特許第6796495号(P6796495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796495
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】空気圧ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/18 20060101AFI20201130BHJP
   B60T 13/68 20060101ALI20201130BHJP
   B60T 13/36 20060101ALI20201130BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B60T17/18
   B60T13/68
   B60T13/36
   B60T8/17 B
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-3927(P2017-3927)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-111437(P2018-111437A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106781
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】田中 克典
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐介
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−013854(JP,A)
【文献】 特開2007−203899(JP,A)
【文献】 特表平09−505251(JP,A)
【文献】 特開2012−011984(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/101757(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00−17/22
B60T 7/12−8/1769
B60T 13/00−13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気供給源からの空気を、車両のサービスブレーキを作動及び解除するブレーキ機構に対して供給及び排出する空気圧ブレーキシステムにおいて、
通常時前記ブレーキ機構に対する空気の供給及び排出を行うモジュールと、
前記ブレーキ機構毎に設けられ前記ブレーキ機構に対する空気の供給及び排出を行う保安モジュールとを備え、
前記モジュールが作動しない場合に、前記モジュールに代わって前記保安モジュールによって前記ブレーキ機構に対する空気の供給及び排出を行う
ことを特徴とする空気圧ブレーキシステム。
【請求項2】
前記モジュールから前記ブレーキ機構への空気の供給及び前記保安モジュールから前記ブレーキ機構への空気の供給を切り替える切替部をさらに備える
請求項1に記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項3】
前記モジュールは、第1ブレーキ制御装置によって制御され
前記保安モジュールは、第2ブレーキ制御装置によって制御される
請求項1又は2に記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項4】
前記空気供給源及び前記モジュールを含む供給系統とは異なる供給系統で、前記空気供給源から供給された空気を、空気圧信号として複数の前記保安モジュールに分配する空気供給部を備える
請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項5】
前記保安モジュールは車輪毎に設けられ、前記保安モジュールの各々には1つの前記空気供給部が接続されている
請求項に記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項6】
前記空気供給部は、前記空気供給源から供給された空気を空気圧信号として供給する電磁制御弁と、当該空気圧信号の有無に応じて、複数の前記保安モジュールに対し前記空気
供給源に貯留された空気を分配する第1のリレーバルブとを備える
請求項又はに記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項7】
前記電磁制御弁は、非通電時に前記空気供給源から供給された空気を前記第1のリレーバルブに供給する
請求項に記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項8】
前記空気供給部は、パーキングブレーキが解除されたときに前記ブレーキ機構側から空気を空気圧信号として入力する空気圧制御弁を備え、
前記空気圧制御弁は、当該空気圧信号を入力したときに前記第1のリレーバルブに空気を供給する接続位置となり、当該空気圧信号を入力しないときに前記第1のリレーバルブへの空気の供給を停止する位置となる
請求項又はに記載の空気圧ブレーキシステム。
【請求項9】
前記保安モジュールは第2ブレーキ制御装置によって制御される保安用電磁制御弁と、前記第1のリレーバルブ側と前記保安用電磁制御弁側とのうち圧力が高い側からの空気の流れを許容するシャトル弁と、当該シャトル弁側から供給された空気を空気圧信号として入力したときに前記空気供給源に貯留された空気を前記ブレーキ機構側に供給する第2のリレーバルブとを備える
請求項のいずれか1項に記載の空気圧ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を用いてブレーキを作動させる空気圧ブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の車両が隊列を編成して走行する隊列走行を実現するためのシステムの研究開発が進められている。隊列を編成する各車両は互いに通信をしながら、所定の車間距離を保つように走行する。特に物流分野においては、運転者が運転する先頭車両と、無人又は監視者が乗車する後続車両とによる隊列走行のためのシステムが提案されている。後続車両では、先頭車両の挙動に追従して車両制御が行われる。例えばブレーキ制御では、先頭車両がブレーキを作動させたときに、後続車両が追従してブレーキを作動させる。当該分野で用いられるトラック等の貨物車両においては、圧縮空気を用いてブレーキを作動させる空気圧ブレーキシステムが搭載されている。
【0003】
ところで、後続車両は無人運転又は監視者により車両挙動が監視される自動運転であるがゆえに、その空気圧ブレーキシステムに異常が生じた場合に運転者による操作を見込むことができない。したがって、隊列走行を行う車両の空気圧ブレーキシステムには、空気圧ブレーキシステムの異常にも対処できるように、保安性が要請されている。例えば、特許文献1ではブレーキシステムを多重化した隊列走行制御システムが提案されている。このシステムは、常用ブレーキアクチュエータと、非常ブレーキアクチュエータと、保安ブレーキアクチュエータとを備えている。常用ブレーキアクチュエータは、常用ブレーキを駆動するための装置である。非常ブレーキアクチュエータは、常用ブレーキアクチュエータが故障した場合に用いられるか、又は車両を緊急停止させる際に常用ブレーキアクチュエータとともに使用される。保安ブレーキアクチュエータは、常用ブレーキアクチュエータ及び非常ブレーキアクチュエータとは別系統のアクチュエータとして設けられ、常用ブレーキアクチュエータ及び非常ブレーキアクチュエータが故障した場合に保安ブレーキを駆動するための装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−233965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したシステムでは、非常ブレーキアクチュエータ等を車両にどのように実装させるかまでは想定されていない。
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、空気圧ブレーキシステムの保安性をさらに高めることのできる空気圧ブレーキシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する空気圧ブレーキシステムは、空気供給源からの空気を、車両のサービスブレーキを作動及び解除するブレーキ機構に対して供給及び排出する空気圧ブレーキシステムにおいて、通常時に第1ブレーキ制御装置によって制御されるモジュールが作動しない場合に、第2ブレーキ制御装置によって制御されて前記ブレーキ機構に対する空気の供給及び排出を行う保安モジュールを複数備える。
【0007】
上記構成によれば、空気圧ブレーキシステムは、第1ブレーキ制御装置によって制御されるモジュールが作動しない場合に、作動する保安モジュールを複数備える。このため、保安モジュールが単数である場合に比べ、少なくともいずれかの保安モジュールに異常が発生した場合にも他の保安モジュールによってブレーキがかかるため、空気圧ブレーキシステムの保安性をさらに高めることができる。
【0008】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記空気供給源及び前記モジュールを含む供給系統とは異なる供給系統で、前記空気供給源から供給された空気を、空気圧信号として前記複数の保安モジュール分配する空気供給部を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、空気供給部によって、第1ブレーキ制御装置によって制御されるモジュールとは異なる供給系統で複数の保安モジュールに空気を分配することができる。このため、モジュールが含まれる供給系統に異常があっても、強制的にブレーキを作動させることができる。
【0010】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記保安モジュールは車輪毎に設けられ、前記保安モジュールの各々には1つの前記空気供給部が接続されていることが好ましい。
上記構成によれば、複数の保安モジュールに対して空気供給部は1つ設けられる。このため、保安モジュール毎に空気圧信号を供給する空気供給部を設ける場合に比べて部品点数を低減することができる。
【0011】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記空気供給部は、前記空気供給源から供給された空気を空気圧信号として供給する電磁制御弁と、当該空気圧信号の有無に応じて、前記複数の保安モジュールに対し前記空気供給源に貯留された空気を分配する第1のリレーバルブとを備えることが好ましい。
【0012】
空気供給部は、複数の保安モジュールに対し、空気圧信号として空気を分配するため、多量の空気を供給する必要がある。上記構成によれば、空気供給部は、空気圧信号である少量の空気によって制御され、空気圧信号よりも多量の空気を供給するリレーバルブを備える。このため、空気供給源に貯留された多量の空気を複数の保安モジュールに短い時間で分配することができる。
【0013】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記電磁制御弁は、非通電時に前記空気供給源から供給された空気を前記第1のリレーバルブに供給することが好ましい。
上記構成によれば、電磁制御弁は非通電時に空気圧信号を第1のリレーバルブに出力するので、電磁制御弁を制御する制御装置に異常が発生した場合に、サービスブレーキを作動させるべく、空気圧信号を第1のリレーバルブに出力できる。このため、空気圧ブレーキシステムの保安性を高めることができる。
【0014】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記空気供給部は、パーキングブレーキが解除されたときに前記ブレーキ機構側から空気を空気圧信号として入力する空気圧制御弁を備え、前記空気圧制御弁は、当該空気圧信号を入力したときに前記第1のリレーバルブに空気を供給する接続位置となり、当該空気圧信号を入力しないときに前記第1のリレーバルブへの空気の供給を停止する位置となることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、空気圧制御弁は、パーキングブレーキが解除されたときに第1のリレーバルブに空気を供給するため、パーキングブレーキが解除されたときにのみ、空気圧制御弁、第1のリレーバルブを介して、ブレーキ機構側に空気を供給し、保安用のサービスブレーキを作動させることができる。
【0016】
上記空気圧ブレーキシステムについて、前記保安モジュールは、前記第2のブレーキ制御装置によって制御される保安用電磁制御弁と、前記第1のリレーバルブ側と前記保安用電磁制御弁側とのうち圧力が高い側からの空気の流れを許容するシャトル弁と、当該シャトル弁側から供給された空気を空気圧信号として入力したときに前記空気供給源に貯留された空気を前記ブレーキ機構側に供給する第2のリレーバルブとを備えることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、第2のリレーバルブは、空気圧信号である少量の空気が供給された際に、空気供給源に貯留された多量の空気をブレーキ機構側に供給することができる。したがって、第2のリレーバルブに空気圧信号の出力を開始してからサービスブレーキが作動するまでの作動時間を短縮化することができる。また、強制ブレーキ接続路及び保安用電磁制御弁のうち圧力が高い方から、シャトル弁を介して、第2のリレーバルブに空気圧信号を供給できる。すなわち、空気供給部からブレーキ機構へ空気を供給する系統と、保安用電磁制御弁からブレーキ機構へ空気を供給する系統との両方で第2のリレーバルブを共有できるので、部品点数を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気圧ブレーキシステムの保安性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】空気圧ブレーキシステムの一実施形態について、当該空気圧ブレーキシステムが搭載された車両であって隊列を編成する各車両の模式図。
図2】同実施形態の空気圧ブレーキシステムのECUの接続状態を示す模式図。
図3】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの全体構成を示す概略図。
図4】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの一部を詳細に示す空圧回路であって、パーキングブレーキが作動した状態を示す回路図。
図5】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの空気圧回路であって、減速走行モードで減速した状態を示す回路図。
図6】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの空気圧回路であって、減速走行モードで減速していない状態を示す回路図。
図7】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの空気圧回路であって、強制ブレーキモードの状態を示す回路図。
図8】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの空気圧回路であって、再走行モードの状態を示す回路図。
図9】同実施形態の空気圧ブレーキシステムの空気圧回路であって、再走行モードで有人運転を行う状態を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、空気圧ブレーキシステムを、隊列走行を行う車両に適用した一実施形態について説明する。
図1を参照して、隊列走行について説明する。ここでは隊列を編成する車両100は、貨物車両であって、荷台が一体に設けられたトラックである。隊列は、所定の区間を走行する際に編成され、先頭車両100aと、先頭車両100aよりも後方を走行する後続車両100bとから編成される。先頭車両100aは、運転者により運転される(有人運転)。後続車両100bは、無人で自動運転が行われるか(無人運転)、又は監視者が乗車した自動運転が行われる。監視者は、車両挙動を監視するのみであって、基本的に運転は行わない。隊列を編成する車両100は、その後方を走行する車両100に対し、速度等の情報を、例えば数ミリ秒〜数十ミリ秒毎に送信する。車両100は、受信した速度等の情報に基づき、前方の車両100との車間距離が所定の距離となるように加速又は減速する。また、後続車両100bは、隊列走行を行う所定の区間以外の道路を走行する場合等、必要に応じて運転者により運転されることがある。なお、図1では、3台の車両100によって隊列を編成したが、隊列を編成する車両台数は3台以外の複数台であってもよい。
【0021】
図2及び図3を参照して、車両100の隊列走行制御システム10の構成について説明する。なお、先頭車両100aと後続車両100bとは、同じ隊列走行制御システム10を搭載しているものとする。
【0022】
図2に示すように、隊列走行制御システム10は、隊列走行のための各種制御を行う隊列走行ECU(電子制御装置:Electronic Control Unit)11を含む。隊列走行ECU11は、第1隊列走行ECU11Aと、第2隊列走行ECU11Bとによって2重化されている。例えば、第1隊列走行ECU11Aに異常が発生しても、第2隊列走行ECU11Bが、車両100の制御を行う。なお、第1隊列走行ECU11A及び第2隊列走行ECU11Bを区別しないで説明する場合には、単に隊列走行ECU11として説明する。
【0023】
また、隊列走行制御システム10は、第1ブレーキ制御装置としての第1ブレーキECU15A及び第2ブレーキ制御装置としての第2ブレーキECU15Bを含む。第1ブレーキECU15Aは、第2ブレーキECU15Bよりも優先順位が高いECUであって、自身に異常のない通常時において空気圧ブレーキシステムを制御してブレーキの作動及び解除を行う。空気圧ブレーキシステムは、空気圧によってブレーキ力を可変とするサービスブレーキ(常用ブレーキ、フットブレーキ)と、スプリングの付勢力によって車輪に所定のブレーキ力を付与するパーキングブレーキ(駐車ブレーキ)とを作動させる。
【0024】
第2ブレーキECU15Bは、第1ブレーキECU15Aに異常が発生した場合等の非常時に空気圧ブレーキシステムに含まれる保安モジュールを制御する。なお、非常時とは、第1ブレーキECU15Aに異常が発生したとき以外に、第1隊列走行ECU11A及び第2隊列走行ECU11Bの両方に異常が発生したとき、第1ブレーキECU15A、第1隊列走行ECU11A及び第2隊列走行ECU11Bの全てに異常が発生したときを含む。
【0025】
第1隊列走行ECU11A、第2隊列走行ECU11B、第1ブレーキECU15A及び第2ブレーキECU15Bは、車載ネットワーク19に接続されている。車載ネットワークは、例えばCAN(Controller Area Network)、FlexRay(登録商標)、Ethernet(登録商標)等のネットワークである。第1ブレーキECU15A及び第2ブレーキECU15Bは、第1隊列走行ECU11A又は第2隊列走行ECU11Bからの減速指示に基づきアクチュエータの制御を行う。また、車載ネットワーク19には、車速センサ58が接続されている。車速センサ58は、所定のタイミングで速度を車載ネットワーク19に送信する。車載ネットワーク19には、通信エラー等を検出する通信制御部(図示略)が接続されている。車載ネットワーク19に接続された各ECUは、自身のIDを付して所定の通信メッセージを車載ネットワーク19に送り、取得すべき通信メッセージを車載ネットワーク19から取得する。
【0026】
次に図3を参照して、空気圧ブレーキシステム20の全体構成について説明する。空気圧ブレーキシステム20は、空気貯留タンク21やその他のタンクに貯留された空気を、ブレーキ機構としてのブレーキチャンバー50に供給するものである。ブレーキチャンバー50は、車輪毎に設けられている。図3では、1対の前輪51と、駆動輪である1対の後輪52だけを図示しているが、前輪51の数及び後輪52の数は特に限定されない。例えば、車両100には、1対の前輪51が設けられるとともに、2対の後輪52が設けられていてもよい。図3中、タンクやアクチュエータを接続する実線は空気の通路を示し、破線はECUやアクチュエータが電気的に接続されている状態を示す。
【0027】
空気供給源である空気貯留タンク21には、コンプレッサ22によって圧縮され、乾燥剤を有するエアドライヤ23によって乾燥された空気が貯留されている。空気貯留タンク21は、管路を介してプロテクションバルブ(保護弁)24に接続されている。プロテクションバルブ24は、空気貯留タンク21から供給された空気を、パーキングブレーキ用タンク25、後輪用ブレーキタンク26、及び前輪ブレーキ用タンク27に分配する。
【0028】
前輪ブレーキ用タンク27は、ブレーキバルブ31を介してアクスルモジュレータ30に接続されている。ブレーキバルブ31は、前輪ブレーキ用タンク27に接続された前輪用制御部31Aと、後輪用ブレーキタンク26に接続された後輪用制御部31Bとを備えている。前輪用制御部31Aは、前輪用のアクスルモジュレータ30に接続されている。また、ブレーキバルブ31は、第1ブレーキECU15Aの制御によって、前輪用制御部31Aからアクスルモジュレータ30へ空気を供給する。アクスルモジュレータ30は、前輪51に設けられたブレーキチャンバー50への空気の供給及び排出を制御する。
【0029】
第1ブレーキECU15Aは、車両100が運転者によって運転される有人運転の際、運転者によって操作されるブレーキペダル(図示略)の位置を検出するセンサから位置検出信号を入力し、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ30に空気を供給する。また、第1ブレーキECU15Aは、車両100が無人運転の際、前方の車両100等から送信される速度等の情報に基づき、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ30に空気を供給する。
【0030】
アクスルモジュレータ30は、ブレーキバルブ31の前輪用制御部31Aに連通する信号供給路60と、前輪ブレーキ用タンク27に直接的に連通する供給路61とに接続している。また、アクスルモジュレータ30は、左側の前輪51に対応させて設けられた保安モジュール32Lと、右側の前輪51に対応させて設けられた保安モジュール32Rとに接続している。アクスルモジュレータ30は、ブレーキバルブ31の前輪用制御部31Aから信号供給路60を介して送られた空気圧信号を入力すると、供給路61を介して前輪ブレーキ用タンク27から直接的に供給された空気を、保安モジュール32L,32Rにそれぞれ分配する。
【0031】
左側の前輪の保安モジュール32Lと、右側の前輪の保安モジュール32Rとは同一の構成であるため、左側の前輪の保安モジュール32Lについてのみ説明する。保安モジュール32Lは、シャトル弁34を介してブレーキチャンバー50側に接続されている。保安モジュール32Lは、車両100のエアサスペンションシステム(空気圧駆動式懸架システム)に備えられる空気供給源としてのサスペンション用タンク28に接続されている。サスペンション用タンク28には、コンプレッサ22からエアドライヤ23を介して供給された空気が貯留されている。なお、保安モジュール32L,32Rは、サスペンション用タンク28以外のタンクに接続されていてもよい。例えば、保安モジュール32L,32Rは、パーキングブレーキ用タンク25、後輪用ブレーキタンク26、及び前輪ブレーキ用タンク27に接続されていてもよい。
【0032】
シャトル弁34は、保安モジュール32L及びアクスルモジュレータ30に接続され、保安モジュール32L側、及びアクスルモジュレータ30側のうち、圧力が高い方からブレーキチャンバー50側への空気の流れを許容する。さらに、シャトル弁34とブレーキチャンバー50との間は、ABS(Antilock Brake System)バルブ36が設けられている。ABSバルブ36は、前軸のアンチロックブレーキシステムを構成する。ABSバルブ36は、第1ブレーキECU15Aによって制御される。なお、ABS機能は、アクスルモジュレータ30が有していてもよい。
【0033】
前輪51のブレーキチャンバー50は、サービスブレーキ用の空気貯留室を有している。シャトル弁34は、ABSバルブ36を介して、サービスブレーキ用の空気貯留室に接続されている。サービスブレーキ用の空気貯留室に空気が供給されるとサービスブレーキが作動し、空気の供給量の増大に応じてブレーキ力が増大する。サービスブレーキ用の空気貯留室から空気が排出されるとサービスブレーキが解除される。
【0034】
また、前輪51及び後輪52には、車輪の回転速度を検出する車速センサ58が設けられている。さらにブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室に接続する管路には、当該供給路の圧力を検知する圧力センサ54が設けられている。
【0035】
一方、後輪用ブレーキタンク26は、ブレーキバルブ31の後輪用制御部31Bを介してアクスルモジュレータ40に接続されている。ブレーキバルブ31は、第1ブレーキECU15Aの制御によって、後輪用制御部31Bからアクスルモジュレータ40に空気を供給する。アクスルモジュレータ40は、後輪52に設けられたブレーキチャンバー50への空気の供給及び排出を制御する。アクスルモジュレータ40は、ブレーキバルブ31の後輪用制御部31Bに連通する信号供給路62と、後輪用ブレーキタンク26に直接的に連通する供給路63とに接続されている。また、アクスルモジュレータ40は、左側の後輪52に設けられた保安モジュール42Lと、右側の後輪52に設けられた保安モジュール42Rとに接続している。アクスルモジュレータ40は、ブレーキバルブ31の後輪用制御部31Bから信号供給路62を介して送られた空気圧信号を入力すると、後輪用ブレーキタンク26から供給路63を介して送られた空気を保安モジュール42L,42Rにそれぞれ分配する。
【0036】
第1ブレーキECU15Aは、車両100が運転者によって運転される有人運転の際、運転者によって操作されるブレーキペダル(図示略)の位置を検出するセンサから位置検出信号を入力し、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ40に空気を供給する。また、第1ブレーキECU15Aは、車両100が無人運転の際、前方の車両100等から送信される速度等の情報に基づき、ブレーキバルブ31を制御して、アクスルモジュレータ40に空気を供給する。なお、ブレーキペダルの位置を検出するセンサから出力される位置検出信号によって、アクスルモジュレータ40が制御されてもよい。
【0037】
左側の後輪の保安モジュール42Lと、右側の後輪52の保安モジュール42Rは同一の構成であるため、左側の保安モジュール42Lについてのみ説明する。なお、後輪52の保安モジュール42L,42Rは、前輪51の保安モジュール32L,32Rとタンク等への接続状態が異なるだけで、同様の構成である。保安モジュール42Lは、シャトル弁34を介して後輪52のブレーキチャンバー50側に接続されている。保安モジュール42Lは、前輪51に対して設けられた保安モジュール32L,32Rと同様の構成である。後輪52の保安モジュール42L,42Rも、サスペンション用タンク28に接続されている。
【0038】
後輪52のブレーキチャンバー50は、サービスブレーキ用の空気貯留室と、パーキングブレーキ用の空気貯留室とを有する。このブレーキチャンバー50には、車輪に付勢力を付与して車輪の回転を止めるスプリングが設けられている。パーキングブレーキ用の空気貯留室に所定量以上空気が供給されると、空気圧によりスプリングが圧縮されて車輪に対する付勢力が解除され、パーキングブレーキ用の空気貯留室から空気が排出されると、スプリングの付勢力が車輪に付与される。
【0039】
保安モジュール32L,32R,42L,42Rは、第2ブレーキECU15Bによって制御される。第2ブレーキECU15Bは、圧力センサ54の圧力検出信号を取得する。第2ブレーキECU15Bは、圧力検出信号に基づき、圧力と減速度との関係を学習する。減速度は、車速センサ58から車載ネットワーク19を介して取得した速度に基づき第2ブレーキECU15Bによって算出される。又は、第2ブレーキECU15Bは、隊列走行ECU11等が算出した減速度を車載ネットワーク19から取得する。第2ブレーキECU15Bは、車両100が所定の速度まで減速するように、隊列走行ECU11の減速要求と学習結果とに基づき保安モジュール32L,32R,42L,42Rを制御する。なお、第2ブレーキECU15Bは、減速度と圧力との関係以外に、速度と圧力との関係を学習してもよい。
【0040】
パーキングブレーキ用タンク25は、パーキングブレーキ制御バルブ55及びパーキングブレーキリレーバルブ56に接続されている。パーキングブレーキ制御バルブ55は、隊列走行ECU11等により制御されて、パーキングブレーキリレーバルブ56に空気圧信号を出力する。パーキングブレーキリレーバルブ56は、パーキングブレーキ制御バルブ55から空気圧信号を入力すると、パーキングブレーキ用タンク25の空気を後輪52のブレーキチャンバー50のパーキングブレーキ用の空気貯留室に供給する。その結果、空気貯留室に充填された空気の圧力によりスプリングが圧縮されて、パーキングブレーキが解除される。一方、パーキングブレーキリレーバルブ56がパーキングブレーキ制御バルブ55から空気圧信号を入力しない場合、パーキングブレーキ用の空気貯留室から空気が排出され、スプリングの付勢力によりパーキングブレーキが作動する。なお、パーキングブレーキリレーバルブ56を電磁弁とし、第1ブレーキECU15A等により制御されるようにしてもよい。
【0041】
パーキングブレーキ制御バルブ55とパーキングブレーキリレーバルブ56との間には、空気供給部としての強制ブレーキモジュール70の信号供給路65が接続されている。強制ブレーキモジュール70は、1台の車両100に対して1つ設けられている。また、強制ブレーキモジュール70は、隊列走行ECU11によって制御される。
【0042】
強制ブレーキモジュール70は、信号供給路65に接続する信号入力ポートと、前輪51の保安モジュール32L,32R側の管路及び後輪52の保安モジュール42L,42R側の管路に接続する2つの接続ポートと、サスペンション用タンク28から空気が供給されるタンク側供給路66に接続する入力ポートとを備えている。強制ブレーキモジュール70は、保安モジュール32L,32R,42L,42Rを介して、サスペンション用タンク28の空気をブレーキチャンバー50側に供給可能である。強制ブレーキモジュール70は、異常の無い状態、すなわち通常時においては保安モジュール32L,32R,42L,42Rへの空気の供給を遮断する。また、強制ブレーキモジュール70は、異常が発生した所定の状態において、保安モジュール32L,32R,42L,42Rを介してブレーキチャンバー50側へ空気を供給し、強制ブレーキを作動させる。強制ブレーキモジュール70から空気が供給されるとき、アクスルモジュレータ30,40側よりも強制ブレーキモジュール70側の圧力が高くなるため、シャトル弁34は、強制ブレーキモジュール70側からブレーキチャンバー50側への空気の流れを許容する。
【0043】
次に図4を参照して、強制ブレーキモジュール70及び保安モジュール32L,32R,42L,42Rの構成について詳述する。保安モジュール32L,32R,42L,42Rは同一の構成であるため、図4では後輪52の保安モジュール42Lについてその構成を詳細に示している。図4中、タンクやアクチュエータを接続する実線は空気通路を示し、隊列走行ECU11又は第2ブレーキECU15Bに接続する破線は、それらとアクチュエータとが電気的に接続されている状態を示す。
【0044】
車両100のイグニッションスイッチがオフ状態であり、パーキングブレーキが作動した状態を示している。隊列走行ECU11、第1ブレーキECU15A、及び第2ブレーキECU15Bはいずれも正常である。強制ブレーキモジュール70は、第1電磁制御弁71、強制ブレーキ解除弁72、空気圧制御弁73、及び第1のリレーバルブとしてのリレーバルブ74を備えている。第1電磁制御弁71、強制ブレーキ解除弁72、及び空気圧制御弁73は、タンク側供給路66から分岐する第1通路81に設けられている。リレーバルブ74は、信号入力ポート74Pを有し、信号入力ポート74Pは第1通路81に接続されている。
【0045】
第1電磁制御弁71は、サスペンション用タンク28側と、回路の空気を排出する排出口80に接続する排気路85と、リレーバルブ74側とに接続される3ポート2位置弁である。第1電磁制御弁71は、隊列走行ECU11によって制御され、タンク側供給路66側と強制ブレーキ解除弁72側とを連通する接続位置と、第1通路81のうち強制ブレーキ解除弁72側と排気路85とを接続する排気位置とに位置を変更可能に構成されている。第1電磁制御弁71は、接続位置となるように付勢力を付与するバルブスプリング71Sを備え、非通電状態で接続位置となり、通電状態で排気位置となる。
【0046】
強制ブレーキ解除弁72は、第1通路81のうち、第1電磁制御弁71及び空気圧制御弁73の間に設けられている。強制ブレーキ解除弁72は、第1通路81のうち第1電磁制御弁71側と、排気路85と、第1通路81のうち空気圧制御弁73側とに接続される3ポート2位置弁である。強制ブレーキ解除弁72は、タンク側供給路66側と空気圧制御弁73側を連通する接続位置、及び第1通路81のうち空気圧制御弁73側と排気路85とを接続する排気位置とに位置を変更可能に構成されている。強制ブレーキ解除弁72には、接続位置となるように付勢力を付与するバルブスプリング72Sが設けられている。また、強制ブレーキ解除弁72は、手動操作される操作部72Aを有している。強制ブレーキ解除弁72は、操作部72Aが手動操作されない状態では接続位置となり、操作部72Aが手動操作されると排気位置となる。
【0047】
空気圧制御弁73は、第1通路81のうち強制ブレーキ解除弁72側と、排気路85と、リレーバルブ74側とに接続され、空気圧信号によって制御される3ポート2位置弁である。空気圧制御弁73の信号入力ポート73Pは、パーキングブレーキ制御バルブ55とパーキングブレーキリレーバルブ56との間の間から延在する信号供給路65に接続されている。
【0048】
パーキングブレーキリレーバルブ56は、ブレーキチャンバー50のパーキングブレーキ用の空気貯留室50Bに接続されている。ブレーキチャンバー50の空気貯留室50Bから空気が排出された場合には、ブレーキチャンバー50のスプリング50Cの付勢力によって、先端に楔50Dを有するプッシュロッド50Eが延び、楔50Dが後輪52のブレーキライニング(図示略)に挿入されてパーキングブレーキが作動する。パーキングブレーキリレーバルブ56から空気貯留室50Bに空気が供給された場合には、スプリング50Cが圧縮されて、プッシュロッド50Eが楔50Dを車輪から抜出させる方向に移動して、パーキングブレーキが解除される。
【0049】
空気圧制御弁73は、リレーバルブ74側と排気路85とを接続する排気位置、及びタンク側供給路66側とリレーバルブ74側とを連通する接続位置とに位置を変更可能に構成されている。空気圧制御弁73の信号入力ポート73Pには、パーキングブレーキが作動している場合は空気圧信号が入力されず、パーキングブレーキ制御バルブ55からリレーバルブ74に空気圧信号が送られてパーキングブレーキが解除されたときには信号入力ポート73Pには空気圧信号が入力される。空気圧制御弁73には、排気位置となるように付勢力を付与するバルブスプリング73Sが設けられている。空気圧制御弁73は、信号入力ポート73Pに空気圧信号を入力しない場合には排気位置となり、空気圧信号を入力した場合には接続位置となる。
【0050】
リレーバルブ74は、タンク側供給路66から分岐する第2通路82と、排気路85と、車輪毎の保安モジュール32L,32R,42L,42R側にそれぞれ連通する強制ブレーキモジュール接続路86とに接続される3ポート2位置弁である。リレーバルブ74は、第1通路81を通じて送られる空気を空気圧信号として信号入力ポート74Pに入力する。また、第2通路82は、例えば第1通路81よりも内径が大きい管路であり、第1通路81よりも単位時間あたりに多量の空気を保安モジュール32L,32R,42L,42R側に供給することが可能である。リレーバルブ74は、強制ブレーキモジュール接続路86と排気路85とを接続する排気位置、第2通路82と強制ブレーキモジュール接続路86とを接続する接続位置とに位置を変更可能に構成されている。排気位置では、強制ブレーキモジュール接続路86のうちシャトル弁93までの空気を排気路85に排出する。リレーバルブ74には、排気位置となるように付勢力を付与するバルブスプリング74Sが設けられている。リレーバルブ74は、信号入力ポート74Pに空気圧信号を入力しない場合には排気位置となり、空気圧信号を入力した場合には接続位置となる。リレーバルブ74は、排気位置のときには、保安モジュール32L,32R,42L,42Rから空気を排出し、接続位置のときには保安モジュール32L,32R,42L,42Rにサスペンション用タンク28に貯留された多量の空気を供給する。
【0051】
次に、保安モジュール32L,32R,42L,42Rの構成について詳述する。上述したように保安モジュール32L,32R,42L,42Rの構成は同一であるため、ここでは、保安モジュール42Lの構成のみ説明する。保安モジュール42Lは、保安用電磁制御弁としての第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91と、第2のリレーバルブとしてのリレーバルブ92と、シャトル弁93とを備えている。
【0052】
第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91は、第3通路83に設けられている。第3通路83の一方の端部はタンク側供給路66に接続され、他方の端部は排気路85に接続されている。第2電磁制御弁90は、第3通路83を遮断する遮断位置と、第3通路83を連通する接続位置とに位置を変更可能に構成されている。第2電磁制御弁90は、第2ブレーキECU15Bによって制御され、非通電状態でバルブスプリング90Sの付勢力により遮断位置となり、通電状態で接続位置となる。なお、保安モジュール42L以外の保安モジュール32L,32R,42Rにも、第3通路83が設けられている。
【0053】
第3電磁制御弁91は、第3通路83を連通する接続位置と第3通路83を遮断する遮断位置とに位置を変更可能に構成されている。第3電磁制御弁91は、第2ブレーキECU15Bによって制御され、非通電状態でバルブスプリング91Sの付勢力により接続位置となり、通電状態で遮断位置となる。
【0054】
シャトル弁93は、強制ブレーキモジュール接続路86と、第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91との間に接続する保安モジュール接続路87と、リレーバルブ92に接続する信号供給路88とに接続されている。シャトル弁93は、強制ブレーキモジュール接続路86及び保安モジュール接続路87のうち圧力が高い方から、信号供給路88側への空気の流れを許容する。信号供給路88は、リレーバルブ92の信号入力ポート92Pに接続されている。なお、保安モジュール42L以外の保安モジュール32L,32R,42Rにも、強制ブレーキモジュール接続路86が接続されている。
【0055】
リレーバルブ92は、タンク側供給路66から分岐する第4通路84と、排気路85と、ブレーキチャンバー50に接続するチャンバー接続路89とに接続する3ポート2位置弁である。第4通路84の内径は、例えば信号供給路88よりも大きく、信号供給路88よりも単位時間あたりに多量の空気を供給可能となっている。第4通路84からは、タンク側供給路66からの大量の空気が供給される。なお、保安モジュール42L以外の保安モジュール32L,32R,42Rにも、第4通路84が設けられている。
【0056】
リレーバルブ92は、チャンバー接続路89と排気路85とを接続する排気位置、第4通路84とチャンバー接続路89とを接続する接続位置とに位置を変更可能に構成されている。また、リレーバルブ92には、排気位置となるように付勢力を付与するバルブスプリング92Sが設けられている。リレーバルブ92は、信号入力ポート92Pに空気圧信号を入力しない場合には排気位置となり、チャンバー接続路89の空気を排気路85に排出する。また、リレーバルブ92は、空気圧信号を入力した場合には接続位置となり、第4通路84の多量の空気をチャンバー接続路89に供給する。
【0057】
チャンバー接続路89には、シャトル弁34が接続されている。シャトル弁34は、保安モジュール42Lと、第1ブレーキECU15Aによって制御されるアクスルモジュレータ40と、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50Aとに接続されている。他の保安モジュール32L,32R,42Rもシャトル弁34(図3参照)を介してシャトル弁34を介して、各車輪に設けられたブレーキチャンバー50と接続されている。
【0058】
シャトル弁34とブレーキチャンバー50とを接続する接続路には、圧力センサ53が設けられている。圧力センサ53は、接続路の圧力に応じた信号を、第1ブレーキECU15A、及び第2ブレーキECU15B等に出力する。第2ブレーキECU15Bは、アクスルモジュレータ30,40がブレーキチャンバー50に空気を供給するときに、圧力センサ53から出力された圧力検出信号に基づき、圧力と減速度との関係を学習する。減速度は、第2ブレーキECU15Bが算出するか、第1ブレーキECU15A又は隊列走行ECU11が算出した減速度を、車載ネットワーク19を介して取得する。なお、第2ブレーキECU15Bは、減速度と圧力との関係以外に、速度と圧力との関係を学習してもよい。
【0059】
パーキングブレーキが作動した状態から車両100が走行可能な状態に遷移する場合には、隊列走行ECU11は、第1電磁制御弁71を通電して排気位置にする。また、隊列走行ECU11は、パーキングブレーキ制御バルブ55を制御して、パーキングブレーキリレーバルブ56からブレーキチャンバー50に空気を供給する。空気圧制御弁73は、信号入力ポート73Pに空気圧信号を入力して、接続位置となる。これにより、強制ブレーキが作動可能な状態となる。
【0060】
次に、図5図9を参照して、空気圧ブレーキシステム20の各モードについて、強制ブレーキモジュール70及び保安モジュール32L,32R,42L,42Rの動作とともに説明する。空気圧ブレーキシステム20は、通常走行モード、減速走行モード、強制ブレーキモード、及び再走行モードを有している。なお、保安モジュール32L,32R,42L,42Rについては、左側の後輪52に対応する保安モジュール42Lの動作を中心に説明する。また、図5図9において、太い実線は、空気通路において空気が供給されている状態を示し、太い破線は空気通路において空気が排出されている状態を示す。さらに、隊列走行ECU11又は第2ブレーキECU15Bに接続する破線は、それらとアクチュエータとが電気的に接続されている状態を示す。
【0061】
図5及び図6を参照して、第2ブレーキECU15Bによる減速走行モードについて説明する。減速走行モードでは、イグニッションスイッチはオン状態であり、パーキングブレーキは解除されている。減速走行モードは、第1ブレーキECU15Aに異常が発生し、通常のブレーキ制御が実行できない場合に実行される。具体的には、減速ブレーキモードは、以下の場合に実行される。
【0062】
・第1ブレーキECU15Aのみに異常が発生し、隊列走行ECU11及び第2ブレーキECU15Bが正常である場合。
・第1ブレーキECU15A及び一方の隊列走行ECU11に異常が発生し、第2ブレーキECU15B及び他方の隊列走行ECU11が正常である場合。
【0063】
図5に示すように、正常な隊列走行ECU11は、第1ブレーキECU15Aの異常の発生を検出したとき、第1電磁制御弁71を通電状態に維持する。また、隊列走行ECU11は、前方を走行する車両100等の速度や減速度、車速センサ58から入力した速度等に基づき、減速の要否を判断する。隊列走行ECU11は、減速が必要であると判断した場合、第2ブレーキECU15Bに減速指示を出力する。
【0064】
第2ブレーキECU15Bは、減速指示を入力したとき、第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91を通電状態とする。第2電磁制御弁90は接続位置となり、第3電磁制御弁91は、遮断位置となる。タンク側供給路66から送られた空気は、第2電磁制御弁90を介して保安モジュール接続路87に供給される。これにより、保安モジュール接続路87及び強制ブレーキモジュール接続路86のうち保安モジュール接続路87が高圧となるため、シャトル弁93は、保安モジュール接続路87から信号供給路88へ空気を供給する。
【0065】
その結果、保安モジュール接続路87からリレーバルブ92の信号入力ポート92Pに空気圧信号が入力されて、リレーバルブ92が接続位置となる。そして、接続位置とされたリレーバルブ92を介して、タンク側供給路66からチャンバー接続路89に空気が供給される。なお、減速走行モードは、第1ブレーキECU15Aに異常が発生していることが前提となっているため、アクスルモジュレータ30,40からの空気の供給が停止している。このため、チャンバー接続路89側及びアクスルモジュレータ30,40側のうちチャンバー接続路89が高圧となるため、シャトル弁34は、チャンバー接続路89からブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50Aへ空気を供給する。
【0066】
図6は、減速走行モードにおいて、車両100を減速させない状態を示す。隊列走行ECUは、車両100が減速すべきではないと判断した場合には、第1電磁制御弁71を通電状態に維持しつつ、第2ブレーキECU15Bへの減速指示の出力を停止する。第2ブレーキECU15Bは、隊列走行ECU11からの減速指示の出力が停止されると、第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91を非通電状態とする。
【0067】
第2電磁制御弁90は遮断位置となり、第3電磁制御弁91は接続位置となることにより、信号供給路88の空気は、シャトル弁93、第3通路83の一部、及び排気路85を介して排出口80から排出される。これにより、リレーバルブ92は排気位置となり、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50Aの空気は、シャトル弁34、リレーバルブ92、及び排気路85を介して排出口80から排出される。その結果、サービスブレーキが解除される。
【0068】
減速走行モードにおいて、第2ブレーキECU15Bは、圧力センサ54から圧力検出信号を入力して、ブレーキチャンバー50の手前の圧力が、目標とする減速度に応じた圧力となるように、第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91への通電及び非通電を繰り返す。
【0069】
次に図7を参照して強制ブレーキモードについて説明する。このとき、イグニッションスイッチはオン状態であり、パーキングブレーキは解除されている。強制ブレーキモードは、以下の場合に実行される。
【0070】
・隊列走行ECU11の両方に異常が生じた状態を含む場合。
・第1ブレーキECU15A及び第2ブレーキECU15Bに異常が生じた状態を含む場合。
【0071】
強制ブレーキモードでは、第1電磁制御弁71は非通電状態である。なお、隊列走行ECU11の両方に異常が生じたとき、第1電磁制御弁71は自ずと非通電状態とされる。空気圧制御弁73は、信号入力ポート73Pに空気圧信号が供給されることにより接続位置となる。リレーバルブ74は、信号入力ポート74Pに空気圧信号を入力することにより、接続位置となる。このとき、リレーバルブ74に空気圧信号として送られる空気を少量とすれば、第1電磁制御弁71が非通電状態とされてからリレーバルブ74が接続位置となるまでの時間を短くすることができる。リレーバルブ74が接続位置となると、サスペンション用タンク28に貯留された多量の空気が強制ブレーキモジュール接続路86に送られる。
【0072】
リレーバルブ74を介して強制ブレーキモジュール接続路86に空気が送られることにより、強制ブレーキモジュール接続路86は保安モジュール接続路87よりも圧力が高くなる。したがって、シャトル弁93は、強制ブレーキモジュール接続路86から、各保安モジュール32L,32R,42L,42Rに接続する信号供給路88にそれぞれ空気を分配する。
【0073】
保安モジュール42Lのリレーバルブ92は、信号入力ポート92Pに空気圧信号を入力することによって、接続位置となる。これにより、サスペンション用タンク28に貯留された多量の空気が、タンク側供給路66、第4通路84、リレーバルブ92、及びシャトル弁34を介してブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50Aに送られる。その結果、強制ブレーキが作動する。
【0074】
次に図8及び図9を参照して、再走行モードについて説明する。再走行モードは、強制ブレーキが作動した後に、運転者による運転で車両100を再走行させるためのモードである。強制ブレーキの作動後に車両100を所定の速度で再走行させることによって、運転者は車両100を近隣の整備場等へ移動させることができる。
【0075】
図8に示すように、強制ブレーキが作動した直後は、第1電磁制御弁71、第2電磁制御弁90、及び第3電磁制御弁91は非通電状態となっている。また、強制ブレーキが作動した後、別の制御系統によりパーキングブレーキが作動されることにより、空気圧制御弁73は排気位置となっている。
【0076】
再走行モードは、強制ブレーキ解除弁72の操作部72Aが運転者により操作されることにより開始される。また、空気圧制御弁73が排気位置であり、第1通路81の空気が排出口80から排出されることから、リレーバルブ74は排気位置となる。これにより、強制ブレーキモジュール接続路86の空気が排気路85に供給され、排出口80から排出される。
【0077】
また、第2電磁制御弁90は遮断位置となり、第3電磁制御弁91は接続位置となることから、第3通路83には空気は供給されず、第2電磁制御弁90及び第2電磁制御弁90の間の通路の空気は、排気路85に供給され、排出口80から排出される。その結果、強制ブレーキモジュール接続路86及び保安モジュール接続路87は、シャトル弁93側に空気を供給しないため、リレーバルブ92の信号入力ポート92Pには空気圧信号が入力されない。これにより、リレーバルブ92は、排気位置となる。そして、スプリング50Cの付勢力によりパーキングブレーキが作動したままで、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50A内の空気が、排気路85を介して、排出口80から排出される。
【0078】
図9に示すように、正常なECU又は別のブレーキ制御系統によってパーキングブレーキが解除されると、空気圧制御弁73の信号入力ポート73Pに空気圧信号が入力され、空気圧制御弁73は接続位置となる。この際、空気圧制御弁73が接続位置となっても、強制ブレーキ解除弁72は排気位置に維持されているため、強制ブレーキモジュール70からは空気は供給されない。運転者は、車両100を減速させるとき、ブレーキバルブ31(図3参照)に設けられたブレーキペダルを作動させる。ブレーキペダルが作動すると、ブレーキバルブ31からアクスルモジュレータ30,40に空気圧信号が入力される。アクスルモジュレータ30は空気圧信号を入力すると、供給路61を介して前輪ブレーキ用タンク27から直接的に供給された空気を、保安モジュール32L,32Rにそれぞれ分配する。保安モジュール32L,32Rに供給された空気は、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室に供給されて、前輪51のサービスブレーキが作動する。また、アクスルモジュレータ40は、シャトル弁34を介してブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室50Aに空気を供給して、後輪52のサービスブレーキを作動させる。
【0079】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)空気圧ブレーキシステムは、4つの保安モジュール32L,32R,42L,42Rを備える。このため、保安モジュールが単数である場合に比べ、少なくともいずれかの保安モジュールに異常が発生した場合にも他の保安モジュールによってブレーキがかかるため、空気圧ブレーキシステムの保安性をさらに高めることができる。
【0080】
(2)強制ブレーキモジュール70によって、第1ブレーキECU15Aによって制御されるアクスルモジュレータ30,40とは異なる供給系統で複数の保安モジュール32L,32R,42L,42Rに空気を分配することができる。このため、アクスルモジュレータ30,40が含まれる供給系統に異常があっても、強制的にブレーキを作動させることができる。
【0081】
(3)強制ブレーキモジュール70は強制的にブレーキを作動させることができる。これにより保安性を高めることができる。
(4)複数の保安モジュール32L,32R,42L,42Rに対して強制ブレーキモジュール70は1つ設けられる。このため、保安モジュール32L,32R,42L,42R毎に空気圧信号を供給する空気供給部を設ける場合に比べて部品点数を低減することができる。
【0082】
(5)強制ブレーキモジュール70は、複数の保安モジュール32L,32R,42L,42Rに対し、空気圧信号として空気を分配するため、多量の空気を供給する必要がある。強制ブレーキモジュール70は、空気圧信号である少量の空気によって制御され、空気圧信号よりも多量の空気を供給するリレーバルブ74を備える。このため、第1電磁制御弁71が非通電状態とされたとき、空気供給源であるサスペンション用タンク28に貯留された多量の空気を複数の保安モジュール32L,32R,42L,42Rに短い時間で分配することができる。
【0083】
(6)強制ブレーキモジュール70の第1電磁制御弁71は、非通電時に空気圧信号をリレーバルブ74に出力するので、第1電磁制御弁71を制御する隊列走行ECU11に異常が発生した場合に、サービスブレーキを作動させるべく、空気圧信号をリレーバルブ74に出力できる。このため、空気圧ブレーキシステム20の保安性を高めることができる。
【0084】
(7)空気圧制御弁73は、パーキングブレーキが解除されたときにリレーバルブ74に空気を供給するため、パーキングブレーキが解除されたときにのみ、空気圧制御弁73、リレーバルブ74を介して、ブレーキチャンバー50側に空気を供給し、保安用のサービスブレーキを作動させることができる。
【0085】
(8)保安モジュール32L,32R,42L,42Rのリレーバルブ92は、空気圧信号である少量の空気が供給された際に、空気供給源であるサスペンション用タンク28に貯留された多量の空気をブレーキチャンバー50側に供給することができる。したがって、リレーバルブ92に空気圧信号の出力を開始してからサービスブレーキが作動するまでの作動時間を短縮化することができる。また、強制ブレーキモジュール接続路86及び保安モジュール接続路87のうち圧力が高い方から、シャトル弁93を介して、リレーバルブ92に空気圧信号を供給できる。すなわち、強制ブレーキモジュール70からブレーキチャンバー50へ空気を供給する系統と、第2電磁制御弁90及び第3電磁制御弁91からブレーキチャンバー50へ空気を供給する系統との両方で、ブレーキチャンバー50に空気を供給するためのリレーバルブ92を共有できるので、部品点数を低減することができる。
【0086】
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、先頭車両100aと後続車両100bとは、同じ隊列走行制御システム10を搭載しているとした。これに代えて、先頭車両100aは、隊列走行制御システム10を搭載していなくてもよいし、後続車両100bとは異なる隊列走行制御システムを搭載していてもよい。
【0087】
・上記実施形態では、保安モジュール32L,32R,42L,42Rの構成を同一とした。これに代えて、保安モジュール32L,32R,42L,42Rの構成はそれぞれ異なるようにしてもよい。又は保安モジュール32L,32R,42L,42Rのうち4つ以下の複数のモジュールが同一であってもよい。
【0088】
・上記実施形態では、減速走行モードは、「第1ブレーキECU15Aのみに異常が発生し、隊列走行ECU11及び第2ブレーキECU15Bが正常である場合」、「第1ブレーキECU15A及び一方の隊列走行ECU11に異常が発生し、第2ブレーキECU15B及び他方の隊列走行ECU11が正常である場合」に実行されるようにした。しかし、これ以外の場合であっても、第1ブレーキECU15Aの制御によるブレーキが正常に作動しない場合又は正常に作動しない可能性がある場合には、減速走行モードを行うようにしてもよい。このようにすると、空気圧ブレーキシステムの保安性をより高めることができる。
【0089】
・上記実施形態では、強制ブレーキモードは、「隊列走行ECU11の両方に異常が生じた状態を含む場合」、「第1ブレーキECU15A及び第2ブレーキECU15Bに異常が生じた状態を含む場合」に実行されるようにした。しかし、これ以外の場合であっても、第1ブレーキECU15Aの制御によるブレーキが正常に作動しない場合又は正常に作動しない可能性がある場合、隊列走行ECU11の一方に異常が発生した場合、他の車両100との通信状態が良好ではない場合等には、強制ブレーキモードを行うようにしてもよい。このようにすると、空気圧ブレーキシステムの保安性をより高めることができる。
【0090】
・上記実施形態では、「第1ブレーキECU15Aのみに異常が発生し、隊列走行ECU11及び第2ブレーキECU15Bが正常である場合」、「第1ブレーキECU15A及び一方の隊列走行ECU11に異常が発生し、第2ブレーキECU15B及び他方の隊列走行ECU11が正常である場合」に減速走行モードを行うようにした。これに加えて、第2ブレーキECU15Bに異常が発生した場合にも減速走行モードとすると、さらに安全性を高めることができる。
【0091】
・上記実施形態では、空気圧ブレーキシステムは、通常走行モード、減速走行モード、強制ブレーキモード、及び再走行モードを有しているとした。しかし、空気圧ブレーキシステムは、通常走行モードと少なくとも減速走行モード及び強制ブレーキモードを有していればよく、強制ブレーキの作動後に車両100を再走行させる手段があれば、上記の再走行モードを有していなくてもよい。
【0092】
・上記実施形態では、強制ブレーキモジュール70と後輪52側の保安モジュール42L,42Rとを接続した。これに加えて、強制ブレーキモジュール70と保安モジュール42L,42Rとを接続する管路の途中に、ロードセンシングバルブ(圧力調整弁)を設けるようにしてもよい。ロードセンシングバルブは、ブレーキチャンバー50のサービスブレーキ用の空気貯留室に供給される空気量を調整することができる。ロードセンシングバルブは、エアサスペンションシステムに接続するポートを有している。このポートにおける圧力は、エアサスペンションシステムと同じ圧力となる。車両100の積荷の荷重が大きい場合にはポートの圧力は大きくなる。ロードセンシングバルブのポート側の圧力が所定値よりも大きくなると、ロードセンシングバルブは、駆動輪である後輪52の保安モジュール42L,42Rへの空気の供給量を増大させる。なお、ロードセンシングバルブは、強制ブレーキモジュール70と前輪51側の保安モジュール32L,32Rとを接続する管路に設けるようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、保安モジュール32L,32R,42L,42Rは、強制ブレーキモジュール接続路86及び保安モジュール接続路87のうち圧力が高い方から信号供給路88側への空気の流れを許容するシャトル弁93を備える。これに代えて、強制ブレーキモジュール接続路86から信号供給路88側への流れ、及び保安モジュール接続路87から信号供給路88側への流れを、空気圧制御又は電気的制御によって切り替えるアクチュエータを設けるようにしてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、強制ブレーキモジュール70は、パーキングブレーキが解除されたときにブレーキチャンバー50側から空気を空気圧信号として入力する空気圧制御弁73を備えた。これに代えて、強制ブレーキモジュール70は、パーキングブレーキの作動及び解除に伴って電気的に制御される電磁制御弁を備えていてもよい。例えば、パーキングブレーキシステムが電気的に制御されるとき等には、電磁制御弁を好適に用いることができる。このようにすると、空気圧制御弁に替わり電磁制御弁を用いることによって、さらに応答性の向上を図ることができる。
【0095】
・上記実施形態では、強制ブレーキモジュール70は、非通電時にサスペンション用タンク28から供給された空気をリレーバルブ74に供給する第1電磁制御弁71を備えた。これに代えて、第1電磁制御弁71は、通電時にサスペンション用タンク28から供給された空気をリレーバルブ74に供給するようにしてもよい。
【0096】
・上記実施形態では、強制ブレーキモジュール70は、第1のリレーバルブとしてリレーバルブ74を備えた。これに代えて、空気圧制御弁73をシャトル弁93に接続して、リレーバルブ74を省略するようにしてもよい。
【0097】
・上記実施形態では、複数の保安モジュール32L,32R,42L,42Rに空気を分配する強制ブレーキモジュール70を備えた。これに代えて、前輪の保安モジュール32L,32Rに対して強制ブレーキモジュール70を1つ設けるとともに、後輪の保安モジュール42L,42Rに対して強制ブレーキモジュール70を1つ設けるようにしてもよい。或いは、保安モジュール32L,32R,42L,42Rの各々に対して、強制ブレーキモジュール70を1つ設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…隊列走行制御システム、11,11A,11B…隊列走行ECU、15A…第1ブレーキ制御装置としての第1ブレーキECU、15B…第2ブレーキ制御装置としての第2ブレーキECU、19…車載ネットワーク、20…空気圧ブレーキシステム、21…空気貯留タンク、28…空気供給源としてのサスペンション用タンク、30,40…アクスルモジュレータ、31…ブレーキバルブ、32L,32R,42L,42R…保安モジュール、34…シャトル弁、36…ABSバルブ、50…ブレーキチャンバー、58…車速センサ、54…圧力センサ、55…パーキングブレーキ制御バルブ、56…パーキングブレーキリレーバルブ、66…タンク側供給路、70…空気供給部としての強制ブレーキモジュール、71…第1電磁制御弁、72…強制ブレーキ解除弁、73…空気圧制御弁、74…リレーバルブ、80…排出口、85…排気路、86…強制ブレーキモジュール接続路、87…保安モジュール接続路、88…信号供給路、90…保安用電磁制御弁としての第2電磁制御弁、91…保安用電磁制御弁としての第3電磁制御弁、92…第2のリレーバルブとしてのリレーバルブ、93…シャトル弁、100…車両。
図1
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図9