(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の雨水貯留浸透施設を示す全体斜視図、
図2は
図1の雨水貯留浸透施設の一段目の単位部材群とその下面の空隙を遮蔽する蓋部材を示す斜視図である。
図3は
図1の雨水貯留浸透施設の二段目の単位部材群を示す斜視図、
図4は一段目の単位部材群の上に二段目の単位部材群を積み重ねて係合し、一段目の単位部材群と二段目の単位部材群を水平方向及び鉛直方向に連結した状態を示す斜視図である。
図5は、
図1の雨水貯留浸透施設の三段目の単位部材群を示す斜視図である。
図1から
図5に示すように、
図1に示す本発明の雨水貯留浸透施設1は地下に掘って形成した空間に組み立てて設置され、
図2の一段目の単位部材群11、
図3の二段目の単位部材群12、
図5の三段目の単位部材群13を積み重ねて係合し、一段目の単位部材群11、二段目の単位部材群12、三段目の単位部材群13を水平方向及び鉛直方向に連結して構成されている。
【0014】
[単位部材A]
一段目の単位部材群11、二段目の単位部材群12、三段目の単位部材群13は、
図8の単位部材A…21、
図9の単位部材B…22、
図10の単位部材C1…23、単位部材C2…24で構成されている。単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1…23、単位部材C2…24は、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形されている。
図8に示すように単位部材A…21には、正方形の平板部31、中空筒状の4個の脚部32、32、33、33が一体的に形成されている。脚部32、32、33、33は、平板部31の四隅に等間隔に一体的に形成され、平板部31の一側面311側に突出し他側面312側に開口している。脚部32、32、33、33は、一側面311側に向かって徐々に縮径する円錐台状に形成されている。脚部32、32は、平板部31の一方の対角線上に形成され、脚部33、33は他方の対角線上に形成されている。
【0015】
また、一方の脚部32、32の突出端には円錐台状の係合凸部321が形成され、他方の脚部33、33の突出端には、係合凸部321に係合可能な円錐台状の係合凹部331が形成されている。脚部32、32、33、33の突出端には、8個の小径の貫通穴39が形成され、これは脚部32、32、33、33の中空筒部に入った水が脚部32、32、33、33の外に抜けるようにするためである。一個の単位部材A…21の脚部32、32、33、33の突出端を鉛直方向の上方にし、もう一個の単位部材A…21の脚部32、32、33、33の突出端を鉛直方向の下方にして鉛直方向に二段積み重ねる。次に、脚部32、32の端部にある係合凸部321を脚部33、33の係合凹部331に係合させれば、上下一対の単位部材A…21、21を鉛直方向に連結することができる。係合凸部321と係合凹部331の連結は、従来のようなピン結合ではなく、面積の広いテーパー面結合なので、曲げに対する強度が大きくなるため、好ましい。
【0016】
単位部材A…21の平板部31の他側面312側の四隅には、一辺の長さがL1で正方形の凹みである当接面34が形成されている。凹みは、2側面を備えている。当接面34は、平板部31の四隅に、各辺に沿って等間隔に形成され、平板部31の厚さHの半分の長さだけ一側面311側に凹んで形成されている。2側面は、他の単位部材Aの当接面34と接すると、他の単位部材Aの隅部の側面と接して、横方向の荷重を受け止める。即ち、他側面312より当接面34が窪んでいるので、単位部材Aを連結して組立てた雨水貯留浸透施設は、雨水が流入したときの側面からの動圧、又は土圧による静圧が負荷されても機械強度が強くなる。この理由は、矩形である当接面34の2側面の段差が側圧を受け止めるためである。この当接面34には、2個の係合部35と2個の被係合部36が形成されている。係合部35は、当接面34から平板部31の他側面312側に突出する凸部であり、被係合部36は、当接面34に開口する凹部である。2個の係合部35と2個の被係合部36は、脚部32、32、33、33と同心の同一円周上に90度間隔に配置されている。係合部35と被係合部36は、同一対角線上に向かい合って形成されている。
【0017】
図8に示すように、正方形の平板部31の一辺の長さは、2L1+L2である。以上の単位部材Aの説明から理解されるように、単位部材Aは、正方形の平板部31の中心を通り、平板部31の面に直角の線を中心とする対称形である。一つの単位部材Aの脚部32、32の突出端係合凸部321を、他方の単位部材Aの脚部33、33の突出端の係合凹部331に挿入して、一対の単位部材Aを組み立てる。本発明の雨水貯留浸透施設の構造は、この二つの単位部材Aを組み立てた一対の単位部材Aを、鉛直方向と水平方向に互い違いに組み立てたものが基本構造である。一対の単位部材Aの外形は、正方体、又は長方体状である。即ち、雨水貯留浸透施設は、概略すると、正方体、又は長方体状を隙間を有して、水平と鉛直に積み上げた構造となる。但し、小規模の雨水貯留浸透施設の場合は、隙間を空けず一平面に敷き詰めた構造であってもよい。
【0018】
[単位部材B]
図9に示す単位部材B…22と、上記した単位部材A…21との主な相違点は、単位部材B…22には、2個の脚部32、33が形成されていることである。即ち、単位部材B…22は、長方形の平板部37と、中空筒状の2個の脚部32、33が一体的に形成されている。単位部材Bは、メインの単位部材Aを組立てて箱形の雨水貯留浸透施設とする場合、どうしても角部に段差(隙間)が発生する。単位部材Bは、この端部の段差が発生しないように埋めるためのものである。脚部32、33は、平板部37の二隅に一体的に形成され、平板部37の一側面371側に突出し他側面372側に開口している。脚部32、33は、一側面371側に向かって徐々に縮径する内部が空洞で、肉厚が一定の円錐台状に形成されている。単位部材B…22の脚部32、33は、その先端を除いて、単位部材A…21の脚部32、33と同一形状である。
【0019】
一方の脚部32の突出端には係合凸部321が形成され、他方の脚部33の突出端には、係合凸部321に係合可能な係合凹部331が形成されている。脚部32、33の突出端には、8個の小径の貫通穴39が形成され、脚部32、33内から水が外に抜けるようにしている。一個の単位部材B…22の脚部32、33の突出端を鉛直方向の上方にし、もう一個の単位部材B…22の脚部32、33の突出端を鉛直方向の下方にして鉛直方向に二段積み重ねる。次に、脚部32の係合凸部321を脚部33の係合凹部331に係合させれば、上下一対の単位部材B…22、22を、鉛直方向に連結することができる。単位部材B…22の平板部37の他側面372側の二隅には、一辺の長さがL1で正方形の当接面34が形成されている。当接面34は、平板部37の厚さHの半分の長さだけ一側面371側に凹んで形成されている(
図9(b))。
【0020】
この当接面34には、2個の係合部35と2個の被係合部36が形成されている。係合部35は、当接面34から平板部37の他側面372側に突出する凸部であり、被係合部36は、当接面34に開口する凹部である。2個の係合部35と2個の被係合部36は、脚部32、33と同心の同一円周上に90度間隔に配置されている。係合部35と被係合部36は、同一対角線上に向かい合って形成されている。
図9に示すように、長方形の平板部37の長辺の長さは2L1+L2で、短辺の長さはL1である。即ち、単位部材A…21の正方形の平板部31の一辺の長さと、単位部材B…22の平板部37の長辺の長さは同一長さに形成されている。
【0021】
[単位部材C1、単位部材C2]
図10に示す単位部材C1…23、単位部材C2…24と単位部材B…22との主な相違点は、単位部材C1…23、単位部材C2…24には1個の脚部32または33が形成されていることである。即ち、単位部材C1…23、単位部材C2…24には一辺の長さがL1で正方形の平板部38が形成されている。単位部材C1及び単位部材C2は、単位部材Bと同様に、箱形の雨水貯留浸透施設とする場合、どうしても角部に段差が発生する。単位部材C1及び単位部材C2は、この角部の段差(隙間)が発生しないように埋めるためのものである。単位部材C1…23には、中空筒状の1個の脚部32が一体的に形成されている。また、単位部材C2…24には、中空筒状の1個の脚部33が一体的に形成されている。脚部32、33は、平板部38に一体的に形成され、平板部38の一側面381側に突出し他側面382側に開口している。脚部32、33は、一側面381側に向かって徐々に縮径する円錐台状に形成されている。脚部32の突出端には係合凸部321が形成され、脚部33の突出端には、係合凸部321に係合可能な係合凹部331が形成されている。脚部32、33の突出端には、各々8個の小径の貫通穴39が形成され、脚部32、33内から水が外に抜けるようにしている。
【0022】
単位部材C1…23の脚部32の突出端を鉛直方向の上方にし、単位部材C2…24の脚部33の突出端を鉛直方向の下方にして鉛直方向に二段積み重ねる。次に、脚部32の係合凸部321を脚部33の係合凹部331に係合させれば、単位部材C1…23と単位部材C2…24を水平方向及び鉛直方向に連結することができる。単位部材C1…23、単位部材C2…24の平板部38の他側面382側には、一辺の長さがL1で正方形の当接面34が形成されている。当接面34は、単位部材A…21、単位部材B…22の当接面34と同じ厚さのH/2に形成されている。この当接面34には、2個の係合部35と2個の被係合部36が形成されている。係合部35は、当接面34から平板部38の他側面382側に突出する凸部であり、被係合部36は、当接面34に開口する凹部である。2個の係合部35と2個の被係合部36は、脚部32、33と同心の同一円周上に90度間隔に配置されている。係合部35と被係合部36は、同一対角線上に向かい合って形成されている。単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1…23、単位部材C2…24は、脚部32、33が中空で円錐台状に形成されているため、運搬時にコンパクトに積み重ねることが可能なので、輸送コストを低減することができる。
【0023】
以下、単位部材A、単位部材B、及び単位部材C1及びC2等により、箱形の雨水貯留浸透施設を組み立てる順序を説明する。
[一段目の単位部材群11]
図2に示す一段目の単位部材群11は、9個の二段積み単位部材A…21を、本例では水平面上に格子状に等間隔に3列3行配置している。隣接する二段積み単位部材A…21の平板部31の辺の間の間隔はL2に設定されている。更に、3個の二段積み単位部材B…22を、二段積み単位部材A…21の
図2の奥側の列と行に各々平行に等間隔に配置している。二段積み単位部材B…22と隣接する二段積み単位部材A…21との間の間隔は、同じL2に設定されている。また、隣接する二段積み単位部材B…22の平板部37の辺の間の間隔も同じL2に設定されている。更に、1個の二段積み単位部材C1…23、単位部材C2…24を、3個の二段積み単位部材B…22の交点に配置している。二段積み単位部材C1…23、単位部材C2…24の平板部38の辺と、二段積み単位部材B…22の平板部37の辺との間の間隔も同じL2に設定されている。即ち、一段目の単位部材群11は、二段積みした単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1…23、単位部材C2…24を、全て同一の間隔L2で格子状に配置している。
【0024】
[蓋部材A]
図2に示すように、蓋部材Aは雨水貯留浸透施設の底部を塞ぐものである。
図11に示すものはこの細部であり、一段目の単位部材群11の下面の空隙は、
図11の蓋部材A、
図12に示す蓋部材B、
図13に示す蓋部材Cを取り付けて遮蔽する。
図11に示すように蓋部材A…51には、正方形の平板部61が形成されている。平板部61の一側面611は平坦に形成され、他側面612側の四隅には、一辺の長さがL1で正方形の当接面64が形成されている。当接面64は、平板部61の四隅に等間隔に形成され、平板部61の厚さHの半分の長さだけ一側面611側に凹んで形成されている。平板部61の厚さHは、
図8の単位部材Aの平板部31の厚さHと同一である。この当接面64には、2個の係合部65と2個の被係合部66が形成されている。係合部65は、当接面64から平板部61の他側面612側に突出する凸部であり、被係合部66は、当接面64に開口する凹部である。2個の係合部65と2個の被係合部66は、
図8に示す単位部材Aの係合部35と被係合部36と同一形状で、単位部材Aの係合部35、被係合部36と同一位置に形成されている。
図11に示すように、正方形の平板部61の一辺の長さは、2L1+L2で、
図8の単位部材Aの平板部31の一辺の長さと同一である。
【0025】
[蓋部材B]
図2に示すように、蓋部材Bは雨水貯留浸透施設の底部の端部を塞ぐ(固定)ものである。
図12に示すものはこの細部であり、蓋部材B…52には長方形の平板部67が形成されている。蓋部材B…52の平板部67の一側面671は平坦に形成され、他側面672側の二隅には、一辺の長さがL1で正方形の当接面64が形成されている。当接面64は、平板部67の厚さHの半分の長さだけ一側面671側に凹んで形成されている。この当接面64には、2個の係合部65と2個の被係合部66が形成されている。係合部65は、当接面64から平板部67の他側面672側に突出する凸部であり、被係合部66は、当接面64に開口する凹部である。2個の係合部65と2個の被係合部66は、
図9の単位部材Bの係合部35、被係合部36と同一形状で、単位部材Bの係合部35、被係合部36と同一位置に形成されている。
図12に示すように、長方形の平板部67の長辺の長さは2L1+L2で、短辺の長さはL1である。即ち、平板部67の長辺と短辺の長さは、単位部材B…22の長辺と短辺の長さと同一長さに形成されている。
【0026】
[蓋部材C]
図2に示すように、蓋部材Cは雨水貯留浸透施設の底部の角を塞ぐものである。
図13に示すように、蓋部材C…53には一辺の長さがL1で正方形の平板部68が形成されている。蓋部材C…53の平板部68の一側面681は平坦に形成され、平板部68の他側面682側には、一辺の長さがL1で正方形の当接面64が形成されている。当接面64は、蓋部材A…51、蓋部材B…52の当接面64と同じ厚さのH/2に形成されている。この当接面64には、2個の係合部65と2個の被係合部66が形成されている。係合部65は、当接面64から平板部68の他側面682側に突出する凸部であり、被係合部66は、当接面64に開口する凹部である。2個の係合部65と2個の被係合部66は、
図10の単位部材Cの係合部65、被係合部66と同一形状で、単位部材Cの係合部35、被係合部36と同一位置に形成されている。
【0027】
前述したように、
図2の手前側の角に配置された単位部材A…21の手前側の角の当接面34に蓋部材C…53を載置する。そして、単位部材A…21の係合部35、被係合部36に蓋部材C…53の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21の当接面34に蓋部材C…53を固定する。その結果、単位部材A…21の手前側の角に配置された脚部32または33の開口部が遮蔽される。また、
図2の手前側の行と列に配置された単位部材A…21、単位部材B…22の手前側の当接面34、34に蓋部材B…52を載置する。そして、単位部材A…21、単位部材B…22の係合部35、被係合部36に蓋部材B…52の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21、単位部材B…22の当接面34、34に蓋部材B…52を固定する。
【0028】
その結果、単位部材A…21、単位部材B…22の手前側に配置された脚部32または33の開口部が遮蔽される。更に、上記以外の単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の隣接する4個の当接面34、34、34、34に、蓋部材A…51を載置する。そして、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の係合部35、被係合部36に蓋部材A…51の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の当接面34、34、34、34に、蓋部材A…51を固定する。その結果、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の隣接する4個の脚部32、32、33、33の開口部が遮蔽される。
【0029】
[二段目の単位部材群12]
図3に示す二段目の単位部材群12は、
図2の一段目の単位部材群11と同様に9個の二段積み単位部材A…21を、水平面上に格子状に等間隔に3列3行配置している。隣接する二段積み単位部材A…21の平板部31の辺の間の間隔はL2に設定されている。更に、3個の二段積み単位部材B…22を、二段積み単位部材A…21の
図3の手前側の列と行に各々平行に等間隔に配置している。二段積み単位部材B…22と隣接する二段積み単位部材A…21との間の間隔は、同じL2に設定されている。また、隣接する二段積み単位部材B…22の平板部37の辺の間の間隔も同じL2に設定されている。更に、1個の二段積み単位部材C1…23、単位部材C2…24を、3個の二段積み単位部材B…22の交点に配置している。二段積み単位部材C1…23、単位部材C2…24の平板部38の辺と、二段積み単位部材B…22の平板部37の辺との間の間隔も同じL2に設定されている。即ち、二段目の単位部材群12と一段目の単位部材群11との相違点は、二段目の単位部材群12は、二段積み単位部材B…22、二段積み単位部材C1…23、単位部材C2…24を、二段積み単位部材A…21の手前側の列と行に各々平行に配置していることである。
【0030】
[側面蓋部材A]
図3に示すように、側面蓋部材Aは雨水貯留浸透施設の側部を塞ぐものである。雨水貯留浸透施設の二段目の単位部材群12の側面の空隙は、
図15に示す側面蓋部材A、
図16に示す側面蓋部材Bを取り付けて遮蔽する。
図15に示すように側面蓋部材A…55には、長方形の平板部81が形成されている。平板部81の一側面811は平坦に形成され、他側面812側の上方(
図15(a)、(b)の上方)には、他側面812よりも突出した当接面813が形成されている。当接面813には、
図15(a)の左右方向の両端に各々2個の係合部82が形成されている。係合部82は、当接面813から突出する凸部であり、単位部材Bの平板部37の一側面371に係合可能である。他側面812側の下方(
図15(a)、(b)の下方)には、他側面812から突出した2個の当接突起83Aと2個の当接突起83Bが形成されている。当接突起83A、当接突起83Bは、単位部材A、単位部材B、単位部材C1、C2の円錐台状の脚部32、33の外周面に当接可能である。突出量の少ない当接突起83A、83Aは、脚部32、33の大径外周面に当接可能である。突出量の大きい当接突起83B、83Bは、脚部32、33の小径外周面に当接可能である。
【0031】
平板部81の一端面(
図15(a)、(b)の上方)814には、45度の傾斜当接面84Aが形成されている。傾斜当接面84Aは一側面811側に面している。また、平板部81の他端面(
図15(a)、(b)の下方)815には、45度の傾斜当接面84Bが形成されている。傾斜当接面84Bは、他側面812側に面している。傾斜当接面84Bには2個の係合溝841B、842Bと、2個の係合突起843B、844Bが形成されている。係合溝841B、842Bは、傾斜当接面84Bを切り欠いて形成した矩形の溝である。係合突起843B、844Bは、傾斜当接面84Bから他側面812側に突出し、他側面812と同一平面上に形成された矩形の突起である。係合突起843B、844Bには、同一形状の係合部845B、846Bが形成されている。係合部845B、846Bは、他側面812から突出して形成されている。
【0032】
傾斜当接面84Aには、2個の係合突起841A、842Aと、2個の係合溝843A、844Aが形成されている。係合突起841A、842Aは、傾斜当接面84Aから一側面811側に突出し、一側面811と同一平面上に形成された矩形の突起である。係合溝843A、844Aは、傾斜当接面84Aを削除して形成した矩形の溝である。係合溝843A、844Aの底面には、矩形の係合穴845A、846Aが形成されている。係合穴845A、846Aは、当接面813に開口している。
図3に示すように、二段目の単位部材群12の手前右側の側面に、手前の角から順に側面蓋部材Aを並べて6個取り付ける。側面蓋部材Aの短辺(
図15(b)の上下方向の辺)の長さL5はL1+L2+L4に設定されている。L4は、側面蓋部材Aの傾斜当接面84A、傾斜当接面84Bの短辺方向の長さである。
図3で、単位部材B…22を鉛直方向に二段積み重ねた高さをH1とすると、
図15の側面蓋部材Aの長辺(
図15(a)の左右方向の辺)の長さL6は、H1−Hに設定されている。Hは単位部材B…22の平板部37の厚さである。
【0033】
図3の一番手前側の側面蓋部材Aの傾斜当接面84Aに、一つ奥側の側面蓋部材Aの傾斜当接面84Bを重ねる。すると、一番手前側の側面蓋部材Aの係合突起841A、842Aに、一つ奥側の側面蓋部材Aの係合溝841B、842Bが係合する。また、一番手前側の側面蓋部材Aの係合溝843A、844Aに、一つ奥側の側面蓋部材Aの係合突起843B、844Bが係合する。同時に、一番手前側の側面蓋部材Aの係合穴845A、846Aに、一つ奥側の側面蓋部材Aの係合部845B、846Bが係合して、一番手前側の側面蓋部材Aと一つ奥側の側面蓋部材Aが連結される。同じ手順で、二段目の単位部材群12の手前右側の側面に合計6個の側面蓋部材Aを取り付ける。
【0034】
次に、
図3に示すように、二段目の単位部材群12の手前左側の側面の角に、上下を反転した側面蓋部材Aを1個取り付ける。上下を反転した側面蓋部材Aの当接突起83A、83Bは、単位部材C1、C2の円錐台状の脚部32、33の外周面に当接する。また上下を反転した側面蓋部材Aの係合部82、82は、一段目の単位部材A、三段目の単位部材Aの平板部31の他側面312、312に係合する。そして、
図3の手前右側の側面の角の側面蓋部材Aの傾斜当接面84Bに上下を反転した側面蓋部材Aの傾斜当接面84Bを重ねる。すると、手前右側の側面の角の側面蓋部材Aの係合溝841B、842Bに上下を反転した側面蓋部材Aの係合突起843B、844Bが係合する。同時に、手前右側の側面の角の側面蓋部材Aの係合突起843B、844Bに上下を反転した側面蓋部材Aの係合溝841B、842Bが係合する。その結果、手前右側の側面の角の側面蓋部材Aと上下を反転した側面蓋部材Aが連結される。図示はしていないが、二段目の単位部材群12の手前左側の側面には、手前左側の側面の角の上下を反転した側面蓋部材Aに続けて、上下を反転した側面蓋部材Aを5個取り付け、手前左側の側面の空隙を遮蔽する。
【0035】
[側面蓋部材B]
図3に示すように、側面蓋部材Bは雨水貯留浸透施設の角部を塞ぐものである。二段目の単位部材群12の手前右側の側面に6個の側面蓋部材Aを取り付けると、二段目の単位部材群12の手前右側の側面の奥側の角には長さL1の空隙が残るので、
図16の側面蓋部材Bを取り付けて遮蔽する。
図16に示すように側面蓋部材B…56には、長方形の平板部85が形成されている。平板部85の一側面851と他側面852は平坦に形成されている。他側面852には、
図16(a)、(b)の上下方向の中央部に、他側面852から突出した2個の当接突起83Aと2個の当接突起83Bが形成されている。当接突起83A、当接突起83Bは、上記した側面蓋部材Aの当接突起83A、当接突起83Bと同一形状で、同一の機能を有している。
【0036】
平板部85の一端面(
図16(a)、(b)の上方)854には、45度の傾斜当接面86Aが形成されている。傾斜当接面86Aは側面蓋部材Aの傾斜当接面84Aとは逆方向の傾斜で、他側面852側に面している。また、平板部85の他端面(
図16(a)、(b)の下方)855には、45度の傾斜当接面86Bが形成されている。傾斜当接面86Bも他側面852側に面している。傾斜当接面86A、傾斜当接面86Bは、
図16(a)の上下方向に対称形状に形成されている。即ち、傾斜当接面86Bには2個の係合溝861B、862Bと、2個の係合突起863B、864Bが形成されている。係合溝861B、862Bは、傾斜当接面86Bを切り欠いて形成した矩形の溝である。係合突起863B、864Bは、傾斜当接面86Bから他側面852側に突出し、他側面852と同一平面上に形成された矩形の突起である。係合突起863B、864Bには、同一形状の係合部865B、866Bが形成されている。係合部865B、866Bは、他側面852から突出して形成されている。
【0037】
傾斜当接面86Aにも傾斜当接面86Bと同様に、2個の係合溝861A、862Aと、2個の係合突起863A、864Aが形成されている。係合溝861A、862Aは、傾斜当接面86Aを切り欠いて形成した矩形の溝である。係合突起863A、864Aは、傾斜当接面86Aから他側面852側に突出し、他側面852と同一平面上に形成された矩形の突起である。係合突起863A、864Aには、同一形状の係合部865A、866Aが形成されている。係合部865A、866Aは、他側面852から突出して形成されている。側面蓋部材Bの短辺(
図16(b)の上下方向の辺)の長さL7はL1+L4+L4に設定されている。L4は、側面蓋部材Bの傾斜当接面86A、傾斜当接面86Bの短辺方向の長さである。側面蓋部材Bの長辺(
図16(a)の左右方向の辺)の長さL6は、側面蓋部材Aの長辺の長さと同一で、H1−Hに設定されている。
【0038】
図3に示す一番奥側の側面蓋部材Aの傾斜当接面84Aに、側面蓋部材Bの傾斜当接面86Bを重ねる。すると、側面蓋部材Aの係合突起841A、842Aに、側面蓋部材Bの係合溝861B、862Bが係合する。また、側面蓋部材Aの係合溝843A、844Aに、側面蓋部材Bの係合突起863B、864Bが係合する。同時に、側面蓋部材Aの係合穴845A、846Aに、側面蓋部材Bの係合部865B、866Bが係合して、側面蓋部材Aと側面蓋部材Bが連結される。
【0039】
次に、
図3に示すように、二段目の単位部材群12の奥右側の側面の角に、上下を反転した側面蓋部材Bを1個取り付ける。上下を反転した側面蓋部材Bの当接突起83A、83Bは、単位部材Bの円錐台状の脚部32、33の外周面に当接する。そして、
図3の手前右側の側面の奥側の角の側面蓋部材Bの傾斜当接面86Aに、上下を反転した側面蓋部材Bの傾斜当接面86Aを重ねる。すると、手前右側の側面の奥側の角の側面蓋部材Bの係合溝861A、862Aに上下を反転した側面蓋部材Bの係合突起863A、864Aが係合する。また、手前右側の側面の奥側の角の側面蓋部材Bの係合突起863A、864Aに上下を反転した側面蓋部材Bの係合溝861A、862Aが係合する。その結果、手前右側の側面の奥側の角の側面蓋部材Bと上下を反転した側面蓋部材Bが連結される。図示はしていないが、二段目の単位部材群12の奥右側の側面には、上下を反転した側面蓋部材Bに続けて、上下を反転した側面蓋部材Aを5個取り付け、奥右側の側面の空隙を遮蔽する。
【0040】
上記した手順で、全ての段の単位部材群の側面の空隙を、側面蓋部材Aと側面蓋部材Bの2種類の部材で遮蔽することができる。上記したように、単位部材群の側面を複数の側面蓋部材Aで最初に遮蔽し、角の部分で長さL1の空隙が残った部分は、1個の側面蓋部材Bを取り付けて遮蔽する。また、最初に遮蔽した側面に隣接する側面の角の部分は、上下反転した1個の側面蓋部材B、または上下反転した1個の側面蓋部材Aを取り付けて遮蔽する。
【0041】
[一段目の単位部材群11の上に二段目の単位部材群12を連結]
図4に示すように、一段目の単位部材群11の上に二段目の単位部材群12を連結する。
図4に示すように、二段目の単位部材群12の単位部材Aは、一段目の単位部材群11の単位部材Aに対して、列方向と行方向にL1+L2だけ奥側にずれて配置されている。従って、一段目の単位部材群11の隣接する4個の単位部材Aの当接面34にまたがって二段目の単位部材群12の単位部材Aの当接面34が当接する。その結果、一段目の単位部材Aと、二段目の単位部材Aの2個の係合部35と2個の被係合部36が互いに係合(連結)して、一段目の単位部材Aと二段目の単位部材Aが水平方向及び鉛直方向に連結される。当接面34は、平板部31の厚さHの半分の長さだけ一側面311側に凹んで形成されている。従って、一段目の単位部材群11と二段目の単位部材群12の当接面34を当接させて連結すると、一段目の単位部材群11と二段目の単位部材群12の平板部31が同一平面上に整列する。その結果、連結部の剪断面積が大きくなり、強度が増すため、特に水平方向からの荷重に対する強度が向上する。
【0042】
同様に、二段目の単位部材群12の単位部材Bは、一段目の単位部材群11の単位部材Aに対して、列方向と行方向にL1+L2だけずれて配置されている。従って、一段目の単位部材群11の隣接する2個の単位部材Aの当接面34にまたがって二段目の単位部材群12の単位部材Bの当接面34が当接する。その結果、一段目の単位部材Aと二段目の単位部材Bの2個の係合部35と2個の被係合部36が互いに係合して、一段目の単位部材Aと二段目の単位部材Bが水平方向及び鉛直方向に連結される。また、二段目の単位部材群12の単位部材C1、C2は、一段目の単位部材群11の単位部材Aの手前側の角に配置されている。従って、一段目の単位部材群11の角の単位部材Aの角の当接面34に二段目の単位部材群12の単位部材C1、C2の当接面38が当接する。その結果、一段目の単位部材Aと二段目の単位部材C1、C2の2個の係合部35と2個の被係合部36が互いに係合して、一段目の単位部材Aと二段目の単位部材C1、C2が水平方向及び鉛直方向に連結される。その結果、二段目の単位部材群12は一段目の単位部材群11に水平方向及び鉛直方向に連結される。すると、鉛直方向に貫通する平面視が正方形の点検口4が形成される。点検口4は、隣接する単位部材A…21の平板部31の辺の間に形成される。点検口4は一辺の長さがL2の正方形で、等間隔に9個形成される。
【0043】
[二段目の単位部材群12の上に三段目の単位部材群13を連結]
図4に示す二段目の単位部材群12の上に
図5に示す三段目の単位部材群13を連結して三段にする。
図5に示す三段目の単位部材群13は、
図2に示す一段目の単位部材群11と全く同一の構成なので、三段目の単位部材群13の詳細な説明は省略する。三段目の単位部材群13の単位部材Aは、二段目の単位部材群12の単位部材Aに対して、列方向と行方向にL1+L2だけ手前側にずれて配置されている。従って、三段目の単位部材群13の手前側の角の単位部材Aの当接面34が、二段目の単位部材群12の単位部材C1、C2の当接面38、単位部材C1、C2に隣接する2個の単位部材Bの当接面34、34、単位部材C1、C2に隣接する1個の単位部材Aの当接面34に当接する。その結果、三段目の手前側の角の単位部材Aが二段目の単位部材群12に係合して、水平方向及び鉛直方向に連結される。
【0044】
三段目の単位部材群13の手前側の行と列の単位部材Aの当接面34は、二段目の単位部材群12の手前側の行と列の単位部材Bの当接面34、34、単位部材Bに隣接する1個の単位部材Aの当接面34、34に当接する。その結果、三段目の単位部材群13の手前側の行と列の単位部材Aが二段目の単位部材群12に係合して、水平方向及び鉛直方向に連結される。また、三段目の単位部材群13の残りの単位部材Aは、二段目の単位部材群11の隣接する4個の単位部材Aの当接面34にまたがって当接する。その結果、三段目の残りの単位部材Aが二段目の単位部材群12に係合して、水平方向及び鉛直方向に連結される。
【0045】
三段目の単位部材群13の奥側の単位部材B、単位部材C1、C2は、二段目の単位部材群12の奥側の列と行の単位部材Aの当接面34、34に当接する。その結果、三段目の単位部材群13の奥側の単位部材B、単位部材C1、C2は、二段目の単位部材群12に水平方向及び鉛直方向に連結される。その結果、
図1に示すように、一段目の単位部材群11、二段目の単位部材群12、三段目の単位部材群13が積み重なって係合され、水平方向及び鉛直方向に連結して構成された雨水貯留浸透施設1が出来る。すると、三段目の単位部材群13の下方の単位部材A…21の平板部31の高さまで、鉛直方向に貫通する平面視が正方形の点検口4が形成される。
【0046】
上記したように、本発明の実施の形態の雨水貯留浸透施設1は、隣接する単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1…23、単位部材C2…24の平板部31、37、38の辺の間に間隔L2を空けて配置している。従って、単位体積当たりの単位部材の使用個数が削減されるため製造コストが削減され、雨水貯留空間の空隙率も向上するため、雨水貯留体積が増大する。また、鉛直方向に貫通する点検口を多数形成することが可能となるため、雨水貯留浸透施設の点検作業が容易になる。更に、単位部材を連結する継手部材を使用しないため、製造コストが削減される。本発明の実施の形態の雨水貯留浸透施設1は、積み重ねた単位部材群の脚部が同一鉛直線上に整列するため、鉛直方向の荷重を適切に支持することができる。また、水平面上に配置した単位部材群の脚部が同一水平線上に整列するため、水平方向の荷重も適切に支持することができる。
【0047】
図6は、
図1の雨水貯留浸透施設1の三段目の単位部材群13の上に取り付け、雨水貯留浸透施設1の上面の空隙を遮蔽して、土砂の浸入を防止する蓋部材を示す斜視図である。
図6に示すように、本発明の雨水貯留浸透施設1の上面の空隙は、
図2の雨水貯留浸透施設1の下面の空隙を蓋部材で遮蔽したのと同様に、
図11の蓋部材A、
図12の蓋部材B、
図13の蓋部材Cを取り付けて遮蔽する。
図6に示すように、
図6の手前側の角に配置された単位部材A…21の手前側の角の当接面34に蓋部材C…53を載置する。そして、単位部材A…21の係合部35、被係合部36に蓋部材C…53の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21の当接面34に蓋部材C…53を固定する。その結果、単位部材A…21の手前側の角に配置された脚部32または33の開口部が遮蔽される。また、
図6の手前側の行と列に配置された単位部材A…21、単位部材B…22の手前側の当接面34、34に蓋部材B…52を載置する。そして、単位部材A…21、単位部材B…22の係合部35、被係合部36に蓋部材B…52の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21、単位部材B…22の当接面34、34に蓋部材B…52を固定する。
【0048】
その結果、単位部材A…21、単位部材B…22の手前側に配置された脚部32または33の開口部が遮蔽される。更に、上記以外の単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の隣接する4個の当接面34、34、34、34に蓋部材A…51を載置する。そして、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の係合部35、被係合部36に蓋部材A…51の係合部65、被係合部66を係合させて、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の当接面34、34、34、34に蓋部材A…51を固定する。その結果、単位部材A…21、単位部材B…22、単位部材C1、C2…23、24の隣接する4個の脚部32、32、33、33の開口部が遮蔽される。
【0049】
[蓋部材D]
図7は、
図1の雨水貯留浸透施設1の三段目の単位部材群13の上に取り付け、雨水貯留浸透施設1の点検口4を遮蔽して、土砂の浸入を防止する蓋部材Dを示す斜視図である。上記
図6で説明したように、本発明の雨水貯留浸透施設1の上面の空隙は、蓋部材A、蓋部材B、蓋部材Cを取り付けて遮蔽するが、点検口4の遮蔽は別の蓋部材Dで行う。蓋部材A、蓋部材B、蓋部材C、蓋部材Dは合成樹脂で成形されている。
図14に示すように、蓋部材D…54は、一辺の長さがL2の正方形の箱状部材で、蓋部材D…54の厚さHは、
図8の単位部材Aの平板部31の厚さHと同一に形成されている。蓋部材D…54の一辺の長さL2は、正方形の点検口4の一辺の長さL2と同一に形成されている。蓋部材D…54の一側面には、底板71が一体的に形成され、蓋部材D…54の他側面は開口している。蓋部材D…54の四辺には、幅がL3のフランジ部72が形成されている。
【0050】
図7に示すように、蓋部材D…54の底板71を上にして、雨水貯留浸透施設1の三段目の単位部材群13の点検口4に蓋部材D…54を押し込んで取り付ける。すると、雨水貯留浸透施設1の点検口4が遮蔽され、土砂の浸入を完全に防止することができる。このようにして、雨水貯留浸透施設1の空隙を完全に遮蔽して、雨水貯留浸透施設1の上面に土砂を被せれば、雨水貯留浸透施設1への土砂の浸入を防止することができ、雨水貯留浸透施設1を埋設した土地を利用することが可能となる。雨水貯留浸透施設1の点検が必要になったら、蓋部材D…54を雨水貯留浸透施設1から取り外して点検する。
【0051】
[点検口]
前述したように、本実施の形態の雨水貯留浸透施設1は、特別な工事、設計変更等を行うことなく、その構造から上層から最下層まで貫通する貫通孔が形成される。
図17は、雨水貯留浸透施設の上面に敷設された覆土中に埋設した点検用カメラ用の点検口の縦断面図である。
図17に示すように、雨水貯留浸透施設1の上面に土砂や砂利等の覆土73をかぶせる際に、点検口4に蓋部材D…54を取り付けず、三段目の単位部材群13の点検口4の上部と地表とを連絡する中空の筒状体(例えば塩化ビニール製のパイプ等)74を埋め込む。中空の筒状体74の上部には蓋75を着脱可能に取り付ける。中空の筒状体74は、点検口4のうちの必要な箇所に複数設置する。この雨水貯留浸透施設1の点検が必要になったら、蓋75を取り外して点検用カメラを中空の筒状体74を通して点検口4に挿入して点検する。このようにすれば、点検の度に、点検口4周辺の覆土73を除去したり埋め戻す作業が不要となる。
【0052】
前述した点検口4は、点検用カメラ用のものであったが、補修工事、堆積物の除去作業等のように作業員が雨水貯留浸透施設1内に立ち入る必要がある場合が生じる。
図18は、雨水貯留浸透施設に人孔用の点検口を設けた例であり、
図18(a)は
図18(b)のa−a線で切断したときの雨水貯留浸透施設の最上段の平面図であり、
図18(b)は点検用人孔用の点検口近傍の縦断面図である。点検用人孔80は、雨水貯留浸透施設1に上下方向に形成された角筒状の空間である。点検用人孔80は、保守、点検作業等で作業員が雨水貯留浸透施設の内部に立ち入れる程度の大きさである。この点検用人孔80は、雨水貯留浸透施設1の一部の単位部材Aを上下の縦方向に取り外した角状の空間である。
【0053】
図18(a)に示す例では、雨水貯留浸透施設1の最上層部の点検用人孔80の外周に10個の単位部材Aが矩形状に配置される。そして、2個の単位部材Bが配置されている(
図18(a)の上下位置)。端数である単位部材Bは、蓋部材Aで固定されるが点検用人孔80が形成されるので機械的な強度が弱い。このために、
図18(b)に示すように、点検用人孔80の形状に合致させて、矩形のアグル材等からなる補強部材81で単位部材Bを固定する。また、雨水貯留浸透施設1の最上層部で、かつ点検用人孔80の外周には、板状で正方形状のコンクリート床板82が載せられている。コンクリート床板82の中心部には、円孔83が形成されている。コンクリート床板82の上面の覆土84には、鋳鉄蓋87の高さ位置を調整するための環状の調整リング85が配置されている。調整リング85の上に鋳鉄蓋87及びこれを支持する受枠86が設置されている。雨水貯留浸透施設1の内部の点検、保守が必要なとき、鋳鉄蓋87を開けて内部に入ることができる。本実施の形態の点検用人孔80は、雨水貯留浸透施設1に特別な工事、設計変更等を行うことなく、上層から最下層まで貫通する孔が形成される。
【0054】
[その他の実施の形態]
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこの実施例に限定されることはない。例えば、本発明の実施の形態の雨水貯留浸透施設1は、1セットの単位部材群を三段積み重ねているが、1段以上であれば良い。また、高さが必要ないとき、設置場所の高さに構造的に制約があるときは、脚同士を接合することなく、単体の単位部材A、単位部材B、単位部材C、蓋部材A等を平面的に敷設したものでも良い。なお、この1段敷設の脚部の下端は、脚の先端凹部、凸部と連結する蓋部材(図示せず)を用いる。また、本発明の実施の形態の脚部は、円錐台状に形成されているが、脚部の断面形状は円形に限定されるものではなく、四角錐台状、六角錐台状等の任意の多角形の断面でも良い。雨水貯留浸透施設は、長期にわたって継続的に荷重が作用し続けると、クリープ変形によるひずみが発生するため、継続的に作用し続ける荷重に対する長期性能の照査を行う必要があり、関係団体からその指針も決められている。そのため継続的に作用し続ける荷重に対する長期性能の照査が行われている。このために、鉛直方向荷重、水平方向荷重の照査が行われる。
【0055】
前述した実施の形態の脚部の肉厚は一定であった(
図8、9参照)が、上記した鉛直方向荷重、水平方向荷重によるクリープ変形が上記指針で規定する以上の変形がある場合、肉厚を部分的に厚くする、部分的にリブを付ける等の方法で強度を強化する方法であっても良い。この材料力学的な強度の変更は、必要があれば脚部に限らず、他の箇所であっても良い。
図8等に示した平板部31は、略平面視で正方形であったが、必ずしも正方形でなくても長方形、又は正方形と長方形を混合して組み合わせたものであっても良い。