特許第6796479号(P6796479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796479
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】操作入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20201130BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20201130BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20201130BHJP
   G06F 3/047 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G06F3/041 610
   G06F3/041 640
   G06F3/041 662
   G06F3/041 580
   G06F3/042 480
   G06F3/044 Z
   G06F3/047 B
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-251108(P2016-251108)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-106374(P2018-106374A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】菊池 亮一
【審査官】 滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02282256(EP,A1)
【文献】 特開2012−208758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0303839(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/042
G06F 3/044
G06F 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記センサは、前記枠部材の前記弾性変形を検出することにより、前記外力による前記操作面の前記表面側の変位及び前記裏面側の変位を検出する
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項2】
前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分において、弾性変形をしない外枠に、前記枠部材が前記弾性変形が可能な状態で取り付けられていると共に、前記センサは、前記外枠に設けられている
ことを特徴とする請求項に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記センサは、近接センサまたは接触センサからなる
ことを特徴とする請求項に記載の操作入力装置。
【請求項4】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記センサは、複数個であって、前記操作面の周囲に沿った複数の位置に設けられている
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項5】
前記信号送出回路は、複数個の前記センサの出力から、前記操作面における前記外力の印加位置を検出して、その検出結果を前記印加位置の情報を送出する前記信号に含める
ことを特徴とする請求項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記信号送出回路は、複数個の前記センサの出力の時系列変化から、前記操作面における前記外力の移動を検出して、その検出結果を前記印加位置の情報を送出する前記信号に含める
ことを特徴とする請求項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記弾性変形が可能な枠部材は、多角形形状を有しており、前記多角形形状の複数個の辺の内のすくなくとも1個の辺の変位を前記センサは検出する
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項8】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記弾性変形が可能な枠部材は、多角形形状を有しており、
前記多角形形状の複数個の角部のそれぞれを構成する2辺の内のすくなくとも2組の2辺の各辺に、前記角部の存在を検出するように前記センサが設けられており、
前記信号送出回路は、前記2組の2辺の各辺の前記センサの検出出力から、前記操作面に対する前記外力の移動方向を検出して、その検出結果を送出する前記信号に含める
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項9】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記弾性変形が可能な枠部材は、円弧状形状あるいは円形形状を有しており、
前記円弧状形状あるいは円形形状の周囲に沿って複数個の前記センサが設けられている
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項10】
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記センサは、感圧センサからなり、
前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分の前記枠部材が、弾性変形をしない外枠に設けられている前記感圧センサに対して、所定の圧力が印加された状態で取り付けられている
ことを特徴とする操作入力装置。
【請求項11】
前記センサは、感圧センサからなり、
前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分の前記枠部材が、弾性変形をしない外枠に設けられている前記感圧センサに対して、所定の圧力が印加された状態で取り付けられている
ことを特徴とする請求項1、請求項7、請求項8又は請求項9に記載の操作入力装置。
【請求項12】
前記センサは、ひずみ受感素子である
ことを特徴とする請求項1、請求項4、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10のいずれかに記載の操作入力装置。
【請求項13】
前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変形をしない外枠に固定されて取り付けられている
ことを特徴とする請求項1、請求項4、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10のいずれかに記載の操作入力装置。
【請求項14】
前記センサは、複数個であって、前記操作面の周囲に沿った複数の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1、請求項7、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の操作入力装置。
【請求項15】
前記弾性変形が可能な枠部材は、円弧状形状あるいは円形形状を有しており、
前記円弧状形状あるいは円形形状の周囲に沿って複数個の前記センサが設けられている
ことを特徴とする請求項1、請求項4、請求項7、請求項8又は請求項10のいずれかに記載の操作入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示画面に表示されているオブジェクト画像(対象物体画像)を、視覚上、立体的な変形をさせるための操作入力を受け付ける操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示装置の表示画面に表示されているオブジェクト画像に対して、一部を凹ませる、一部を膨出させるなど、視覚上、立体的な変形を生じさせるようにする技術が知られている。例えばグラフィックデザイナーなどのプロフェッショナル用の座標入力装置においては、操作者が両手を用いることで、オブジェクト画像の立体的な変形を可能にしている。例えば、左手で、「凹ませる」機能ボタンや「膨出させる」機能ボタンを選択して操作しながら、右手の指や右手に持った電子ペンにより、座標入力装置において表示画面のオブジェクト画像上における位置を指定することで、その指定した位置においてオブジェクト画像に対して凹ませたり、膨出させたりする立体的な変形をすることができるようにしている。
【0003】
また、特許文献1(特開2014‐182717号公報)には、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)などの表示部の表面側に、タッチパネル及び圧力センサ部を重畳するように設けると共に、表示部の裏面側にも、タッチパネル及び圧力センサ部を重畳するように設けた情報処理装置が開示されている。この特許文献1の情報処理装置においては、タッチパネルを押下操作したときの圧力を圧力センサで検出し、その検出した圧力に応じた視覚上の立体的な変形を、表示部の表示画面に表示されているオブジェクト画像に生じさせるようにしている。
【0004】
また、特許文献1の情報処理装置では、表示部の表面側及び裏面側のタッチパネルに手の指で同時にタッチして、一方のタッチ位置を移動させる操作をすることで、オブジェクト画像を、視覚上の立体的なねじり変形をさせることができることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014‐182717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなプロフェッショナル用の座標入力装置において、両手を用いて、表示画面に表示されているオブジェクト画像に、使用者が望むように、視覚上立体的な変形を生じさせるのは、熟練が必要である。このため、非熟練者である一般ユーザが簡単に思い通りの変形を生じさせるようにすることは困難であった。何故なら、操作者は、両手を用いなければならないことに加えて、座標入力装置での入力操作においては、オブジェクト画像の変形を触感により感得することができないため、直感的な変形操作ができず、表示画面上のオブジェクト画像の変形を視覚的に確認しながら変形操作を行わなくてはならないからである。
【0007】
特許文献1の場合には、オブジェクト画像に対して、一部を凹ませる、一部を膨出させるなどの変形操作は、片手が行うことが可能である。しかし、この特許文献1の情報処理装置の場合にも、操作者は、オブジェクト画像の変形を触感により感得することができないため、直感的な変形操作ができず、表示画面上のオブジェクト画像の変形を視覚的に確認しながら変形操作を行わなくてはならないという問題がある。
【0008】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした操作入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の表面に交差する方向の変位及び裏面に交差する方向の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記表面に交差する方向の変位あるいは前記裏面に交差する方向の変位に応じた信号を、前記操作入力に応じた信号として送出する信号送出回路と、
を備えることを特徴とする操作入力装置を提供する。
【0010】
上述の構成のこの発明の操作入力装置においては、操作面は、例えば指などの操作子により外力が受けると弾性的に変位するものであり、しかも、表面側と裏面側の両方からの操作入力を受けることができるようにされている。
【0011】
そして、センサにより、操作面に対する操作により加えられた外力による操作面の表面に交差する方向の変位、あるいは裏面に交差する方向の変位が検出される。そして、信号送出回路により、センサで検出された前記表面に交差する方向の変位あるいは前記裏面に交差する方向の変位に応じた信号が、例えば表示装置などの外部装置に送信される。
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明は、
表示画面に表示されているオブジェクト画像を、視覚上立体的に変形させるための操作入力を受け付けて、前記操作入力に応じた信号を送出する操作入力装置であって、
表面側及び裏面側から、前記操作入力としての外力を受けることが可能であり、前記外力により弾性的に変位する操作面と、
前記外力による前記操作面の変位を検出するためのセンサと、
前記センサで検出された前記変位に応じた信号を送出する信号送出回路と、
を備え、
前記操作面は、前記操作面の少なくとも部分的な周囲部分が、弾性変位が可能な枠部材に固定されて構成されており、
前記センサは、前記枠部材の前記弾性変形を検出することにより、前記外力による前記操作面の前記表面側の変位及び前記裏面側の変位を検出する
ことを特徴とする操作入力装置を提供する。

【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、操作者は、操作面の表面側と裏面側の両方から、触覚的に操作面の変位を感得しながら操作入力をすることができるので、直感的な操作入力が可能となり、入力操作に不慣れな操作者であっても容易に操作ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の外観を示す図である。
図2】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の分解構成図である。
図3】この発明による操作入力装置の第1の実施形態を構成する操作面部材の例を示す図である。
図4】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部を説明するために用いる図である。
図5】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部の構成例を示す図である。
図6】この発明による操作入力装置の第1の実施形態における要部の動作を説明するための図である。
図7】この発明による操作入力装置の第1の実施形態における操作入力の例を示す図である。
図8】この発明による操作入力装置の第1の実施形態における要部の動作を説明するための図である。
図9】この発明による操作入力装置の第1の実施形態における要部の動作を説明するための図である。
図10】この発明による操作入力装置の第1の実施形態における信号送出回路の構成例を示すブロック図である。
図11】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部の他の構成例を示す図である。
図12図11の例の説明のための図である。
図13】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部の変形例を示す図である。
図14】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部の変形例を示す図である。
図15】この発明による操作入力装置の第1の実施形態の要部の変形例を示す図である。
図16】この発明による操作入力装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
図17】この発明による操作入力装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による操作入力装置の幾つかの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1図10は、この発明による操作入力装置の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。図1及び図2は、第1の実施形態の操作入力装置10の概要を説明するための図である。図1は、第1の実施形態の操作入力装置10の外観を示す図であり、図2は、第1の実施形態の操作入力装置10の主たる構成要素を分解して示した図である。ただし、図2は、操作入力装置10を、側面方向から見た図となっている。
【0017】
図1及び図2に示すように、この第1の実施形態の操作入力装置10は、操作面部材11と、外枠基部12と、外枠蓋部13とからなる。外枠基部12と、外枠蓋部13とは、操作入力装置10の外枠を構成するもので、操作面部材11が、外枠基部12と外枠蓋部13との間に保持される構成とされている。この第1の実施形態の場合には、操作面部材11は、外枠基部12と外枠蓋部13とにより圧着挟持されるのではなく、後述するように、操作面部材11の周囲部が、外枠基部12と外枠蓋部13との間で、透孔12a,13aに連通するように形成される空間に配置される。これにより、操作面部材11は、外枠基部12と外枠蓋部13とにより固定されることなく、遊嵌されている状態となる。
【0018】
図1及び図2に示すように、外枠基部12及び外枠蓋部13は、同一の大きさ及び形状を備えるもので、この例では、外形が四角形の平板の内部に、同じ大きさの四角形の透孔12a及び透孔13aが形成されている。そして、図2に示すように、外枠基部12及び外枠蓋部13は、互いの四角形の透孔12a、13aとが位置的に一致して一つの透孔を形成するように状態で、かつ、操作面部材11を挟むように重ねられて、例えば両者が接着される等して固着される。
【0019】
操作面部材11は、この第1の実施形態においては、図3(A)に示すように、弾性体からなる四角形形状の操作面枠部材(以下、単に枠部材という)111に、弾性を有するシート状部材112が固定されて形成されている。なお、図3(B)は、図3(A)におけるA−A断面矢視図である。
【0020】
四角形形状の枠部材111は、この例では、弾性を有すると共に、導電性を有する金属からなる針金部材で構成されている。
【0021】
この場合に、金属製の針金部材からなる枠部材111は、この例では、金属部分が露呈するようにされている。すなわち、シート状部材112は、枠部材111に内接するような状態で、枠部材111に固定されている。そして、操作面部材11の四角形の枠部材111は、図2に示すように、外枠基部12及び外枠蓋部13の四角形の透孔12a,13aよりは大きく、外枠基部12及び外枠蓋部13の外周の四角形よりは小さい四角形形状とされている。
【0022】
このため、外枠基部12と外枠蓋部13との間において、透孔12a,13aと連通するように形成される空間部に操作面部材11が遊嵌された状態においても、操作面部材11は、透孔12a,13aから離脱することはない。そして、操作面部材11のシート状部材112は、図2から分かるように、外枠蓋部13の透孔13a側には、その表面112a側が、また、外枠基部12の透孔12a側には、その裏面112b側が、それぞれ露呈するようにされる。この透孔12a,13aから露呈しているシート状部材112の部分が実質的な操作面を構成する。
【0023】
シート状部材112は、この例では、ゴムシートで構成されている。シート状部材112は、弾性を有するため、そのシート面に交差する方向から外力(操作者の操作入力)を受けると、その外力の印加方向に凸となるように弾性変位する(図4参照)。そして、この第1の実施形態では、シート状部材112は、弾性を有する枠部材111に固定されているので、シート状部材112の弾性変位に応じて、枠部材111も弾性変位する。
【0024】
この場合に、図4に示すように、シート状部材112のシート面に交差する方向から印加される外力の大きさ及び印加位置に応じて、シート状部材112のシート面の弾性変位の形状が変わり、枠部材111は、シート状部材112のシート面の弾性変位の形状に応じた弾性変位を生じる。
【0025】
すなわち、この実施形態の操作入力装置10において、図4(A)に示すように、外枠蓋部13側から、矢印ARa,ARb,ARcで示す方向及び位置において、操作面部材11のシート状部材112に外力が印加された場合、当該シート状部材112は、図4(B)に示すように、外枠基部12側に凸となるように弾性変位するが、その弾性変位の形状は、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状であって、印加位置における変位が最大となるような凸形状となる。
【0026】
また、図4(C)に示すように、外枠基部12側から、矢印ARd,ARe,ARfで示す方向及び位置において、操作面部材11のシート状部材112に外力が印加された場合、当該シート状部材112は、図4(D)に示すように、外枠蓋部13側に凸となるように弾性変位するが、その弾性変位の形状は、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状であって、印加位置における変位が最大となるような凸形状となる。
【0027】
すなわち、図4(A)において実線の矢印ARaで示す位置において外力が印加された場合には、シート状部材112は、図4(B)において実線112aで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈する。また、図4(A)において破線の矢印ARbで示す位置において外力が印加された場合には、当該シート状部材112は、図4(B)において、実線112bで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈する。また、図4(A)において一点鎖線の矢印ARcで示す位置において外力が印加された場合には、シート状部材112は、図4(B)において実線112cで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈する。そして、図4では、図示は省略するが、操作面部材11の枠部材111は、シート状部材112の弾性変形の形状に応じた弾性変形をする。
【0028】
また、図4(C)において実線の矢印ARdで示す位置において外力が印加された場合には、シート状部材112は、図4(D)において実線112dで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈し、図4(C)において破線の矢印AReで示す位置において外力が印加された場合には、当該シート状部材112は、図4(D)において実線112eで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈し、また、図4(C)において一点鎖線の矢印ARfで示す位置において外力が印加された場合には、シート状部材112は、図4(D)において実線112fで示すような、外力の大きさ及び印加位置に応じた凸形状の弾性変位を呈する。
【0029】
そして、図4では、図示は省略するが、操作面部材11の枠部材111は、シート状部材112の弾性変形の形状に応じた弾性変形をする。この第1の実施形態では、このシート状部材112の弾性変位に応じた枠部材111の弾性変位を検出することで、シート状部材112に印加された外力(操作者の操作入力)の位置及び大きさを検出する。そして、この第1の実施形態では、操作面部材11の枠部材111の弾性変位を検出するためのセンサが、外枠基部12に設けられると共に、当該外枠基部12には、センサの検出出力から形成される操作入力装置の出力信号を生成して、外部に送出する信号送出回路も設けられている。
【0030】
次に、外枠基部12及び外枠蓋部13の構成例について説明する。図5(A)は、外枠基部12を、操作面部材11を存在させる面側から見た図であり、図5(B)は、図5(A)のB−B線で切断したときの外枠基部12の断面図である。また、図5(C)は、外枠蓋部13を、操作面部材11を存在させる面側から見た図であり、図5(D)は、図5(C)のC−C線で切断したときの外枠蓋部13の断面図である。
【0031】
この第1の実施形態においては、外枠基部12には、操作面部材11を収納するための凹部12bを形成するための段部12cが形成されている。凹部12bは、この第1の実施形態では、四角形の操作面部材11よりも大きい四角形形状とされている。そして、凹部12b内には、操作面部材11の枠部材111の、シート状部材112の弾性変位に応じた弾性変位を検出するための4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rが設けられている。変位検出センサ14U,14D,14L,14Rのそれぞれは、操作面部材11を凹部12b内に収納したときに、四角形の枠部材111の4辺のそれぞれが対応するような位置に設けられている。
【0032】
4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rは、同一の構成を有する。図6に、変位検出センサ14Uを代表して、その構成例を示す。すなわち、変位検出センサ14Uは、図6(A)に示すように、操作面部材11の枠部材111の辺方向に沿って分割された複数個の分割部141a,141b,・・・,141nを備えている。この複数個の分割部141a,141b,・・・,141nは、外力の印加位置が、その配列方向のいずれの位置であるかを検出するためのものである。
【0033】
変位検出センサ14Uの分割部141a,141b,・・・,141nのそれぞれは、複数個の金属センサ142が高さ方向(操作面部材11のシート状部材112に直交する方向)に積層されて構成されている。金属センサ142のそれぞれは、例えば近接センサあるいは接触センサで構成されており、操作面部材11の金属製の枠部材111を検出する。この積層された複数個の金属センサ142は、シート状部材112に印加される外力の大きさを検出するためのものである。
【0034】
なお、この実施形態では、図6(A)に示すように、操作面部材11の枠部材111の高さ位置が、変位検出センサ14U,14D,14L,14Rの高さ方向の中央位置となるように、外枠基部12の凹部12bの4個の角部には、高さ調整台部15a,15b,15c,15dが設けられている。そして、外枠蓋部13には、外枠基部12の高さ調整台部15a,15b,15c,15dと対向する位置に突部16a,16b,16c,16dが設けられている。そして、図6(A)に示すように、外枠基部12に対して外枠蓋部13が張り合わされた状態においては、操作面部材11の枠部材111の4個の角部が、外枠基部12の高さ調整台部15a,15b,15c,15dと、外枠蓋部13の突部16a,16b,16c,16dとの間の空間に収納されるようにされる。この場合に、枠部材111の角部は、高さ調整台部15a,15b,15c,15dと、突部16a,16b,16c,16dとにより挟持されるのではなく、枠部材111がシート状部材112のシート面方向の移動は可能の状態とされている。
【0035】
したがって、操作面部材11の枠部材111が、図6(A)に示すように、弾性変位していないときには、変位検出センサ14Uの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nでは、複数個の金属センサ142の内の高さ方向の同じ中央位置に在る金属センサ142で、金属製の枠部材111を検出する。
【0036】
また、操作面部材11の枠部材111が、図6(B)に示すように、図4を用いて説明したシート状部材112の弾性変位に応じて下方に弾性変位したときには、変位検出センサ14Uの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nのそれぞれでは、図6(A)の場合において、金属製の枠部材111を検出する、高さ方向の中央位置の金属センサ142よりも低い高い位置の金属センサ142であって、外力の大きさ及び印加位置に応じた金属製の枠部材111の弾性変位に応じて異なる高さ位置に在る金属センサ142で、金属製の枠部材111を検出するようになる。
【0037】
また、操作面部材11の枠部材111が、図6(C)に示すように、図4を用いて説明したシート状部材112の弾性変位に応じて矢印方向に上方に弾性変位したときには、変位検出センサ14Uの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nのそれぞれでは、図6(A)の場合において、金属製の枠部材111を検出する、高さ方向の中央位置金属センサ142よりも高い位置の金属センサ142であって、外力の大きさ及び印加位置に応じた金属製の枠部材111の弾性変位に応じて異なる高さ位置に在る金属センサ142で、金属製の枠部材111を検出するようになる。
【0038】
そして、図6(B)及び図6(C)では図示を省略するが、枠部材111の弾性変位の仕方は、図4を用いて説明したように、操作面部材11のシート状部材112における外力の大きさ及び印加位置に応じたものとなり、その外力の印加位置に応じて、枠部材111の辺方向における最下点となる位置、あるいは最上点となる位置が異なる。すなわち、外力が大きさ及び印加位置に応じてシート状部材112の弾性変位の凸形状が変わり、それに応じて枠部材111の弾性変位のカーブが変わる。
【0039】
したがって、操作面部材11のシート状部材112における外力の大きさ及び印加位置に応じて、変位検出センサ14Uの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nのそれぞれにおいて枠部材111を検出する金属センサ142の高さ方向の位置が異なる。つまり、変位検出センサ14Uの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nは、外力が印加される位置に応じた異なる検出結果を出力する。
【0040】
以上の説明は、変位検出センサ14Uについてあったが、前述もしたように、その他の変位検出センサ14D,14L,14Rも同様に構成されている。
【0041】
ここで、例えば、図1に示すように、外枠蓋部13のマークMKが付された一辺を、操作入力装置10の操作入力時の上方とするように設定するものとする。そして、このマークMKが付された外枠蓋部13の一辺の下部に変位検出センサ14Uが設けられているものとする。
【0042】
すると、上述の説明から明らかなように、変位検出センサ14U及び変位検出センサ14Dからは、当該変位検出センサ14U及び変位検出センサ14Dの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nの配列方向である操作入力装置10の横方向における外力の印加位置が判明する。また、変位検出センサ14L及び変位検出センサ14Rからは、当該変位検出センサ14L及び変位検出センサ14Rの複数個の分割部141a,141b,・・・,141nの配列方向である操作入力装置10の縦方向における外力の印加位置が判明する。そして、4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rのそれぞれの分割部141a,141b,・・・,141nの検出出力から、外力の大きさを検出することができる。
【0043】
したがって、4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rのそれぞれの分割部141a,141b,・・・,141nの検出出力を用いることで、シート状部材112のシート面(操作面)における操作者の操作入力位置及び操作時の圧力の強さ、すなわち、外力印加位置と外力の大きさを特定することができる。
【0044】
なお、変位検出センサは、四角形形状の操作面部材11の4辺のそれぞれに対応して4個を設けるようにしたが、少なくとも、変位検出センサ14U,14Dのいずれか一方と、変位検出センサ14L,14Rのいずれか一方との2個を設ければ、操作面部材11のシート状部材112における外力の大きさ及び印加位置を検出することは可能である。
【0045】
以上は、操作面部材11に対する操作入力が、所定の位置において点的に印加される外力によるものとしたが、この第1の実施形態においては、図7(A)において、矢印AX及びAYで示すような直線移動操作の検出が可能に構成されている。また、この第1の実施形態においては、図7(B)において、矢印RTで示すような回転移動操作の検出が可能に構成されている。
【0046】
これらの移動操作は、前述した4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rの検出出力から求められる外力の印加位置を時系列変化からも検出することが可能である。しかし、この実施形態では、これらの移動操作を、より容易に検出することができるようにするために、4個の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rとは別のセンサを、外枠基部12に設けるようにする。
【0047】
すなわち、この第1の実施形態の操作入力装置10においては、図5(A)に示すように、外枠基部12の凹部12bの4個の角部のそれぞれには、縦方向に配される接触センサ17a,17b,17c,17dと、横方向に配される接触センサ18a,18b,18c,18dとの2個の接触センサの対が設けられる。すなわち、図5(A)に示すように、外枠基部12の凹部12bの左上角には、接触センサ17aと接触センサ18aとの対が、右上角には、接触センサ17bと接触センサ18bとの対が、左下角には、接触センサ17cと接触センサ18cとの対が、右下角には、接触センサ17dと接触センサ18dとの対が、それぞれ配設される。
【0048】
これら接触センサ17a,17b,17c,17d及び接触センサ18a,18b,18c,18dは、それぞれ透孔12a側を向いている面に対する、操作面部材11の金属製の枠部材111の接触を検出する。
【0049】
例えば、操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(A)の矢印AYの上方方向に移動させるように操作入力した場合、操作面部材11の枠部材111は、図8(A)及び図8(B)に示すように、外枠基部12の凹部12bの上方において、横方向に配されている接触センサ18a及び18bに接触するので、これら接触センサ18a及び18bにより接触検知される。そして、このとき、操作面部材11の枠部材111は、外枠基部12の凹部12bの下方においては、横方向に配されている接触センサ18c及び18dには接触しない状態になる。
【0050】
したがって、接触センサ18a及び18bにより枠部材111が接触検知され、かつ、接触センサ18c及び18dで枠部材111が接触検知されないことにより、操作者による図7(A)の矢印AYの上方方向に移動させるようにする操作入力が検知される。なお、この場合において、接触センサ18a及び18bにより枠部材111が接触検知される状態を検出することだけで、操作者による図7(A)の矢印AYの上方方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。
【0051】
そして、その移動開始位置及び移動終了位置は、変位検出センサ14L及び14Rにおける枠部材111の弾性変位の検出出力における最大変位位置から検出することが可能である。この場合にも、変位検出センサ14L及び14Rの一方の検出出力から移動開始位置及び移動終了位置を検出するようにしてもよい。
【0052】
操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(A)の矢印AYの下方方向に移動させるように操作入力した場合には、接触センサ18a及び18bと、接触センサ18c及び18dとによる枠部材111の接触検知、接触非検知の関係が、上述の場合と逆になるだけで、上述と同様にして検出することができる。
【0053】
また、操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(A)の矢印AXの左方向に移動させるように操作入力した場合、操作面部材11の枠部材111は、図8(C)及び図8(D)に示すように、外枠基部12の凹部12bの左側において、縦方向に配されている接触センサ17a及び17cに接触するので、これら接触センサ17a及び17cにより接触検知される。そして、このとき、操作面部材11の枠部材111は、外枠基部12の凹部12bの右側においては、縦方向に配されている接触センサ17b及び17dには接触しない状態になる。
【0054】
したがって、接触センサ17a及び17cにより枠部材111が接触検知され、かつ、接触センサ17b及び17dで枠部材111が接触検知されないことにより、操作者による図7(A)の矢印AXの左方向に移動させるようにする操作入力が検知される。なお、この場合において、接触センサ17a及び17cにより枠部材111が接触検知される状態を検出することだけで、操作者による図7(A)の矢印AXの左方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。
【0055】
そして、その移動開始位置及び移動終了位置は、変位検出センサ14U及び14Dにおける枠部材111の弾性変位の検出出力における最大変位位置から検出することが可能である。この場合にも、変位検出センサ14U及び14Dの一方の検出出力から移動開始位置及び移動終了位置を検出するようにしてもよい。
【0056】
操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(A)の矢印AXの右方向に移動させるように操作入力した場合には、接触センサ17a及び17cと、接触センサ17b及び17dとによる枠部材111の接触検知、接触非検知の関係が、上述の場合と逆になるだけで、上述と同様にして検出することができる。
【0057】
また、操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(B)の矢印RTの右回転方向(時計回り方向)に移動させるように操作入力した場合、操作面部材11の枠部材111は、図9(A)及び図9(B)に示すように、外枠基部12の凹部12bの左上部において横方向に配されている接触センサ18aに接触すると共に、右下部において横方向に配されている接触センサ18dに接触するので、これら接触センサ18a及び18dにより接触検知される。
【0058】
したがって、接触センサ18a及び18dにより枠部材111が接触検知されることにより、操作者による図7(B)の矢印RTの右回転方向に移動させるようにする操作入力が検知される。なお、この場合においては、図9では図示を省略するが、外枠基部12の凹部12bの左下部において縦方向に配されている接触センサ17cに接触すると共に、右上部において縦方向に配されている接触センサ17bに接触するので、これら接触センサ17c及び17bにより接触検知することにより、操作者による図7(B)の矢印RTの右回転方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。あるいは、接触センサ18a及び18dと、接触センサ17c及び17bによる接触検知の全てに基づいて、操作者による図7(B)の矢印RTの右回転方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。
【0059】
また、操作者が、操作面部材11のシート状部材112を押下して弾性変位させながら、その押下位置(外力印加位置)を図7(B)の矢印RTの左回転方向(反時計回り方向)に移動させるように操作入力した場合、操作面部材11の枠部材111は、図9(C)及び図9(D)に示すように、外枠基部12の凹部12bの左下部において横方向に配されている接触センサ18cに接触すると共に、右上部において横方向に配されている接触センサ18bに接触するので、これら接触センサ18c及び18bにより接触検知される。
【0060】
したがって、接触センサ18c及び18bにより枠部材111が接触検知されることにより、操作者による図7(B)の矢印RTの左回転方向に移動させるようにする操作入力が検知される。なお、この場合においては、図9では図示を省略するが、外枠基部12の凹部12bの左上部において縦方向に配されている接触センサ17aに接触すると共に、右下部において縦方向に配されている接触センサ17dに接触するので、これら接触センサ17a及び17dにより接触検知することにより、操作者による図7(B)の矢印RTの左回転方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。あるいは、接触センサ18c及び18bと、接触センサ17a及び17dによる接触検知の全てに基づいて、操作者による図7(B)の矢印RTの右回転方向に移動させるようにする操作入力を検知するようにしてもよい。
【0061】
この第1の実施形態の操作入力装置10においては、外枠基部12には、図5において、点線で示すように、上述した変位検出センサ14U,14D,14L,14R及び接触センサ17a,18a,17b,18b,17c,18c,17d,18dの検出出力を受けて、外部に送出する信号送出回路20が設けられている。
【0062】
図10に、この第1の実施形態の操作入力装置10の信号送出回路20の構成例について説明する。この第1の実施形態の操作入力装置10においては、信号送出回路20は、操作検出回路21と、無線送信回路22とからなる。
【0063】
操作検出回路21には、上述した変位検出センサ14U,14D,14L,14R及び接触センサ17a,18a,17b,18b,17c,18c,17d,18dの検出出力が供給される。操作検出回路21は、上述したように、変位検出センサ14U,14D,14L,14Rからの検出出力から、操作者による操作面部材11のシート状部材112のシート面における操作入力位置と、その操作入力位置においてシート状部材112に印加される力の方向と大きさとを検出する。そして、操作検出回路21は、検出した操作入力位置の情報と、その位置における力の方向と大きさの情報とを、送信信号として、無線送信回路22に供給する。
【0064】
また、操作検出回路21は、上述したように、接触センサ17a,18a,17b,18b,17c,18c,17d,18dの検出出力から、図7(A)に示した矢印AY及び矢印AXの方向の直線的な移動を検出すると共に、図7(B)に示した矢印RTの回転方向の移動を検出する。そして、操作検出回路21は、変位検出センサ14U,14D,14L,14Rの検出出力から、その移動の開始位置と終了位置を検出する。
【0065】
そして、操作検出回路21は、検出した操作入力位置の移動方向の情報と、その移動の開始位置と終了位置の情報とを、無線送信回路22に供給する。なお、移動の開始位置と終了位置の情報の代わりに、当該移動の開始位置と終了位置との間の距離、つまり、移動距離の情報を無線送信回路22に供給するようにしてもよい。その場合に、移動距離と共に、移動開始位置の情報を無線送信回路22に送るようにしてもよい。
【0066】
無線送信回路22は、例えばブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信を行うもので、操作検出回路21から受け取った信号を送信用信号に変換して、例えばコンピュータなどを含む画像処理装置23に無線送信する。この場合、画像処理装置23と、操作入力装置10とにより画像処理システム24が構成される。
【0067】
なお、このような電波を用いた無線通信ではなく、光や、赤外線を用いた無線通信であってもよい。また、無線送信回路22の代わりに、例えばUSB規格のインターフェースを構成するとともに、USB端子を設け、外部機器とUSBケーブルを通じて通信を行うようにしてもよい。USB規格の無線通信であっても勿論よい。
【0068】
この実施形態の操作入力装置10は、例えばコンピュータなどの表示画面を備える情報処理装置において、前記表示画面に表示されているオブジェクト画像に対して、立体的な変形を加える操作用とされており、無線送信回路22からの送信信号は、前記情報処理装置に送られる。この場合に、情報処理装置には、上述したようにして、操作検出回路21で生成される信号から、その信号に対応したオブジェクト画像に対する操作指示を判別するためのアプリケーションソフトウェアが、予めインストールされている。
【0069】
したがって、情報処理装置は、この実施形態の操作入力装置10から受信した信号を、前記アプリケーションソフトウェアにより処理して、その表示画面に表示されているオブジェクト画像に対して、視覚上、立体的な変形を生じさせるように画像変形を行うようにする。この場合に、画像変形処理としては、操作入力位置で特定される部分を、操作入力位置での力の大きさに応じて凹ませる、または、膨出させる、あるいは、操作入力装置10からの移動方向の指示により、オブジェクト画像を直線移動または回転移動させたり、あるいは、その移動方向の力を受けたようにオブジェクト画像を変形させたり、回転方向に捩じったようにオブジェクト画像を変形させたりする処理を行うことができる。
【0070】
以上のようにして、この実施形態の操作入力装置10によれば、操作者は、操作面部材11のシート状部材112の表面側からのみならず裏面側から操作入力をすることで、表示画面に表示されているオブジェクト画像に対して、凹ませる、または、膨出させる、あるいは、捩じるなどの立体的な変形させる指示を容易に行うことができる。
【0071】
そして、この場合に、操作面部材11のシート状部材112は、操作者の操作入力による押下力により弾性変位するので、操作者は、自分が操作指示しようとする、凹ませる、または、膨出させる、捩じるなどを触覚的に感得することができる。つまり、この実施形態の操作入力装置10によれば、操作者は、情報処理装置の表示画面上のオブジェクト画像の変形を視覚的に確認しながら変形操作を直感的に行うことできるという顕著な効果を奏する。
【0072】
[第1の実施形態の変形例]
<変位検出センサの他の例>
上述の第1の実施形態の操作入力装置10においては、変位検出センサ14U,14D,14L,14Rとしては、近接センサや接触センサからなる金属センサを、積層したものとしたが、変位検出センサ14U,14D,14L,14Rとしては、このような構成のものに限られるものではない。
【0073】
例えば、上述の実施形態の変位検出センサ14U,14D,14L,14Rの代わりに、圧力センサを用いる変位検出センサ30U,30D,30L,30Rを用いることもできる。図11は、この場合の変位検出センサ30U,30D,30L,30Rの構成例の要部を示す図であり、この図11は、変位検出センサ30Uの部分を代表して示したものである。
【0074】
図11(A)に示すように、この例においては、外枠基部12の凹部12bには、圧力センサからなる変位検出センサ30Uが配設される。この変位検出センサ30Uは、その上方からの圧力を検出することができるものであって、前述の実施形態の変位検出センサ14Uと同様に、枠部材111の辺方向に複数個の分割部31a,31b,・・・,31nを備えており、各分割部31a,31b,・・・,31nが独立に、圧力を検出することが可能に構成されている。
【0075】
そして、この図11の例では、操作面部材11の枠部材111は、図11(A)及び図11(B)に示すように、変位検出センサ30Uの上端面30Ua上に載置されると共に、この例では、外枠蓋部13により弾性部材32を介して外枠基部12側に、所定の圧力で押し付けられるような状態で配設されている。
【0076】
したがって、圧力センサからなる変位検出センサ30Uにおいては、操作者による操作入力による外力が操作面部材11に対して印加されていないときにも、図12に示すような圧力のオフセット値が印加されている状態となる。
【0077】
そして、操作面部材11に対して外力が印加されて操作面部材11の枠部材111が弾性変位すると、その弾性変位に応じた圧力変化を、変位検出センサ30Uの分割部31a,31b,・・・,31nのそれぞれが、前記オフセット値からの変化として検出する。
【0078】
すなわち、外枠蓋部13の透孔13a側からの操作入力による外力が操作面部材11のシート状部材112に印加されたときには、枠部材111は、変位検出センサ30Uに対する圧力を増加させる方向に弾性変位する。したがって、変位検出センサ30Uには、この枠部材111の弾性変位により、図12において点線で示すように、オフセット値より高い圧力がかかることになる。
【0079】
同様にして、外枠基部12の透孔12a側からの操作入力による外力が操作面部材11のシート状部材112に印加されたときには、枠部材111は、変位検出センサ30Uに対する圧力を減少させる方向に弾性変位する。したがって、変位検出センサ30Uには、この枠部材111の弾性変位により、図12において一点鎖線で示すように、オフセット値より低い圧力がかかることになる。
【0080】
そして、この場合に、変位検出センサ30Uの分割部31a,31b,・・・,31nに印加される圧力のそれぞれは、枠部材111の弾性変位に応じてそれぞれ異なるので、各分割部31a,31b,・・・,31nでは、枠部材111の弾性変位に応じた圧力変化が検出される。したがって、変位検出センサ30Uの分割部31a,31b,・・・,31nのそれぞれからは、操作面部材11のシート状部材112に印加される外力の大きさ及び印加位置に応じた検出出力が得られる。
【0081】
変位検出センサ14U,14D,14L,14Rに代えて、変位検出センサ30U,30D,30L,30Rが用いられる点を除けば、その他の構成は、上述した第1の実施形態と同様とされるので、この例においても、上述した第1の実施形態と同様の作用効果が得られるものである。
【0082】
<外枠の他の例>
上述の実施形態では、四角形形状の操作面部材11の全周を囲むように外枠を形成したので、外枠基部12及び外枠蓋部13は、中央に四角形形状の透孔12a及び13aを備える四角形形状とした。しかし、外枠は、操作面部材11の全周を囲むようにしなくてもよい。
【0083】
例えば、図13(A)の例は、四角形形状の操作面部材11の枠部材111の3辺の部分を保持するように外枠41を構成したものである。外枠41は、図示は省略するが、外枠基部12の1辺を取り除いた構成の外枠基部と、外枠蓋部13の1辺を取り除いた構成の外枠蓋部とからなる。この例の場合、図示は省略するが、外枠41を構成する外枠基部には、前述した変位検出センサ14U,14L,14Rあるいは変位検出センサ30U,30L,30Rが設けられると共に、操作面部材11の4つの角部には、前述した4対の接触センサ17a,18a,17b,18b,17c,18c,17d,18dが設けられる。
【0084】
この図13(A)の例の操作入力装置10Aにおいては、変位検出センサ14Dあるいは30Dが設けられていないので、操作面部材11のシート状部材112における操作入力による外力の横方向の位置は、変位検出センサ14Uまたは30Uのみで行うことになるが、前述したように、シート状部材112における操作入力による外力の横方向の位置は、変位検出センサ14Uまたは30Uのみで行うことが可能である。
【0085】
したがって、この図13(A)の例の操作入力装置10Aにおいても、上述した第1の実施形態の操作入力装置10と同様の作用効果が得られる。
【0086】
また、図13(B)の例は、四角形形状の操作面部材11の枠部材111の2辺の部分を保持するように外枠42を構成したものである。外枠42は、図示は省略するが、外枠基部12の2辺を取り除いたL字型の構成の外枠基部と、外枠蓋部13の2辺を取り除いたL字型の構成の外枠蓋部とからなる。この例の場合、図示は省略するが、外枠42を構成する外枠基部には、前述した変位検出センサ14L及び14Dあるいは変位検出センサ30L及び30Dが設けられると共に、操作面部材11の3つの角部には、前述した3対の接触センサ17a,18a,17c,18c,17d,18dが設けられる。
【0087】
したがって、この図13(B)の例の操作入力装置10Bにおいては、変位検出センサ14Uあるいは30U及び変位検出センサ14Rあるいは30Rが設けられていないので、操作面部材11のシート状部材112における操作入力による外力の横方向の位置及び縦方向の位置は、それぞれ変位検出センサ14Dまたは30Dのみ、また、変位検出センサ14Lあるいは30Lのみで行うことになるが、前述したように、シート状部材112における操作入力による外力の横方向の位置及び縦方向の位置は、変位検出センサ14Dまたは30Dのみ、また、変位検出センサ14Lあるいは30Lのみで行うことが可能である。
【0088】
また、3対の接触センサ17a,18a,17c,18c,17d,18dによっても、操作面部材11のシート状部材112における操作位置の図7(A)に示した直線移動及び図7(B)に示した回転移動を検出することが可能である。
【0089】
したがって、この図13(B)の例の操作入力装置10Bにおいても、上述した第1の実施形態の操作入力装置10と同様の作用効果が得られる。
【0090】
図13(C)の例は、四角形形状の操作面部材11の枠部材111の1辺のみの部分を保持するように外枠43を構成したものである。外枠43は、図示は省略するが、外枠基部12の3辺を取り除いたI字型の構成の外枠基部と、外枠蓋部13の3辺を取り除いたI字型の構成の外枠蓋部とからなる。そして、この例の場合、図示は省略するが、外枠43を構成する外枠基部には、前述した変位検出センサ14Lあるいは変位検出センサ30Lが設けられると共に、外枠基部の上下の端部に、前述した2対の接触センサ17a,18a及び17c,18cが設けられる。
【0091】
この図13(C)の例の場合には、変位検出センサ14Lあるいは変位検出センサ30Lのみが設けられるので、操作面部材11のシート状部材112における操作入力による外力の横方向の位置または縦方向の位置の一方は検出可能である。また、操作面部材11のシート状部材112における操作位置の図7(A)に示した直線移動は、矢印AXと矢印AYのいずれか一方のみの検出が可能となる。また、図7(B)に示した回転移動は、前述した2対の接触センサ17a,18a及び17c,18cにより、検出可能となる。その他は、この図13(C)の例の操作入力装置10Cにおいても、上述した第1の実施形態の操作入力装置10と同様の作用効果が得られる。
【0092】
<シート状部材112の他の例>
上述の実施形態では、操作面部材11のシート状部材112は、例えばゴム製の板状のシートとしたが、図14に示すような網目状に構成されたシート状部材113であってもよい。すなわち、図14の例の場合には、網目状に構成されたシート状部材113が、枠部材111に内接するような状態で固着されることにより、操作面部材11Mが構成される。
【0093】
<外枠及び操作面部材の枠部材の形状の他の例>
上述の実施形態では、外枠の形状及び外枠の形状に応じた操作面部材の枠部材の形状は、四角形形状としたが、四角形形状に限られるものではなく、種々の形状とすることが可能である。この場合に、外枠の形状及び外枠の形状に応じた操作面部材の枠部材の形状を多角形形状としたときには、上述の四角形形状の場合と同様に、操作面部材の枠部材の各辺に対応した位置に、当該枠部材の辺の弾性変位を検出する変位検出センサを設けると共に、2辺により構成される角部分に、対の接触センサを設けることで、上述の実施形態の操作入力装置10と同様の作用効果を得ることができる。
【0094】
ただし、外枠の形状及び外枠の形状に応じた操作面部材の枠部材の形状を円形状とした場合には、センサの構成が、上述の実施形態とは異なる。
【0095】
図15は、外枠の形状が円形の操作入力装置10Rの要部を説明するための図である。この例の操作入力装置10Rにおける操作面部材11Rは、図15(A)に示すように、円形のシート状部材112Rが、円形の枠部材111Rに内接するような状態で固着されることにより構成されている。
【0096】
そして、図15(B)に示すように、円形の透孔12Raを有する円形リング状の外枠基部12Rの凹部12Rbには、操作面部材11Rの枠部材111Rの弾性変位を検出するための複数個の変位検出センサ、この例では8個の変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhが、枠部材111Rの円周方向に沿って、等角間隔で、この例では45度の角間隔で配設されている。
【0097】
変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhのそれぞれは、図6を用いて説明した変位検出センサ14U,14D,14L,14Rのそれぞれと同様の構成とされている。なお、変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhのそれぞれは、図11及び図12を用いて説明した圧力センサを用いた変位検出センサ30U,30D,30L,30Rと同様のセンサを用いてもよい。
【0098】
この例の操作検出装置10Rにおいては、図示は省略した信号送出回路は、変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhの検出出力から、シート状部材112Rの表面側からの押圧操作入力か、裏面側からの押圧操作入力かを、検出すると共に、その押圧操作入力がなされた位置と、押圧操作により印加された力の大きさを検出する。
【0099】
また、信号送出回路は、変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhの検出出力の時系列変化から、押圧操作入力による移動方向(直線方向及び回転方向)を検出する。すなわち、この例の操作検出装置10Rにおいては、前述した外形が四角形形状の操作入力装置10の場合の4個の角部の対の接触センサは、不要である。
【0100】
なお、図15の例では、8個の変位検出センサ14Ra,14Rb,14Rc,14Rd,14Re,14Rf,14Rg,14Rhを配設するようにしたが、互いに角間隔が90度異なる4個の変位検出センサを配設するだけで、上述の操作入力装置10Rと同様の効果を奏することができる。
【0101】
<その他の例>
なお、操作面部材11や操作面部材11A及び操作面部材11Rの表面側からの押下操作入力か、裏面側からの押下操作入力かを判別すると共に、その印加された押圧力を検出するだけであれば、上述したような複数個のセンサは不要であって、1個の変位検出センサを設ければ十分である。
【0102】
また、センサは、外枠基部12ではなく、外枠蓋部13側に設けてもよい。また、外枠基部12と外枠蓋部13との両方に設けてもよい。また、信号送出回路も、同様に、外枠基部12ではなく、外枠蓋部13側に設けてもよいし、信号送出回路の一部を外枠基部12に、その残部を外枠蓋部13に設けるようにしてもよい。
【0103】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、操作面部材は、枠部材にシート状部材を固着した構成であると共に、センサを、外枠を構成する外枠基部12または外枠蓋部13に配設する構成であった。しかし、この発明の操作入力装置は、このような構成に限られるものではない。第2の実施形態では、操作面部材は、弾性を有するシート状部材のみで構成し、そのシート状部材に、変位検出センサを装着するようにする。
【0104】
図16は、この第2の実施形態の操作入力装置10Bの構成例を説明するための図である。図16(A)は、第2の実施形態の操作入力装置10Dの外観を示す図であり、図16(B)は、第2の実施形態の操作入力装置10Dの主たる構成要素を分解して示した図である。ただし、図16(B)は、操作入力装置10Dを、側面方向から見た図となっている。
【0105】
図16(A)及び(B)に示すように、この第2の実施形態の操作入力装置10Dは、操作面部材11Dと、外枠基部12Dと、外枠蓋部13Dとからなる。操作面部材11Dは、弾性を有するシート状部材112Dで構成されている。シート状部材112Dは、この例では、ゴムシートで構成されている。
【0106】
外枠基部12Dと、外枠蓋部13Dとは、操作入力装置10Dの外枠を構成するもので、操作面部材11Dが、外枠基部12Dと外枠蓋部13Dとの間に圧着挟持されて保持される構成とされている。すなわち、この第2の実施形態の場合には、操作面部材11Dの外周部が外枠基部12Dと外枠蓋部13Dとにより固定されて構成されている。
【0107】
そして、この第2の実施形態においては、操作面部材11Dのシート状部材112Dには、この例ではひずみ受感素子(ひずみゲージ)からなる変位検出センサの複数個が、その表面112Da側及び裏面112Db側にそれぞれ設けられる。すなわち、図16の例では、シート状部材112Dの表面112Da側には、互いに90角間隔を持って、4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dが設けられている。また、シート状部材112Dの裏面112Db側には、互いに90角間隔を持って、4個のひずみ受感素子50e,50f,50g,50hが設けられている。この場合に、表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50e、50f、50g、50hとは、シート状部材112Dを介して対向するように同じ角度位置に設けられている。
【0108】
ひずみ受感素子50a,50b,50c,50d及び50e,50f,50g,50hのそれぞれは、この例では、半導体の電気抵抗率が応力により変化するピエゾ抵抗効果(piezoresistive effect)を用いた半導体ひずみゲージが用いられて構成されている。
【0109】
この例の操作入力装置10Dにおいては、操作面部材11Dのシート状部材112Dに、操作入力がなされていないときには、シート状部材112Dの表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dとの同じ角度位置同士のものは、ほぼ等しい抵抗値を呈する。
【0110】
そして、例えばシート状部材112Dの表面112Da側から、押下操作入力がシート状部材112Dに加えられると、前述したように、シート状部材112Dは、外枠基部12Dの透孔12Da側に凸状になるように弾性変位する。また、シート状部材112Dの裏面112Db側から、押下操作入力がシート状部材112Dに加えられると、前述したように、シート状部材112Dは、外枠蓋部13Dの透孔13Da側に凸状になるように弾性変位する。
【0111】
このとき、シート状部材112Dの表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50e、50f、50g、50hとは、シート状部材112Dの弾性変位により抵抗値を変化させるが、シート状部材112Dの厚さ分だけ、その抵抗値が異なる。
【0112】
すなわち、シート状部材112Dが、外枠基部12Dの透孔12Da側に凸状になるように弾性変位したときには、シート状部材112Dの裏面112Db側の方が、表面112Da側よりも伸びが大きい変化をする。逆に、シート状部材112Dが、外枠蓋部13Dの透孔13Da側に凸状になるように弾性変位したときには、シート状部材112Dの表面112Da側の方が、裏面112Db側よりも伸びが大きい変化をする。
【0113】
したがって、シート状部材112Dの表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50e、50f、50g、50hとの同じ角度位置同士のものの抵抗値に差が生じ、その差の正、負により、外枠基部12Dの透孔12Da側に凸状になる弾性変位か、外枠蓋部13Dの透孔13Da側に凸状になる弾性変位かを判断することができる。そして、その差の絶対値は、シート状部材112Dの弾性変位の大きさ、つまり、操作入力によりシート状部材112Dに印加される外力の大きさに応じたものとなる。
【0114】
そして、シート状部材112Dに対して押下操作入力が付与された位置に応じて、シート状部材112Dの表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50e、50f、50g、50hとの同じ角度位置同士のものの抵抗値の差の値に違いが生じる。したがって、その4個の抵抗値の差の値の違いに応じて、シート状部材112Dに対する押下操作入力の位置を検出することができる。
【0115】
また、シート状部材112Dの表面112Da側の4個のひずみ受感素子50a,50b,50c,50dと、裏面112Db側の4個のひずみ受感素子50e、50f、50g、50hとの同じ角度位置同士のものの抵抗値の差の値の時系列変化に基づいて、操作面部材11Dのシート状部材112Dにおける操作位置の図7(A)に示した直線移動及び図7(B)に示した回転移動を検出することが可能である。
【0116】
そして、この第2の実施形態においては、外枠基部12には、ひずみ受感素子50a,50b,50c,50d及びひずみ受感素子50e、50f、50g、50hの抵抗変化を検出する回路を含み、上述したような操作入力を検出する操作検出回路と、無線送信回路とを備える信号送出回路20が設けられている。
【0117】
なお、この第2の実施形態においては、外枠の形状は、円形に限られるわけではなく、第1の実施形態と同様に、四角形形状等の多角形形状の構成とすることもできることは言うまでもない。
【0118】
また、この第2の実施形態の操作面部材11Dも、第1の実施形態と同様に枠部材にシート状部材112Dを固着させるようにして、枠部材を、外枠基部12Dと外枠蓋部13Dとにより圧着挟持するように構成してもよい。
【0119】
[第3の実施形態]
この第3の実施形態の操作入力装置は、操作面部材のシート面の弾性変位の検出の仕方が、上述の実施形態とは異なる。
【0120】
図17は、この第3の実施形態の操作入力装置10Eの構成例を説明するための図である。図17の例においては、操作入力装置10Eは、L字型の外枠60を備え、この外枠60に対して、操作面部材11Eが取り付けられている。外枠60は、図示は省略するが、上述の実施形態と同様に、外枠基部と外枠蓋部とから構成されていて、四角形形状の操作面部材11Eの2辺を挟持して固定するように構成される。
【0121】
操作面部材11Eは、シート状部材112Eを枠部材111Eに固着して構成されている。そして、シート状部材112Eの、この例では表面側には、当該シート状部材112Eの凸状の弾性変位を検出するためのマークが形成されている。この例では、シート状部材112Eの表面側には、小丸で示すドットマーク70が格子状にパターン配列されたものが、例えば印刷などにより形成されている。
【0122】
一方、外枠60の、操作面部材11Eのシート状部材112Eの表面側を臨む位置には、当該シート状部材112Eの表面側に形成されているドットマーク70の格子状パターン部分を撮影する撮像素子61及び62が設けられている。この場合に、撮像素子61は、L字型の外枠60の縦方向部分に設けられ、撮像素子62は、外枠60の横方向部分に設けられている。
【0123】
この第3の実施形態においては、撮像素子61および62のそれぞれは、シート状部材112Eのドットマーク70の格子状パターンを撮像して得た撮像画像情報を、図示を省略する信号送出回路の操作検出回路に供給する。操作検出回路は、受け取った撮像画像情報から、シート状部材112Eのドットマーク70の格子状パターンの形状を検出して、シート状部材112Eに対する押下操作入力の方向(表面側からか、裏面側からか)、入力位置、及び印加された外力の大きさを算定するようにする。
【0124】
すなわち、撮像素子61で撮影されて得られる撮像画像は、L字型の外枠60の縦方向部分に直交する方向、すなわち、図17における横方向から見たときのドットマーク70の格子状パターンの撮像画像となる。また、撮像素子61で撮影されて得られる撮像画像は、L字型の外枠60の横方向部分に直交する方向、すなわち、図17における縦方向から見たときのドットマーク70の格子状パターンの撮像画像となる。
【0125】
シート状部材112Eに対して、押下操作入力が無いときには、撮像素子61及び62からの撮像画像から検出されるドットマーク70の格子状パターンは、ほぼ正方形の状態となる。
【0126】
そして、シート状部材112Eの表面側から押下操作入力が印加されたときには、シート状部材112Eは、裏面側に凸となるような弾性変位をする。このとき、撮像素子61からの撮像画像から検出されるドットマーク70の格子状パターンは、図17における横方向に徐々に先細(台形形状)となるように変位する。そして、徐々に先細となる方向が、撮像素子61の位置から、シート状部材112Eに対して押下操作入力が印加されている位置に向かう方向となる。また、徐々に先細となる度合が、シート状部材112Eに対して印加されている力の大きさに応じたものとなる。また、撮像素子62からの撮像画像から検出されるドットマーク70の格子状パターンは、図17における縦方向に徐々に先細(台形形状)となるように変位する。そして、徐々に先細となる方向が、撮像素子62の位置から、シート状部材112Eに対して押下操作入力が印加されている位置に向かう方向となる。また、徐々に先細となる度合が、シート状部材112Eに対して印加されている力の大きさに応じたものとなる。
【0127】
逆に、シート状部材112Eの裏面側から押下操作入力が印加されたときには、シート状部材112Eは、表面側に凸となるような弾性変位をする。このとき、撮像素子61からの撮像画像から検出されるドットマーク70の格子状パターンは、図17における横方向に徐々に広がる(逆台形形状)ように変位する。そして、徐々に広がる方向が、撮像素子61の位置から、シート状部材112Eに対して押下操作入力が印加されている位置に向かう方向となる。また、徐々に広がる度合が、シート状部材112Eに対して印加されている力の大きさに応じたものとなる。また、撮像素子62からの撮像画像から検出されるドットマーク70の格子状パターンは、図17における縦方向に徐々に広がる(逆台形形状)ように変位する。そして、徐々に広がる方向が、撮像素子62の位置から、シート状部材112Eに対して押下操作入力が印加されている位置に向かう方向となる。また、徐々に広がる度合が、シート状部材112Eに対して印加されている力の大きさに応じたものとなる。
【0128】
そして、この第3の実施形態においても、カメラ61および62の撮像画像から検出した操作入力の検出結果の時系列変化に基づいて、操作面部材11Dのシート状部材112Dにおける操作位置の図7(A)に示した直線移動及び図7(B)に示した回転移動を検出することが可能である。
【0129】
以上のことから、この第3の実施形態の操作入力装置10Dにおいても、上述の第1の実施形態と同様の作用効果が得られるものである。
【0130】
なお、操作面部材のシート状部材に付するマークは、格子状パターンに限らず、撮像画像からシート状部材の弾性変位を検出することができるパターン形状に形成されていればよい。
【0131】
また、操作面部材のシート状部材に付するマークは、シート状部材の裏面側に形成し、撮像素子は、その裏面側のマークのパターンを撮像することが可能なように配置されていてもよい。
【0132】
[その他の変形例]
なお、上述の例では、操作検出回路21において、センサの検出出力から、それぞれの操作に応じた情報を生成して、外部に送出するようにしたが、オブジェクト画像を変形処理する情報処理装置側に、操作検出回路21の機能を備えさせることにより、操作入力装置からは、センサの出力を、そのまま情報処理装置に送出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0133】
10,10B,10C,10D…操作入力装置、11…操作面部材、12…外枠基部、13…外枠蓋部、14U,14D,14L,14R…変位検出センサ、17a,18a,17b,18b,17c,18c,17d,18d…接触センサ、111…枠部材、112…シート状部材、20…信号送出回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17