【文献】
WANG,Ya-Ying et al.,A New Dual-Band Antenna for WLAN applications,IEEE antennas and propagation society symposium 2004,2004年 6月25日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の導体(4−1,4−2,および4−3)の前記2つの間隙形成セグメント(4−3)は、前記放射構造体(3)によって被覆されていない領域を占有している請求項1〜4のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
前記第1の導体(4−1,4−2,および4−3)の前記2つの間隙形成セグメント(4−3)のうちの少なくとも一方は、拡大した幅を有するスタブ(4−7)をさらに接続する請求項1〜6のいずれか一項に記載のアンテナシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の方法は、2つのアンテナ要素の放射パターンにおける干渉の低減を可能にするが、2つのアンテナ要素を備えるアンテナシステムの設計は、さらなる電気部品の組み込み、すなわち電気リアクタンス回路の製造およびその組み込みの配置の観点から、より複雑になる。
【0009】
特に、電気リアクタンス回路の設計および各アンテナ要素上のそれらの配置は複雑で、さらなる開発工程を要する。さらに、電気リアクタンス回路の部品および例えば半田付けによるアンテナ要素への電気的接続は、周波数特性に許容できないばらつきを生じる。
【0010】
この点で、例えば、さらなる組立工程を回避するために、上記の欠点を克服する改善されたアンテナシステムを提案することが本発明の目的である。さらに、内部に備わる複数のアンテナ要素の放射パターン同士間の干渉を低減したアンテナシステムを提案することが本発明の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、第1のアンテナ要素および第2のアンテナ要素を備えるアンテナシステムが提案される。前記第1のアンテナ要素は、第1の周波数帯に適応する。前記第2のアンテナ要素は、前記第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯に適応する。さらに、前記第1のアンテナ要素は、誘電体基板の第1の側に設けられた放射構造体、および前記誘電体基板の第2の側、すなわち裏側に少なくとも部分的に設けられた少なくとも1つの共振構造体を備える。前記少なくとも1つの共振構造体は、前記第2の周波数帯における周波数で共振するように適応させたオープンループ型の共振器である。前記少なくとも1つの共振構造体は、前記誘電体基板の前記裏側に前記放射構造体に近接して設けられ、前記誘電体基板の前記第2の側で、前記誘電体基板の前記第1の側に設けられた前記放射構造体によって部分的にのみ被覆された領域を占有している。
【0012】
当該アンテナシステムの有利な変形によれば、前記放射構造体は、前記少なくとも1つの共振構造体のうちの1つを被覆しているセグメントに、前記放射構造体の隣接セグメントの前記幅と比較して減少した幅を有する。
【0013】
当該アンテナシステムの他の有利な変形によれば、前記放射構造体は、前記少なくとも1つの共振構造体のうちの1つを被覆しているセグメントにおいて少なくとも1つの凹んだ導体を備える。前記放射構造体の前記少なくとも1つの凹んだ導体は、前記少なくとも1つの共振構造体のうちの前記1つと同一の方向および/又は反対の方向を向いている。
【0014】
当該アンテナシステムのさらに有利な変形によれば、前記少なくとも1つの共振構造体は、前記誘電体基板の前記第2の側に設けられた第1の導体を備え、前記第1の導体は、前記第1の導体の2つのセグメントの間に形成された間隙を有するオープンループ断面を有する。
【0015】
当該アンテナシステムのさらに他の有利な変形によれば、前記第1の導体の中間セグメントのうちの少なくとも1つが、蛇行パターンに配策される。
【0016】
当該アンテナシステムのさらにもっと有利な変形によれば、前記第1の導体の前記2つの間隙形成セグメントは、前記放射構造体によって被覆されていない領域を占有している。
【0017】
当該アンテナシステムの他の有利な変形によれば、前記第1の導体の前記2つの間隙形成セグメントのうちの少なくとも一方は、拡大した幅を有する。
【0018】
当該アンテナシステムのさらに有利な変形によれば、前記第1の導体の前記2つの間隙形成セグメントのうちの少なくとも一方は、拡大した幅を備えるスタブをさらに接続する。
【0019】
当該アンテナシステムのさらに他の有利な変形によれば、前記少なくとも1つの共振構造体は、前記誘電体基板の前記第1の側に、前記放射構造体から空間的に離して設けられた第2の導体をさらに備え、前記第2の導体は、前記第1の導体の前記間隙形成セグメントに近接して配置され、前記誘電体基板の前記第1の側で、前記誘電体基板の前記第2の側の前記第1の導体の前記2つの間隙形成セグメントの少なくとも一方又は前記スタブによって少なくとも部分的に被覆された領域を占有している。
【0020】
当該アンテナシステムのさらにもっと有利な変形によれば、前記第2の導体は、前記第1の導体の前記オープンループ断面と同一の方向に曲がるオープンループ断面を有する。
【0021】
当該アンテナシステムの他の有利な変形によれば、前記少なくとも1つの共振構造体は、前記第1の導体の前記2つの間隙形成セグメントのうちの一方を前記2つの導体と接続するように適応させた少なくとも1つのバイアをさらに備える。
【0022】
当該アンテナシステムのさらに有利な変形によれば、前記放射構造体は、前記第1の周波数帯内の異なる周波数で放射するように適応させた複数のセクションを備える導体を備える。
【0023】
当該アンテナシステムのさらに他の有利な変形によれば、前記第1のアンテナ要素は、マルチバンドの板状逆F型アンテナ要素である。
【0024】
当該アンテナシステムのさらにもっと有利な変形によれば、前記第2のアンテナ要素は、角を切り落とした矩形のパッチアンテナ要素である。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、車両の屋根の上で使用するためのアンテナモジュールが提案される。当該アンテナモジュールは、前述のアンテナシステムを備え、前記車両の屋根は、前記第1のアンテナ要素および前記第2のアンテナ要素に対する接地面を提供する。
【0026】
添付の図面は、本発明の一部の実施形態を説明するために本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。これらの図面は、記載と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0027】
図面は、本発明が如何にして成され、使用されるかの好適且つ代替的な例を説明する目的のためのものに過ぎず、図示および説明された実施形態のみに本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0028】
さらに、実施形態の一部の態様は、個別であれ様々な組み合わせであれ、本発明に係る課題解決方法を成すことができる。さらなる特徴および利点は、同様の参照記号が同様の要素を指す添付の図面において示された本発明の様々な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明に係るアンテナシステムの様々な実施形態の詳細な説明が行われる。特に、様々な実施形態は全て、平面形状をした第1のアンテナ要素および第2のアンテナ要素を備えるアンテナシステムを示す。
【0031】
しかしながら、本発明のアンテナシステムは、この点において制限されない。本発明のアンテナシステムは、例えば、放射構造体および/又は共振構造体がひとつの曲面上に設けられた非平面形状をした第1および第2のアンテナ要素を等しく備えることができる。
【0032】
ここで
図1aおよび
図1bを参照すると、本発明の第1の実施形態に係る例示的アンテナシステム10の2つの斜視図が示されている。特に、これらの斜視図は、異なる方向から、すなわち「南西」方向からおよび「北東」方向から見た時の全く同一のアンテナシステム10を提示している。
【0033】
アンテナシステム10は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備え、両者は互いに近傍界に配置されている。従って、第2のアンテナ要素2の放射パターンは、第1のアンテナ要素1からの干渉の影響に曝され、第1のアンテナ要素1の放射パターンは、第2のアンテナ要素2からの干渉の影響に曝される。
【0034】
本発明に関しては、近傍界という用語は、第1および第2のアンテナ要素1および2の夫々の周囲の領域であって、夫々の放射パターンが、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2の夫々の他方からの干渉の影響によって支配される領域として理解されるべきである。例えば、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2が、それらが放射するように適応させた波長λの半分よりも短い場合、近傍界は、r<λである半径rの領域として定義される。
【0035】
第1のアンテナ要素1は、第1の周波数帯の電磁波を送信/受信するように適応させる。要するに、第1のアンテナ要素1は、第1の周波数帯に適応している。一例として、第1のアンテナ要素1は、マルチバンドアンテナとして示す。しかしながら、第1のアンテナ要素1は、この点で制限されてはならない。さらに、第1のアンテナ要素1は、例えば、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、板状逆F型アンテナ、すなわちPIFA、又は異なる構成のマルチバンドアンテナであることができる。
【0036】
第2のアンテナ要素2は、第2の周波数帯の電磁波を送信/受信するように適応させる。要するに、第2のアンテナ要素2は、第2の周波数帯に適応している。一例として、同様に、第2のアンテナ要素2は、平面アンテナ要素として、すなわち角を切り落としたパッチアンテナとして示す。しかしながら、第2のアンテナ要素2も、この点で制限されてはならない。
【0037】
特に、第1のアンテナ要素1が適応している第1の周波数帯と第2のアンテナ要素2が適応している第2の周波数帯は互いに異なる。従って、第1および第2の周波数帯は、互いに周波数において重複部分を有しない。しかしながら、アンテナ要素1および2の一方又は両方がマルチバンドアンテナである場合は、第1の周波数帯は、第2の周波数帯を含むことができる。
【0038】
第1のアンテナ要素1は、放射構造体3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。特に、放射構造体3の導体は、第1の周波数帯内の異なる周波数で放射するように適応させた複数のセクションを含むことができる。
【0039】
さらに、少なくとも1つの共振構造体4は、少なくとも部分的には、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に設けられる。特に、少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた少なくとも第1の導体(例えば、
図2aの4−1,4−2,および4−3を参照)を備える。
【0040】
典型的には、第1のアンテナ要素1の誘電体基板5は、平面形状又は非平面形状を有することができる。平面形状の場合、放射構造体3は、平面導体として実現されることができ、少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の平面上の平面導体として少なくとも第1の導体を備えて実現されることができる。
【0041】
或いは、非平面形状の場合、放射構造体3は、非平面導体(すなわち曲面導体)として実現されることができ、少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の反対側の非平面上の非平面導体(すなわち曲面導体)として少なくとも第1の導体を備えて実現されることができる。
【0042】
任意ではあるが、共振構造体4は、放射構造体3の導体から空間的に分離された、誘電体基板5の第1の側に(のみ)設けられた第2の導体(例えば、
図2aの4−4を参照)を備える。第2の導体は、第1の導体の端部に近接して設けられ、それら端部によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有する。共振構造体4の第2の導体も、平面導体又は非平面導体(すなわち曲面導体)として実現されることができる。
【0043】
従って、第1のアンテナ要素1では、放射構造体3および少なくとも1つの共振構造体4は、同一の誘電体基板5の反対側(すなわち両側)に少なくとも部分的に設けられる。
【0044】
さらに、少なくとも1つの共振構造体4は、第1のアンテナ要素1のためのオープンループ型の共振器として構成される。要するに、少なくとも1つの共振構造体4は、オープンループ共振器である。特に、少なくとも1つの共振構造体4は、第2の周波数帯における周波数で共振するように構成される。
【0045】
従って、少なくとも1つの共振構造体4は、第1のアンテナ要素1内でストップバンドフィルタとして働くように適応させ、すなわち少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3が放射するように適応させた第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯における周波数を抑制する。
【0046】
誘電体基板5の反対側に少なくとも部分的に夫々配置されることにより、少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3に近接して設けられている。特に、この近接は、誘電体基板5の厚みによって決まり、すなわち放射構造体3および少なくとも1つの共振構造体4が少なくとも部分的に設けられた誘電体基板5の第1の側と第2の側、すなわち裏側との間の距離として決まる。
【0047】
さらに、第1のアンテナ要素1では、誘電体基板5は、放射構造体3と、少なくとも部分的に、少なくとも1つの共振構造体4を空間的に分離する。
【0048】
さらなる説明から明らかになるように、第1のアンテナ要素1の共振構造体4は、誘電体基板の第2の側、すなわち裏側にのみ設けられるように制限されない。特に、容量性負荷の目的で、第1のアンテナ要素1の共振構造体4には、任意の第2の導体(例えば
図2aの4−4を参照)が含まれる。
【0049】
しかしながら、本発明に関しては、共振構造体4のこの任意の第2の導体は、誘電体基板5の第1の側の放射構造体3からは離れて(遠くに)配置され、共振構造体4の第1の導体のみが、第1のアンテナ要素1内の放射構造体3に近接して設けられるようにしている。
【0050】
特に、本発明に関しては、共振構造体4の第1の導体の「被覆された」セグメントのみが、以下から明らかになるように、第1のアンテナ要素1内の放射構造体3に近接して設けられる。
【0051】
少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆される領域を占有するように設けられる。従って、少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆されない領域も占有している。
【0052】
言い換えれば、少なくとも1つの共振構造体4は、「被覆された」(すなわち放射構造体3によって被覆される領域を占有している)セグメントと、「被覆されていない」(すなわち放射構造体3によって被覆されていない領域を占有している)セグメントとに細分されることができる。
【0053】
誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側では、少なくとも1つの共振構造体4の「被覆された」セグメントが、誘電体基板5の第1の側の放射構造体3の真下(又は上)に配置される一方、少なくとも1つの共振構造体4の「被覆されていない」セグメントは、誘電体基板5の第1の側の放射構造体3の横に(すなわちその傍に)配置される。従って、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側の少なくとも1つの共振構造体4の「被覆されていない」セグメントの真下(又は上)の誘電体基板5の第1の側に設けられた放射構造体3は存在しない。
【0054】
第1のアンテナ要素1に関して、誘電体基板5上の少なくとも1つの共振構造体4のこの部分的にのみ被覆された配置は、放射構造体3に対して、より柔軟なアンテナ設計、すなわちオープンループ共振器としての少なくとも1つの共振構造体4のより柔軟な設計を有利に可能にする。
【0055】
特に、少なくとも1つの共振構造体4の寸法は、自由に、且つ第1のアンテナ要素1に関して採用された放射構造体3の種類に関係なく設定されることができる。この配置のさらなる利点は、以下に説明するさらなる実施形態から明らかになる。
【0056】
要約すると、少なくとも1つの共振構造体4が誘電体基板5の裏側の放射構造体3によって部分的に被覆されるため、少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3と誘導結合する。さらに、少なくとも1つの共振構造体4および放射構造体3は、共に変圧器として働き、それによって、放射構造体3から少なくとも1つの共振構造体4に電流を誘導し、また少なくとも1つの共振構造体4から放射構造体3に電流を誘導する。
【0057】
少なくとも1つのオープンループ共振器型の共振構造体4は、第2の周波数帯における周波数で共振するように適応させる。従って、少なくとも1つの共振構造体4の寸法は、第2の周波数帯における同周波数に従って決定される。特に、オープンループ共振器型の構造4の間隙幅、導体幅、および通路寸法は、第2の周波数帯における周波数と一致するように適宜決定される。
【0058】
その結果、放射構造体3と少なくとも1つの共振構造体4の組み合わせは、第2のアンテナ要素2を適応させた第2の周波数帯における周波数での第1のアンテナ要素1の放射を抑制する。言い換えれば、第1のアンテナ要素1の構造体3および4は、アンテナシステム10に両方とも備わる第2のアンテナ要素2との干渉の影響を減少する。
【0059】
例示的構成において、誘電体基板5は、(印刷回路基板と同様の)薄層構造体として構成される。それにより、放射構造体3および少なくとも1つの共振構造体4は、近接して設けられ、それらの間の誘導結合および/又は容量性結合をさらに改善する。0.5mm〜1.0mmの範囲の厚みを有する平面状の射出成形されたプラスチックキャリアを誘電体基板5として使用すると好都合であることが証明されている。
【0060】
他の例示的構成では、誘電体基板5は、等距離に設けられた内表面および外表面を備える薄い曲面構造体(例えば、アンテナシステムに対するハウジングの部品)として構成される。言い換えれば、誘電体基板5の内表面および外表面は、同様の湾曲断面を有する。また、この場合、0.5mm〜1.0mmの範囲の厚みを有する射出成形プラスチックキャリアを誘電体基板5として使用すると好都合であることが証明されている。
【0061】
さらなる例示的構成では、放射構造体3と少なくとも1つの共振構造体4は両方とも、第1のアンテナ要素1を形成するために、誘電体基板5の各側に導体(例えば、導電層)を印刷、エッチング又は(電気)溶着することによって製造される。それにより、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を含むアンテナシステム10を製造する際に(先行技術に関して述べたように)追加の組立工程が回避されることができる。
【0062】
任意ではあるが、アンテナシステム10の放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4との誘導結合をさらに強めるために、少なくとも1つの「ボトルネック」セグメント3−1を備える。ボトルネックセグメント3−1は、放射構造体3と少なくとも1つの共振構造体4との間のインピーダンス変換比を向上し、従って、5分の1にカットされた実効電流の有用帯域幅を改善する。
【0063】
この目的で、放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4のうちの1つを被覆しているセグメント(すなわち「ボトルネック」セグメント)において、放射構造体3の隣接するセグメントの幅と比較して、減少した幅を有する。言い換えれば、放射構造体3を形成する導体は、共振構造体4の「被覆された」セグメントの真上(又は下)に同一の減少した幅を有する。
【0064】
本発明に関しては、放射構造体3の幅は、放射構造体3が設けられている誘電体基板5の表面に対して横方向に延在する第1のアンテナ要素1の導体セグメントの寸法として理解されなければならない。
【0065】
より詳細には、放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4のうちの1つを被覆しているセグメントにおいて凹んだ(すなわち幅が減少した)導体を備える。放射構造体3の凹んだ導体は、少なくとも1つの共振構造体4のうちのその1つと同一の方向および/又は反対の方向を向いている。言い換えれば、放射セクションを形成する導体は、共振構造体4の「被覆された」セグメントの真上(又は下)に凹みを備え、この凹みは、その開口が、共振構造体4の「被覆されていない」セグメントと同一の方向又は反対の方向を向いている。
【0066】
一般に、
図2a〜
図6bは、本発明の異なる実施形態に係るアンテナシステムにおいて使用するための第1のアンテナ要素の他の構成の断面図を示す。特に、第1のアンテナ要素のこれらの異なる構成は、上述した第2のアンテナ要素をさらに備えるアンテナシステムの一実施形態において使用されることができる。従って、これらの実施形態は、既に上述したものと同一の原理および利点を採用しており、これらの原理および利点は、簡潔にするために省略されている。
【0067】
ここで
図2aを参照すると、本発明の第2の実施形態に係るアンテナシステム20の断面図が示されている。アンテナシステム20は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備える。
図2bは、アンテナ要素1の等価回路を説明する。この第2の実施形態は、オープンループ型の共振器の容量性負荷の原理をさらに採用している。
【0068】
図示されていないが、アンテナシステム20は、上述した第2のアンテナ要素2も備え、この実施形態が、両方とも同一のアンテナシステム20に備わる第1のアンテナ要素1と第2のアンテナ要素2との間の干渉の影響を低減することを等しく可能にするようにしている。
【0069】
第1のアンテナ要素1は、放射要素3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた第1の導体4−1,4−2、および4−3を備える。
【0070】
共振構造体4の第1の導体は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に(例えば、
図2aのa1を参照)被覆された領域を占有するように設けられる。従って、第1の導体は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に(例えば
図2aのa2を参照)被覆されていない領域も占有している。
【0071】
言い換えれば、少なくとも1つの共振構造体4は、「被覆された」(すなわち、放射構造体3によって被覆された領域a1を占有する)セグメント4−1と、「被覆されていない」(すなわち放射構造体3によって被覆されていない領域a2を占有する)セグメント4−2および4−3とに細分されることができる。
【0072】
特に、共振構造体4の第1の導体4−1,4−2、および4−3は、その2つのセグメント4−3の間に形成された間隙を有するオープンループ断面を有する。言い換えれば、共振構造体4のオープンループ断面に対する間隙は、共振構造体4の第1の導体の2つの脚4−3が、互いに近接して誘電体基板5の第2の側に配置されることによって形成される。
【0073】
特に、少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3の導体から離れて(空間的に分離して)、誘電体基板5の第1の側に(のみ)設けられた第2の導体4−4をさらに備える。
【0074】
第2の導体4−4は、第1の導体の端部(すなわち間隙形成セグメント4−3)に近接して設けられ、それら端部によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有する。言い換えれば、第2の導体4−4は、第1の導体4−1,4−2、および4−3の間隙形成セグメント4−2に近接して設けられ、誘電体基板5の第1の側で、誘電体基板5の第2の側の第1の導体4−1,4−2、および4−3の間隙形成セグメント4−3によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有している。
【0075】
この構成のため、第1の導体の間隙形成セグメント4−3と、第2の導体4−4の「被覆している」セグメントは、アンテナ要素1の等価回路からわかるように、キャパシタンスを、より正確には、2つの直列接続されたキャパシタを形成する。
【0076】
言い換えれば、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側では、第1の導体の間隙形成セグメント4−3は、誘電体基板5の第1の側の第2の導体4−4の「被覆している」セグメントの真下(又は上)に配置され、両セグメントが、共振構造体4内で互いに容量性結合するようにしている。
【0077】
要約すれば、誘電体基板5の構成は、オープンループ共振器型の共振構造体4の容量性負荷を可能にし、それによって、共振構造体と、放射構造体3が適応した第1の周波数帯とは異なる第2の周波数帯内の周波数で共振するその能力とを改善する。
【0078】
有利なことに、少なくとも1つの共振構造体4が放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆されていない領域を占有するため、第2の導体を経由した容量性負荷が可能になる。
【0079】
例示的構成では、第1の導体4−1,4−2、および4−3の2つの間隙形成セグメント4−3の各々は、その端部に、その隣接セグメントと比べて拡大した幅4−3を有する。言い換えれば、共振構造体4の第1の導体に対する脚4−3(すなわち間隙形成セグメント)の端部は、第1の導体の中間部分4−2の幅と比べてより広い表面積を有するパッドを形成するように配置される。
【0080】
その結果、共振回路4の第1の導体および第2の導体によって被覆される表面積が増大し、それによって、第1のアンテナ要素1内のオープンループ共振器型の共振構造体4に対する容量性負荷がさらに改善されることになる。
【0081】
ここで
図3aを参照すると、本発明の第3の実施形態に係るアンテナシステム30の断面図が示されている。アンテナシステム30は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備える。
図3bは、アンテナ要素1の等価回路を説明する。この第3の実施形態は、第2の実施形態と比較して、オープンループ型の共振器の容量性負荷をさらに高める。
【0082】
図示されていないが、アンテナシステム30は、上記で説明した第2のアンテナ要素2も備え、この実施形態が、両者ともアンテナシステム30に含まれる第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2同士間の干渉の影響を低減することを等しく可能にするようにしている。
【0083】
第1のアンテナ要素1は、放射構造体3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた第1の導体4−1,4−2、および4'−3を備える。
【0084】
共振構造体4の第1の導体は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆された領域を占有するように設けられる。従って、第1の導体は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆されていない領域も占有している。言い換えれば、少なくとも1つの共振構造体4は、「被覆された」セグメント4−1と、「被覆されていない」セグメント4−2および4'−3とに細分されることができる。
【0085】
特に、共振構造体4の第1の導体4−1,4−2、および4'−3は、その2つのセグメント4'−3(以降、間隙形成セグメント)の間に形成された間隙を有するオープンループ断面を有する。言い換えれば、共振構造体4のオープンループ断面に対する間隙は、共振構造体4の第1の導体の2つの脚4'−3が、互いに近接して誘電体基板5の第2の側に配置されることによって、形成される。
【0086】
少なくとも1つの共振構造体4は、放射構造体3の導体から離れて(空間的に分離されて)、誘電体基板5の第1の側に(のみ)設けられた第2の導体4−4も備える。
【0087】
第2の導体4−4は、第1の導体の端部(すなわち間隙形成セグメント4'−3)に近接して設けられ、それら端部によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有する。言い換えれば、共振構造体4の第2の導体4−4は、第1の導体4−1,4−2、および4'−3のうちの間隙形成セグメント4'−3に近接して設けられ、誘電体基板5の第1の側で、誘電体基板5の第2の側の第1の導体の間隙形成セグメント4'−3によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有している。
【0088】
特に、少なくとも1つの共振構造体4は、第1の導体4−1,4−2、および4'−3の2つの間隙形成セグメント4'−3のうちの一方を第2の導体4−4と電気的に接続するように構成された少なくとも1つのバイア4−5(すなわち貫通接続部)をさらに備える。言い換えれば、第1の導体の2つの間隙形成セグメント4'−3のうちの1つが、その真下(又は上)に配置された第2の導体4−4の「被覆している」セグメントに対して少なくとも1つのバイア(4−5)を経由して短絡される。
【0089】
従って、第1の導体の間隙形成端4'−3の一方は、共振回路4の第2の導体4−4に短絡されているため、第1の導体の2つの間隙形成セグメント4'−3の他方(短絡されていない方)と第2の導体4−4の「被覆している」セグメントによって、キャパシタが1つだけ構成される。
【0090】
有利なことに、また2つの直列接続されたキャパシタを開示する第2の実施形態とは対照的に、この第3の実施形態は、より高い合計値を有するキャパシタンスを有する単一のキャパシタを備える構成を採用し、それによって、アンテナシステム30の第2のアンテナ要素1に備わるオープンループ型の共振器の容量性負荷をさらに高める。
【0091】
例示的構成では、第1の導体4−1,4−2、および4'−3の2つの間隙形成セグメント4'−3の他方(短絡されていない方)は、その端部において、その隣接するセグメントと比較して拡大した幅4'−3を有する。言い換えれば、共振構造体4の第1の導体に対する脚4'−3(すなわち間隙形成セグメント)の他方の端部は、第1の導体の中間部分4−2の表面積と比べてより広い表面積を有するパッドを形成するように配置される。
【0092】
その結果、共振回路4の第1の導体および第2の導体によって被覆された表面積が増大し、それによって、第1のアンテナ要素1内のオープンループ共振器型の共振構造体4に対する容量性負荷がさらに改善されることになる。
【0093】
ここで
図4を参照すると、本発明の第4の実施形態に係るアンテナシステム40の断面図が示されている。アンテナシステム40は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備える。有利なことに、この第4の実施形態は、先行の実施形態と比較して、オープンループ型の共振器の誘導値をさらに増加する。
【0094】
図示されていないが、アンテナシステム40は、上述した第2のアンテナ要素2も備え、この実施形態が、両方とも同一のアンテナシステム20に備わる第1のアンテナ要素1と第2のアンテナ要素2との間の干渉の影響を低減することを等しく可能にするようにしている。
【0095】
第1のアンテナ要素1は、放射要素3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた第1の導体4−1,4−2、4''−3、および4−6を備える。
【0096】
特に、共振構造体4の誘導値を増加するために、第1の導体4−1,4−2、4''−3、および4−6の中間セグメント4−2の少なくとも1つは、蛇行パターン4−6に配策される。言い換えれば、第1の導体4−1,4−2、4''−3、および4−6は、その間隙形成セグメント4''−3に対して中間にある蛇行セグメント4−6を含む。
【0097】
本発明に関しては、第1の導体4−1,4−2、4''−3、および4−6のうちの中間セグメント4−2のうちの少なくとも1つは、それが(すなわち蛇行セグメント4−6が)反対の横断方向を向く導電セグメントの連続的なループを有するのであれば、蛇行パターンの形状に配置されているといえる。
【0098】
例示的構成では、共振構造体4の第1の導体の蛇行セグメント4−6は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆されない(誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側の)領域も占有している。
【0099】
この概念は、間隙形成セグメントが拡大した幅を備えるか否か、オープンループ型共振器に容量性負荷するために第2の導体が設けられているか否か、又は第1の導体の間隙形成セグメントのうちの1つを第2の導体と短絡するために少なくとも1つのバイアが使用されているか否かに関係なく、適用させることができる。
【0100】
従って、アンテナシステム40の第1のアンテナ要素1は、上述の原理を採用するために、第1のアンテナ要素1に備わる共振回路4に対して、上述の変形のうちの1つ以上を採用することができる。この点に関しては、簡潔にするために、様々な実施形態の先行する説明を参照するのみとする。
【0101】
例示的実施形態では、第1の導体4−1,4−2、4''−3、および4−6の2つの間隙形成セグメント4''−3のうちの他方(短絡されていない方)は、その端部に、その隣接セグメントと比べて拡大した幅4''−3を有する。
【0102】
ここで
図5を参照すると、本発明の第5の実施形態に係るアンテナシステム50の断面図が示されている。アンテナシステム50は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備える。有利なことに、この第5の実施形態は、先行の実施形態と比較して、オープンループ型の共振器の誘導値をさらに増加する。
【0103】
特に、この第5の実施形態は、共振回路4の第1の導体が、共振回路4がオープンループ型の共振器であることによって定められたオープンループ断面を有するという原理だけでなく、共振回路4に備わる第2の導体がオープンループ断面を有するという原理を採用している。
【0104】
図示されていないが、アンテナシステム50は、上述した第2のアンテナ要素2も備え、この実施形態が、両方とも同一のアンテナシステム20に備わる第1のアンテナ要素1と第2のアンテナ要素2との間の干渉の影響を低減することを等しく可能にするようにしている。
【0105】
第1のアンテナ要素1は、放射要素3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた第1の導体4−1,4−2,4*−3、および4−6を備える。
【0106】
この目的で、少なくとも1つの共振構造体4は、以下のことを備える。
【0107】
まず、第1の導体4−1,4−2,4*−3、および4−6は、誘電体基板5の第2の側に設けられ、第1の導体は、その2つのセグメント4*−3間に形成された間隙を有するオープンループ断面を有する。さらに、第1の導体4−1,4−2,4*−3、および4−6の2つの間隙形成セグメント4*−3のうちの少なくとも1つは、拡大した幅を備えるスタブ4−7をさらに電気的に接続する。
【0108】
第2に、第2の導体4*−4は、誘電体基板5の第1の側に、放射構造体から空間的に離して設けられる。特に、第2の導体4*−4は、第1の導体4−1,4−2、および4*−3のうちの2つの間隙形成セグメント4*−3に近接して設けされる。特に、第2の導体4*−4は、誘電体基板5の第1の側で、誘電体基板5の第2の側に設けられたスタブ4*−7によって少なくとも部分的に被覆された領域を占有している。
【0109】
第3に、少なくとも1つのバイア4−5が、第1の導体4−1,4−2、および4*−3の2つの間隙形成セグメント4*−3の一方(すなわち「被覆されている」方)を第2の導体4*−4と電気的に接続するように構成される。
【0110】
少なくとも1つの共振構造体4のこの構成に基づき、第2の導体4*−4は、第1の導体4−1,4−2、および4*−3のオープンループ断面と同じ方向に曲がるオープンループ断面を形成するように適応させる。
【0111】
有利なことに、2つのオープンループ断面の導体(すなわち共振構造体4の第1の導体4−1,4−2、および4*−3および第2の導体4*−4)は、同一の方向に二重に巻かれた連続的な螺旋を形成する。それにより、オープンループ型の共振器の誘導値は、先行の実施形態と比較して増大する。有益なことに、この形状は、低背の第1のアンテナ要素1における利用をも可能にし、最小限の空間のみを共振構造体4に帰属させる。
【0112】
さらに、2つの導体のこの複雑な形状は、共振構造体4の第1および第2の導体を互いに結合するために必要になると同時に、連続的に巻回してオープンループ構造体にすることを可能にする。
【0113】
例示的構成では、共振構造体4の誘導値は、第1の導体4−1,4−2、および4*−3の中間セグメント4−2のうちの少なくとも1つを蛇行パターン4−6に配策することによってさらに増大することができる。言い換えれば、第1の導体4−1,4−2、4*−3、および4−6は、その間隙形成セグメント4''−3に対して中間にある蛇行セグメント4−6を含む。
【0114】
さらなる例示的構成では、共振構造体4の第1の導体の蛇行セグメント4−6は、放射構造体3によって(誘電体基板5の第1の側で)部分的に被覆された(誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側の)領域も占有している。
【0115】
ここで
図6aを参照すると、本発明の第6の実施形態に係るアンテナシステム60の断面図が示されている。アンテナシステム60は、第1のアンテナ要素1および第2のアンテナ要素2を備える。
図6bは、第1のアンテナ要素1に関するシミュレートされた電流分布を説明する。
【0116】
有利なことに、第6の実施形態は、両方が第1のアンテナ要素1に備わる放射要素3と少なくとも1つの共振構造体4との間の誘導結合をさらに改善する。
図2aに示すように、類似の構成が、第1の実施形態の任意の構成に関して既に記述されている。
【0117】
図示されていないが、アンテナシステム60は、上述した第2のアンテナ要素2も備え、この実施形態が、両方とも同一のアンテナシステム20に備わる第1のアンテナ要素1と第2のアンテナ要素2との間の干渉の影響を低減することを等しく可能にするようにしている。
【0118】
第1のアンテナ要素1は、放射要素3、少なくとも1つの共振構造体4、および誘電体基板5を備える。放射構造体3は、誘電体基板5の第1の側に設けられた導体である。少なくとも1つの共振構造体4は、誘電体基板5の第2の側、すなわち裏側に(のみ)設けられた第1の導体4−1,4−2、および4−3を備える。
【0119】
アンテナシステム60の放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4との誘導結合をさらに強めるために、少なくとも1つの「ボトルネック」セグメント3−1を備える。ボトルネックセグメント3−1は、放射構造体3と少なくとも1つの共振構造体4との間のインピーダンス変換比を高め、従って、切断された実効電流の有用帯域幅を改善する。さらに、アンテナシステム全体を最適化するために、設定可能なインピーダンス変換比におけるさらなる自由度が有益に適用されることができる。
【0120】
この目的で、放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4のうちの1つを被覆しているセグメント(すなわち「ボトルネック」セグメント3−1)において、放射構造体3の隣接セグメントの幅と比較して減少した幅を有する。言い換えれば、放射構造体3を形成する導体は、共振構造体4の「被覆された」セグメントの真上(又は下)に同一の減少した断面を有する。
【0121】
より詳細には、放射構造体3は、少なくとも1つの共振構造体4のうちの1つを被覆しているセグメントにおいて凹んだ(すなわち減少した幅を有する)導体を備える。放射構造体3の凹んだ導体は、少なくとも1つの共振構造体4のうちのその1つと同一の方向および/又は反対の方向を向いている。言い換えれば、放射セクションを形成する導体は、共振構造体4の「被覆された」セグメントの真上(又は下)に凹みを備えて構成され、この凹みは、その開口が、共振構造体4の「被覆されていない」セグメントと同一の方向又は反対の方向を向いている。
【0122】
図6bから分かるように、「ボトルネック」セグメント3−1は、放射構造体3と少なくとも1つの共振構造体4との間の誘導結合のために電流を集中させる。特に、放射構造体3の「ボトルネック」セグメント3−1では、共振構造体の「被覆されたセグメント」上の電流に対して反対方向に向かう一部の電流が存在する。従って、放射構造体3に対する共振構造体の全体的な遠方界の寄与が無効になる。
【0123】
最後に、様々な実施形態の上述のアンテナシステムの各々は、車両の屋根の上で使用するためのアンテナモジュールに含まれることができる。この目的で、アンテナモジュールは、アンテナシステムに加えて、外部の影響からアンテナシステムを保護するためのハウジング、アンテナシステムを載置するためのベース、アンテナ整合回路、および外部からの電気信号をアンテナシステムの第1のアンテナ要素および第2のアンテナ要素に対して送信/受信するための電気接続部を備える。さらに、車両の屋根は、アンテナシステムの第1のアンテナ要素および第2のアンテナ要素に対して接地面を提供する。