(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多孔性ウォールフロー基材が、交互に塞がれた入口端および出口端を有するハニカム基材であり、その結果、ウォールフロー基材の各壁が、それぞれ、入口チャネルの表面である第1の表面および出口チャネルの表面である第2の表面を有する、請求項1または2に記載の触媒スートフィルタ。
触媒スートフィルタが、触媒スートフィルタの上流に位置する内燃機関をさらに含む排出物処理系に含有され、内燃機関が触媒スートフィルタと流体連結している、請求項1から6のいずれか一項に記載の触媒スートフィルタ。
(i)入口端、出口端、入口端と出口端の間に延びる基材軸方向長さ、およびウォールフロー基材の内壁により画定されている複数のチャネルを含む多孔性ウォールフロー基材を用意する工程であり、複数のチャネルが、開いた入口端および閉じた出口端を有する入口チャネル、ならびに閉じた入口端および開いた出口端を有する出口チャネルを含む、工程、
(ii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いてパラジウム化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、パラジウム成分を含有する第1のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第1のスラリーが、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いて白金化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、白金成分を含有する第2のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第2のスラリーが、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iv)蒸留水中に固形SCR触媒を懸濁し、第3のスラリーを得るために、生じた混合物を任意に粉砕する工程であり、前記第3のスラリーが、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(v)ウォールフロー基材の入口端を、入口端から延びる基材軸方向長さのx%まで第1のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁の一部をコーティングし、0<x<100である、工程、
(vi)第1のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(vii)ウォールフロー基材の出口端を、出口端から延在する基材軸方向長さの100−x%まで第2のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の出口チャネル壁の一部をコーティングする工程、
(viii)第2のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、出口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(ix)ウォールフロー基材の入口端を、基材軸方向全長に沿って第3のスラリーに浸すが、ウォールフロー基材の出口端の面にスラリーを接触させないことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁をコーティングする工程、
(x)第3のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(xi)コーティングされているウォールフロー基材を、任意に乾燥および/またはか焼する工程を含む、触媒スートフィルタを製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明は、多孔性ウォールフロー基材、選択触媒還元(SCR)のための触媒、パラジウム成分および白金成分を含む触媒スートフィルタであって、
ウォールフロー基材は、入口端、出口端、入口端と出口端の間に延びる基材軸方向長さ、およびウォールフロー基材の内壁により画定されている複数のチャネルを含み、複数のチャネルは、開いた入口端および閉じた出口端を有する入口チャネル、ならびに閉じた入口端および開いた出口端を有する出口チャネルを含み、
SCR触媒は、入口チャネル壁の表面全体、およびSCR触媒でコーティングされているチャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、
パラジウム成分は、入口チャネル壁の表面の一部、およびパラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、パラジウム成分でコーティングされている入口チャネル壁部分は、入口端から基材軸方向長さのx%まで延在し、0<x<100であり、
白金成分は、出口チャネル壁の表面の一部、および白金成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面内におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、白金成分でコーティングされている出口チャネル壁部分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する、
触媒スートフィルタに関する。
【0011】
本発明による触媒スートフィルタの入口および出口チャネル壁のそれぞれに、パラジウムおよび白金成分のそれぞれが付与される程度に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、原則として、入口チャネル壁の任意の部分は、入口端から基材の軸方向全長未満まで延在するパラジウム成分を備えることができ、したがって出口チャネル壁の任意の部分は、出口端から基材の軸方向全長未満の長さまで延在する白金成分を備えることができるが、但し、入口端から付与されるパラジウム成分の長さおよび出口端から付与される白金成分の長さが、基材軸方向長さ、すなわちその100%に達することが条件である。したがって、例として、xは、5から95の範囲のいずれでもよく、xは好ましくは15から85、より好ましくは25から75、より好ましくは35から65、より好ましくは45から55の範囲に及ぶ。
【0012】
触媒スートフィルタに用いられる多孔性ウォールフロー基材に関しては、その形状および寸法にも、それが作られる材料に関しても、細かい制約は適用されない。しかし、本発明によれば、多孔性ウォールフロー基材は、交互に塞がれた入口端および出口端を有するハニカム基材であり、その結果、ウォールフロー基材の各壁が、それぞれ、入口チャネルの表面である第1の表面および出口チャネルの表面である第2の表面を有することが好ましい。
【0013】
したがって、触媒スートフィルタに含有されるウォールフロー基材の壁の多孔率についても同じことが当てはまり、その結果、前記多孔率は、40から85%の範囲のいずれでもよく、好ましくは45から80%、より好ましくは50から75%、より好ましくは55から70%の範囲に及び、より好ましくは60から65%の範囲である。本出願で定義されている多孔率に関しては、前記多孔率は、水銀圧入法により、より好ましくはISO 15901−1:2005に従って得られることが好ましい。
【0014】
本発明の触媒スートフィルタに用いられるウォールフロー基材の壁の平均細孔径に関しては、やはり細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な平均細孔径を示すウォールフロー基材が用いられ得る。したがって、例として、基材の壁の平均細孔径は、5から50μmの範囲、好ましくは10から40μm、より好ましくは13から35μm、より好ましくは15から30μm、より好ましくは17から25μm、より好ましくは18から22μmの範囲であってよい。多孔率に関しては、基材の壁の平均細孔径は、コーティングされていないウォールフロー基材、すなわち、SCR触媒ならびにパラジウムおよび白金成分がそこに付与される前のものであることに留意されたい。さらに、基材の多孔率に関しては、好ましくは、本出願で定義されている壁の平均細孔径も、水銀ポロシメトリーにより判定され、より好ましくはISO 15901−1:2005に従って得られる平均細孔径を指す。
【0015】
前述のように、ウォールフロー基材を構成する材料に対して細かい制約はなく、その結果、例として材料は、金属、金属酸化物およびセラミック材料からなる群から選択される1つまたは複数を含み得、好ましくは、ウォールフローフィルタを構成する材料は、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つまたは複数を含み、より好ましくは、ウォールフロー基材は、コーディエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素、好ましくは炭化ケイ素でできている。
【0016】
入口端から延在する入口チャネル壁の表面に付与されるSCR触媒およびパラジウム成分に関してはいずれも、チャネル壁の表面に直接付与される成分、ならびに、パラジウムおよびSCR成分の両方で入口端からコーティングされているチャネル壁部分の細孔表面に直接付与される成分に対して、制約はない。しかし、本発明によれば、パラジウム成分は、チャネル壁の表面に直接付与され、また、第1のコーティング層中のパラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分内における細孔表面に直接付与されていることが好ましく、SCR触媒は、パラジウム成分がチャネル壁の表面に直接付与されているウォールフロー基材部分における、パラジウム成分の前記第1のコーティング層上に、および、パラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分を有する細孔表面に、第2のコーティング層として付与される。
【0017】
本発明によれば、SCR触媒、パラジウム成分および白金成分は、それぞれ、ウォールフロー基材のチャネル壁の表面に付与され、ならびにそれらでコーティングされているチャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部にも付与される。したがって、それぞれの触媒成分は、それぞれが付与されているウォールフロー基材部分におけるチャネル壁に浸透し、その結果、それぞれの触媒成分でコーティングされている部分の真下において、ウォールフロー基材の壁内に含有されている細孔の少なくとも一部が、それらで均等にコーティングされている。本発明によれば、コーティングされている部分の下におけるチャネル壁内に位置している細孔それ自体が、触媒成分でコーティングされる程度に関して細かい制約はなく、その結果、本発明によって示される実現し得るものは、チャネル壁の表面のすぐ近くに位置しているチャネル壁内の細孔のみのコーティングから、それぞれの触媒成分でコーティングされている表面下のチャネル壁内に位置している実質的にすべての細孔表面のコーティングにまで及ぶ。本発明の意味の範囲内で、チャネル壁内の細孔表面のコーティングは、それぞれの触媒成分でコーティングされている所定の細孔内の表面の一部のみを包含する。したがって、例として、SCR触媒に関しては、SCR触媒でコーティングされている入口チャネル壁の表面からコーティングされていないチャネル壁の厚さの10%以上の深さまで延在するSCR触媒でコーティングされているチャネル壁の表面の下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され得る。しかし、本発明によれば、SCR触媒は、SCR触媒でコーティングされている入口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの15%以上の深さまで、より好ましくは、コーティングされていない基材の壁の厚さの20%以上の深さまで、より好ましくは、35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上の深さまで、より好ましくは70%以上の深さまで延在するSCR触媒でコーティングされているチャネル壁の表面下のチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与されることが好ましい。
【0018】
したがって、パラジウム成分に関しても同じことが当てはまり、その結果、本発明によれば、パラジウム成分は、例として、パラジウム成分でコーティングされている入口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの10%以上の深さまで延在する、パラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され得、好ましくは、パラジウム成分は、表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの15%以上、より好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上の深さまで、より好ましくは70%以上の深さまで延在する、パラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与される。
【0019】
SCR触媒およびパラジウム成分に関しては、白金成分は、例として、白金成分でコーティングされている出口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの10%以上の深さまで延在する、白金成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に適切に付与され得、好ましくは、白金成分は、表面からコーティングされていない基材の壁の厚さの15%以上の深さまで、より好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上の深さまで、より好ましくは70%以上の深さまで延在する、白金成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下における、チャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与される。
【0020】
本発明による触媒スートフィルタに含まれるSCR触媒に関しては、そこに含有される材料に対して細かい制約は適用されないが、但し、アンモニアを用いた還元によるNO
XのN
2への選択触媒還元が前記材料により触媒できることが条件である。したがって、任意の適切なSCR活性物質がSCR触媒に含まれ得る。しかし、本発明によれば、SCR触媒は、1種または複数のゼオライト、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFI、MORからなり、それらの2つ以上の混合構造およびそれらの組合せを含む群から、より好ましくはBEA、CHA、LEV、MFIからなり、それらの2つ以上の混合構造およびそれらの組合せを含む群から選択される構造型を有する1種または複数のゼオライトを含むことが好ましく、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、BEAおよび/またはCHA構造型、好ましくはCHA構造型のものであり、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは菱沸石を含み、1種または複数のゼオライトは、好ましくは菱沸石である。
【0021】
本発明によれば、本発明の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかに従って、SCR触媒により含まれる1種または複数のゼオライトは、1種または複数の遷移金属を含有することがさらに一層好ましい。好ましくは1種または複数のゼオライトに含有される、好ましくは、SCR触媒により含まれる、1種または複数の遷移金属に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、原則として、任意の考えられる遷移金属がそこに含有され得る。しかし、本発明によれば、1種または複数のゼオライトは、Pt、Pd、Rh、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、V、Nbおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属、より好ましくはCu、Co、Cr、Ni、Feおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属を含有することが好ましく、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、Cuおよび/またはFeを含有し、好ましくはCuを含有する。
【0022】
触媒スートフィルタのSCR触媒に好ましくは含まれる1種または複数のゼオライトが、1種または複数の遷移金属を含有する、本発明の詳細かつ好ましい実施形態に関し、それぞれの遷移金属が1種または複数のゼオライトに含有される状態について、特に、1種または複数の遷移金属がゼオライト中に導入される方法について、細かい制約はない。しかし、本発明によれば、好ましくはSCR触媒に含まれる1種または複数のゼオライトに含有される1種または複数の遷移金属は、好ましくは、イオン交換および/または含浸によりゼオライト中に導入されることが好ましく、1種または複数の遷移金属は、イオン交換によりそこに導入されることが特に好ましい。
【0023】
本発明の触媒スートフィルタに含有される1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数の好ましいゼオライトの量に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、これらは、任意の適切な量でそこに含有され得る。したがって、例として、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、か焼した状態で、かつ触媒スートフィルタの合計体積に対して、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトの合計質量として計算して、0.05から5g/in
3のいずれかに及ぶ量で、SCR触媒として触媒スートフィルタに含有され得る。しかし、本発明によれば、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、触媒スートフィルタに含有されることが好ましい。か焼した状態で、かつ触媒スートフィルタの合計体積に対して、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトの合計質量として計算して、0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で、触媒スートフィルタに含有されることが好ましい。
【0024】
本発明の意味の範囲内で、「か焼した状態」という用語は、好ましくは、1種または複数のゼオライトが、空気中で450℃にて1時間か焼した後に、1種または複数の遷移金属を任意に含有する状態を指す。
【0025】
触媒スートフィルタにおいてウォールフロー基材に付与されるSCR触媒の粒子径に関して、細かい制約は適用されないが、粒子が、入口チャネル壁の表面に付与できるだけではなく、チャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部にも付与できることが条件である。これを達成するためには、SCR触媒の平均粒径D90が、基材の壁の平均細孔径の25%以下であることが好ましい。したがって、例として、SCR触媒の平均粒径D90は、0.5から20μmの範囲のいずれでもよく、より好ましくは、平均粒径D90は1から15μm、より好ましくは3から10μm、より好ましくは4から8μm、より好ましくは5から7μmの範囲に及ぶ。
【0026】
本発明によれば、平均粒径D90は、好ましくはレーザ回折から得られ、より好ましくはISO 13320:2009に従って得られる粒径分布から計算される平均粒径を指す。
【0027】
本発明によれば、触媒スートフィルタに付与され得るパラジウム成分、または白金成分の量に関して細かい制約はない。したがって、パラジウム成分に関しては、触媒スートフィルタに、特に、入口から基材軸方向長さのx%まで延在するパラジウム成分でコーティングされている触媒スートフィルタの部分に、元素として計算して、また、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、パラジウムが0.5から20g/ft
3のいずれかに及ぶ量で含有され得る。しかし、本発明によれば、パラジウム成分は、入口端から基材軸方向長さのx%まで延在するパラジウム成分でコーティングされている触媒スートフィルタ部分に、好ましくは1から15g/ft
3、より好ましくは2から10g/ft
3、より好ましくは2.5から8g/ft
3、より好ましくは3から7g/ft
3、より好ましくは3.5から6.5g/ft
3、より好ましくは4から6g/ft
3、より好ましくは4.5から5.5g/ft
3に及ぶ量で含有される。
【0028】
したがって、白金成分の量に対しても同じことが当てはまり、その結果、例えば、白金成分は、触媒スートフィルタに、特に、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する白金成分でコーティングされている触媒スートフィルタ部分に、元素として計算して、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、白金が0.05から20g/ft
3に及ぶ量で含有され得る。本発明によれば、白金成分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する白金成分でコーティングされている触媒スートフィルタ部分に、0.1から15g/ft
3に及ぶ量で、より好ましくは0.2から10g/ft
3、より好ましくは0.4から7g/ft
3、より好ましくは0.6から5g/ft
3、より好ましくは0.8から4g/ft
3、より好ましくは1から3g/ft
3、より好ましくは1.5から2.5g/ft
3の量で含有されることが好ましい。完全を期すために、本出願の意味の範囲内において、触媒スートフィルタにおける材料および立方インチ当たりのグラムまたは立方フィート当たりのグラムとして表現される他の触媒モノリスの量は、モノリスの体積当たり(触媒)成分1グラムとしての当該材料の装填を反映することに留意されたい。このような趣旨で、モノリスまたはハニカムの体積は、断面積および長さに基づいて計算される。
【0029】
本発明によれば、触媒スートフィルタに含有されるパラジウムおよび/または白金は、任意の適切な手法でウォールフロー基材に付与され得、その結果、白金および/またはパラジウムは、ウォールフロー基材に直接含有され得、かつ/または、別の担持材料上の触媒スートフィルタに含有され得、その後ウォールフロー基材に付与される。しかし、本発明によれば、白金および/またはパラジウム、好ましくは白金およびパラジウムの両方が、担持材料に、特に、微粒子状担持材料に担持され、その後触媒スートフィルタのウォールフロー基材で担持されることが好ましい。したがって、本発明によれば、パラジウム成分は、微粒子状担持材料で担持されているパラジウムを含み、かつ/または、好ましくは、白金成分は、微粒子状担持材料で担持されている白金を含むことが好ましい。前記詳細かつ好ましい実施形態に従って用いられ得る担持に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な微粒子状担持材料を、これらの末端に用いることができる。したがって、例として、パラジウムおよび/または白金がそれぞれ担持されている微粒子状担持材料は、互いに独立して、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、セリア、セリア−アルミナ、バリア−セリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され得、より好ましくは、微粒子状担持材料はアルミナ−シリカを含み、アルミナは、100質量%のアルミナ−シリカに対して、好ましくは0.5から25質量%のシリカ、より好ましくは1から15質量%のシリカ、より好ましくは2から10質量%のシリカ、より好ましくは3から8質量%のシリカ、より好ましくは4から6質量%でドープされる。
【0030】
SCR触媒に関しては、パラジウムおよび/または白金が担持されている微粒子状担持材料の大きさに対して細かい制約は適用されないが、但し、粒子が入口および出口チャネル壁のそれぞれの表面に付与できるだけではなく、チャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部にも付与されることが条件である。これを達成するためには、パラジウムおよび/または白金が担持される微粒子状担持材料の平均粒径D90は、基材の壁の平均細孔径の25%以下であることが好ましい。したがって、例として、微粒子状担持材料の平均粒径D90は、0.5から20μmの範囲のいずれでもよく、より好ましくは、平均粒径D90は1から15μm、より好ましくは2から10μm、より好ましくは3から8μm、より好ましくは4から6μmの範囲に及ぶ。
【0031】
本発明によれば、本発明の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる微粒子状担持材料が、パラジウム成分に含有され得る量に関しては、細かい制約はない。したがって、例として、パラジウム成分は、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.01から1g/in
3のいずれかに及ぶ量で微粒子状担持材料を含み得、好ましくは、微粒子状担持材料は、0.02から0.6g/in
3、より好ましくは0.04から0.4g/in
3、より好ましくは0.06から0.3g/in
3、より好ましくは0.08から0.25g/in
3、より好ましくは0.1から0.2g/in
3、より好ましくは0.12から0.18g/in
3に及ぶ量でパラジウム成分に含まれる。本発明によれば、パラジウム成分は、0.14から0.16g/in
3に及ぶ量で微粒子状担持材料を含むことが特に好ましい。
【0032】
したがって、白金成分に含まれる微粒子状担持材料に対しても同じことが当てはまる。したがって、本発明の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかに従って、白金成分に含有され得る微粒子状担持材料の量に関して細かい制約はない。それゆえ、例として、白金成分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.005から0.25g/in
3のいずれかに及ぶ量で微粒子状担持材料を含み得、好ましくは、微粒子状担持材料は、0.01から0.15g/in
3、より好ましくは0.02から0.1g/in
3、より好ましくは0.03から0.08g/in
3、より好ましくは0.04から0.06g/in
3に及ぶ量で白金成分に含まれる。本発明によれば、白金成分は、0.045から0.055g/in
3に及ぶ量で微粒子状担持材料を含むことが特に好ましい。
【0033】
最終的に、SCR触媒が触媒スートフィルタに含有され得る量に関しては、やはり細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な量がそこに塗布できる。したがって、例として、SCR触媒は、触媒スートフィルタの合計体積に対して0.05から5g/in
3のいずれかに及ぶ量で触媒スートフィルタに含有され得る。しかし、本発明によれば、SCR触媒は、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で触媒スートフィルタに含有される。
【0034】
本発明によれば、先に定義したその詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタは、特に排ガス管などにおいて、それ自体をそのまま用いても、1つまたは複数のさらなる触媒および/または非触媒成分と組み合わせて用いてもよい。したがって、本発明はさらに、排出物処理系であって、触媒スートフィルタが、その上流に位置する内燃機関をさらに含む前記排出物処理系に含有され、内燃機関は、触媒スートフィルタと流体連結しており、内燃機関は、好ましくはディーゼル機関である排出物処理系に関する。さらに、排出物処理系は、触媒スートフィルタと流体連結しているリーンNO
Xトラップ(LNT)をさらに含むことが好ましく、LNTは、触媒スートフィルタの上流に位置している。
【0035】
本発明の触媒スートフィルタは、パッシブSCRを利用する排出物処理系に高度に有効であるが、本発明による排出物処理系が、アンモニア源および/または1つもしくは複数の炭化水素源を、内燃機関からの排ガス流中に、あるいは、アンモニアがin situで生成される系中に、および/または、ある特定の時点でNO
x変換を達成するための特殊な要求に応じたパッシブSCR系に加えて、注入する手段をさらに含み得ることも除外されない。したがって、本発明によれば、排出物処理系は、アンモニア源および/または1つもしくは複数の炭化水素源を、内燃機関からの排ガス流中に注入する手段をさらに含むことが好ましく、前記注入する手段は、触媒スートフィルタの上流に位置している。
【0036】
本発明は、触媒スートフィルタを提供することに加えて、触媒スートフィルタを製造する方法、特に、本出願で定義されているその詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる、本発明の触媒スートフィルタを製造するための方法に関する。したがって、本発明は、触媒スートフィルタを製造する方法、好ましくは、本出願の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタを製造する方法にさらに関し、前記方法は、
(i)入口端、出口端、入口端と出口端の間に延びる基材軸方向長さ、およびウォールフロー基材の内壁により画定されている複数のチャネルを含む多孔性ウォールフロー基材を用意する工程であり、複数のチャネルは、開いた入口端および閉じた出口端を有する入口チャネル、ならびに閉じた入口端および開いた出口端を有する出口チャネルを含む工程、
(ii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いてパラジウム化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、パラジウム成分を含有する第1のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第1のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いて白金化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、白金成分を含有する第2のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第2のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iv)蒸留水中に固形SCR触媒を懸濁し、第3のスラリーを得るために、生じた混合物を任意に粉砕する工程であり、前記第3のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(v)ウォールフロー基材の入口端を、入口端から延びる基材軸方向長さのx%まで第1のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁の一部をコーティングし、0<x<100である、工程、
(vi)第1のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは出口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている入口チャネルへと空気を吹き込むことにより、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(vii)ウォールフロー基材の出口を、出口端から延びる基材軸方向長さの100−x%まで第2のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の出口チャネル壁の一部をコーティングする工程、
(viii)第2のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは入口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている出口チャネルへと空気を吹き込むことにより、出口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程
(ix)ウォールフロー基材の入口端を、基材軸方向全長に沿って第3のスラリーに浸すが、ウォールフロー基材の出口端の面にスラリーを接触させないことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁をコーティングする工程、
(x)第3のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは出口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている入口チャネルへと空気を吹き込むことにより、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(xi)コーティングされているウォールフロー基材を、任意に乾燥および/またはか焼する工程を含む。
【0037】
本発明の、触媒スートフィルタを製造するための方法は、(v)、(vii)および(ix)で定義されている多孔性ウォールフローフィルタ基材のそれぞれの部分をコーティングする、3つの工程を含む。個々のコーティング工程の間、および多孔性ウォールフロー基材のコーティングが完了した後で、工程(vi)、(viii)および(x)において、個々のコーティング工程から過剰なスラリーがそれぞれ除去される。最終的に、コーティングされている多孔性ウォールフロー基材は、好ましくは、任意の工程(xi)において乾燥および/またはか焼する工程を施される。しかし、さらなるコーティングを適用する前に、個々のコーティングがウォールフロー基材に十分に固定されることを確実にするために、本発明の方法に従って、工程(vi)と(vii)の間、および/または好ましくは工程(viii)と(ix)の間で、コーティングされているウォールフローフィルタ基材に乾燥および/またはか焼する工程を施すことが好ましい。
【0038】
触媒スートフィルタを製造する本発明の方法に用いられる、1つまたは複数の好ましい乾燥および/またはか焼する工程に用いられ得る温度に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、原則として、コーティングされている多孔性ウォールフロー基材をそれぞれ乾燥および/またはか焼するための、任意の温度が用いられ得る。したがって、乾燥させる工程に関しては、個々の工程は、互いに独立して、50から200℃の範囲のいずれかに含まれる乾燥の温度にて実施され得、1つまたは複数の乾燥させる工程における、乾燥の温度は、互いに独立して、好ましくは70から180℃、より好ましくは80から150℃、より好ましくは90から130℃、より好ましくは100から120℃の範囲である。
【0039】
したがって、250から800℃の範囲のいずれでもよい1つまたは複数のか焼する工程における、か焼の温度に関しても同じことが当てはまり、本発明の方法によれば、1つまたは複数のか焼する工程における、か焼の温度は、互いに独立して、好ましくは300から600℃、より好ましくは350から550℃、より好ましくは400から500℃、より好ましくは430から480℃、より好ましくは440から460℃の範囲である。
【0040】
本発明の方法に含まれる、1つまたは複数のか焼する工程の持続時間に関しても、やはり細かい制約は適用されないが、但し、か焼した、コーティングされている多孔性ウォールフロー基材が得られることが条件である。したがって、例として、1つまたは複数のか焼する工程におけるか焼の持続時間は、互いに独立して、0.1から5時間に及び得、本発明の方法によれば、1つまたは複数のか焼する工程におけるか焼の持続時間は、互いに独立して、好ましくは0.3から3時間、より好ましくは0.5から2時間、より好ましくは0.7から1.5時間、より好ましくは0.8から1.3時間、より好ましくは0.9から1.1時間の範囲である。
【0041】
第1および第2のスラリーのそれぞれが、本発明による触媒スートフィルタの入口および出口チャネル壁のそれぞれに付与される程度に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、原則として入口チャネル壁の任意の部分は、入口端から基材軸方向全長未満に延在する第1のスラリーでコーティングされていてよく、したがって、出口チャネル壁の任意の部分は、出口端から基材軸方向全長未満の長さに延在する第2のスラリーを備えることができるが、但し、入口端から付与される第1のスラリーの長さ、および出口端から付与される第2のスラリーの長さが、基材軸方向長さ、すなわちその100%に達することが条件である。したがって、例として、xは、5から95の範囲のいずれでもよく、好ましくはxは15から85、より好ましくは25から75、より好ましくは35から65、より好ましくは45から55の範囲に及ぶ。
【0042】
本発明の、第1のスラリーを製造するための方法の工程(ii)に用いられ得るパラジウム化合物に関して、任意の考えられるパラジウム化合物は、このような趣旨で用いられ得、工程(ii)で水溶液として添加されるパラジウム化合物は、好ましくはパラジウム塩であり、より好ましくは、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラアミンパラジウム塩化物およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるパラジウム塩であり、より好ましくは、パラジウム塩は、硝酸パラジウムである。
【0043】
本発明の、第2のスラリーを製造するための工程(iii)に用いられ得る白金化合物に関して、任意の考えられる白金化合物は、このような趣旨で用いられ得、工程(iii)で水溶液として添加される白金化合物は、好ましくは白金塩、より好ましくは硝酸白金、硫酸白金、塩化白金、白金テトラモノエタノールアミン水酸化物およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される白金塩であり、より好ましくは、白金塩は、パラジウム白金テトラモノエタノールアミン水酸化物である。
【0044】
本発明の方法の工程(i)に用いられ得る多孔性ウォールフロー基材に関しては、その形状および寸法にも、また、それが作られる材料に関しても細かい制約は適用されない。しかし、本発明によれば、多孔性ウォールフロー基材は、交互に塞がれている入口端および出口端を有するハニカム基材であり、その結果、ウォールフロー基材の各壁が、それぞれ、入口チャネルの表面である第1の表面および出口チャネルの表面である第2の表面を有することが好ましい。
【0045】
したがって、本発明の方法の工程(i)に用いられ得るウォールフロー基材の壁の多孔率についても同じことが当てはまり、その結果、前記多孔率は、40から85%の範囲のいずれでもよく、好ましくは45から80%、より好ましくは50から75%、より好ましくは55から70%の範囲に及び、より好ましくは60から65%の範囲である。本出願で定義されている多孔率に関しては、前記多孔率は、水銀圧入法により、より好ましくはISO 15901−1:2005に従って得られる。
【0046】
本発明の方法の工程(i)に用いられ得るウォールフロー基材の壁の平均細孔径に関しては、やはり細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な平均細孔径を示すウォールフロー基材が用いられ得る。したがって、例として、基材の壁の平均細孔径は、5から50μmの範囲であってよく、好ましくは10から40μm、より好ましくは13から35μm、より好ましくは15から30μm、より好ましくは17から25μm、より好ましくは18から22μmの範囲である。多孔率に関しては、基材の壁の平均細孔径は、コーティングされていないウォールフロー基材、すなわち、SCR触媒ならびにパラジウムおよび白金成分がそこに付与される前のものであることに留意されたい。さらに、基材の多孔率に関しては、本出願で定義されている壁の平均細孔径も、水銀ポロシメトリーにより判定され、より好ましくはISO 15901−1:2005に従って得られる平均細孔径を指す。
【0047】
前述の、工程(i)で用意されるウォールフロー基材を構成する材料に対して細かい制約はなく、その結果、例として材料は、金属、金属酸化物およびセラミック材料からなる群から選択される1つまたは複数を含み得、好ましくは、ウォールフローフィルタを構成する材料は、コーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つまたは複数を含み、より好ましくは、ウォールフロー基材は、コーディエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素、好ましくは炭化ケイ素でできている。
【0048】
本発明による方法に使用される固形SCR触媒に関しては、そこに含有される材料に細かい制約は適用されないが、但し、アンモニアを用いた還元によるNO
XのN
2への選択触媒還元が、前記材料により触媒され得ることが条件である。したがって、任意の適切なSCR−活性物質が、固形SCR触媒に含まれ得る。しかし、本発明によれば、固形SCR触媒は、1種または複数のゼオライト、より好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFI、MORからなり、それらの2つ以上の混合構造およびそれらの組合せを含む群から、より好ましくはBEA、CHA、LEV、MFIからなり、それらの2つ以上の混合構造およびそれらの組合せを含む群から選択される構造型を有する、より好ましくは1種または複数のゼオライトを含むことが好ましく、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、BEAおよび/またはCHA構造型、好ましくはCHA構造型のものであり、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、菱沸石を含み、1種または複数のゼオライトは、好ましくは菱沸石である。
【0049】
本発明によれば、1種または複数のゼオライトが、本発明の方法の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかに従って、(iv)に使用される、1種または複数の遷移金属を含有する固形SCR触媒に含まれることがさらに一層好ましい。好ましくは固形SCR触媒に含まれる1種または複数のゼオライトに好ましくは含有される、1種または複数の遷移金属に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、原則として、任意の考えられる遷移金属がそこに含有され得る。しかし、本発明によれば、1種または複数のゼオライトは、Pt、Pd、Rh、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、V、Nbおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属、より好ましくはCu、Co、Cr、Ni、Feおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属を含有することが好ましく、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、Cuおよび/またはFe、好ましくはCuを含有する。
【0050】
1種または複数のゼオライトが1種または複数の遷移金属を含有する触媒スートフィルタの固形SCR触媒に好ましくは含まれる、本発明の方法の詳細かつ好ましい実施形態に関し、それぞれの遷移金属が1種または複数のゼオライトに含有される条件、特に、1種または複数の遷移金属がゼオライト中に導入される方法に、細かい制約はない。しかし、本発明によれば、好ましくは固形SCR触媒に含まれる1種または複数のゼオライトに含有される1種または複数の遷移金属は、イオン交換および/または含浸によりゼオライト中に導入されていることが好ましく、1種または複数の遷移金属は、イオン交換によりゼオライト中に導入されることが特に好ましい。
【0051】
ウォールフロー基材にコーティングされている、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数の好ましいゼオライトの量に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、ゼオライトは、任意の適切な量でそこにコーティングされていてよい。したがって、例として、工程(ix)および(x)では、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、か焼した状態で、触媒スートフィルタの合計体積に対して、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトの合計質量として計算して、0.05から5g/in
3のいずれかに及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていてよく、好ましくは、0.1から3.5g/in
3である。しかし、本発明によれば、1種または複数の遷移を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていることが好ましい。本発明によれば、工程(ix)および(x)では、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数の好ましいゼオライトは、1.05から1.15g/in
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていることが特に好ましい。
【0052】
工程(iv)で得られた第3のスラリーに含有される固形SCR触媒の粒径に関して、細かい制約は適用されないが、但し、粒子が、(ix)および(x)において、入口チャネル壁の表面だけではなく、チャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部にもコーティングできることが条件である。これを達成するために、固形SCR触媒の平均粒径D90は、基材の壁の平均細孔径の25%以下であることが好ましい。したがって、例として、固形SCR触媒の平均粒径D90は、0.5から20μmの範囲のいずれでもよく、より好ましくは、平均粒径D90は、1から15μm、より好ましくは3から10μm、より好ましくは4から8μm、より好ましくは5から7μmの範囲に及ぶ。
【0053】
本発明によれば、(v)および(vi)、ならびに(vii)および(viii)において、それぞれウォールフロー基材にコーティングされ得るパラジウム成分または白金成分の量に関して細かい制約はない。したがって、パラジウム成分に関して、これは、(v)および(vi)において、ウォールフロー基材に入口から基材軸方向長さのx%まで、元素として計算して、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、パラジウムが0.5から20g/ft
3のいずれかに及ぶ量でコーティングされている。しかし、本発明によれば、パラジウム成分は、好ましくは1から15g/ft
3、より好ましくは2から10g/ft
3、より好ましくは2.5から8g/ft
3、より好ましくは3から7g/ft
3、より好ましくは3.5から6.5g/ft
3、より好ましくは4から6g/ft
3、より好ましくは4.5から5.5g/ft
3に及ぶ量で、入口端から基材軸方向長さのx%まで延在するウォールフロー基材にコーティングされている。
【0054】
したがって、白金成分の量に対しても同じことが当てはまり、その結果、例えば、(vii)および(viii)において、元素として計算して、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、白金が0.05から20g/ft
3に及ぶ量で、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在するウォールフロー基材にコーティングされていてよい。本発明によれば、白金成分は、0.1から15g/ft
3に及ぶ量で、より好ましくは0.2から10g/ft
3、より好ましくは0.4から7g/ft
3、より好ましくは0.6から5g/ft
3、より好ましくは0.8から4g/ft
3、より好ましくは1から3g/ft
3、より好ましくは1.5から2.5g/ft
3の量で、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在するウォールフロー基材にコーティングされていることが好ましい。
【0055】
パラジウムおよび白金を担持するために、工程(ii)および(iii)でそれぞれ用いられ得る微粒子状担持材料に関しては、細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な微粒子状担持材料が、これらの末端に用いられ得る。したがって、例として、パラジウムおよび/または白金がそれぞれ担持される微粒子状担持材料は、互いに独立して、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、セリア、セリア−アルミナ、バリア−セリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され得、より好ましくは、微粒子状担持材料は、アルミナ−シリカを含み、アルミナは、100質量%のアルミナ−シリカに対して、好ましくは0.5から25質量%のシリカ、より好ましくは1から15質量%のシリカ、より好ましくは2から10質量%のシリカ、より好ましくは3から8質量%のシリカ、より好ましくは4から6質量%でドープされ得る。
【0056】
SCR触媒に関しては、(ii)および(iii)において、パラジウムおよび/または白金が担持される微粒子状担持材料の大きさに細かい制約は適用されないが、但し、粒子が、(v)および(vi)において、ならびに(vii)および(viii)において、入口および出口チャネル壁の表面だけではなく、チャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部にも、それぞれコーティングされることが条件である。これを達成するためには、パラジウムおよび/または白金がそれぞれ担持される工程(ii)および(iii)の微粒子状担持材料の平均粒径D90は、基材の壁の平均細孔径の25%以下であることが好ましい。したがって、例として、それぞれの微粒子状担持材料の平均粒径D90は、0.5から20μmの範囲のいずれでもよく、より好ましくは、平均粒径D90は、1から15μm、より好ましくは2から10μm、より好ましくは3から8μm、より好ましくは4から6μmの範囲に及ぶ。
【0057】
本発明によれば、工程(v)および(vi)において、本発明の方法の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる微粒子状担持材料が、ウォールフロー基材にコーティングされ得る量に細かい制約はない。したがって、例として、微粒子状担持材料は、工程(v)および(vi)において、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.01から1g/in
3のいずれかに及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていてよく、好ましくは、微粒子状担持材料は、(v)および(vi)において、0.02から0.6g/in
3、より好ましくは0.04から0.4g/in
3、より好ましくは0.06から0.3g/in
3、より好ましくは0.08から0.25g/in
3、より好ましくは0.1から0.2g/in
3、より好ましくは0.12から0.18g/in
3に及ぶ量でコーティングされている。本発明によれば、微粒子状担持材料は、工程(v)および(vi)において、0.14から0.16g/in
3に及ぶ量で、ウォールフロー基材にコーティングされていることが特に好ましい。
【0058】
したがって、工程(vii)および(viii)において、ウォールフロー基材にコーティングされている微粒子状担持材料に対しても同じことが当てはまる。したがって、本発明の方法の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる微粒子状担持材料が、ウォールフロー基材にコーティングされ得る量に細かい制約はない。したがって、例として、微粒子状担持材料は、工程(vii)および(viii)において、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.005から0.25g/in
3のいずれかに及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていてよく、好ましくは、微粒子状担持材料は、(vii)および(viii)において、0.01から0.15g/in
3、より好ましくは0.02から0.1g/in
3、より好ましくは0.03から0.08g/in
3、より好ましくは0.04から0.06g/in
3に及ぶ量でコーティングされている。本発明によれば、工程(vii)および(viii)において、微粒子状担持材料は、0.045から0.055g/in
3に及ぶ量で、ウォールフロー基材にコーティングされていることが特に好ましい。
【0059】
最終的に、(ix)および(x)において、固形SCR触媒がウォールフロー基材にコーティングされ得る量に関しては、やはり細かい制約は適用されず、その結果、任意の適切な量がそこに付与され得る。したがって、例として、固形SCR触媒は、(ix)および(x)において、触媒スートフィルタの合計体積に対して、0.05から5g/in
3のいずれかに及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされていてよい。しかし、本発明によれば、(ix)および(x)において、固形SCR触媒は、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされている。本発明によれば、工程(ix)および(x)において、固形SCR触媒は、1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で、ウォールフロー基材にコーティングされていることが特に好ましい。
【0060】
本出願に記載されている前述の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタを提供すること以外に、本出願は、本出願で定義されているその詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタを製造するための本発明の方法により得られる、かつ/または得ることが可能な、触媒スートフィルタにさらに関する。詳細には、本発明は、詳細かつ好ましいその実施形態のいずれかに従った本発明の方法により直接得られる触媒スートフィルタ、すなわち、その直接の生成物に関するだけではなく、触媒スートフィルタが得られる実際の方法とは関わりなく、詳細かつ好ましいその実施形態のいずれかで定義されている本発明の方法に従って得られる、すなわち得ることが可能な任意の触媒スートフィルタにも関するが、但し、その詳細かつ好ましい実施形態のいずれかに従った本発明の方法により得られることが条件である。
【0061】
さらに、本発明は、内燃機関からの排ガスを、本出願で定義されている本発明の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかに従った触媒スートフィルタの入口チャネルに導き通す工程を含む、内燃機関からの排出物を処理するための方法にも関する。
【0062】
本発明の方法によれば、排ガスを、本出願の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタの入口チャネルに導き通す前の、かつ/または、排ガスを前記触媒スートフィルタに導き通した後での、内燃機関からの排ガスを処理するために用いられ得るさらなる処理工程に関して、細かい制約はない。本発明によれば、排ガス流を触媒スートフィルタ中に導く前に、排ガス流を、リーンNO
Xトラップ(LNT)と接触させることがさらに一層好ましい。さらに、本発明によれば、本発明の方法において、排ガス流を触媒スートフィルタ中に導く前に、アンモニア源および/または1つもしくは複数の炭化水素源を、排ガス流中に注入すること、好ましくはLNTの下流に注入することが、さらに一層好ましい。
【0063】
最終的に、本発明は、本出願に記載されている本発明の方法の詳細かつ好ましい実施形態のいずれか1つに従って得られる、かつ/または得ることが可能な触媒スートフィルタを含めた、本出願に記載されている本発明の詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタの使用に関する。原則として、前述の触媒スートフィルタが用いられ得る用途にいかなる制約もなく、好ましくは、触媒スートフィルタは、排ガス排出物の処理のために、好ましくは、内燃機関からの排ガスにおけるNO
Xの選択触媒還元のために使用される。本発明によれば、本出願に記載されている詳細かつ好ましい実施形態のいずれかによる触媒スートフィルタは、ディーゼル機関からの排ガスにおけるNO
Xの選択触媒還元に使用されることが特に好ましい。
【0064】
本発明は、それぞれの依存関係により指し示されている組合せおよび実施形態を含む、以下の詳細かつ好ましい実施形態をさらに特徴とする:
【0065】
1.多孔性ウォールフロー基材、選択触媒還元(SCR)のための触媒、パラジウム成分および白金成分を含む触媒スートフィルタであって、
ウォールフロー基材は、入口端、出口端、入口端と出口端の間の延びる基材軸方向長さ、およびウォールフロー基材の内壁により画定されている複数のチャネルを含み、複数のチャネルは、開いた入口端および閉じた出口端を有する入口チャネル、ならびに閉じた入口端および開いた出口端を有する出口チャネルを含み、
SCR触媒は、入口チャネル壁の表面全体、およびSCR触媒でコーティングされているチャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、
パラジウム成分は、入口チャネル壁の表面の一部、およびパラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、
パラジウム成分でコーティングされている入口チャネル壁部分は、入口端から基材軸方向長さのx%まで延在し、0<x<100であり、
白金成分は、出口チャネル壁の表面の一部、および白金成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面内におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与され、
白金成分でコーティングされている出口チャネル壁部分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する、触媒スートフィルタ。
【0066】
2.xは、5から95、好ましくは15から85、より好ましくは25から75、より好ましくは35から65、より好ましくは45から55の範囲である、実施形態1の触媒スートフィルタ。
【0067】
3.多孔性ウォールフロー基材は、交互に塞がれた入口端および出口端を有するハニカム基材であり、その結果、ウォールフロー基材の各壁が、それぞれ、入口チャネルの表面である第1の表面および出口チャネルの表面である第2の表面を有する、実施形態1または2の触媒スートフィルタ。
【0068】
4.基材の壁は、40から85%、好ましくは45から80%、より好ましくは50から75%、より好ましくは55から70%、より好ましくは60から65%の範囲の多孔率を示す、実施形態1から3のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0069】
5.基材の壁の平均細孔径は、5から50μm、好ましくは10から40μm、より好ましくは13から35μm、より好ましくは15から30μm、より好ましくは17から25μm、より好ましくは18から22μmの範囲である、実施形態1から4のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0070】
6.ウォールフロー基材を構成する材料は、金属、金属酸化物およびセラミック材料からなる群から選択される1つまたは複数、好ましくはコーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つまたは複数を含み、より好ましくは、ウォールフロー基材は、コーディエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素、好ましくは炭化ケイ素でできている、実施形態1から5のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0071】
7.パラジウム成分は、チャネル壁の表面、および第1のコーティング層中のパラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分内における細孔表面に直接付与されており、SCR触媒は、パラジウム成分がチャネル壁の表面に直接付与されているウォールフロー基材部分における、パラジウム成分の前記第1のコーティング層上に、および、パラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分を有する細孔表面に、第2のコーティング層として付与される、実施形態1から6のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0072】
8.SCR触媒は、SCR触媒でコーティングされている入口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの10%以上の深さまで、好ましくはコーティングされていない基材の壁の厚さの15%以上の深さまで、より好ましくは20%以上の深さまで、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上の深さまで延在するSCR触媒でコーティングされているチャネル壁の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与される、実施形態1から7のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0073】
9.パラジウム成分は、パラジウム成分でコーティングされている入口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの10%以上の深さまで、好ましくは15%以上の深さまで、より好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上の深さまで、より好ましくはコーティングされていない基材の壁の厚さの70%以上の深さまで延在するパラジウム成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与されている、実施形態1から8のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0074】
10.白金成分は、白金成分でコーティングされている出口チャネル壁の表面から、コーティングされていない基材の壁の厚さの10%以上の深さまで、コーティングされていない基材の壁の厚さの好ましくは15%以上の深さまで、より好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上の深さまで、より好ましくは50%以上の深さまで、より好ましくはコーティングされていない基材の壁の厚さの70%以上の深さまで延在する白金成分でコーティングされているチャネル壁部分の表面下におけるチャネル壁内の細孔表面の少なくとも一部に付与される、実施形態1から9のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0075】
11.SCR触媒は、1種または複数のゼオライト、好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFI、MORからなり、それらの2つ以上の混合構造および組合せを含む群から、より好ましくは、BEA、CHA、LEV、MFIからなり、それらの2つ以上の混合構造および組合せを含む群から選択される構造型を有する1種または複数のゼオライトを含み、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、BEAおよび/またはCHA構造型のものであり、好ましくはCHA構造型のものであり、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは菱沸石を含み、1種または複数のゼオライトは、好ましくは菱沸石である、実施形態1から10のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0076】
12.1種または複数のゼオライトは、1種または複数の遷移金属、好ましくはPt、Pd、Rh、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、V、Nbおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属、より好ましくはCu、Co、Cr、Ni、Feおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属を含有し、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、Cuおよび/またはFe、好ましくはCuを含有する、実施形態11の触媒スートフィルタ。
【0077】
13.1種または複数の遷移金属は、イオン交換および/または含浸により、好ましくはイオン交換により、ゼオライト中に導入されている、実施形態12の触媒スートフィルタ。
【0078】
14.1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、か焼した状態で、触媒スートフィルタの合計体積に対して、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトの合計質量として計算して、0.05から5g/in
3、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で触媒スートフィルタに含有される、実施形態11から13のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0079】
15.SCR触媒の平均粒径D90は、基材の壁の平均細孔径の25%以下であり、好ましくは0.5から20μm、より好ましくは1から15μm、より好ましくは3から10μm、より好ましくは4から8μm、より好ましくは5から7μmの範囲である、実施形態1から13のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0080】
16.パラジウム成分は、入口端から基材軸方向長さのx%まで延在するパラジウム成分でコーティングされている触媒スートフィルタ部分に、元素として計算して、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、パラジウムが0.5から20g/ft
3に及ぶ量で、好ましくは1から15g/ft
3、より好ましくは2から10g/ft
3、より好ましくは2.5から8g/ft
3、より好ましくは3から7g/ft
3、より好ましくは3.5から6.5g/ft
3、より好ましくは4から6g/ft
3、より好ましくは4.5から5.5g/ft
3に及ぶ量で含有される、実施形態1から14のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0081】
17.白金成分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する白金成分でコーティングされている触媒スートフィルタ部分に、元素として計算して、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、白金が0.05から20g/ft
3に及ぶ量で、好ましくは0.1から15g/ft
3、より好ましくは0.2から10g/ft
3、より好ましくは0.4から7g/ft
3、より好ましくは0.6から5g/ft
3、より好ましくは0.8から4g/ft
3、より好ましくは1から3g/ft
3、より好ましくは1.5から2.5g/ft
3に及ぶ量で含有される、実施形態1から15のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0082】
18.パラジウム成分は、微粒子状担持材料で担持されるパラジウムを含み、かつ/または、好ましくは、白金成分は、微粒子状担持材料で担持される白金を含み、微粒子状担持材料は、互いに独立して、好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、セリア、セリア−アルミナ、バリア−セリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、微粒子状担持材料は、アルミナ−シリカを含み、アルミナは、100質量%のアルミナ−シリカに対して、好ましくは0.5から25質量%のシリカ、より好ましくは1から15質量%のシリカ、より好ましくは2から10質量%のシリカ、より好ましくは3から8質量%のシリカ、より好ましくは4から6質量%でドープされる、実施形態1から16のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0083】
19.微粒子状担持材料の平均粒径D90は、互いに独立して、基材の壁の平均細孔径の25%以下であり、好ましくは0.5から20μm、より好ましくは1から15μm、より好ましくは2から10μm、より好ましくは3から8μm、より好ましくは4から6μmの範囲である、実施形態17の触媒スートフィルタ。
【0084】
20.入口端から基材軸方向長さのx%まで延在するパラジウム成分でコーティングされている入口チャネル壁部分において、パラジウム成分は、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.01から1g/in
3、好ましくは0.02から0.6g/in
3、より好ましくは0.04から0.4g/in
3、より好ましくは0.06から0.3g/in
3、より好ましくは0.08から0.25g/in
3、より好ましくは0.1から0.2g/in
3、より好ましくは0.12から0.18g/in
3、より好ましくは0.14から0.16g/in
3の範囲の量で微粒子状担持材料を含む、実施形態17または18の触媒スートフィルタ。
【0085】
21.出口端から基材軸方向長さの100−x%まで延在する白金成分でコーティングされている入口チャネル壁部分において、白金成分は、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.005から0.25g/in
3、好ましくは0.01から0.15g/in
3、より好ましくは0.02から0.1g/in
3、より好ましくは0.03から0.08g/in
3、より好ましくは0.04から0.06g/in
3、より好ましくは0.045から0.055g/in
3の範囲の量で微粒子状担持材料を含む、実施形態17から19のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0086】
22.SCR触媒は、触媒スートフィルタの合計体積に対して、0.05から5g/in
3、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で触媒スートフィルタに含有される、実施形態1から20のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0087】
23.触媒スートフィルタは、その上流に位置する内燃機関をさらに含む排出物処理系に含有され、内燃機関は触媒スートフィルタと流体連結しており、内燃機関は、好ましくはディーゼル機関である、実施形態1から22のいずれかの触媒スートフィルタ。
【0088】
24.排出物処理系は、触媒スートフィルタと流体連結しているリーンNO
Xトラップ(LNT)をさらに含み、LNTは、触媒スートフィルタの上流に位置している、実施形態23の触媒スートフィルタ。
【0089】
25.排出物処理系は、アンモニア源および/または1つもしくは複数の炭化水素源を、内燃機関からの排ガス流中に注入する手段をさらに含み、前記注入する手段は、触媒スートフィルタの上流に位置しており、好ましくはLNTの下流に位置する、実施形態23または24の触媒スートフィルタ。
【0090】
26.(i)入口端、出口端、入口端と出口端の間に延びる基材軸方向長さ、およびウォールフロー基材の内壁により画定されている複数のチャネルを含む多孔性ウォールフロー基材を用意する工程であり、複数のチャネルは、開いた入口端および閉じた出口端を有する入口チャネル、ならびに閉じた入口端および開いた出口端を有する出口チャネルを含む、工程、
(ii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いてパラジウム化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、パラジウム成分を含有する第1のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第1のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iii)微粒子状担持材料と蒸留水を混合し、続いて白金化合物の水溶液をそこに添加する工程であり、生じた混合物を、白金成分を含有する第2のスラリーを得るために任意に粉砕し、前記第2のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(iv)蒸留水中に固形SCR触媒を懸濁し、第3のスラリーを得るために、生じた混合物を任意に粉砕する工程であり、前記第3のスラリーは、多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径の25%以下である平均粒径D90を示す、工程、
(v)ウォールフロー基材の入口端を、入口端から延びる基材軸方向長さのx%まで第1のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁の一部をコーティングし、0<x<100である、工程、
(vi)第1のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは出口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている入口チャネルへと空気を吹き込むことにより、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(vii)ウォールフロー基材の出口端を、出口端から延びる基材軸方向長さの100−x%まで第2のスラリーに浸すことにより、ウォールフロー基材の出口チャネル壁の一部をコーティングする工程、
(viii)第2のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは入口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている出口チャネルへと空気を吹き込むことにより、出口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(ix)ウォールフロー基材の入口端を、基材軸方向全長に沿って第3のスラリーに浸すが、ウォールフロー基材の出口端の面にスラリーを接触させないことにより、ウォールフロー基材の入口チャネル壁をコーティングする工程、
(x)第3のスラリーからウォールフロー基材を取り出し、好ましくは出口チャネルの壁からウォールフロー基材のコーティングされている入口チャネルへと空気を吹き込むことにより、入口チャネルから過剰なスラリーを除去する工程、
(xi)コーティングされているウォールフロー基材を、任意に乾燥および/またはか焼する工程を含む、触媒スートフィルタ、好ましくは実施形態1から22のいずれかによる触媒スートフィルタを製造する方法。
【0091】
27.工程(vi)と(vii)の間、および/または、好ましくは工程(viii)と(ix)の間で、コーティングされているウォールフローフィルタ基材に乾燥および/またはか焼する工程を施す、実施形態26の方法。
【0092】
28.1つまたは複数の乾燥させる工程における、乾燥の温度は、互いに独立して、50から200℃、好ましくは70から180℃、より好ましくは80から150℃、より好ましくは90から130℃、より好ましくは100から120℃の範囲である、実施形態26または27の方法。
【0093】
29.1つまたは複数のか焼する工程における、か焼の温度は、互いに独立して、250から800℃、好ましくは300から600℃、より好ましくは350から550℃、より好ましくは400から500℃、より好ましくは430から480℃、より好ましくは440から460℃の範囲である、実施形態26から28のいずれかの方法。
【0094】
30.1つまたは複数のか焼する工程における、か焼の持続時間は、互いに独立して、0.1から5時間、好ましくは0.3から3時間、より好ましくは0.5から2時間、より好ましくは0.7から1.5時間、より好ましくは0.8から1.3時間、より好ましくは0.9から1.1時間の範囲である、実施形態26から29のいずれかの方法。
【0095】
31.xは、5から95、好ましくは15から85、より好ましくは25から75、より好ましくは35から65、より好ましくは45から55の範囲である、実施形態26から30のいずれかの方法。
【0096】
32.工程(ii)において、パラジウム化合物は、パラジウム塩、好ましくは硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム、テトラアミンパラジウム塩化物およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択されるパラジウム塩であり、より好ましくは、パラジウム塩は硝酸パラジウムである、実施形態26から31のいずれかの方法。
【0097】
33.工程(iii)において、白金化合物は、白金塩、好ましくは硝酸白金、硫酸白金、塩化白金、白金テトラモノエタノールアミン水酸化物およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される白金塩であり、より好ましくは、白金塩は、パラジウム白金テトラモノエタノールアミン水酸化物である、実施形態26から32のいずれかの方法。
【0098】
34.工程(i)で得られる多孔性ウォールフロー基材は、交互に塞がれた入口端および出口端を有するハニカム基材であり、その結果、ウォールフロー基材の各壁が、それぞれ、入口チャネルの表面である第1の表面および出口チャネルの表面である第2の表面を有する、実施形態26から33のいずれかの方法。
【0099】
35.工程(i)で得られる多孔性ウォールフロー基材の壁は、40から85%、好ましくは45から80%、より好ましくは50から75%、より好ましくは55から70%、より好ましくは60から65%の範囲の多孔率を示す、実施形態26から34のいずれかの方法。
【0100】
36.工程(i)で得られる多孔性ウォールフロー基材の壁の平均細孔径は、5から50μm、好ましくは10から40μm、より好ましくは13から35μm、より好ましくは15から30μm、より好ましくは17から25μm、より好ましくは18から22μmの範囲である、実施形態26から35のいずれかの方法。
【0101】
37.工程(i)で得られる多孔性ウォールフロー基材を構成する材料は、金属、金属酸化物およびセラミック材料からなる群から選択される1つまたは複数、好ましくはコーディエライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つまたは複数を含み、より好ましくは、ウォールフロー基材は、コーディエライト、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素、好ましくは炭化ケイ素でできている、実施形態26から36のいずれかの方法。
【0102】
38.固形SCR触媒は、1種または複数のゼオライト、好ましくは、BEA、CHA、FAU、FER、HEU、LEV、MEI、MEL、MFI、MORからなり、それらの2つ以上の混合構造および組合せを含む群から、より好ましくは、BEA、CHA、LEV、MFIからなり、それらの2つ以上の混合構造および組合せを含む群から選択される構造型を有する1種または複数のゼオライトを含み、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、BEAおよび/またはCHA構造型のものであり、好ましくはCHA構造型のものであり、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは菱沸石を含み、1種または複数のゼオライトは、好ましくは菱沸石である、実施形態26から37のいずれかの方法。
【0103】
39.1種または複数のゼオライトは、1種または複数の遷移金属、好ましくはPt、Pd、Rh、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、V、Nbおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属、より好ましくはCu、Co、Cr、Ni、Feおよびそれらの2つ以上の組合せからなる群から選択される1種または複数の遷移金属を含有し、より好ましくは、1種または複数のゼオライトは、Cuおよび/またはFe、好ましくはCuを含有する、実施形態38の方法。
【0104】
40.1種または複数の遷移金属は、イオン交換および/または含浸により、好ましくはイオン交換により、ゼオライト中に導入されている、実施形態39の方法。
【0105】
41.工程(ix)および(x)において、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトは、か焼した状態で、触媒スートフィルタの合計体積に対して、1種または複数の遷移金属を任意に含有する1種または複数のゼオライトの合計質量として計算して、0.05から5g/in
3、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量で、ウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態38から40のいずれかの方法。
【0106】
42.工程(iv)において、固形SCR触媒の平均粒径D90は、0.5から20μm、好ましくは1から15μm、より好ましくは3から10μm、より好ましくは4から8μm、より好ましくは5から7μmの範囲に含まれる、実施形態26から41のいずれかの方法。
【0107】
43.工程(v)および(vi)において、パラジウム成分は、元素として計算して、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、パラジウムが0.5から20g/ft
3に及ぶ量で、好ましくは1から15g/ft
3、より好ましくは2から10g/ft
3、より好ましくは2.5から8g/ft
3、より好ましくは3から7g/ft
3、より好ましくは3.5から6.5g/ft
3、より好ましくは4から6g/ft
3、より好ましくは4.5から5.5g/ft
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態26から42のいずれかの方法。
【0108】
44.工程(vii)および(viii)において、白金成分は、元素として計算して、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、白金が0.05から20g/ft
3に及ぶ量で、好ましくは0.1から15g/ft
3、より好ましくは0.2から10g/ft
3、より好ましくは0.4から7g/ft
3、より好ましくは0.6から5g/ft
3、より好ましくは0.8から4g/ft
3、より好ましくは1から3g/ft
3、より好ましくは1.5から2.5g/ft
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態26から43のいずれかの方法。
【0109】
45.工程(ii)および(iii)の微粒子状担持材料は、互いに独立して、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、セリア、セリア−アルミナ、バリア−セリア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、ランタナ−ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナ、チタニア−ジルコニアおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ジルコニア−アルミナ、ランタナ−アルミナおよびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、微粒子状担持材料は、アルミナ−シリカを含み、アルミナは、100質量%のアルミナ−シリカに対して、好ましくは0.5から25質量%のシリカ、より好ましくは1から15質量%のシリカ、より好ましくは2から10質量%のシリカ、より好ましくは3から8質量%のシリカ、より好ましくは4から6質量%でドープされる、実施形態26から44のいずれかの方法。
【0110】
46.工程(ii)および(iii)の微粒子状担持材料の平均粒径D90は、互いに独立して、0.5から20μm、好ましくは1から15μm、より好ましくは2から10μm、より好ましくは3から8μm、より好ましくは4から6μmの範囲である、実施形態26から45のいずれかの方法。
【0111】
47.工程(v)および(vi)における、微粒子状担持材料は、入口端から基材軸方向長さのx%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.01から1g/in
3、好ましくは0.02から0.6g/in
3、より好ましくは0.04から0.4g/in
3、より好ましくは0.06から0.3g/in
3、より好ましくは0.08から0.25g/in
3、より好ましくは0.1から0.2g/in
3、より好ましくは0.12から0.18g/in
3、より好ましくは0.14から0.16g/in
3の範囲の量でウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態26から46のいずれかの方法。
【0112】
48.工程(vii)および(viii)において、微粒子状担持材料は、出口端から基材軸方向長さの100−x%までで測定した触媒スートフィルタの体積に対して、0.005から0.25g/in
3、好ましくは0.01から0.15g/in
3、より好ましくは0.02から0.1g/in
3、より好ましくは0.03から0.08g/in
3、より好ましくは0.04から0.06g/in
3、より好ましくは0.045から0.055g/in
3の範囲の量でウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態26から47のいずれかの方法。
【0113】
49.工程(ix)および(x)において、SCR触媒は、触媒スートフィルタの合計体積に対して、0.05から5g/in
3、好ましくは0.1から3.5g/in
3、より好ましくは0.3から2.5g/in
3、より好ましくは0.5から2g/in
3、より好ましくは0.7から1.7g/in
3、より好ましくは0.9から1.5g/in
3、より好ましくは1から1.3g/in
3、より好ましくは1.05から1.15g/in
3に及ぶ量でウォールフロー基材にコーティングされている、実施形態26から48のいずれかの方法。
【0114】
50.実施形態26から49のいずれかによる方法に従って得ることが可能な、および/または得られる、好ましくは実施形態1から22のいずれかによる触媒スートフィルタ。
【0115】
51.内燃機関からの排ガスを、実施形態1から22または50のいずれかによる触媒スートフィルタの入口チャネルに導き通す工程を含む、内燃機関からの排出物を処理するための方法。
【0116】
52.排ガス流を触媒スートフィルタ中に導く前に、排ガス流をリーンNO
Xトラップ(LNT)と接触させる、実施形態51の方法。
【0117】
53.排ガス流を触媒スートフィルタ中に導く前に、アンモニア源および/または1つもしくは複数の炭化水素源を、排ガス流中に、好ましくはLNTの下流に注入する、実施形態51または52の方法。
【0118】
54.排ガス排出物を処理するため、好ましくは内燃機関からの排ガスにおけるNO
Xの選択触媒還元のため、より好ましくはディーゼル機関からの排ガスにおけるNO
Xの選択触媒還元のために、実施形態1から22または50のいずれかによる触媒スートフィルタを使用する方法。
【0119】
実験セクション
比較例1:SCRでコーティングされている入口
銅菱沸石(Cu−CHA)を水中で懸濁して、固体含有量が39質量%のスラリーを作り、その後スラリーをD
90=6μmに粉砕した。多孔率が63%、水銀ポロシメトリーにより判定される平均細孔径が20μmの炭化ケイ素でできており、体積が2.47リットルのウォールフローフィルタのハニカム基材を用意した。CuCHAスラリーをフィルタの入口面からコーティングした。このような趣旨で、基材は、入口面を下にしてスラリー中に浸し、出口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが入口面から出てこなくなるまで、チャネルの出口面から空気流を吹き込んだ。次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、フィルタの入口面を、1.1g/in
3(g/(2.54cm)
3)のCu−CHAで100%コーティングする。
【0120】
比較例2:SCRでコーティングされている入口+Ptでコーティングされている出口(100%)
銅菱沸石(Cu−CHA:CuOとして計算して3.3質量%Cuでイオン交換した菱沸石;SiO
2/Al
2O
3=24.8)を水中で懸濁して、固体含有量が39質量%のスラリーを作り、その後スラリーをD
90=6μmに粉砕した。別途、5%SiO
2(90%の粒子が5マイクロメートル未満:D
90=5μm)ドープした、あらかじめ粉砕されているAl
2O
3粉末を水中で、15質量%の固体含有量に達するよう懸濁した。白金テトラモノエタノールアミン水酸化物溶液(H
2O中18質量%)を、懸濁液中に滴下添加しながら撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に、1.1質量%のPtを装填した。
【0121】
多孔率が63%、平均細孔径が20μmの炭化ケイ素でできており、体積が2.47リットルのウォールフローフィルタのハニカム基材を用意した。最初に、Ptスラリーを、フィルタの出口面からコーティングした。基材は、出口面を下にしてスラリー中に浸し、入口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが出口面から出てこなくなるまで、チャネルの入口面から空気流を吹き込んだ。次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、フィルタの出口面を、5%SiO
2ドープした0.05g/in
3(g/(2.54cm)
3)のAl
2O
3粉末上の1.0g/ft
3(g/(30.48cm)
3)のPtで100%コーティングした。
【0122】
その結果、最終的に、Cu−CHAスラリーは、入口面を基材全体の長さで浸すことにより、入口面からフィルタ全体の長さに沿ってコーティングされており、出口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。過剰なスラリーを出口面から吹き飛ばした後で、次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼した、フィルタの入口面を、1.1g/in
3(g/(2.54cm)
3)のCu−CHAで100%コーティングした。
【0123】
比較例3:SCRでコーティングされている入口+Pdでコーティングされている出口(100%)
銅菱沸石(CuCHA)を水中で懸濁して、固体含有量が39%のスラリーを作り、その後このスラリーをD
90=6μmに粉砕した。別途、5%SiO
2(90%の粒子が5マイクロメートル未満:D
90=5μm)ドープした、あらかじめ粉砕されているAl
2O
3粉末を、25%の固体含有量に達するように水中で懸濁した。硝酸パラジウム溶液(H
2O中20質量%)を、懸濁液中に滴下添加しながら、撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に0.95質量%のPdを装填した。
【0124】
多孔率が63%、平均細孔径が20μmの炭化ケイ素でできており、体積が2.47リットルのウォールフローフィルタのハニカム基材を用意した。最初に、Pdスラリーを、フィルタの出口面からコーティングした。このような趣旨で、基材は、出口面を下にしてスラリー中に浸し、入口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが出口面から出てこなくなるまで、チャネルの入口面から空気流を吹き込んだ。次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、フィルタの出口面を、5%SiO
2ドープした0.15g/in
3(g/(2.54cm)
3)のAl
2O
3粉末上の2.5g/ft
3(g/(30.48cm)
3)のPdで100%コーティングした。
【0125】
その結果、最終的に、Cu−CHAスラリーは、入口面を基材全体の長さで浸すことにより入口面からフィルタの全体の長さに沿ってコーティングされており、出口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。過剰なスラリーを出口面から吹き飛ばした後で、次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、フィルタの入口面を、以下で指し示されている割合で、1.1g/in
3(g/(2.54cm)
3)のCuCHAでコーティングした。
【0126】
比較例4:SCRでコーティングされている入口+Pdでコーティングされている出口(50%)
コーティングされているウォールフローフィルタのハニカム基材を、比較例3のように得、ここで、Pdスラリーは、2回のPd装填で、フィルタの出口面に50%のみコーティングした。このような趣旨で、硝酸パラジウム溶液(H
2O中20質量%)を、5%SiO
2ドープした、あらかじめ粉砕されているAl
2O
3粉末の懸濁液中に滴下添加しながら撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に1.9質量%のPdを装填した。さらに、Pdを含有するスラリーを用いて基材をコーティングする工程で、基材の出口面は、基材軸方向長さの50%までをスラリー中に浸し、入口面は、スラリーの高さより上で、基材全体の長さの50%で保持し、乾燥させた後で、フィルタの出口面を、5%SiO
2ドープした0.15g/in
3(g/(2.54cm)
3)のAl
2O
3粉末上の5g/ft
3(g/(30.48cm)
3)のPdで50%コーティングした
【実施例1】
【0127】
SCRでコーティングされている入口+(5g/ft
3)Pdでコーティングされている入口(50%)+(1g/in
3)のPtでコーティングされている出口(50%)
銅菱沸石(Cu−CHA:CuOとして計算して3.3質量%のCuでイオン交換されている菱沸石;SiO
2/Al
2O
3=24.8)を水中で懸濁して、固体含有量が39質量%のスラリーを作り、その後スラリーをD
90=6μmに粉砕した。別途、5%SiO
2(90%の粒子が5マイクロメートル未満:D
90=5μm)ドープした、あらかじめ粉砕されているAl
2O
3粉末を、25質量%の固体含有量に達するように水中で懸濁した。硝酸パラジウム溶液(H
2O中20質量%)を懸濁液中に滴下添加しながら、撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に1.9質量%のPdを装填した。別途、5質量%SiO
2(90%の粒子が5マイクロメートル未満:D
90=5μm)ドープした、あらかじめ粉砕されているAl
2O
3粉末を、15%の固体含有量に達するように水中で懸濁した。白金テトラモノエタノールアミン水酸化物溶液(H
2O中18質量%)を懸濁液に滴下添加しながら撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に1.1質量%のPtを装填した。
【0128】
多孔率が63%、平均細孔径が20μmの炭化ケイ素でできており、体積が2.47リットルのウォールフローフィルタのハニカム基材を用意した。最初に、Pdスラリーをフィルタの入口面からコーティングした。このような趣旨で、基材の入口面は、入口で50%の被覆率を得るために、基材軸方向長さの50%までスラリー中に浸し、出口面は、スラリーの高さより上で基材全体の長さの50%で保持した。次いで、基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが入口面から出てこなくなるまでチャネルの出口面から空気流を吹き込んだ。次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、5%SiO
2ドープした0.15g/in
3(g/(2.54cm)
3)のAl
2O
3粉末上の5g/ft
3(g/(30.48cm)
3)のPdで、フィルタの入口面の50%をコーティングした。
【0129】
次いで、フィルタの出口面からPtスラリーをコーティングした。このような趣旨で、基材の出口面は、基材軸方向長さの50%までをスラリー中に浸し、入口面は、スラリーの高さより上で、基材全体の長さの50%で保持した。次いで、基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが出口面から出てこなくなるまで、チャネルの入口面から空気流を吹き込んだ。次いで、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、5%SiO
2ドープした0.05g/in
3(g/(2.54cm)
3)のAl
2O
3粉末上の1g/ft
3のPtで、フィルタの出口面の50%をコーティングした。
【0130】
最終的に、CuCHAスラリーは、シリカドープしたアルミナ粉末上のPdを入口面でコーティングするのと同一の手段で、フィルタ全体の長さに沿って入口面からコーティングされており、さらに基材を入口面の全体の長さで浸すことにより、出口面は、スラリーの高さの1/4インチ(2.54cm)上で保持した。次いで、過剰なスラリーを出口面から吹き飛ばした後で、コーティングされている試料を、110℃にて2時間乾燥させ、空気中で450℃にて1時間か焼し、1.1g/in
3(g/(2.54cm)
3)のCu−CHAで、フィルタの入口面を100%コーティングした。
【実施例2】
【0131】
SCRでコーティングされている入口+(5g/ft
3)のPdでコーティングされている入口(50%)+(3g/in
3)のPtでコーティングされている出口(50%)
コーティングされているウォールフローフィルタのハニカム基材を、実施例1のように得、ウォールフローフィルタのハニカム基材の出口面にコーティングされている、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に、装填増加したPtを装填した。より具体的には、白金テトラモノエタノールアミン水酸化物溶(H
2O中18質量%)を懸濁液に滴下添加しながら撹拌して、5質量%シリカドープしたアルミナ粉末に1.1質量%のPtを装填した。したがって、コーティングされているウォールフローフィルタのハニカム基材を実施例1のように得、ここで、フィルタの出口面の50%を、実施例1による1g/ft
3がコーティングされているフィルタと対照的に、3g/ft
3のPtでコーティングした。
【実施例3】
【0132】
NH
3スリップ測定を含む、リーン/リッチ(L/R)試験におけるパッシブSCR
リーン/リッチサイクル試験は、ここでは300℃(リーンNO
Xトラップ(LNT)触媒温度)にて実施される、7回のリー
ン/リッチサイクルからなる機関試験である。試験の開始時、LNTからすべての硝酸塩を確実に脱離するために、30秒間のリッチ運転を実施する。サイクルを安定化した後で、NO
Xの変換およびNH
3のスリップを、リーンフェーズのみからの平均値として得た。LNTは、1.85dm
3の体積および120g/ft
3のPGM装填を有し、ディーゼル機関において750℃にて20時間エージングした。実施例および比較例による触媒スートフィルタは、試験の準備の際にLNTの下流に置かれる。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
したがって、表2のSCR試験における結果から理解されるように、NH
3−スリップは、排ガスに含有されている窒素酸化物の触媒スートフィルタによる選択触媒還元能力を実質的に損なうことなくかなり減少し得る。詳細には、比較例2ならびに実施例1および2で得られる結果から理解されるように、出口経路のより下流におけるPtを濃縮することにより、また、本発明の触媒の上流でPtをPdに置き換えることにより、触媒と同等のレベルでNO
X変換率を維持しつつ、NH
3−スリップをかなり減少させ、相当量のPtを出口チャネルの全体の長さにわたって分散させることが可能であることが予想外に見出された。
【実施例4】
【0136】
CO−スリップのスート再生および測定フィルタ
スート酸化中、多量のCOが生成され、これは、酸化触媒によりフィルタ基材を通じてCO
2に酸化されることが必要である。スート負荷フィルタの活性フィルタ再生中のCO酸化(副次的CO排出)に対する実施例および比較例のフィルタ基材を試験した。試験前に、試料に、機関排気量が2Lの4気筒軽ディーゼル機関の排気流における11g/lのスートを負荷した。
【0137】
活性再生試験のために、試料のそれぞれを機関排気量が2Lの4気筒軽ディーゼル機関の排気管における標準ディーゼル酸化触媒(DOC)の下流に置いた。触媒スートフィルタの前面の温度を620℃に10分間上昇させ、その後CO濃度をモニターした。スート燃焼から生成されたCO
2の量を、コーティングされていないフィルタ基材のCO排出物により判定した。
【0138】
【表3】
【0139】
表3で表されている結果から理解されるように、本発明の触媒は、白金族金属を含有しない比較例1と比較して、ならびに、出口チャネルに付与されているPdを含有する比較例4と比較して、減少したCO−スリップを示す。しかし、実施例2に用いられている高いPt装填では、本発明の触媒は、比較例、特に、相当量のPtおよびPdを出口チャネルの全体の長さにわたってそれぞれ分散させた比較例2および3を使用して得られたものと比較して、明らかに優れたCO−スリップを表すことが、予想外にも見出された。