線上での同時双方向通信を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】仏国特許発明第2862558号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第2033742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、以上で言及したシステムの制限を有していない双方向通信のシステムならびに方法を提案することを目的とする。詳細には本発明は、大量のデータを伝送することができかつ2つの機器間でデータを同時に伝送することのできる、電磁擾乱に対する優れた不感性を有する通信接続を提供することを目的とする。
【0019】
要するに、本発明は、ポータブル式電動工具とこの工具に結びつけられた遠隔給電ユニットの間の通信に適応されたこのようなシステムを提供することを目的とする。詳細には目的は、単芯の導線を有するデータ伝送ラインでの通信に適応されたシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的および明細書中に記載の他の目的を達成するため、本発明は、第1の機器と第1の機器に接続された第2の機器との間での、単芯の導線を有する伝送ラインによる双方向通信システムを提案するものであり、該システムは、伝送ラインに出力される伝送信号のパルス幅変調によって第1の機器から第2の機器に向かってデータを伝送する手段と、前記伝送信号の振幅変調によって第2の機器から第1の機器に向かってデータを伝送する手段とを含むシステムであって、第1の機器から第2の機器に向かってデータを伝送する手段が、少なくとも1つの第1のデジタルデータに応じてパルス幅変調された伝送信号を生成することのできる第1の変調器を含み、第1の変調器は第1の機器内に位置しているものである。本発明によると、第1の変調器は、伝送信号の高位状態と低位状態のうちの一方の幅変調によって第1のデジタルデータをコーディングし、伝送信号の周期変調または周波数変調それぞれによって第2のデジタルデータをコーディングすることができる。
【0021】
単芯の導線を有する伝送ラインとは、第1および第2の機器間で同時かつ双方向であり得る通信のために単芯の導線が使用され、この単芯の導線がこの双方向通信に十分なものである伝送ラインを意味する。ただし、これは第1および第2の機器間の他の導線または電線の有無を判断させるものではない。詳細には、複数の伝送ラインを有する通信システムを企図することができる。
【0022】
本発明によって、双方向通信は実際、伝送ラインの同一の電線または同一の導線上で同時のものとなり得る。信号のパルス幅、周波数または周期は、第1の機器から第2の機器に向かうデータ伝送のために変調される。しかし、同時に、第2の機器から第1の機器に向かうデータ伝送のために、信号の振幅を変調させることもできる。
【0023】
本発明の通信システムの通信は、第1の機器から第2の機器に向かうデータ転送については、PWMタイプの接続と類似している。この通信は、第2の機器から第1の機器に向かうデータ転送については、UARTタイプの接続と類似している。
【0024】
第1の機器から第2の機器に向かうデータの伝送は、第2の機器から第1の機器に向かって伝送されるデータの存在に依存しない。実際、第2の機器から第1の機器に向かって伝送されるデータが不在である場合、伝送信号は単に振幅が変調されないだけである。
【0025】
同様に、第2の機器は伝送信号を用いてその振幅を変調するものの、第2の機器から第1の機器に向かうデータ伝送は、第1の機器から第2の機器に向かうデータ伝送に依存しない。実際、第1の機器は、伝送すべきデータが無い場合、変調されない伝送信号を生成するように構成され得る。例えば、これは、連続する高位および低位状態の幅が一定である固定信号である。このとき、この信号は、振幅変調のためおよび第2の機器から第1の機器に向かう通信の同期のために使用される。
【0026】
以上で指摘したように、第1の機器から第2の機器に向かってデータを伝送する手段は、少なくとも1つの第1のデジタルデータに応じてパルス幅変調された伝送信号を生成することのできる第1の変調器を含み、第1の変調器は第1の機器内に位置している。伝送手段はさらに、伝送信号から前記デジタルデータを抽出することのできる第1の復調器を含み、復調器は第2の機器内に位置している。
【0027】
有利にも、第1の変調器は、伝送信号上の2つの情報を同時にコーディングするように設計され得る。例えば、第1の変調器は、伝送信号のパルスの高位状態上に第1のデジタルデータをコーディングするため、かつ伝送信号のパルスの低位状態上に第2のデジタルデータをコーディングするために設計され得る。この場合、高位状態の持続時間および低位状態の持続時間は、第1および第2のデータに対応し得る。
【0028】
その上、第1の変調器は、伝送信号の高位状態および低位状態のうちの一方に第1のデジタルデータをコーディングするため、および伝送信号の変調の周期または周波数上それぞれに第2のデジタルデータをコーディングするために設計されている。換言すると、変調の周期の持続時間または周波数の値は、伝送すべきデータの値に相関され得る。一例として、変調周期または周波数の第1の値は、第1の状態を反映するデータに対応することができ、変調周期または周波数の第2の値は、第2の状態を反映するデータに対応し得る。
【0029】
変調周期上にデータをコーディングすることは、伝送信号の変調周波数上にデータをコーディングすることに立ち戻るということを指摘しておくことが適切である。異なる複数の変調周波数には、伝送すべき複数の異なるデータか、または同じデータの複数の値が対応し得る。
【0030】
伝送信号の変調周期とは、信号の高位状態とそれに続く低位状態とで形成される1回の交番の持続時間のことである。変調周波数は、変調周期の逆数である。
【0031】
また、「第1のデータ」および「第2のデータ」なる表現は、交換される異なるデータを区別することを目的とし、データが単一であることを意味しない。変調器は多くのデータを伝送することが了解されている。こうして、第1および第2のデータは、データストリームとして理解され得る。
【0032】
第2の機器から第1の機器に向かってデータを伝送する手段は、第3のデジタルデータに応じて伝送信号の振幅を修正することのできる第2の変調器を含むことができる。第2の変調器は、第2の機器内に位置する。この場合、伝送信号の第3のデジタルデータを抽出するための第2の復調器が備えられ、第2の復調器は、第1の機器内に位置している。
【0033】
「第1のデータ」および「第2のデータ」なる表現にならって、「第3のデータ」なる表現は、必ずしも単一のデータを意味せず、むしろデータストリームを意味する。
【0034】
第2の変調器の特定の実施形態において、この第2の変調器は、第1および第2のデータの信号と同期され第3のデジタルデータに応じて駆動される、例えばトランジスタなどの制御用断続器と直列に負荷抵抗を含むことができる。この負荷抵抗は、伝送ラインに接続されて、その負荷を修正する。断続器が閉じられているかまたは開放されているかによって、負荷抵抗は、例えばアース電圧などの基準電圧に接続された状態またはされていない状態にある。負荷抵抗が基準電圧に接続されている場合、すなわち断続器が閉鎖されている場合、負荷抵抗は伝送ラインの抵抗と直列状態にある。負荷抵抗は、この直列抵抗と共に、伝送信号を減衰させる分配器ブリッジを形成する。断続器が開放されている場合、負荷抵抗は浮動的であり、伝送信号を減衰させない。
【0035】
好ましくは、第1の機器から第2の機器に向かう伝送信号の可変的であり得る周波数は、その振幅変調周波数以上である。
【0036】
一方、伝送信号の振幅変調は、伝送信号上で同期され得る。詳細には、振幅変調は、伝送信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジ上で同期され得る。
【0037】
電磁擾乱に対する通信システムの不感性を増強するために、この通信システムは、伝送ラインに接続された低域通過型フィルターを含み得る。フィルターの遮断周波数は、好ましくは、伝送信号の周波数を上回るように、そして除去すべき電磁擾乱についての標的周波数よりも低くなるように調整される。
【0038】
本発明の特定の利用分野、すなわち工具類の分野において、第1の機器は、電動工具、および該工具に結びつけられた遠隔給電ユニットのうちの一方であり得る。この場合、第2の機器は、電動工具、および該工具に結びつけられた遠隔給電ユニットのうちの他方である。
【0039】
工具から給電ユニットに向かう制御は概して、それが工具の作動またはセキュリティ機能に関するものであるかぎりにおいて、優先的かつ高速の制御である。逆に、給電ユニットから工具に向かう制御は概して、より優先度の低い、またはより低速のものである。こうして、工具から給電ユニットに向かうデータの転送のためには振幅の幅変調により通信を割り当て、給電ユニットから工具に向かうデータの転送のためには振幅の変調によって通信を割り当てることが好ましい。
【0040】
本発明の特定の一利用分野において、第1の機器は好ましくは、剪定鋏、シャー、チェーンソー、ヘッジトリマー、ブロワーおよびブラッシュカッターの中から選択されるポータブル式電動工具であり得る。第2の機器はこのとき、多芯の導線を有するケーブルによって工具に接続された遠隔給電ユニットである。ケーブルは、特に伝送ラインを形成する単芯の導線を含む。給電ユニットは、所与の工具に特定的であり得るか、または異なる工具に適応され得る。
【0041】
特定の一構成において、工具は、工具から給電ユニットに向って制御データを伝送するために第1の変調器に接続された第1の制御インターフェースを有し得る。第1のインターフェースは、例えばトリガまたはハンドルを含む。給電ユニットは、制御データ、温度などの他のパラメータ、あるいはディスプレイまたは音響警報装置を介してユーザーに向けられる工具の作動構成などの情報に応じて、例えば電動機の供給電流などを制御するための電子ボードを含むことができる。電子ボードは、この目的で、工具の制御データを受信するために第1の復調器に接続される。工具が電気剪定鋏である特殊なケースにおいて、電子ボードは、対応する供給電流を電動機に供給するため、多芯の導線を有するケーブルによって同様に電動機に接続される。
【0042】
このような構成においては、ケーブルは、例えば信号の伝送ライン、第1の制御インターフェースの給電用の2本の電線、および電動機の給電用の電線を含む。三相電動機の場合には、3本の給電用電線がこれに相当する。
【0043】
工具と全く同様に、給電ユニットにも制御インターフェースが備えられ得る。工具および給電ユニットには、シグナリングインターフェースが同様に備えられ得る。シグナリングインターフェースは、標示灯または音響インジケータを含むことができる。
【0044】
こうして通信システムは、シグナリングインターフェース向けのシグナリングデータまたは状態データを伝送するためにも使用可能である。通信システムは、例えば、給電ユニットの充電状態、給電ユニットまたは工具の温度、工具の摩耗状態またはメンテナンス情報、工具の作動モード、切断機構の固定状況、さらには工具のセキュリティ設定値を反映するデータを伝送することができる。
【0045】
典型的には、剪定鋏と剪定鋏の給電ユニットとの間の通信のための本発明の応用において、第1のインターフェース、例えばトリガを、可動刃の移動振幅制御および刃の移動方向制御のうちの少なくとも一方の制御のデータ収集を行うように構成することができる。給電ユニットの第2のインターフェースは、剪定鋏の電圧印加制御および作動モード変更制御のうちの少なくとも一方の制御のデータ収集を行うように構成され得る。
【0046】
作動モードの変更は、詳細には刃の運動に関係し得る。詳細にはこれは、刃の比例する運動または急激な閉鎖運動である。作動モードは同様に、刃の最大開度設定値、すなわち固定刃との関係における可動刃の最大枢動幅の選択を決定することができる。
【0047】
本発明はまた、第1の機器と、第1の機器に接続された第2の機器との間での、単芯の導線を有する伝送ラインによる通信方法にも関する。この方法によると、伝送ラインに出力される伝送信号のパルス幅変調によっておよび伝送信号の周波数変調によって、第1の機器から第2の機器に向かってデータを伝送する。前記伝送信号の振幅変調によって、第2の機器から第1の機器に向かってもデータを同様に伝送する。
【0048】
第2の機器から第1の機器に向かうデータの伝送は、第1の機器から第2の機器に向かうデータの伝送と同時に行うことが可能である。
【0049】
この周期は、パルスの高位状態と低位状態により形成されることから、伝送信号の周波数変調は、信号の周期を変調することになる。
【0050】
本発明の他の特徴および利点は、図面の図を参照して以下の説明から明らかになる。この説明は、限定的ではなく純粋に例示的なものとして提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明に係る2つの機器間の双方向通信システムの概略的表現である。
図2図1の通信システムの変調器によって生成される伝送信号の一例のグラフ表現である。
図3】伝送すべき第3のデータに対応するデジタル信号のグラフ表現である。
図4図3の信号に応じた図2の伝送信号の振幅変調の一例を示す。
図5図1の通信システムの一変形形態の概略的表現である。
図6図5の通信システムの変調器によって生成される信号の概略的表現である。
図7図6の信号を変調するために使用される伝送すべきデータに対応するデジタル信号のグラフ表現である。
図8】遠隔給電付き電気剪定鋏に応用された、本発明に係る通信システムの概略的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の説明において、異なる図の同一のまたは類似の部分は、同じ参照番号が付番されている。
【0053】
図1の通信システムは、多芯の導線を有するケーブルによって接続された、第1の機器10と第2の機器20を含む。このケーブルは、信号の伝送ラインを構成する導線32を含む。ケーブルは、第1および第2の機器10、20の電子ボード用の給電用電線34、35を同様に含むことができる。これらの給電用電線は、図1に詳しく表現されていない。参照番号34および35は、単純に、例えば5ボルトなどの直流供給電圧Vccおよび例えば0ボルトなどの基準(アース)電圧の端子を表わす。各機器は、変調器と復調器を含む。
【0054】
第1の機器10は、信号伝送ライン32に接続された出力を有する第1の変調器12を含む。図1の例において、第1の変調器は、直列抵抗13を介して伝送ラインに接続されている。伝送ライン32は同様に、第2の機器20の第1の復調器22にも接続されている。
【0055】
第1の変調器12は、伝送すべきデータの2つの入力を有する。第1の入力14は、第1の伝送すべきデータを受信する。例示された実施例において、第1のデータは、電動機の速度設定値に対応するデジタルデータDATA1である。設定値は、例えば1〜700である。
【0056】
変調器は、このデータを図2の表現に対応する伝送信号に変換する。図2は、縦座標に、時間との関係における信号の振幅を示す。時間は横座標に示されている。図2は、信号が、速度設定値に対応する幅すなわち持続時間をもつ第1の高位状態T1との交番を有することを示している。より厳密には、高位状態T1の幅、したがってその持続時間は、タイミングクロック18により提供される単位持続時間を速度設定値に乗じた積に対応する。タイミングクロックのパルスは、図2の上部部分に示されている。タイミング周波数と信号の変調周波数の間の差異が大きいことから、タイミングクロックのパルスは、自由な時間スケールで示される。
【0057】
例えば、1MHzの周波数および1kHzのPWM周波数でタイミングされたクロックについては、250のデジタル値DATA1が、250マイクロ秒に等しい持続時間をもつ高位状態T1に変換され得る。高位状態には低位状態T2が後続し、このときこの低位状態T2は、750マイクロ秒の持続時間を有する。パルス幅変調周波数が1.1kHzである場合、データDATA1に対応する高位状態T1の持続時間は、相変わらず250マイクロ秒である。これに対し、低位状態T2の持続時間はこの場合659マイクロ秒に短縮される。実際、より高い周波数のため、ひと続きの高位状態と低位状態で形成される周期はより短くなる。この周期は実際、1kHzのPWM周波数の場合1000マイクロ秒であり、1.1kHzのPWM周波数の場合、909マイクロ秒である。
【0058】
図1に戻ると、第1の変調器12が、第2のデータDATA2が入力される第2の入力16を有することが分かる。これは、例示されている実施例においては、0または1の2つの値しか取ることのできない2進デジタルデータである。データDATA2は、例えば、電動機の回転方向を反映する。電気剪定鋏に対する本発明の特定の利用分野においては、この制御は例えば、固定刃との関係における可動刃の開放または閉鎖運動に対応し得る。
【0059】
入力16ひいては、設定値DATA2は、例えば1kHzの振動周波数F1を出力する発振器42、または例えば1.1kHzの振動周波数F2を出力する発振器44を変調器に接続することのできる電子スイッチ17に入力される。信号DATA2から変動させられる振動設定値を有する唯一の発振器によって、発振器42および44を置換することが可能であることを指摘しておくのが適切である。
【0060】
第1の変調器12は、伝送信号の周波数または周期を修正するために、値DATA2に応じて発振器42および44の一方の設定値を使用する。
【0061】
図2を見れば分かるように、高位状態T1と低位状態T2とを含む第1の交番の周期は1/F1である。これは、変調器によって生成された信号の第1の交番が周波数F1にあることを意味している。第2の交番は、高位状態T1とは異なる幅の高位状態T3、および低位状態T4を含む。この交番は、この実施例において、周波数F2および周期1/F2を有する。こうして、第1の変調器によって、2つの情報を、第1の機器10から第2の機器20まで同時に伝送することが可能になる。情報の一つは、高位状態の幅または持続時間にコーディングされ、第2の情報は、信号の周波数にコーディングされる。
【0062】
図2の場合において、第1の速度設定値(T1)は例えば刃の開放(F1)のために伝送され、第2の速度設定値(T3)は、刃の閉鎖(F2)のために伝送される。
【0063】
例えば周波数F1などの同じ周波数で、複数の連続する高位状態を伝送できることを指摘することができる。実際、周波数F1は、信号DATA2がその考えられる値の1つ、例えば値1にあるかぎり維持される。この周波数は、この場合は0であるその第2の値についてF2へと移行する。さらに、第1の情報またはデータDATA1を、信号の高位状態の幅上にではなく、低位状態の幅または持続時間上にコーディングすることが可能である、ということも指摘することができる。最後に、スイッチ17は、より大きい周波数範囲(2より大きい)のうちの1つの周波数を選択するように設計され得る、ということを指摘することができる。これによって、刃の移動方向に加えて、電動機の電流の制限設定値、セキュリティ設定値などの他の情報をコーディングすることが可能となる。より大きい周波数範囲はまた、単に2進のデータよりも複雑なデータDATA2をコーディングすることをも可能にする。例えば、オクテット上にデータDATA2をコーディングすることが可能である。別の可能性によると、さらに、各々それぞれに高位状態での値および低位状態での値を有する全く異なる複数のデータを伝送することも可能である。これは、例えば、作動または停止状態のデータ、あるいは標示灯の点灯または消灯データである。
【0064】
図1に戻ると、伝送信号は第1の復調器22の1つの入力21で受信されることを指摘することができる。第1の復調器22は、第2の機器20のタイミングクロック28に接続されている。第2の機器のタイミングクロック28は、第1の機器10のクロック18と必ずしも同期されている必要はないが、好ましくは同じタイミング周波数を有する。第2のタイミングクロック28の周波数は、例えば1MHzである。復調器22は、その入力21に入力された信号の高位状態中の第2のクロック28のパルス数を計数することによって、高位状態の幅つまりその持続時間を決定するように設計され得る。クロックパルスの計数の始点と終点は、例えばパルスの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジによって与えられる。
【0065】
高位状態T1は、第1のクロック18のパルス数を値DATA1に乗じた積に対応する持続時間を有する。こうして、計数によって、このように復元される値DATA1が設定される。値の復元は、2つのクロックが同じ周波数でタイミングされているためになお一層容易であることが分かる。
【0066】
電磁擾乱または信号のフィルタリングに起因する信号の変化は、高位状態の持続時間にわずかに影響を及ぼす可能性がある。これに対して、この変化は、いくつかのクロックパルス上で、値DATA1に極くわずかしか影響を及ぼさない。伝送されたデータの値は、タイミングクロック18、28の周波数が、ここではF1またはF2である信号の変調周波数に比べて高くなればなるほど、受ける影響が少なくなる。
【0067】
復調器は同様に、高位状態と低位状態の交番、つまりT1+T2またはT3+T4に対応するタイミングクロックのパルス数を計数することによって、信号の周期1/F1または1/F2ひいては周波数F1およびF2を決定することもできる。これにより、第2のデータDATA2を復元することが可能になる。このとき、パルスの計数は、パルスの1つの立ち上がりエッジと次の立ち上がりエッジの間で行うことができる。
【0068】
データDATA1およびDATA2は、第2の機器20の電子ボードまたはマイクロプロセッサーに向かって送信され得る。
【0069】
図1に表わされていない電子ボードまたはマイクロプロセッサーは同様に、データを生成することもできる。これは、例えば、第2の機器20から第1の機器10に向かって伝送されなければならない第3のデータまたは情報DATA3である。例示された実施例において、データDATA3は、図3によって表わされているシリアル信号に対応する2進値1100である。図3の信号は、値0に対応する2つの低位状態が後続する、縦座標に表示された値1に対応する2つの高位状態を有する。
【0070】
第3のデータDATA3は、同期ユニット24を介して、第2の変調器26の入力に入力される。第2の変調器26は、第2の機器20の一部を成す。
【0071】
データDATA3を反映する図3の信号は、より厳密には、第2の変調器26の断続器を形成するトランジスタのグリッドまたはベースに入力される。
【0072】
図3上では、データDATA3に対応する信号が伝送信号上で同期されていることを指摘することができる。例えば、これは、伝送信号の立ち上がりエッジ上、すなわち低位状態から高位状態への移行部上で同期される。同期は、第1の復調器22によってタイミングされた同期ユニット24によって実施される。
【0073】
こうして値1について、つまり、図3の信号の高位状態について、トランジスタは、開放状態にあり、伝送信号は影響されない。これに対して、値0について、トランジスタは導体になり、負荷抵抗23を介して伝送ライン32をアース35に接続する。負荷抵抗23は、以上で言及した直列抵抗13と共に分配ブリッジを形成し、このときこのブリッジは伝送ライン上に存在する信号を減衰させる。
【0074】
減衰された伝送信号は、同様に、第1の復調器22の入力21上にもある。ただし、減衰は、高位状態T1およびT3の幅にも持続時間にも影響を及ぼさない。さらに、減衰が低位状態T2、T4の幅に影響を及ぼすこともない。要するに、伝送信号の減衰は、その周波数F1、F2にもその周期にも影響を及ぼさない。減衰はこうして、第1の復調器22にとってユーザーが動作を意識しなくてよいものである。
【0075】
第2の変調器のトランジスタの状態に応じて、伝送信号は、最大電圧、例えば供給電圧Vccでの高位状態、および減衰した電圧での高位状態を示すことができる。減衰した電圧は、例えばVcc*R2/(R1+R2)に等しい電圧であり、ここでR1およびR2はそれぞれ、直列抵抗13および負荷抵抗23の値である。低位状態は、それが0ボルトの基準電圧(アース)に対応する場合、減衰されない。これに対し、低位状態の電圧がゼロではない場合、それらは同様に減衰される。
【0076】
このような伝送信号は、図4に表わされており、この図は、縦座標に高位状態の振幅を表示し横座標に時間を表示する。図4の信号もまた、あらゆる振幅変調から解放されている図2の信号と同様に、パルス幅および周波数が変調されていることが分かる。
【0077】
伝送ライン32はさらに、第1の機器10の第2の復調器52の入力51に接続される。この第2の復調器は、閾値の比較器の形をしている。
【0078】
閾値比較器は、好ましくは、伝送信号の高位状態の非減衰値と高位状態の減衰値の間に含まれる閾値を有する。上述の例を参照すると、閾値は、Vcc*R2/(R1+R2)とVccの間の中間値に固定され得る。比較器の閾値は、給電電圧とアースの間の分配ブリッジを形成する抵抗53および54によって定められる。この閾値は、Vcc*R4/(R3+R4)に等しく、ここでR3およびR4は、抵抗53および54の値である。
【0079】
こうして、復調器は、伝送信号が閾値を上回る場合に値1を出力し、これは減衰していない高位状態に対応し、伝送信号が閾値を下回る場合には値0を出力し、これは減衰した高位状態そして場合によっては、中間の低位状態に対応する。
【0080】
こうして、復調器は、伝送信号を図3の信号に比較し得る信号に変換し、この信号からデジタルデータDATA3を抽出することが可能である。
【0081】
信号は、例示されている実施例において、2つの高位状態とそれに続く2つの低位状態に対応し、1100に等しい値DATA3を表示する。この値は、第1の機器の電子ボードまたはマイクロプロセッサー(図1には図示せず)に伝送される。
【0082】
図2および4を参照して説明された実施例において、伝送信号の振幅変調の周波数が伝送信号の周波数に等しいことが観察できる。これは、特に同期モードに起因するものである。振幅変調周波数は、同様に、伝送信号の周波数より低く、ただし常にこの伝送信号に同期されたものとして選択することが可能である。
【0083】
図5は、通信システムの別の考えられる実施形態を示す。図5のシステムは、概して、図1のシステムと同じ作動を呈する。対応する構成要素は、同じ参照番号が付され、これらの構成要素に関しては先行する説明を参照することができる。
【0084】
ただし、図1のシステムとは異なり、第2のデータDATA2は、伝送信号のための特別な周波数の選択を指図するためには使用されない。
【0085】
その反面、第2のデータDATA2は、第1の変調器12の第2の入力16に入力される。第1のデータDATA1は、常に、変調器の第1の入力14に入力される。
【0086】
第1の変調器12は、パルスの高位状態の幅、すなわち持続時間を制御するために、データの一方、例えばDATA1を使用し、伝送信号の同じ周期上でパルスの低位状態の幅、すなわち持続時間を制御するために他方のデータDATA2を使用する。
【0087】
第1の変調器12は、タイミングクロック18により調節される。こうして、高位状態または低位状態の持続時間は、タイミング周期の倍数である。例えば前述の通り、高位状態の持続時間は、T1=DATA1*CLK、そして低位状態の持続時間はT2=DATA2*CLK、すなわち伝送すべきデータにタイミング周期の値CLKを乗じた積であり得る。
【0088】
一例として、値がDATA1=1000およびDATA2=250であり、タイミングクロックの周波数が1MHzであると考えると、すなわち1μsの周期で、高位状態の持続時間T1は1000μsであり、低位状態の持続時間は250μsである。
【0089】
図6は、図5のシステムの第1の変調器によって生成されるパルス幅に変調された信号を表わす。パルスの振幅は、縦座標に示され、時間は横座標に示されている。信号は、高位状態および低位状態を有し、その持続時間はそれぞれ、タイミング周期CLKの倍数(DATA1、DATA2)である。タイミング周期を定める第1のタイミングクロックのパルスは、自由な縮尺で図6の上部部分に表示されている。例えば高位状態の振幅などの信号の振幅は、上述の通りにそれが第2の機器の第2の変調器26によって変調され得るかぎりにおいて、一定にとどまることはないという点を指摘しておくのが適切である。
【0090】
より厳密には、図6の伝送信号は、図7に表わされている2進数1010のデータDATA3に応じて変調される。この値は、図3に表わされたデータDATA3とは異なっている。図6の伝送信号の立ち上がりエッジ上のデータDATA3に応じた変調の同期を観察することができる。立ち下がりエッジ上の同期も同様に可能と考えられる。
【0091】
図5に戻ると、第2の機器20の一部を成す第1の復調器22が、その入力21で受信した伝送信号からデータDATA1およびDATA2を出力することを指摘することができる。データは、図6の信号の高位状態および低位状態の持続時間をそれぞれ決定することによって設定される。このために、復調器は、伝送信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジを分離するかまたは伝送信号の立ち上がりエッジから立ち下がりエッジを分離する第2のタイミングクロック28のタイミングパルス数をそれぞれ計数するように構成され得る。
【0092】
先に指摘した通り、第2のタイミングクロック28は、第1のタイミングクロック18の周波数と既知の比率の周波数を有する。好ましくは、2つのクロックは、同じ周波数を有する。
【0093】
図8は、電動剪定鋏に対する通信システムの特定の応用を概略的に例示する。
【0094】
第1の機器10は、ポータブル式電動剪定鋏である。この機器は、例えば刃66の開放および閉鎖を制御するためにユーザーが操作できるトリガなどの制御インターフェース64に接続された主電子ボード62を含む。刃の開放および閉鎖は、概して、可動刃に対する固定刃の枢動によって行なわれる。刃の運動は、図示されていない動力伝達装置により可動刃に連結された電動機68によって引き起こされる。例示された実施例において、電動機は、ブラシレス3相電動機である。
【0095】
電子ボード62は、トリガの位置センサーから信号を受信し、刃の開放または閉鎖の制御データ、そして場合によっては開放または閉鎖の速度の制御データを設定する。電子ボード62は同様に、開放または閉鎖の振幅の制御データを設定することもできる。これは、例えば、先に言及したデータDATA1およびDATA2である。これらのデータは、前述の第1の変調器12および第2の復調器52を含む第2の電子ボード63に提供される。上述のボード62、63の機能全体のために、唯一の主電子ボードを備えてもよいという点を指摘しておくことが適切である。
【0096】
剪定鋏10は、さらに、電圧印加、作動モード、バッテリ状態、故障状況などを表示することのできる、例えば1つまたは複数のエレクトロルミネセントダイオードなどの警告インターフェース70を含む。
【0097】
警告インターフェース70は、剪定鋏の図示されていないセンサーによって設定されたデータに応じて、または第2の復調器52により提供され第2の機器20から受信したデータに応じて、主電子ボード62によって駆動される。これは例えば、前述のデータDATA3である。
【0098】
第2の機器20は、ベルトまたは背中に担持できる剪定鋏から遠隔の給電ユニットである。この給電ユニットは同様に、主電子ボード80を含む。このボードの主な役割は、剪定鋏の電動機68の供給電流制御を設定することにある。給電ユニットの主電子ボード80は、第1の復調器により提供された制御データからこれらの制御を設定する。これは、例えば電動機68の回転方向、速度または持続時間をつかさどる前述のデータDATA1およびDATA2である。
【0099】
主電子ボード80は、同様に、主アキュムレータバッテリー82により供給されるエネルギーから電動機68のために供給電流を提供する役目も有する。
【0100】
電子ボード80はさらに、給電ユニットに固有の第2の制御インターフェース84の制御を受信することができる。これは例えば、剪定鋏の作動モードの変更を制御するための、全体的な電圧印加を制御するためのインターフェースである。電子ボード80は、これらの制御を用いて電動機を駆動するか、またはこれらの制御を剪定鋏に向けられるデータに変換する。例えば、電子ボードは、全体的電圧印加を表示する、あるいはより大きい刃の開度設定値を表示する剪定鋏のエレクトロルミネッセントダイオードの点灯を制御するデータを設定することができる。電子ボード80はこのため、第2の変調器26に接続されている。剪定鋏に伝送されるデータは、例えば、上述のデータDATA3である。
【0101】
電子ボード80はさらに、給電ユニット20にも同様に固有の警告インターフェース86を駆動することができる。インターフェース86は、例えば、ディスプレイ、エレクトロルミネッセントダイオード、および/または音響インジケータを含む。警告インターフェース、例えば音響インジケータは、制御の状態、バッテリの状態、作動モード、または作動に有用なあらゆる情報についてユーザーに警告することができる。主電子ボード80とは別の電子ボード88を、第1の復調器22および第2の変調器26のために備えることができる。これらの機能を、主電子ボード80に組込むことも同様に可能である。
【0102】
参照番号89は、主要アキュムレータバッテリー82とは別のものであってもなくてもよく、かつ電子ボード、ならびに剪定鋏10および給電ユニット20のインターフェースおよびさまざまな構成要素に給電することを目的とする、二次的アキュムレータまたはアキュムレータバッテリーを表わす。
【0103】
ケーブル90が、第1の機器10すなわち剪定鋏と、第2の機器20すなわち給電ユニットを接続する。ケーブルは、好ましくは、図示されていないコネクタによって、第1および第2の機器に接続される。これは、複数の接続電線を含む、多芯の導線を有するケーブルである。
【0104】
例示された実施例において、ケーブル90は、すでに言及された信号の伝送ライン32を形成する1本の導線を含む。ケーブルはさらに、主電子ボード80を電動機68に接続して、電動機にその3つの相の供給電流を供給する3本の導線92を含む。最後に、ケーブルは、例えば5ボルトといった、剪定鋏の電子ボードの給電電圧を供給する2本の導線を含む。これは、図1を参照して言及された電線34、35であり、これらはアース電位および電位Vccを構成する。
【符号の説明】
【0105】
10 第1の機器
12 第1の変調器
20 第2の機器
22 第1の復調器
26 第2の変調器
32 伝送ライン
52 第2の復調器
図1
図2-4】
図5
図6-7】
図8