(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変更時間算出部は、前記演奏時間が所定値よりも短い場合、前記演奏時間を除するセント値を、前記キー変更情報のセント値よりも小さい値に変更し、当該変更したセント値で前記演奏時間を除することにより、前記所定のセント値あたりの変更時間を算出することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
後述する明細書及び図面の記載から、上記の主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0014】
すなわち、前記所定のセント値が1セントであるカラオケ装置が明らかとなる。所定のセント値を1セントとすることにより、カラオケ装置は聴衆が認識し難いようにキー変更を行うことができる。
【0015】
また、前記変更時間算出部は、前記演奏時間が所定値よりも短い場合、前記演奏時間を除するセント値を、前記キー変更情報のセント値よりも小さい値に変更し、当該変更したセント値で前記演奏時間を除することにより、前記所定のセント値あたりの変更時間を算出するカラオケ装置が明らかとなる。このようなカラオケ装置によれば、歌唱者が歌唱し易くなるようキー変更を行うことができる。
【0016】
更に、歌唱者に対し、前記キー変更処理部により前記キーが変更されたことを提示する提示部を有するカラオケ装置が明らかとなる。このようなカラオケ装置によれば、キー変更が行われていることを歌唱者が把握し易くなる。
【0017】
<実施形態>
図1〜
図5を参照して、実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。
【0018】
==カラオケ装置==
カラオケ装置1は、歌唱者が選曲した楽曲のカラオケ演奏及び歌唱者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0019】
スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は歌唱者の歌唱音声(マイク40からの入力音声)をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。
【0020】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。
図1に示すように、カラオケ本体10は、制御部11、通信部12、記憶部13、音響処理部14、表示処理部15及び操作部16を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0021】
制御部11は、CPU11aおよびメモリ11bを備える。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0022】
通信部12は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体10を通信回線に接続するためのインターフェースを提供する。
【0023】
記憶部13は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶部13は、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを記憶する。
【0024】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲IDが付与されている。楽曲データは、演奏データ、リファレンスデータ、演奏区間データ、時間データ等を含む。演奏データは、カラオケ演奏音の元となるMIDI形式のデータである。リファレンスデータは、歌唱者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準として用いられるデータである。演奏区間データは、各楽曲に含まれる演奏区間(たとえば、1番のAメロ、1番のBメロ、1番のサビ、間奏、2番のAメロ、2番のBメロ、2番のサビ、3番のAメロ、3番のBメロ、3番のサビ)を示すデータである。演奏区間データは、各演奏区間の開始位置を示す演奏マークデータを含む。各演奏区間は、演奏マークデータを参照することで識別できる。時間データは、楽曲の演奏開始時を0とした場合に、楽曲のある演奏位置までの経過時間を示すデータである。時間データは、楽曲に含まれる演奏区間毎或いは音符毎に設定されている。たとえば、ある音符の時間データは、楽曲の演奏開始から当該ある音符までの経過時間を示す。或いは、ある演奏区間の時間データは、楽曲の演奏開始から当該ある演奏区間の演奏開始位置(または終了位置)までの経過時間を示す。
【0025】
また、記憶部13は、各楽曲に対応する歌詞テロップを表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景画像等の背景画像データ、及び楽曲の属性情報(歌手名、作詞・作曲者名、ジャンル等の当該楽曲に関する情報)を記憶する。
【0026】
音響処理部14は、制御部11の制御に基づき、楽曲に対するカラオケ演奏の制御およびマイク40を通じて入力された歌唱音声信号の処理を行う。音響処理部14は、たとえばMIDI音源、ミキサ、アンプ(いずれも図示なし)を含む。制御部11は、予約された楽曲の演奏データを、テンポクロック信号に基づいて順次読み出し、MIDI音源に入力する。MIDI音源は、当該演奏データに基づいて楽音信号を生成する。ミキサは、当該音楽信号およびマイク40から出力される音声信号を適当な比率でミキシングしてアンプに出力する。アンプは、ミキサからのミキシング信号を増幅し、放音信号としてスピーカ20へ出力する。これにより、スピーカ20からは放音信号に基づくカラオケ演奏音およびマイク40からの歌唱音声が放音される。
【0027】
表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、表示装置30における各種表示に関する処理を行う。たとえば、表示処理部15は、カラオケ演奏時における背景映像に歌詞テロップや各種アイコンが重ねられた映像を表示装置30に表示させる制御を行う。
【0028】
操作部16は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、歌唱者によるカラオケ装置1のパネルスイッチあるいはリモコン装置50の操作に応じて選曲信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部11に対して出力する。制御部11は、操作部16からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0029】
リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。歌唱者はリモコン装置50を用いてカラオケ歌唱を希望する楽曲の選曲(予約)等を行うことができる。
【0030】
図2は、リモコン装置50のハードウェア構成を示す図である。リモコン装置50は、記憶部50a、通信部50b、表示部50c、操作部50d及び制御部50eを備える。
【0031】
記憶部50aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。通信部50bは、リモコン装置50とカラオケ本体10とを接続するためのインターフェースを提供する。表示部50cは楽曲を予約するための予約画面等が表示される。操作部50dは、リモコン装置50に対して各種入力を行うための構成である。操作部50dは、リモコン装置50のハードウェア上に設けられるボタン等であってもよいし、表示部50cに表示されるアイコンであってもよい。制御部50eは、リモコン装置50における各種の制御を行う。制御部50eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。なお、カラオケ本体10の制御部11が制御部50eの機能を兼ねることでもよい。
【0032】
ここで、リモコン装置50を介して楽曲のキーを変更する入力を行う例について述べる。
【0033】
リモコン装置50においては、たとえば、
図3Aに示すようなキー変更操作画面から従来と同様のキー変更の入力が可能である。
図3Aに示される「+」アイコンはキーを半音ずつ上げる指示を行うためのアイコンに相当し、「−」アイコンはキーを半音ずつ下げる指示を行うためのアイコンに相当する。たとえば、歌唱者により「+」アイコンが1回選択された場合、制御部50eは、画面に「+1」と表示させる(
図3A参照)。また、制御部50eは、キーを半音(100セント)上げるようカラオケ本体10に指示を行う。
【0034】
一方、本実施形態におけるカラオケ装置1では、従来のキー変更に加え、それとは異なるキー変更の入力が可能となっている。従来とは異なるキー変更を行う場合、歌唱者は専用のアイコン(
図3Aに表示された「ゆっくりキーチェンジ」アイコン)を選択する。この場合、制御部50eは、
図3Bに示す専用画面を表示させる。
【0035】
図3Bに示す専用画面においては、キー変更情報及び位置情報の選択が可能となっている。
【0036】
キー変更情報は、楽曲に予め設定されているキーを所定のキーに変更するためのセント値を含む情報である。キー変更情報は、予め設定されているキーからキーをどれくらい変更したいかを示す。
【0037】
たとえば、
図3Bに示すように、制御部50eは、変更可能なキーとして「−6」〜「+6」の数値アイコンを表示する。「+」はキーを上げることに対応し、「−」はキーを半音下げることに対応する。また、「1〜6」の数字は半音(100セント)に対応する。たとえば「+2」は、予め設定されているキーを1音(200セント)上げることに対応する。歌唱者は、これらの数値アイコンの中から任意のアイコンを選択する。制御部50eは、選択された数値アイコンに基づいて、キーの上げ下げ、及びどれくらいキーを変更するかを決定する。すなわち、キー変更情報は、キーを上げるか下げるかの情報及び変更するセント値を含む情報である。上記例において選択されたアイコンが示すキー(たとえば「+2」)は、「所定のキー」に相当する。
【0038】
位置情報は、楽曲の演奏区間中において所定のキーへの変更を完了させる変更完了位置を含むものである。
【0039】
たとえば、
図3Bに示すように、制御部50eは、現在カラオケ演奏されている楽曲に含まれる演奏区間を位置アイコンとして表示する。歌唱者は、これらの位置アイコンの中から任意の位置アイコン(任意の位置)を選択する。制御部50eは、選択された位置アイコンに対応する演奏区間の開始位置又は終了位置を変更完了位置として決定する。なお、制御部50eは、既にカラオケ演奏が終了している演奏区間については、歌唱者が選択できないように表示させることも可能である。
図3Bの例では選択できない演奏区間を斜線で示す。
【0040】
ここで、
図3Bのような専用画面を表示させるにあたり、リモコン装置50は、カラオケ演奏されている楽曲の演奏区間データ及び時間データが必要となる。そこで、カラオケ本体10は、楽曲のカラオケ演奏を開始する前に当該楽曲の演奏区間データ及び時間データをリモコン装置50に送信する。
【0041】
歌唱者により
図3Aに示す「ゆっくりキーチェンジ」のアイコンが選択された場合、制御部50eは、演奏区間データに基づいて、位置情報を表示させる。また、歌唱者により
図3Aに示す「ゆっくりキーチェンジ」のアイコンが選択された場合、制御部50eは、その旨の信号をカラオケ本体10に送信する。カラオケ本体10は、カラオケ演奏開始からの経過時間を制御部50eに送信する。制御部50eは、当該経過時間と演奏区間毎の時間データを比較することにより、現在のカラオケ演奏が行われている演奏区間を把握できる。制御部50eは、当該把握した演奏区間以前の演奏区間の位置アイコンを選択できないように表示させる。
【0042】
歌唱者は、数値アイコン及び位置アイコンの選択が完了した後、「決定」アイコンを選択する。リモコン装置50は、選択された数値アイコンが示す「キーを上げるか下げるか」及び「変更するセント値」をキー変更情報として、また選択された位置アイコンが示す「変更完了位置」を位置情報として、それぞれカラオケ本体10に送信する。
【0043】
なお、上記選択のうち、キー変更情報に対応する選択は、カラオケ本体10の操作部16を介して行うことでもよい。
【0044】
また、リモコン装置50は、歌唱者が所有する携帯端末で同様の機能を実現することでもよい。たとえば、予めダウンロードされた専用アプリケーションソフトウェアを携帯端末で実行することにより、当該携帯端末をリモコン装置として使用することができる。
【0045】
リモコン装置50におけるキー変更の入力操作は聴衆に知られる可能性がある。一方、個人が所有する携帯端末であれば、歌唱中に操作していたとしても違和感がないため、聴衆はキー変更の入力操作がなされたことを把握しにくい。よって、キー変更の選択がなされたことをより気付き難くなる。
【0046】
(ソフトウェア構成)
図4はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、受付部100、演奏時間算出部200、変更時間算出部300、キー変更処理部400、演奏処理部500、及び提示部600を備える。受付部100、演奏時間算出部200、変更時間算出部300、キー変更処理部400、演奏処理部500、及び提示部600は、CPU11aがメモリ11bに記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
[受付部]
受付部100は、キー変更情報及び位置情報を受け付ける。
【0048】
受付部100は、通信部12を介し、リモコン装置50が送信したキー変更情報及び位置情報を受け付ける。受付部100は、受け付けたキー変更情報を変更時間算出部300に出力し、受け付けた位置情報を演奏時間算出部200に出力する。以下の例では、受け付けたキー変更情報が「キーを200セント下げる(所定のキー:1音下げ)」であり、位置情報が「2番のBメロの終了位置」であるとして説明を行う。
【0049】
[演奏時間算出部]
演奏時間算出部200は、楽曲の演奏区間中における変更開始位置から変更完了位置までの演奏時間を算出する。
【0050】
変更開始位置は、受付部100が位置情報を受け付けた時点(或いは演奏時間算出部200が位置情報の入力を受けた時点)以降の演奏区間における位置である。変更開始位置は、音符単位で特定されてもよいし、現在カラオケ演奏されている音符が含まれる演奏区間の終了位置、または現在カラオケ演奏されている音符が含まれる演奏区間の次の演奏区間の開始位置で特定されてもよい。
【0051】
演奏時間算出部200は、時間データに基づいて、変更開始位置における時間及び位置情報が示す変更完了位置における時間を特定し、その差分を求めることにより演奏時間を算出する。
【0052】
たとえば、位置情報を受け付けた時点が1番のBメロのカラオケ演奏時であったとする。この場合、演奏時間算出部200は、時間データに基づいて、1番のBメロの次の演奏区間である1番のサビ開始位置(変更開始位置に相当する)の時間が演奏開始から72秒後であると特定する。また、演奏時間算出部200は、時間データに基づいて、変更完了位置に相当する2番のBメロ終了位置の時間が演奏開始から168秒後であると特定する。この場合、演奏時間算出部200は、其の差分(168秒−72秒)である96秒を演奏時間として算出する。
【0053】
演奏時間算出部200は、算出した演奏時間を変更時間算出部300に出力する。
【0054】
[変更時間算出部]
変更時間算出部300は、算出された演奏時間をキー変更情報に基づくセント値で除することにより、所定のセント値あたりの変更時間を算出する。
【0055】
キー変更情報に基づくセント値は、キー変更情報に含まれるセント値によって決定される。たとえば、キー変更をゆっくりと行いたい場合、このセント値は、歌唱者が選択した所定のキーが示すセント値に設定することが好ましい。
【0056】
所定のセント値は、変更時間毎に変更するセント値を決定するための値である。上述の通り、算出された演奏時間を除するセント値を「200」とした場合、所定のセント値は、「1」となる。すなわち、変更時間算出部300は1セントあたりの変更時間を算出する。
【0057】
たとえば、上記例において、演奏時間算出部200から演奏時間として「96秒」の入力を受けた場合、変更時間算出部300は、この演奏時間をキー変更情報に基づくセント値(200セント)で除することにより、1セントあたりの変更時間として「0.48秒」を算出する。
【0058】
変更時間算出部300は、算出した変更時間をキー変更処理部400に出力する。
【0059】
[キー変更処理部]
キー変更処理部400は、変更時間毎に、予め設定されているキーから所定のセント値ずつキーを変更した演奏データを生成する。
【0060】
たとえば、算出された変更時間が「0.48秒」、所定のセント値が「1」の場合を例に説明する。キー変更処理部400は、テンポクロック信号に基づいて読み出した楽曲Aの演奏データs1(キーは予め設定されたもの)に対し、1セントだけキーを下げた演奏データs´1を生成する。キー変更処理部400は、生成した演奏データs´1を演奏処理部500に出力する。
【0061】
また、演奏データs´1を生成した0.48秒後、キー変更処理部400は、テンポクロック信号に基づいて読み出した楽曲Aの演奏データs2に対し、演奏データs´1のキー(予め設定されたキーから1セントだけキーを下げたもの)よりも更に1セントだけキーを下げた演奏データs´2を生成する。キー変更処理部400は、生成した演奏データs´2を演奏処理部500に出力する。キー変更処理部400は、所定のキー(1音下げ)になるまでこの処理を繰り返す。なお、所定のキーになる時点は、変更完了位置までカラオケ演奏が行われる時点である。
【0062】
[演奏処理部]
演奏処理部500は、演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う。
【0063】
たとえば、演奏処理部500は、予約楽曲の楽曲IDの入力を受けると、当該楽曲IDに対応する楽曲データを記憶部13から読み出し、予約楽曲のカラオケ演奏を行う。
【0064】
ここで、本実施形態に係る演奏処理部500は、キーが変更された演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う。
【0065】
上述の通り、キー変更処理部400から0.48秒毎にキーが1セントずつ下げられた演奏データの入力を受けた場合、演奏処理部500は、それらの演奏データを順次音響処理部14(MIDI音源)に入力する。この場合、音響処理部14からは、1セントずつキーが下がった演奏音が放音される。
【0066】
[提示部]
提示部600は、歌唱者に対し、キー変更処理部400によりキーが変更されたことを提示する。
【0067】
たとえば、キー変更処理部400は、演奏処理部500にキー変更した演奏データを出力する都度、その旨の信号を提示部600に出力する。当該信号の入力を受けた場合、提示部600は、歌唱者が把握できる態様でキー変更を提示する。
【0068】
提示の態様は様々である。たとえば、提示部600は、キー変更処理部400から信号を受信した場合、カラオケ本体10に設けられているボリュームつまみ(操作部16の一例)のLED照明を点滅させる。或いは、リモコン装置50の代わりに携帯端末を利用している場合、提示部600は、キー変更処理部400から信号を受信した場合、携帯端末のバイブレーション機能を駆動させる。
【0069】
==カラオケ装置1の動作について==
次に、
図5を参照して本実施形態におけるカラオケ装置1の動作の具体例について述べる。
図5は、カラオケ装置1の動作例を示すフローチャートである。この例では、歌唱者がカラオケ演奏中に、聴衆に気づかれないようにキーの変更をしたいと考えたとする。
【0070】
リモコン装置50は、歌唱者が選択したキー変更情報及び位置情報をカラオケ本体10に送信する。受付部100は、キー変更情報及び位置情報を受け付ける(キー変更情報等の受付。ステップ10)受付部100は、ステップ10で受け付けたキー変更情報を変更時間算出部300に出力し、位置情報を演奏時間算出部200に出力する。
【0071】
演奏時間算出部200は、楽曲の演奏区間中における変更開始位置からステップ10で受け付けた位置情報に基づく変更完了位置までの演奏時間を算出する(演奏時間の算出。ステップ11)。演奏時間算出部200は、算出した演奏時間を変更時間算出部300に出力する。
【0072】
変更時間算出部300は、ステップ11で算出された演奏時間をステップ10で受け付けたキー変更情報に基づくセント値で除することにより、1セントあたりの変更時間を算出する(変更時間の算出。ステップ12)。変更時間算出部300は、算出した1セントあたりの変更時間をキー変更処理部400に出力する。
【0073】
キー変更処理部400は、ステップ12で算出された変更時間毎に、予め設定されているキーから1セントずつキーを変更した演奏データを生成する(1セントずつキーを変更した演奏データを生成。ステップ13)。キー変更処理部400は、生成した演奏データを演奏処理部500に出力する。
【0074】
演奏処理部500は、ステップ13で生成されたキーが変更された演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う(1セントずつキーを変更しながらカラオケ演奏。ステップ14)。
【0075】
ステップ13及びステップ14の処理は、所定のキーに変更されるまで(ステップ15がYの場合)、繰り返し行われる。
【0076】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1は、リモコン装置50で入力されたキー変更情報及び位置情報を受け付ける受付部100と、変更開始位置から変更完了位置までの演奏時間を算出する演奏時間算出部200と、算出された演奏時間をキー変更情報に基づくセント値で除することにより、所定のセント値あたりの変更時間を算出する変更時間算出部300と、変更時間毎に、予め設定されているキーから所定のセント値ずつキーを変更した演奏データを生成するキー変更処理部400と、キーが変更された演奏データに基づいてカラオケ演奏を行う演奏処理部500と、を有する。
【0077】
このようなカラオケ装置1によれば、従来のキー変更処理のように、キー変更の入力に応じて一度に半音のキーが切り替わるのではなく、所定のセント値ずつ、徐々にキーを変更することができる。従って、聴衆はキーが変更されたことに気が付きにくい。また、歌唱者が希望する位置(変更完了位置。たとえば、サビの前)までに所定のキーに変更できるため、歌唱者はカラオケ歌唱を楽しむことが可能となる。
【0078】
また、変更するセント値を1セントとすることにより、聴衆はキー変更が行われていることをより気付き難くなる。
【0079】
一方、本実施形態によるカラオケ装置1のように、キー変更を徐々に行う場合、キー変更を指示した歌唱者自身がキー変更されているかどうかを気付き難くなる可能性がある。そこで、提示部600は、歌唱者に対してキーが変更されたことを提示することができる。従って、歌唱者はキー変更が実際に行われていることを容易に把握することが可能となる。
【0080】
<その他>
歌唱者が選択した変更完了位置が変更開始位置と近い場合、演奏時間算出部200によって算出される演奏時間が短くなる。このような場合に、上記実施形態と同様に1セントずつキーを変更すると、変更時間が極めて短くなる。従って歌唱者は短時間で細かいキー変更を要求されることになるため、カラオケ歌唱し難いと感じる可能性がある。
【0081】
そこで、変更時間算出部300は、演奏時間が所定値よりも短い場合、演奏時間を除するセント値を、キー変更情報のセント値よりも小さい値に変更し、当該変更したセント値で演奏時間を除することにより、所定のセント値あたりの変更時間を算出することができる。
【0082】
所定値は、任意の時間として設定される。所定値は、楽曲毎に設定されていてもよいし、共通の値が設定されていてもよい。たとえば、ある楽曲における演奏区間のうち、最も短い演奏区間の開始から終了までの演奏時間を所定値として設定することができる。
【0083】
キー変更情報のセント値をどれくらい小さい値にするかは、一の変更時間でどれくらいキーを変更したいかにより任意に決定できる。或いは、予め所定の割合(たとえば、10分の1)が決められていてもよい。一の変更時間に変更されるセント値が大きくなればなるほど、聴衆はキー変更がなされたことを気付きやすくなるが、一方で歌唱者は歌唱し易くなる。このように変更したセント値も「キー変更情報に基づくセント値」に相当する。
【0084】
たとえば、演奏時間が「30秒」、キー変更情報に基づくセント値が「100セント」であるとする。また、所定値として「60秒」が設定されているとする。
【0085】
まず、変更時間算出部300は、演奏時間が所定値よりも短いかどうかを確認する。演奏時間が所定値よりも短い場合、変更時間算出部300は、演奏時間(30秒)を除するセント値を、キー変更情報に基づくセント値(100セント)よりも小さい値(たとえば、10セント)に変更する。そして、変更時間算出部300は、変更したセント値(10セント)で演奏時間(30秒)を除することにより、所定のセント値(10セント)あたりの変更時間(3秒)を算出することができる。
【0086】
このようなカラオケ装置1によれば、一の変更時間に変更されるセント値を大きくすることができるため、歌唱者はカラオケ歌唱が行い易くなる。
【0087】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。