特許第6796071号(P6796071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6796071ヘルスケアコンサルタント及び病院管理者が病院のための最適な人的資源プランを決定するのを助ける、シミュレーションに基づくシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796071
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ヘルスケアコンサルタント及び病院管理者が病院のための最適な人的資源プランを決定するのを助ける、シミュレーションに基づくシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20201119BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
   G16H40/20
   G06Q10/06 302
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-544777(P2017-544777)
(86)(22)【出願日】2016年2月17日
(65)【公表番号】特表2018-506801(P2018-506801A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】EP2016053369
(87)【国際公開番号】WO2016135023
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年2月14日
(31)【優先権主張番号】62/121,558
(32)【優先日】2015年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ジーチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ザン,ジンユー
(72)【発明者】
【氏名】ゾン,シャン
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−108750(JP,A)
【文献】 特開2006−350586(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0108034(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0198609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを記憶しているメモリと、
前記プログラムを実行するプロセッサと、
ユーザからの入力を受けるユーザ入力デバイスと、
ネットワークを通じて他のデバイスと通信する通信ユニットとを備え、
前記プロセッサは、
前記ユーザ入力デバイス又は前記通信ユニットによって受け取られたデータからベンチマークデータに関する値を含む第1の入力の組を抽出し、該第1の入力の組に基づき、病院資源の一般的概念を反映する暫定的人的資源プランを生成する暫定的人的資源プロセッサと、
前記ユーザ入力デバイス又は前記通信ユニットによって受け取られたデータから患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報データ、及び一般データに関する値を含む第2の入力の組を抽出し、該第2の入力の組及び前記暫定的人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、病院資源のシミュレートされた概念を反映する擬似人的資源プランを生成するシミュレーションプロセッサと、
前記ユーザ入力デバイス又は前記通信ユニットによって受け取られたデータから規制及び要求データ並びに多目標目的関数データに関する値を含む第3の入力の組を抽出し、該第3の入力の組及び前記擬似人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、前記規制及び要求データを満足しながら前記多目標目的関数データに対する最適解を反映する最適化された人的資源プランを生成し、該最適化された人的資源プランに含まれる各スペシャルティユニットに特有の人的資源プランを出力する最適化プロセッサと
を有し、
前記最適化プロセッサは、
前記人的資源プランのパラメータに対して感度分析を実施して、前記人的資源プランにおける前記パラメータの影響力を示すレポートを作成する感度分析プロセッサを有する、
人的資源プランニングシステム。
【請求項2】
前記スペシャルティユニットは、少なくとも1つの医師スペシャルティユニット、少なくとも1つの看護士スペシャルティユニット、及び少なくとも1つの非臨床スタッフスペシャルティユニットを含む、
請求項1に記載の人的資源プランニングシステム。
【請求項3】
前記スペシャルティユニットは、臨床ケアエリアによって更に定義され、少なくとも患者ベッドスペシャルティユニットを更に含む、
請求項2に記載の人的資源プランニングシステム。
【請求項4】
前記ベンチマークデータに関する値は、前記暫定的人的資源プランにおいて専従換算値として表される、
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の人的資源プランニングシステム。
【請求項5】
前記最適化プロセッサは、欲張り探索法、タブー探索、焼きなまし法、及び遺伝的アルゴリズム、のうちの少なくとも1つを用いて前記最適化された人的資源プランを生成する、
請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の人的資源プランニングシステム。
【請求項6】
前記感度分析プロセッサは、前記人的資源プランのパラメータを個別的に調整し、前記人的資源プランに対する前記調整の効果を評価することによって、前記感度分析を実行するよう構成される、
請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の人的資源プランニングシステム。
【請求項7】
プロセッサによって読み出し可能且つ実行可能な命令を記憶している非一時的な記憶媒体であって、
前記命令は、前記プロセッサによって実行される場合に、該プロセッサに、
少なくとも医療専門知識によって医師、看護、及び非臨床支援スタッフスペシャルティユニットに定義される複数のスペシャルティユニットについての人的資源に関連したデータからベンチマークデータに関する値を含む第1の入力の組を抽出し、該第1の入力の組に基づき、病院資源の一般的概念を反映する暫定的人的資源プランを生成することと、
前記人的資源に関連したデータから患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報データ、及び一般データに関する値を含む第2の入力の組を抽出し、該第2の入力の組及び前記暫定的人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、病院資源のシミュレートされた概念を反映する擬似人的資源プランを生成することと、
前記人的資源に関連したデータから規制及び要求データ並びに多目標目的関数データに関する値を含む第3の入力の組を抽出し、該第3の入力の組及び前記擬似人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、前記規制及び要求データを満足しながら前記多目標目的関数データに対する最適解を反映する最適化された人的資源プランを生成し、該最適化された人的資源プランに含まれる各スペシャルティユニットに特有の人的資源プランを出力することと、
前記人的資源プランのパラメータに対して感度分析を実施して、前記人的資源プランにおける前記パラメータの影響力を示すレポートを作成することと
を有する人的資源プランニング方法を実行させる、
非一時的な記憶媒体。
【請求項8】
前記スペシャルティユニットは、臨床ケアエリアによって更に定義される、
請求項7に記載の非一時的な記憶媒体。
【請求項9】
前記スペシャルティユニットは、患者ベッドスペシャルティユニットを更に含む、
請求項7又は8に記載の非一時的な記憶媒体。
【請求項10】
前記ベンチマークデータに関する値は、前記暫定的人的資源プランにおいて専従換算値として表される、
請求項7乃至9のうちいずれか一項に記載の非一時的な記憶媒体。
【請求項11】
前記最適化された人的資源プランを生成することは、欲張り探索法、タブー探索、焼きなまし法、及び遺伝的アルゴリズム、のうちの少なくとも1つを使用することを含む、
請求項7乃至10のうちいずれか一項に記載の非一時的な記憶媒体。
【請求項12】
前記感度分析を実施することは、前記人的資源プランのパラメータを個別的に調整し、前記人的資源プランに対する前記調整の効果を評価することを含む、
請求項8乃至11のうちいずれか一項に記載の非一時的な記憶媒体。
【請求項13】
病院システムのための人的資源プランを作成する人的資源プランニングシステムの作動方法であって、
前記人的資源プランニングシステムは、プログラムを記憶しているメモリと、前記プログラムを実行するプロセッサと、ユーザからの入力を受けるユーザ入力デバイスと、ネットワークを通じて他のデバイスと通信する通信ユニットとを備え、
当該方法は、
前記ユーザ入力デバイス又は前記通信ユニットによって、少なくとも医療専門知識によって医師、看護、及び非臨床支援スタッフスペシャルティユニットに定義される複数のスペシャルティユニットについての人的資源に関連したデータを受け取ることと、
前記プロセッサによって、前記メモリに記憶されているプログラムを実行して、
前記人的資源に関連したデータからベンチマークデータに関する値を含む第1の入力の組を抽出し、該第1の入力の組に基づき、病院資源の一般的概念を反映する暫定的人的資源プランを生成する動作と、
前記人的資源に関連したデータから患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報データ、及び一般データに関する値を含む第2の入力の組を抽出し、該第2の入力の組及び前記暫定的人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、病院資源のシミュレートされた概念を反映する擬似人的資源プランを生成する動作と、
前記人的資源に関連したデータから規制及び要求データ並びに多目標目的関数データに関する値を含む第3の入力の組を抽出し、該第3の入力の組及び前記擬似人的資源プランにおいて特定される分布から乱数を生成することによって、前記規制及び要求データを満足しながら前記多目標目的関数データに対する最適解を反映する最適化された人的資源プランを生成し、該最適化された人的資源プランに含まれる各スペシャルティユニットに特有の人的資源プランを出力する動作と、
前記人的資源プランのパラメータに対して感度分析を実施して、前記人的資源プランにおける前記パラメータの影響力を示すレポートを作成する動作と
を実行することと
を含む、
方法。
【請求項14】
前記感度分析を実施することは、前記人的資源プランのパラメータを個別的に調整し、前記人的資源プランに対する前記調整の効果を評価することを含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各スペシャルティユニットに特有の前記人的資源プランは、医師プラン、看護士プラン、ベッドプラン、臨床支援スタッフプラン、及び非臨床支援スタッフプラン、のうちの1つ以上を含む、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して、病院システムのための最適化された人的資源(human resource)(HR)プランを作成するシステム及び方法に関係がある。それは、病院システムのための人的資源プランを生成するよう病院及び患者データの1つ以上のパラメータを最適化するシステム及び方法とともに特定の用途を見出し、それに特に関連して記載される。なお、それはまた、他の利用シナリオにおいても用途を見出し、前述の用途に必ずしも制限されないことが理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
人的資源(HR)プランニングは、ヘルスケア分野において、特に、新規に開業した病院にとって、更には既存の病院にとっても、例えば、拡張を計画するために、普及人口における人口構造の変化に対処するために、など、重大である。人員不足の病院は、患者の治療という点で効果的でなく、一方、人員過剰は、設備改修、追加のベッド、又は同様のもののためにより良く使用されたかもしれない過剰な人的資源支出を生じさせる。人員配置は、単に十分な従業員を確保するという問題ではなく、適切な医療専門化、経験及び技能レベルを持った従業員を確保する必要があるので、困難な課題である。
【0003】
人的資源プランニングのための現在のアプローチは、通常、ベンチマークデータ、予測される患者ボリュームデータ、及び他の情報(例えば、平均患者滞在時間及び平均手術/処置時間)に基づき目標の人的資源レベルを決定する。それらのデータセットは固定値として扱われ、変動は、通常は、それらの計算において考慮されない。
【0004】
病院はまた、複雑に交錯した規制を受ける。米国では、病院は、例えば、医療、雇用、及び物的なインフラのような様々な領域において、連邦政府、州、地方、及び市の規制を受け得る。同様に、複雑な規制ネットワークが多くの他の国々において存在する。患者人口統計はまた、広範囲に変化する。すなわち、1つのエリア内の病院は、たいていは心臓疾患を見込むが、他のエリア内の病院は、心臓疾患がわずかであり、他のエリアでは多くの疾患を見込む。病院における異なる規制及び要求並びにヘルスケアシステムにおける患者に関連した変動の複雑性に起因して、ヘルスケアコンサルタント及び病院管理者は、人的資源プランニングを支援する有効な分析ツールから恩恵を受け得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、前述の問題及び他を解決する新しい改善されたシステム及び方法を提供する。
【0006】
本開示は、病院において患者を治療するための資源の割り当て及び使用に対処するよう、最適化された人的資源プランの作成を支援することを目標としている。本開示は、(1)患者の到着、患者の滞在時間、手術/処置時間、などを含むヘルスケアシステムにおける変動をモデル化しシミュレートし、(2)特定の規制及び要求を満足しながら、予め定義された多目標目的関数に基づき、病院内の種々のユニットで働いている種々のタイプのヘルスケア従業員の最適な人数を決定し、(3)最適な専従換算(full-time equivalent)(FTE)値及びシミュレーションモデルに基づき、例えば、カバー率、効用及び平均残業時間のような、より大局的な出力を供給し、(4)どのパラメータが出力に対して最大の影響力を有しているかを見つけるために感度分析を利用する、システム及び方法を提供する。
【0007】
1つの態様に従って、人的資源(HR)プランニングシステムは、複数のHRスペシャルティユニットについての少なくとも患者ボリュームパラメータ及び人員配置パラメータを含む受け取られたパラメータに基づき暫定的HRプランを生成することと、パラメータ変動を表す分布を有するランダム変数として前記暫定的HRプランのパラメータを表す擬似HRプランを、受け取られたパラメータ変動データに基づき、前記暫定的HRプランから計算することと、医療施設の人員配置の目的を表す目的関数に対して前記擬似HRプランの前記ランダム変数を最適化することと、
前記最適化された擬似HRプランにおいて前記人員配置パラメータを表す前記最適化されたランダム変数から決定される、前記HRスペシャルティユニットのための人員配置プランを出力することとを含むHRプランニング方法を実施するようプログラムされた電子プロセッサを有する。
【0008】
他の態様に従って、非一時的な記憶媒体は、少なくとも医療専門知識によって医師、看護、及び非臨床支援スタッフスペシャルティユニットに定義される複数のスペシャルティユニットについての患者ボリュームパラメータ及び人員配置パラメータを含む受け取られたパラメータに基づき暫定的人的資源(HR)プランを生成することと、パラメータ変動を表す分布を有するランダム変数として前記暫定的HRプランのパラメータを表す擬似HRプランを、受け取られたパラメータ変動データに基づき、前記暫定的HRプランから計算することと、医療施設の人員配置の目的を表す目的関数及び少なくとも政府規制によって定義されている制約に対して前記擬似HRプランの前記ランダム変数の条件付き最適化を実施することと、前記最適化された擬似HRプランにおいて前記人員配置パラメータを表す前記最適化されたランダム変数から決定される、前記スペシャルティユニットのための人員配置プランを出力することとを有するHRプランニング方法を実施するよう電子プロセッサによって読み出し可能且つ実行可能な命令を記憶している。
【0009】
他の態様に従って、病院システムのための人的資源プランを作成する方法が提供される。病院データ及び目標データのうちの少なくとも1つに夫々関連する1つ以上のヘルスケアサービスに関する1つ以上の入力が、電子プロセッサで受け取られる。前記1つ以上の入力の変化がシミュレートされる。前記1つ以上の入力は、前記シミュレートされた入力の変化から最適化される。1つ以上の出力される人的資源プランは、前記最適化された入力から作成される。前記シミュレートすること、前記最適化すること、及び前記作成することは、前記電子プロセッサによって適切に実施される。
【0010】
1つの利点は、ランダム変数として適切に表される統計情報を捕らえる入力データを利用することによって人的資源プランを生成する分析ツールを提供することにある。
【0011】
他の利点は、例えばパラメータについての信頼区間(confidence intervals)又は不確実性推定(uncertainty estimates)のような統計情報を含む、より包括的な出力を有して、人的資源プランを作成することにある。
【0012】
他の利点は、病院の要求及び規制を満足しながら費用を最小限とする人的資源プランを作成することにある。
【0013】
他の利点は、将来のデータ収集のために最適なパラメータの決定を可能にする人的資源プランを作成することにある。
【0014】
本開示の更なる他の利点は、以下の詳細な説明を読み理解することで当業者に認識されるだろう。所与の実施形態は、それらの利点のうちのどれも達成しないか、あるいは、それらの利点のうちの1つ、2つ、それ以上、又は全てを達成し得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置において、並びに様々なステップ及びステップの配置において形をなし得る。図面は、好適な実施形態を説明することを単に目的とし、本開示を制限するものとして解釈されるべきではない。
図1】本開示の一態様に従う人的資源プランニングシステムを示す概略図である。
図2図1の人的資源プランニングシステムの複数のコンポーネントを示す概略図である。
図3図1の患者ケアプランシステムの使用の一例のフローチャートの例である。
図4図1の患者ケアプランシステムの使用の他の例を示す概略図である。
図5図1の人的資源プランニングシステムに関連する1つの入力のデータを示す表形式の図である。
図6図1の人的資源プランニングシステムに関連する1つの出力のデータを示す表形式の図である。
図7A図1の人的資源プランニングシステムに関連する複数の出力を示すグラフ図である。
図7B図1の人的資源プランニングシステムに関連する複数の出力を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
現在の人的資源(HR)プランニングツールは、通常、全ての入力パラメータを固定値として扱うので、ヘルスケアシステムにおける既存の変動を捕らえることができない。本願で開示されている人的資源プランニングツールでは、パラメータは、入力データとしてパラメータの分布(すなわち、統計値)を指定することをユーザに可能にするよう、ランダム変数と見なされる。現在の人的資源プランニングツールは、通常、出力として専従換算(FTE)値を報告するだけである。FTEは、フルタイムの従業員の相当値に対する作業負荷(従って、目標労働力)を表す従来単位である(なお、作業負荷は、一部の労働者がパートタイムである状態でFTEよりも多い労働者数によって、あるいは、いくらかの超過勤務に置かれた少数の労働者によって、対処され得ることがある。)。これ以上の統計値は、通常は与えられない。しかし、人的資源プランニングに従事するヘルスケアコンサルタント及び病院管理者は、様々な人員配置オプションについて期待され得る結果を彼らが理解するのを助けるよう追加情報を有したいと望むことがある。本願で開示されている人的資源プランニングツールは、例えば、カバー率、効用及び平均残業時間のような、より包括的な出力を供給し、そして、適用される病院要求及び規制を依然として満足しながら、人員配置プランの総費用を最小限とするために、数理最適化の能力を提供する。本願で開示されている人的資源プランニングツールは更には、人員配置プランのどのパラメータが最も重要であるかを決定することをユーザに可能にし、このようにして、更なるデータ収集に優先順位をつけるのを助ける。感度分析(sensitivity analysis)が提供される。これは、更なるデータ収集に優先順位をつけるためにどのパラメータがより重要であるかに関する情報を意志決定者に提供する。
【0017】
本開示は、病院システムのための最適化された人的資源プランを作成するシステム及び方法を対象とする。以下で更に詳細に説明されるように、本開示のシステム及び方法は、病院システムのための人的資源プランを生成するよう病院及び患者データの1つ以上のパラメータを最適化することを提供する。本開示は、既知のベンチマーク比に基づきFTE値を計算することの代わりに、最適な人的資源プランを見つけるためにシミュレーションを用いて変動を構成しプランを評価するよう人的資源プランを提供する。有利なことに、本開示のシステム及び方法は、(1)ヘルスケアシステムにおける変動(例えば、患者の到着、患者の滞在時間、手術/処置時間、など)をモデル化しシミュレートし、(2)特定の規制及び要求を満足しながら、予め定義された多目標目的関数に基づき、病院内の種々のユニットで働いている種々のタイプのヘルスケア従業員の最適な人数を決定し、(3)最適なFTE値及びシミュレーションモデルに基づき、より大局的な出力(例えば、カバー率、効用、平均残業時間、など)を供給し、(4)出力される人的資源ヘルスケアプランに対して最も影響力を有しているパラメータを見つけるために感度分析を利用する、プロセッサを提供する。
【0018】
図1を参照して、ブロック図は、医療施設(例えば、病院)のための人的資源(すなわち、人員配置)要求を予測し最適化する人的資源プランニングシステム10の一実施形態を表す。人的資源プランニングシステム10は、初期人員配置ニーズを計画し、そして、時間にわたる人員配置ニーズの起こり得る変化(例えば、増加)を投影するために、病院の建造前又はその間(新たに建造される病院の場合。)に稼働してよく、且つ/あるいは、既存の営業中の病院のための人的資源プランニングに関する援助を提供するよう、例えば、提供されるサービスの拡大に対処するよう、患者の人口統計の変化を考慮するよう、病院財源の予想される変化に対応するよう、などで、稼働してよい。人的資源プランニングシステム10は、例えば、病院情報源12及び患者人口統計情報源16のような、様々なソースからのデータを利用し得る。病院情報源は、病院が既に操業中である場合に、プランニングの対象である病院に特有であってよく、あるいは、新規の病院のための人的資源プランニングの場合に、同状況の病院の情報源であってよい。人的資源プランニングシステム10は、通信ネットワーク18を介してデータを取得し得る。通信ネットワーク18は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、無線ネットワーク、有線ネットワーク、セルラーネットワーク、データバス、及び同様のもの、のうちの1つ以上を含むと考えられる。追加的に、又は代替的に、人的資源プランニングのための情報は、他の方法において、例えば、人的資源プランニングシステム10を実装するコンピュータへの手動入力、データを記憶している物理媒体(例えば、光ディスク)を用いてシステム10にデータをロードすること、などによって、供給され得る。
【0019】
様々なデータがソース12、16から集められ得る。いくつかの例において、人的資源に関連したデータは、自動的に(例えば、電子データネットワーク18を介して)及び/又は手動により集められ得る。手動によりデータを集めるよう、1つ以上のユーザ入力デバイス20(例えば、キーボード、マウス、など)は、人的資源データを手動により入力するための及び/又は生成された人的資源データを表示するためのユーザインターフェイスをユーザに提供する人的資源プランニングシステム10の表示デバイス22を見ているデータ入力オペレータにより、用いられ得る。実例として、システム10へ入力され得る人的資源に関連したデータは、(1)ベンチマークデータ(例えば、人員配置バッファ、看護士に対する患者の比、資料又は他の病院からのベッド占有率、などに関する情報)、(2)患者ボリュームデータ(例えば、履歴データから備えられ得る種々のスペシャルティユニットについての外来及び入院患者の滞在の分布、など)、(3)スペシャルティ処置情報データ(例えば、外来の滞在時間、入院患者の病棟収用時間、履歴データから備えられ得る種々のスペシャルティユニットについての患者の滞在期間、など)、(4)種々雑多な一般データ(例えば、日ごとの労働時間、一年内の労働日数、患者に関連した活動の割合、など)、(5)規制及び要求データ(例えば、最低限のカバー率、最長残業時間、上級/スタッフ/アシスタント看護士の割合、など)、並びに(6)多目標目的関数データ(例えば、いくつかの異なる目標、並びに総FTE値及び平均残業時間の加重和によって最小限にされる対応する重み)を含む。病院情報源12の場合に、人的資源に関連したデータは、1つ以上の病院情報データベース24、26、28(例えば、電子医療記録システム、部門システム、及び同様のもの)に記憶されている。
【0020】
病院情報源12は、適用される政府規制及び要求データ、並びに多目標目的関数データに加えて、ベンチマークデータ、患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報データに関連した情報源を含み得る。1つの実施形態において、人的資源プランニングシステム10のユーザインターフェイスシステムは、人的資源データについての具体的設定をユーザが入力することを可能にする。それらの設定は、FTE値、利用可能な医療設備、利用可能な医療スタッフ、及び同様のものを含み得る。ユーザインターフェイスシステムは、選択の評価及び/又は比較を表示するディスプレイ22(例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、及び同様のもの)と、ユーザが患者の値及び好みを入力し且つ/あるいは評価及び/又は比較を変更するためのユーザ入力デバイス20(例えば、キーボード及びマウス)とを含む。
【0021】
人的資源プランニングシステム10のコンポーネントは、前述の機能を具現化するコンピュータ実行可能命令を実行する1つ以上の電子プロセッサ40を適切に含む。コンピュータ実行可能命令は、メモリ42に、並びに/又はハードディスクドライブ、光ディスク、若しくはプロセッサ40に関連した他の非一時的な記憶媒体42に記憶されている。更には、実例となる人的資源プランニングシステム10のコンポーネントは、通信ネットワーク18を介して通信するためのインターフェイスを1つ以上のプロセッサ40に提供する通信ユニット44を含む。なお更には、人的資源プランニングシステム10の前述のコンポーネントは個別的に記載されたが、当然ながら、コンポーネントは様々に組み合わされ得る。
【0022】
人的資源プランニングシステム10は、第1の人的資源情報データベース24、第2の人的資源情報データベース26、及び第3の人的資源情報データベース28に関連する。人的資源プランニングシステム10は、暫定的人的資源プランプロセッサ52、シミュレーションプロセッサ(すなわち、変動処理ユニット)54、及び最適化プロセッサ56を含む。暫定的人的資源プランプロセッサ52は、第1の入力の組46に基づき暫定的人的資源プラン58を生成するようプログラムされている。例えば、暫定的人的資源プランプロセッサ52は、ベンチマークデータ(例えば、人員配置バッファ、看護士に対する患者の比、資料又は他の病院からのベッド占有率、などに関する情報)に基づき、暫定的人的資源プラン58を生成する。そうするよう、暫定的人的資源プランプロセッサ52は、第1の人的資源情報データベース24からベンチマークデータに関する値(例えば、FTE値、分布データ、など)を抽出するようプログラムされたデータマイニングプロセッサ60を含む。例えば、第1の入力の組46は、予め計算されたルックアップテーブル、ニューラルネットワーク、又は同様のものへの入力である。暫定的人的資源プランプロセッサ52は、病院資源の一般的概念を反映する暫定的人的資源プラン58を生成するようプログラムされた暫定プラン生成プロセッサ62を更に含む。暫定プラン生成プロセッサ62は、暫定的人的資源プラン58を作成するために、第1の入力の組46からの入力とともに、メタヒューリスティック・メソッド(例えば、欲張り法(greedy algorithm)、タブー探索(Tabu search)、遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm)、焼きなまし法(simulated annealing)、及び同様のもの)を使用する。
【0023】
シミュレーションプロセッサ54は、第2の入力の組48及び/又は暫定的人的資源プラン58のデータの変動をモデル化するようプログラムされている。そうするよう、シミュレーションプロセッサ54は、患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報データ、及び種々雑多な一般データに関する値を抽出するようプログラムされたデータマイニングプロセッサ66を含む。同様に、データマイニングプロセッサ66は、暫定的人的資源プラン58からも同様の値を抽出するようプログラムされている。例えば、第2の入力の組48及び/又は暫定的人的資源プラン58は、予め計算されたルックアップテーブル、ニューラルネットワーク、又は同様のものへの入力である。シミュレーションプロセッサ54は、第2の入力の組48及び/又は暫定的人的資源プラン58のデータにおいて特定される分布から乱数を生成するようプログラムされている。シミュレーションプロセッサ54は、病院資源のシミュレートされた概念を反映する擬似人的資源プラン70を生成するようプログラムされた擬似プラン生成プロセッサ68を更に含む。擬似プラン生成プロセッサ68は、擬似人的資源プラン70を作成するために、第2の入力の組48及び暫定的人的資源プラン58からの入力とともに、メタヒューリスティック・メソッド(例えば、欲張り法、タブー探索、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、及び同様のもの)を使用する。
【0024】
最適化プロセッサ56は、第3の入力の組50及び/又は擬似人的資源プラン70のデータの変動をモデル化するようプログラムされている。そうするよう、最適化プロセッサ56は、規制及び要求データ並びに多目標目的関数データに関する値を抽出するようプログラムされたデータマイニングプロセッサ72を含む。同様に、データマイニングプロセッサ72は、擬似人的資源プラン70からも同様の値を抽出するようプログラムされている。例えば、第3の入力の組50及び/又は擬似人的資源プラン70は、予め計算されたルックアップテーブル、ニューラルネットワーク、又は同様のものへの入力である。最適化プロセッサ56は、第3の入力の組50及び擬似人的資源プラン70のデータにおいて特定される分布から乱数を生成するようプログラムされている。最適化プロセッサ56は、規制及び要求データのデータを満足しながら多目標目的関数データに対する最適解を反映する最適化された人的資源プラン76を生成するようプログラムされた最適プラン生成プロセッサ74を更に含む。最適プラン生成プロセッサ74は、最適化された人的資源プラン76を作成するために、第3の入力の組50及び擬似人的資源プラン70からの入力とともに、メタヒューリスティック・メソッド(例えば、欲張り法、タブー探索、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、及び同様のもの)を使用する。
【0025】
最適化された人的資源プラン76は、1つ以上の出力される人的資源プラン78を含む。1つ以上の出力される人的資源プラン78は、1つ以上の病院資源及び/又はサービスに関するデータを含むことができる。出力される人的資源プラン78の夫々は、スペシャルティ特有のプランであって、異なるスペシャルティユニットに基づき異なる。例えば、図2の1つ以上の出力される人的資源プラン78は、医師出力プラン80、看護士出力プラン82、病院ベッド出力プラン84、臨床支援スタッフ出力プラン86、及び非臨床支援スタッフ出力プラン88を含むことができる。出力される人的資源プラン78の夫々は、入力46、48及び50の夫々の最適なFTE値に基づく。出力される人的資源プラン78は、医療施設に入院している患者を治療するためにどの病院資源が割り当てられるべきかの評価を提供する。
【0026】
一例において、最適化プロセッサ56は、出力される人的資源プラン78に対してどのパラメータが最も影響力を有しているかを確かめるときに、出力される人的資源プラン78の1つのパラメータを調整するようプログラムされた感度分析プロセッサ90を含む。そうするよう、感度分析プロセッサ90は、1つ以上の出力される人的資源プラン78に関する値を抽出するようプログラムされたデータマイニングプロセッサ92を含む。例えば、1つ以上の出力される人的資源プラン78は、予め計算されたルックアップテーブル、ニューラルネットワーク、又は同様のものへの入力である。最適化プロセッサ56は、1つ以上の出力される人的資源プラン78のデータにおいて特定される分布から乱数を生成するようプログラムされている。感度分析プロセッサ90は、出力される人的資源プラン78を更に最適化するために、出力される人的資源プラン78のどのパラメータが調整されるべきかを決定する感度人的資源プランレポート94を生成する。感度分析プロセッサ90は、感度人的資源プランレポート94を作成するために、1つ以上の出力される人的資源プラン78からの入力とともに、メタヒューリスティック・メソッド(例えば、欲張り法、タブー探索、遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、及び同様のもの)を使用する。いくつかの例において、最適化プロセッサ56は、出力される人的資源プラン78を連続的にモニタし評価するようプログラムされている。他の例において、最適化プロセッサ56は、出力される人的資源プラン78の自己有効性評価(self-effectiveness evaluation)更新を生成するようプログラムされている。
【0027】
図3を参照して、病院システムのための人的資源プランを作成する方法200が提供されている。ステップ202で、病院データ及び目標データの少なくとも1つに夫々関連する1つ以上のヘルスケアサービスに関する1つ以上の入力46、48、50が受け取られる。ステップ204で、1つ以上の入力46、48、50の変化がシミュレートされる。ステップ206で、1つ以上の入力46、48、50は、シミュレートされた入力の変化から最適化される。ステップ208で、1つ以上の出力される人的資源プラン78が、最適化された入力から作成される。
【0028】
図4を参照して、人的資源プランを作成する方法300が提供されている。ステップ302で、暫定的人的資源プランプロセッサ52は、第1の入力の組(すなわち、ベンチマーク)46を受け取る。ステップ304で、暫定的人的資源プランプロセッサ52は、第1の入力の組46に基づき暫定的人的資源プラン58を生成する(図2も参照されたい。)。ステップ306で、シミュレーションプロセッサ54は、暫定的人的資源プラン58及び第2の入力の組48を受け取る。ステップ308で、シミュレーションプロセッサ54は擬似人的資源プラン70を生成する(図2も参照されたい。)。ステップ310で、最適化プロセッサ56は、擬似人的資源プラン70及び第3の入力の組50を受け取る。図4から明らかなように、それらの入力50は、例えば、政府の規制、要求、及び同様のものによって課されるような、あらゆる制約とともに、最適化されるべき多目標目的関数を含む。ステップ312で、最適化プロセッサ56は、1つ以上の出力される人的資源プラン78を生成する(図2も参照されたい。)。例えば、図2の1つ以上の出力される人的資源プラン78は、医師出力プラン80、看護士出力プラン82、病院ベッド出力プラン84、臨床支援スタッフ出力プラン86、及び非臨床支援スタッフ出力プラン88を含むことができる。ステップ314で、最適化プロセッサ56は、感度分析レポート92を生成する。
【0029】
[例]
引き続き図4を参照して、入力データは病院によって供給される。最初に、ベンチマークデータは、暫定的HRプランを生成するために使用される。ベンチマークデータは、種々のタイプのヘルスケア従業員(例えば、医師、看護士、臨床スタッフ、非臨床スタッフ)についての潜在的なFTE値の大まかな範囲であることができる。そのようなFTE範囲は、次いで、(患者ボリュームデータ、スペシャルティ処置情報及び種々雑多な一般入力とともに)シミュレーションプロセッサ54及び最適化プロセッサ56のための入力になる。このデータの大部分は、人的資源プランニングシステム10における変動を捕らえるようランダム変数として扱われる。シミュレーションプロセッサ54の核は、シミュレーションモデルであって、入力データにおいて特定される分布から乱数を生成し、最適化エンジンのための対応する統計値を供給することができる。
【0030】
図5を参照して、入力46、48及び50のうちの1つの例が示されている。この例では、入力48は患者ボリューム入力データである。平均年間患者ボリュームの点推定値に加えて、患者ボリュームデータの分布及ぶ分散の係数(平均で割った標準偏差)も与えられている。このデータセットにおいて、全ての患者ボリュームは正規分布していると考えられ、分散の係数は0.1である。これは、履歴データの欠如に起因しており、よって、予測は、極めてあいまいである。データは正規分布を含む。より一般的には、人的資源プランニングシステム10は、平均及び標準偏差と比べて多いか又は異なっているパラメータによって記述されるランダム分布を含む他の種類のランダム分布を提供することができる。
【0031】
スペシャルティ処置情報は、異なるスペシャルティユニットの間で様々であり得るデータ(例えば、患者の滞在期間、処置を必要とする外来訪問の割合及び対応する外来処置時間、看護士に対する患者の割合、など)を含む。スペシャルティに基づく入力データの大部分も、シミュレーションプロセッサ54において患者ボリュームと同様にランダム変数として扱われる。シミュレーションプロセッサ54は、入力データ48において特定される分布に従って乱数を生成する。種々雑多な一般入力は、例えば、日ごとの労働時間、一年内の労働日数、患者に関連した活動の割合、及び同様のもののような、病院内の全てのスペシャルティユニットについて同じである情報を含む。
【0032】
シミュレーションプロセッサ54が擬似人的資源プラン70を生成した後、最適化プロセッサ56は、1つ以上の最適な人的資源プラン76を生成する。規制及び要求並びに多目標目的関数モジュール(すなわち、第3の入力の組50)は、最適化された人的資源プラン76を構築するために使用される。要求は、例えば、最小限のカバー率(患者需要が正規の勤務時間において完全にカバーされ得る日数の割合)、資源有用性の範囲、最長残業時間、並びに医師及び看護士のFTEの年間変動に対する制約を含み得る。多目標目的関数は、いくつかの異なる項目の和として、重要なそれらの対応する重みを伴って定式化される。例えば、総FTE値及び平均残業時間の加重和は最小限にされ得る。
【0033】
最適化プロセッサ56において、様々なアルゴリズムが、人的資源プランニング問題を解くために使用され得る。ただ1つの実例として、高速な最初の解決法は、欲張り探索法に基づき得る。ほとんどの場合に、有限数の制約(政府の規制及び要求)が存在する。よって、目的関数は、通常、FTE値の単峰性(unimodal)関数であり、一方、高速な最初の解決法は、大域的最適解と同等である。例えば、ヒューリスティック法のような他の最適化アプローチ、例えば、タブー探索、焼きなまし法、及び遺伝的アルゴリズムが、問題を解くために用いられ得る。
【0034】
再び図4を参照して、出力される患者ケアプラン78は、医師プラン80、看護士プラン82、ベッドプラン84、臨床支援スタッフプラン86、及び非臨床支援スタッフプラン88を含む、異なる資源のためのプランである。全ての人員配置及びベッドプランは、スペシャルティ特有のプランであって、異なるスペシャルティユニットに基づき異なる。実例となる実施形態では、患者ベッドは、人的資源スペシャルティユニットとして扱われることが知られる。これは、使い勝手が良いメカニズムである。なぜなら、患者ベッドが技術的には“人的資源”でないとしても、それらは、実例となる人的資源プランニング技術において“人的資源”スペシャルティユニットとして有利に扱われるほど、人的資源プランニングと密接な関係があるからである。これは、患者ベッドの数が、人的資源である人員配置レベルとともに、最適化されることを可能にする。
【0035】
また、スペシャルティユニットは、例えば、医療訓練(又はその欠如)に関して(例えば、医師、看護士、及び非臨床スペシャルティユニットとして。)、及び/又は臨床ケアエリアによって(例えば、医師は、心臓内科医スペシャルティユニット、小児科医スペシャルティユニット、などに分けられ得る。)、様々に定義され得ることが知られる。同様に、様々な異なった患者ベッドスペシャルティユニット、例えば、心臓治療ベッドスペシャルティユニット、小児医療ベッドスペシャルティユニット、など、が存在することが考えられる。
【0036】
図6を参照して、心臓病学の医師及び看護士のための、出力される人的資源プラン78の見本が示されている。部門長及び専門、外来の医師、並びに入院患者の医師に関する情報を示されている。システム10は、医師のカバー率、効用、平均残業時間、及び全体的な医師FTE値に基づきシミュレーションモデルから生成された年間取扱件数を更に提供することができる。このデータによれば、ヘルスケアコンサルタント又は病院管理者は、彼らがこの人的資源プラン78を適用する場合に起こると期待されることのはっきりした認識を有する。
【0037】
図7Aを参照して、異なるカバー率を有する、救急看護トリアージ(emergency nursing triage)(ENT)のためのサンプル出力78が、示されている。この例では、看護士FTE値は、必要とされるカバー率が高くなるにつれて増大する。このデータはまた、カバー率パラメータを調整することによって、人的資源プランニングシステムから取得され得る。種々のタイプのヘルスケア資源についてのプランニングの主たる出力に加えて、システム10はまた、様々な入力パラメータについての感度分析レポート92を供給することができる。感度分析プロセッサ90は、どのパラメータがより重要であって、注意深く調整されるべきかを知っていることをヘルスケアコンサルタント又は病院管理者に可能にすることができる。図7Bを参照すると、医師FTE全体に対するいくつかの異なる入力パラメータの影響を表すサンプルトルネードチャートとして示されている出力プラン78が、示されている。この特定の例について、平均患者ボリューム及び平均患者時間は、全体的な医師FTE値に対して最も影響力を有している。
【0038】
本願で使用されるように、メモリは、非一時的なコンピュータ可読媒体;磁気ディスク若しくは他の磁気記憶媒体;光ディスク若しくは他の光学記憶媒体;ランダムアクセスメモリ(random access memory)(RAM)、リードオンリーメモリ(read-only memory)(ROM)、又は他の電子メモリデバイス若しくはチップ若しくは動作可能に相互接続されたチップの組;記憶されている命令がインターネット/イントラネット若しくはローカルエリアネットワークを介して取り出され得るインターネット/イントラネットサーバ;など、のうちの1つ以上を含む。更には、本願で使用されるように、プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィックプロセッシングユニット(graphic processing unit)(GPU)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit)(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array)(FPGA)、など、のうちの1つ以上を含む。ユーザ入力デバイスは、マウス、キーボード、タッチスクリーンディスプレイ、1つ以上のボタン、1つ以上のスイッチ、1つ以上のトグル、及び同様のもの、のうちの1つ以上を含み、表示デバイスは、LCDディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、タッチスクリーンディスプレイ、及び同様のもの、のうちの1つ以上を含む。別の言い方をすれば、人的資源プランニングシステム10は、プロセッサを制御するソフトウェアを担持する非一時的なコンピュータ可読媒体であることができる。
【0039】
本発明は、好適な実施形態を参照して記載されてきた。変更及び代替は、上述された説明を読んで理解することで想到可能である。本発明は、全てのそのような変更及び代替を、それらが添付の特許請求の範囲及びその均等の適用範囲内にある限りにおいて、含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B