(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796470
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】鉄道車両用台車およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B61F 5/52 20060101AFI20201130BHJP
B61F 5/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
B61F5/52
B61F5/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-233862(P2016-233862)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-90039(P2018-90039A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 信吾
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 克行
(72)【発明者】
【氏名】小方 雅己
(72)【発明者】
【氏名】武石 高則
(72)【発明者】
【氏名】水崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】中尾 光雄
(72)【発明者】
【氏名】坂上 啓
(72)【発明者】
【氏名】金森 成志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 智広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智広
(72)【発明者】
【氏名】此川 徹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 伸久
(72)【発明者】
【氏名】八尾 拓門
(72)【発明者】
【氏名】西脇 悠太
【審査官】
長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−039035(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103770805(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0213258(US,A1)
【文献】
中国実用新案第203612008(CN,U)
【文献】
米国特許第05303657(US,A)
【文献】
特開平03−050066(JP,A)
【文献】
特開平05−286438(JP,A)
【文献】
特開2011−255754(JP,A)
【文献】
特開2000−085579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 5/52
B61F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気ばね式車体傾斜装置用の空気タンクを備える鉄道車両用台車において、
台車枠が、レール方向に沿って隔置される一対の側梁と、
前記側梁のレール方向の中央部を接続するとともに枕木方向に沿って備えられる横梁とから構成されており、
前記一対の側梁は、それぞれ、レール方向の中央部に位置する中央部側梁と、前記中央部側梁のレール方向の両端部に位置する端部側梁と、から構成されており、
前記横梁には第1空気タンクが備えられ、前記中央部側梁には第2空気タンクが備えられ、
前記側梁は、側梁下板と、前記側梁下板の上面に載置されるとともに逆U字断面形状を有する中央部側梁上板と、前記側梁下板の上面に載置されるとともに前記中央部側梁上板の長手方向の両端部に接続する逆U字断面形状を有する端部側梁上板と、から構成され、
前記第2空気タンクは、前記側梁下板と、前記中央部側梁上板と、前記中央部側梁上板の長手方向の両端部に備えられる仕切り板と、によって区画される空間に形成され、
前記仕切り板は、前記中央部側梁上板及び前記側梁下板に気密溶接されている、
ことを特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項2】
請求項1に記載される鉄道車両用台車において、
前記側梁の長手方向の中央部に位置する前記側梁下板の板厚は、前記側梁の長手方向に端部に向かって前記側梁の高さ寸法が変化する部位に備えられる前記側梁下板の板厚より小さいこと、
を特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項3】
請求項2に記載される鉄道車両用台車において、
前記側梁の長手方向の中央部に位置する前記側梁下板の板厚は、前記中央部側梁上板と
前記端部側梁上板との接続部の近傍に備えられる前記側梁下板の板厚より小さいこと、
を特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項4】
請求項3に記載される鉄道車両用台車において、
前記中央部側梁上板は、前記逆U字断面形状を維持するとともに強度を補強する補強板を有しており、
前記中央部側梁上板と前記端部側梁上板との接続部の近傍に備えられる前記仕切り板の板厚は、前記補強板の板厚よりも大きいこと、
を特徴とする鉄道車両用台車。
【請求項5】
請求項1に記載される鉄道車両用台車の製造方法であって、
前記側梁下板に、前記中央部側梁上板のフランジ部を溶接する工程、
前記仕切り板の下辺と前記側梁下板の上面とを溶接する工程、
前記側梁下板に、前記端部側梁上板のフランジ部を溶接する工程、
前記中央部側梁上板と前記端部側梁上板との突き合わせ部を溶接する工程、
前記側梁と前記横梁とを溶接する工程
からなることを特徴とする、鉄道車両用台車の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気ばねを備える鉄道車両台車およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道車両(以下、車両と記すことがある。)については、曲線区間を通過する際の通過速度の向上、乗り心地レベルの改善を目的として、車体を曲線区間の内軌側に傾斜させる空気ばねを用いた車体傾斜式車両が採用されつつある。
車体傾斜式車両にあっては、車両の台車枠の上面に枕木方向に隔置して一対の空気ばねを設け、それらに高さ方向の伸縮差を設けることによって、空気ばねによって弾性支持される車体を傾斜させている。
一方、車両の台車枠は、様々な方向からの荷重強度に耐えられるように強固に製造されている。例えば、台車枠を構成する側梁および横梁をプレス成型等によって一体的に形成し、断面形状が逆U字状の上下に二分割された上枠および下枠を準備して、これらの逆U字状をなすフランジ部を上下に突き合わせて、突き合わせ部を溶接して製造されているものがある。
そして、台車枠の上枠をなす側梁のレール方向の中央部の上面に車体を弾性支持する空気ばねを配置し、空気ばねの直下の上枠と下枠とがなす空間(側梁の内部)に、空気ばねと連通する補助空気タンクを備えるものが提案されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−85579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気ばねによる車体傾斜装置は、車体を弾性支持するという従来の機能に加えて、曲線通過時に空気ばねに圧力空気を給排気することによって空気ばねの高さ方向の伸縮差を得るため、圧力空気の消費量が増える傾向にある。
このため、空気ばねに接続する大きな容量を有する補助空気タンクを鉄道車両に床下に追設したり、既存の補助空気タンクの容量を拡大したりする等の施策が必要となる。
【0005】
しかしながら、鉄道車両の床下には、主変圧器、主変換装置、空調換気装置、補助電源等の機器が既設されているため、鉄道車両の床下に十分な空間がなく補助空気タンク容量の拡大等が難しい場合があった。
さらに、大きな容量の補助空気タンクに代えて、床下の機器の隙間の空間等に、複数の小さな容量の補助空気タンクを備えると、補助空気タンクを鉄道車両の床下に取付ける工数が増加することに加えて、増設した補助空気タンクを接続する新たな空気配管を設置することに伴う工数が増加する等の課題があった。
【0006】
本発明の目的は、空気ばね式車体傾斜装置を備える鉄道車両において、鉄道車両の床下の設計自由度を確保できるとともに、補助空気タンク等を車体へ取り付けるための作業工数等を小さくできる鉄道車両用台車とこの台車の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明による鉄道車両用台車は、
台車枠が、レール方向に沿って隔置される一対の側梁と、
前記側梁のレール方向の中央部を接続するとともに枕木方向に沿って備えられる横梁とから構成されており、
前記一対の側梁は、それぞれ
、レール方向の中央部に位置する中央部側梁と、前記中央部側梁のレール方向の両端部に位置する端部側梁と、から構成されており、
前記横梁には第1空気タンクが備えられ、前記中央部側梁には第2空気タンクが備えられ
、
前記側梁は、側梁下板と、前記側梁下板の上面に載置されるとともに逆U字断面形状を有する中央部側梁上板と、前記側梁下板の上面に載置されるとともに前記中央部側梁上板の長手方向の両端部に接続する逆U字断面形状を有する端部側梁上板と、から構成され、
前記第2空気タンクは、前記側梁下板と、前記中央部側梁上板と、前記中央部側梁上板の長手方向の両端部に備えられる仕切り板と、によって区画される空間に形成され、
前記仕切り板は、前記中央部側梁上板及び前記側梁下板に気密溶接されている、
ことを特徴とする。
【0008】
また、代表的な本発明による鉄道車両用台車の製造方法は、
側梁下板に、仕切り板を有する中央部側梁上板のフランジ部を溶接する工程、
前記仕切り板の下辺と前記側梁下板の上面とを溶接する工程、
前記側梁下板に、端部側梁上板のフランジ部を溶接する工程、
前記中央部側梁上板と前記端部側梁上板との突き合わせ部を溶接する工程、
前記側梁と前記横梁とを溶接する工程
からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気ばね式車体傾斜装置を備える鉄道車両において、鉄道車両の床下の設計自由度を確保できるとともに、補助空気タンク等を車体へ取り付けるための作業工数等を小さくできる鉄道車両用台車とこの台車の製造方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、鉄道車両用台車の台車枠の側面図である。
【
図3】
図3は、台車枠を構成する側梁の製造工程であって中央部側梁と下板とを接続する様子を示す模式図である。
【
図4】
図4は、台車枠を構成する側梁の製造工程であって中央部側梁と下板とを接続する様子を
図3に示すA側から見た模式図である。
【
図5】
図5は、台車枠を構成する側梁の製造工程であって中央部側梁を備える下板に端部側梁を接続する様子を示す模式図である。
【
図6】
図6は、空気ばねを利用した車体傾斜装置に係る空気配管系統図の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を、図を参照しながら説明する。まず、説明に供する各方向を定義する。鉄道車両用台車(以下、台車と記す)の長手(レール)方向をX方向、幅(枕木)方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。以下、単にX方向、Y方向、Z方向と記す。
【0012】
図1は台車の平面図であり、
図2は台車の台車枠の側面図である。台車1をなす台車枠10は、X方向に沿って隔置される一対の側梁12と、Y方向に沿って備えられるとともに側梁12のX方向の中央部を貫通する態様で備えられる一対の横梁18を有する。車体を弾性支持する空気ばねが載置される空気ばね受座26は、横梁18のY方向の両端部と側梁12のX方向の中央部とに接続する態様で台車枠10に備えられる。
【0013】
横梁18は円筒(パイプ)状の部材からなり、この円筒状部材は空気ばね25に接続される第1空気タンクとして供される(
図6参照)。横梁18には、X方向に沿う態様で一対のツナギ梁16が備えられ、主電動機を受ける主電動機受座20、歯車箱を備える歯車箱吊受座21やブレーキ装置受座24も備えられる。側梁12のX方向の両端部にはZ方向の変位を抑制するダンパ(減衰器)が備えられるダンパ受座28が備えられる。
【0014】
台車枠10を構成する側梁12は、中央部側梁と中央部側梁のX方向の両端部に配置される端部側梁の3つの部分に分かれている。具体的な部材の構成で説明すると、側梁12は、まず、側梁上板と側梁下板14から構成されており、側梁上板は、X方向の中央部に備えられる中央部側梁上板12aと、この中央部側梁上板12aのX方向の両端部に接続される端部側梁上板12bの3部品から構成される。また、側梁下板14は、側梁12のX方向に沿って備えられ、この側梁下板14の上面に逆U字断面形状を有する側梁上板が溶接される構成となっている。
【0015】
また、中央部側梁上板12aのX方向の両端部には、一対の仕切り板15が備えられている。これにより、中央部側梁上板12a、一対の仕切り板15及び側梁下板14によって閉鎖される空間が側梁12に備えられ、側梁空気タンク30(第2空気タンク)を構成する。(
図3から
図5参照)
【0016】
図3は台車枠を構成する側梁の製造工程であって中央部側梁と下板とを接続する様子を示す模式図であり、
図4は台車枠を構成する側梁の製造工程を示した模式図であり、中央部側梁と下板とを接続する様子を
図3に示したA側から見た図となっている。つまり、X方向からYZ軸で構成される平面を見た図となっている。
図5は台車枠を構成する側梁の製造工程を示した模式図であり、中央部側梁を接合した下板に、更に端部側梁を接続する様子を示す図である。以下では、
図3から
図5を参照して、台車(台車枠)の製造方法を説明する。
【0017】
はじめに、側梁に設ける側梁空気タンク30の容量(体積)を決定し、この空気タンク容積を得ることができるように、中央部側梁上板12aのX方向の両端部の内壁に仕切り板15を固定する(
図3)。仕切り板15は、その仕切り板15の上辺15aおよび垂直辺15bを中央部側梁上板12a(内壁)に気密溶接(溶接部70)する(
図4)。なお、必要に応じて、補強板13を中央部側梁上板12a(内壁)に溶接してもよい。
【0018】
次に、補強板13および仕切り板15を備える中央部側梁上板12aのフランジ部12fを側梁下板14の上面に載置した後、フランジ部12fと側梁下板14の上面とを気密溶接するとともに、仕切り板15の下辺15cを側梁下板14の上面に気密溶接する。
次に、予め補強板13が溶接された端部側梁上板12bを、中央部側梁上板12aの両端部に位置決めして、中央部側梁上板12aと端部側梁上板12bの突き合わせ部および端部側梁上板12bのフランジ部と側梁下板14の上面とを溶接する。
【0019】
側梁上板を、中央部側梁上板12aおよび一対の端部側梁上板12bからなる3分割された構成とし、これらを順次側梁下板14に接続する構成すること、さらに、中央部側梁上板12aの両端部に側梁空気タンクの容積を決める仕切り板15を備えることによって、仕切り板15の下辺15cと側梁下板14の上面との突き合わせ部を気密溶接することができる。これにより、仕切り板15の位置によって、容量を任意に調整することができる側梁空気タンク30を備えることができる。
【0020】
特に高速で運用される鉄道車両は、軌道への衝撃を緩和するとともに地盤振動を抑制するために軽量化が求められる。
本発明の側梁12は、側梁下板14の上面に、逆U字断面形状を有する端部側梁上板12bおよび中央部側梁上板12aを溶接して構成される。側梁12のZ方向の寸法が徐々に小さくなるB部(
図3参照)は、台車枠10が車体を支持した場合に、大きな引張り応力が生じる部位である。側梁12を構成する側梁下板14に、局部的に高い引張り応力が生じないように、側梁下板14のB部に対応する部分の板厚を側梁下板14のX方向中央部の板厚より大きく設定するとともに側梁12の信頼性を高めている。
【0021】
また、端部側梁上板12bと中央部側梁上板12aとの接続部が所定の強度を維持できるように、この接続部の近傍に対応する側梁下板14の板厚(
図3C部)を大きく設定している。さらに、この接続部の近傍に備えられるとともに補強板の機能を併せ持つ仕切り板15の板厚を、必要に応じて他の補強板13の板厚より大きく設定しても良い。
これらの上述した構成によって、側梁下板14の上面に、逆U字断面形状を有する端部側梁上板12bおよび中央部側梁上板12aが溶接される構成を有する台車枠10が所定の強度および信頼性を備えることができる。
【0022】
なお、側梁下板14のD部の板厚を、C部の側梁下板14の板厚と同じ板厚に設定している。これは、輪軸5を回動可能に保持する軸箱を側梁12に弾性支持するとともに、X方向に沿って隔置される1対の1次(コイル)ばね80を、容易に備えることができるように、一対の1次ばね80の上端部が当接する側梁下板14の下面の高さを揃えるためである(
図5参照)。
【0023】
図6は、空気ばねを利用した車体傾斜装置に係る空気配管系統図の模式図である。鉄道車両の床下には、高圧空気源(空気圧縮機)60と、高圧空気源60に接続する補助空気タンク40が備えられる。そして、補助空気タンク40は、高さ調整装置52、空気ばね25、台車枠10の側梁12に内蔵される第2空気タンクである側梁空気タンク30に空気配管により直列に接続されている。
また、Y方向に隔置される一対の空気ばね25は、差圧弁27を備える空気配管で接続されている。そして、高圧空気源(空気圧縮機)60は、主空気タンク42、車体傾斜装置50、高さ調整装置52に空気配管により直列に接続されている。さらに、主空気タンク42は台車枠10をなす横梁18に備えられる第1空気タンクにも接続される。
【0024】
高さ調整装置52は、乗客等の乗車率等によって車体の床面高さが変化してホームと車体の床面とに段差等が生じないように車体の高さを調整する機能を有する。側梁空気タンク30と空気ばね25とを接続する配管には、オリフィスが備えられており、空気ばね25と側梁空気タンク30とを行き来する空気の抵抗となって空気ばね25に減衰力を付与している。
Y方向に沿って隔置される一対の空気ばね25を接続する空気配管に備えられる差圧弁27は、空気ばね25の内圧に顕著な差が生じて、輪軸5をなす各車輪の輪重(車輪がレールを押すZ方向の荷重)にアンバランスが生じる輪重抜けの発生を抑制する機能を担う。
車体傾斜装置50は、鉄道車両の位置情報(軌道の曲率情報)や速度情報に基づいて、鉄道車両を傾斜するタイミングと傾斜量(傾斜角度)を算出して、車体を傾斜させる圧力空気を、高さ調整装置52を経由して空気ばね25に給排気する機能を有する。
【0025】
従来、横梁18に備えられる第1空気タンクと空気ばね25とが接続されていた。このため車体傾斜装置50の空気源となる主空気タンク42のみで、車体傾斜装置50に圧力空気を供給できる十分な大きさの容積を確保することが難しかった。
これに対して、本発明においては、第2空気タンクとして側梁空気タンク30を備えたことから、空気ばね25と横梁18に備えられる第1空気タンクを接続するとともに、第2空気タンクである側梁空気タンク30と主空気タンク42を接続することができるので、主空気タンク42の容積を大きくすることなく車体傾斜装置50に供給できる十分な容積の圧力空気を備えることができる。
【0026】
このため、各種機器が既設されており十分な空間の確保が難しい鉄道車両の床下に大きな容積の主空気タンク設置する設計を回避できるとともに、大きな容積の主空気タンク設置に代えて複数の小さな容量の補助空気タンクを備えることによる補助空気タンクを設置するための工数や補助空気タンクを接続する新たな空気配管を設置する工数を削減できる。
したがって、空気ばね式車体傾斜装置を備える鉄道車両において、設計自由度を確保できるとともに、取り付け作業工数等を小さくできる鉄道車両用台車とこの台車の製造方法を提供することができる。
【0027】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、台車枠の構成や個々の構造物の形状、部材の配置、空気配管系統、溶接等の部材の取り付け方法などは、車両の状況等に応じて適宜変更しうるものである。
【符号の説明】
【0028】
1…台車 5…輪軸
10…台車枠 12…側梁
12a…中央部側梁上板 12b…端部側梁上板
12f…フランジ部
13…補強板 14…側梁下板
15…仕切り板 15a…上辺
15b…垂直辺 15c…下辺
18…横梁 16…ツナギ梁
20…主電動機受座 21…歯車箱吊受座
24…ブレーキ装置受座
25…空気ばね 26…空気ばね受座
27…差圧弁 28…ダンパ受座
30…側梁空気タンク 40…補助空気タンク
42…主空気タンク 50…車体傾斜装置
52…高さ調整装置 60…高圧空気源(空気圧縮機)
70…溶接部 80…1次(コイル)ばね