特許第6796403号(P6796403)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本特殊陶業株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6796403-センサ 図000002
  • 特許6796403-センサ 図000003
  • 特許6796403-センサ 図000004
  • 特許6796403-センサ 図000005
  • 特許6796403-センサ 図000006
  • 特許6796403-センサ 図000007
  • 特許6796403-センサ 図000008
  • 特許6796403-センサ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796403
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   G01N27/409 100
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-121425(P2016-121425)
(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公開番号】特開2017-227448(P2017-227448A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】島崎 雄次
【審査官】 櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−229352(JP,A)
【文献】 特開2012−225854(JP,A)
【文献】 特開2013−088123(JP,A)
【文献】 特開昭57−166556(JP,A)
【文献】 特開平09−304334(JP,A)
【文献】 特開昭53−029191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/406−27/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延び、先端側が閉じられた有底筒状をなす固体電解質体からなるセンサ素子であって、先端側に、被検出体の検出を行うための検出部を有すると共に、後端側の外表面に、前記検出部の出力を取り出すための電極取出し部が形成されたセンサ素子と、
当該センサ素子の後端側に嵌め込まれて前記電極取出し部の外表面と接触し、前記検出部からの検出信号を外部回路に出力する接続端子と、
前記センサ素子の外表面に形成され、前記検出部と前記電極取出し部とに接続されたメッキ層からなるリード部と、
前記センサ素子の前記検出部を露出する形態で、前記センサ素子の径方向周囲を取り囲む略筒状の主体金具と、
前記主体金具の内側にて保持され、前記センサ素子が挿通される筒状のセラミックスリーブと、
前記主体金具の内側面と前記センサ素子の外表面との間で、前記セラミックスリーブの先端向き面に接して充填され、前記主体金具と前記センサ素子の隙間をシールする粉末充填部材と、
を備えるセンサにおいて、
前記セラミックスリーブは前記リード部と対向しており、
前記リード部は、前記センサ素子の周方向に2つ以上に分岐する分岐部を有し、
前記分岐部は前記セラミックスリーブの先端よりも後端側に位置することを特徴とするセンサ。
【請求項2】
軸線方向に延び、先端側が閉じられた有底筒状をなす固体電解質体からなるセンサ素子であって、先端側に、被検出体の検出を行うための検出部を有すると共に、後端側の外表面に、前記検出部の出力を取り出すための電極取出し部が形成されたセンサ素子と、
当該センサ素子の後端側に嵌め込まれて前記電極取出し部の外表面と接触し、前記検出部からの検出信号を外部回路に出力する接続端子と、
前記センサ素子の外表面に形成され、前記検出部と前記電極取出し部とに接続されたメッキ層からなるリード部と、
前記センサ素子の前記検出部を露出する形態で、前記センサ素子の径方向周囲を取り囲む略筒状の主体金具と、
前記主体金具の内側にて保持され、前記センサ素子が挿通される筒状のセラミックスリーブと、
前記主体金具の内側面と前記センサ素子の外表面との間で、前記セラミックスリーブの先端向き面に接して充填され、前記主体金具と前記センサ素子の隙間をシールする粉末充填部材と、
を備えるセンサにおいて、
前記セラミックスリーブは前記リード部と対向しており、
前記リード部は、該リード部が形成された部位における前記センサ素子の最小外周長の1/4以上の長さの周長の広幅部を有し、
前記広幅部の少なくとも一部は前記セラミックスリーブの先端よりも後端側に位置することを特徴とするセンサ。
【請求項3】
前記リード部の最大メッキ厚が2μm以下である請求項1又は2に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体の検出を行うセンサ素子を有するセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検出体の検出を行うセンサ素子を備えたセンサの一例として、自動車の排気ガスに含まれる酸素の濃度を検出する酸素センサが知られている。図7に示すように、この酸素センサのセンサ素子300としては、有底筒状に形成した固体電解質体の先端側に、固体電解質体を内側と外側から一対の電極で挟むようにして形成した検出部を有するものが知られている(特許文献1)。このようなセンサ素子300の後端側の表面(外周面)には、検出部をなす外側電極300cからの検出信号を取り出すための電極取出し部(接続端部)300cpが形成されている。又、センサ素子300の表面には、外側電極300cと電極取出し部300cpよりも狭幅で、これらを電気的に接続する縦リード部300cLが設けられている。そして、センサ素子300の後端側に環状の接続端子91を嵌め込んで電極取出し部300cpと接触させることで、検出部からの検出信号を外部回路に出力するようになっている。
【0003】
また、図8に示すようにして、センサ素子300は主体金具20に取付けられ、センサに組み付けられる。まず、主体金具20の内周面の段部に(セラミックホルダを介して)センサ素子300の鍔部300aを係合させる。さらに、鍔部300aの後端側におけるセンサ素子300と主体金具20との隙間に、筒状の滑石粉末6、及び筒状のセラミックスリーブ10を配置する。そして、セラミックスリーブ10の後端側に金属リング30を配し、主体金具20後端部を内側に屈曲して加締め部20aを形成することにより、セラミックスリーブ10を先端側に押し付けて滑石リング6を押し潰し、センサ素子300を主体金具20に保持すると共に、センサ素子300と主体金具20の隙間をシールする。その後、センサ素子300の後端側から図示しない別のアセンブリを組み付けてセンサが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−88123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した検出部、電極取出し部300cpや縦リード部300cLは、Pt等の貴金属を含む電極ペーストを印刷塗布後に焼成して一般に形成されており、厚みが10μm程度と厚いため、メッキにより厚みを薄くし、コストを低減することが望まれている。
しかしながら、電極取出し部300cpに比べて狭幅の縦リード部300cLの厚みを薄くすると、センサ素子300を主体金具20に取付けるために上述のセラミックスリーブ10を嵌め込んだ際、セラミックスリーブ10が縦リード部300cLを削って断線させるおそれがある。
従って、本発明は、センサ素子の先端側の検出部と電極取出し部とに接続されたリード部の断線を抑制し、検出部からの検出信号を安定して取り出すことができるセンサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点のセンサは、軸線方向に延び、先端側が閉じられた有底筒状をなす固体電解質体からなるセンサ素子であって、先端側に、被検出体の検出を行うための検出部を有すると共に、後端側の外表面に、前記検出部の出力を取り出すための電極取出し部が形成されたセンサ素子と、当該センサ素子の後端側に嵌め込まれて前記電極取出し部の外表面と接触し、前記検出部からの検出信号を外部回路に出力する接続端子と、前記センサ素子の外表面に形成され、前記検出部と前記電極取出し部とに接続されたメッキ層からなるリード部と、前記センサ素子の前記検出部を露出する形態で、前記センサ素子の径方向周囲を取り囲む略筒状の主体金具と、前記主体金具の内側にて保持され、前記センサ素子が挿通される筒状のセラミックスリーブと、前記主体金具の内側面と前記センサ素子の外表面との間で、前記セラミックスリーブの先端向き面に接して充填され、前記主体金具と前記センサ素子の隙間をシールする粉末充填部材と、を備えるセンサにおいて、前記セラミックスリーブは前記リード部と対向しており、前記リード部は、前記センサ素子の周方向に2つ以上に分岐する分岐部を有し、前記分岐部は前記セラミックスリーブの先端よりも後端側に位置することを特徴とする。
【0007】
センサ素子を主体金具に取付ける際に、セラミックスリーブをセンサ素子の後端側からリード部の先端近傍まで嵌め込むが、セラミックスリーブがリード部を削ることがある。
そこで、このセンサによれば、リード部に分岐部を設けることで、分岐部を構成する複数の分岐リードのうち、一部の分岐リードがセラミックスリーブによって削れて断線しても、他の分岐リードが断線せずに残る。このため、リード部全体の断線を抑制して導通経路を確保し、検出部からの検出信号を安定して取り出すことができる。
【0008】
本発明の第2の観点のセンサは、軸線方向に延び、先端側が閉じられた有底筒状をなす固体電解質体からなるセンサ素子であって、先端側に、被検出体の検出を行うための検出部を有すると共に、後端側の外表面に、前記検出部の出力を取り出すための電極取出し部が形成されたセンサ素子と、当該センサ素子の後端側に嵌め込まれて前記電極取出し部の外表面と接触し、前記検出部からの検出信号を外部回路に出力する接続端子と、前記センサ素子の外表面に形成され、前記検出部と前記電極取出し部とに接続されたメッキ層からなるリード部と、前記センサ素子の前記検出部を露出する形態で、前記センサ素子の径方向周囲を取り囲む略筒状の主体金具と、前記主体金具の内側にて保持され、前記センサ素子が挿通される筒状のセラミックスリーブと、前記主体金具の内側面と前記センサ素子の外表面との間で、前記セラミックスリーブの先端向き面に接して充填され、前記主体金具と前記センサ素子の隙間をシールする粉末充填部材と、を備えるセンサにおいて、前記セラミックスリーブは前記リード部と対向しており、前記リード部は、該リード部が形成された部位における前記センサ素子の最小外周長の1/4以上の長さの周長の広幅部を有し、前記広幅部の少なくとも一部は前記セラミックスリーブの先端よりも後端側に位置することを特徴とする。



【0009】
センサ素子を主体金具に取付ける際に、セラミックスリーブをセンサ素子の後端側からリード部の先端近傍まで嵌め込むが、セラミックスリーブがリード部を削ることがある。
そこで、このセンサによれば、リード部に広幅部を設けることで、周方向に広幅部の一部がセラミックスリーブによって削れて断線しても、広幅部の他の部位はセラミックスリーブと接触しないので断線せずに残る。このため、リード部全体の断線を抑制して導通経路を確保し、検出部からの検出信号を安定して取り出すことができる。
なお、センサ素子及びセラミックスリーブは、いずれもセラミック製で硬いが、両者は点接触でなく、センサ素子の外周長の1/4未満の周長の接面で面接触する。そこで、広幅部の周長をセンサ素子の最小外周長の1/4以上とすることで、広幅部のうち周方向にセラミックスリーブと接触しない部位を確実に生じさせることができる。
【0010】
本発明のセンサにおいて、前記リード部の最大メッキ厚が2μm以下であるとよい。
このセンサによれば、リード部の材料としてPt等の貴金属の使用量を低減し、コストをより一層低減できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、センサ素子の先端側の検出部と電極取出し部とに接続されたリード部の断線を抑制し、検出部からの検出信号を安定して取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の観点の実施形態に係るセンサを軸方向に沿う面で切断した断面図である。
図2】センサ素子及び接続端子の構造を示す斜視図である。
図3】センサ素子を主体金具に取付ける態様を示す図である。
図4】センサ素子とセラミックスリーブ10との接触状態を示す断面図である。
図5】センサを製造する態様を示す図である。
図6】本発明の第2の観点の実施形態に係るセンサにおけるセンサ素子の側面図である。
図7】従来のセンサ素子及び接続端子の構造を示す斜視図である。
図8】従来のセンサ素子を主体金具に取付ける態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の観点の実施形態に係るセンサ100を軸線O方向(先端から後端に向かう方向)に沿う面で切断した断面構造を示す。図2はセンサ素子及び接続端子の構造を示す斜視図である。
この実施形態において、センサ100は自動車の排気管内に挿入されて先端側が排気ガス中に曝され、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサになっている。センサ素子3は、酸素イオン伝導性の固体電解質体に一対の電極を積層した酸素濃淡電池を構成し、酸素量に応じた検出値を出力する公知の酸素センサ素子である。
なお、図1の下側をセンサ100の先端側とし、図1の上側をセンサ100の後端側とする。
【0014】
センサ100は、先端が閉じた略円筒状(中空軸状)のセンサ素子(この例では酸素センサ素子)3を、筒状の主体金具(主体金具)20の内側に挿通して保持するよう組み付けられている。センサ素子3は、先端に向かってテーパ状に縮径する筒状の固体電解質体と、固体電解質体の内周面と外周面にそれぞれ形成された内側電極3b及び外側電極3cとからなる検出部とを有する。そして、センサ素子3の内部空間を基準ガス雰囲気とし、センサ素子3の外面に被検出ガスを接触させてガスの検知を行うようになっている。又、センサ素子3の中空部には丸棒状のヒータ15が挿入され、固体電解質体を活性化温度に昇温するようになっている。
主体金具20の後端部には、センサ素子3の後端側に設けられたリード線や端子(後述)を保持し、センサ素子3の後端部を覆う筒状の外筒40が接合されている。さらに、センサ素子3の後端側の外筒40内側には、絶縁性で円柱状のセパレータ121が加締め固定されている。一方、センサ素子3先端の検出部はプロテクタ7で覆われている。そして、このようにして製造されたセンサ100の主体金具20の雄ねじ部20dを排気管等のネジ孔に取付けることで、センサ素子3先端の検出部を排気管内に露出させて被検出ガス(排気ガス)を検知している。なお、主体金具20の中央付近には、六角レンチ等を係合するための多角形の鍔部20cが設けられ、鍔部20cと雄ねじ部20dとの間の段部には、排気管に取付けた際のガス抜けを防止するガスケット14が嵌挿されている。
【0015】
センサ素子3の中央側に鍔部3aが設けられ、主体金具20の先端寄りの内周面には内側に縮径する段部が設けられている。又、段部の後端向き面にワッシャ12を介して筒状のセラミックホルダ5が配置されている。そして、センサ素子3が主体金具20及びセラミックホルダ5の内側に挿通され、セラミックホルダ5に後端側からセンサ素子3の鍔部3aが当接している。
さらに、鍔部3aの後端側におけるセンサ素子3と主体金具20との径方向の隙間に、筒状の滑石粉末(粉末充填部材)6、及び筒状のセラミックスリーブ10が配置されている。そして、セラミックスリーブ10の後端側に金属リング30を配し、主体金具20後端部を内側に屈曲して加締め部20aを形成することにより、セラミックスリーブ10が先端側に押し付けられる。これにより滑石リング6を押し潰し、セラミックスリーブ10及び滑石粉末6が加締め固定されるとともに、センサ素子3と主体金具20の隙間がシールされている。
【0016】
ガスセンサ素子3の後端側にセパレータ121が配置され、セパレータ121と外筒40との間隙には保持金具80が配置されている。そして、保持金具80の内部にセパレータ121が保持されている。
セパレータ121には、挿通孔(この例では4個)が設けられ、そのうち2個の挿通孔にそれぞれ内側端子71、外側端子91の板状基部が挿入されて固定されている。各板状基部にそれぞれリード線41、41が加締め接続されている。又、セパレータ121の図示しない2個の挿通孔(ヒータリード孔)に、ヒータ15から引き出されたヒータリード線43(図1では1個のみ図示)が挿通されている。
セパレータ121の後端側の外筒40内側には筒状のグロメット131が加締め固定され、グロメット131の4個の挿通孔からそれぞれ2個のリード線41、及び2個のヒータリード線43が外部に引き出されている。
なお、グロメット131の中心には貫通孔131aが形成され、ガスセンサ素子3の内部空間に連通している。そして、グロメット131の貫通孔131aに撥水性の通気フィルタ140が介装され、外部の水を通さずにガスセンサ素子3の内部空間に基準ガス(大気)を導入するようになっている。
又、外側端子91が特許請求の範囲の「接続端子」に相当する。
【0017】
一方、主体金具20の先端側には筒状のプロテクタ7が外嵌され、主体金具20から突出するセンサ素子3の先端側がプロテクタ7で覆われている。プロテクタ7は、複数の孔部(図示せず)を有する有底筒状で金属製(例えば、ステンレスなど)二重の外側プロテクタ7bおよび内側プロテクタ7aを、溶接等によって取り付けて構成されている。
【0018】
図2に示すように、外側電極(検出部)3cはガスセンサ素子3の外周面3sの鍔部3aよりも先端側の全周に亘って設けられている。又、ガスセンサ素子3の外周面3sの後端側に、外側電極3cの出力を取り出すための電極取出し部3cpが周方向に広がるように設けられている。さらに、外側電極3cと電極取出し部3cpとの間に、軸線O方向に延びるメッキ層からなるリード部3cLが設けられ、外側電極3cと電極取出し部3cpとを電気的に接続している。そして、センサ素子3の後端側に環状の接続端子91を嵌め込んで電極取出し部3cpと接触させることで、外側電極3cからの検出信号を外部回路に出力するようになっている。
リード部3cLは、外側電極3c側及び電極取出し部3cp側でこれらより狭幅の1本の線状をなすと共に、軸線O方向の中央近傍で周方向に2つに分岐する分岐部3LBを有している。
なお、内側電極3b(図1参照)は、ガスセンサ素子3の先端部から後端部の内孔3dの表面に設けられている。
【0019】
次に、図3を参照し、分岐部3LBの作用について説明する。
既に述べたように、センサ素子3を主体金具20に取付ける際に、セラミックスリーブ10をセンサ素子3の後端側からリード部3cLの先端近傍まで嵌め込むが、セラミックスリーブ10がリード部3cLを削ることがある。
このとき、図3に示すように、分岐部3LBを設けることで、例えば分岐部3LBを構成する2本の分岐リードLB1、LB2のうち、一方の分岐リードLB1がセラミックスリーブ10によって削れて断線しても、他の分岐リードLB2が断線せずに残ることで、リード部3cL全体の断線を抑制して導通経路を確保し、外側電極(検出部)3cからの検出信号を安定して取り出すことができる。
なお、センサ素子3を主体金具20に取付けた後、セラミックスリーブ10はリード部3cLと対向した位置で固定される。
【0020】
ここで、センサ素子3及びセラミックスリーブ10は、いずれもセラミック製で硬いので、両者はほぼ点接触すると考えられてきたが、図4に示すように、接面Cにて面接触することが判明した。そして、接面Cによる面接触の割合は、センサ素子3の外周長の1/4未満であることも判明した。
従って、センサ素子3の周方向に接面Cよりも外側に分岐部3LBがはみ出すようにする、つまり分岐リードLB1、LB2の外側同士の周方向の間隔Dを、センサ素子3の外周長の1/4以上とすれば、分岐リードLB1、LB2の少なくとも一部はセラミックスリーブ10で削られないことになるので、リード部3cL全体の断線をより一層抑制できる。
なお、センサ素子3の外周長としては、リード部3cLが形成された部位におけるセンサ素子3の「最小」外周長とする。これは、鍔部3aやこれに繋がる拡径部を除くためである。
【0021】
このセンサ100は、図5に示すようにして製造される。まず、上述のようにセンサ素子3を主体金具20の内側に保持してセンサ素子アセンブリBを組み付ける。具体的には、センサ素子3を主体金具20内に配置されたセラミックホルダ5上に配置する。その後、主体金具20とセンサ素子3との間隙に滑石(タルク)6を充填し、セラミックスリーブ10、金属パッキン30を順に滑石6上に配置し、主体金具20の後端側を加締めてセンサ素子アセンブリBを組み付ける。
一方で、外筒40内に、内側の内側端子71及び外側の外側端子91を組み付けたセパレータ121をグロメット131と共に外筒40を配置し、セパレータアセンブリAを組み付ける。具体的には、リード線41に接続された内側端子71及び外側端子91をセパレータ121内に挿入し、その後、セパレータ121を外筒40の段部40dに当接する。
その後、セパレータ121と外筒40との間隙に保持金具80を挿入すると共に、グロメット131を外筒40の後端側に配置し、セパレータアセンブリAを組み付ける。なお、内側端子71にはヒータ15が既に取付けられている。
【0022】
そして、セパレータアセンブリAと素子アセンブリBとの軸線を合わせ、セパレータアセンブリAをセンサ素子アセンブリBの後端に被せると、センサ素子3内にヒータ15が挿入されると共に、センサ素子3の内側電極3b及び外側電極3cがそれぞれ内側端子71及び外側端子91と電気的に接続される。その後、外筒40のうち、保持金具80の外周部、グロメット131の外周部、主体金具20との重なり部をそれぞれ加締めると共に、外筒40と主体金具20との重なり部をレーザ溶接等によって主体金具20の後端に外筒40を接続させ、センサ100を製造する。
このようにして、センサ素子3の後端側の表面に、外側端子91を外嵌して電極取出し部3cpと電気的に接続する。これにより、外側電極3c(検出部)の検出信号を外側端子91からリード線41を介して外部に取り出す。
【0023】
次に、図6を参照し、本発明の第2の観点の実施形態に係るセンサについて説明する。なお、本発明の第2の観点の実施形態に係るセンサは、センサ素子31(より具体的にはリード部31cLの構成が異なること以外は、本発明の第1の観点の実施形態と同一であるので、第1の観点の実施形態と同一の構成部分については適宜同一符号を付して説明を省略する。
図6は、第2の観点の実施形態に係るセンサにおけるセンサ素子31の側面図である。
【0024】
図6に示すように、センサ素子31は、本発明の第1の観点の実施形態のリード部3cLにおける分岐部3LBに代えて、広幅部31LBを有する。具体的には、外側電極3cと電極取出し部3cpとの間に、軸線O方向に延びるメッキ層からなるリード部31cLが設けられ、外側電極3cと電極取出し部3cpとを電気的に接続している。
リード部3cLは、外側電極3c側及び電極取出し部3cp側でこれらより狭幅の1本の線状をなすと共に、軸線O方向の中央近傍で周長(周方向の幅)Wの広幅部31LBを有している。
そして、広幅部31LBの周長Wを、リード部31cLが形成された部位におけるセンサ素子31の最小外周長の1/4以上とする。これにより、分岐部3LBの間隔Dと同様の理由により、周方向に広幅部31LBの一部がセラミックスリーブ10によって削れて断線しても、広幅部31LBの他の部位はセラミックスリーブ10と接触しないので断線せずに残る。従って、リード部31cL全体の断線を抑制して導通経路を確保することができる。
【0025】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、分岐部3LBが2本の分岐リードLB1、LB2を有していたが、3本以上の分岐リードを有してもよい。
又、リード部の最大メッキ厚が2μm以下であると、リード部の材料としてPt等の貴金属の使用量を低減し、コストをより一層低減できる。なお、リード部がメッキ層であるか否かは、リード部の走査電子顕微鏡画像で電着粒を確認することで判定できる。
又、Pt等の貴金属の使用量をより低減する観点からは、本発明の第2の観点の広幅部31LBよりは、本発明の第1の観点の分岐部3LBの方が好ましい。
【符号の説明】
【0026】
3、31 センサ素子
3c 検出部(外側電極)
3cL、31cL リード部
3cp 電極取出し部
3LB 分岐部
31LB 広幅部
3s センサ素子の外表面
6 粉末充填部材(滑石粉末)
10 セラミックスリーブ
20 主体金具
91 接続端子
100 センサ
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8