特許第6796259号(P6796259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧
<>
  • 特許6796259-リアクトル 図000002
  • 特許6796259-リアクトル 図000003
  • 特許6796259-リアクトル 図000004
  • 特許6796259-リアクトル 図000005
  • 特許6796259-リアクトル 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796259
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20201130BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H01F37/00 H
   H01F37/00 J
   H01F37/00 M
   H01F27/32 103
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-139336(P2017-139336)
(22)【出願日】2017年7月18日
(65)【公開番号】特開2019-21779(P2019-21779A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】三崎 貴史
(72)【発明者】
【氏名】舌間 誠二
(72)【発明者】
【氏名】平林 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸一郎
【審査官】 小池 秀介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/043523(WO,A1)
【文献】 特開2017−028142(JP,A)
【文献】 特開2016−197671(JP,A)
【文献】 特開2014−027086(JP,A)
【文献】 特開2012−028653(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/093492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記巻回部の外側で前記内側コア部を挟むように配置される一対の外側コア部とを有する磁性コアと、
前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される本体部と、前記巻回部内に連通する樹脂充填孔とを有する端面介在部材と、
前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
前記外側コア部の少なくとも一部を覆い、前記樹脂充填孔を通じて前記内側樹脂部と繋がっている外側樹脂部とを備えるリアクトルであって、
一対の前記外側コア部の少なくとも一方と前記端面介在部材とは、一体に設けられたコア部品で構成され、
前記コア部品における前記端面介在部材は、前記本体部から前記外側コア部側に延設され、前記本体部との間に前記外側コア部を挟むコア保持部を備え
前記コア保持部は、前記外側コア部の一方の側面から他方の側面に亘って連続して設けられている、
リアクトル。
【請求項2】
前記外側樹脂部は、前記コア保持部を覆って前記外側コア部から突出する突出部を備える請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記コア部品における前記端面介在部材は、前記内側コア部と前記外側コア部との間に介在される介在壁部を備える請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記端面介在部材は、前記巻回部の軸方向端部のターンの少なくとも一部を収納するターン収納部を備える請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば特許文献1には、巻線を巻回してなる巻回部を有するコイルと、巻回部の内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、巻回部と磁性コアとの間に介在される絶縁介在部材とを備えるリアクトルが開示されている。上記磁性コアは、巻回部の内部に配置される内側コア部と、巻回部の外部に配置される外側コア部とを備える。上記絶縁介在部材は、巻回部の内周面と内側コア部との間に介在される内側介在部材と、巻回部の端面と外側コア部との間に介在される端面介在部材とを備える。また、特許文献1に記載のリアクトルは、巻回部の内周面と内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、外側コア部の一部を覆う外側樹脂部とを備える。
【0003】
特許文献1に記載のリアクトルでは、内側介在部材によって巻回部の内周面と内側コア部との間に隙間(樹脂流路)を形成している。そして、外側コア部の外周を樹脂で覆うと共に、端面介在部材に形成された樹脂充填孔から樹脂を充填して、巻回部の端面側から巻回部と内側コア部との間に形成された樹脂流路に樹脂を充填することにより、外側樹脂部と内側樹脂部とを一体に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−28142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したリアクトルの製造方法としては、例えば、コイルと磁性コアと絶縁介在部材とを組み合わせた組合体を金型内に配置し、金型内に樹脂を注入して樹脂モールドすることが挙げられる。金型内に注入された樹脂は、外側コア部の外周を覆い外側樹脂部を形成すると共に、樹脂充填孔を介して巻回部と内側コア部との間に流入して内側樹脂部を形成する。一般に、金型内への樹脂の注入は、射出成形により樹脂に圧力をかけて行うが、巻回部の内周面と内側コア部との狭い隙間に樹脂を十分に行き渡らせるためには、高い圧力をかける必要がある。樹脂の圧力を高くした場合、その圧力によって外側コア部が動き、位置ずれが生じる虞がある。
【0006】
そこで、金型内で外側コア部が動かないように、例えば、金型内に外側コア部を固定する突起(ピン)を設け、この突起に外側コア部を当て止めすることが考えられる。しかしながら、その場合には、外側コア部の突起に接する面が樹脂で覆われず、外側樹脂部から露出することになるため、外側コア部の外側樹脂部から露出する部分で錆が発生することが懸念される。
【0007】
そこで、コイルの巻回部の内周面と磁性コアの内側コア部との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に、外側コア部の位置ずれを抑制できるリアクトルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記巻回部の外側で前記内側コア部を挟むように配置される一対の外側コア部とを有する磁性コアと、
前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される本体部と、前記巻回部内に連通する樹脂充填孔とを有する端面介在部材と、
前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
前記外側コア部の少なくとも一部を覆い、前記樹脂充填孔を通じて前記内側樹脂部と繋がっている外側樹脂部とを備えるリアクトルであって、
一対の前記外側コア部の少なくとも一方と前記端面介在部材とは、一体に設けられたコア部品で構成され、
前記コア部品における前記端面介在部材は、前記本体部から前記外側コア部側に延設され、前記本体部との間に前記外側コア部を挟むコア保持部を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記リアクトルは、コイルの巻回部の内周面と磁性コアの内側コア部との間に樹脂を充填して内側樹脂部を形成する際に、外側コア部の位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図である。
図2図1に示す(II)−(II)線で切断した概略縦断面図である。
図3図1に示す(III)−(III)線で切断した概略平断面図である。
図4】実施形態1に係るリアクトルに備える組合体の概略分解斜視図である。
図5】実施形態1に係るリアクトルに備える組合体の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
(1)本発明の一態様に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内側に配置される内側コア部と、前記巻回部の外側で前記内側コア部を挟むように配置される一対の外側コア部とを有する磁性コアと、
前記巻回部の端面と前記外側コア部との間に介在される本体部と、前記巻回部内に連通する樹脂充填孔とを有する端面介在部材と、
前記巻回部の内周面と前記内側コア部との間に充填される内側樹脂部と、
前記外側コア部の少なくとも一部を覆い、前記樹脂充填孔を通じて前記内側樹脂部と繋がっている外側樹脂部とを備えるリアクトルであって、
一対の前記外側コア部の少なくとも一方と前記端面介在部材とは、一体に設けられたコア部品で構成され、
前記コア部品における前記端面介在部材は、前記本体部から前記外側コア部側に延設され、前記本体部との間に前記外側コア部を挟むコア保持部を備える。
【0013】
上記リアクトルは、外側コア部と端面介在部材とが一体に設けられたコア部品で構成されることで、外側コア部と端面介在部材とを位置決めした状態の一体物として取り扱える。そして、そのコア部品における外側コア部が端面介在部材の本体部とコア保持部によって挟まれることで、内側樹脂部及び外側樹脂部の形成過程において、樹脂の注入圧力により外側コア部が端面介在部材から外れたり、端面介在部材が変形したりするという不具合が生じることを抑制できる。
【0014】
上記リアクトルは、一対の外側コア部の一方が端面介在部材と一体に設けられたコア部品で構成され、一対の外側コア部の他方が端面介在部材と別体に設けられた別部品で構成される片側コア保持の形態と、一対の外側コア部の双方がそれぞれ端面介在部材と一体に設けられたコア部品で構成される両側コア保持の形態とを含む。内側樹脂部及び外側樹脂部は、コイルと磁性コアと端面介在部材とを組み合わせた組合体を金型内に配置し、金型内に樹脂を注入して樹脂モールドすることで形成できる。金型内への樹脂の注入としては、一対の外側コア部の一方の外側コア部の外端面側から樹脂を注入する一方向注入の形態と、一対の外側コア部の双方の外側コア部の外端面側からそれぞれ樹脂を注入する二方向注入の形態とが挙げられる。
【0015】
一方向注入の形態では、樹脂を注入する側の一方の外側コア部は、樹脂の注入圧力によって外周面が端面介在部材側に押圧されることで、その反対側に倒れることは実質的にはない。しかし、樹脂を注入する側と反対側に位置する他方の外側コア部は、端面介在部材と別体の場合、一方の外側コア部側から巻回部と内側コア部との間に流入した樹脂の注入圧力によって、端面介在部材と反対側に倒れて端面介在部材から外れる虞がある。上記リアクトルは、外側コア部が端面介在部材の本体部とコア保持部によって挟まれて保持されているため、一方向注入の形態であっても、外側コア部が樹脂の注入圧力によって端面介在部材と反対側に倒れて外れることを抑制できる。一方向注入の場合、少なくとも樹脂を注入する側と反対側に位置する他方の外側コア部がコア部品で構成されていればよく(片側コア保持の形態)、双方の外側コア部がコア部品で構成されていてもよい(両側コア保持の形態)。
【0016】
二方向注入の形態では、一方の外側コア部側から注入される樹脂の充填状態と、他方の外側コア部側から注入される樹脂の充填状態とが不均一となる注入状態の差が生じ得る。例えば、他方の外側コア部を覆う外側樹脂部の樹脂量が、一方の外側コア部を覆う外側樹脂部の樹脂量よりも多い場合に上記注入状態の差が生じ得る。この場合、他方の外側コア部は、端面介在部材と別体の場合、一方の外側コア部側から巻回部と内側コア部との間に流入した樹脂の注入圧力によって、端面介在部材と反対側に倒れて端面介在部材から外れる虞がある。上記リアクトルは、外側コア部が端面介在部材の本体部とコア保持部によって挟まれて保持されているため、二方向注入の形態で樹脂の注入状態に差が生じる場合であっても、外側コア部が樹脂の注入圧力によって端面介在部材と反対側に倒れて外れることを抑制できる。二方向注入の場合、注入された樹脂が巻回部と内側コア部との間に流入するまでに時間を要する側の外側コア部、例えば覆われる外側樹脂部の樹脂量が多い外側コア部がコア部品で構成されていればよく(片側コア保持の形態)、双方の外側コア部がコア部品で構成されていてもよい(両側コア保持の形態)。
【0017】
(2)上記リアクトルの一形態として、前記コア保持部は、前記外側コア部の一方の側面から他方の側面に亘って連続して設けられていることが挙げられる。
【0018】
上記形態によれば、外側コア部の外周面が抱え込まれるように端面介在部材の本体部とコア保持部によって挟まれて保持されるため、内側樹脂部及び外側樹脂部の形成過程において、樹脂の注入圧力によって外側コア部が端面介在部材から外れて位置ずれすることをより抑制できる。
【0019】
(3)上記リアクトルの一形態として、前記外側樹脂部は、前記コア保持部を覆って前記外側コア部から突出する突出部を備えることが挙げられる。
【0020】
外側樹脂部に、リアクトルを設置対象に固定するための固定部や、コイルの巻線端部に取り付けられる端子金具を固定するための端子台を形成することがある。固定部や端子台は、外側コア部の外周面から突出する突出部として設けられる。コア部品における外側コア部を覆う外側樹脂部は、その厚みを実質的に均一とする場合、コア保持部を介して外側コア部の外周を覆う部分が、外側コア部の外周を直接覆う部分に対して外側コア部の外周面から膨出する。そこで、外側樹脂部に突出部が設けられる場合、コア保持部を覆うように突出部が設けられることで、上記膨出部分が突出部により覆われるため、その膨出部分を突出部の一部として用いることができる。上記膨出部分を突出部の一部として用いることで、外側コア部における突出部が設けられる領域以外を実質的に均一の厚みとでき、リアクトルの大型化を抑制できる。
【0021】
(4)上記リアクトルの一形態として、前記コア部品における前記端面介在部材は、前記内側コア部と前記外側コア部との間に介在される介在壁部を備えることが挙げられる。
【0022】
端面介在部材に介在壁部を備えることで、内側コア部と外側コア部との間に樹脂が流入することを抑制でき、樹脂の注入圧力によって内側コア部と外側コア部との間のギャップ長が所定値からずれることを抑制できる。
【0023】
(5)上記リアクトルの一形態として、前記端面介在部材は、前記巻回部の軸方向端部のターンの少なくとも一部を収納するターン収納部を備えることが挙げられる。
【0024】
端面介在部材にターン収納部を備えることで、端面介在部材に対して巻回部を位置決めできると共に、端面介在部材と巻回部の端面とを面接触させることができ、内側樹脂部及び外側樹脂部の形成過程において、端面介在部材と巻回部との接触部分から樹脂が漏れることを抑制できる。
【0025】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るリアクトルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態1>
図1図5を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
【0027】
〔リアクトル〕
≪全体構成≫
実施形態1のリアクトル1は、図1図4に示すように、巻回部2cを有するコイル2と、巻回部2cの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コア3と、コイル2と磁性コア3との間に介在される絶縁介在部材4とを組み合わせた組合体10(図4を参照)を備える。コイル2は、2つの巻回部2cを有し、両巻回部2cが互いに横並びに配置されている。磁性コア3は、図2及び図3に示すように、巻回部2cの内側に配置される2つの内側コア部31と、巻回部2cの外側に配置されて両内側コア部31の各端部同士を接続する2つの外側コア部32とを有する。絶縁介在部材4は、図4に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に介在される内側介在部材41と、巻回部2cの端面と外側コア部32との間に介在される本体部420を有する端面介在部材42A,42Bとを有する。また、リアクトル1は、図2及び図3に示すように、磁性コア3(内側コア部31及び外側コア部32)を一体に覆うモールド樹脂部6を備える。モールド樹脂部6は、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に充填される内側樹脂部61と、外側コア部32の少なくとも一部を覆う外側樹脂部62とを有する。内側樹脂部61と外側樹脂部62とは、一体に形成されて繋がっている。
【0028】
実施形態1のリアクトル1は、図4に示すように、2つの外側コア部32の少なくとも一方(本例では、一方の外側コア部32)と端面介在部材42Aとが、一体に設けられたコア部品5で構成される点を特徴の一つとする。また、実施形態1のリアクトル1は、図2図4に示すように、コア部品5における端面介在部材42Aが、端面介在部材42Aの本体部420から外側コア部32側に延設され、本体部420との間に外側コア部32を挟むコア保持部421を備える点を特徴の一つとする。
【0029】
リアクトル1は、例えば、コンバータケースなどの設置対象(図示せず)に設置される。ここでは、リアクトル1(コイル2及び磁性コア3)において、図1及び図4における紙面下側が、設置対象に面する設置側であり、設置側を「下」、その反対側を「上」とし、上下方向を縦方向(高さ方向)とする。また、コイル2の巻回部2cの並び方向(図3の紙面左右方向)を横方向(幅方向)とし、コイル2(巻回部2c)の軸方向に沿った方向(図2の紙面左右方向、図3の紙面上下方向)を長さ方向とする。図2は、巻回部2cの軸方向に沿って縦方向に切断した縦断面図であり、図3は、巻回部2cを上下に分断する平面で切断した平断面図である。図5は、組合体10をコア部品5側から見た正面図であり、説明の便宜上、コア部品5における外側コア部32を省略している。以下、リアクトル1の構成について詳しく説明する。
【0030】
≪コイル≫
コイル2は、図1及び図4に示すように、2本の巻線2wをそれぞれ螺旋状に巻回してなる2つの巻回部2cを有し、両巻回部2cを形成するそれぞれの巻線2wの一方の端部同士が接合部2jを介して接続されている。両巻回部2cは、互いの軸方向が平行するように横並び(並列)に配置されている。接合部2jは、各巻回部2cから引き出された巻線2wの一方の端部同士を溶接や半田付け、ロウ付けなどの接合方法によって接合することで形成されている。巻線2wの他方の端部はそれぞれ、各巻回部2cから適宜な方向(本例では上方)に引き出されている。各巻線2wの他端部には、端子金具(図示せず)が適宜取り付けられ、電源などの外部装置(図示せず)に電気的に接続される。コイル2は、公知のものを利用でき、例えば、両巻回部2cが1本の連続する巻線で形成されたものでもよい。
【0031】
両巻回部2cは、同じ仕様の巻線2wからなり、形状・大きさ・巻回方向・ターン数が同じであり、巻回部2cを形成する隣り合うターン同士が密着している。巻線2wは、例えば、導体(銅など)と、導体の外周に絶縁被覆(ポリアミドイミドなど)とを有する被覆線(いわゆるエナメル線)である。本例では、各巻回部2cが被覆平角線の巻線2wをエッジワイズ巻きした四角筒状(具体的には、矩形筒状)のエッジワイズコイルであり、軸方向から見た巻回部2cの端面形状は角部が丸められた矩形状である。巻回部2cの形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円筒状や楕円筒状、長円筒状(レーストラック形状)などであってもよい。巻線2wや巻回部2cの仕様は適宜変更できる。
【0032】
本例では、図1に示すように、コイル2(巻回部2c)がモールド樹脂部6で覆われておらず、リアクトル1を構成したとき、コイル2の外周面が露出された形態になる(図2も参照)。そのため、コイル2から外部に放熱し易く、コイル2の放熱性を高めることができる。
【0033】
その他、コイル2は、電気絶縁性を有する樹脂でモールドされたモールドコイルであってもよい。この場合、コイル2を外部環境(粉塵や腐食など)から保護したり、コイル2の機械的強度や電気絶縁性を高めたりできる。例えば、巻回部2cの内周面が樹脂で覆われていることで、巻回部2cと内側コア部31との間の電気的絶縁を高めることができる。コイル2をモールドする樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂などの熱可塑性樹脂が利用できる。
【0034】
或いは、コイル2は、巻回部2cを形成する隣り合うターン間に融着層を備え、隣り合うターン同士が熱融着された熱融着コイルであってもよい。この場合、隣り合うターン同士をより密着させることができる。
【0035】
≪磁性コア≫
磁性コア3は、図2図4に示すように、巻回部2cの内側に配置される2つの内側コア部31と、巻回部2cの外側に配置される2つの外側コア部32とを有する。内側コア部31は、横並びに配置された巻回部2cの内側に位置し、コイル2が配置される部分である。つまり、両内側コア部31は、巻回部2cと同様に、横並び(並列)に配置される。内側コア部31は、その軸方向の端部の一部が巻回部2cから突出していてもよい。外側コア部32は、巻回部2cの外側に位置し、コイル2が実質的に配置されない(即ち、巻回部2cから突出(露出)する)部分である。外側コア部32は、両内側コア部31を挟むように配置される。本例では、両内側コア部31の各端面が外側コア部32の内端面32eにそれぞれ対向して接続されることによって環状の磁性コア3が構成される。磁性コア3には、コイル2に通電して励磁した際に磁束が流れ、閉磁路が形成される。
【0036】
〈内側コア部〉
内側コア部31は、巻回部2cの内周面に対応した形状である。本例では、内側コア部31が四角柱状(矩形柱状)に形成されており、軸方向から見た内側コア部31の端面形状は角部が面取りされた矩形状である。内側コア部31の外周面は、図4に示すように、4つの平面(上面、下面及び2つの側面)と4つの角部とを有する。ここでは、両巻回部2cの互いに対向する側を内側、その反対側を外側とし、2つの側面のうち、両巻回部2cの互いに対向する内側の側面を内側面、その反対側に位置する外側の側面を外側面とする。また、本例では、図2図4に示すように、内側コア部31が複数の内コア片31mを有し、内コア片31mが長さ方向に連結されて構成されている。
【0037】
内側コア部31(内コア片31m)は、軟磁性材料を含有する材料で形成されている。内コア片31mは、例えば、鉄又は鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Si−Al合金、Fe−Ni合金など)といった軟磁性粉末や更に絶縁被覆を有する被覆軟磁性粉末などを圧縮成形した圧粉成形体や、軟磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体などで形成されている。複合材料の樹脂には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂などが利用できる。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。その他、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴムなども利用できる。本例では、内コア片31mが圧粉成形体で形成されている。
【0038】
〈外側コア部〉
外側コア部32は、それぞれ1つのコア片で構成されている。外側コア部32は、内コア片31mと同様に、軟磁性材料を含有する材料で形成されており、上述した圧粉成形体や複合材料などが利用できる。本例では、外側コア部32が圧粉成形体で形成されている。
【0039】
外側コア部32は、図3及び図4に示すように、上面と下面と周面とを有する。ここでは、周面のうち、両内側コア部31の各端面にそれぞれ対向する側を内端面32e、その反対側を外端面32o、内端面32eと外端面32oとを繋ぐ側を側面32sとする。外側コア部32の形状は、内側コア部31と組み合わされることで閉磁路を形成するものであれば、特に限定されない。本例では、図2に示すように、磁性コア3を構成したとき、外側コア部32が内側コア部31に対して下方向に突出しており、外側コア部32の下面がコイル2(巻回部2c)の下面と面一になっている。外側コア部32の上面は内側コア部31の上面と面一になっている。
【0040】
≪絶縁介在部材≫
絶縁介在部材4は、コイル2(巻回部2c)と磁性コア3(内側コア部31及び外側コア部32)との間に介在され、コイル2と磁性コア3との間の電気的絶縁を確保する部材であり、内側介在部材41と端面介在部材42A,42Bとを有する。絶縁介在部材4は、電気絶縁性を有する樹脂、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などで形成されている。本例では、内側介在部材41及び端面介在部材42A,42BがPPS樹脂で形成されている。
【0041】
〈内側介在部材〉
内側介在部材41は、図2及び図4に示すように、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に介在され、巻回部2cと内側コア部31との間の電気的絶縁を確保する。また、内側介在部材41は、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間、及び隣り合う内コア片31m間に、内側樹脂部61(図2及び図3を参照)を形成する樹脂の流路となる隙間を形成する。本例では、内側介在部材41は、図4に示すように、内コア片31m間に介在される板状の仕切り部410と、仕切り部410の角部に形成され、隣り合う内コア片31mの双方の角部に沿って長さ方向に延在する突片411とを有する。本例に示す仕切り部410は、上側が開口したU字状に形成されている。仕切り部410は、隣り合う内コア片31m間の間隔を保持し、内コア片31m間にギャップを形成する。突片411は、内コア片31mの角部を保持すると共に、巻回部2cの内周面と内コア片31mの外周面との間に介在して、巻回部2c内に内コア片31m(内側コア部31)を位置決めする。突片411により巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に隙間が形成され、内側コア部31の4面(上面、下面及び両側面)にそれぞれ隙間が確保される。巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との隙間、及び隣り合う内コア片31m間に樹脂が充填されることで、内側樹脂部61(図2及び図3を参照)が形成される。
【0042】
〈端面介在部材〉
端面介在部材42A,42Bは、図1及び図4に示すように、巻回部2cの端面と外側コア部32の内端面32eとの間に介在される本体部420を有し、巻回部2cと外側コア部32との間の電気的絶縁を確保する。コイル2(巻線2w)の端部が引き出される側(図1図2、及び図4の紙面左側、図3の紙面下側)に位置する一方の端面介在部材42Aは、外側コア部32と一体に設けられたコア部品5で構成される。本例では、コイル2(巻線2w)の端部同士が接合された接合部2j側(図1図2、及び図4の紙面右側、図3の紙面上側)に位置する他方の端面介在部材42Bは、外側コア部32と別体に設けられている。そのため、本例では、一方の端面介在部材42Aの形状と、他方の端面介在部材42Bの形状とが異なる。
【0043】
(一方の端面介在部材)
コア部品5で構成される端面介在部材42Aは、略B状の枠状部材で構成される本体部420を有する。本例では、端面介在部材42Bは、図5に示すように、枠状部材の内側に介在壁部425が一体に形成され、本体部420の枠部分の内側を塞いでいる。端面介在部材42Aは、例えばインサート成形によって外側コア部32に一体に設けられる。そのため、外側コア部32は、端面介在部材42Aに対して密着した状態で保持されることになる。外側コア部32と端面介在部材42Aとが一体に設けられたコア部品5の製造方法については、後述するリアクトルの製造方法にて詳述する。
【0044】
端面介在部材42Aは、内側コア部31と外側コア部32との間に介在される介在壁部425(図5)と、介在壁部425を挟んで外側コア部32が配置される側にコア保持部421及びコア収納部422と、介在壁部425を挟んで内側コア部31が配置される側にターン収納部423及び突片424とを備える。なお、ターン収納部423及び突片424については、図4において他方の端面介在部材42Bを参照するが、同様の構成が一方の端面介在部材42Aにもある。
【0045】
{介在壁部}
介在壁部425は、本体部420の中央部分に形成された矩形状の板状部分であり、内側コア部31と外側コア部32との間に介在される。この介在壁部425は、内側コア部31と外側コア部32との間でギャップ部として機能する。介在壁部425は、本体部420よりも薄い。介在壁部425には、外側コア部32と端面介在部材42Aとを一体化する際に、金型内の所定位置に外側コア部32を保持するためのピンが接触したピン痕がピン孔426(図5)として残っている。
【0046】
{コア保持部}
コア保持部421は、本体部420から外側コア部32側に延設され、本体部420との間に外側コア部32を挟む。コア保持部421は、外側コア部32における巻回部2cや内側コア部31と反対側の側面32s及び外端面32oの少なくとも一部を覆うことが好ましい。特に、この外端面32oの少なくとも一部を覆うことが好ましい。また、コア保持部421は、本体部420の両側からそれぞれ延設され、外側コア部32の両側面32s及び外端面32oに沿って外側コア部32を抱え込むように設けられることが好ましい。コア保持部421は、外側コア部32の側面32s及び外端面32oに密着して設けられている。
【0047】
コア保持部421は、後述するモールド樹脂部6の形成過程において、樹脂の注入圧力によって外側コア部32が外れて位置ずれすることを抑制する機能を有する。コア保持部421の機能については、後述するリアクトルの製造方法にて詳述する。コア保持部421は、外側コア部32の周方向に沿った合計長さ、すなわち本体部420からの延設方向の合計長さが、外側コア部32の側面32s及び外端面32oの各周方向の合計長さの10%以上、更に50%以上、特に100%(全幅)であることが好ましい。そうすることで、モールド樹脂部6の形成過程において、樹脂の注入圧力によって外側コア部32が外れて位置ずれすることを抑制し易い。本例では、コア保持部421は、外側コア部32の側面32s及び外端面32oの周方向に沿って、外側コア部32の一方の側面32sから他方の側面32sに至る全幅に亘って連続して設けられている。コア保持部421が外側コア部32の全幅に亘って設けられていない、つまりコア保持部421が外側コア部32の幅方向の途中にスリットを有する場合、コア保持部421は、本体部420の両側からそれぞれ片持ちで延設される一対のコア保持片で構成されることになる。この場合、コア保持片同士は、外側コア部32の幅方向の中央部を中心に対称に設けられることが好ましい。
【0048】
コア保持部421は、外側コア部32の高さ方向に沿った長さ(図5の紙面上下方向の長さ)が、外側コア部32の高さの5%以上、更に10%以上、特に25%以上であることが好ましい。そうすることで、モールド樹脂部6の形成過程において、樹脂の注入圧力によって外側コア部32が外れて位置ずれすることを抑制し易い。
【0049】
また、コア保持部421は、その延設方向及び高さ方向の双方に直交する方向の長さ(図3の紙面上下方向の長さ、以下、厚さと呼ぶ)が、0.5mm以上、更に1mm以上、特に1.5mm以上であることが好ましい。そうすることで、モールド樹脂部6の形成過程において、樹脂の注入圧力によって外側コア部32が外れて位置ずれすることを抑制し易い。一方、コア保持部421の厚さが4mm以下、更に3mm以下、特に2mm以下であることで、コア保持部421が外側コア部32から突出し難く、コア部品5の大型化を抑制できる。なお、後述する外側樹脂部62が、コア保持部421を覆って外側コア部32から突出する突出部620を備える場合、コア保持部421の厚さは、突出部620の突出長さに応じて適宜選択できる。
【0050】
コア保持部421は、外側コア部32の高さ方向の中間位置に設けられている。コア保持部421を設ける位置は、適宜選択することができ、外側コア部32の高さ方向の上側や下側であってもよい。後述する外側樹脂部62が突出部620を備える場合、コア保持部421は、突出部620に対応する位置に設けることが挙げられる。
【0051】
本例では、コア保持部421は、外側コア部32の高さ方向の中間位置に、外側コア部32の一方の側面32sから他方の側面32sに至る全幅に亘って連続して設けられる帯状部材である。その他に、コア保持部421は、外側コア部32の側面32s及び外端面32oの全面に亘って設けられるシート状部材であってもよい。また、コア保持部421は、上記帯状部材で構成される場合、外側コア部32の高さ方向に間隔をあけて複数本並列されていてもよい。
【0052】
{コア収納部}
コア収納部422は、図4及び図5に示すように、外側コア部32の内端面32e側の端部が嵌合される凹部である。コア収納部422に外側コア部32の端部が嵌合されて、外側コア部32と端面介在部材42Aとが一体に設けられることで、端面介在部材42Aに対して外側コア部32が位置決めされた状態を保持し易い。
【0053】
{ターン収納部}
ターン収納部423は、巻回部2cの軸方向端部の少なくとも一部を収納する凹部である。ターン収納部423は、2つの巻回部2cに対応して2つ設けられている。ターン収納部423によって、端面介在部材42Aに対して巻回部2cを位置決めでき、モールド樹脂部6の形成過程において、端面介在部材42Aと巻回部2cとの接触部分から樹脂が漏れることを抑制し易い。
【0054】
{突片}
突片424は、内側コア部31の端部に位置する内コア片31mの角部に沿って配置され、内コア片31mの角部を保持すると共に、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に介在して、巻回部2c内に内コア片31m(内側コア部31)を位置決めする。突片424によって、端面介在部材42Aに対して内側コア部31が位置決めされ、結果的に、端面介在部材42Aを介して内側コア部31と外側コア部32とが位置決めされる。
【0055】
{樹脂充填孔}
端面介在部材42Aには、図5に示すように、上側及び外側にそれぞれ樹脂充填孔428が形成されている。本例では、樹脂充填孔428は、スリット状である。樹脂充填孔428は、組合体10とした状態において、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に形成される隙間に連通している。
【0056】
(他方の端面介在部材)
外側コア部32と別体に設けられる他方の端面介在部材42Bは、図4に示すように、その表裏面に貫通する貫通孔427を2つ有するB字状の枠状部材で構成される。この端面介在部材42Bは、コア部品5で構成される端面介在部材42Aに対して、介在壁部425がなく貫通孔427を備える点、及び外側コア部32に密着するコア保持部421を備えない点が異なり、その他の構成は同様である。つまり、端面介在部材42Bは、貫通孔427を挟んで外側コア部32が配置される側にコア収納部422と、貫通孔427を挟んで内側コア部31が配置される側にターン収納部423及び突片424とを備える。端面介在部材42Bは、組合体10としたときに、外側コア部32との間に隙間が形成されるように、貫通孔427が形成されている。この端面介在部材42Bと外側コア部32との間に形成される隙間が、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に形成される隙間に連通する樹脂充填孔(図示せず)となる。
【0057】
≪モールド樹脂部≫
モールド樹脂部6は、図2及び図3に示すように、磁性コア3(内側コア部31及び外側コア部32)を一体に覆い、内側樹脂部61と外側樹脂部62とを有する。モールド樹脂部6は、電気絶縁性を有する樹脂、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PI樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などで形成されている。本例では、内側樹脂部61及び外側樹脂部62がPPS樹脂で形成されている。本例では、モールド樹脂部6は、巻回部2cの外周面を覆っておらず、巻回部2cは露出している。
【0058】
〈内側樹脂部〉
内側樹脂部61は、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との隙間に樹脂が充填されることで形成されており、巻回部2cの内周面及び内側コア部31の外周面に密着している。また、本例では、図2に示すように、内側介在部材41の仕切り部410によって形成される内コア片31m間の空間にも内側樹脂部61を形成する樹脂が充填されている。
【0059】
〈外側樹脂部〉
外側樹脂部62は、外側コア部32の少なくとも一部を覆うように形成されている。本例では、組合体10を組み合わせたときに外部に露出する外側コア部32の全体を覆うように外側樹脂部62が形成されており、側面32s及び外端面32oに加え、外側コア部32の上面や下面も外側樹脂部62で覆われている。
【0060】
外側樹脂部62は、図1図3に示すように、外方に突出して一体成形される突出部620を備える。突出部620は、リアクトル1を設置対象(図示せず)に固定するための固定部621を備える。また、コア部品5で構成される外側コア部32を覆う外側樹脂部62(図1の紙面左側、図3の紙面下側に示す外側樹脂部62)における突出部620は、コイル2(巻線2w)の端部に取り付けられる端子金具(図示せず)を固定するための端子台622を備える。固定部621と端子台622とは、一体成形されている。
【0061】
本例では、固定部621は、両方の外側コア部32をそれぞれ覆う外側樹脂部62に設けられており、各々の外側樹脂部62に対して2つずつ設けられている。固定部621は、外側樹脂部62の左右両側にそれぞれ配置されている。固定部621には、金属製のカラー621c(筒体)が埋設され、固定具に用いるボルトが挿通される貫通孔が形成されている。設置対象へのリアクトル1の固定は、固定部621のカラー621cにボルト(図示せず)を挿入し、設置対象に設けられたボルト孔に締結することで行う。固定部621の数や位置は適宜変更することが可能である。
【0062】
端子台622は、コア部品5で構成される外側コア部32を覆う外側樹脂部62に設けられており、他方の外側コア部32を覆う外側樹脂部62には設けられていない。端子台622は、各巻線2wの端部にそれぞれ接続される端子金具と外部装置の端子(図示せず)とを締結する締結部(ナット622n)を有する。本例では、2つの固定部621間に架け渡されるように端子台622が設けられており、その端子台622に2つのナット622nが埋設されている。
【0063】
固定部621と端子台622とは、外側コア部32の側面32s及び外端面32oから外方に一体に突出して、1つの突出部620を構成しており、端子台622の厚さが固定部621よりも薄くなっている。本例では、突出部620は、外側コア部32の高さ方向の中間位置に設けられている。突出部620を設ける位置は、適宜選択することができ、外側コア部32の高さ方向の上側や下側であってもよい。突出部620は、上述したように、コア部品5で構成される端面介在部材42Aに備わるコア保持部421を覆って設けられている。
【0064】
モールド樹脂部6は、例えば射出成形により形成されている。本実施形態では、端面介在部材42A,42Bに形成された樹脂充填孔428(図5)を通じて、外側樹脂部62及び内側樹脂部61が一体に形成されている。このモールド樹脂部6により、内側コア部31及び外側コア部32が一体化されると共に、組合体10を構成するコイル2、磁性コア3及び絶縁介在部材4が一体化される。また、図2及び図3に示すように、端面介在部材42Bの貫通孔427にも樹脂が充填されている。
【0065】
〔リアクトルの製造方法〕
上述したリアクトル1の製造方法の一例を説明する。リアクトルの製造方法は、代表的には、コア部品の製造工程と、組合体の組立工程と、樹脂モールド工程とを備える。
【0066】
≪コア部品の作製工程≫
コア部品の作製工程では、外側コア部32と端面介在部材42Aとが一体に構成されるコア部品5を作製する(図4を参照)。
外側コア部32を金型内に配置し、金型内に樹脂を注入し、樹脂を固化させて、端面介在部材42Aを形成する。金型内への樹脂の注入時には、外側コア部32は、金型内で動かないように、金型内に設けられた突起(ピン)に内端面32eが当て止されている。そのため、形成された端面介在部材42Aは、外側コア部32の内端面32eを覆うように介在壁部425を備えるが、その外側角部に金型のピンに対応したピン孔426(図5)が形成される。得られたコア部品5は、外側コア部32の内端面32eの端部が端面介在部材42Aのコア収納部422に嵌合されると共に、外側コア部32の一方の側面32sから他方の側面32sに至る全幅に亘って端面介在部材42Aのコア保持部421が密着して設けられている。また、端面介在部材42Aには、外側コア部32と反対側に、ターン収納部423と突片424とが形成されており、介在壁部425の上側及び幅方向の外側に、樹脂充填孔428が形成されている。
【0067】
≪組合体の組立工程≫
組合体の組立工程では、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材4との組合体10を組み立てる(図4を参照)。
内コア片31m間に内側介在部材41を配置して内側コア部31を作製し、コイル2の両巻回部2cに内側コア部31をそれぞれ挿入して、コイル2と内側コア部31及び内側介在部材41の組物を作製する。その後、巻回部2cの一端部にコア部品5を配置すると共に、巻回部2cの他端部に端面介在部材42B及び他方の外側コア部32を配置する。これにより、内側コア部31と外側コア部32とで環状の磁性コア3を構成する。組合体10の状態において、コア部品5で構成される端面介在部材42Aに形成された樹脂充填孔428は、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に形成される隙間に連通している(図5を参照)。また、外側コア部32と別体で構成される端面介在部材42Bと外側コア部32との間には隙間が形成されており、この隙間は、巻回部2cの内周面と内側コア部31の外周面との間に形成される隙間に連通している。
【0068】
≪樹脂モールド工程≫
樹脂モールド工程では、外側コア部32を樹脂で被覆すると共に、巻回部2cの内周面と内側コア部31との間に樹脂を充填して、外側樹脂部62及び内側樹脂部61を一体成形する(図1図3を参照)。
組合体10を金型内に配置し、組合体10の外側コア部32側から金型内に樹脂を注入して樹脂モールドする。このとき、組合体10は、金型内で動かないように、端面介在部材42A,42Bの周縁部が金型に固定されている。金型内への樹脂の注入としては、外側コア部32の外端面32o側から射出することが挙げられる。本例では、両方の外側コア部32の外端面32o側から同時に樹脂を射出する。端面介在部材42Bと別体で構成される外側コア部32の外端面32o側から注入された樹脂は、外側コア部32を覆い、端面介在部材42Bと外側コア部32との間に形成された隙間から巻回部2cと内側コア部31との間に流入する。一方、コア部品5で構成される外側コア部32の外端面32o側から注入された樹脂は、外側コア部32を覆うと共に、固定部621及び端子台622を形成し、端面介在部材42Aに形成された樹脂充填孔428を介して巻回部2cと内側コア部31との間に流入する。このとき、巻回部2cと内側コア部31との間に流入された樹脂は、内コア片31m間の空間や、介在壁部425を有さない外側コア部32と内側コア部31との隙間にも充填される。その後、充填した樹脂を固化させることで、外側樹脂部62と内側樹脂部61とを一体成形する。これにより、内側樹脂部61と外側樹脂部62とでモールド樹脂部6を構成し、内側コア部31と外側コア部32とを一体化すると共に、コイル2と磁性コア3と絶縁介在部材4とを一体化する。
【0069】
本例では、コア部品5で構成される一方の外側コア部32を覆う外側樹脂部62にのみ固定部621及び端子台622が形成されるため、一方の外側コア部32側から注入される樹脂の充填状態と、他方の外側コア部32側から注入される樹脂の充填状態とが不均一となる。具体的には、コア部品5で構成される一方の外側コア部32側から注入された樹脂が固定部621及び端子台622を形成しながら外側コア部32を覆っている間に、他方の外側コア部32側から注入された樹脂が巻回部2cと内側コア部31との間を流入し、コア部品5の一方の外側コア部32側に到達するということが生じ得る。この場合、コア部品5で構成される一方の外側コア部32は、他方の外側コア部32側から巻回部2cと内側コア部31との間を流入した樹脂の注入圧力を受けることなる。コア部品5で構成される端面介在部材42Aに形成されたコア保持部421は、一方の外側コア部32の外端面32oを覆い、本体部420との間で外側コア部32を挟むことで、一方の外側コア部32が上記注入圧力を受けて端面介在部材42Aから外れようとしても、外側コア部32を端面介在部材42A側に支え、外側コア部32が端面介在部材42Aから外れることを抑制している。
【0070】
本例では、金型への樹脂の注入形態として、両方の外側コア部32の外端面32o側から同時に樹脂を射出する二方向注入の形態を採用した。その他に、端面介在部材42Bと別体で構成される外側コア部32の外端面32o側からのみ樹脂を射出する一方向注入の形態を採用してもよい。
【0071】
〔効果〕
上記リアクトル1は、内側樹脂部61及び外側樹脂部62の形成過程において、巻回部2cと内側コア部31との間に流入した樹脂の注入圧力により、外側コア部32が端面介在部材42Aから倒れて位置ずれすることを抑制できる。それは、巻回部2cと内側コア部31との間に流入した樹脂の注入圧力を受ける虞がある外側コア部32が、端面介在部材42Aと一体に設けられたコア部品5で構成されると共に、端面介在部材42Aの本体部420とコア保持部421とで挟まれて保持されるからである。特に、コア保持部421が、外側コア部32の一方の側面32sから他方の側面32sに亘って連続して設けられていることで、上記注入圧力によって外側コア部32が倒れることを効果的に抑制することができるからである。
【0072】
〔用途〕
上述したリアクトル1は、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなど種々のコンバータ、並びに電力変換装置の構成部品に好適に利用可能である。
【0073】
<変形例1>
実施形態1では、一対の外側コア部32の一方が端面介在部材42Aと一体に設けられたコア部品5で構成され、一対の外側コア部32の他方が端面介在部材42Bと別体に設けられた別部品で構成される片側コア保持の形態を説明した。その他に、一対の外側コア部の双方がそれぞれ端面介在部材と一体に設けられたコア部品で構成され、各外側コア部が端面介在部材の本体部とコア保持部とで挟まれて保持される両側コア保持の形態としてもよい。
【0074】
<変形例2>
実施形態1では、コア保持部421は、外側コア部32の側面32s及び外端面32oの周方向に沿って、外側コア部32の一方の側面32sから他方の側面32sに至る全幅に亘って連続して設けられている形態を説明した。その他に、コア保持部は、外側コア部の上面、下面、及び外端面に沿って、外側コア部の上面から下面に至って連続して設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 リアクトル
10 組合体
2 コイル
2w 巻線
2c 巻回部
2j 接合部
3 磁性コア
31 内側コア部
31m 内コア片
32 外側コア部
32e 内端面
32o 外端面
32s 側面
4 絶縁介在部材
41 内側介在部材
410 仕切り部
411 突片
42A,42B 端面介在部材
420 本体部
421 コア保持部
422 コア収納部
423 ターン収納部
424 突片
425 介在壁部
426 ピン孔
427 貫通孔
428 樹脂充填孔
5 コア部品
6 モールド樹脂部
61 内側樹脂部
62 外側樹脂部
620 突出部
621 固定部
621c カラー
622 端子台
622n ナット
図1
図2
図3
図4
図5