(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
深海に賦存する海底鉱床の資源量調査では、海底に広がる鉱床の面積とその鉱床深さの積算から求められる鉱床体積、およびその鉱石に含まれる金属成分量から評価している。現状の資源量調査は、予め計画した鉱床の位置を予定深さまでコアボーリングし、コアを陸上に引き上げて成分分析を行っている。そのため、分析結果をリアルタイムに得られないため、鉱石が含まれない地点であっても、計画時の深さの試料を採取するなど、効率的に調査を進められず、余計な時間とコストが発生している。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、水中環境にある試料の成分をその場(In−Situ)で分析し得る成分分析装置が提案されている。同文献記載の成分分析装置は、耐圧機能を有するとともにレーザ光源および成分分析手段が収められた収容部と、水中環境にある試料に対向配置される光学系ヘッドと、レーザ光源から出射されたレーザ光を光学系ヘッドに導くために収容部から光学系ヘッドにまで延設された貫通耐圧機構付のファイバと、を備える。
【0004】
光学系ヘッドは、ファイバを介してレーザ光を試料に照射するとともに、レーザ光の照射により試料にて発生したプラズマ発光光をファイバに再入射させるミラー系を有する。また、この光学系ヘッドには、試料近傍を清浄化するための清浄化手段が付設されており、試料が堆積物等で覆われている場合には洗浄を行うことができる。成分分析手段は、ファイバに再入射したプラズマ発光光を分光分析可能に構成される。同文献記載の成分分析装置によれば、目的の試料にレーザ光の焦点を合わせ、水中環境にある試料の成分をその場で分析できるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同文献記載の成分分析装置は、試料の成分分析にかかる分析時間は短いものの、目的の試料にレーザ光の焦点を合わせる必要があるため、分析できる対象領域が非常に小さく、また、分析箇所が限定されるので、分析結果が安定しないという問題がある。そのため、鉱床評価に際し、多くの計測点が必要となる。
【0007】
また、同文献記載の成分分析装置は、目的の試料にレーザ光の焦点を合わせなければならず、さらに、試料が堆積物等で覆われている場合には洗浄を行う必要もある等、現場の試料に合わせた計測操作が非常に煩雑であるという問題がある。よって、同文献記載の技術は、資源量評価に充分な検査対象領域を確保するとともに、簡単な操作で高圧下の水中環境にある試料の成分をその場(In−Situ)で効率的に分析する上で未だ不十分である。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、高圧下の水中で試料の成分を効率的に分析できる成分分析装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る成分分析装置は、水中環境にある試料の成分を分析する成分分析装置であって、前記試料を水中で自身内部に導入可能な開口部が設けられた容器本体と、該容器本体の開口部に開閉可能に設けられた開閉蓋と、前記容器本体に導入された前記試料に対面する検査位置に設けられた検査窓と、を有する分析容器を備えるとともに、前記開閉蓋を閉じた状態での前記分析容器内の水圧を減圧用パイプを介して減圧可能に接続された減圧用容器と、前記減圧用パイプの連通状態を開通と遮断とに切り替える減圧用バルブと、非検査時に前記検査窓を水圧から保護する耐圧カバーと、前記分析容器内で前記耐圧カバーを非検査時の保護位置と検査時の退避位置とに移動させる耐圧カバー移動手段と、前記開閉蓋を閉じた状態での前記分析容器内外の圧力を均衡させる圧力均衡用バルブと、前記検査位置にある試料を前記検査窓を介して分析する成分分析手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る成分分析装置によれば、分析容器は、試料を水中で導入可能な開閉蓋を有する容器本体を備えるので、分析容器内に試料を水中で導入するとともに、試料を導入後に、開閉蓋を閉じで分析容器を密閉できる。そして、分析容器は、減圧用パイプを介して減圧用容器に接続され、減圧用パイプは、減圧用バルブにより連通状態を開通と遮断とに切り替え可能なので、開閉蓋を閉じた状態で、減圧用バルブで減圧用パイプを開通状態にすると、分析容器内の水圧を減圧用パイプから減圧用容器に逃がして分析容器内を減圧できる。
【0011】
そして、耐圧カバー移動手段で耐圧カバーを分析容器内で退避位置に移動させることにより、検査窓を検査可能な状態とし、成分分析手段により、検査位置に導入された試料を、検査窓を介して水中で検査できる。さらに、検査後は、耐圧カバー移動手段で耐圧カバーを保護位置に移動させて検査窓を保護し、その状態で圧力均衡用バルブを開くことにより、分析容器内外の圧力を均衡させることができる。したがって、本発明の一態様に係る成分分析装置によれば、資源量評価に充分な検査対象領域を水中で容易に確保でき、一連の分析作業簡単な操作で高圧下の水中環境にある試料の成分をIn−Situで効率的に分析できる。なお、本発明において、「水中」とは、水との接触状態を問わず「水のなか」の意である。
【0012】
ここで、本発明の一態様に係る成分分析装置において、前記成分分析手段が、蛍光X線分析器であれば、充分な検査対象領域を確保して試料を分析して評価する上で好適である。また、本発明の一態様に係る成分分析装置において、前記減圧用容器は、内部が真空状態または減圧状態にされていれば、分析容器に取り込まれた高圧水が低圧に減圧された減圧用容器に送られる水量を充分に確保する上で好適である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る成分分析装置において、前記分析容器を回動させる回動手段を更に備え、前記回動手段が、前記試料を、前記検査窓に対面する検査位置に移動または検査位置から除去するように前記分析容器を回動可能に構成されていれば、試料を検査窓に対面する検査位置に移動または検査位置から除去するように分析容器を回動できるため、単純な構造で試料の導入または排出を可能とする上で好適である。
【0014】
また、本発明の一態様に係る成分分析装置において、前記分析容器を振動させる超音波素子を更に備え、前記超音波素子が、前記試料を、前記検査窓に対面する検査位置に移動または検査位置から除去するように前記分析容器を振動可能に構成されていれば、超音波素子を備えることで、振動により試料の導入または除去が容易になるため、簡単に操作を行える構成として好適である。また、本発明の一態様に係る成分分析装置において、前記検査窓は、板厚が1mm以下のアクリル板であれば、充分な検査精度と耐圧構造を確保できる構成として好適である。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、高圧下の水中で試料の成分を効率的に分析できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0018】
本実施形態の成分分析装置は、
図1に示すように、分析容器10および減圧用容器4を備える。分析容器10および減圧用容器4は、円筒胴部と、その上下両端を覆う二つの凸球面部とをそれぞれ有する耐圧容器であり、例えば海底2000mでの水圧に耐えられるものである。減圧用容器4は、分析容器10を減圧するために、内部が真空状態または減圧状態とされている。
【0019】
分析容器10は、同図の姿勢(以下、「試料取得姿勢P1」ともいう)を基準とするとき、中央の円筒胴部と下側の凸球面部とが一体の容器本体1を構成し、上側の凸球面部が試料を取り込むための開閉蓋2を構成している。容器本体1の開口部と開閉蓋2との対向面には、円環状のフランジがそれぞれ設けられ、フランジ相互の間には密封用のシール21が介装されている。
また、フランジの一側端部には、開閉蓋2を連結支軸10jで回動可能に支持するヒンジ部10hが設けられている。連結支軸10jには、蓋開閉用モータ3の出力軸が連結されている。これにより、この分析容器10は、蓋開閉用モータ3の駆動により、連結支軸10jまわりに開閉蓋2を回動して容器本体1が開閉可能になっている。
【0020】
分析容器10と減圧用容器4とは、試料取得姿勢P1を基準として、円筒胴部の側面下部相互が、第一連通パイプ19によって繋がれている。第一連通パイプ19には、減圧用バルブ16が付設され、減圧用バルブ16は、バルブ駆動用モータ17の駆動により、第一連通パイプ19の連通状態を開通と遮断とに切り替え可能に構成されている。
【0021】
また、分析容器10の円筒胴部の側面下部には、第一連通パイプ19の連通する位置とは反対側に、分析容器10の内部に連通する第二連通パイプ20が接続されている。第二連通パイプ20の途中部分には、分析容器10内外の圧力を均衡させるための圧力均衡用バルブ14が付設されている。圧力均衡用バルブ14は、バルブ駆動用モータ15の駆動により、第二連通パイプ20の連通状態を開通と遮断とに切り替え可能に構成されている。
【0022】
また、分析容器10の内部には、試料取得姿勢P1を基準として、検査窓9よりも低い位置且つ第一連通パイプ19の連通位置よりも高い位置にフィルタ13が張り渡されている。フィルタ13は、分析したい試料の平均粒径を考慮したメッシュ構造を有し、同図の姿勢において、試料をフィルタ13上に保持しつつ、余分な海水を、メッシュ構造を通してフィルタ13下部から排出可能になっている。
【0023】
本実施形態の分析容器10の円筒胴部には、側面の中央部に、試料に対面させる円形の検査窓9が設けられている。検査窓9は、板厚1mm以下のアクリル板で形成され、X線および蛍光X線を透過させることができる。分析容器10の円筒胴部には、検査窓9に対面する位置に、円錐台状の試料収集凹部5kが形成されている。
また、分析容器10の内部には、検査窓9に対向する位置に、分析容器10の検査窓9を非検査時に保護する耐圧カバー12と、この耐圧カバー12を検査窓9との対向方向で進退させるアクチュエータである開閉シリンダ6と、が設けられている。耐圧カバー12と検査窓9との間には、検査窓9の周囲を囲繞する円環状をなす密封用のシール22が介装されている。
【0024】
さらに、本実施形態の成分分析装置は、分析容器10内の試料を移動させる移動手段として回動手段および振動手段を備える。回動手段は、同図に示すように、容器本体1の円筒胴部両側面に突設された一対の回動用支軸7と、一方の回動用支軸7に連結された装置回転用モータ8とを有する。一対の回動用支軸7は、軸受を介して不図示の支持筐体に支持されており、装置回転用モータ8の駆動により、成分分析装置全体を支持筐体に対して回動させることができる。
【0025】
本実施形態では、後述する分析手順で説明するように、試料を、分析容器10の検査窓9に対面する試料収集凹部5k内に設置するための試料検査姿勢P2(
図6参照)、および、試料収集凹部5k内から除去するための試料排出姿勢P3(
図7参照)に、分析容器10を回動させることができる。振動手段は、分析容器10を振動させる超音波素子11を備える。超音波素子11は、試料収集凹部5kの周囲を囲うように配置されており、試料Sを、分析容器10の検査窓9に対面する位置に設置または除去するように分析容器10を振動させることができる。
【0026】
さらに、分析容器10の円筒胴部には、検査窓9の外側の位置に、蛍光X線分析器5が装着されている。蛍光X線分析器5は、分析容器10内の試料を、検査窓9を介して分析する成分分析手段である。蛍光X線分析器5の周囲は、計器用耐圧容器18で覆われており、計器用耐圧容器18の内部が、海底および海中など高圧下の水中環境の影響を受けないように保護されている。
【0027】
本実施形態の蛍光X線分析器5は、
図2に示すように、照射部5a、検出部5bおよび元素分析部5d、並びにカメラ5cを有する。カメラ5cは、検査窓9に対向配置され、検査窓9を介して試料収集凹部5k内を撮像し、試料収集凹部5kの試料の有無を確認可能になっている。照射部5aは、検査窓9に対向配置され、検査窓9を介して分析容器10内の、試料収集凹部5kに存する試料に一次X線を照射可能になっている。また、検出部5bは、照射部5aに隣接して検査窓9に対向配置され、一次X線の照射によって試料収集凹部5k内の試料から発生する蛍光X線を、検査窓9を介して検出可能になっている。元素分析部5dは、検出部5bでの蛍光X線の検出結果に基づいた元素分析が可能に構成されている。元素分析部5dからは、ケーブル5eが、計器用耐圧容器18の後部から外部に導出されている。
【0028】
本実施形態の成分分析装置は、海上の母船側に設けられる、不図示の制御用コンピュータを備えている。蛍光X線分析器5から導出されたケーブル5eは、母船との間で必要な電力の供給および分析結果の情報を出力可能なように、ケーブル5eを介して母船側の制御部である制御用コンピュータに接続されている。
そして、本実施形態の成分分析装置は、制御用コンピュータが実行する成分分析処理により、上述した、蓋開閉用モータ3、蛍光X線分析器5、開閉シリンダ6、回動用モータ8およびバルブ駆動用モータ15、17が適宜制御され、後述する分析手順に従った成分分析処理が実行されるようになっている。
【0029】
なお、周知の蛍光X線分析器は、試料を構成する元素(原子)に一次X線を当て、これにより、試料中に存する元素からその元素固有のエネルギーを持つ蛍光X線を発生させる。そして、この発生した蛍光X線(特性X線)を分光して得られたスペクトルから、試料中に含まれる元素とその量に係る情報を分析する装置であるところ、本実施形態の蛍光X線分析器5もこれと同様の原理に基づくものである。
ここで、本実施形態の蛍光X線分析器5で分析したい試料は、例えば海底鉱床のスラリー中の金属であって、主に、金、銀、銅といった重金属なので、検査窓9を構成するアクリル板に蛍光X線を透過させても所期の分析が可能である。
【0030】
次に、本実施形態の成分分析装置による分析手順について詳しく説明する。
本実施形態の成分分析装置は、例えば海底や海中など高圧下の水中環境にて使用される。また、本実施形態の成分分析装置は、例えば海中で海底鉱床の資源量調査に適用される。海底鉱床の所期の位置に成分分析装置の支持筐体が設置されると、海上の母船側では、制御用コンピュータが成分分析処理を開始する。
【0031】
制御用コンピュータで成分分析処理が実行されると、成分分析装置は、制御用コンピュータからの制御指令に応じ(以下同様)、まず、
図3に示すように、試料取得姿勢P1にて、蓋開閉用モータ3を開き方向ROに駆動して分析容器10の開閉蓋2を高圧状態PHの下で開き、掘削機Dからの試料Sを分析容器10の容器本体1内に取得する(試料取得工程)。分析容器10内では、フィルタ13上に試料Sを留めることができる。なお、掘削機Dとしては、例えば水圧駆動のダウンザホールドリルを採用すれば、粒度分布がある程度整えられたスラリー状の試料Sを連続的に回収できるので好ましい。
【0032】
次いで、成分分析装置は、
図4に示すように、蓋開閉用モータ3を閉じ方向RCに駆動して高圧下PHにて開閉蓋2を閉じる。その後に、バルブ駆動用モータ17を開き方向に駆動して減圧用バルブ16を開け、分析容器10内から極少量の海水を減圧用容器4内に排出する。これにより、分析容器10の容器本体内が減圧状態PLになる(分析容器内減圧工程)。
【0033】
次いで、成分分析装置は、
図5に示すように、バルブ駆動用モータ17を閉じ方向に駆動して減圧用バルブ15を閉じ、その後に、開閉シリンダ6の後退方向Mtへの短縮駆動により、減圧状態PLの分析容器10内で耐圧カバー12を後退させて試料収集凹部5kを開く(耐圧カバー開工程)。
【0034】
次いで、
図1(a)に示した装置回転用モータ8を正転方向に駆動し、
図6に示すように、装置全体を、回動用支軸7周りで第一回動動作R1の方向に所定量(同図の例では90度)だけ回動させて試料検査姿勢P2にする。このとき、超音波素子11を同時に作動させて、分析容器10の試料収集凹部5kの周囲にて所期の範囲を振動させる。これにより、試料Sを自重および超音波素子11の振動により試料収集凹部5k内の検査窓9上に集める。
そして、蛍光X線分析器5に内蔵されたカメラ5cが撮像した画像から検査窓9内の試料Sの有無を確認し、試料Sが検査窓9内に確認されたら、蛍光X線分析器5により成分分析を行う。分析結果はケーブル5eを介して制御用コンピュータに送られる(成分分析工程)。
【0035】
成分分析装置は、成分分析を終了後、装置回転用モータ8を正転方向に更に駆動し、
図7に示すように、装置全体を、回動用支軸7周りで第二回動動作R2の方向に所定量(同図の例では90度)だけ回動させ試料排出姿勢P3にする。このとき、検査窓9上の試料収集凹部5k内およびその付近に試料Sが残らないように、超音波素子11を駆動して検査窓9付近に振動を与える。
【0036】
これにより、試料Sを自重および超音波素子11の振動により開閉蓋2の凹部内に落下させる。カメラ5cが撮像した画像から検査窓9内の試料Sの有無を確認し、試料Sの落下が確認されたら、開閉シリンダ6の前進方向Mcへの伸長駆動により、減圧状態PLの分析容器10内で耐圧カバー12を前進させて試料収集凹部5kを閉じる(耐圧カバー閉工程)。
【0037】
次いで、成分分析装置は、
図8に示すように、バルブ駆動用モータ15の開き方向への駆動により圧力均衡用バルブ14を開け、分析容器10内の圧力を分析容器10の外の高圧状態PHに復圧させる(分析容器内復圧工程)。最後に、
図9に示すように、バルブ駆動用モータ15を閉じ方向に駆動して圧力均衡用バルブ14を閉じ、その後に、蓋開閉用モータ3を開き方向ROに駆動して開閉蓋2を開き、試料Sを分析容器10内から外部に排出する(試料排出工程)。その後、装置回転用モータ8を逆転方向に駆動して、
図3に示した初期の試料取得姿勢P1に成分分析装置の姿勢を復帰させる。
【0038】
次に、本実施形態の成分分析装置の作用・効果について説明する。
本実施形態の成分分析装置によれば、分析容器10は、試料Sを水中で導入可能な開閉蓋2を有する容器本体1を備えているので、分析容器10内に試料を水中で導入するとともに、試料Sを導入後に、開閉蓋2を閉じで分析容器10を密閉できる。
そして、分析容器10は、減圧用の第一連通パイプ19を介して減圧用容器4に接続され、第一連通パイプ19は、減圧用バルブ16により連通状態を開通と遮断とに切り替え可能なので、開閉蓋2を閉じた状態で、減圧用バルブ16で第一連通パイプ19を開通状態にすると、分析容器10内の水圧を第一連通パイプ19から減圧用容器4に逃がして分析容器10内を減圧できる。
【0039】
そして、耐圧カバー移動手段である開閉シリンダ6で耐圧カバー12を分析容器10内で退避位置に移動させることにより、検査窓9を検査可能な状態とし、成分分析手段である蛍光X線分析器5により、検査位置である試料収集凹部5kに導入された試料Sを、検査窓9を介して水中で検査できる。
さらに、検査後は、開閉シリンダ6で耐圧カバー12を保護位置に移動させて検査窓9を保護し、その状態で圧力均衡用バルブ14を開くことにより、分析容器19内外の圧力を均衡させることができる。したがって、本実施形態の成分分析装置によれば、資源量評価に充分な検査対象領域を水中で容易に確保でき、一連の分析作業簡単な操作で高圧下の水中環境にある試料の成分をIn−Situで効率的に分析できる。
【0040】
特に、この成分分析装置によれば、成分分析手段として蛍光X線分析器5を採用しているので、充分な検査対象領域を確保して試料Sを分析して評価できる。また、検査窓9が、板厚1mm以下のアクリル板なので、充分な検査精度を確保できる。また、減圧用容器4は、内部が真空状態または減圧状態に管理されているので、耐圧容器に取り込まれた高圧水を低圧に減圧された減圧用容器4へと送られる水量を充分確保できる。
【0041】
また、この成分分析装置によれば、試料Sを分析容器10の検査窓9に対面する位置に設置または除去するように分析容器10を回動させる回動手段を有するので、分析容器10の検査窓9に試料Sを設置および除去するために分析容器10を回動することで、単純な構造で試料の配置および排出できる。
また、この成分分析装置によれば、試料Sを分析容器10の検査窓9に対面する位置に設置または除去するように分析容器10を振動させる超音波素子11を有するので、超音波素子11を備えることで、振動により試料Sの設置および除去が容易になる。そのため、簡単に操作を行える構成として優れている。
【0042】
以上説明したように、この成分分析装置によれば、資源量評価に充分な検査対象領域を確保でき、簡単な操作で高圧下の水中環境にある試料の成分をIn−Situで効率的に分析できる。なお、本発明に係る成分分析装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。