特許第6796547号(P6796547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796547
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】環境試験装置及びランプユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   G01N17/00
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-95921(P2017-95921)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-194338(P2018-194338A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2019年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】桑田 研治
【審査官】 野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−369465(JP,A)
【文献】 特開昭61−003115(JP,A)
【文献】 特開2000−316380(JP,A)
【文献】 特開2006−215015(JP,A)
【文献】 特開平10−160929(JP,A)
【文献】 実開平07−036045(JP,U)
【文献】 特開2012−215539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、
前記試験室内を空調する空調部と、
前記試験室及び前記空調部から空間的に区切られた冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、
前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、
前記試験室内を空調する空調部と、
前記試験室及び前記空調部から空間的に区切られた冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記試験室内の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項3】
内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、
前記試験室から空間的に区切られた冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、
前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入して前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、
前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項4】
内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、
前記試験室から空間的に区切られた冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入し、前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、
前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記試験室内の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項5】
前記ランプは赤外線ランプであり、前記被試験物の表面に赤外光を照射して被試験物表面の温度を上昇させる機能を備えた環境試験装置であって、
前記ランプは前記給電部が形成された口金部を有し、少なくとも前記口金部が前記冷却室内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項6】
冷却手段を有し、前記冷却室が前記冷却手段によって冷却されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項7】
前記冷却手段は換気手段を有し、当該換気手段によって前記冷却室内の空気が置換されて前記冷却室内が冷却されることを特徴とする請求項に記載の環境試験装置。
【請求項8】
前記冷却室外に前記冷却手段があり、前記冷却室と前記冷却手段が環状に連結され、前記冷却室と前記冷却手段の間で空気が循環することを特徴とする請求項6又は7に記載の環境試験装置。
【請求項9】
前記ランプの点灯時に前記冷却室内が前記冷却手段によって冷却されることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項10】
前記試験室に対して独立した筐体を有し、前記筐体内に前記冷却室が設けられており、前記筐体が前記試験室内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項11】
環境試験装置の試験室内に配され、前記試験室内の被試験物に光を照射するランプユニットであって、
筐体と、ランプを有し、
前記筐体内に冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、前記給電部から前記バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記筐体には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、
前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入して前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、
前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面は前記冷却室外に露出していることを特徴とするランプユニット。
【請求項12】
環境試験装置の試験室内に配され、前記試験室内の被試験物に光を照射するランプユニットであって、
筐体と、ランプを有し、
前記筐体内に冷却室があり、
前記ランプは、給電部と、バルブを有し、前記給電部から前記バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、
前記筐体には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、
前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入し、前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、
前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記冷却室外の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面は前記冷却室外に露出していることを特徴とするランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験物を所定の環境下に置いて試験を行う環境試験装置に関するものである。本発明は、特に被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置に関するものである。
また本発明は、環境試験装置の試験室内に配置し、被試験物の表面に光を照射するランプユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品や素材等の性能や耐久性等を調べる方法の一つに環境試験がある。環境試験の一つとして、被試験物が置かれる環境を人工的に再現し、その環境下に被試験物を晒す試験がある。
例えば炎天下に駐車した自動車内の環境を再現し、自動車内装品や携帯電話その他の被試験物をその環境下において、被試験物の変化を知りたいという市場の要求がある。
車窓を閉じた状態で炎天下に自動車を駐車すると、車内の温度は、摂氏80度程度に上昇する。またインストルメントパネルやコンソールボックス等の自動車内装品は、直射日光を受けて摂氏120度程度に温度が上昇する。
【0003】
この様な自動車内の環境を再現する環境試験装置が、特許文献1、2に開示されている。
特許文献1、2に開示された環境試験装置は、いずれも被試験物に光を照射するランプを備えたものである。
特許文献1に開示された環境試験装置は、試験室の上部にガラスで仕切られたランプ室があり、当該ランプ室内にランプの全体が収容されている。
また特許文献1に開示された環境試験装置では、ランプを冷却する送風冷却装置を有している。特許文献1に開示された環境試験装置では、直管状のランプが採用されている。
特許文献1に開示された環境試験装置では、ランプの全体がランプ室の中にあり、ランプが発する光は、ガラス越しに試験室内に照射される。
【0004】
これに対して特許文献2に開示された環境試験装置は、試験室の上部にランプが設置されている。特許文献2では、複数のランプがあり、これをランプバンクと称している。
特許文献2に開示された環境試験装置では、ランプから発生する熱を冷却するための冷却装置を含む温度調節部を有している。さらに特許文献2に開示された環境試験装置では、ランプバンクと同じ平面上の位置に多孔板が設置されており、ランプバンクより高い位置から放出された冷気が、ランプバンクに達する前に試験室の床に降下することを防いでいる。
【0005】
特許文献2に開示された環境試験装置が採用する温度調節部は、試験室内の温度を調節するものである。
また特許文献2に開示された環境試験装置では、ランプはその全体が試験室内に設置されている。多孔板は、一定の冷気が、ランプ側に流れる様に誘導するものである。
特許文献2に開示された環境試験装置では、温度調節部で冷却された冷気は、試験室内に導入され、その多くが多孔板を通過して降下する。また一定量の冷気は、ランプバンクを通過して降下する。
特許文献2の構成によると、冷気の一部がランプの周囲を通過して降下するので、ランプを冷やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−369465号公報
【特許文献2】特開2006−215015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
自動車内の環境を再現する環境試験装置は、直射日光を再現するためのランプが必須である。また自動車内の環境を再現する環境試験装置は、高温環境を作る必要がある。
ここで高温環境下にランプを置いて発光させると、ランプの寿命が短くなる傾向がある。例えばフィラメントを赤熱させる構造のランプにおいては、寿命は、一般にフィラメントの寿命で決まると言われている。
即ちフィラメントが赤熱することによって、フィラメントが昇華し、細くなって行く。そして遂にはフィラメントが断線し、寿命に至る。
ランプが高温にさらされるとフィラメントの昇華が進み、寿命が短くなる。
【0008】
特許文献1に開示された環境試験装置は、棒状のランプを使用するものであり、フィラメントを有するか否かは定かではないが、ランプの寿命を伸ばす効果があると予想される。
しかしながら、特許文献1に開示された環境試験装置は、試験室から隔離されたランプ室内に、ランプの全体が収容されているものであるから、ランプが切れた際の交換が困難である。
また特許文献1に開示された環境試験装置では、ランプを全体的に冷却するので、ランプの発熱量に相当する熱を奪う必要がある。そのため特許文献1に開示された環境試験装置では、冷却装置として相当に大きな容量を持ったものを採用する必要がある。
【0009】
これに対して特許文献2に開示された環境試験装置は、試験室の中にランプがある。そして冷気の一部は、ランプの部分を通過して被試験物側に流れる。
ここで自動車の車内の環境を再現するためには、試験室内を摂氏80度程度に維持する必要がある。特許文献2に開示された環境試験装置では、冷却装置は、試験室内の温度が過度に上昇してしまうことを防ぐことを主たる目的とするものであり、その冷気の一部をランプ側に流すものに過ぎない。
そのため特許文献2の構成によると、ランプを効果的に冷却できるのか疑問である。またランプを十分に冷却するためには、相当量の冷気をランプに供給する必要があり、そうすると試験室内の温度を高温に維持することができなくなってしまう可能性がある。
さらに特許文献2に開示された環境試験装置では、特許文献1と同様に、冷却装置として相当に大きな容量を持ったものを採用する必要がある。
【0010】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、被試験物に光を照射するランプを備えた環境試験装置を改良し、ランプが故障しにくい環境試験装置を提供することを課題とするものである。
また本発明は、同様の課題を解決することができるランプユニットを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、自動車内の環境を再現する環境試験装置を試作した。試作した環境試験装置では、ランプ全体を試験室の中に設置した。試作した環境試験装置は、試験条件によっては、ランプが早期に故障する場合があり、頻繁に取り替える必要があった。
【0012】
本発明者らは、ランプの温度が昇降する際に、バルブと導電線との熱膨張率の相違からバルブの電線導入部に微細な隙間が生じ、微細な隙間から試験室の空気が侵入し、ランプの故障につながる場合があると考えた。
【0013】
上記した知見に基づいて開発された発明は、内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、被試験物に光を照射するランプを有し、被試験物を所望の環境下において被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、試験室から隔離された冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、給電部からバルブ内に給電して発光させ、少なくともバルブの先端面から光を放出するものであり、前記ランプの少なくとも給電部が冷却室内に配置され、前記ランプの少なくともバルブの先端面は冷却室外にあって試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置である。
請求項1に記載の発明は、内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、前記試験室内を空調する空調部と、前記試験室及び前記空調部から空間的に区切られた冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置である。
請求項2に記載の発明は、内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、前記試験室内を空調する空調部と、前記試験室及び前記空調部から空間的に区切られた冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記試験室内の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置である。
請求項3に記載の発明は、内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、前記試験室から空間的に区切られた冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入して前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置である。
請求項に記載の発明は、内部に所望の環境を創出可能であり被試験物が載置される試験室と、前記被試験物に光を照射するランプを有し、前記被試験物を所望の環境下において前記被試験物の表面に光を照射する機能を備えた環境試験装置において、前記試験室から空間的に区切られた冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、当該給電部から当該バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記冷却室の前記試験室側には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入し、前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記試験室内の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面が前記冷却室外であって前記試験室内に露出していることを特徴とする環境試験装置である。
記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と密接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖されることが望ましい。
【0014】
ここで「光」とは赤外光、可視光、紫外光を含む概念である。
ランプは、赤外線ランプの様に、フィラメントが封入されたバルブを有し、給電部からフィラメントに給電してフィラメントを発光させるものであることが望ましいが、放電を利用するものであってもよい。
本発明の環境試験装置では、冷却室があり、冷却室は試験室から隔離されている。「試験室から隔離」とは、試験室内で冷却室が試験エリアから隔離されるものでもよい。
本発明の環境試験装置では、ランプの少なくとも給電部が冷却室内に配置されていて、バルブの電線導入部は、冷却室内にあり、試験室の温度の影響を受けにくい。そのため電線導入部に隙間は生じにくく、ランプが故障しにくくなる。
【0015】
請求項に記載の発明は、前記ランプは赤外線ランプであり、前記被試験物の表面に赤外光を照射して被試験物表面の温度を上昇させる機能を備えた環境試験装置であって、前記ランプは前記給電部が形成された口金部を有し、少なくとも前記口金部が前記冷却室内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0016】
本発明の環境試験装置で採用するランプは赤外線ランプであり、発する光は赤外光である。そのため被試験物表面の温度を上昇させることができる。
本発明の環境試験装置では、ランプの少なくとも口金部が冷却室内に配置されている。そのためバルブの電線導入部は、試験室の温度の影響を受けにくい。
【0017】
請求項に記載の発明は、冷却手段を有し、前記冷却室が前記冷却手段によって冷却されることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0018】
冷却手段は、冷凍機を備えるものであることが望ましいが、外気を導入することによって冷却室内の温度を常温に維持するものであってもよい。
本発明の環境試験装置では、冷却室の温度上昇が冷却手段によって抑制されるので、バルブの電線導入部の温度変化が比較的小さく、ランプの故障が少ない。
【0019】
請求項に記載の発明は、前記冷却手段は換気手段を有し、当該換気手段によって前記冷却室内の空気が置換されて前記冷却室内が冷却されることを特徴とする請求項に記載の環境試験装置である。
【0020】
本発明の環境試験装置では、冷却手段によって冷却室内の空気が入れ代わるので、冷却室内に熱がこもりにくい。
【0021】
請求項に記載の発明は、前記冷却室外に前記冷却手段があり、前記冷却室と前記冷却手段が環状に連結され、前記冷却室と前記冷却手段の間で空気が循環することを特徴とする請求項6又は7に記載の環境試験装置である。
【0022】
本発明によると、冷却室内を効率良く冷却することができる。
【0023】
請求項に記載の発明は、前記ランプの点灯時に前記冷却室内が前記冷却手段によって冷却されることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0024】
本発明によると、冷却室内が無駄に冷却されることがないので、効率がよい。
【0025】
記冷却室内の圧力は、前記試験室内の圧力に対して正圧であることが望ましい。
【0026】
本発明によると、試験室内の高温の空気が冷却室側に侵入しにくい。そのため冷却室内の温度を一定以下に維持することができる。
【0027】
ンプは給電部に口金部があり、バルブの形状は、口金部の径が小さく、先端側がしだいに拡径して膨出部を構成し、バルブの先端面が発光面となっており、冷却室の試験室側にはランプを装着する開口があり、当該開口にはランプのバルブの側面と接する封止部材があり、冷却室内であって前記開口の奥には口金部と嵌合するソケットが設けられており、ランプの口金部側を試験室側から前記開口に挿入してソケットに口金部を嵌合してランプを冷却室に取り付け可能であり、ランプが取り付けられた状態においては、ランプのバルブの側面が封止部材と密接してバルブと開口の隙間が封鎖されることが望ましい
【0028】
本発明の環境試験装置では、ランプは、口金部分が細く、正面の発光部の面積が広い。 本発明では、冷却室の試験室側にランプを装着する開口があり、開口の奥には口金と嵌合するソケットが設けられている。そのため試験室側から開口にランプの口金を挿入し、ランプを装着することができる。
また冷却室の開口にはランプのバルブの側面と接する封止部材があり、ランプが取り付けられた状態においては、ランプのバルブの側面が封止部材と密接してバルブと開口の隙間が封鎖される。本発明の環境試験装置では、冷却室と試験室との間の気密性が確保される。そのため冷却室内の冷気が試験室側に漏れて、試験室の温度を低下させたり、試験室内に温度ばらつきを生じさせる懸念が少ない。
また試験室内の高温の空気が冷却室側に流れ込むことも防ぐことができる。
【0029】
前記試験室に対して独立した筐体を有し、前記筐体内に前記冷却室が設けられており、前記筐体が前記試験室内に配置されているものであってもよい(請求項10)。
【0030】
ランプユニットに関する発明は、環境試験装置の試験室内に配され、試験室内の被試験物に光を照射するランプユニットであって、筐体と、ランプを有し、前記筐体内に冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、給電部からバルブ内に給電して発光させ、少なくともバルブの先端面から光を放出するものであり、前記ランプの少なくとも給電部が冷却室内に配置され、前記ランプの少なくともバルブの先端面は冷却室外に露出していることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、環境試験装置の試験室内に配され、前記試験室内の被試験物に光を照射するランプユニットであって、筐体と、ランプを有し、前記筐体内に冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、前記給電部から前記バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記筐体には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入して前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面は前記冷却室外に露出していることを特徴とするランプユニットである。
記開口には前記バルブの側面と接する封止部材があり、前記ランプが取り付けられた状態においては、前記バルブの側面が前記封止部材と密接して前記バルブと前記開口の隙間が封鎖されることが望ましい
請求項12に記載の発明は、環境試験装置の試験室内に配され、前記試験室内の被試験物に光を照射するランプユニットであって、筐体と、ランプを有し、前記筐体内に冷却室があり、前記ランプは、給電部と、バルブを有し、前記給電部から前記バルブ内に給電して発光させ、少なくとも前記バルブの先端面から光を放出するものであり、前記筐体には前記ランプを挿入する開口があり、前記冷却室内であって前記開口の奥には前記給電部と嵌合するソケットが設けられており、前記給電部を前記試験室側から前記開口に挿入し、前記ソケットに前記給電部を嵌合して前記ランプを前記冷却室に取り付け可能であり、前記ランプが取り付けられた状態において、前記冷却室内の圧力が前記冷却室外の圧力に比べて高くなるように調整され、かつ、少なくとも前記給電部が前記冷却室内に配置され、少なくとも前記バルブの先端面は前記冷却室外に露出していることを特徴とするランプユニットである。
【0031】
既存の環境試験装置や、既存設計の環境試験装置の試験室に、本発明のランプユニットを設置することにより、所望の環境下で被試験物に光を照射することができる。
また本発明によると、ランプが故障しにくい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の環境試験装置及びランプユニットによると、被試験物に光を照射するランプが故障しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態の環境試験装置を概念的に表した断面図である。
図2図1の環境試験装置の使用方法を説明する冷却室及びランプの断面斜視図である。
図3図1の環境試験装置の冷却室の一部分解断面斜視図である。
図4図1の環境試験装置の冷却室の断面図及びランプの側面図である。
図5図1の環境試験装置の冷却室のランプ挿入口近傍の断面図である。
図6図1の環境試験装置で採用するランプの断面図である。
図7】本発明の他の実施形態の環境試験装置を概念的に表した断面図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態の環境試験装置を概念的に表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の環境試験装置1は、例えば屋外環境や、自動車の室内、閉めきられた状態の家屋、閉めきられた状態の倉庫内等の環境を人工的につくり出すものであり、恒温恒湿装置に、ランプ群30を組み合わせたものである。
【0035】
本実施形態の環境試験装置1は、図1に示す様に、断熱壁2によって覆われた断熱槽3を有している。そして断熱槽3の中が、試験室5と、空調部15と、冷却室20に区切られている。試験室5を中心として説明すると、図1の様に試験室5の上部に冷却室20があり、試験室5の水平方向奥側に空調部15がある。
【0036】
断熱槽3は、図1に示す様に、断熱壁2によって覆われた筐体である。断熱槽3の中には、垂直方向に設けられた仕切り壁22があり、当該仕切り壁22によって、断熱槽3内が、試験室5と空調部15に仕切られている。
試験室5は、被試験物18を設置する空間である。試験室5の正面には、開閉扉26が設けられている。
【0037】
空調部15は、試験室5と連通する空調通風路を構成する空間であり、内部に空調機器17と送風機10を備えている。空調機器17は、加湿装置6、冷却装置7及び加熱装置8によって構成されている。
空調部15は、断熱槽3の一部に形成され、空気吹き出し部16と空気導入部25の2箇所で試験室5と連通している。
そのため送風機10を起動すると、試験室5内の空気が空気導入部25から空調部15内に導入される。そして空調部15が通風状態となり、空調機器17に空気が接触して熱交換や湿度調整がなされ、空気吹き出し部16から試験室5内に調整後の空気が吹き出される。
また空調部15の空気吹き出し部16の近傍に、温度センサー12と湿度センサー13が設けられている。
環境試験装置1を使用する際には、送風機10を運転して空調部15内を通風状態とし、温度センサー12及び湿度センサー13の検出値が、設定環境の温度及び湿度に近づく様に空調機器17を制御する。
【0038】
即ち送風機10を運転することによって、空気導入部25から試験室5内の空気が空調部15に導入され、空調部15内の空調機器17を通過して温度・湿度が整えられる。そして温度・湿度を調整された空気が、空気吹き出し部16から試験室5に戻され、試験室5内に所望の温度・湿度の環境が作られる。
【0039】
冷却室20は、図1の様に試験室5の上部に設置されている。冷却室20と試験室5との間は、天井壁32で仕切られている。天井壁32は断熱構造であることが望ましい。
天井壁32には、図1図2の様に複数のランプ挿入口33が設けられている。ランプ挿入口33は、ランプ31を装着する開口である。
天井壁32のランプ挿入口33には図3図4図5の様に封止部材取り付け座37があり、当該封止部材取り付け座37に封止部材36が設けられている。
封止部材取り付け座37は、図3図4の様に、天井壁32から下側に向かって突出する全長が短い筒状体であり、中心に貫通孔40があり、先端にフランジ38が形成されている。即ち封止部材取り付け座37は、筒軸部42の先端にフランジ38が設けられたものである。
【0040】
封止部材36は、例えばシリコン樹脂の様な耐熱性が高く、柔軟性がある樹脂で作られたものである。
封止部材36は、封止部材取り付け座37をすっぽりと覆う形状となっている。
封止部材36は、図4の様に薄い表皮で作られており、内部は空洞である。封止部材36の断面形状は、図4の様にその内面が封止部材取り付け座37と接する形状となっている。
具体的には、封止部材取り付け座37の筒軸部42に密着する筒部45と、フランジ38を覆うフランジ包囲部46を有している。
フランジ包囲部46の表面には開口48が設けられている。開口48の径は、封止部材取り付け座37の貫通孔40の開口径よりも小さい。
【0041】
冷却室20と試験室5との間には、前記した様に天井壁32があり、当該天井壁32には、前記したランプ挿入口33を除いて実質的な開口はなく、冷却室20は試験室5から隔離されている。
冷却室20内であって、ランプ挿入口33の開口の奥には、図2図3図4図5の様にソケット35が配されている。
本実施形態では、ソケット35は、図5の様に支持部材43によって天井壁32に取り付けられている。
ただし、ソケット35そのものは、各図の様に、天井壁32からも断熱槽3からも離れている。
【0042】
図1の様に冷却室20には、二つの空気導入口50a、50bと、排気口51がある。本実施形態では、二つの空気導入口50a、50bは冷却室20の両側にあり、排気口51は冷却室20の中央にある。
【0043】
断熱槽3の外部には、冷却装置(冷却手段)52がある。
冷却装置52は、内部に冷却器(冷凍機の蒸発器)53と、送風機(換気手段)55及びフィルター57を有している。
冷却装置52は、外気導入口70と、内気導入口71と、排気口72を有している。
そして図1の様に、送風機55の吸引側に外気導入口70と内気導入口71がある。また外気導入口70の近傍にフィルター57があり、フィルター57と送風機55の吸引側の間に内気導入口71が設けられている。
また送風機55の吐出側には冷却器53があり、さらにその下流側に排気口72がある。
【0044】
図1の様に、冷却室20の排気口51が冷却装置52の内気導入口71に接続され、冷却装置52の排気口72が分岐されて冷却室20の二つの空気導入口50a、50bに接続されている。その結果、冷却装置(冷却手段)52と冷却室20の間で2系統の環状通風路が形成されている。
冷却装置52の送風機55を起動することによって、冷却室20内の空気が冷却装置52を含む2系統の環状通風路を循環する。その結果、冷却室20内が換気され、冷却室20内の温度が下げられる。
また本実施形態では、冷却装置52に外気導入口70が設けられており、外気導入口70は送風機55の吸引側にあるから、外気が循環風量に追加され、冷却室20内は、常に正圧傾向となる。
【0045】
また冷却室20内には温度センサー56が設けられており、冷却室20内の温度が一定温度を超えると、冷凍機が起動し、冷却器(冷凍機の蒸発器)53によって冷却装置52を通過する空気が冷却され、その空気が冷却室20に供給されて冷却室20内の温度が一定以下に保たれる。
さらに本実施形態では、冷却装置52の駆動は、ランプ31の起動と連動し、ランプ31の点灯時に冷却室20内が冷却装置(冷却手段)52によって冷却される。
ランプ31が消灯すると冷却装置52も停止する。
【0046】
ランプ31は、例えばアイランプ(登録商標)と称される形態のランプであり、赤外光を発する公知のリフレクターランプである。
ランプ31は、図6の様に、ガラスで作られたフラスコ状のバルブ58と、ネジが形成された口金部(給電部)60を有している。
バルブ58の内部には不活性ガスが封入されている。
バルブ58の形状は、公知のランプと同じであり、口金部60の径が小さく、先端側がしだいに拡径して膨出部を構成している。バルブ58の内面には正面を除いて反射塗料63が塗布されており、バルブの先端面65が発光面となっている。
【0047】
バルブ58の内部にフィラメント61があり、フィラメント61と繋がる内部導電線62がバルブ58を貫通して外部導電線67となり、口金部60に接続されている。
口金部(給電部)60に給電すると、バルブ58のフィラメント61が赤熱し、赤外光(赤外線)を発生させ、バルブの先端面65から光が照射される。
【0048】
本実施形態では、ランプ31は、図2の様に、試験室5側から天井壁32のランプ挿入口33に口金部60側から挿入され、冷却室20内に設置されたソケット35に口金部60を嵌合させて装着される。
ランプ31が装着された状態における断面図は図5の通りであり、口金部60の全体と、バルブ58の約3分の2が冷却室20内にある。
その一方、バルブ58の先端面65を含んでバルブ58の約3分の1は、冷却室20外に露出している。
【0049】
前記した様にランプ挿入口33には封止部材36があり、封止部材36のフランジ包囲部46の開口48の径は、封止部材取り付け座37の貫通孔40の開口径よりも小さい。そのため図5の様にランプ31のバルブ58の側面に、封止部材36の開口48の開口端が密接し、バルブ58とランプ挿入口33との間の隙間が封鎖されている。
そのためランプ31が装着された状態においては、冷却室20と、試験室5の間は、実質的に気密性が確保されている。
【0050】
次に環境試験装置1の機能について説明する。
本実施形態の環境試験装置は、例えば炎天下に駐車した場合の車内の環境を再現するものである。
環境試験の準備段階として、例えばインストルメントパネル等の自動車内装品を被試験物18とし、当該被試験物18を試験室5内に設置する。
また被試験物18の近傍に、非接触式の温度センサー66を設置し、温度センサー66によって被試験物18の表面温度を検知する。
【0051】
そして空調部15内の送風機10と空調機器17を駆動し、試験室5内を高温環境に調節する。具体的には送風機10を運転して空調部15内を通風状態とし、温度センサー12及び湿度センサー13の検出値が、設定環境の温度及び湿度に近づく様に空調機器17を制御する。
例えば、試験室5内の温度が、炎天下に駐車した場合の車内の温度と同等の温度(例えば摂氏80度)となる様に、空調機器17を制御する。
また本実施形態の環境試験装置1は、加湿装置6を備えていて加湿機能を有するので、必要に応じて試験室5内を高湿度環境とすることができる。
【0052】
試験室5内の環境が整うと、各ランプ31を点灯し、被試験物18に赤外光を放射して被試験物18の表面温度を上昇させる。同時に被試験物18の近傍に設けられた温度センサー66の検知温度を監視し、被試験物18の表面が目標温度となる様に、各ランプ31の照度や点灯数、点灯時間等を制御する。
【0053】
本実施形態の環境試験装置1では、ランプ31は、バルブ58の先端面65側が試験室5内に露出している。
ランプ31は、リフレクターランプであり、先端面65から前方に向かってのみ光を放射するものであり、バルブ58の側面や背面側から光は出ない。本実施形態の環境試験装置1では、バルブ58の側面の一部が冷却室20側に隠れることとなるが、前記した様に、採用するランプ31は先端面65からのみ光を放射するものであるから、光が無駄なく試験室5側に放射され、被試験物18にあてられる。
ランプ31は、先端面65が最も高温となるが、当該高温部分が試験室5内に露出しているから、ランプ31の発熱が試験室5内を高温に維持することに寄与し、環境試験装置1全体の電力消費量を低減することができる。
【0054】
この様に本実施形態の環境試験装置1によると、バルブ58の先端面が冷却室20外にあるから、バルブ58の表面の温度によって、試験室5内が昇温され、試験室5の温度維持に寄与する。
【0055】
またランプ31の点灯と連動して冷却装置52が起動し、送風機55が駆動して冷却室20内が換気される。冷却室20内の温度が上昇すると、冷凍機が起動し、冷却器53に相変化する冷媒が供給されて冷却器53の表面温度が低下し、冷却装置52から冷却室20に供給される空気の温度が下げられる。
【0056】
そのためランプ31の口金部(給電部)60の温度が過剰に高温となることはなく、バルブ58と導電線62、67との熱膨張率の相違に起因する隙間は生じにくくバルブ内にバルブ外の空気が流れ込みにくい。そのため本実施形態の環境試験装置1では、ランプ31の寿命が長い。
またランプ31が故障した際には、ランプ31の試験室5に露出した部位を手で回転して、ソケット35との嵌合を解消し、ランプ31を取り外すことができるから、簡単にランプ31の取り替えを行うことができる。
この様に本実施形態の環境試験装置1では、ランプ31のバルブ58の先端面が冷却室20外にあって試験室5内に露出している。そのため試験室5側からランプを取り外すことができ、ランプの取り替えが容易である。
【0057】
また本実施形態では、ランプ31の最も高温となる部分(バルブ58の先端面65)は、冷却室20の外にあるから、冷却室20の温度はそもそもそれほど高くなることはなく、冷凍機は小型の物で足る。また消費電力も少なくて済む。
【0058】
この様に本実施形態の環境試験装置1では、冷却室20にはランプ31の一部だけがあり、さらに最も高熱となるバルブ58の先端部分は、試験室5側に露出している。そのため、ランプ31全体を冷却室20に入れる場合に比べ、冷却室20の温度を維持するのに要する冷熱量が少なくて足る。
【0059】
本実施形態では、冷却室20内が試験室5に対して正圧傾向に保たれているから、試験室5内の高温の空気が冷却室20内に混入しにくい。そのため冷凍機は単にランプ31の口金部60の近傍の熱を奪うだけの容量で足り、小型であって消費電力も少ない。
【0060】
以上説明した実施形態では、冷却室20を冷却する冷却装置(冷却手段)52として、冷凍機を有するものを例示した。しかしながら、前記した様に冷却室20の温度はそもそもそれほど高くなることはないから、図7に示す環境試験装置80の様に、換気用の送風機81だけを有する構成とすることも可能である。
図7に示した環境試験装置80について、他の構成は前記した実施形態と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
【0061】
また以上説明した実施形態では、断熱槽3の一部に冷却室20を設け、断熱槽3の内壁を冷却室20の一部としたが、図8に示す環境試験装置82の様に冷却室20とランプ31を独立したランプユニット85としてもよい。
図8に示した環境試験装置82では、試験室5内に独立した箱(筐体)83を設置して冷却室20としている。この場合には、箱83を断熱構造とすることが望ましい。
図8に示すランプユニット85は、試験室5内に配されるものであり、被試験物18に光を照射する機能を有している。ランプユニット85は、箱(筐体)83とランプ31を有し、箱(筐体)83内に冷却室20がある。
箱83に取り付けられたランプ31は、バルブ58の先端部分が箱83から露出している。
【0062】
図8に示した環境試験装置82は、冷却室20とランプ31がユニット化されたものであり、試験室5内に独立した箱(筐体)83があり、その箱83の内部が冷却室20となっている点を除いて前記した実施形態と同一であるから、同一の部材に同一の番号を付して重複した説明を省略する。
ランプユニット85は、既存の環境試験装置や、既存設計の環境試験装置に取り付けることもできる。
【0063】
以上説明した実施形態では、ランプ31として赤外線ランプを採用したが、太陽光線により近づけるために、ランプ群30に紫外線ランプや、可視光を発するランプを混ぜてもよい。
また全てを紫外線ランプや、可視光を発するランプに置き換えてもよい。
【0064】
以上説明した実施形態では、ランプ31は、口金が回し込み型のものを採用したが、差し込み型の様な他の構造のものであってもよい。
以上説明した実施形態では、冷却室20内の圧力が試験室5内の圧力に比べて高くなる様に調整したが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、両者の圧力が等しくてもよく、試験室5の方が高くてもよい。
【0065】
以上説明した実施形態では、ランプ挿入口33に封止部材36を設けたが、封止部材36の形状や取り付け位置は、実施形態に限定されるものではない。
【0066】
また本発明は、封止部材36を省略した構成を否定するものではない。
以上説明した実施形態では、空調機器17として加湿装置6、冷却装置7及び加熱装置8を有しているが、必ずしもこの全てを備えている必要はない。例えば加湿機能を有しないものであってもよい。
以上説明した実施形態では、断熱槽3の中が試験室5と空調部15に仕切られているが、試験室5を構成する断熱槽と、空調部が別体であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、80、82 環境試験装置
5 試験室
15 空調部
20 冷却室
31 ランプ
32 天井壁
33 ランプ挿入口
35 ソケット
36 封止部材
37 封止部材取り付け座
52 冷却装置(冷却手段)
55 送風機(換気手段)
60 口金部(給電部)
61 フィラメント
65 先端面
83 箱(筐体)
85 ランプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8