(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
図1〜
図5を参照して、実施形態に係るカラオケシステム1について説明する。
【0015】
==システム==
カラオケシステムは、カラオケ装置の利用者それぞれが所有する携帯端末と、複数のカラオケ装置と、携帯端末及びカラオケ装置と通信可能なサーバ装置とを含む。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、3台の携帯端末M1〜M3、3台のカラオケ装置K1〜K3、一台のサーバ装置Sを含んでいる。携帯端末M1は利用者U1が所有しており、携帯端末M2は利用者U2が所有しており、携帯端末M3は利用者U3が所有している。また、
図1では、店舗L1においてカラオケ装置K1が設置されている部屋内に利用者U1が居り、店舗L2においてカラオケ装置K2が設置されている部屋内に利用者U2が居り、店舗L3においてカラオケ装置K3が設置されている部屋内に利用者U3が居る状況を示している。
【0017】
携帯端末M1〜M3及びカラオケ装置K1〜K3とサーバ装置SとはネットワークNを介して通信可能となっている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線である。
【0018】
なお、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、サーバ装置Sを介して自己の所有する携帯端末とあるカラオケ装置とのペアリングを行うことができる。この際、利用者は、自己の所有する携帯端末及び当該カラオケ装置に対し、同時に音声入力を行う必要がある。
【0019】
==携帯端末==
携帯端末M1〜M3は、一般的なスマートフォン、タブレット端末等である。以下では、携帯端末M1について説明を行うが、他の携帯端末も同様の構成を備える。
【0020】
図2は携帯端末M1のハードウェア構成例を示す図である。携帯端末M1は、記憶部10、通信部11、操作部12、マイク13、表示部14、及び制御部15を備える。
【0021】
記憶部10は、端末識別情報等、携帯端末に関する各種情報を記憶する。端末識別情報は、携帯端末を識別するための情報である。具体的には、SSIDや電話番号等、それぞれの携帯端末固有の情報である。本実施形態において、記憶部10は、少なくとも携帯端末M1を識別するための端末識別情報、及びリモコン用アプリケーションソフトウェア(以下、「リモコン用アプリ」という)を予め記憶している。リモコン用アプリは「所定のアプリケーションソフトウェア」に相当する。
【0022】
リモコン用アプリは、カラオケ装置が有するリモコン装置と同様の操作を携帯端末から可能とするためのソフトウェアである。この操作は、リモコン用アプリを実行している携帯端末と、あるカラオケ装置とをペアリングすることにより行うことができるようになる。ペアリングとは、所定の携帯端末と所定のカラオケ装置とが通信可能となるように、サーバ装置で関連付けを行うことをいう。たとえば、携帯端末M1からの操作信号がカラオケ装置K1で受信可能となるように(携帯端末M1からの操作信号に基づいてカラオケ装置K1の操作が行えるように)、サーバ装置Sで携帯端末M1とカラオケ装置K1との関連付けを行うことである。
【0023】
通信部11は、携帯端末M1とサーバ装置Sとを接続するためのインターフェースを提供する。操作部12は、利用者が各種の操作入力を行うためのボタンやGUIである。マイク13は利用者の音声を携帯端末M1に入力するための構成である。表示部14は、各種の情報を表示させる表示画面を提供する。たとえば、表示部14に表示された所定のアイコンを選択することにより、上述のリモコン用アプリが実行される。
【0024】
制御部15は、携帯端末M1の各種処理を制御する。制御部15はCPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。本実施形態に係る表示制御部15a、録音部15b、日時データ取得部15c及び送信処理部15dは、制御部15のCPUがメモリに記憶されている動作プログラムを実行することにより実現される。動作プログラムは、たとえば、リモコン用アプリにより実行される。
【0025】
[表示制御部]
表示制御部15aは、携帯端末M1における各種表示制御を行う。たとえば、表示制御部15aは、リモコン用アプリのアイコンを表示部14に表示させる。また、表示制御部15aは、リモコン用アプリのアイコンが選択された場合に専用画面を表示部14に表示させる。
【0026】
更に、専用画面に表示されたペアリングアイコンが選択された場合、表示制御部15aは、「カラオケ装置のマイクと本機のマイクから同時に音声を入力して下さい」といったペアリング用のメッセージを表示部14に表示させる。
【0027】
[録音部]
録音部15bは、マイク13から所定レベル以上の音声入力がなされた場合に、音声データの録音を行う。上記所定レベル、及び音声データを録音する録音時間は、それぞれ所定の値が予め設定されていてもよいし、利用者が都度設定してもよい。なお、録音部15bにおける録音時間は、カラオケ装置の録音部21b(後述)における録音時間と同一である。録音部15bで録音された音声データは、「第一の音声データ」に相当する。
【0028】
[日時データ取得部]
日時データ取得部15cは、音声データがマイク13に入力された日時を示す日時データを取得する。日時データは、たとえば、音声データがマイク13に入力された「月、日、時、分」の情報を含む。日時データは「年」や「秒」の情報を含んでいてもよい。日時データ取得部15cで取得された日時データは、「第一の日時データ」に相当する。
【0029】
日時データ取得部15cは、録音部15bにおける録音開始のタイミングや録音終了のタイミングにおける日時を日時データとして取得する。或いは、日時データ取得部15cは、予め設定された録音時間が半分経過したタイミングにおける日時を日時データとして取得してもよい。「録音開始のタイミングにおける日時」、「録音終了のタイミングにおける日時」及び「録音時間が半分経過したタイミングにおける日時」は、いずれも「音声データがマイクに入力された日時」に相当する。
【0030】
[送信処理部]
送信処理部15dは、通信部11を介して、携帯端末を識別するための端末識別情報、マイク13に入力された第一の音声データ、及び第一の音声データが入力された日時を示す第一の日時データを、サーバ装置Sに送信する。通信部11及び送信処理部15dは「第一の送信制御部」に相当する。
【0031】
本実施形態において、録音部15bによる録音が終了した場合、送信処理部15dは、通信部11を介して、記憶部10から読み出した携帯端末M1の端末識別情報m1、録音部15bで録音した音声データv1、及び音声データv1が入力された日時を示す日時データD1をサーバ装置Sに送信する。
【0032】
なお、本実施形態では、録音部15bによる録音が終了した場合に、端末識別情報等を送信する例について述べたがこれに限られない。たとえば、録音が終了した後、専用画面に表示される「送信」アイコンが選択された場合に、端末識別情報等を送信するようにしてもよい。
【0033】
==カラオケ装置==
カラオケ装置は、カラオケ楽曲の演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。以下では、カラオケ装置K1について説明を行うが、他のカラオケ装置も同様の構成を備える。
【0034】
図3に示すように、カラオケ装置K1は、カラオケ本体20、スピーカ30、表示装置40、マイク50、及びリモコン装置60を備える。
【0035】
スピーカ30はカラオケ本体20からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置40はカラオケ本体20からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク50は利用者の音声をカラオケ本体20に入力するための構成である。
図3では一のマイク50のみを示しているが、一のカラオケ装置において複数のマイクが設けられていてもよい。リモコン装置60は、カラオケ本体20に対する各種操作をおこなうための装置である。利用者はリモコン装置60を用いてカラオケ歌唱を希望する楽曲の選曲(予約)等を行うことができる。リモコン装置60の表示画面には各種操作の指示入力を行うためのアイコン等が表示される。なお、本実施形態におけるカラオケシステム1は、たとえば、携帯端末M1がリモコン装置60と同様の各種操作を行うことを可能とする。
【0036】
カラオケ本体20は、選択されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク50を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。
図3に示すように、カラオケ本体20は、制御部21、通信部22、記憶部23、音響処理部24、表示処理部25及び操作部26を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0037】
(制御部)
制御部21は、カラオケ装置K1の各種処理を制御する。制御部21は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。本実施形態に係る表示制御部21a、録音部21b、日時データ取得部21c、及び送信処理部21dは、制御部21のCPUがメモリに記憶されている動作プログラムを実行することにより実現される。
【0038】
[表示制御部]
表示制御部21aは、表示処理部25を制御し、カラオケ装置K1における各種表示制御を行う。
【0039】
たとえば、表示制御部21aは、リモコン装置60の表示画面にペアリング用のアイコンを表示させる。また、表示制御部21aは、ペアリング用のアイコンが選択された場合、「カラオケ装置のマイクと携帯端末のマイクから同時に音声を入力して下さい」といったペアリング用のメッセージを表示装置40に表示させる。なお、ペアリング用のアイコンが選択された時点(当該アイコンの選択によりリモコン装置60からペアリングコマンド)において、カラオケ装置K1でカラオケ歌唱が行われている場合、表示装置40には歌詞テロップ等が表示されているため、上記メッセージを表示させることができない。この場合、表示制御部21aは、当該カラオケ歌唱が終了した後、当該メッセージを表示させる。
【0040】
[録音部]
録音部21bは、マイク50から所定レベル以上の音声入力がなされた場合に、音声データの録音を行う。上記所定レベル、及び音声データを録音する録音時間は、それぞれ所定の値が予め設定されていてもよいし、利用者が都度設定してもよい。なお、録音部21bにおける録音時間は、携帯端末の録音部15bにおける録音時間と同一である。録音部21bで録音された音声データは、「第二の音声データ」に相当する。
【0041】
[日時データ取得部]
日時データ取得部21cは、音声データがマイク50に入力された日時を示す日時データを取得する。日時データは、上述の携帯端末で取得される日時データと同じ情報を含む。また、日時データの取得は、上述の携帯端末と同様のタイミングで行われる。日時データ取得部21cで取得された日時データは、「第二の日時データ」に相当する。
【0042】
[送信処理部]
送信処理部21dは、通信部22を介して、カラオケ装置を識別するための装置識別情報、マイク50に入力された第二の音声データ、及び第二の音声データが入力された日時を示す第二の日時データを、サーバ装置Sに送信する。通信部22及び送信処理部21dは「第二の送信制御部」に相当する。
【0043】
本実施形態において、録音部21bによる録音が終了した場合、送信処理部21dは、通信部22を介して、記憶部23から読み出したカラオケ装置K1の装置識別情報KD1、録音部21bで録音した音声データv´1、及び音声データv´1が入力された日時を示す日時データD´1をサーバ装置Sに送信する。装置識別情報は、記憶部23に記憶されている。装置識別情報は、カラオケ装置を識別するための情報である。具体的には、専用のIDや番号等、それぞれのカラオケ装置固有の情報である。
【0044】
なお、本実施形態では、録音部21bによる録音が終了した場合に、装置識別情報等を送信する例について述べたがこれに限られない。たとえば、録音が終了した後、リモコン装置60に表示される「送信」アイコンが選択された場合に、装置識別情報等を送信するようにしてもよい。
【0045】
(通信部)
通信部22は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体20を通信回線に接続するためのインターフェースを提供する。
【0046】
(記憶部)
記憶部23は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶部23は、カラオケ装置K1によりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを記憶する。
【0047】
(音響処理部、表示処理部、操作部)
音響処理部24は、制御部21の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイク50を通じて入力された歌唱音声信号の処理を行う。表示処理部25は、制御部21の制御に基づき、表示装置40やリモコン装置60における各種表示に関する処理を行う。操作部26は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、歌唱者によるカラオケ装置K1のパネルスイッチあるいはリモコン装置60の操作に応じて選曲信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部21に対して出力する。制御部21は、操作部26からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0048】
==サーバ装置==
サーバ装置Sは、カラオケ装置に関する各種情報を管理したり、カラオケ装置や携帯端末から送信される情報処理を行うコンピュータである。
図4はサーバ装置Sのハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置Sは、記憶部70、通信部80及び制御部90を備える。
【0049】
(記憶部)
記憶部70は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶部70は、たとえば、カラオケ装置によりカラオケ演奏を行うための楽曲データ、歌詞テロップデータ、及び背景画像データ等を記憶する。各楽曲に対しては、固有の識別子(楽曲ID)が付与されている。サーバ装置Sから各カラオケ装置に対して楽曲データ等を配信することにより、各カラオケ装置において対応する楽曲のカラオケ演奏が可能となる。
【0050】
本実施形態において、記憶部70の記憶領域の一部は、第一の記憶部70a及び第二の記憶部70bとして提供される。
【0051】
[第一の記憶部]
第一の記憶部70aは、携帯端末から送信された、端末識別情報、第一の音声データ及び第一の日時データを記憶する。
【0052】
本実施形態において、ある携帯端末をあるカラオケ装置とペアリングするためには、携帯端末で入力された利用者の音声データ、当該利用者の携帯端末を識別するための端末識別情報、及び当該音声データが入力された日時を示す日時データが必要となる。第一の記憶部70aは、携帯端末から送信されたそれらの情報を一時的に記憶しておくことができる。
【0053】
この例において、第一の記憶部70aは、携帯端末M1から送信された、端末識別情報m1、利用者U1の音声に基づく音声データv1、及び日時データD1と、携帯端末M2から送信された端末識別情報m2、利用者U2の音声に基づく音声データv2、及び日時データD2と、携帯端末M3から送信された、端末識別情報m3、利用者U3の音声に基づく音声データv3、及び日時データD3とを記憶しているとする。
【0054】
[第二の記憶部]
第二の記憶部70bは、カラオケ装置から送信された、装置識別情報、第二の音声データ及び第二の日時データを記憶する。
【0055】
本実施形態において、あるカラオケ装置をある携帯端末とペアリングするためには、カラオケ装置で入力された利用者の音声データ、当該利用者が音声入力で使用したカラオケ装置を識別するための装置識別情報、及び当該音声データが入力された日時を示す日時データが必要となる。第二の記憶部70bは、カラオケ装置から送信されたそれらの情報を一時的に記憶しておくことができる。
【0056】
この例において、第二の記憶部70bは、カラオケ装置K1から送信された、装置識別情報KD1、利用者U1の音声に基づく音声データv´1、及び日時データD´1と、カラオケ装置K2から送信された装置識別情報KD2、利用者U2の音声に基づく音声データv´2、及び日時データD´2と、カラオケ装置K3から送信された、装置識別情報KD3、利用者U3の音声に基づく音声データv´3、及び日時データD´3とを記憶しているとする。
【0057】
また、音声データv1と音声データv´1、音声データv2と音声データv´2、音声データv3と音声データv´3は、それぞれ携帯端末及びカラオケ装置から同時に入力された音声に基づくものとする。
【0058】
(通信部)
通信部80は、サーバ装置Sと、各携帯端末または各カラオケ装置とを接続するためのインターフェースを提供する。
【0059】
(制御部)
制御部90は、サーバ装置Sにおける各種の制御を行う。制御部90はCPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。本実施形態に係る端末側受信部90a、カラオケ装置側受信部90b、日時データ特定部90c、声紋抽出部90d、声紋データ特定部90e、及びペアリング処理部90fは、制御部90のCPUがメモリに記憶されている動作プログラムを実行することにより実現される。
【0060】
[端末側受信部]
端末側受信部90aは、通信部80を介し、携帯端末から送信された、端末識別情報、第一の音声データ及び第一の日時データを受信する。端末側受信部90aは、受信した情報等を第一の記憶部70aに出力する。
【0061】
[カラオケ装置側受信部]
カラオケ装置側受信部90bは、通信部80を介し、カラオケ装置から送信された、装置識別情報、第二の音声データ及び第二の日時データを受信する。カラオケ装置側受信部90bは、受信した情報等を第二の記憶部70bに出力する。
【0062】
[日時データ特定部]
日時データ特定部90cは、ある第一の日時データと一致または類似する日時を示す第二の日時データを特定する。
【0063】
ある携帯端末で取得された日時データとあるカラオケ装置で取得された日時データが一致または類似する場合、当該日時データに関連付けられている音声データは同一の利用者のものである可能性が高い。そこで、本実施形態に係るカラオケシステム1において、カラオケ装置と携帯端末のペアリングを行う場合、まず日時データを用いてペアリングを行うカラオケ装置の絞り込みを行う。
【0064】
たとえば、日時データ特定部90cは、ある第一の日時データとして第一の記憶部70aに記憶されている日時データD1を選択したとする。この場合、日時データ特定部90cは、日時データD1と一致または類似する日時を示す第二の日時データを第二の記憶部70bの中から検索する。この例では、日時データD1と一致または類似する日時を示すデータとして、日時データD´1及び日時データD´2が検索されたとする。
【0065】
この場合、日時データ特定部90cは、検索された日時データD´1及び日時データD´2を、第二の日時データとして特定する。
【0066】
[声紋抽出部]
声紋抽出部90dは、ある第一の日時データに関連付けられている第一の音声データに基づく第一の声紋データを抽出し、且つ特定された第二の日時データに関連付けられている第二の音声データに基づく第二の声紋データを抽出する。音声データから声紋データを抽出する方法については、公知の手法を用いることができる。
【0067】
たとえば、上記例において、声紋抽出部90dは、日時データD1に関連付けられている音声データv1を第一の記憶部70aから読み出し、音声データv1から声紋データV1を抽出する。声紋データV1は、「第一の声紋データ」に相当する。
【0068】
また、声紋抽出部90dは、特定された日時データD´1に関連付けられている音声データv´1に基づく声紋データV´1を抽出し、且つ特定された日時データD´2に関連付けられている音声データv´2に基づく声紋データV´2を抽出する。声紋データV´1及び声紋データV´2は、「第二の声紋データ」に相当する。
【0069】
[声紋データ特定部]
声紋データ特定部90eは、第一の声紋データと第二の声紋データを比較し、第一の声紋データに一致または類似する第二の声紋データを特定する。
【0070】
同じ(或いは近い)日時に複数の携帯端末及び複数のカラオケ装置から音声入力がなされる場合がありうる。そこで、本実施形態に係るカラオケシステム1は、声紋データを用いて、日時データにより絞り込みを行ったカラオケ装置の中からペアリングを行う一のカラオケ装置を特定する。
【0071】
上記例において、声紋データ特定部90eは、声紋抽出部90dで抽出された声紋データV1、声紋データV´1及び声紋データV´2を比較し、声紋データV1と一致または類似する声紋データを声紋データV´1、V´2の中から特定する。この例では、声紋データV1と声紋データV´1は同じ利用者U1の音声データに基づくものである。従って、声紋データ特定部90eは、声紋データV1と一致する声紋データとして声紋データV´1を特定することができる。
【0072】
[ペアリング処理部]
ペアリング処理部90fは、第一の声紋データに対応する第一の音声データを送信した携帯端末の端末識別情報と、特定された第二の声紋データに対応する第二の音声データを送信したカラオケ装置の装置識別情報とを関連付ける。
【0073】
上記例において、ペアリング処理部90fは、声紋データ特定部90eで特定された声紋データV1に対応する音声データv1を送信した携帯端末M1の端末識別情報m1と、特定された声紋データV´1に対応する音声データv´1を送信したカラオケ装置K1の装置識別情報KD1とを関連付ける。このような処理により、携帯端末M1とカラオケ装置K1とのペアリングがなされる。ペアリング処理部90fにより関連付けられた端末識別情報m1と装置識別情報KD1は、たとえば、記憶部70のペアリングテーブルに記憶される。
【0074】
ペアリングがなされた後、携帯端末M1からカラオケ装置K1に対する各種操作が可能となる。たとえば、携帯端末M1で楽曲Bの予約操作が行われたとする。携帯端末M1は、端末識別情報m1と楽曲Bの楽曲IDをサーバ装置Sに送信する。端末識別情報及び楽曲IDを受信した場合、サーバ装置Sは、記憶部70に記憶されているペアリングテーブルを参照し、受信した端末識別情報m1に関連付けられている装置識別情報KD1に対応するカラオケ装置K1に対し、受信した楽曲IDを転送する。カラオケ装置K1は、サーバ装置Sから受信した楽曲IDを予約待ち行列に登録する。
【0075】
なお、ペアリング処理部90fは、ペアリングテーブルへの記憶が完了した場合、ペアリングしたカラオケ装置(上記例であればカラオケ装置K1)に対してペアリングが成功した旨の確認信号を送信する。当該確認信号を受信したカラオケ装置の表示制御部21aは、表示装置40に表示していたペアリング用のメッセージを消去し、新たにペアリング成功のメッセージ(たとえば「ペアリングが成功しました。携帯端末M1から楽曲の予約ができます」)を表示させることも可能である。一方、音声入力から一定時間経過した後であっても上記確認信号を受信できない場合、表示制御部21aは、再度音声入力を行う旨のメッセージを表示装置40に表示させることも可能である。
【0076】
一方、ペアリングテーブルへの記憶が完了した場合、ペアリング処理部90fは、ペアリングを行った携帯端末及びカラオケ装置に関する情報を第一の記憶部70a及び第二の記憶部70bから削除することも可能である。或いは、ペアリング処理部90fは、第一の記憶部70a及び第二の記憶部70bに記憶されている情報のうち、一定時間経過した後もペアリングがなされないものについて削除することも可能である。
【0077】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、
図5を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理の具体例について述べる。
図5は、カラオケシステム1における処理例を示すフローチャートである。この例では、
図1に示した携帯端末M1とカラオケ装置K1とをペアリングする場合の例について述べる。この例において、利用者U1は、携帯端末M1及びカラオケ装置K1において同時に音声入力を行う。また、携帯端末M1及びカラオケ装置K1においてペアリングの指示(アイコンの選択等)がなされているとする。
【0078】
利用者U1は、カラオケ装置K1とのペアリングのため、携帯端末M1のマイク13から音声入力を行う。
【0079】
携帯端末M1の録音部15bは、利用者U1の音声データv1を録音する(第一の音声データの録音。ステップ10)。また、携帯端末M1の日時データ取得部15cは、音声データv1が入力された日時を示す日時データD1を取得する(第一の日時データの取得。ステップ11)。
【0080】
S10及びS11の後、送信処理部15dは、通信部12を介して、記憶部10から読み出した携帯端末M1の端末識別情報m1、S10で録音された音声データv1、及びS11で取得された日時データD1をサーバ装置Sに送信する(端末識別情報、第一の音声データ、第一の日時データの送信。ステップ12)。なお、携帯端末M2及びM3においてもS10〜S12の処理が実行されているものとする。
【0081】
一方、利用者U1は、携帯端末M1とのペアリングのため、カラオケ装置K1のマイク50から音声入力を行う。
【0082】
カラオケ装置K1の録音部21bは、利用者U1の音声データv´1を録音する(第二の音声データの録音。ステップ13)。また、カラオケ装置K1の日時データ取得部21cは、音声データv´1が入力された日時を示す日時データD´1を取得する(第二の日時データの取得。ステップ14)。
【0083】
S13及びS14の後、送信処理部21dは、通信部22を介して、記憶部21から読み出したカラオケ装置K1の装置識別情報KD1、S13で録音された音声データv´1、及びS14で取得された日時データD´1をサーバ装置Sに送信する(装置識別情報、第二の音声データ、第二の日時データの送信。ステップ15)。なお、カラオケ装置K2及びK3においてもS13〜S15の処理が実行されているものとする。
【0084】
端末側受信部90aは、通信部80を介し、携帯端末M1から送信された、端末識別情報等を受信する。第一の記憶部70aは、当該端末識別情報等を記憶する。一方、カラオケ装置側受信部90bは、通信部80を介し、カラオケ装置K1から送信された、装置識別情報等を受信する。第二の記憶部70bは、当該装置識別情報等を記憶する(情報等の記憶。ステップ16)。なお、第一の記憶部70aは、携帯端末M2及びM3から送信された同様の情報を記憶し、第二の記憶部70bは、カラオケ装置K2及びカラオケ装置K3から送信された同様の情報を記憶しているものとする。
【0085】
日時データ特定部90cは、ステップ16で記憶した日時データD1と一致または類似する日時を示す日時データを特定する(日時データの特定。ステップ17)。この例では、日時データD´1及び日時データD´2(カラオケ装置K2から送信されたデータ)が特定されたとする。
【0086】
声紋抽出部90dは、日付データD1に関連付けられている音声データv1に基づく声紋データV1、ステップ17で特定した日時データに関連付けられている音声データに基づく声紋データを抽出する(声紋データの抽出。ステップ18)。この例では、日時データD´1に関連付けられている音声データv´1に基づく声紋データV´1、及び日時データD´2に関連付けられている音声データv´2に基づく声紋データV´2が抽出されたとする。
【0087】
声紋データ特定部90eは、ステップ18で得られた声紋データを比較し、声紋データV1に一致または類似する声紋データV´1を特定する(声紋データの特定。ステップ19)。
【0088】
ペアリング処理部90fは、声紋データV1に対応する音声データv1を送信した携帯端末M1の端末識別情報m1と、ステップ19で特定された声紋データV´1に対応する第二の音声データv´1を送信したカラオケ装置K1の装置識別情報KD1とを関連付ける(ペアリング。ステップ20)。
【0089】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、携帯端末は、当該携帯端末を識別するための端末識別情報、マイク13に入力された音声信号に基づく第一の音声データ、及び第一の音声データが入力された日時を示す第一の日時データを、サーバ装置Sに送信する。また、カラオケ装置は、当該カラオケ装置を識別するための装置識別情報、マイク50に入力された音声信号に基づく第二の音声データ、及び第二の音声データが入力された日時を示す第二の日時データを、サーバ装置Sに送信する。
【0090】
一方、サーバ装置Sは、ある第一の日時データと一致または類似する日時を示す第二の日時データを特定し、ある第一の日時データに関連付けられている第一の音声データに基づく第一の声紋データを抽出し、且つ特定された第二の日時データに関連付けられている第二の音声データに基づく第二の声紋データを抽出する。そして、サーバ装置Sは、第一の声紋データと第二の声紋データを比較し、第一の声紋データに一致または類似する第二の声紋データを特定し、第一の声紋データに対応する第一の音声データを送信した携帯端末の端末識別情報と、特定された第二の声紋データに対応する第二の音声データを送信したカラオケ装置の装置識別情報とを関連付ける。
【0091】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、携帯端末及びカラオケ装置が備えるマイクを利用してペアリングの対象となる対象を特定することができる。従って、カラオケ装置からペアリング用の信号等を提供する必要が無いため、ペアリングを容易に行うことができる。また、一の声紋データに対し、類似する声紋データが存在する可能性がある。一方、本実施形態に係るカラオケシステム1は、声紋データの特定にあたり、声紋データだけでなく、声紋データの元となる音声データを取得した日時データを用いる。このように、複数の情報を用いてペアリングを行うことにより、類似する声紋データを特定する可能性を低減できるため、ペアリング対象となる装置を確実に特定できる。
【0092】
すなわち、本実施形態に係るカラオケシステムによれば、携帯端末とカラオケ装置とのペアリングを容易且つ正確に行うことができる。
【0093】
<変形例>
上記実施形態では、携帯端末で取得した日時データに基づいてカラオケ装置で入力された音声データ(当該音声データに基づく声紋データ)を特定する例について述べた。一方、カラオケ装置で取得した日時データに基づいて携帯端末で入力された音声データ(当該音声データに基づく声紋データ)を特定することも可能である。以下、このような場合の各構成における処理について説明する。
【0094】
[日時データ特定部]
日時データ特定部90cは、ある第二の日時データと一致または類似する日時を示す第一の日時データを特定する。
【0095】
本変形例に係るカラオケシステム1において、カラオケ装置と携帯端末のペアリングを行う場合、まず日時データを用いてペアリングを行う携帯端末の絞り込みを行う。
【0096】
たとえば、日時データ特定部90cは、ある第二の日時データとして第二の記憶部70bに記憶されている日時データD´1を選択したとする。この場合、日時データ特定部90cは、日時データD´1と一致または類似する日時を示す第一の日時データを第一の記憶部70aの中から検索する。この例では、日時データD´1と一致または類似する日時を示すデータとして、日時データD1及び日時データD2が検索されたとする。
【0097】
この場合、日時データ特定部90cは、検索された日時データD1及び日時データD2を、第一の日時データとして特定する。
【0098】
[声紋抽出部]
声紋抽出部90dは、ある第二の日時データに関連付けられている第二の音声データに基づく第二の声紋データを抽出し、且つ特定された第一の日時データに関連付けられている第一の音声データに基づく第一の声紋データを抽出する。
【0099】
たとえば、上記例において、声紋抽出部90dは、日時データD´1に関連付けられている音声データv´1を第二の記憶部70bから読み出し、音声データv´1から声紋データV´1を抽出する。声紋データV´1は、「第二の声紋データ」に相当する。
【0100】
また、声紋抽出部90dは、特定された日時データD1に関連付けられている音声データv1に基づく声紋データV1を抽出し、且つ特定された日時データD2に関連付けられている音声データv2に基づく声紋データV2を抽出する。声紋データV1及び声紋データV2は、「第一の声紋データ」に相当する。
【0101】
[声紋データ特定部]
声紋データ特定部90eは、第一の声紋データと第二の声紋データを比較し、第二の声紋データに一致または類似する第一の声紋データを特定する。
【0102】
本実施形態に係るカラオケシステム1は、声紋データを用いて、日時データにより絞り込みを行った携帯端末の中からペアリングを行う一の携帯端末を特定する。
【0103】
上記例において、声紋データ特定部90eは、声紋抽出部90dで抽出された声紋データV´1、声紋データV1及び声紋データV2を比較し、声紋データV´1と一致または類似する声紋データを声紋データV1、V2の中から特定する。この例では、声紋データV1と声紋データV´1は同じ利用者U1の音声に基づくものである。従って、声紋データ特定部90eは、声紋データV´1と一致する声紋データとして声紋データV1を特定することができる。
【0104】
[ペアリング処理部]
ペアリング処理部90fは、特定された第一の声紋データに対応する第一の音声データを送信した携帯端末の端末識別情報と、第二の声紋データに対応する第二の音声データを送信したカラオケ装置の装置識別情報とを関連付ける。
【0105】
上記例において、ペアリング処理部90fは、声紋データ特定部90eで特定された声紋データV1に対応する音声データv1を送信した携帯端末M1の端末識別情報m1と、声紋データV´1に対応する音声データv´1を送信したカラオケ装置K1の装置識別情報KD1とを関連付ける。このような処理により、携帯端末M1とカラオケ装置K1とのペアリングがなされる。
【0106】
<その他>
上記実形態では、声紋抽出部90cがサーバ装置S側にある例について説明した。一方、各携帯端末及び各カラオケ装置が声紋抽出部を有する構成であってもよい。この場合、送信処理部14bは、抽出された声紋データ、端末識別情報及び日時データ(第一の日時データ)をサーバ装置Sに送信する。また、送信処理部21bは、抽出された声紋データ、装置識別情報、及び日時データ(第二の日時データ)をサーバ装置Sに送信する。
【0107】
また、上記実施形態では、各携帯端末側及びカラオケ装置側で日時データを取得する例について説明した。一方、サーバ装置Sで日時データを取得してもよい。この場合、送信処理部14bは、第一の音声データ、及び端末識別情報をサーバ装置Sに送信する。また、送信処理部21bは、第二の音声データ、及び装置識別情報をサーバ装置Sに送信する。サーバ装置Sは、第一の音声データ(第二の音声データ)を受信した時点での日時を第一の日時データ(第二の日時データ)として取得する。サーバ装置Sは、取得した日時データを音声データ及び識別情報と関連付けて端末側記憶部70a(カラオケ装置側記憶部70b)に記憶させる。
【0108】
また、上記例では、音声データに基づく声紋データ同士を比較する例について説明した。一方、声紋データと併せて音声データに基づく文字列同士の比較を行うことでペアリングの精度をより高めることが可能となる。この場合、サーバ装置Sは、音声データに含まれる文字列を抽出する文字列抽出部を備える。音声データからの文字列の抽出は、呼応値の音声認識手法を用いることができる。たとえば、文字列抽出部は、ある第一の日時データに関連付けられている第一の音声データに基づく第一の文字列を抽出し、且つ特定された第二の音声データに基づく第二の声紋データを抽出する。
【0109】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。