(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
現金による取引業務を行うときに伝票の取引額の入力を受け付け、第1の現金機及び少なくとも1台の第2の現金機における現金の収納状況を示した現金機情報を参照し、前記第1の現金機及び前記第2の現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから現金の入出金処理を行う前記第1の現金機又は前記第2の現金機を特定し、
前記第1の現金機が特定された場合には前記第1の現金機に対して取引指示を出し、前記第2の現金機が特定された場合には前記第2の現金機に対し現金の入出金処理を可能にさせるパスワードを発行して取引指示を出し、
前記第1の現金機又は前記第2の現金機の特定は、まず、前記現金機情報を参照して得られた前記第1の現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから前記第1の現金機が使用可能か否かを判定し、前記第1の現金機が使用可能でない場合に、前記第2の現金機の中から使用可能な使用候補現金機を抽出し、前記現金機情報を参照して得られた前記使用候補現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから前記使用候補現金機の1つを選択することにより行い、
前記使用候補現金機の1つの選択は、現在時刻をチェックし、前記現在時刻が所定の第2の時間帯に含まれているとき、前記第1の現金機の通番との差異が最も小さい通番を有する前記使用候補現金機を選択する、
処理をコンピュータに実行させる現金機管理プログラム。
現金による取引業務を行うときに伝票の取引額の入力を受け付け、第1の現金機及び少なくとも1台の第2の現金機における現金の収納状況を示した現金機情報を参照し、前記第1の現金機及び前記第2の現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから現金の入出金処理を行う前記第1の現金機又は前記第2の現金機を特定し、
前記第1の現金機が特定された場合には前記第1の現金機に対して取引指示を出し、前記第2の現金機が特定された場合には前記第2の現金機に対し現金の入出金処理を可能にさせるパスワードを発行して取引指示を出し、
前記第1の現金機又は前記第2の現金機の特定は、まず、前記現金機情報を参照して得られた前記第1の現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから前記第1の現金機が使用可能か否かを判定し、前記第1の現金機が使用可能でない場合に、前記第2の現金機の中から使用可能な使用候補現金機を抽出し、前記現金機情報を参照して得られた前記使用候補現金機における現金の収納状況と前記伝票の取引額とから前記使用候補現金機の1つを選択することにより行い、
前記使用候補現金機の1つの選択は、現在時刻をチェックし、前記現在時刻が所定の第1の時間帯に含まれているとき、前記使用候補現金機の中から、入金処理の場合、現金の収納状況が最も満杯に近い1台を選択し、出金処理の場合には、現金の収納状況が最も収納枚数の少ない1台を選択する、
処理をコンピュータに実行させる現金機管理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る現金機管理システムの一構成例を示すシステム図である。
【0015】
現金機管理システム1は、複数の現金機管理装置2と、現金機管理装置2によって管理される複数の現金機3と、現金機管理装置2及び現金機3を相互に接続するネットワーク4とを備えている。
【0016】
現金機管理装置2は、受付部2aと、記憶部2bと、現金機特定部2cと、取引指示部2dと、パスワード生成部2eと、収納状況通知部2fとを有している。
受付部2aは、現金による取引業務を行うときに行員によって入力された取引業務に必要な伝票の情報を受け付ける。
【0017】
記憶部2bは、ネットワーク4によって接続された全ての現金機3が収納している紙幣及び硬貨の収納状況を表す現金機情報2gを保持している。
現金機特定部2cは、受付部2aによって受け付けられた伝票の情報と記憶部2bに保持されている現金機情報2gとを受けて、ネットワーク4によって接続された全ての現金機3から現金の入出金処理が可能な1台を特定する。
【0018】
取引指示部2dは、現金機特定部2cによって特定された現金機3に対して現金の取引指示を送信する。このとき、現金機特定部2cによって特定された1台が取引指示を送信する現金機管理装置2とペアになっている、又は、取引指示を送信する現金機管理装置2に最も近い位置に配置されている現金機3である場合、その現金機3に現金の取引指示を直接送信する。一方、取引指示を送信する現金機管理装置2とペアになっていない現金機3が特定された場合、取引指示部2dは、その現金機3にパスワード生成部2eによって生成されたパスワードとともにパスワード認証を条件とする現金の取引指示を送信する。
【0019】
収納状況通知部2fは、取引処理が実行された現金機3から今回の取引によって変化した現金収納状況を受けて記憶部2bの現金機情報2gが更新された場合、その更新された現金収納状況を他の現金機管理装置2に同報通信をする。
【0020】
現金機3は、取引実行部3aと、認証処理部3bと、現金収納状況通知部3cとを有している。
取引実行部3aは、現金機管理装置2から取引指示を受信したとき、許可された現金の入出金処理を実行する。取引実行部3aは、又、現金機管理装置2からパスワード認証を条件とする取引指示を受信したときには、認証処理部3bによるパスワード認証が得られた後、許可された現金の入出金処理を実行する。
【0021】
認証処理部3bは、現金機管理装置2のパスワード生成部2eが生成して取引指示部2dにより送信されたパスワードを受信し、その受信したパスワードと行員が入力したパスワードとを比較する。受信したパスワードと行員が入力したパスワードとが一致したとき、認証処理部3bは、取引実行部3aに対して現金の入出金処理の許可を送出する。
【0022】
現金収納状況通知部3cは、この現金機3が収納している紙幣及び硬貨の収納状況を表す装置情報3dを有しており、現金機3の入出金処理により紙幣及び硬貨の収納状況が変化するたびに、取引指示を出した現金機管理装置2に更新された装置情報3dを通知する。装置情報3dは、又、自己の現金機3の現状の現金の収納状況の他に、金種ごとの最大収納枚数、ニアフル枚数及びニアエンド枚数が設定されており、これらの値は、取引指示を出した現金機管理装置2に通知されている。
【0023】
以上の現金機管理システム1によれば、銀行のある窓口に現金機管理装置2及び現金機3がペアで設置されている場合、行員は、手元の現金機管理装置2及び現金機3を使って実際の現金の入出金処理を行う。
【0024】
ここで、手元にある現金機3が受け付けた伝票の内容で入出金処理が可能な場合、問題なく、手元にある現金機3が入出金処理をすることになる。
もし、手元にある現金機3が受け付けた入出金処理に対応できない場合、入出金処理は、他の場所に設置されている現金機に代替させることになる。この場合、現金機管理装置2は、現金機特定部2cにおいて対応可能な現金機3を探し出し、その現金機3で入出金処理を行うように誘導する。このとき、現金機管理装置2は、パスワード生成部2eにてパスワードを生成し、誘導先の現金機3に送信しておく。誘導先の現金機3では、行員がパスワード生成部2eで生成したパスワードを入力したとき、認証処理部3bが入力されたパスワードと先に送られていたパスワードとを比較し、これらのパスワードが一致した場合、取引実行部3aによる現金の入出金処理を許可する。
【0025】
このように、手元ではない場所に設置された現金機3を使用するように誘導された場合、パスワードによる認証処理をすることで、誘導した現金機3でのみ現金の入出金処理が可能になる。このため、誘導先とは異なる現金機3を使用しようとしてもパスワードを入力した時点で間違いに気付くため、入出金処理の時間を長引かせることがない。
【0026】
<第2の実施の形態>
図2は、第2の実施の形態における営業店端末及び現金機の接続関係を示した構成図、
図3は、伝票の記入例を示す図である。
【0027】
銀行には、
図2に示したように、受付用のハイカウンタ10があり、そのハイカウンタ10には複数の、図示の例では、3つの窓口が設定されている。ハイカウンタ10の内側には、窓口ごとに行員11a,11b,11cが配置され、かつ、行員11a,11b,11cが操作する第1ないし第3の営業店端末20a,20b,20c及び第1ないし第3の現金機30a,30b,30cが備えられている。第1ないし第3の営業店端末20a,20b,20cは、第1の実施の形態の現金機管理装置2に相当する。第1ないし第3の営業店端末20a,20b,20c及び第1ないし第3の現金機30a,30b,30cは、LAN(Local Area Network)40によって接続されている。なお、LAN40は、有線のイーサネット(登録商標)や無線LANでもよい。
【0028】
以下の説明において、複数の行員11a,11b,11cを特に区別しない場合には、行員11と表記することがある。又、第1ないし第3の営業店端末20a,20b,20cを特に区別しない場合には、営業店端末20と表記し、第1ないし第3の現金機30a,30b,30cを特に区別しない場合には、現金機30と表記することがある。
【0029】
顧客12は、現金による入出金を依頼するとき、伝票13に入出金業務に必要な事項を記入し、窓口の行員11に提出する。伝票13は、
図3に示したように、取引種別、口座番号、氏名、金額、金種の欄があり、金種の欄は、紙幣及び硬貨の金種ごとに枚数を記入するようになっている。
【0030】
伝票13を受けた行員11は、伝票13に記載されている情報を営業店端末20に入力する。ここで、入金取引の場合、顧客12から預かった紙幣及び硬貨を現金機30に投入すると、現金機30は、投入された紙幣及び硬貨の鑑別、計数及び収納を行い、その結果を営業店端末20に通知する。営業店端末20では、現金機30から通知された情報と先に入力された伝票13の情報とが一致したとき、入金取引が完了する。
【0031】
出金処理の場合は、伝票13に記載されている情報を営業店端末20に入力すると、現金機30は、営業店端末20から通知された金種及び枚数の情報に従って必要な金種の紙幣及び硬貨を収納している紙幣及び硬貨からそれぞれ必要な枚数だけ放出する処理をする。現金機30が放出した紙幣及び硬貨を顧客12に渡すことによってこの出金取引が完了する。
【0032】
図4は、第2の実施の形態の営業店端末の一構成例を示すブロック図である。
営業店端末20は、コンピュータとすることができ、CPU(Central Processing Unit)200aによってこの営業店端末20の全体が制御されている。CPU200aには、バス200hを介してRAM(Random Access Memory)200bと複数の周辺機器が接続されている。
【0033】
RAM200bは、営業店端末20の主記憶装置として使用される。RAM200bには、CPU200aに実行させるOS(Operating System)のプログラムや現金機30を管理するためのアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に収納される。又、RAM200bには、CPU200aによる処理に必要な各種データが収納される。
【0034】
バス200hに接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)200c、グラフィック処理装置200d、入力インタフェース200e、機器接続インタフェース200f及び通信インタフェース200gがある。
【0035】
ハードディスクドライブ200cは、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込み及び読み出しを行う。ハードディスクドライブ200cは、営業店端末20の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ200cには、OSのプログラム、現金機30を管理するためのアプリケーションプログラム及び現金機情報等の各種データが収納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0036】
グラフィック処理装置200dには、ディスプレイ21及びカスタマディスプレイ22が接続されている。グラフィック処理装置200dは、CPU200aからの命令に従って画像をディスプレイ21及びカスタマディスプレイ22の画面に表示させる。ディスプレイ21としては、液晶表示装置などが使用され、カスタマディスプレイ22としては、液晶表示装置、蛍光表示管を用いた装置などが使用されている。
【0037】
入力インタフェース200eには、キーボード23及びマウス24が接続されている。入力インタフェース200eは、キーボード23とマウス24から送られてくる信号をCPU200aに送信する。
【0038】
機器接続インタフェース200fは、スキャナ25、カードリーダ26、プリンタ27が接続されている。スキャナ25は、受け付けた伝票13の取引情報を読み取り、そのデータをCPU200aに送信する。カードリーダ26は、銀行のキャッシュカードの情報を読み取り、そのデータをCPU200aに送信する。プリンタ27は、CPU200aからの命令に従って発行されたレシートを印刷する。
【0039】
通信インタフェース200gは、LAN40に接続されている。通信インタフェース200gは、LAN40を介して他の営業店端末20と全ての現金機30との間でデータの送受信を行う。
【0040】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の営業店端末20での処理機能を実現することができる。
図5は、第2の実施の形態の現金機の一構成例を示すブロック図である。
【0041】
現金機30は、CPU300aによって現金機30の全体が制御されている。CPU300aには、バス300hを介してRAM300bと複数の周辺機器が接続されている。
RAM300bは、現金機30の主記憶装置として使用される。RAM300bには、CPU300aに実行させるOSのプログラムや現金の入出金及び現金機管理のためのアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に収納される。又、RAM300bには、CPU300aによる処理に必要な各種データが収納される。
【0042】
バス300hに接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD)300c、グラフィック処理装置300d、入力インタフェース300e、機器接続インタフェース300f、及び通信インタフェース300gがある。
【0043】
ハードディスクドライブ300cは、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込み及び読み出しを行う。ハードディスクドライブ300cは、現金機30の二次記憶装置として使用される。ハードディスクドライブ300cには、OSのプログラム、現金の入出金及び現金機管理のためのアプリケーションプログラム及び装置情報等の各種データが収納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0044】
グラフィック処理装置300dには、ディスプレイ31が接続されている。グラフィック処理装置300dは、CPU300aからの命令に従って画像をディスプレイ31の画面に表示させる。ディスプレイ31としては、液晶表示装置等が使用されている。
【0045】
入力インタフェース300eには、タッチパネル32が接続されている。入力インタフェース300eは、タッチパネル32から送られてくる信号をCPU300aに送信する。
【0046】
機器接続インタフェース300fには、紙幣処理装置33及び硬貨処理装置34が接続されている。紙幣処理装置33は、CPU300aからの命令に従って紙幣の入出金及び収納の処理を行う。硬貨処理装置34は、CPU300aからの命令に従って硬貨の入出金及び収納の処理を行う。
【0047】
通信インタフェース300gは、LAN40に接続されている。通信インタフェース300gは、LAN40を介して全ての営業店端末20との間でデータの送受信を行う。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の現金機30の処理機能を実現することができる。
【0048】
次に、営業店端末20で実行される入出金処理について説明する。
図6は、第2の実施の形態の営業店端末で実行される入出金処理のフローチャート(その1)であり、
図7は、第2の実施の形態の営業店端末で実行される入出金処理のフローチャート(その2)である。
図8は、第2の実施の形態の営業店端末で実行される使用可否の判定処理のフローチャート(その1)であり、
図9は、第2の実施の形態の営業店端末で実行される使用可否の判定処理のフローチャート(その2)である。
図10は、第2の実施の形態の現金機情報の一例を示す現金機情報テーブルの図である。
図11は、第2の実施の形態の営業店端末のディスプレイ表示の一例を示す図である。
【0049】
営業店端末20は、顧客12から受け取った伝票13に記載の取引情報(
図3参照)が行員11によって入力されるまで待ち受ける。行員11による取引開始の入力があると、
図6及び
図7に示した営業店端末処理が開始される。
【0050】
[ステップS11]営業店端末20のCPU200aは、行員11が入力した入出金処理受付開始の操作で入出金処理を受け付ける。
[ステップS12]CPU200aは、ハードディスクドライブ200cに保持している現金機情報テーブル20iの現金機情報を参照して、最寄りの現金機30の予定を確認する。最寄りの現金機30とは、例えば、現金の入出金処理を行員11aが受け付けた場合、その行員11aがその場で使用することができる現金機30aである。
【0051】
ここで、現金機情報は、全ての現金機30の情報を含んでおり、全ての営業店端末20が共有して管理している情報である。具体的には、
図10に示したように、現金機情報テーブル20iは、営業店端末情報(IPアドレス)、現金機使用予定、現金機設置場所、現金機番号、優先順位、現金機内枚数、現金機最大収納枚数、現金機状態及び使用権の情報を保持している。
【0052】
営業店端末情報(IPアドレス)は、現金機30ごとに設定されたLAN40上のIPアドレスを表している。現金機使用予定は、現金機30の使用予定を表している。現金機設置場所は、現金機30の設置場所の地図を画像ファイルで表している。現金機番号は、現金機30ごとに配置順に割り振られた番号であって、例えば、
図2の場合、現金機30a,30b,30cの配置順に通番で設定されている。優先順位は、現金機30の割り当ての判定に使用する優先順位である。現金機内枚数は、銀行券の種別ごとの現金機30内の収納枚数を表している。現金機最大収納枚数は、銀行券の種別ごとの現金機30の最大収納枚数を表している。現金機状態は、現金機30の現在の稼働状態を表している。使用権は、営業店端末20が使用する現金機30を表している。
【0053】
以上の現金機情報テーブル20iをCPU200aが参照した結果、最寄りの現金機30の現金機情報が「予定なし」であると、次の処理はステップS13へ進められ、「予定あり」であると、次の処理はステップS15へ進められる。
【0054】
[ステップS13]CPU200aは、保持している現金機情報テーブル20iの現金機使用予定(自情報)を「予定あり」に設定し、現金機30を仮予約する。これにより、営業店端末20とペアになっている現金機30の使用を優先させるようにしている。
【0055】
[ステップS14]CPU200aは、保持している現金機情報テーブル20iのレコード更新を他の全ての営業店端末20へ通知する。
[ステップS15]CPU200aは、例えばスキャナ25が伝票13を読み取ることにより伝票13に記載の取引情報を入力する。
【0056】
[ステップS16]CPU200aは、保持している現金機情報テーブル20iの現金機情報と入力した伝票13の取引情報とを比較し、どの現金機30が使用可能であるかを特定する。
【0057】
[ステップS17]CPU200aは、保持している現金機情報テーブル20iのレコード更新を他の全ての営業店端末20へ通知する。
[ステップS18]CPU200aは、特定した現金機30が、最寄りの現金機30であるかを判定する。最寄りの現金機30とは、ステップS13において、現金機30を仮予約した場合の現金機30である。ステップS16で特定した現金機30が、最寄りの現金機30であると、次の処理はステップS20へ進められ、最寄りの現金機30でないと、次の処理はステップS19へ進められる。
【0058】
[ステップS19]CPU200aは、行員11の誘導先である使用可能な現金機情報をディスプレイ21に表示する。このディスプレイ21に表示される情報としては、例えば
図11に示したように、取引種別、行員11を識別するオペレータ番号、伝票番号、使用する現金機30の位置情報である現金機番号及び現金機30を使用するための暗証番号(ワンタイムパスワード)がある。現金機番号及びワンタイムパスワードは、誘導先の現金機30で入出金処理をする場合に必要な情報であるので、使用する現金機30が最寄りの現金機30である場合には表示されない。ワンタイムパスワードは、一度きりしか認証されないため、高いセキュリティを保つことができる。さらに誘導先の現金機30を間違えた場合には、認証されないため、その現金機30で手続きが行われることを防ぐことができる。
【0059】
[ステップS20]CPU200aは、特定した取引対象の現金機30へ取引指示を出す。
[ステップS21]CPU200aは、取引指示を出した現金機30から応答があったかどうかを判定する。取引結果の応答が返ってくると、次の処理はステップS22へ進められ、取引結果の応答が返ってこなければ、CPU200aは、現金機30から取引結果の応答が返ってくるまで待ち受ける。
【0060】
[ステップS22]CPU200aは、特定した取引対象の現金機30へ取引後における紙幣及び硬貨の変化した状態を要求する。
[ステップS23]CPU200aは、取引対象の現金機30から取引処理後の状態の応答が返ってきたかどうかを判定し、応答が返ってくれば、次の処理はステップS24に進め、応答が返ってこなければ、応答が返ってくるまで待ち受ける。
【0061】
[ステップS24]CPU200aは、取引対象の現金機30から返ってきた処理後の状態を現金機情報テーブル20iのレコードに反映し、他の全ての営業店端末20へ通知して、この営業店端末処理を終了する。
【0062】
次に、
図6に示したステップS16の使用可否の判定処理について
図8及び
図9を用いて説明する。
[ステップS31]CPU200aは、伝票情報の取引種別を判定する。取引種別が入金のとき、次の処理はステップS32へ進められる。又、取引種別が出金と判定されると、次の処理はステップS51へ進められる。
【0063】
[ステップS32]CPU200aは、使用候補の現金機30が決まっているかどうかを判定する。最寄りの現金機30が仮予約される等して使用候補の現金機30が決まっているとき、次の処理はステップS33へ進められ、使用候補の現金機30が決まっていないとき、次の処理はステップS34へ進められる。
【0064】
[ステップS33]CPU200aは、伝票13の取引情報と使用候補の現金機30の収納状態とから、入金した場合の紙幣及び硬貨の枚数が使用候補の現金機30の最大収納枚数の範囲内かどうかを判定する。入金しても、使用候補の現金機30の最大収納枚数を超えない場合、次の処理はステップS39へ進められる。ここで、最大収納枚数の範囲である条件は、営業店端末20の保持する現金機情報テーブル20iの最大収納枚数から現在の実状態の現金機内枚数を減算した空きの枚数が、伝票13の取引情報の枚数以上であることである。ただし、金種の1つでも、伝票13の取引情報の枚数が空きの枚数を超えている場合は、入金できないと判定される。使用候補の現金機30に入金できないと判定されると、他の使用候補の現金機30をサーチするために、次の処理はステップS34へ進められる。
【0065】
[ステップS34]CPU200aは、現在時刻が午前なのか午後なのかを判定する。現在時刻が午前の場合、次の処理はステップS35へ進められ、現在時刻が午後の場合、次の処理はステップS36へ進められる。ここで、現在時刻が午前の場合は、使用候補にする現金機30としては、なるべく使用中の営業店端末20から近い現金機30、つまり、最寄りの現金機30の通番に近い通番を有する現金機30を選択することにしている。これにより、他の現金機30を利用する場合に行員11の移動距離をできるだけ少なくして、行員11の利便性を向上させることができる。一方、現在時刻が午後の場合は、混雑する時間帯に複数の現金機30が同時にメンテナンスにより取引処理不能となる事態を避けるために、メンテナンスにより取引処理不能となる現金機30の数をできるだけ少なくなるようにしている。
【0066】
[ステップS35]CPU200aは、現金機情報テーブル20iを参照して、対応可能で設置場所の近い現金機30(使用候補の中で通番が最寄りの現金機30の通番に近い現金機30)をサーチする。
【0067】
[ステップS36]CPU200aは、現金機情報テーブル20iを参照して、対応可能でニアフルに近い現金機30をサーチする。
[ステップS37]CPU200aは、ステップS35又はステップS36でサーチに該当する現金機30があるかどうかを判定する。該当する現金機30があれば、次の処理はステップS38へ進められる。又、該当する現金機30がなければ、次の処理はステップS34へ戻り、該当する現金機30が見つかるまでステップS34〜S37の処理を繰り返す。
【0068】
[ステップS38]CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの現金機使用予定の欄を「予定あり」にする。
[ステップS39]CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの現金機使用予定の欄を「使用中」にする。又、CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの使用権の欄を「○」にする。これにより、他の営業店端末20からサーチに該当した現金機30が仮予約されることを防ぐ。
【0069】
[ステップS40]CPU200aは、現金機情報テーブル20iのレコード更新を他の全ての営業店端末20へ通知し、現金機情報テーブル20iを全ての営業店端末20の間で同期させる。
【0070】
[ステップS41]CPU200aは、取引処理の対象として特定した現金機30が最寄りの現金機30でない場合に備えて、パスワード(暗証番号)を発行し、ステップS16へ戻る。
【0071】
[ステップS51]ステップS31の判定において、取引種別が出金処理であった場合、CPU200aは、使用候補の現金機30が決まっているかどうかを判定する。最寄りの現金機30が仮予約される等して使用候補の現金機30が決まっているとき、次の処理はステップS52へ進められ、使用候補の現金機30が決まっていないとき、次の処理はステップS53へ進められる。
【0072】
[ステップS52]CPU200aは、伝票13の取引情報と使用候補の現金機30の収納状態とから、出金する場合の紙幣及び硬貨の枚数が使用候補の現金機30の残収納枚数の範囲内かどうかを判定する。出金する場合の紙幣及び硬貨の枚数が使用候補の現金機30の残収納枚数を超えない場合、次の処理はステップS58へ進められる。一方、出金する場合の紙幣及び硬貨の枚数が使用候補の現金機30の残収納枚数を超えた場合、他の使用候補の現金機30をサーチするために、次の処理はステップS53へ進められる。
【0073】
[ステップS53]CPU200aは、現在時刻が午前なのか午後なのかを判定する。現在時刻が午前の場合、次の処理はステップS54へ進められ、現在時刻が午後の場合、次の処理はステップS55へ進められる。
【0074】
[ステップS54]CPU200aは、現金機情報テーブル20iを参照して、対応可能で設置場所の近い現金機30(使用候補の中で通番が最寄りの現金機30の通番に近い現金機30)をサーチする。
【0075】
[ステップS55]CPU200aは、現金機情報テーブル20iを参照して、対応可能でニアエンドに近い現金機30をサーチする。
[ステップS56]CPU200aは、ステップS54又はステップS55でサーチに該当する現金機30があるかどうかを判定する。該当する現金機30があれば、次の処理はステップS57へ進められる。又、該当する現金機30がなければ、次の処理はステップS53へ戻り、該当する現金機30が見つかるまでステップS53〜S56の処理を繰り返す。
【0076】
[ステップS57]CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの現金機使用予定の欄を「予定あり」にする。
[ステップS58]CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの現金機使用予定の欄を「使用中」にする。又、CPU200aは、現金機情報テーブル20iにおいて、該当した現金機30のレコードの使用権の欄を「○」にする。これにより、他の営業店端末20からサーチに該当した現金機30が仮予約されることを防ぐ。
【0077】
[ステップS59]CPU200aは、現金機情報テーブル20iのレコード更新を他の全営業店端末20へ通知し、現金機情報テーブル20iを他の全ての営業店端末20の間で同期させる。
【0078】
[ステップS60]CPU200aは、取引処理の対象として特定した現金機30が最寄りの現金機30でない場合に備えて、パスワード(暗証番号)を発行し、ステップS16へ戻る。
【0079】
次に、上記構成を有する現金機で実行される取引処理について説明する。
図12は、第2の実施の形態の現金機で実行される取引処理のフローチャート、
図13は、第2の実施の形態の現金機のディスプレイのホーム画面例を示す図、
図14は、第2の実施の形態の現金機のディスプレイの認証画面の一例を示す図である。
図15は、第2の実施の形態の装置情報の一例を示す図である。
【0080】
ここでは、営業店端末20より取引処理を行う現金機30として、最寄りの現金機30とは異なる現金機30が特定され、営業店端末20からパスワードとともに取引指示を受信した場合の現金機30の処理について説明する。
【0081】
[ステップS61]CPU300aは、営業店端末20より取引指示を受信したかどうかを判定する。営業店端末20より取引指示を受信した場合、次の処理はステップS62へ進められる。又、CPU300aは、営業店端末20より取引指示を受信していないと、営業店端末20からの取引指示を受信するまで待つ。
【0082】
このとき、現金機30のディスプレイ31には、
図13に示したように、ホーム画面が表示されている。このホーム画面には、メッセージ表示部31a、現在の紙幣及び硬貨の収納枚数を表示する紙幣収納枚数表示部31b及び硬貨収納枚数表示部31cと、タッチパネル32による入力操作が可能なタイルとが表示されている。このタイルには、計数タイル32a、設定タイル32b、認証タイル32c、システムタイル32d及びその他タイル32eがあり、これらのタイルの1つをタップすることにより対応する処理が実施される。
【0083】
このホーム画面において、認証タイル32cがタップされると、ディスプレイ31の画面は、
図14に示すパスワード入力画面に遷移する。このパスワード入力画面には、パスワード入力用のテンキーボード31dが表示される。
【0084】
[ステップS62]CPU300aは、テンキーボード31dによるパスワードの入力を受け付ける。ここで、テンキーボード31dのキーが押下されると、CPU300aは、メッセージ表示部31aに入力されたパスワードを表示する。
【0085】
[ステップS63]CPU300aは、テンキーボード31dのENTキーが押下されると、入力されたパスワードが営業店端末20から送信されたパスワードと一致するかどうかを判定する。両パスワードが一致した場合、CPU300aは、認証成功と判定し、次の処理はステップS64へ進められる。又、両パスワードが一致しない場合、CPU300aは、認証失敗と判定し、次の処理はステップS62へ戻される。
【0086】
[ステップS64]行員11による現金の入出金処理が開始されると、CPU300aは、入金又は出金取引操作を実行する。入金取引の場合、CPU300aは、行員11が投入した紙幣及び硬貨を取り込み、紙幣及び硬貨の鑑別、計数及び収納の処理を実行する。出金取引の場合には、CPU300aは、収納されている紙幣及び硬貨を収納部から必要枚数繰り出し、鑑別及び計数して排出する出金処理を実行する。
【0087】
[ステップS65]CPU300aは、営業店端末20へ取引結果を送信する。
[ステップS66]CPU300aは、営業店端末20より装置情報の送信要求を受信したかどうかを判定する。営業店端末20より装置情報の送信要求があると、次の処理はステップS67へ進められる。営業店端末20より装置情報の送信要求がなければ、送信要求を受信するまで、CPU300aは、送信要求の受信を待機する。
【0088】
ここで、装置情報は、
図15に示した装置情報テーブル30iに保持されている。装置情報テーブル30iは、ハードディスクドライブ300cに保持され、全ての現金機30が自身の情報のみを保持していて、実状態、閾値の設定、使用中パスワード及び状態の情報を有している。実状態は、現金機30の現在の現金機内枚数を示し、閾値の設定は、現金機最大収納枚数、現金機ニアフル枚数及び現金機ニアエンド枚数の設定を示している。このような閾値は、現金機30の収納容量等に応じて設定変更が可能である。使用中パスワードは、営業店端末20からパスワードの送信があった場合に設定される。状態は、現在の現金機30の状態を表している。このような装置情報は、現金が入出金されるたびに更新される。
【0089】
[ステップS67]CPU300aは、装置情報の送信要求を受けて送信要求を出した営業店端末20へ装置情報テーブル30iの装置情報を送信し、この現金機処理を終了する。
【0090】
なお、この現金機処理においては、営業店端末20の最寄りに設置されている現金機30が現金の入出金処理をする場合、認証処理が不要なので、ステップS62及びS63の認証処理に関する処理は、パスされる。
【0091】
上記の営業店端末20及び現金機30の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、コンピュータが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0092】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体には、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記憶媒体、半導体メモリ等がある。
【0093】
上記プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体が販売される。又、プログラムをサーバコンピュータに収納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0094】
上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム若しくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に収納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。又、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0095】
又、プログラムで記述された処理の一部又は全てを、電子回路に置き換えることが可能である。例えば、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。