(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
絶縁体で被覆された前記ケーブルを分岐したり接続したりするときは、ケーブルの端部の被覆を除去してケーブル内の導体を露出させている。その際、ニッパ、ナイフ等を用いて露出させることが行なわれているが、被覆の除去は面倒な作業を要し時間もかかり怪我する危険もあった。このため、内部に切込刃を備え、挿入口からケーブルを挿入して挿入軸回りに回動させることにより被覆を除去する工具が開発され、例えば、特許文献1にそれに関する技術が開示されている。
【0003】
図9は、特許文献1に記載の除去工具を示す。
図9において、除去工具50の切削刃54は、ケーブルの径方向に沿って形成された切り刃部55と、ケーブルの軸方向に沿って形成された掬い刃部56とを備えている。切り刃部55は、ケーブルの相対回転に伴ってケーブルを切削し、掬い刃部56は、切削されたスロット57を掬いあげて中心のテンションメンバ58から剥ぎ取るものである。切り刃部55と掬い刃部56とは直角に接続され、切削刃54の一側面に形成され、各先端は、
図9(b)に示すように、同一線V上に位置している。
【0004】
この構成により、
図9(a)に示すように、スロット57を除去工具50の挿入ブロック51のスロット導入口52に挿入し、スロット57の先端面を段差部53に押し付けながら除去工具50を軸回りに回転させる。すると、切り刃部55によってスロット57の先端面が切削され、切削されたスロット57は掬い刃部56によってテンションメンバ58から剥ぎ取られ、スロット切削屑として切削屑排出口59から排出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の除去工具は、切り刃部55の先端と掬い刃部56の先端とが同一線V上に位置し、切削する動作と掬う動作とが同時に開始されるから、切り刃部55によって切削されたスロット57の薄い先端部分が掬い刃部56の下側に潜り込んだりするために、切削されたスロット57を掬い刃部56によって確実に掬い上げることができず、テンションメンバ58から円滑に剥ぎ取ることができないことがあった。また、切り刃部55のみでなく掬い刃部56も先端は鋭利になっているので、掬い上げ途中にスロット57が切断されてしまうことがあった。そのため、掬い刃部56の刃先がスロット57に食い込んだり、スロット57が細切れになってしまってこの切削屑を処理するのが大変であった。
【0007】
そこで、本発明は、切込刃で切り込んだ被覆の端部を確実に掬い上げて心材から除去することができ、また、被覆を掬い上げる際に被覆を切ってしまうことのない被覆付ケーブルの被覆除去工具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の被覆付ケーブルの被覆除去工具は、被覆付ケーブルの端部が挿入される挿入口を有し、該挿入口から挿入された前記ケーブルに対して相対的に回動させることで
前記被覆付ケーブルの被覆を除去するものであって、
前記ケーブルの挿入軸に対して傾斜して配置され前記被覆に切り込む切込刃を備え、前記挿入及び回動により前記被覆を端部から螺旋状に切り込む切込刃体と、前記切込刃体よりも前記ケーブルの挿入方向奥側に位置し、切り込まれた前記被覆を掬いあげる掬い部と、を備え、
前記掬い部の先端は、前記切込刃の先端よりも前記回動方向の後方に位置するものである。
【0009】
これによれば、掬い部の先端は切込刃の先端よりも回動方向の後方に位置するので、切込刃で被覆を切り込んで一定時間経過した後、掬い部による掬い上げが開始される。これにより、切込刃が被覆において心材に近接した深部にまで入いり、切り込まれた被覆が厚肉で十分に掬い上げ可能な状態になってから掬い部による掬い上げが開始されるから、掬い部で被覆を下方から支持しつつ確実に掬い上げることができる。
【0010】
本発明の被覆除去工具は、掬い部が、板状に形成された掬い板体の被覆付ケーブル側の先端部によって形成され、前記掬い板体は、前記切込刃体における被覆付ケーブルの挿入方向奥側の端部に隣接して設けられたものとすることもできる。
これによれば、掬い部は、切り込まれた被覆の端部を確実に掬い上げて剥ぎ取ることができる。
【0011】
また、本発明の被覆除去工具は、掬い部が、被覆を切らない端面に形成されたものとすることもできる。これによれば、被覆を掬い上げる際に被覆を切ってしまうのを防止することができる。
【0012】
更に、本発明の被覆除去工具は、掬い板体が、切込刃体とは別体に形成されたものとすることもできる。
これによれば、切込刃体のみについて個別に刃先を研ぐ刃付けや焼き付けなどの処理を行なうことができるので、切込刃体と掬い板体とが一体物で形成された場合と比較して、切込刃体及び掬い板体を簡単かつ安価に製作することができる。
加えて、切込刃体及び掬い板体は、それぞれ個別に設置することができるので、ケーブルの種類等に応じて切込刃体及び掬い板体の設置位置や取付角度等を自在に設定あるいは変更したり、切込刃体と掬い板体とを自在に組み合わせたりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、掬い部の先端が、切込刃の先端よりも回動方向の後方に位置するので、切込刃で切り込んだ後の被覆を掬い部で確実に掬い上げて導体等の心材から剥ぎ取ることができる。その結果、切り込まれた被覆の一部が掬い部の下側に潜り込んだりして切込刃及び掬い部の設置部分で詰まったり引掛かったりするのを防止することができ、円滑、確実にかつ安全に被覆付ケーブルの端部において被覆を除去して内部の心材を露出させることができる。
【0014】
また、被覆を掬い上げる際に掬い部で被覆を切ってしまうのを防止することができるので、被覆が掬い上げ途中で切断されて掬い部の先端が被覆に食い込んだり、被覆が細切れになってしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の被覆付ケーブルの被覆除去工具を図に基づいて説明する。
本実施形態の被覆付ケーブルの被覆除去工具は、被覆付ケーブルの端部が挿入される挿入口を有し、該挿入口から挿入された被覆付ケーブル(以下、単に「ケーブル」と称する。)に対して相対的に回動させることでその被覆を除去するものである。
図1及び
図2に示すように、被覆除去工具1は、中央部の把持部10の左右両側にケーブル40の被覆42を切削除去する被覆除去部20を備えている。被覆除去部20は、更に、被覆42に切り込む切込刃23を備えた切込刃体22と、切込刃23によって切り込まれた被覆42を掬いあげる掬い部26と、を備えている。以下、各構成部材について詳細に説明する。なお、本実施形態ではケーブルとして電力ケーブルを例示する。
【0017】
左右一対の被覆除去部20,20は、径や被覆厚等の異なる2種類のケーブル40に対応すべく挿入口28等の大きさは異なるが、全体的には、互いに同様の形状、形態に形成され、把持部10の両側に左右対称に取り付けられている。各被覆除去部20は把持部10に対して着脱自在に組み付けられており、各種サイズのケーブル40に対応してその被覆を除去することができる。各被覆除去部20は、挿入口28とは反対側端部に把持部10側に向けて突設された
図3に示す係合部20aを把持部10の被係合部に係合させて組み付けることができるようになっている。
【0018】
各被覆除去部20は、
図3及び
図4に示すように、全体として略円筒状に形成されているが、一部に設置空間21が形成されており、設置空間21内にはビスを用いて切込刃体22、及び掬い部26を有する掬い板体25が設置されている。切込刃体22及び掬い板体25はビスを含めて全体が設置空間21内に収容され、被覆除去工具1を把持する際に支障とならないようになっている。被覆除去部20の外側端部の中央にはケーブル40が挿入される円形の挿入口28が形成され、挿入口28から内部には断面円形の挿通路29が形成されている。挿通路29は、挿入口28の円中心から把持部10に向かって延びる中心軸であってケーブル40を挿入する方向の軸である挿入軸Oに沿って把持部10側の端部に貫通している。本実施形態において、挿通路29は、外径が約13.0mm及び約15.5mmの大小2種類のケーブル40に対応すべく、一側の被覆除去部20については13.0mmより僅かに大きく、他側の被覆除去部20については15.5mmより僅かに大きい内径に形成されている。なお、設置空間21の開口部は、切削された被覆42を取り出すための排出口30ともなっている。被覆除去部20は、切込刃体22及び掬い板体25を除いて合成樹脂材により一体に形成されている。
【0019】
ここで、ケーブル40は、低圧の一般電力用配線に広く使用されている架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルであり、
図5に示すように、導体41の周囲に架橋ポリエチレン樹脂からなる絶縁体43が被覆され、更にその外周にビニル樹脂からなるシース44が被覆されている。これら絶縁体43及びシース44によって被覆42が形成されている。なお、外径が約13.0mmのケーブル40の場合、導体41の外径は7.3mm、絶縁体43の厚さは1.2mm、シース44の厚さは1.5mmであり、外径が約15.5mmのケーブル40の場合、導体41の外径は9.3mm、絶縁体43の厚さは1.5mm、シース44の厚さは1.5mmである。
【0020】
設置空間21の内部には、
図4(b)に示すように、右上方から左下方にかけて傾斜する傾斜面を有する切込刃体固定台31が形成されており、この切込刃体固定台31にはビス24を介して切込刃体22が着脱自在に固定されている。本実施形態では、切込刃体固定台31は、水平方向の挿入軸Oに対して約50度傾斜した角度に設定されている。切込刃体22は略四角板状に形成され、その挿入軸O側の辺の部分は切込刃23に形成されている。切込刃体22の裏面である切込刃体固定台31側の面は切込刃23の部分を含めて全体が面一に形成されており、切込刃23の上面23aは、
図3、
図4等に示すように、下面23bに対して約25度傾斜するテーパ面に形成されている。切込刃23の下端部23cは挿通路29の空間内に突出しており、その突出量は、ケーブル40の被覆42を除去する際に下端部23cがケーブル40の心材である導体41と被覆42との境界部分に達する寸法、すなわち、被覆42については切り込まれるが導体41にまでは達せずこれを傷付けない寸法に設定されている。
【0021】
切込刃体22より挿入方向奥側である把持部10側には、切込刃体22における挿入方向奥側端すなわち把持部10側の辺である下端辺22aに隣接して掬い板体25が配設され、傾斜している切込刃体22の下端辺22aの部分と掬い板体25の挿入口28側の長辺25aの部分とは当接している。掬い板体25は、
図3において掬い板体固定台32の水平面をなす上面32aにビス27を介して着脱自在に固定され、一部は挿通路29内に突出している。掬い板体25は一定厚の細長矩形板で形成され、周囲4辺は垂直端面に形成されている。掬い部26は、掬い板体25の挿通路29側の先端である短辺部分、すなわち掬い板体25におけるケーブル40と対向する側の先端部で形成されている。掬い部26の先端26aは掬い板体25の垂直端面で形成されており、そのため、ケーブル40の被覆42は切れないものとなっている。
【0022】
ここで、掬い部26の先端26aは、
図3(b)、(c)に示すように、切込刃23の刃先である先端23dに対して排出口30側に長さLだけ離間している。別言すれば、掬い部26の先端26aは、被覆除去時のケーブル40の回動方向において切込刃23の先端23dの後方に長さLだけ離間している。この位置関係により、ケーブル40を挿入口28側から見て時計方向に回動させたとき、ケーブル40の外周面は、最初に切込刃23の先端と当接して切り込まれた後、切られた先端は更に時計方向に長さLだけ回動してから掬い板体25の掬い部26の先端26aに当接することになる。
【0023】
一方、把持部10は、
図1、2に示すように、合成樹脂材で略円筒状に形成され、上面11には軸方向に沿って長孔12が形成され、左右両側面13,13及び下面14は手で把持し易いように中央部分が内部側に凹んだ湾曲面になっている。把持部10の内部中央には所定長さの円柱状の除去長さ設定部材15が把持部10の軸方向に沿って往復移動自在に配設されている。そして、除去長さ設定部材15の上部中央にはこれの移動を操作するための摘み部16が一体に設けられ、その上端部16aは長孔12から上方に突出している。除去長さ設定部材15、摘み部16を上方から押し下げることにより長孔12に沿って往復移動させることができ、押し下げを解除することにより所定位置で停止固定させることができるようになっている。除去長さ設定部材15の軸心はケーブル40の挿入軸Oと同一直線上に位置しており、除去長さ設定部材15の左右両側の端面はケーブル40の先端面が所定位置を超えて挿入方向奥側に移動するのを阻止するストッパ面15aとなっている。
【0024】
把持部10の上面11の長孔12の幅方向両外側には長孔12の長手方向に沿って目盛17が表示されており、この目盛17は、ケーブル40の導体41の露出長さの設定値を表示している。なお、
図1及び
図2において、下側の目盛17は左側の挿入口28から挿入されるケーブル40に対する露出長さの設定値を表示し、上側の目盛17は右側の挿入口28から挿入されるケーブル40に対する露出長さの設定値を表示している。
【0025】
次に、上記のように構成された被覆除去工具1を使用してケーブル40の被覆42を除去する方法を説明する。ここで、被覆42の除去においては、ケーブル40に対して被覆除去工具1を相対的に時計方向に回動させるが、説明の都合上、ここでは、ケーブル40を被覆除去工具1に対して時計方向に回動させて除去する操作を説明する。勿論、ケーブル40を把持して把持部10を時計方向に回動させて被覆42を除去してもよい。また、両側の被覆除去部20はほぼ同様の形状、形態に形成されているので、ここでは、右側の被覆除去部20で被覆を除去する場合を
図6乃至
図8に基づいて説明する。なお、以下の各図はケーブル40の先端部の被覆42の状態を示し、(a)は要部を上方から見た図、(b)は左側方から見た図、(c)は正面側から見た断面図である。
【0026】
最初に、
図6に示すように、被覆除去工具1の把持部10を手で把持してケーブル40の外径に対応する右側の挿入口28からケーブル40をその先端面が切込刃23に当接するまで挿通路29内に挿入する。ここで、切込刃23はケーブル40の挿入軸Oに対して傾斜して配置されている。このため、ケーブル40の先端面が切込刃23に当接したとき、ケーブル40の先端面は最初に切込刃23のうちの挿通路29内に突出している部分における最上部23eと当接することになる。
【0027】
次に、ケーブル40の先端面が切込刃23と当接したら、
図7に示すように、ケーブル40を挿入口28側から見て時計方向に回動させながら更に挿入方向奥側に向けて押し込む。すると、ケーブル40の先端部はまず切込刃23の挿通路29内に突出している部分のうちの最上部23eで切り込みが開始され、被覆42の端部から最初に表面側のシース44が切り込まれていく。切り込まれた被覆42の先端部は、先が尖った楔状となる。そして、被覆42はケーブル40の回動と押し込みとが同時に行なわれるので、螺旋状に切り込まれていく。
【0028】
続けて、更にケーブル40を回動させつつ押し込んでいくと、切込刃23は表面側のシース44から内部側の絶縁体43にまで切り込んでいき、
図8に示すように、ケーブル40の先端が切込刃23の下端部23cに達すると、切込刃23の下端部23cはケーブル40の絶縁体43と導体41との境界部分に達し、それより下部には切り込まない。これにより、導体41の外表面はほとんど傷付かない。
【0029】
以後、被覆42はシース44と絶縁体43とが一体となって螺旋状に切り込まれる。このとき、切込刃23の上面23aは上方に傾斜しているので、切られた被覆42は切込刃23の上面23aで持ち上げられつつ掬い板体25側に移動する。こうして、被覆42の先端部は、最初に切られる部分の厚みを増しながら掬い部26に乗り上げて掬い上げられた後、導体41から螺旋状に剥ぎ取られていく。
【0030】
その後、ケーブル40の導体41の先端面が除去長さ設定部材15のストッパ面15aと当接するとそれ以上の挿入は阻止される。この状態でケーブル40の回動のみを行なうと、ケーブル40は挿入方向の定位置で1回転し、切り込まれた被覆42はケーブル40から分断される。ここで、把持部10の摘み部16を予め所定の目盛17に合わせておくことにより、被覆42を除去されたケーブル40の端部は導体41が所定長さだけ露出する。分断された被覆42は被覆除去部20の排出口30から側方に排出される。以上により、被覆42の除去は完了する。
【0031】
次に、被覆除去工具1の作用を説明する。
被覆除去工具1は、掬い部26の先端26aが、切込刃23の先端23dよりも回動方向の後方に位置するので、切込刃23で被覆42が切られた後、時間差をもって掬い部26による、切り込まれた被覆42の掬い上げが開始される。これにより、切込刃23が被覆42における導体41に近接した深部にまで入いり込み、切られた被覆42が十分に掬い上げ可能な厚肉の状態になってから掬い部26による掬い上げが開始されるから、被覆42を掬い部26で下方から支持しつつ確実にめくり上げて掬い上げることができる。
【0032】
すなわち、仮に、掬い部26の先端26aと切込刃23の先端23dとが回動方向においてほぼ同一位置にあって、切り込みと掬い上げとがほぼ同時に行なわれると、切込刃23の先端23dで切り込まれた直後の被覆42がまだ薄くてひらひらした状態にあるので、掬い部26に当接しても掬い上げは困難であり、切り込まれた被覆42の先端部は掬い部26の下側に潜り込んだりして切込刃23及び掬い部26の設置部分で詰まったり引掛かったりして被覆42の除去は困難である。しかし、本実施形態の被覆除去工具1によれば、上述のように、掬い部26の先端は、切込刃23の先端よりも回動方向の後方に位置するので、そのような不具合を生じない。その結果、切込刃23で切り込んだ後の被覆42を掬い部26で円滑かつ確実に掬い上げて導体41から剥ぎ取り、内部の導体41を露出させることができる。
【0033】
また、掬い部26は、板状に形成された掬い板体25におけるケーブル40側の先端部によって形成され、掬い板体25は、切込刃体22におけるケーブル40の挿入方向奥側端に隣接して設けられているので、切り込まれた被覆42の端部を確実に掬い上げて剥ぎ取ることができる。すなわち、仮に、掬い板体25が切込刃体22における挿入方向奥側端から奥側に離間して設けられていると、切込刃23により切り込まれた後に一旦斜め上方に持ち上がった被覆42の端部が掬い板体25に到達する前に掬い板体25の下方に垂れ下がってしまい、掬い部26による掬い上げのタイミングが遅くなって掬い上げることができなくなり、詰まりや引掛かりの原因ともなる。しかし、本実施形態の被覆除去工具1によれば、上述のように、掬い板体25は、切込刃体22に隣接して設けられているので、そのような不具合を生じない。
【0034】
更に、掬い部26の先端26aは、ケーブル40の被覆42を切らない端面に形成されているので、被覆42を掬い上げる際に掬い部26で被覆42を切ってしまうのを防止することができる。その結果、被覆42が途中で切断されて、掬い上げ途中で掬い部26の先端26aが被覆42に食い込んだり、被覆42が細切れになってしまうのが防止される。
【0035】
そして、掬い板体25は、切込刃体22とは別体に形成されているので、切込刃体22のみについて個別に刃先を研ぐ刃付けや焼き付けなどの処理を行なうことができる。このため、切込刃体22と掬い板体25とが一体物で形成された場合と比較して、切込刃体22及び掬い板体25を簡単かつ安価に製作することができる。
また、切込刃体22及び掬い板体25は、それぞれ個別に設置することができるので、ケーブル40の種類等に応じて切込刃体22及び掬い板体25の設置位置や取付角度等を自在に設定あるいは変更したり、切込刃体22と掬い板体25とを自在に組み合わせたりすることができる。
【0036】
ところで、上記実施形態の掬い板体25は、切込刃体22における挿入方向奥側端に隣接して設けられているが、これに限られるものではなく、掬い部26による掬い上げに支障をきたさない範囲で切込刃体22から僅かに離間していてもよい。
また、掬い板体25は、一定厚の細長矩形板で形成されているが、この形状、形態に限られるものではない。
【0037】
更に、掬い部26は、板状に形成された掬い板体25のケーブル40側の先端部で形成されているが、この先端部に加え、掬い板体25において切込刃体22と隣接する辺である側端部にも形成してもよい。また、掬い部26の先端26aは、垂直端面に形成されているが、ケーブル40の被覆42を切らない形状であればこれに限られるものではなく、湾曲する端面等で形成してもよい。
【0038】
そして、上記実施形態の切込刃体22は、略四角板状に形成されているが、この形状に限られるものでもない。
また、切込刃体22は、ケーブル40の挿入軸Oに対して傾斜した切込刃体固定台31に固定され、切込刃23は、挿入軸Oに対して傾斜して配置されているが、これに限定されるものではなく、切込刃体22及び切込刃23は、挿入軸Oに直交する垂直状態に設置してもよい。
【0039】
加えて、上記実施形態の掬い板体25は、切込刃体22とは別体に形成されているが、一体に形成してもよい。
【0040】
また、切込刃23の傾斜角度や、掬い部26の先端26aと切込刃23の先端23dとが離間する長さLなど、各部位における角度、寸法は、上記実施形態の設定値に限定されるものではなく、ケーブル40の外径、被覆42の厚さ、材質等に応じて適宜最適値に設定すればよい。
【0041】
更に、切込刃体22及び掬い板体25を固定するビスは、各図に示すように、ナベ小ネジを用いているが、皿小ネジなどを用いてもよい。ビス27として皿小ネジで掬い板体25を固定した場合は、頭部が掬い板体25から飛び出さないので、切られた被覆42が切込刃体22とビス27の頭部との間に嵌り込んで詰まったりするのを避けることができる。
また、上記実施形態において、切込刃体22及び掬い板体25はビスを用いて設置されているが、他の手段によって設置してもよい。
【0042】
なお、被覆除去部20の把持部10への組み付けは、係合により行なっているが、他の手段で組み付けてもよい。また、被覆除去部20は把持部10の両側に組み付けられているが、把持部10の片側のみに組み付けるものとしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、ケーブル40として電力ケーブルを例示しているが、本発明を実施する場合には、光ケーブルなど他のケーブルの被覆の端部を除去する場合にも同様に適用することができる。