(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6796572
(24)【登録日】2020年11月18日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】三次元オブジェクト形成装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20201130BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20201130BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20201130BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20201130BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20201130BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20201130BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y50/02
B33Y30/00
B29C64/106
B29C64/264
B33Y10/00
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-217956(P2017-217956)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2019-6101(P2019-6101A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】201710468577.9
(32)【優先日】2017年6月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008930
【氏名又は名称】三緯國際立體列印科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】XYZprinting, Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】511067204
【氏名又は名称】金▲宝▼電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】丁 明雄
(72)【発明者】
【氏名】郭 宗樺
(72)【発明者】
【氏名】趙 偉淳
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0221267(US,A1)
【文献】
特開平06−155588(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104723560(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第105922748(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の形成材料を収容するように構成されたタンクと、
前記タンクの上に移動可能に配置された移動プラットフォームと、
前記タンクの下に配置されて前記液体の形成材料に光を照射して前記移動プラットフォーム上に層毎に三次元オブジェクトを硬化させる光源と、
前記光源及び前記移動プラットフォームに接続され、前記移動プラットフォームを制御して移動させ、デジタル三次元モデルのスライスデータに応じて前記光源の照射強度を制御する制御部と、
を備え、
前記光源によって現在光が照射されるターゲット位置が、前記移動プラットフォームの次の第1の層上にある場合、前記制御部は、前記光源の照射強度を元の照射強度に維持し、
前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上になく、前記スライスデータに応じて、前記光源と反対の側である前記ターゲット位置の一の側における所定の数の層内に非硬化中空層が存在すると判別した場合、前記制御部は、前記非硬化中空層と前記ターゲット位置との間の層数に応じて、前記光源の照射強度を対応して減少し、
前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上になく、前記スライスデータに応じて、前記所定の数の層内に前記非硬化中空層が存在しないと判別した場合、前記制御部は、前記光源の照射強度を前記元の照射強度に維持する、
ことを特徴とする三次元オブジェクト形成装置。
【請求項2】
前記非硬化中空層が前記ターゲット位置に近いほど、前記光源の照射強度の減少が大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の三次元オブジェクト形成装置。
【請求項3】
前記所定の数の層は3つであり、
前記非硬化中空層が前記ターゲット位置の次である場合、前記制御部は、前記光源を第1の照射強度に設定し、
前記非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち一の層分離間している場合、前記制御部は、前記光源を第2の照射強度に設定し、
前記非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち2つの層分離間している場合、前記制御部は、前記光源を第3の照射強度に設定し、
前記第1の照射強度は、前記第2の照射強度よりも小さく、前記第2の照射強度は前記第3の照射強度よりも小さく、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元オブジェクト形成装置。
【請求項4】
前記第1の照射強度は、前記元の照射強度の30%であり、前記第2の照射強度は、前記元の照射強度の50%であり、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度の70%の照射強度である、ことを特徴とする請求項3に記載の三次元オブジェクト形成装置。
【請求項5】
前記液体の形成材料は、感光性樹脂であり、前記光源は、紫外線源である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の三次元オブジェクト形成装置。
【請求項6】
三次元オブジェクトを形成する方法であって、三次元オブジェクト形成装置に適用され、前記三次元オブジェクト形成装置は、液体の形成材料を収容するために用いられるタンクを備え、前記三次元オブジェクトを形成する方法は、
光源を用いて前記タンク内の前記液体の形成材料に光を照射して移動プラットフォーム上に三次元オブジェクトを層毎に硬化させ、前記光源を用いて光を照射する処理は、
前記光源によって現在光が照射されているターゲット位置が、前記移動プラットフォームの次の第1の層上にある場合、前記光源を元の照射強度に維持し、
前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上にない場合、デジタル三次元モデルのスライスデータに基づいて、非硬化中空層が、前記光源と反対の側である前記ターゲット位置の一の側における所定の数の層内に存在するか、判別し、
前記非硬化中空層が、前記所定の数の層内に存在する場合、前記非硬化中空層と前記ターゲット位置との間の層数に応じて、前記光源の照射強度を対応して減少し、
前記非硬化中空層が、前記所定の数の層内に存在しない場合、前記光源の照射強度を前記元の照射強度に維持する、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記非硬化中空層が前記ターゲット位置に近いほど、前記光源の照射強度の減少が大きい、ことを特徴とする請求項6に記載の三次元オブジェクトを形成する方法。
【請求項8】
前記所定の数の層は3つであり、前記非硬化中空層が、前記所定の数の層内に存在する場合、前記非硬化中空層と前記ターゲット位置との間の前記層数に応じて、前記光源の照射強度を対応して減少するステップは、
前記非硬化中空層が前記ターゲット位置の次である場合、前記光源を第1の照射強度に設定し、
前記非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち一の層分離間している場合、前記光源を第2の照射強度に設定し、
前記非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち2つの層分離間している場合、前記光源を第3の照射強度に設定し、
前記第1の照射強度は、前記第2の照射強度よりも小さく、前記第2の照射強度は前記第3の照射強度よりも小さく、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の三次元オブジェクトを形成する方法。
【請求項9】
前記第1の照射強度は、前記元の照射強度の30%であり、前記第2の照射強度は、前記元の照射強度の50%であり、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度の70%の照射強度である、ことを特徴とする請求項8に記載の三次元オブジェクトを形成する方法。
【請求項10】
前記液体の形成材料は、感光性樹脂であり、前記光源は、紫外線源である、ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の三次元オブジェクトを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元(3D)プリンティング機構に関し、特に、3Dオブジェクト形成装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、技術の急速な発展に伴って、層ごとのモデル構築等の付加製造技術を用いて三次元(3D)モデルを構築する様々な方法が開発されている。一般に、付加製造技術は、コンピュータ支援デザイン(CAD)等のソフトウェアによって構築された3Dモデルのデザインデータを、複数の連続して積層された薄い(擬似二次元(2D))断面層に変換する。また、複数の連続して積層された薄い断面層を形成する複数の技術的手段が、徐々に提供されている。例えば、プリンティング装置のプリンティングモジュールは、3Dモデルのデザインデータによって構築される空間座標XYZに従ったXY平面に沿ったプリンティングプラットフォーム上を徐々に移動し、構築材料が断面層の正確な形状を形成し得る。次に、Z軸に沿って層毎にプリンティングモジュールを移動させることで、複数の断面層が、Z軸に沿って徐々に積層され、構築材料は層毎の硬化条件で3Dオブジェクトを形成する。
【0003】
3Dオブジェクトを構築するために構築材料を硬化する光源を用いる技術を例に挙げると、プリンティングモジュールは、タンクに含まれる液体の形成材料に浸されるのに適し、光源は、XY平面の上の構築材料として機能する液体の形成材料に光を照射し、液体の形成材料が移動プラットフォーム上で硬化されて積層される。このように、プリンティングモジュールの移動プラットフォームが層毎にZ軸に沿って移動することで、液体の形成材料が層毎に硬化されて積層され、3Dオブジェクトが形成される。
【0004】
しかしながら、光硬化材料が液体の形成材料として用いられるので、光が硬化した層に入る場合があり、その光の透過により、硬化した層が予期しない硬化を有する場合があった。
図1は、既存の3Dオブジェクト成形装置を用いて得られた3Dオブジェクトの概略図である。光硬化性樹脂は光が透過可能であるので、光Dの照射によって予期しない硬化層が形成される。
図1の3Dオブジェクト110で示すように、硬化した層112が形成される時、光Dが硬化した層111を透過することで硬化した層111の上部に予期しない硬化層121が形成される。硬化した層113が形成される時、光Dが硬化した層112を透過することで、硬化した層112の上部に予期しない硬化層122が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は3Dオブジェクト形成装置および方法に関し、これらは光の透過による予期しない硬化の問題を解決するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タンクと、移動プラットフォームと、光源と、制御部とを備える3Dオブジェクト形成装置を提供する。前記タンクは、液体の形成材料を収容するために用いられる。前記移動プラットフォームは、前記タンクの上に移動可能に配置される。前記光源は、前記タンクの下に配置されて前記液体の形成材料に光を照射して前記移動プラットフォーム上に層毎に三次元オブジェクトを硬化させる。前記制御部は、前記光源及び前記移動プラットフォームに接続され、前記移動プラットフォームを制御して移動させ、デジタル三次元モデルのスライスデータに応じて前記光源の照射強度を制御する。前記光源によって現在光が照射されるターゲット位置が、前記移動プラットフォームの次の第1の層上にある場合、前記制御部は、前記光源の照射強度を元の照射強度に維持する。前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上になく、前記スライスデータに応じて、前記光源と反対の側である前記ターゲット位置の一の側における所定の数
の層内に非硬化中空層が存在すると判別した場合、前記制御部は、前記
非硬化中空層と前記ターゲット位置との間の層数に応じて、前記光源の照射強度を対応して減少する。
前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上になく、前記スライスデータに応じて、前記所定の数の層内に前記非硬化中空層が存在しないと判別した場合、前記制御部は、前記光源の照射強度を前記元の照射強度に維持する。
【0007】
本発明の一の実施形態において、前記
非硬化中空層が前記ターゲット位置に近いほど、前記光源の照射強度の減少が大きい。
【0008】
本発明の一の実施形態において、前記所定の数
の層は3つである。前記
非硬化中空層が前記ターゲット位置の次である場合、前記制御部は、前記光源を第1の照射強度に設定する。前記
非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち一の層分離間している場合、前記制御部は、前記光源を第2の照射強度に設定する。前記
非硬化中空層と前記ターゲット位置とが硬化層のうち2つの層分離間している場合、前記制御部は、前記光源を第3の照射強度に設定する。前記第1の照射強度は、前記第2の照射強度よりも小さく、前記第2の照射強度は前記第3の照射強度よりも小さく、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度よりも小さい。
【0009】
本発明の一の実施形態において、前記第1の照射強度は、前記元の照射強度の30%であり、前記第2の照射強度は、前記元の照射強度の50%であり、前記第3の照射強度は、前記元の照射強度の70%の照射強度である。
【0010】
本発明の一の実施形態において、前記液体の形成材料は、感光性樹脂であり、前記光源は、紫外線源である。
【0011】
本発明は、三次元オブジェクトを形成する方法であって、三次元オブジェクト形成装置に適用される方法を提供する。前記三次元オブジェクト形成装置は、液体の形成材料を収容するために用いられるタンクを備え、前記三次元オブジェクトを形成する方法は、次のステップを含む。光源を用いて前記タンク内の前記液体の形成材料に光を照射して移動プラットフォーム上に三次元オブジェクトを層毎に硬化させる。前記光源を用いて光を照射する処理において、前記光源によって現在光が照射されているターゲット位置が、前記移動プラットフォームの次の第1の層上にある場合、前記光源を元の照射強度に維持する。前記ターゲット位置が前記移動プラットフォームの次の前記第1の層上にない場合、デジタル三次元モデルのスライスデータに基づいて、非硬化中空層が、前記光源と反対の側である前記ターゲット位置の一の側における所定の数
の層内に存在するか判別し、前記
非硬化中空層が、前記所定の数
の層内に存在する場合、前記
非硬化中空層と前記ターゲット位置との間の層数に応じて、前記光源の照射強度を対応して減少する。
前記非硬化中空層が、前記所定の数の層内に存在しない場合、前記光源の照射強度を前記元の照射強度に維持する。
【発明の効果】
【0012】
以上のとおり、光源の照射強度が、非硬化中空層の位置に基づいて減少されるので、光の透過による予期しない硬化が生じることを防止する。
【0013】
本発明の上述した特徴及び利点並びに他の特徴及び利点についての理解を容易にするため、添付の図面とともに複数の実施形態について以下詳細に説明する。
【0014】
添付図面は発明についてのさらなる理解のために含まれており、本明細書に含まれるとともに、その一部を構成する。図面は本発明の実施形態を示し、以下の説明とともに本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】既存の3Dオブジェクト形成装置を用いて得られた3Dオブジェクトの概略図である。
【0016】
【
図2A】三次元(3D)オブジェクト形成装置の概略図である。
【0017】
【
図2B】三次元(3D)オブジェクト形成装置の概略図である。
【0018】
【
図3】本発明の実施形態に係る3Dオブジェクトを形成するための方法を示すフローチャートである。
【0019】
【
図4】本発明の実施形態に係る光源の照射強度を調節するための方法を示すフローチャートである。
【0020】
【
図5】本発明の実施形態に係る3Dオブジェクトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、添付の図面を参照してより詳細に説明し、当該図面において、本発明の典型的な実施形態を示す。以下で用いる用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、図中における方向を示す目的のためだけのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。また、以下の実施形態において、同一あるいは類似の構成要素には同一あるいは同様の参照符号を記す。
【0022】
図2A及び
図2Bは、三次元(3D)オブジェクト形成装置の概略図である。
図2Aは、底部照射型の3Dオブジェクト形成装置200を示し、
図2Bは、上部照射型の3Dオブジェクト形成装置200aを示す。
【0023】
図2Aを参照すると、3Dオブジェクト形成装置200は、タンク210と、移動プラットフォーム220と、光源230と、制御部240とを備える。タンク210は、液体の形成材料201を収容するために用いられる。移動プラットフォーム220は、タンク210上に移動可能に配置される。光源230は、液体の形成材料201に光を照射するためにタンク210の下に配置され、3Dオブジェクト202が移動プラットフォーム220上で層毎に硬化される。制御部240は、光源230及び移動プラットフォーム220に接続され、移動プラットフォーム220を制御して移動させ、光源230の照射強度をデジタル3Dモデルのスライスデータに応じて制御する。本実施形態の液体の形成材料201は、感光性樹脂、あるいは他の適用可能な光硬化性材料であり、光形成材料201は、光源230によって照射された後に硬化される。
【0024】
制御部240は、例えば、中央処理装置(CPU)、あるいは他のプログラム可能な汎用もしくは専用マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブル制御部、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理回路(PLD)、あるいは他の類似の装置、もしくは上記の組み合わせであり、本発明では特に限定されない。
【0025】
3Dオブジェクト形成装置200は、デジタル3Dモデルに応じて3Dオブジェクト202を提供する。つまり、3Dオブジェクト形成装置200は、デジタル3Dモデルを読み取り、このデジタル3Dモデルの断面に応じて層毎に3Dオブジェクト202を提供し得る。3Dオブジェクト202は、光源230を用いて液体の形成材料201に光を照射し、かつ層毎に硬化することによって得られる。デジタル3Dモデルは、例えば、コンピュータ支援デザイン(CAD)あるいはアニメーションモデリングソフトウェアのコンパイル及び計算によって生成され、また、3Dオブジェクト形成装置200は、デジタル3Dモデルを読み取って3Dオブジェクトの形成処理を実行し得る。より詳細には、デジタル3Dモデルは、デジタル3Dオブジェクトにスライス処理を行うことで得られる複数の断面のスライスされたオブジェクトの複数のスライスデータを含む。制御部240は、デジタル3Dモデルのスライスデータに応じて層毎にスライスされたオブジェクトを形成し、スライスされたオブジェクトを積層して3Dオブジェクト202を形成するように制御を行うことができる。
【0026】
図2Aにおいて、移動プラットフォーム220は、タンク210上に位置し、軸方向に沿ってタンク210に対して移動するよう構成される。移動プラットフォーム220は、タンク210から離間あるいはタンク210内に移動可能であり、液体の形成材料201に浸される。
図2Aに示すように、移動プラットフォーム220は、Z軸に沿って移動され、XY平面上に位置するタンク210に対して移動し、タンク210内に含まれる液体の成形材料201に浸される。制御部240は、液体の成形材料201に浸された移動プラットフォーム220を制御してZ軸に沿って移動させて光源230から離間させ(つまり、上に移動させ)、層毎に液体の形成材料201を硬化させ、層毎の積層によって移動プラットフォーム220上に3Dオブジェクト202を形成する。
【0027】
図2Bを参照すると、3Dオブジェクト形成装置200aは、また、タンク201と、移動プラットフォーム220と、光源230と、制御部240とを備える。上部照射型の実施形態では、光源230は、タンク210の上に配置され、液体の形成材料201に光を照射し、移動プラットフォーム220上に層毎に3Dオブジェクト202が硬化される。また、タンク210は、その内部に3Dオブジェクト202を形成するのに十分な深さを有する。移動プラットフォーム220は、液体の形成材料201に浸されることができる。
【0028】
図2Bにおいて、移動プラットフォーム220は、Z軸に沿って移動し、XY平面上に位置するタンク210に対して移動し、タンク210に含まれる液体の形成材料201に浸される。制御部240は、液体の形成材料201に浸された移動プラットフォーム220を制御してZ軸に沿って移動させて光源230から離間させ(つまり、下に移動させ)、液体の形成材料201を層毎に硬化させ、層毎の積層によって3Dオブジェクト202を移動プラットフォーム220上に形成する。
【0029】
図3は、本発明の実施形態に係る、3Dオブジェクトを形成する方法を示すフローチャートである。本実施形態では、光源230は、タンク210内の液体の形成材料201に光を照射し、3Dオブジェクト202が、移動プラットフォーム220上で層毎に硬化される。
図3に示すように、ステップS305において、光源230を用いて光を照射する処理の間に、現在光源によって照射されているターゲット位置が、移動プラットフォーム220に隣接する第1の層上にあるか否か、判別される。ここで、制御部240は、デジタル3Dモデルのスライスデータに基づいて、現在形成している層が移動プラットフォーム220上の第1の層であるか、判別してもよい。
【0030】
ターゲット位置が移動プラットフォーム220に隣接する第1の層上に位置する場合、ステップS310において、制御部240は、光源230の照射強度を元の照射強度に維持する。例えば、制御部240は、100%の照射強度で光を照射するように光源230を制御してもよい。
【0031】
ターゲット位置が移動プラットフォーム220に隣接する第1の層上にない場合には、ステップS315では、所定の数の層内に非硬化中空層が存在するか否か、判別される。つまり、制御部240は、デジタル3Dモデルのスライスデータに基づいて、光源230の反対側に位置するターゲット位置の一の側における所定の数の層内に非硬化中空層が存在するか否か、判別する。例えば、スライスデータは、各スライス層における各ボクセルが硬化を要するか否かを示す硬化データを記録する。例えば、「1」は硬化を表し、「0」は非硬化を表す。各スライス層の硬化データに応じて、XY平面においてターゲット位置と同じ位置である、所定の数の層の一の側(光源230を配置した側と反対の側)において非硬化中空層が存在するか否か、判別される。
【0032】
所定の数の層内に中空層が存在する場合、ステップS320において、制御部240は、中空層とターゲット位置との間の層の数に応じて、光源230の照射強度を対応して減少させる。中空層がターゲット位置により近いほど、光源230の照射強度はより大きく減少する。中空層が所定の数の層内に存在しない場合、ステップS310において、制御部240は、光源230の照射強度を元の照射強度に維持してもよい。また、光源230の照射強度減少の大きさは、硬化した液体の形成材料201の透過度に応じて決定することができる。
【0033】
これは、中空層が所定の数の層内に存在する場合、光源230から照射される光が、硬化した層に入って予期しない硬化を中空層に形成する場合があるためである。従って、中空層が所定の数の層内に存在する場合、光源230の照射強度は適切に減少されて層の硬化密度を低下させている。光が次の層に照射される場合、光源230から照射された光は、硬化した層の前の層を透過した際に、中空層に予期しない硬化を生じることなく、継続して硬化した層の前の層を硬化する。
【0034】
例えば、所定の数の層が3であるとすると、中空層がターゲット位置の隣りにある場合、光源230は第1の照射強度に設定され、中空層とターゲット位置とが硬化した層のうちの一層分離間している場合、光源230は第2の照射強度に設定され、中空層とターゲット位置とが硬化した層のうちの2層分離間している場合、光源230は第3の照射強度に設定される。第1の照射強度は、第2の照射強度よりも小さく、第2の照射強度は、第3の照射強度よりも小さく、第3の照射強度は、元の照射強度よりも小さい。
【0035】
光源の照射強度を調節する様々なステップについて、以下に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る光源の照射強度を調節する方法を示すフローチャートである。
図4を参照すると、ステップS405において、制御部240は、XY平面上でターゲット位置と同じである位置の次の第1の層(ターゲット位置がある層に隣接する層である)が硬化されたか否か、スライスデータに基づいて判別する。第1の層が非硬化中空層である場合、つまり、中空層がターゲット位置の次の層である場合、ステップS410において、制御部240は、光源230の照射強度を、元の照射強度の30%に減少する。
【0036】
第1の層が硬化される場合、ステップS415において、制御部240は、XY平面上でターゲット位置と同じである位置の次の第2の層(第1の層に隣接)が、硬化されるか否か、スライスデータに基づいて判別する。第2の層が非硬化中空層であるばあい、つまり、中空層とターゲット位置とが硬化層のうちの一の層分離間する場合、ステップS420において、制御部240は、光源230の照射強度を、元の照射強度の50%に減少する。
【0037】
第1の層および第2の層がすべて硬化される場合、ステップS425において、制御部240は、XY平面上のターゲット位置と同じである位置の次の第3の層(第2の層に隣接)が、硬化されるか否か、スライスデータに基づいて判別する。第3の層が非硬化中空層である場合、つまり、中空層とターゲット位置とが硬化層のうちの2つの層分離間する場合、ステップS430において、制御部240は、光源230の照射強度を元の照射強度の70%に減少する。第1から第3の層すべてが硬化される場合、ステップS435において、制御部240は、光源230の照射強度を元の照射強度の100%に維持する。所定の数の層が3層であり、照射強度減少率30%、50%及び70%はすべて例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
図5は、本発明の実施形態に係る3Dオブジェクトの概略図である。本実施形態において、光源230を用いて光を照射して液体の形成材料201を硬化させることで、スライス層Aからスライス層Hが移動プラットフォーム220上で層毎に硬化され、3Dオブジェクト510が得られる。
【0039】
図5を参照すると、3Dオブジェクト510のスライス層Aが移動プラットフォーム220の次の第1の層であり、光源230がスライス層A内の各位置に光を照射する場合、光源230は、元の照射強度の100%で光を照射する。上記の所定の数の層(例えば、3つ)内において、スライス層B内の各位置は中空層を有しておらず、従ってスライス層Aの各位置に光が照射される場合、光源230は、そのまま元の照射強度の100%で光を照射する。
【0040】
スライス層Fにおいて、3つの層(つまり、スライス層E、D、及びC)の位置(位置F1及びF6と同じ)はすべて硬化されるので、光源230はそのまま元の照射強度の100%の照射強度で光を照射する。光源230が位置F2からF5のそれぞれに光を照射すると、スライス層Eにおける、位置F1からF5と同じ位置は中空なので、光源230の照射強度が元の照射強度の30%に減少されて光が照射される。
【0041】
スライス層Gにおいて、位置G1からG6の次の3つの層(つまり、スライス層F、E、及びD)の位置(位置G1からG6と同じ)はすべて硬化されるので、光源230は、そのまま元の照射強度の100%で光を照射する。光源230が位置G2からG5にそれぞれ光を照射すると、位置G2からG5の次のスライス層Fは硬化した層であり、層Eにおける位置G2からG5と同じ位置(位置G2からG5二対して2つの層分離間)は中空なので、光源230の照射強度は元の照射強度の50%に減少されて光が照射される。
【0042】
スライス層Hにおいて、位置H1からH6の次の3つの層(つまり、スライス層G、F、及びE)の位置(位置H1からH6と同じ)は、全て硬化されるので、光源230は、そのまま元の照射強度の100%で光を照射する。光源230が位置H2からH5のそれぞれに光を照射すると、位置H2からH5の次の第1の層及び第2の層の位置(位置H2からH5と同じ)は、全て硬化した層であり、第3の層(スライス層E)の位置(位置H2からH5と同じ)は中空なので、光源230の照射強度は、元の照射強度の70%に減少されて光が照射される。同様にして、デジタル3Dモデルからなる3Dオブジェクト510が得られる。
【0043】
位置H2に関し、光源230が元の照射強度の70%で光を照射すると、また、光が位置G2及び位置F2を透過すると、位置G2及び位置F2は硬化処理の間低い硬化密度を有するので、透過光は位置G2及び位置F2の硬化密度を上昇させ、従って透過光は中空層上に予期せぬ硬化を生じさせない。そこで、減少した照射強度で光が照射された位置は、次の透過光によって照射され、その硬化密度を上昇させる。例えば、位置F2は、位置G2、H2を透過する光によって補償されて100%の硬化密度を得る。
【0044】
図5における実施形態においても、底部照射型3Dオブジェクト形成装置200を例にして説明したが、同様の方法を上部照射型3Dオブジェクト形成装置200aにもまた適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
要約すると、光源の照射強度が非硬化中空層の位置に基づいて減少され、現在光が照射されているターゲット位置の硬化密度を低下させ、連続的に透過する光が継続的にターゲット位置における硬化密度を増加させ、ひいては、光の透過による予期しない硬化を防止することができる。
【0046】
本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲において様々な応用及び変形が本発明の構成に適用可能である点、当業者にとって明らかである。以上より、本発明は以下の特許請求の範囲によって画定される技術的範囲ならびにその均等の範囲における本発明に対する応用及び変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
110、202、510 3Dオブジェクト
111、112、113 硬化層
121、122 予期しない硬化層
200、200a 3Dオブジェクト形成装置
201 液体の形成材料
210 タンク
220 移動プラットフォーム
230、D 光源
240 制御部
A〜H スライス層
F1〜F6、G1〜G3、H1〜H6 位置
S305〜S320 ステップ
S405〜S435 ステップ