(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(A)成分の含有量は、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部であり、かつ、前記(B)成分の含有量は、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、15〜60重量部である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の光造形用インクセット。
前記(E)成分の含有量は、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜50重量部であり、かつ、前記(F)成分の含有量は、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜49重量部である、請求項1〜9のいずれか一つに記載の光造形用インクセット。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態ともいう)について詳しく説明する。本発明は、以下の内容に限定されるものではない。なお、以下の説明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味するものである。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」についても同様である。
【0014】
〔1〕本実施形態に係る光造形用インクセットは、インクジェット光造形法に用いられ、かつ、モデル材を造形するために使用されるモデル材用樹脂組成物と、サポート材を造形するために使用されるサポート材用樹脂組成物とを組み合わせてなる光造形用インクセットであって、前記モデル材用樹脂組成物の表面張力Mt(mN/m)が前記サポート材用樹脂組成物の表面張力St(mN/m)よりも大きく、かつ、前記表面張力Mtおよび前記表面張力Stが下記(i)式を満足する。
0 < Mt―St < 5 ・・・(i)
【0015】
〔2〕前記〔1〕に記載の光造形用インクセットは、前記表面張力Mtが、26.0〜33.0mN/mである。
【0016】
〔3〕前記〔1〕または〔2〕に記載の光造形用インクセットは、前記モデル材用樹脂組成物が、非水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、表面調整剤(D)と、を含有する。
【0017】
〔4〕前記〔3〕に記載の光造形用インクセットは、前記(A)成分の含有量が、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部である。
【0018】
〔5〕前記〔3〕または〔4〕に記載の光造形用インクセットは、前記(B)成分の含有量が、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、15〜60重量部である。
【0019】
〔6〕前記〔3〕〜〔5〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記(A)成分の含有量が、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、19〜49重量部であり、かつ、前記(B)成分の含有量が、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、15〜60重量部である。
【0020】
〔7〕前記〔3〕〜〔6〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記モデル材用樹脂組成物が、さらに、オリゴマーを含有する。
【0021】
〔8〕前記〔7〕に記載の光造形用インクセットは、前記オリゴマーの含有量が、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、10〜45重量部である。
【0022】
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記表面張力Stが、24.0〜33.0mN/mである。
【0023】
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記サポート材用樹脂組成物が、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(E)と、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコール(F)と、光重合開始剤(C)と、表面調整剤(D)と、を含有する。
【0024】
〔11〕前記〔10〕に記載の光造形用インクセットは、前記(E)成分の含有量が、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜50重量部である。
【0025】
〔12〕前記〔10〕または〔11〕に記載の光造形用インクセットは、前記(F)成分の含有量が、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜49重量部である。
【0026】
〔13〕前記〔10〕〜〔12〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記(E)成分の含有量が、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜50重量部であり、かつ、前記(F)成分の含有量が、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20〜49重量部である。
【0027】
〔14〕前記〔10〕〜〔13〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットは、前記(F)成分の数平均分子量Mnが、100〜5,000である。
【0028】
〔15〕本実施形態に係る光造形品の製造方法は、インクジェット光造形法により、前記〔1〕〜〔14〕のいずれか一つに記載の光造形用インクセットを用いて光造形品を製造する方法であって、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層とが隣接して配置された樹脂組成物層が形成されるように、インクジェットヘッドから前記モデル材用樹脂組成物および前記サポート材用樹脂組成物を吐出させる工程(I)と、前記樹脂組成物層を構成するモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物をそれぞれ光硬化させることにより、モデル材およびサポート材を得る工程(II)と、前記サポート材を除去することにより、光造形品を得る工程(III)と、を有する。
【0029】
1.モデル材用樹脂組成物
モデル材用樹脂組成物は、非水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(A)と、二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)と、光重合開始剤(C)と、表面調整剤(D)と、を含有することが好ましい。
【0030】
<非水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(A)>
非水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(A)は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を1個有する非水溶性の重合性モノマーである。前記(A)成分としては、例えば、炭素数4〜30の直鎖または分岐のアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等〕、炭素数6〜20の脂環含有(メタ)アクリレート〔例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等〕、炭素数5〜20の複素環含有(メタ)アクリレート〔例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、アダマンチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート等〕等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、前記(A)成分としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、または、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0031】
前記(A)成分の含有量は、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、19重量部以上であることが好ましく、25重量部以上であることがより好ましい。また、前記(A)成分の含有量は、49重量部以下であることが好ましく、47重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(A)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(A)成分の含有量の合計である。
【0032】
<二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)>
二官能以上の多官能エチレン性不飽和単量体(B)は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を2個以上有する重合性モノマーである。前記(B)成分としては、例えば、炭素数10〜25の直鎖または分岐のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはアルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート〔例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等〕、炭素数10〜30の脂環含有ジ(メタ)アクリレート〔例えば、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等〕等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、前記(B)成分としては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、および、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
前記(B)成分の含有量は、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、15重量部以上であることが好ましく、20重量部以上であることがより好ましい。また、前記(B)成分の含有量は、60重量部以下であることが好ましく、50重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(B)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(B)成分の含有量の合計である。
【0034】
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、紫外線、近紫外線または可視光領域の波長の光を照射するとラジカル反応を促進する化合物であれば、特に限定されない。前記(C)成分としては、例えば、炭素数14〜18のベンゾイン化合物〔例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等〕、炭素数8〜18のアセトフェノン化合物〔例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等〕、炭素数14〜19のアントラキノン化合物〔例えば、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等〕、炭素数13〜17のチオキサントン化合物〔例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等〕、炭素数16〜17のケタール化合物〔例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等〕、炭素数13〜21のベンゾフェノン化合物〔例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、4,4’−ビスメチルアミノベンゾフェノン等〕、炭素数22〜28のアシルフォスフィンオキサイド化合物〔例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス−(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド〕、これらの化合物の混合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物を光硬化させて得られるモデル材が黄変しにくいという耐光性の観点から、前記(C)成分としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドであることが好ましい。また、入手可能なアシルフォスフィンオキサイド化合物としては、例えば、BASF社製のDAROCURE TPO等が挙げられる。
【0035】
前記(C)成分の含有量は、光重合性の観点から、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、3重量部以上であることが好ましく、5重量部以上であることがより好ましい。また、前記(C)成分の含有量は、15重量部以下であることが好ましく、13重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(C)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(C)成分の含有量の合計である。
【0036】
<表面調整剤(D)>
表面調整剤(D)は、樹脂組成物の表面張力を適切な範囲に調整する成分である。前記(D)成分としては、例えば、シリコーン系化合物等が挙げられる。シリコーン系化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物等が挙げられる。具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリアラルキル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらとして、商品名でBYK−300、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−344、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570(以上、ビックケミー社製)、TEGO−Rad2100、TEGO−Rad2200N、TEGO−Rad2250、TEGO−Rad2300、TEGO−Rad2500、TEGO−Rad2600、TEGO−Rad2700(以上、デグサ社製)、グラノール100、グラノール115、グラノール400、グラノール410、グラノール435、グラノール440、グラノール450、B−1484、ポリフローATF−2、KL−600、UCR−L72、UCR−L93(共栄社化学社製)等を用いてもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記(D)成分の含有量は、樹脂組成物の表面張力を適切な範囲に調整する観点から、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、0.005重量部以上であることが好ましく、0.01重量部以上であることがより好ましい。また、前記(D)成分の含有量は、3.0重量部以下であることが好ましく、1.5重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(D)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(D)成分の含有量の合計である。
【0038】
モデル材用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、オリゴマー、酸化防止剤、着色剤、顔料分散剤、保存安定化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0039】
オリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであることが好ましい。
【0040】
オリゴマーの含有量は、モデル材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点から、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、10重量部以上であることが好ましく、15重量部以上であることがより好ましい。また、オリゴマーの含有量は、45重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。なお、オリゴマーが2種以上含まれる場合、前記含有量は、各オリゴマーの含有量の合計である。
【0041】
なお、本明細書中において「オリゴマー」は、重量平均分子量が800〜10000である。重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0042】
着色剤としては、例えば、ジアリライド系着色剤、縮合アゾ系着色剤、キナクリドン系着色剤、バット系着色剤、イソインドリノン系着色剤、フタロシアニン系着色剤、アニリン系着色剤、酸化チタン、ニッケルチタン、黄色酸化鉄、弁柄、群青、コバルトブルー、酸化クロム、鉄黒、黄鉛、クロムオレンジ、モリブデンレッド、カドミウム系着色剤、カーボンブラック等、従来公知のものを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、着色剤としては、例えば、カーボンブラック、縮合アゾ系着色剤であるニッケルアゾ、キナクリドン系着色剤であるキナクリドン、フタロシアニン系着色剤である銅フタロシアニン、酸化チタン等であることが好ましい。着色剤の含有量は、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、0.01重量部以上であることが好ましく、0.1重量部以上であることがより好ましい。また、着色剤の含有量は、5.0重量部以下であることが好ましく、3.0重量部以下であることがより好ましい。
【0043】
顔料分散剤は、着色剤として顔料が用いられる場合、顔料の分散性を向上させるため、含有させてもよい。顔料分散剤としては、例えば、イオン性または非イオン性の界面活性剤、アニオン性、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散安定性の点から、顔料分散剤としては、カチオン性基またはアニオン性基を含む高分子化合物が好ましい。市場で入手可能な顔料分散剤としては、アビシア社製のソルスパース、ビックケミー社製のDISPERBYK、エフカアディティブズ社製のEFKA等が挙げられる。顔料分散剤の含有量は、前記モデル材用樹脂組成物全体100重量部に対して、0.05重量部以上であることが好ましい。また、顔料分散剤の含有量は、5重量部以下であることが好ましい。
【0044】
保存安定化剤は、樹脂組成物の保存安定性を高めるため、含有させてもよい。保存安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物(HALS)、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。具体的には、保存安定化剤としては、ハイドロキノン、メトキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、TEMPO、4−ヒドロキシ−TEMPO、TEMPOL、クペロンAl、IRGASTAB UV-10、IRGASTAB UV-22、FIRSTCURE ST−1(ALBEMARLE社製)、t−ブチルカテコール、ピロガロール、BASF社製のTINUVIN 111 FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 292、TINUVIN XP40、TINUVIN XP60、TINUVIN 400等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
モデル材用樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、例えば、前記(A)〜(D)成分、および、必要により、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
【0046】
このようにして製造されたモデル材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、70mPa・s以下であることが好ましい。なお、モデル材用樹脂組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行われる。
【0047】
また、前記モデル材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、表面張力Mtが、26.0〜33.0mN/mであることが好ましい。なお、本明細書において、表面張力とは、25℃における、測定開始から20秒後の表面張力の値をいう。表面張力の測定は、例えば、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和界面科学社製)を用いて行われる。
【0048】
2.サポート材用樹脂組成物
サポート材用樹脂組成物は、水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(E)と、オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコール(F)と、光重合開始剤(C)と、表面調整剤(D)と、を含有することが好ましい。
【0049】
<水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(E)>
水溶性単官能エチレン性不飽和単量体(E)は、エネルギー線により硬化する特性を有する分子内にエチレン性二重結合を1個有する水溶性の重合性モノマーである。前記(E)成分としては、例えば、炭素数5〜15の水酸基含有(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等〕、Mn200〜1,000の水酸基含有(メタ)アクリレート〔ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素数1〜4)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(炭素数1〜4)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、PEG−PPGブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等〕、炭素数3〜15の(メタ)アクリルアミド誘導体〔(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等〕、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、サポート材用樹脂組成物の硬化性を向上させる観点および人体への皮膚低刺激性の観点から、前記(E)成分としては、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、または、(メタ)アクリロイルモルフォリンであることが好ましい。
【0050】
前記(E)成分の含有量は、サポート材用樹脂組成物の硬化性を向上させ、かつ、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材をすばやく水に溶解させる観点から、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、25重量部以上であることがより好ましい。また、前記(E)成分の含有量は、50重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(E)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(E)成分の含有量の合計である。
【0051】
<オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコール(F)>
オキシエチレン基および/またはオキシプロピレン基を含むポリアルキレングリコール(F)は、活性水素化合物に少なくともエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドが付加したものである。前記(F)成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。活性水素化合物としては、1〜4価アルコール、アミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、活性水素化合物としては、2価アルコールまたは水であることが好ましい。
【0052】
前記(F)成分の含有量は、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材の水への溶解性を高める観点から、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、25重量部以上であることがより好ましい。また、前記(F)成分の含有量は、49重量部以下であることが好ましく、45重量部以下であることがより好ましい。なお、前記(F)成分が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各(F)成分の含有量の合計である。
【0053】
前記(F)成分の数平均分子量Mnは、100〜5,000であることが好ましい。前記(F)成分のMnが前記範囲内であると、光硬化前の前記(F)成分と相溶し、かつ、光硬化後の前記(F)成分と相溶しない。その結果、サポート材用樹脂組成物を光硬化させて得られるサポート材の自立性を高め、かつ、該サポート材の水への溶解性を高めることができる。前記(F)成分のMnは、200〜3,000であることがより好ましく、400〜2,000であることがさらに好ましい。
【0054】
<光重合開始剤(C)>
<表面調整剤(D)>
光重合開始剤(C)および表面調整剤(D)は、前記モデル材用樹脂組成物と同様の成分を同様の含有量で用いることができる。
【0055】
サポート材用樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により、その他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、水溶性有機溶剤、酸化防止剤、着色剤、顔料分散剤、保存安定化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、充填剤等が挙げられる。
【0056】
水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、トリエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアセテート、テトラエチレングリコールモノアセテート、テトラプロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、テトラプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリエチレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールジプロピルエーテル、テトラエチレングリコールジプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、サポート材の水への溶解性を向上させ、かつ、サポート材用樹脂組成物を低粘度に調整する観点から、水溶性有機溶剤としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、または、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであることがより好ましい。
【0057】
水溶性有機溶剤の含有量は、サポート材の水への溶解性を向上させ、かつ、サポート材用樹脂組成物を低粘度に調整する観点から、前記サポート材用樹脂組成物全体100重量部に対して、5重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましい。また、水溶性有機溶剤の含有量は、35重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましい。なお、水溶性有機溶剤が2種以上含まれる場合、前記含有量は、各水溶性有機溶剤の含有量の合計である。
【0058】
着色剤、顔料分散剤、保存安定化剤は、前記モデル材用樹脂組成物と同様の成分を同様の含有量で用いることができる。
【0059】
前記サポート材用樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、前記(C)〜(F)成分、および、必要により、その他の添加剤を、混合攪拌装置等を用いて均一に混合することにより、製造することができる。
【0060】
このようにして製造されたサポート材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、25℃における粘度が、70mPa・s以下であることが好ましい。なお、サポート材用樹脂組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803に準拠し、R100型粘度計を用いて行われる。
【0061】
また、前記サポート材用樹脂組成物は、インクジェットヘッドからの吐出性を良好にする観点から、表面張力Stが、24.0〜33.0mN/mであることが好ましい。なお、本明細書において、表面張力とは、25℃における、測定開始から20秒後の表面張力の値をいう。表面張力の測定は、例えば、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和界面科学社製)を用いて行われる。
【0062】
3.表面張力
本実施形態に係る光造形用インクセットは、前記モデル材用樹脂組成物の表面張力Mt(mN/m)が前記サポート材用樹脂組成物の表面張力St(mN/m)よりも大きく、かつ、前記表面張力Mtおよび前記表面張力Stが、下記(i)式を満足する。
0 < Mt―St < 5 ・・・(i)
【0063】
表面張力Mtが表面張力Stよりも大きく、かつ、表面張力MtおよびStが前記(i)式を満足すると、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面におけるブリーディングの発生を抑制できる。すなわち、モデル材用樹脂組成物がサポート材用樹脂組成物側に移動することにより、または、サポート材用樹脂組成物がモデル材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じる現象が発生しくくなる。その結果、このようなモデル材用樹脂組成物とサポート材用樹脂組成物とを組み合わせてなる光造形用インクセットを用いて、寸法精度が良好な光造形品を得ることができる。
【0064】
表面張力Mtが表面張力Stよりも小さい、すなわち、表面張力MtおよびStの差(Mt―St)が0以下の場合、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、モデル材用樹脂組成物がサポート材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じる。一方、前記差(Mt―St)が5以上の場合、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、サポート材用樹脂組成物がモデル材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じる。
【0065】
4.光造形品およびその製造方法
光造形品は、インクジェット光造形法により、本実施形態に係る光造形用インクセットを用いて製造される。具体的には、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層とが隣接して配置された樹脂組成物層が形成されるように、インクジェットヘッドから前記モデル材用樹脂組成物および前記サポート材用樹脂組成物を吐出させる工程(I)と、前記樹脂組成物層を構成するモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物をそれぞれ光硬化させることにより、モデル材およびサポート材を得る工程(II)と、前記サポート材を除去することにより、光造形品を得る工程(III)とを経て製造される。前記工程(I)〜(III)は、特に限定されないが、例えば、以下の方法により行われる。
【0066】
<工程(I)>
図1は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(I)を模式的に示す図である。
図1に示すように、三次元造形装置1は、インクジェットヘッドモジュール2および造形テーブル3を含む。インクジェットヘッドモジュール2は、光造形用インクユニット25と、ローラー23と、光源24とを有する。光造形用インクユニット25は、モデル材用樹脂組成物4aが充填されたモデル材用インクジェットヘッド21と、サポート材用樹脂組成物5aが充填されたサポート材用インクジェットヘッド22とを有する。なお、本実施形態に係る光造形用インクセット20は、モデル材用樹脂組成物4aとサポート材用樹脂組成物5aとの組み合わせによって構成されている。
【0067】
まず、インクジェットヘッドモジュール2を
図1中の造形テーブル3に対して相対的に、X方向およびY方向に走査させるとともに、モデル材用インクジェットヘッド21からモデル材用樹脂組成物4aを吐出させ、かつ、サポート材用インクジェットヘッド22からサポート材用樹脂組成物5aを吐出させる。これにより、造形テーブル3上に、モデル材用樹脂組成物4aからなる層とサポート材用樹脂組成物5aからなる層との界面同士が接触するように隣接して配置された樹脂組成物層が形成される。そして、前記樹脂組成物層の上面を平滑にするために、ローラー23を用いて、余分なモデル材用樹脂組成物4aおよびサポート材用樹脂組成物5aを除去する。
【0068】
<工程(II)>
図2は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(II)を模式的に示す図である。
図2に示すように、工程(I)により形成された樹脂組成物層に、光源24を用いて光を照射することにより、モデル材4およびサポート材5からなる硬化層が形成される。
【0069】
次に、造形テーブル3を、前記硬化層の厚み分だけ、
図1中のZ方向に降下させる。その後、前記工程(I)および(II)と同様の方法で、前記硬化層の上にさらにモデル材4およびサポート材5からなる硬化層を形成する。これらの工程を繰返し行うことにより、モデル材4およびサポート材5からなる硬化物6を作製する。
図3は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(I)および(II)を繰り返し行うことにより得られたモデル材4およびサポート材5からなる硬化物6を模式的に示す図である。
【0070】
樹脂組成物を硬化させる光としては、例えば、遠赤外線、赤外線、可視光線、近紫外線、紫外線等が挙げられる。これらの中でも、硬化作業の容易性および効率性の観点から、近紫外線または紫外線であることが好ましい。
【0071】
光源24としては、水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LED、紫外線レーザー等が挙げられる。これらの中でも、設備の小型化および省電力の観点から、光源24は、紫外線LEDであることが好ましい。なお、光源24として紫外線LEDを用いた場合、紫外線の積算光量は、500mJ/cm
2程度であることが好ましい。
【0072】
<工程(III)>
図4は、本実施形態に係る光造形品の製造方法における工程(III)を模式的に示す図である。
図4に示すように、工程(III)で作製したモデル材4およびサポート材5からなる硬化物6は、容器7に入れた溶媒8中に浸漬させる。これにより、サポート材5を溶媒8に溶解させて、除去することができる。
【0073】
サポート材5を溶解させる溶媒8としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、水道水、井戸水等が挙げられる。これらの中でも、不純物が比較的少なく、かつ、安価に入手できるという観点から、溶媒8はイオン交換水であることが好ましい。
【0074】
以上の工程により、本実施形態に係る光造形用インクセットを用いて、寸法精度が良好な光造形品を得ることができる。
【0075】
以下、本実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0076】
[寸法精度とブリーディングとの関係性の評価]
<寸法精度の評価方法>
表1に示す試験No.A1〜A4の各モデル材用樹脂組成物および各サポート材用樹脂組成物を用いて、硬化物を作成した。該硬化物の形状および目標とする寸法を、
図6(a)および(b)に示す。なお、インクジェットヘッドから各モデル材用樹脂組成物および各サポート材用樹脂組成物を吐出させる工程は、解像度が600×600dpi、樹脂組成物層の1層の厚さが48μmとなるように行った。また、各モデル材用樹脂組成物および各サポート材用樹脂組成物をそれぞれ光硬化させる工程は、スキャン方向に対してインクジェットヘッドの後ろ側に設置された波長385nmのLED光源を用いて、照度580mW/cm
2、樹脂組成物層の1層当りの積算光量600mJ/cm
2の条件で行った。次に、前記硬化物をイオン交換水に浸漬することにより、サポート材を除去して、光造形品を得た。その後、得られた光造形品をデシケーター内に24時間静置し、充分に乾燥させた。上述の工程により、試験No.A1〜A4の光造形品を、それぞれ5個ずつ製造した。乾燥後の光造形品について、
図6(a)中のx方向およびy方向の寸法を、ノギスを用いて測定し、目標とする寸法からの変化率を算出した。寸法精度は、試験No.A1〜A4の各光造形品における寸法変化率の平均値を求め、該平均値を用いて下記の基準により評価を行った。評価結果を表1に示す。
○:平均寸法変化率が±1.0%未満
×:平均寸法変化率が±1.0%以上
【0077】
<ブリーディングの評価方法>
まず、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルム(A4300、東洋紡社製、100mm×150mm×厚さ188μm)上に、表1に示す各モデル材用樹脂組成物および各サポート材用樹脂組成物を、マイクロピペットを用いて、各0.02mL滴下した。この際、モデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、それぞれの液滴の中心部同士の距離が10mmであり、かつ、それぞれの液滴は独立していた。その後、それぞれの液滴は徐々に濡れ広がり、約10秒後にそれぞれの液滴が結合した。この際、それぞれの液滴の界面の状態を上方から目視により観察し、下記の基準においてブリーディングを評価した。評価結果を表1に示す。
○:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面が上面視で直線状になり、ブリーディングが生じなかった。
×[M→S]:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、モデル材用樹脂組成物がサポート材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じた。
×[S→M]:モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、サポート材用樹脂組成物がモデル材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じた。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果から分かるように、寸法精度が良好であった試験No.A2およびA4の光造形品は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面が直線状になり、ブリーディングが生じなかった。一方、寸法精度が低下した試験No.A1およびA3の光造形品は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、モデル材用樹脂組成物がサポート材用樹脂組成物側に移動することにより、ブリーディングが生じた。このように、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において生じるブリーディングは、光造形品の寸法精度を低下させる原因の一つとなっている。そこで、以下では、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において生じるブリーディングについて、評価を行った。
【0080】
[ブリーディングの評価]
<樹脂組成物の調整>
(モデル材用樹脂組成物の調整)
表2に示す配合で、(A)〜(D)成分、および、その他の添加剤を、混合攪拌装置を用いて均一に混合し、M1〜M15のモデル材用樹脂組成物を製造した。
【0081】
【表2】
【0082】
IBOA:イソボルニルアクリレート[SR506D(エチレン性二重結合/1分子:1個)、アルケマ社製]
TMPFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート[SR531(エチレン性二重結合/1分子:1個)、アルケマ社製]
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート[SR238(エチレン性二重結合/1分子:2個)、アルケマ社製]
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート[SR306(エチレン性二重結合/1分子:2個)、アルケマ社製]
TCDDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート[SR833(エチレン性二重結合/1分子:2個)、アルケマ社製]
DAROCURE TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド[DAROCURE TPO、BASF社製]
BYK−UV3500:ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物[BYK−UV3500、ビックケミー社製]
BYK−307:ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物[BYK−307、ビックケミー社製]
CN991:ウレタンアクリレートオリゴマー[CN991(エチレン性二重結合/1分子:2個)、アルケマ社製]
MA−8:酸性カーボンブラック顔料[MA−8、三菱化学社製]
Yellow G01:ニッケルアゾ顔料[Yellow G01、Levascreen社製]
RT355D:キナクリドン顔料[CINQUASIA Magenda RT−355−D、チバ社製]
BT−617−D:銅フタロシアニン顔料[HOSTAPERM BLUE BT−617−D、クラリアント社製]
CR−60:酸化チタン[CR−60、石原産業社製]
Sol.32000:塩基性官能基を有する櫛型コポリマー[ソルスパース32000、アビシア社製]
【0083】
(サポート材用樹脂組成物の調整)
表3に示す配合で、(C)〜(F)成分、および、水溶性有機溶剤を、混合攪拌装置を用いて均一に混合し、S1〜S10のサポート材用樹脂組成物を製造した。
【0084】
【表3】
【0085】
HEAA:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド[HEAA(エチレン性二重結合/1分子:1個)、KJケミカルズ社製]
ACMO:アクリロイルモルフォリン[ACMO(エチレン性二重結合/1分子:1個)、KJケミカルズ社製]
PPG−1000:ポリプロピレングリコール[ユニオールD1000(分子量1000)、日油社製]
PEG−400:ポリエチレングリコール[PEG#400(分子量400)、日油社製]
DAROCURE TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド[DAROCURE TPO、BASF社製]
IRGACURE907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン[IRGACURE 907、チバ社製]
Chivacure ITX:イソプロピルチオキサントン[Chivacure ITX、ダブルボンドケミカル社製]
BYK−307:ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物[BYK−307、ビックケミー社製]
MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル[MTG、日本乳化剤社製]
DPMA:ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート[ダワノールDPMA、ダウケミカル社製]
【0086】
<表面張力の測定方法>
表2に示すM1〜M15の各モデル材用樹脂組成物および表3に示すS1〜S10の各サポート材用樹脂組成物の表面張力は、25℃における、測定開始から20秒後の値を、全自動平衡式エレクトロ表面張力計ESB−V(協和界面科学社製)を用いて測定した。測定結果を表2および表3に示す。
【0087】
<吐出安定性の評価方法>
表2に示すM1〜M15の各モデル材用樹脂組成物および表3に示すS1〜S10の各サポート材用樹脂組成物の吐出安定性は、ノズル抜けが発生した割合、および、リガメントの長さを算出することにより、評価した。
【0088】
(ノズル抜けが発生した割合)
ノズル径:20μm、飛翔速度:7m/sec、吐出周波数:10kHz、連続吐出時間:5minの条件で連続吐出を行うことによりノズルチェックパターンを印字し、ノズル抜けが発生したノズルの本数を数えた。そして、下記の基準において、ノズル抜けが発生した割合を評価した。評価結果を表2および表3に示す。なお、ノズル抜けとは、ノズルが詰まることにより、インクが吐出されない状態をいう。
○:ノズル抜け0%
△:ノズル抜け0%超〜5%未満
×:ノズル抜け5%以上
【0089】
(リガメントの長さ)
ノズル径:20μm、飛翔速度:7m/sec、吐出周波数:1kHzの条件で吐出を行い、ノズルから距離1mmの位置において、液滴先頭が通過してから液滴最後尾が通過するまでの時間を測定した後、該時間と飛翔速度とを積算することにより、リガメントの長さを算出した。そして、下記の基準において、リガメントの長さを評価した。評価結果を表2および表3に示す。なお、リガメントの長さとは、ノズルから吐出される液滴の長さをいう。リガメントの長さが長いと、インクミストが発生しやすくなる。
○:リガメントの長さ300μm未満
△:リガメントの長さ300〜500μm
×:リガメントの長さ500μm超
【0090】
なお、本明細書において、ノズル抜けが発生した割合の評価が「○」であり、かつ、リガメントの長さの評価が「○」であった樹脂組成物は、吐出安定性に優れると判定した。また、上記以外の評価であった樹脂組成物は、吐出安定性に劣ると判定した。
【0091】
表2から分かるように、表面張力Mtが26.0〜33.0mN/mであるM2〜M4、M7〜M9、M11〜M15のモデル材用樹脂組成物は、吐出安定性に優れる。また、表3から分かるように、表面張力Stが24.0〜33.0mN/mであるS2〜S4、S7〜S9のサポート材用樹脂組成物は、吐出安定性に優れる。
【0092】
<ブリーディングの評価方法>
表2に示すM1〜M15の各モデル材用樹脂組成物および表3に示すS1〜S10の各サポート材用樹脂組成物を用いて、上述と同様の方法でブリーディングを評価した。結果を表4および表5に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
表4の結果から分かるように、本発明の要件を全て満たす試験No.2、3、7、8、12、13、17、18、23、24、28、29、34、35、39、40、52、57、62、63、67、68、73、74、78、84、85、89、90、95、99および100のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面が上面視で直線状になり、ブリーディングが生じなかった。
【0096】
一方、モデル材用樹脂組成物の表面張力Mtがサポート材用樹脂組成物の表面張力Stよりも小さい、すなわち、表面張力Mtおよび表面張力Stの差(Mt―St)が0以下である試験No.1、6、11、16、21、22、26、27、31〜33、36〜38、41〜51、56、61、66、71、72、76、77、81〜83、86〜88、91〜94、および、96〜98のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、モデル材用樹脂組成物がサポート材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じた。
【0097】
また、モデル材用樹脂組成物の表面張力Mtおよびサポート材用樹脂組成物の表面張力Stの差(Mt―St)が5以上である試験No.4、5、9、10、14、15、19、20、25、30、53〜55、58〜60、64、65、69、70、75、79および80のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面において、サポート材用樹脂組成物がモデル材用樹脂組成物側に移動することにより、にじみが生じた。
【0098】
図5は、試験No.1〜100のモデル材用樹脂組成物の表面張力Mtおよびサポート材用樹脂組成物の表面張力Stをプロットしたグラフである。
図5中、ブリーディング評価が「○」であった試験については「○」で示し、ブリーディング評価が「×[M→S]」または「×[S→M]」であった試験については「×」で示した。
図5から分かるように、MtおよびStが、直線Xと直線Yとの間に位置する領域内(ただし、直線X上および直線Y上は除く)であれば、モデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、ブリーディングが生じない。
【0099】
表5の結果から分かるように、本発明の要件を全て満たす試験No.101〜112のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面が直線状になり、ブリーディングが生じなかった。すなわち、本発明の要件を全て満たすモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、着色剤を含まないか、または、着色剤の種類を変えてもブリーディングが生じない。
【0100】
表1で示したように、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面においてブリーディングが生じなければ、寸法精度が良好な光造形品が得られる。一方、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面においてブリーディングが生じる場合、光造形品の寸法精度が低下する。したがって、本発明の要件を全て満たす試験No.2、3、7、8、12、13、17、18、23、24、28、29、34、35、39、40、52、57、62、63、67、68、73、74、78、84、85、89、90、95、99、および、100〜112のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面においてブリーディングが生じなかったため、寸法精度が良好な光造形品が得られる。一方、本発明の要件を満たさない試験No.1、4〜6、9〜11、14〜16、19〜22、25〜27、30〜33、36〜38、41〜51、53〜56、58〜61、64〜66、69〜72、75〜77、79〜83、86〜88、91〜94、および、96〜98のモデル材用樹脂組成物およびサポート材用樹脂組成物は、モデル材用樹脂組成物からなる層とサポート材用樹脂組成物からなる層との界面においてブリーディングが生じたため、光造形品の寸法精度が低下する。
【0101】
(その他の実施形態)
上記実施形態に係る光造形品の製造方法は、さらに、モデル材用樹脂組成物からなる層のみが形成されるように、インクジェットヘッドからモデル材用樹脂組成物のみを吐出させた後、該層を構成するモデル材用樹脂組成物を光硬化させることにより、モデル材を得る工程、および/または、サポート材用樹脂組成物からなる層のみが形成されるように、インクジェットヘッドからサポート材用樹脂組成物のみを吐出させた後、該層を構成するサポート材用樹脂組成物を光硬化させることにより、サポート材を得る工程を含んでいてもよい。