特許第6796501号(P6796501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796501
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20201130BHJP
   H05H 7/04 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H02M3/00 E
   H02M3/00 W
   H02M3/00 Y
   H05H7/04
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-16917(P2017-16917)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-125981(P2018-125981A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 克則
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 敦志
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−116272(JP,A)
【文献】 特開2012−243503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00〜 3/44
H05H 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出部と、前記引出部から引き出されて負荷の一端に接続される第1引出導体と、前記引出部から引き出されて前記負荷の他端に接続される第2引出導体と、前記引出部の両側に2×n個(ただし、nは1以上の整数)ずつ隣接配置された電源ユニットとを備えた電源装置であって、
前記引出部において前記第1引出導体に接続された第1導体と、
前記引出部において前記第2引出導体に接続された第2導体と、
前記引出部の一方側および他方側に互いに分離して配置された第1中間導体および第2中間導体と、
当該電源装置の内部または外部において接地された接地導体と
をさらに備え、
前記電源ユニットは、第1端子および第2端子を有し、
前記引出部の一方側に配置された2×n個の前記電源ユニットのうちの一部は、前記第1端子が前記第1導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第1中間導体に接続され、残部は、前記第1端子が前記第1中間導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2導体に接続され、
前記引出部の他方側に配置された2×n個の前記電源ユニットのうちの一部は、前記第1端子が前記第1導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2中間導体に接続され、残部は、前記第1端子が前記第2中間導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2導体に接続され、
前記接地導体は、前記第1導体と前記第2導体の間に配置されている
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記引出部の一方側に配置された2×n個の前記電源ユニットのうちの半分は、前記第1端子が前記第1導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第1中間導体に接続され、残りの半分は、前記第1端子が前記第1中間導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2導体に接続され、
前記引出部の他方側に配置された2×n個の前記電源ユニットのうちの半分は、前記第1端子が前記第1導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2中間導体に接続され、残りの半分は、前記第1端子が前記第2中間導体に接続され、かつ前記第2端子が前記第2導体に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記引出部の一方側および他方側に配置された前記電源ユニットのうちの前記半分および前記残りの半分は、それぞれ互いに隣接して配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記引出部の一方側および他方側に配置された前記電源ユニットのうちの前記半分および前記残りの半分は、1個ずつ交互に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
当該電源装置の外部において接地される第3引出導体をさらに備え、
前記接地導体は、前記引出部において前記第3引出導体に接続され、
前記第3引出導体は、前記引出部から引き出されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1中間導体および前記第2中間導体は、前記第1導体と前記接地導体の間、または前記第2導体と前記接地導体の間に配置されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石等の負荷にkAオーダーのパルス状大電流を印加するための電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物理化学実験や医療等の分野で使用される加速器には、負荷としての電磁石にパルス状大電流を印加するための電源装置が備えられている。このような電源装置としては、例えば、特許文献1に記載の電源装置100が知られている。
【0003】
図9(A)に示すように、電源装置100は、第1電流源101と、第2電流源102と、第1電流源101の第1端子Cを引き出す第1引出バスバ103と、第2電流源102の第2端子Dを引き出す第2引出バスバ104とを備えている。第1引出バスバ103は、端部106において電磁石Lの一端に接続される。第2引出バスバ104は、端部107において電磁石Lの他端に接続される。また、第1電流源101の第2端子Dおよび第2電流源102の第1端子Cは、中間バスバ111によって接続されている。
【0004】
電源装置100は、コモンモードノイズを低減するために、図9(B)に示された電源装置100’のように構成される場合もある。電源装置100’は、第1電流源101、第2電流源102、第1引出バスバ103および第2引出バスバ104に加え、中間バスバ111(第1電流源101の第2端子D,第2電流源102の第1端子C)を引き出す第3引出バスバ105を備えている。第3引出バスバ105は、端部108において接地される。
【0005】
図10は、第1電流源101を並列接続された6個の電源ユニットCA1〜3,CB1〜3(以下、まとめて「第1電源ユニット群CAB」という)で構成し、第2電流源102を並列接続された6個の電源ユニットDA1〜3,DB1〜3(以下、まとめて「第2電源ユニット群DAB」という)で構成した場合の、電源装置100’のレイアウトの一例を示している。同図に示すように、第1電源ユニット群CABの第1端子Cはバスバ109に接続され、バスバ109は第1引出バスバ103に接続されている。また、第2電源ユニット群DABの第2端子Dはバスバ110に接続され、バスバ110は第2引出バスバ104に接続されている。さらに、第1電源ユニット群CABの第2端子Dおよび第2電源ユニット群DABの第1端子Cは中間バスバ111に接続され、中間バスバ111は第3引出バスバ105に接続されている。この結果、第1電源ユニット群CABの第1端子Cから出力された電流は、“バスバ109→第1引出バスバ103→電磁石L→第2引出バスバ104→バスバ110→第2電源ユニット群DABの第2端子D”の経路を流れる。そして、第2電源ユニット群DABの第1端子Cから出力された電流は、“中間バスバ111→第1電源ユニット群CABの第2端子D”の経路を流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5614813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、従来の電源装置100’では、中間バスバ111を電流経路として利用する。このため、電源装置100’では、接地電位と中間バスバ111の電位との間にズレが生じ、コモンモードノイズが期待した通りに低減されなかった。
【0008】
また、この電源装置100’では、電源ユニットCA1の近傍においては、バスバ109にIu×1(ただし、Iuは1個の電源ユニットが出力する電流)の電流が流れるが、電源ユニットCB3の近傍にいては、バスバ109にIu×6の電流が流れる。バスバ110および中間バスバ111においても、同様の偏りが生じる。この電流の大きな偏り(最大で、各電源ユニット群を構成する電源ユニットの並列接続台数6に等しい6倍の偏り)も、コモンモードノイズを悪化させる一因となっていた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、従来よりもコモンモードノイズが低減された電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る電源装置は、引出部と、引出部から引き出されて負荷の一端に接続される第1引出導体と、引出部から引き出されて負荷の他端に接続される第2引出導体と、引出部の両側に2×n個(ただし、nは1以上の整数)ずつ隣接配置された電源ユニットとを備えた電源装置であって、引出部において第1引出導体に接続された第1導体と、引出部において第2引出導体に接続された第2導体と、引出部の一方側および他方側に互いに分離して配置された第1中間導体および第2中間導体と、当該電源装置の内部または外部において接地された接地導体とをさらに備え、電源ユニットは、第1端子および第2端子を有し、引出部の一方側に配置された2×n個の電源ユニットのうちの一部は、第1端子が第1導体に接続され、かつ第2端子が第1中間導体に接続され、残部は、第1端子が第1中間導体に接続され、かつ第2端子が第2導体に接続され、引出部の他方側に配置された2×n個の電源ユニットのうちの一部は、第1端子が第1導体に接続され、かつ第2端子が第2中間導体に接続され、残部は、第1端子が第2中間導体に接続され、かつ第2端子が第2導体に接続され、接地導体は、第1導体と第2導体の間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、第1導体および第1引出導体を介して負荷の一端に接続される電源ユニットが、引出部の両側に分割して配置されている。また、この構成では、第2導体および第2引出導体を介して負荷の他端に接続される電源ユニットが、引出部の両側に分割して配置されている。したがって、この構成によれば、第1導体および第2導体における電流の偏りが減り、コモンモードノイズが低減される。
【0012】
また、この構成では、第1中間導体および第2中間導体が設けられ、これらが接地導体に代わる電流経路となる。したがって、この構成によれば、第1導体および第2導体の間に配置された接地導体の電位が接地電位に等しくなり、コモンモードノイズが低減される。
【0013】
上記電源装置は、引出部の一方側に配置された2×n個の電源ユニットのうちの半分は、第1端子が第1導体に接続され、かつ第2端子が第1中間導体に接続され、残りの半分は、第1端子が第1中間導体に接続され、かつ第2端子が第2導体に接続され、引出部の他方側に配置された2×n個の電源ユニットのうちの半分は、第1端子が第1導体に接続され、かつ第2端子が第2中間導体に接続され、残りの半分は、第1端子が第2中間導体に接続され、かつ第2端子が第2導体に接続されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1導体および第1引出導体を介して負荷の一端に接続される2×n個の電源ユニットが、引出部の両側にn個ずつに均等に分割して配置されている。また、この構成では、第2導体および第2引出導体を介して負荷の他端に接続される2×n個の電源ユニットが、引出部の両側にn個ずつに均等に分割して配置されている。したがって、この構成によれば、第1導体および第2導体における電流の偏りがさらに減り、コモンモードノイズがさらに低減される。
【0015】
上記電源装置は、引出部の一方側および他方側に配置された電源ユニットのうちの半分および残りの半分が、それぞれ互いに隣接して配置されていてもよいし、1個ずつ交互に配置されていてもよい。
【0016】
上記電源装置は、当該電源装置の外部において接地される第3引出導体をさらに備え、引出部において接地導体が第3引出導体に接続され、かつ第3引出導体が引出部から引き出されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、接地導体の電位を容易に接地電位とすることができる。
【0018】
上記電源装置の第1中間導体および第2中間導体は、例えば、第1導体と接地導体の間、または第2導体と接地導体の間に配置することができる。
【0019】
上記電源装置が駆動する負荷は、例えば、電磁石である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来よりもコモンモードノイズが低減された電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施例に係る電源装置のブロック図である。
図2】第1実施例に係る電源装置の概略的な外観正面図である。
図3】第1実施例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図4】第2実施例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図5】第1変形例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図6】第2変形例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図7】第3変形例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図8】第4変形例に係る電源装置の概略的なレイアウト図である。
図9】従来の電源装置のブロック図である。
図10】従来の電源装置の概略的なレイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る電源装置の実施例について説明する。
【0023】
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例に係る電源装置1Aのブロック図である。同図に示すように、本実施例に係る電源装置1Aは、第1電流源2と、第2電流源3と、第1電流源2の第1端子Cを引き出す第1引出バスバ4(本発明の「第1引出導体」に相当する)と、第2電流源3の第2端子Dを引き出す第2引出バスバ5(本発明の「第2引出導体」に相当する)と、第3引出バスバ6(本発明の「第3引出導体」に相当する)と、第1電流源2の第2端子Dおよび第2電流源3の第1端子Cを接続する第1中間バスバ12a(本発明の「第1中間導体」に相当する)および第2中間バスバ12b(本発明の「第2中間導体」に相当する)とを備えている。第1中間バスバ12aおよび第2中間バスバ12bは、互いに分離して配置されている。第1引出バスバ4は、端部7において電磁石Lの一端に接続される。第2引出バスバ5は、端部8において電磁石Lの他端に接続される。また、第3引出バスバ6は、端部9において接地される。電源装置1Aは、電磁石Lにパルス状高電流Iを印加するためのものである。
【0024】
図2に示すように、本実施例に係る電源装置1Aは、各1個の電源ユニットを収容した12個の箱型の筐体Bca1〜3,Bcb1〜3,Bda1〜3,Bdb1〜3と、本発明の「引出部」に相当する箱型の引出筺体Boとを備えている。第1引出バスバ4、第2引出バスバ5および第3引出バスバ6は、引出筺体Boから引き出されている。筐体Bca1〜3,Bcb1〜3は、第1電流源2を構成する電源ユニットCA1〜3,CB1〜3を収容している。また、筐体Bda1〜3,Bdb1〜3は、第2電流源3を構成する電源ユニットDA1〜3,DB1〜3を収容している。
【0025】
筐体Bca1〜3,Bcb1〜3,Bda1〜3,Bdb1〜3は、引出筺体Boの両側に分かれて直線状に隣接配置されている。このため、当然ながら、電源ユニットCA1〜3,CB1〜3,DA1〜3,DB1〜3も、引出筺体Boの両側に分かれて直線状に隣接配置されている。より詳しくは、引出筺体Boの一方側に電源ユニットDA1〜3が互いに隣接して配置され、さらにその外側に電源ユニットCA1〜3が互いに隣接して配置されている。また、引出筺体Boの他方側に電源ユニットCB1〜3が互いに隣接して配置され、さらにその外側に電源ユニットDB1〜3が互いに隣接して配置されている。
【0026】
図3に示すように、電源装置1Aは、本発明の「第1導体」に相当する第1バスバ10と、本発明の「第2導体」に相当する第2バスバ11と、前述の中間バスバ(第1中間バスバ12a,第2中間バスバ12b)と、本発明の「接地導体」に相当する接地バスバ13とをさらに備えている。バスバ10,11,13は、筐体Bca1〜3,Bcb1〜3,Bda1〜3,Bdb1〜3,Boを貫通して、電源ユニットCA1〜3,CB1〜3,DA1〜3,DB1〜3の隣接方向に沿って延びている。第1中間バスバ12aは、筐体Bca1〜3,Bda1〜3を貫通して、電源ユニットCA1〜3,DA1〜3の隣接方向に沿って延びている。また、第2中間バスバ12bは、筐体Bcb1〜3,Bdb1〜3を貫通して、電源ユニットCB1〜3,DB1〜3の隣接方向に沿って延びている。
【0027】
第1バスバ10は、第1引出バスバ4と、第1電流源2を構成する電源ユニットCA1〜3,CB1〜3の第1端子Cとに接続されている。第2バスバ11は、第2引出バスバ5と、第2電流源3を構成する電源ユニットDA1〜3,DB1〜3の第2端子Dとに接続されている。第1中間バスバ12aは、第1電流源2を構成する電源ユニットCA1〜3の第2端子Dと、第2電流源3を構成する電源ユニットDA1〜3の第1端子Cとに接続されている。第2中間バスバ12bは、第1電流源2を構成する電源ユニットCB1〜3の第2端子Dと、第2電流源3を構成する電源ユニットDB1〜3の第1端子Cとに接続されている。また、接地バスバ13は、第3引出バスバ6に接続されている。
【0028】
すなわち、第1中間バスバ12aは、電源ユニットCA1〜3,DA1〜3にのみ接続されており、外部に引き出されていない。第2中間バスバ12bは、電源ユニットCB1〜3,DB1〜3にのみ接続されており、外部に引き出されていない。また、接地バスバ13は、どの電源ユニットにも接続されていない。
【0029】
接地バスバ13は、第1バスバ10および第2バスバ11の間に配置されている。また、第1中間バスバ12aおよび第2中間バスバ12bは、第1バスバ10および接地バスバ13の間に配置されている。
【0030】
電源ユニットCA1〜3の第1端子Cから出力された電流は、第1バスバ10および第1引出バスバ4を通って電磁石Lに印加される。同様に、電源ユニットCB1〜3の第1端子Cから出力された電流は、第1バスバ10および第1引出バスバ4を通って電磁石Lに印加される。電源ユニットCA1〜3および電源ユニットCB1〜3が第1引出バスバ4の両側に分かれて配置されているので、第1バスバ10には、最大でもIu×3の電流しか流れない。なお、第1引出バスバ4には、Iu×6の電流が流れる。
【0031】
電磁石Lを通過した電流は、第2引出バスバ5および第2バスバ11を通って電源ユニットDA1〜3,DB1〜3の第2端子Dに到達する。電源ユニットDA1〜3および電源ユニットDB1〜3が第2引出バスバ5の両側に分かれて配置されているので、第2バスバ11には、最大でもIu×3の電流しか流れない。なお、第2引出バスバ5には、Iu×6の電流が流れる。
【0032】
電源ユニットDA1〜3の第1端子Cから出力された電流は、第1中間バスバ12aを通って電源ユニットCA1〜3の第2端子Dに到達する。同様に、電源ユニットDB1〜3の第1端子Cから出力された電流は、第2中間バスバ12bを通って電源ユニットCB1〜3の第2端子Dに到達する。このため、第1中間バスバ12aおよび第2中間バスバ12bには、最大でもIu×3の電流しか流れない。
【0033】
このように、本実施例に係る電源装置1Aでは、端部9において接地された接地バスバ13を電流経路として利用しない。また、電源装置1Aでは、第1バスバ10、第2バスバ11および中間バスバ12a,12bに流れる電流が、最大でもIu×3である(同じ数の電源ユニットを備えた従来の構成では、Iu×6)。したがって、電源装置1Aによれば、従来の構成よりもコモンモードノイズを低減することができる。
【0034】
[第2実施例]
図4に、本発明の第2実施例に係る電源装置1Bを示す。本実施例に係る電源装置1Bは、電源ユニットCA1〜3,CB1〜3,DA1〜3,DB1〜3の配置が第1実施例に係る電源装置1Aとは異なっているが、他の点においては第1実施例に係る電源装置1Bと共通している。
【0035】
すなわち、電源装置1Aでは、引出筺体Boの一方側に配置された電源ユニットCA1〜3および電源ユニットDA1〜3がそれぞれまとまって配置されているのに対し、電源装置1Bでは、電源ユニットCA1〜3および電源ユニットDA1〜3が1個ずつ交互に配置されている。より詳しくは、電源装置1Bでは、第1電流源2を構成する電源ユニットCA1の隣に第2電流源3を構成する電源ユニットDA1が配置され、さらにその隣に第1電流源2を構成する電源ユニットCA2が配置され、さらにその隣に第2電流源3を構成する電源ユニットDA2が配置され、さらにその隣に第1電流源2を構成する電源ユニットCA3が配置され、さらにその隣に第2電流源3を構成する電源ユニットDA3が配置されている。
【0036】
引出筺体Boの他方側についても同様である。
【0037】
本実施例に係る電源装置1Bでは、同一地点(第1および第2バスバ10,11上の任意の地点をそれぞれ地点X,Yとしたとき、第1バスバ10と第1引出バスバ4との接続点から地点Xまでの距離と、第2バスバ11と第2引出バスバ5との接続点から地点Yまでの距離とがほぼ等しい地点X、Y)において接地バスバ13を挟んで対向する第1バスバ10および第2バスバ11を流れる電流の差が比較的小さい。例えば、電源装置1Bでは、電源ユニットDA1の近傍において、第1バスバ10および第2バスバ11にIu×1の電流(ただし、向きは逆)が流れるが、第1実施例に係る電源装置1Aの電源ユニットDA1の近傍においては、第1バスバ10にはIu×3の電流が流れ、第2バスバ11にはIu×1の電流が流れる。したがって、本実施例に係る電源装置1Bによれば、第1実施例に係る電源装置1Aよりも、さらにコモンモードノイズを低減することができる。
【0038】
以上、本発明に係る電源装置の第1実施例および第2実施例について説明してきたが、本発明に係る電源装置は、これらの構成に限定されるものではなく、以下のような構成を有していてもよい。
【0039】
[第1変形例]
図5に、本発明の第1変形例に係る電源装置1Cを示す。本変形例に係る電源装置1Cは、電源ユニットCB1〜CB3および電源ユニットDB1〜DB3の配置が逆になっている点において第1実施例に係る電源装置1Aと異なっている。
【0040】
[第2変形例]
図6に、本発明の第2変形例に係る電源装置1Dを示す。本変形例に係る電源装置1Dは、個々の電源ユニットCB1〜CB3,DB1〜DB3が反転して配置されている(すなわち、第2端子Dが第1端子Cよりも引出筺体Boに近い)点において第1変形例に係る電源装置1Cと異なっている。
【0041】
[第3変形例]
図7に、本発明の第3変形例に係る電源装置1Eを示す。本変形例に係る電源装置1Eは、電源ユニットCB1および電源ユニットDB1の配置、電源ユニットCB2および電源ユニットDB2の配置、および電源ユニットCB3および電源ユニットDB3の配置が逆になっている点において第2実施例に係る電源装置1Bと異なっている。
【0042】
[第4変形例]
図8に、本発明の第4変形例に係る電源装置1Fを示す。本変形例に係る電源装置1Fは、個々の電源ユニットCB1〜CB3,DB1〜DB3が反転して配置されている(すなわち、第2端子Dが第1端子Cよりも引出筺体Boに近い)点において第3変形例に係る電源装置1Eと異なっている。
【0043】
[その他の変形例]
上記各実施例および各変形例では、第1電流源2および第2電流源3を構成する12個の電源ユニットCA1〜3,CB1〜3,DA1〜3,DB1〜3を6個の電源ユニットCA1〜3,DA1〜3と6個の電源ユニットCB1〜3,DB1〜3とに分割して配置したが、電源ユニットの数を4×n個(ただし、nは1以上の整数)とし、2×n個ずつに分割して配置してもよい。ただし、この2×n個の電源ユニットのそれぞれには、第1電流源2を構成する電源ユニットと第2電流源3を構成する電源ユニットとが均等に含まれていることが好ましい。
【0044】
また、第1中間バスバ12aおよび第2中間バスバ12bは、接地バスバ13および第2バスバ11の間に配置されていてもよい。さらに、第1中間バスバ12aおよび第2中間バスバ12bは、一方が第1バスバ10と接地バスバ13の間に配置され、他方が接地バスバ13と第2バスバ11の間に配置されていてもよい。
【0045】
また、接地バスバ13は、外部に引き出されることなく、引出筺体Boの内部で接地されてもよい。
【0046】
また、本発明に係る電源装置が駆動する負荷は、電磁石に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1A,1B,1C,1D,1E,1F 電源装置
2 第1電流源
3 第2電流源
4 第1引出バスバ(第1引出導体)
5 第2引出バスバ(第2引出導体)
6 第3引出バスバ(第3引出導体)
7 (第1引出バスバの)端部
8 (第2引出バスバの)端部
9 (第3引出バスバの)端部
10 第1バスバ(第1導体)
11 第2バスバ(第2導体)
12a 第1中間バスバ(第1中間導体)
12b 第2中間バスバ(第2中間導体)
13 接地バスバ(接地導体)
CA1,CA2,CA3,CB1,CB2,CB3 電源ユニット
DA1,DA2,DA3,DB1,DB2,DB3 電源ユニット
L 電磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10