特許第6796540号(P6796540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796540
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/16 20060101AFI20201130BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B60N2/16
   B60N2/06
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-84711(P2017-84711)
(22)【出願日】2017年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-177168(P2018-177168A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 知子
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−188235(JP,U)
【文献】 実開平4−37024(JP,U)
【文献】 特開平9−164870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/90
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
前記シートクッションを昇降可能に且つ昇降に連動してフロアに沿って進退可能に支持するロアフレームと、
前記ロアフレームのうち前記シートクッションの側部と前記フロアとの間に配置されているロアサイドフレームを覆うフィニッシャと、
前記シートクッションの側部から垂下され且つ下側縁部が前記フィニッシャに係合されており、前記シートクッションの昇降に応じて展延され、また折り畳まれる可撓なカバーと、
を備え、
前記フィニッシャは、前記カバーの前記下側縁部を前記シートクッションの進退方向に移動可能にガイドするガイド部を有し、
前記カバーの前記下側縁部は、前記シートクッションの進退方向に移動可能に前記ガイド部と係合する被ガイド部を有する乗り物用シート。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用シートであって、
前記フィニッシャは、前記ロアサイドフレームの上に被さる天板部を有し、
前記フィニッシャの前記ガイド部は、前記天板部に設けられている乗り物用シート。
【請求項3】
請求項2記載の乗り物用シートであって、
前記シートクッションの進退方向は、シート前後方向と交差している乗り物用シート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の乗り物用シートであって、
前記カバーの前記下側縁部は、当該下側縁部のシート前後方向全長に亘って延びる補強プレートを有する乗り物用シート。
【請求項5】
請求項4記載の乗り物用シートであって、
前記補強プレートは、前記下側縁部の前記フィニッシャとの対向面に設けられている乗り物用シート。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項記載の乗り物用シートであって、
前記フィニッシャの前記ガイド部は、前記シートクッションの進退方向に延びるスリット及び前記スリットの長手方向に移動可能に前記スリットと係合するピンのいずれか一方を含み、
前記カバーの前記被ガイド部は、前記スリット及び前記ピンのいずれか他方を含む乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される乗り物用シートとして、シートクッションが昇降され且つ昇降に連動してフロアに沿って進退されるシートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたシートは、シートクッションを昇降させるリフターを備え、リフターは、ロアサイドフレームによって回動可能に支持された前側リンク及び後側リンクを含む。前側リンク及び後側リンクが回動することにより、シートクッションは昇降され且つ昇降に連動してフロアに沿ってシート前後方向に進退される。
【0004】
そして、特許文献1に記載されたシートは、シートクッションの側部から垂下された可撓なカバーと、ロアサイドフレームの長手方向すなわちシート前後方向に移動可能にロアサイドフレームによって支持された摺動部材とをさらに備える。カバーの下側縁部は摺動部材に取り付けられており、例えば乗員が不意にカバーを押してしまった場合などにカバーを押す乗員の手がカバーと共にシートクッションの側部とロアサイドフレームとの間に差し込まれることが防止されている。
【0005】
そして、摺動部材がシート前後方向に移動可能にロアサイドフレームによって支持されており、シートクッションのシート前後方向の進退に応じてカバー全体がシート前後方向に移動される。これにより、カバーの捩じれが防止され、シートクッションの降下に応じてカバーが乱れなく折り畳まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−225170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
乗員の手等の差し込みを防止する観点では、シートクッションの側部とロアサイドフレームとの間がカバーによって極力遮蔽されていることが望ましい。しかし、特許文献1に記載されたシートでは、カバーの下側縁部が取り付けられる摺動部材はロアサイドフレームによってシート前後方向にガイドされており、摺動部材の移動範囲はロアサイドフレームの全長に亘る範囲内に制約される。そして、カバーはシートクッションと一体にシート前後方向に移動されるため、摺動部材の長さは、ロアサイドフレームの全長からシートクッションのシート前後方向の移動量を減じた長さ以下に制約される。
【0008】
このため、例えばカバーがロアサイドフレームの全長に亘って延ばされるとすると、カバーの下側縁部の保持が十分に行えず、カバーが捲れ、乗員の手がシートクッションの側部とロアサイドフレームとの間に差し込まれる虞がある。また、カバーが捲れると、ロアサイドフレームの端部が露出し、乗員に危害感を抱かせる虞がある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、シートクッションが昇降され且つ昇降に連動してフロアに沿って進退される乗り物用シートにおいて、シートクッションの側部とロアサイドフレームとの間に乗員の手等が差し込まれることを防止し、乗員が抱く危害感を除去若しくは軽減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の乗り物用シートは、シートクッションと、上記シートクッションを昇降可能に且つ昇降に連動してフロアに沿って進退可能に支持するロアフレームと、上記ロアフレームのうち上記シートクッションの側部と上記フロアとの間に配置されているロアサイドフレームを覆うフィニッシャと、上記シートクッションの側部から垂下され且つ下側縁部が上記フィニッシャに係合されており、上記シートクッションの昇降に応じて展延され、また折り畳まれる可撓なカバーと、を備え、上記フィニッシャは、上記カバーの上記下側縁部を上記シートクッションの進退方向に移動可能にガイドするガイド部を有し、上記カバーの上記下側縁部は、上記シートクッションの進退方向に移動可能に上記ガイド部と係合する被ガイド部を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シートクッションが昇降され且つ昇降に連動してフロアに沿って進退される乗り物用シートにおいて、シートクッションの側部とロアサイドフレームとの間に乗員の手等が差し込まれることを防止し、乗員が抱く危害感を除去若しくは軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態を説明するための乗り物用シートの一例を示し、シートバックが起こされている状態の斜視図である。
図2図1のシートのシートバックが倒されている状態の斜視図である。
図3図1のシートのロアフレームを含むフレームの模式図である。
図4図1のシートのフィニッシャ及びカバーを拡大して示す斜視図である。
図5図1のV−V線断面図である。
図6図2のVI−VI線断面図である。
図7図1のシートの変形例の斜視図である。
図8図1のシートの他の変形例の断面図である。
図9図1のシートのカバーの変形例の断面図である。
図10図9のカバーの折り畳まれた状態の断面図である。
図11図1のシートのカバーの他の変形例の断面図である。
図12図11のカバーの折り畳まれた状態の断面図である。
図13図1のシートの他の変形例の斜視図である。
図14図1のシートの他の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施形態を説明するための乗り物用シートの一例を示し、図3は、図1のシートのロアフレームを含むフレームを示す。
【0014】
図1及び図2に示すシート1は、自動車等の車両に搭載される乗り物用シートであって、シートクッション2と、シートバック3と、シートクッション2とシートバック3とを支持するロアフレーム4とを備える。
【0015】
シート1は、いわゆるダイブダウンシートであり、シートバック3が前側に傾倒されると、シートバック3の傾倒に応じてシートクッション2が降下され且つ降下に連動してフロアFに沿って前方に移動され、これにより、シートバック3の背面がフロアFと略平行となるほどにシートバック3が倒される。
【0016】
ロアフレーム4は、シートクッション2の側部2aとフロアFとの間でシート前後方向に延びるロアサイドフレーム10と、シートクッション2の側部2aに設けられており且つシート前後方向に延びるクッションサイドフレーム13と、ロアサイドフレーム10とクッションサイドフレーム13とを連結するバックサイドフレーム12及び回動アーム15とを有し、バックサイドフレーム12とロアサイドフレーム10との連結部、バックサイドフレーム12とクッションサイドフレーム13との連結部、回動アーム15とロアサイドフレーム10の連結部、及び回動アーム15とクッションサイドフレーム13との連結部の各連結部にはヒンジが設けられている。本例では、ロアサイドフレーム10は、フロアFに設置されるスライドレール11によって支持されている。ロアサイドフレーム10がスライドレール11上を摺動することによって、シートクッション2及びシートバック3はシート前後方向に一体にスライドされる。
【0017】
シートバック3のバックサイドフレーム12の下端部12aは、上記ヒンジによって、ロアサイドフレーム10の後端部10aに回動可能に連結されており、バックサイドフレーム12は、下端部12aを支点にして前後に傾倒される。また、回動アーム15の下端部15aは、上記ヒンジによって、ロアサイドフレーム10の前端部10bに回動可能に連結されており、回動アーム15もまた、下端部15aを支点にして前後に傾倒される。
【0018】
シートクッション2のクッションサイドフレーム13の後端部13aは、上記ヒンジによって、バックサイドフレーム12の下端部12aと上端部12bとの間の連結部12cに回動可能に連結されている。また、クッションサイドフレーム13の前端部13bは、上記ヒンジによって、回動アーム15の上端部15bに回動可能に連結されている。
【0019】
シートバック3が、図2に示すように前側に傾倒されると、バックサイドフレーム12の連結部12cは、下端部12a(ロアサイドフレーム10の後端部10a)を中心とする円弧軌道に沿って降下され且つ前方に移動される。併せて、回動アーム15がクッションサイドフレーム13を介して駆動され、回動アーム15の上端部15bは、下端部15a(ロアサイドフレーム10の前端部10b)を中心とする円弧軌道に沿って降下され且つ前方に移動される。
【0020】
後端部13aがバックサイドフレーム12の連結部12cに連結され、前端部13bが回動アーム15の上端部15bに連結されているクッションサイドフレーム13は、フロアFに対して略平行な姿勢を保って降下され且つ前方に移動される。こうして、シートバック3が倒されることにより、シートクッション2は降下され且つ降下に連動してフロアFに沿って前方に移動される。
【0021】
一方、シートバック3が起こされると、シートクッション2は上昇され且つ上昇に連動してフロアFに沿って後方に移動される。シートクッション2の上昇に伴ってシートクッション2の側部2aとロアサイドフレーム10との間隔が拡大される。ロアサイドフレーム10が露呈することを防止し、シートクッション2の側部2aとロアサイドフレーム10との間に乗員の手等が差し込まれることを防止するため、シート1は、フィニッシャ5と、カバー6とをさらに備える。
【0022】
図4は、フィニッシャ5及びカバー6を示す。
【0023】
フィニッシャ5は、例えばABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene共重合合成樹脂)、PP樹脂(Polypropylene樹脂)、POM樹脂(Polyoxymethylene樹脂、Polyacetal樹脂)、PA樹脂(Polyamide樹脂)等の樹脂材料からなる剛質な部材であり、ロアサイドフレーム10に取り付けられている。フィニッシャ5は、ロアサイドフレーム10の側方に配置される側板部20と、ロアサイドフレーム10の上方に配置される天板部21とを有する。側板部20と、天板部21の側板部20側の縁部は、ロアサイドフレーム10に沿ってロアサイドフレーム10の両端を超えて延びており、ロアサイドフレーム10は、フィニッシャ5により、全長に亘って覆われている。なお、シート幅方向に間隔をあけて配置されている一対のロアサイドフレーム10に対し、フィニッシャ5は、シート幅方向に分割されてロアサイドフレーム10毎に設けられていてもよいし、本例のように、一枚構造とされて一対のロアサードフレーム10に跨って設けられてもよい。
【0024】
カバー6は、例えば不織布等であって可撓なシート状の部材であり、シートクッション2の側部2aから垂下されている。そして、カバー6の下側縁部6aはフィニッシャ5に係合されている。フィニッシャ5は、カバー6の下側縁部6aとの係合部としてのガイド部を有し、カバー6の下側縁部6aは、フィニッシャ5との係合部としての被ガイド部を有する。
【0025】
フィニッシャ5のガイド部は、本例では、スリット24によって構成されている。スリット24は、天板部21に設けられており、シート前後方向、すなわちシートクッション2が昇降に連動してフロアFに沿って進退される際のシートクッション2の進退方向に延びている。
【0026】
カバー6の被ガイド部は、本例では、複数のピン25によって構成されている。カバー6の下側縁部6aにはシート前後方向に適宜な間隔をあけて複数の取付孔26が設けられており、ピン25は、各取付孔26に挿入され、さらにフィニッシャ5のスリット24に挿入されている。ピン25の外周には環状溝27が設けられており、ピン25は、取付孔26の縁及びスリット24の縁を環状溝27に挟み込むことにより、下側縁部6aに取り付けられ且つスリット24の長手方向に移動可能にスリット24と係合している。
【0027】
シートバック3の前側への傾倒に応じ、シートクッション2はフロアFに沿って前方に移動される。このとき、シートクッション2の側部2aに接合されているカバー6の上側縁部6bは、シートクッション2と一体に前方に移動される。また、カバー6の下側縁部6aはスリット24とピン25との係合によってシート前後方向に移動可能にガイドされており、下側縁部6aもまた上側縁部6bに引っ張られて前方に移動される。こうして、カバー6の全体が前方に移動される。これにより、カバー6の捩じれが防止される。
【0028】
また、シートバック3の前側への傾倒に応じ、シートクッション2は降下される。図5及び図6に示すように、カバー6は折り畳まれるが、カバー6の全体が前方に移動されることによってカバー6の捩じれが防止されていることから、カバー6は乱れなく折り畳まれる。これにより、シート1の見栄えが高まる。
【0029】
以上のように構成されたシート1では、カバー6の下側縁部6aは、スリット24とピン25との係合によってフィニッシャ5に保持されている。フィニッシャ5は、ロアサイドフレーム10に沿ってロアサイドフレーム10の両端を超えて延長可能であり、フィニッシャ5が延長されることによってスリット24も延長可能である。そこで、カバー6をロアサイドフレーム10に沿って延長してカバー6によって遮蔽される範囲を拡大でき、延長されたカバー6の下側縁部6aを確実に保持してカバー6の捲れも抑制できる。これにより、乗員の手等がシートクッション2の側部2aとロアサイドフレーム10を覆っているフィニッシャ5との間に差し込まれることを防止することができる。
【0030】
また、ロアサイドフレーム10は、フィニッシャ5により、全長に亘って覆われている。これにより、シートクッション2が上昇されたとしてもロアサイドフレーム10の端部が露出せず、ロアサイドフレーム10の端部が露出していることに対して乗員が抱く危害感を除去若しくは軽減できる。
【0031】
なお、図7に示すように、カバー6の下側縁部6aに補強プレート7が設けられてもよい。補強プレート7は樹脂材料からなる剛質な部材であり、下側縁部6aのシート前後方向全長に亘って延びており、例えば縫製によってカバー6の下側縁部6aに接合されている。補強プレート7を下側縁部6aに設けることにより、カバー6の捲れを一層確実に抑制できる。
【0032】
好ましくは、補強プレート7は、下側縁部6aのフィニッシャ5との対向面に設けられる。カバー6に不織布等の繊維シートが用いられる場合に、スリット24とピン25との間に繊維が噛み込まれることを防止でき、カバー6を円滑に移動させることができる。補強プレート7を形成する樹脂材料としては、機械的強度に加えて耐摩耗性及び摺動性にも優れる樹脂が好適であり、例えばPP樹脂(Polypropylene樹脂)、POM樹脂(Polyoxymethylene樹脂、Polyacetal樹脂)、PA樹脂(Polyamide樹脂)等である。
【0033】
補強プレート7をカバー6の下側縁部6aのフィニッシャ5との対向面に設ける場合に、図8に示すように、ピン25を補強プレート7に取り付け、補強プレート7上に配置されるピン25の頭部28をカバー6の下側縁部6aによって覆うようにしてもよい。この場合、ピン25が露出せず、シート1の見栄えを向上させることができる。カバー6の下側縁部6aと補強プレート7とは、例えば接着等によって接合される。
【0034】
図9図10、及び図11図12はカバー6の変形例を示す。
【0035】
図9及び図10に示すカバー6には、シート前後方向に略平行に延びる二条の折り目部29と折り目部30とが設けられている。折り目部29と折り目部30とは、カバー6に襞が寄せられ、寄せられた襞が縫製等によって固定化されることにより形成されている。そして、本例では、シートクッション2側に配置されている折り目部29と、フィニッシャ5側に配置されている折り目部30とは、襞がカバー6の内側に向けて膨出する、すなわちシートクッション2とフィニッシャ5との間に向けて膨出するように形成されている。なお、本例では、フィニッシャ5は、シート幅方向に分割されてロアサイドフレーム10毎に設けられている。
【0036】
シートクッション2の降下に応じてカバー6が折り畳まれる際に、カバー6は、折り目部29と折り目部30とに沿って折り曲げられ、図10に示すように、折り目部29と折り目部30とがシートクッション2とフィニッシャ5との間に収納されるようにしてカバー6が折り畳まれる。このように、カバー6に折り目部を設けることにより、意図したとおりにカバー6を折り畳むことができ、シート1の見栄えを向上させることができる。
【0037】
図11及び図12に示すカバー6では、シートクッション2側に配置されている折り目部29は、襞がカバー6の外側に向けて膨出するように形成されており、フィニッシャ5側に配置されている折り目部30は、襞がカバー6の内側に向けて膨出するように形成されている。この場合、シートクッション2の降下に応じてカバー6が折り畳まれる際に、図12に示すように、カバー6の外側に向けて膨出している折り目部29がフィニッシャ5の側板部20に被さるようにしてカバー6が折り畳まれる。これにより、ピン25が露出せず、シート1の見栄えを向上させることができる。
【0038】
ここまで、シートクッション2が昇降に連動してフロアFに沿って進退される際の進退方向はシート前後方向であるものとして説明したが、シート前後方向と交差していてもよい。この場合に、図13に示すように、フィニッシャ5のスリット24は、天板部21に複数設けられ、シート前後方向と交差するシートクッション2の進退方向に平行に延びている。そして、各スリット24に一つのピン25が係合している。これにより、シート前後方向に延びているカバー6の下側縁部6aを、シート前後方向と交差するシートクッション2の進退方向にガイドでき、シートクッション2の昇降及び昇降に連動した進退に対して、カバー6の捩じれを防止し、カバー6を乱れなく折り畳むことができる。
【0039】
スリット24は、フィニッシャ5の側板部20に設けることもできるが、この場合に、スリット24の延在方向は、ロアサイドフレーム10に沿ってシート前後方向に限られる。これに対し、スリット24がフィニッシャ5の天板部21に設けられる場合には、スリット24の延在方向は、シート前後方向だけでなく、シート前後方向と交差する方向にも設定可能である。
【0040】
また、ここまで、フィニッシャ5にスリット24が設けられ、カバー6に複数のピン25が設けられるものとのして説明したが、図14に示すように、フィニッシャ5の複数のピン25を設け、カバー6の下側縁部6aにスリット24を設けることもできる。
【0041】
また、フィニッシャ5のガイド部及びカバー6の下側縁部6aの被ガイド部は、スリット24と複数のピン25との組み合わせに限定されず、例えば断面にアンダーカットを有するレールとアンダーカットに係合し且つレールを把持する複数のフックとの組み合わせによって構成することもできる。
【0042】
また、シート1は、自動車等の車両に搭載されるシートに限らず、航空機、船舶等の車両以外の乗り物用のシートにも応用できる。
【0043】
以上、説明したとおり、本明細書に開示されたシートは、シートクッションと、上記シートクッションを昇降可能に且つ昇降に連動してフロアに沿って進退可能に支持するロアフレームと、上記ロアフレームのうち上記シートクッションの側部と上記フロアとの間に配置されているロアサイドフレームを覆うフィニッシャと、上記シートクッションの側部から垂下され且つ下側縁部が上記フィニッシャに係合されており、上記シートクッションの昇降に応じて展延され、また折り畳まれる可撓なカバーと、を備え、上記フィニッシャは、上記カバーの上記下側縁部を上記シートクッションの進退方向に移動可能にガイドするガイド部を有し、上記カバーの上記下側縁部は、上記シートクッションの進退方向に移動可能に上記ガイド部と係合する被ガイド部を有する。
【0044】
また、本明細書に開示されたシートは、上記フィニッシャが、上記ロアサイドフレームの上に被さる天板部を有し、上記フィニッシャの上記ガイド部は、上記天板部に設けられている。
【0045】
また、本明細書に開示されたシートは、上記シートクッションの進退方向が、シート前後方向と交差している。
【0046】
また、本明細書に開示されたシートは、上記カバーの上記下側縁部が、この下側縁部のシート前後方向全長に亘って延びる補強プレートを有する。
【0047】
また、本明細書に開示されたシートは、上記補強プレートが、上記下側縁部の上記フィニッシャとの対向面に設けられている。
【0048】
また、本明細書に開示されたシートは、上記フィニッシャの上記ガイド部が、上記シートクッションの進退方向に延びるスリット及び上記スリットの長手方向に移動可能に上記スリットと係合するピンのいずれか一方を含み、上記カバーの上記被ガイド部は、上記スリット及び上記ピンのいずれか他方を含む。
【符号の説明】
【0049】
1 シート
2 シートクッション
2a 側部
3 シートバック
4 ロアフレーム
5 フィニッシャ
6 カバー
6a 下側縁部
7 補強プレート
10 ロアサイドフレーム
11 スライドレール
12 バックサイドフレーム
13 クッションサイドフレーム
15 回動アーム
20 側板部
21 天板部
24 スリット(ガイド部)
25 ピン(被ガイド部)
26 取付孔
27 環状溝
28 ピンの頭部
29 折り目部
30 折り目部
F フロア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14