特許第6796074号(P6796074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796074
(24)【登録日】2020年11月17日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】熱交換器およびその組立て方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20201119BHJP
   F28D 1/053 20060101ALN20201119BHJP
   F28F 21/06 20060101ALN20201119BHJP
【FI】
   F28F9/02 301B
   F28F9/02 301Z
   !F28D1/053 A
   !F28F21/06
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-545833(P2017-545833)
(86)(22)【出願日】2016年10月17日
(86)【国際出願番号】JP2016081377
(87)【国際公開番号】WO2017069280
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2015-208149(P2015-208149)
(32)【優先日】2015年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】大久保 厚
(72)【発明者】
【氏名】坂井 耐事
(72)【発明者】
【氏名】文後 卓也
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102010033850(DE,A1)
【文献】 特開2015−127631(JP,A)
【文献】 実開昭62−204185(JP,U)
【文献】 特開2002−195781(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0135220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に互いに離間してチューブ挿通孔(2)が並設され、そのチューブ挿通孔(2)に偏平チューブ(3)の端部が挿通されるヘッダプレート(1)と、
前記ヘッダプレート(1)に、環状のパッキン(7)を介して固定される樹脂製のタンク本体(5)と、を有する熱交換器であって、
前記ヘッダプレート(1)は、パッキン(7)が接するシール面(1a)とチューブ挿通孔(2)が設けられる挿通孔穿設面(1b)とが備わる底部(1c)と、前記底部(1c)の外周縁に立ち上げられ、その縁部にカシメ爪(9)が形成された周壁(8)とからなり、
前記底部(1c)の挿通孔穿設面(1b)には、前記偏平チューブ(3)の開口(3b)を超えない範囲に、周壁(8)の立ち上げ方向に突出する凸部(4)が設けられており、
前記タンク本体(5)は、その開口にフランジ部(6)が設けられ、そのフランジ部(6)の内周に沿って離間し且つ、ヘッダプレート(1)のシール面(1a)に対向して、前記フランジ部(6)の端面(6a)から突出した多数の歯部(10)と、
前記歯部(10)の間に形成され、前記偏平チューブ(3)の開口の長軸方向の側縁(3a)が前記歯部(10)の内周より前記周壁(8)側に配置されるように凹陥したチューブ端逃がし部(11)と、
各歯部(10)の外側の側面(10a)と前記フランジ部(6)の端面(6a)と前記周壁(8)の内周面との間に形成されるパッキン収容部(12)と、を具備し、
前記歯部(10)の内側の先端縁(10b)が、前記凸部(4)の外周側の縁(4a)に着座し、
前記パッキン収容部(12)と前記シール面(1a)との間にパッキン(7)が配置され、前記カシメ爪(9)によってタンク本体(5)がヘッダプレート(1)に固定され、
前記歯部(10)の側面(10a)と前記環状のパッキン(7)の間に隙間(101)が存在する熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記凸部(4)が、チューブ挿通孔(2)の並列方向に延びる直線状の突条である熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記環状のパッキン(7)が、前記偏平チューブ(3)の開口の長軸方向の側縁(3a)に接して位置決めされる熱交換器。
【請求項4】
請求項1に記載の熱交換器であって、
前記ヘッダプレート(1)のチューブ挿通孔(2)の孔縁が、周壁(8)の立ち上げ方向側に向けて立ち上げられたバーリング加工部(13)に形成され、そのバーリング加工部(13)の長軸側の側縁で、前記環状のパッキン(7)が位置決めされる熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のタンク本体とヘッダプレートおよびパッキンとからなる熱交換器であって、特に、タンク幅を縮小してコンパクトなものとすることができるタンクとヘッダプレートとの組付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された熱交換器は、樹脂製タンクの外周にフランジ部を突設し、そのフランジ部の端面が全長に渡り、ヘッダプレートの環状溝にパッキンを介して嵌着したものである。図15は、その樹脂製のタンクをヘッダプレートに取付けた状態を示す横断面図である。
また、特許文献2に記載の熱交換器は、ヘッダプレートの環状溝を可及的に小さくし、そこにパッキンを介して樹脂製タンクの端部を嵌着したものである。そのタンクの内面側は、その横断面が波形に形成され、波の凹部間に偏平チューブを配置したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189206号公報
【特許文献2】特開2015−87055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の熱交換器は、図15に示す如く、タンクのフランジ部は常にパッキンによって浮き上がる方向に力を受け、タンク本体とヘッダプレートとの位置決めが不安定になる欠点があった。
次に、引用文献2に記載の熱交換器は、パッキン溝を可及的に細くし、そこに樹脂製タンクの下端を当接したものであり、シールの耐圧等の信頼性が疑われる欠点があった。
そこで、本発明はこれらの問題点を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、長手方向に互いに離間してチューブ挿通孔2が並設され、そのチューブ挿通孔2に偏平チューブ3の端部が挿通されるヘッダプレート1と、
前記ヘッダプレート1に、環状のパッキン7を介して固定される樹脂製のタンク本体5と、を有する熱交換器であって、
前記ヘッダプレート1は、パッキン7が接するシール面1aとチューブ挿通孔2が設けられる挿通孔穿設面1bとが備わる底部1cと、前記底部1cの外周縁に立ち上げられ、その縁部にカシメ爪9が形成された周壁8とからなり、
前記底部1cの挿通孔穿設面1bには、前記偏平チューブ3の開口3bを超えない範囲に、周壁8の立ち上げ方向に突出する凸部4が設けられており、
前記タンク本体5は、その開口にフランジ部6が設けられ、そのフランジ部6の内周に沿って離間し且つ、ヘッダプレート1のシール面1aに対向して、前記フランジ部6の端面6aから突出した多数の歯部10と、
前記歯部10の間に形成され、前記偏平チューブ3の開口の長軸方向の側縁3aが前記歯部10の内周より前記周壁8側に配置されるように凹陥したチューブ端逃がし部11と、
各歯部10の外側の側面10aと前記フランジ部6の端面6aと前記周壁8の内周面との間に形成されるパッキン収容部12と、を具備し、
前記歯部10の内側の先端縁10bが、前記凸部4の外周側の縁4aに着座し、
前記パッキン収容部12と前記シール面1aとの間にパッキン7が配置され、前記カシメ爪9によってタンク本体5がヘッダプレート1に固定され
前記歯部10の側面10aと前記環状のパッキン7の間に隙間101が存在する熱交換器である。

請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱交換器であって、
前記凸部4が、チューブ挿通孔2の並列方向に延びる直線状の突条である熱交換器である。

請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の熱交換器であって、
前記環状のパッキン7が、前記偏平チューブ3の開口の長軸方向の側縁3aに接して位置決めされる熱交換器である。

請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の熱交換器であって、
前記ヘッダプレート1のチューブ挿通孔2の孔縁が、周壁8の立ち上げ方向側に向けて立ち上げられたバーリング加工部13に形成され、そのバーリング加工部13の長軸側の側縁で、前記環状のパッキン7が位置決めされる熱交換器である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の熱交換器は、タンク本体5の内周に沿って離間して突出した多数の歯部10と、その歯部10間に形成されたチューブ端逃がし部11と、各歯部10と、タンク本体5のフランジ部6の端面6aと、ヘッダプレート1の周壁8との間に形成されるパッキン収容部12と、を具備し、前記歯部10の先端縁10bが、ヘッダプレート1の凸部4の縁4aに接触し、パッキン収容部12とヘッダプレート1のシール面1aとの間にパッキン7が配置されるものである。
そして、タンク本体5の歯部10間に凹陥して形成されるチューブ端逃がし部11に偏平チューブ3の長軸側の側縁3aが挿入される構造をもつ。
そのため、偏平チューブ3の側縁3aをヘッダプレート1の凸部4の縁4aよりも周壁8側に寄せることができる。その結果、タンク本体5の幅を小さくでき、熱交換器の小型化を実現できる。
しかも、前記歯部10の先端縁10bを、前記凸部4のシール面1a側の縁4aに着座したので、タンク本体5とヘッダプレート1との位置決めを確保し、耐圧性の高い構造となる。さらに、パッキン収容部12を歯部10の側面10aと、フランジ部6の端面6a、周壁8との間に確保し、タンクのシール性を良好とすることができる。
この凸部4の一例として、請求項2のような形状を採用することができる。
また、タンク本体5の歯部10の側面10aと環状のパッキン7との間に隙間101が設けられるため、歯部10がパッキン7に乗り上げることを防止することができ、シール性を良好にすることができる。

請求項2に記載の発明は、凸部4をチューブ挿通孔の並列方向に延びる直線状の突条としたので、平面に設けたリブの効果により、ヘッダの剛性を高めることができ、チューブとヘッダの接合部の強度を高めることもできる。

請求項3に記載の発明は、請求項1の構成において、前記環状のパッキン7が、前記偏平チューブ3の開口の長軸方向の側縁3aに接して位置決めされるため、パッキン7を確実に保持して、シール性のよい構造となる。

請求項4に記載の発明は、請求項1の構成において、ヘッダプレート1のチューブ挿通孔2の孔縁にバーリング加工部13が立ち上げ形成され、そのバーリング加工部13の長軸側の側縁で、前記環状のパッキン7が位置決めされるため、パッキン7が前記バーリング加工部13の側縁で位置決めされ、パッキン7を安定して保持できるとともに、バーリング加工部13により、偏平チューブ3の挿通端部が保護される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は本発明の第1実施例の熱交換器の要部分解斜視図。
図2は同要部横断面図。
図3は同要部斜視図。
図4は同熱交換器に用いるタンク本体5の横断面図。
図5は同熱交換器に用いるヘッダプレート1の横断面図。
図6図5のVI−VI矢視要部平面図。
図7は発明の第2実施例の熱交換器の要部横断面図。
図8図7の歯部10及び弧状歯部14の外周にパッキン7を装着した状態を示す斜視図。
図9図7のIX−IX矢視図。
図10図9のX−X矢視断面図。
図11は本発明の熱交換器に用いるヘッダプレート1の他の例1を示す要部平面図。
図12図11のXII−XII矢視図。
図13は本発明の熱交換器に用いるヘッダプレート1の他の例2を示す要部平面図。
図14は本発明の熱交換器に用いるヘッダプレート1の他の例3を示す要部平面図。
図15は従来型熱交換器の要部横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面に基づいて本発明の熱交換器につき、説明する。
【実施例1】
【0009】
図1図6は、本発明の第1実施例を示している。
この熱交換器は、図1に示す如く、多数の偏平チューブ3が並列され、その偏平チューブ3の両開口3bの端部が一対のヘッダプレート1(下部側のタンクを省略する)の長手方向に並列して穿設されたチューブ挿通孔2に挿通される。そして、各チューブ3間にコルゲートフィンを配置してコアが形成され、高温の炉内でコアの各部品が一体にろう付けされる。ろう材は、予め、各部品間に塗布され、又は部材に被覆される。
このヘッダプレート1は、金属板(アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)のプレス成型よりなり、その底部1cの外周縁に側壁8が立ち上げられる皿状のものであり、側壁8の先端縁には、カシメ爪9が離間して突設されている。その各ヘッダプレート1の底面1cは、チューブ挿通孔2が穿設される挿通孔穿設面1bと、その外周と側壁8との間にパッキンが載置されるシール面1aが設けられる。
そのシール面1aにパッキン7が載置された状態で、タンク本体5がそこに被嵌される。タンク本体5は樹脂の射出成型により形成されたフランジ部6を有し、周縁に突設されたカシメ爪9によりタンク本体5がコアに固定される。
ここで、本発明は、樹脂製のタンク本体5とヘッダプレート1との組み付けの構造に特徴がある。このタンク本体5は、一つの面を開放する略方形箱状に形成され、その開放端の外周にフランジ部6が環状に形成される。それとともに、図1図4に示す如く、タンク本体5の内面側の内周面に沿って、多数の歯部10が、突設されている。
その歯部10は、タンク本体5のフランジ部6の端面6aから突出しており、タンク本体5の長手方向の両端には、一対の弧状歯部14(左側を省略する。)が突設される。各歯部10と一対の弧状歯部14の端面6aからの突出長さは、同一である。
即ち、タンク本体5の端面6aと歯部10の外側の側面10aは、図2図3に示す如く、タンク本体5の幅方向の横断面がL字状の段差を形成する。
これらの各歯部10間には、偏平チューブ3のチューブ挿通孔2の位置に整合するように、チューブ端逃がし部11が凹陥して形成される。このチューブ端逃がし部11は、図1図3に示す如く、フランジ部6の端面6aに向かって、タンク本体5の幅方向の横断面が頭部のない逆「J」の字状に凹陥している。
次に、ヘッダプレート1には、図5図6に示す如く、その底面1cの挿通孔穿設面1bの長手方向に並列するように、チューブ挿通孔2が定間隔に穿設される。チューブ挿通孔2の孔縁部には、ヘッダプレート1の周壁8の立ち上げ方向に向かって立ち上げられたバーリング加工部13が形成される。そして、各チューブ挿通孔2に隣接する位置に、周壁8の立ち上げ方向に向けて凸部4が突設される。そして図2に示す如く、その凸部4の外側の縁4aにタンク本体5の先端縁10bが当接するようになっている。
図1図6の例では、その凸部4は、挿通孔穿設面1bの全体に亘りヘッダプレート1の内面底部1cから平面状に盛り上がった形状になっている。ヘッダプレート1の内面底部1cからの突出高さH1は、図5に示す如く、内面底部1cから偏平チューブ3の挿通された開口端部までの高さH2を超えないように形成される。
この凸部4を設けることにより、タンク本体5の歯部10を位置決めし、タンク本体5の横ずれを防止することができる。また、バーリング加工部13を設けることにより、タンク本体5に外力が加わった時に、偏平チューブ3の挿通端部にその外力が直接伝わって、偏平チューブ3の端部が変形することを防止できる。
この例では、凸部4の外側の縁4aとヘッダプレート1の周壁8との間に環状の溝形のシール面1aが形成される。
このような熱交換器のコアに樹脂製のタンク本体5を組み付ける際、予め、ヘッダプレート1のシール面1aに環状のパッキン7を配置する。その時、パッキン7の内周は、バーリング加工部13の長軸側の側縁に当接し、パッキン7が位置決めされる。
次いで、タンク本体5をヘッダプレート1に被嵌する。タンク本体5のフランジ部6の端面6aがパッキン7を介してシール面1aに載置される。その際、図2に示す如く、タンク本体5の歯部10と弧状歯部14の内側の先端縁10bが、ヘッダプレート1の凸部4の外側の縁4aに当接し、タンク本体5が位置決めされる。
その時、溝状のシール面1aと周壁8、歯部10の側面10aと、フランジ部6の端面6aとにより、環状のパッキン収容部12が形成され、そのパッキン収容部12にパッキン7が配置される構造になる。
バーリング加工部13の長軸側の側縁は、タンク本体5の歯部10の外側の側面10aより突出するように形成されているため、タンク本体5の歯部の外側の側面10aとパッキン7の内周との間に隙間101が生じる。このことにより、歯部10がパッキン7に乗り上げることが防止でき、良好なシール性を保つことができる。
また、各偏平チューブ3は、図2及び図3から明らかなように、ヘッダプレート1のバーリング加工部13のチューブ挿通孔2に挿通され、その側縁3aが各歯部10間のチューブ端逃がし部11に挿入される。それにより、偏平チューブ3の開口3bの長軸方向の側縁3aは、周壁8側に突出される。そしてその側縁3aは、タンク本体5の歯部10の先端縁10bよりも、周壁8側に位置される。その結果、周壁8の幅が縮小され、コンパクトな構造となる。
次いで、この状態で、ヘッダプレート1の周壁8の端部のカシメ爪9を、タンク本体5のフランジ部6側にカシメることにより、タンク本体5をコアに固定し、熱交換器を完成する。この時、パッキン7はシール面1a側に押圧され、水密構造を形成する。
図面では、本願の特徴となる部分を強調して記載しているため、熱交換器のタンク内部に流体を流通させる流体出入口等の必要な部分は、省略して記載している。それらは、タンク本体5を樹脂成型する際、タンク本体5と同時に形成される。
【実施例2】
【0010】
図7図11は、本発明の第2実施例を示している。
第1実施例との違いは、図7に示す如く、パッキン7がタンク本体5の歯部10に接している点である。また、その組み立ての際、予め、図8に示す如く、パッキン7をタンク本体5の歯部10の外周の側面10aに被着することで、容易に組立てることができる組立て方法に特徴がある。
タンク本体5の構造と、ヘッダプレート1の構造は、第1実施例と同様なので説明を省略する。
第2実施例では、図8に示す如く、タンク本体5のフランジ部6の端面6aと歯部10,弧状歯部14の外側の側面10aとからなる段差に、予め、環状のパッキン7を引き延ばした状態で、その内周に被着する。その時、パッキン7は、歯部10,弧状歯部14の先端面より下側に、段差15の分だけ僅かに突出する。
その状態で、タンク本体5をヘッダプレート1に被嵌し、押圧すると、その段差15の分が押圧されて、図9図10に示すように、パッキン7の内周7bが押し出されて、各偏平チューブ3のチューブ挿通孔2のバーリング加工部13の長軸側の側縁に当接されて、パッキン7が位置決めされる。この状態で、タンク本体5のフランジ部6に周壁8のカシメ爪9がカシメられて、タンク本体5とコアが固定される。
上記2つの実施例では、チューブ挿通孔2の孔縁にバーリング加工部13を設けた例により説明してきたが、バーリング加工部13を設けずに、そのまま偏平チューブ3をヘッダプレート1に挿通することもできる。この場合、パッキン7の内周を、偏平チューブ3の挿通された端部の側縁3aに接触させ、パッキン7を位置決めすることもできる。
また、図面では、チューブ端逃がし部11の形状を横断面が頭部のない逆「J」の字状に凹陥する構成をとるが、チューブ端を無理なく挿通できる形状であれば、これに限定されるものではない。
(ヘッダプレート1の凸部4の形状の他の例)
さらに、ヘッダプレート1の凸部4の形状は、図11図12に示す如く、チューブ挿通孔2の間に直線状に延びる突条とすることができる。また、図13に示す如く、チューブ挿通孔2の並列方向に延びる直線状の突条とすることもできる。さらに、図14に示す如く、ディンプル状の突起を設けて凸部4とすることで、タンク本体5の歯部10の位置ずれ防止を行うこともできる。
ヘッダプレート1に設ける凸部4の形状は、本発明の凸部4の効果(少なくとも、タンク本体5の歯部10の位置ずれ防止機能)を奏するものであればよいので、上記の実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0011】
1 ヘッダプレート
1a シール面
1b 挿通孔穿設面
1c 底部
2 チューブ挿通孔
3 偏平チューブ
3a 側縁
3b 開口
4 凸部
4a 縁
5 タンク本体
6 フランジ部
6a 端面
7 パッキン
7b 内周
8 周壁
9 カシメ爪
10 歯部
10a 側面
10b 先端縁
11 チューブ端逃がし部
12 パッキン収容部
13 バーリング加工部
14 弧状歯部
15 段差
101 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15